第2問の解説 - livedoor Blog

センター生物~解説~
第2問
全体についてのコメント
A にも B にも実験考察問題があり,やや時間を要する大問である。
A は,ウニの発生の知識とセンチュウの発生に関わる 2 種類の遺伝子のはたらきを読解する問題。実験
考察問題は非常に素直な問題で解きやすい。問 2 は消去法により,手早く選択肢を絞りたい。
B の問 3 で④を正しいと判断するためには胚乳の遺伝を経験していることが必要だが,消去法により正
解することはできる。問 4 の実験考察問題は非常に平易な問題ではあるが,
「はたらく場所」
「はたらき」
を組み合わせて解答する問題であり,正答率が伸びない可能性が高い。
設問別解説
A
問 1 ウニの発生についての超基礎知識を問う設問。原口が将来の肛門になることさえ分かれば解ける。
問 2 細胞の分化に関わる遺伝子のはたらきを読解する実験考察問題。
実験 1 において,突然変異体 x では分化能 M をもつ細胞が生じないことから,タンパク質 X は細
胞が分化能 M をもつために必要なタンパク質とわかる。よって,①が正しいことが決定する。続いて,
突然変異体 y では分化能 M をもつ細胞が 1 つ多くなっていることから,タンパク質 Y は細胞が分化能
M をもつことを抑制するはたらきをもつと考えられ,②が誤りと分かる。
実験 2 の結果より,野生型において両タンパク質が共存する細胞(B2)は分化能 M をもたないことが
わかる。よって,③も誤りである。また,④の記述が正しいとすると B2 が分化能 M をもつことにな
ってしまい,これも誤りである。⑤は B2 でタンパク質 X が機能できないことになり,B2 が分化能 M
をもたないことに矛盾しない。最後に⑥の場合,両タンパク質が共存する B2 では,結局タンパク質 Y
の影響がなくなり,B2 が分化能 M をもってしまうので,これも誤りである。
B
問 3 被子植物の生殖についての幅広い知識と胚乳核の遺伝子型を問う設問。①は「花粉管細胞→雄原
細胞」
,③は「2 個→1 個」
。⑤反足細胞は退化するため,修正不可能な記述。⑥無胚乳種子についての
記述であり,子葉に栄養を蓄えるため子葉は発達するので誤り。
遺伝子型が DDd の胚乳細胞は,遺伝子型が D の 2 つの核(=極核)をもつ中央細胞と遺伝子型が d の
精細胞が融合して形成されたものである。よって,この時,同時に遺伝子型が D の卵細胞と d の精細
胞から Dd の受精卵が生じていることになり,④の記述が正しいことが分かる。
(注:
「1 つの胚のう細胞が 3 回の核分裂をして胚のうが形成されるため,1 つの胚のう内の
8 個の核はすべて同じ遺伝子型である」ということを納得している必要がある。)
問 4 生殖に関わる遺伝子についての実験考察問題。まず,実験 3 の冒頭「正常な受精に遺伝子 F が必
要」をチェックする。続いて,表 1 より,めしべ側が Ff の場合に半数の胚珠から種子ができていない
ので,この遺伝子はめしべ側ではたらく必要があることが分かる。そして,実験 4 より,胚珠が F を
もつ場合(=正常な場合),助細胞に到達した花粉管が破裂することがわかり,胚珠が F をもたない場合
には,花粉管が破裂していないことがわかる。なお,図 5 や図 6 より,花粉管はそもそも卵細胞に到
達しないことがわかるので,⑥は消去できる。