「筋炎の統合的診断」プロジェクト 自己抗体測定項目の変更のご案内

国立精神・神経医療研究センター
National Center of Neurology and Psychiatry
トランスレーショナル・メディカルセンター 臨床開発部 / 神経研究所 疾病研究第一部
〒187-8502 東京都小平市小川東町 4-1-1
http://www.ncnp.go.jp/nin/guide/r1
「筋炎の統合的診断」プロジェクト
自己抗体測定項目の変更のご案内
これまで「筋炎の統合的診断」プロジェクトでは、慶應義塾大学との共同で筋炎関連自己抗体測定
サービスを提供してまいりました。これは、従来筋炎関連自己抗体測定の多くが保険収載されておら
ずかつ商業的サービスが提供されていなかったのが大きな理由です。これまでの結果から、臨床的
に重要な自己抗体は限られており、またこれまでに行ってきた RNA 免疫沈降法では測定できない
自己抗体も重要であることが分かってきました。加えて、昨今、保険収載で測定可能な自己抗体の
範囲もひろがり、かつ商業的サービスも利用が可能となってきました。
そこで、「筋炎の統合的診断」プロジェクトでは、2015 年 1 月受付分からは、免疫介在性壊死性ミオ
パチーの診断に必須である以下の 2 項目についてのみ測定を行います。
 抗 SRP 抗体(RNA 免疫沈降法)*
 抗 HMGCR 抗体(ELISA 法)
*抗 SRP 抗体では商業的サービスで行われている SRP54 を抗原とする immunoassay では、約 20%の症例で偽陰性となります。抗 SRP 抗体の基本的な測定方法は RNA
免疫沈降法になります。また抗 HMGCR 抗体はスタチン製剤と関連する非可逆的な炎症性筋疾患で出現すると報告されました。ただし抗 HMGCR 抗体陽性例の半数以
上ではスタチン内服歴がなく、抗 SRP 抗体とともに免疫介在性壊死性ミオパチーの血清マーカーと考えられます。
またこれに伴い、今後、筋炎疑い例について筋病理診断ならびに「筋炎の統合的診断サービス」を
お申し込み頂く際には、保険収載されている以下6つの自己抗体の測定を貴院にて施行して頂き、
検査結果を病歴に記載して下さい。なお、ユーロラインなど商業的サービスに自己抗体測定を依頼
されている場合でまだ結果が帰ってきていない場合には、その旨を病歴に記載の上、結果が出た段
階でお知らせ下さい。
 抗 Jo-1 抗体
 抗 ARS 抗体
 抗ミトコンドリア M2 抗体
 抗 RNP 抗体
 抗 SS-A 抗体
 抗 SS-B 抗体
なお、その他の自己抗体、皮膚筋炎に関連した自己抗体や抗 ARS 抗体の Jo-1 以外のサブタイプ
などにつきましては個別にご相談ください。
西野 一三
[email protected]
所定の同意書・病歴用紙は、常に最新版をご利用下さい。下記ホームページからダウンロードできます。
http://www.ncnp.go.jp/nin/guide/r1