2016年1月12日 古賀茂明「改革はするが戦争はしないフォーラム 4」Vol.026 から、 ●原発再稼働が一気に進みそう 古賀: 今日のニュースと言えば高浜の最稼働が。差し止めで、とりあえず止めろと、こういう ふうに言われていたのが、裁判所のほうで、いや、動かしていいよということになって しまったというニュースが流れました。高浜のほうは、もう地元の同意とか、そういう のも終わっているので、あとは粛々と、最後の手続きとか、いろんな本当に動かすため の点検とか、燃料棒を入れてっていうところから始まりますけど、そういう手続きとか、 いろんな技術的なステップを踏んで早ければ夏前にも動かしたいということに、たぶん。 夏前っていうか、なるべく早くっていうことなんですけどね。 これが動いちゃうと川内も動いているんですが、それから、あとは伊方ですね、四国、 愛媛県のですね。あそこも、ほとんど障害は取り除かれて地元も動かしたいと言ってい るので、こっちもどんどん進んでいくと。ということで 2016 年は。 Gbiz: 原発が。 古賀: 2015 年は川内だったんですけど、2016 年は続々と再稼働の 1 年になる可能性がある と。 僕、すごく最近の原発関係の報道で気になるのは、原発を動かすと電力料金が下がるっ ていう話になっているんですね。それが 1 つ。それから CO2 を削減するためには原発 を増やした方がいいと。こういう話も COP21 で、削減目標が決まったことによって、 それをどうやって達成するんだという話で今、そういう話に、みんな関心が行くので、 そのためには原発だという。だから電力料金を下げるためと CO2 を削減するために原 発という動きが、かなり出てきているなというふうに思います。 それで、きのうかな、おとといの日経の 1 面とかにも大きく書いてあったんですけど、 経産省と電力会社で今考えているのは、電力会社に 1 つは CO2 削減、これをどうやっ てやるのかというのを実現を義務づけていく。あるいは、そのために電源のべストミッ 1 クスっていうじゃないですか。要するに全体の電力の供給を原発何%、再生エネルギー 何%とか、火力何%と一応の 30 年の目標っていうのがあるわけですね。それを、ただ 数字を書いただけじゃ、そういうふうになるかどうかわからないので、そうなるように 電力会社に義務づけようという動きがあるんですね。 これを CO2 削減のためにはしょうがないでしょみたいな、そういうことで、やってい く感じになっていますね。今のところ、再生エネルギーっていうのは、もともとは 30 年に 22 から 24%ぐらいまで増やしましょうと。原発は 20 から 22 に増やしましょう という話なので、両方合わせると 42 から 46 の間なんですけど、なぜか経産省は、こ れを合わせて義務づけると。 これは、この間、やったんだっけな。メルマガに書いたのかな。 Gbiz: そうですね。この間、ここでもちょっと話が。 古賀: この間、動画で話したんですよね。それで、なぜか 44%ということで義務づけようと いう。それを最近の流れでは CO2 削減のためにって。っていうのは原発も再生可能エ ネルギーも CO2 を出さないとか、非常に少ないということなので、それを 1 つのジャ ンルにまとめるわけですね、CO2 対策ということで。だから原発もいいし、再生エネル ギーもいいから、両方合わせて 44 ぐらいやってねと。 こういう義務づけにするという話なんですけど、でも、これが、その新聞の解説による と、そうはいっても再生可能エネルギーにあまり頼ると不安定になるとか、コストがか かるので、でも一方で原発の再稼働には、いろいろ障害があって、本当にできるのかみ たいに書いてあるんだけど、それは誘導するやり方で、だからこそ原発を早く、もっと もっと再稼働させていかないと、この目標は達成できないよ。CO2 が、どんどん増える よという世論誘導をしているという感じが非常に見えますね。 ちょっと、それをもう一回、考え直さなきゃいけないということで、最大のポイントは やっぱり原発が安いという前提になっているんですね、いまだに日本では。新聞でも、 そういうふうに書いているし、そういうところを、もう一回、見直してほしいし、それ をやるために……。原発をゼロにしたいという人たちは多いわけじゃないですか。ドイ ツなんかも 22 年までにゼロにしろということを決めているんですけど、ドイツはゼロ にするっていうのを先に決めちゃったものだから、訴訟がいっぱい起きているんですよ。 2 いっぱいというか、電力会社はそんなにたくさんないんですけど、原発を持っている電 力会社から、いや、いや、そんなこと、あとで急に決められたって、どうしてくれるの よ。損するじゃないかというので、これが今、訴訟になっていて、それだけ損害賠償を 払えということで、いくらかは払うという方向に行くわけですけれども、日本の場合は 同じことをやると、要するに、まったく理由もなく、やめろというような法律をつくっ ちゃうと、それは違法だ。財産権の侵害だみたいになるので、いや、いや、いいですよ。 動かしていいですよ。だけど条件がありますよ。それは普通の工場並みにしてください ねと。 Gbiz: 普通の工場並み? 古賀: 普通の工場並みっていうのは例えば絶対に事故が起きないようにしてくださいよ。起き たときは東京電力の場合は、もう損害賠償できないから全部、国が出してくれ、国に肩 代わりしてくれみたいなことを言い出しちゃったから、ああいうことがないようにして くださいよ。 そのためにはもちろん、そんな大きな損害を電力会社は自分で払うことはできないでし ょ。そのためにちゃんと保険をかけてくださいという、いわゆる付保義務というんです か、損害賠償責任、保険をかけなければいけないという義務を課すということと、それ から核のごみというのは、いわば産業廃棄物ですよね。産業廃棄物は、ちゃんと責任を 持って最終処分までやってください。それをどういうふうにやるかっていうことを全部 計画をつくって、それができるということを証明してくださいねと。それを義務づけち ゃえばいいと思うんですよ。 それと、もう 1 つは規制基準の中に避難計画をちゃんと入れると。それをやって、はい、 どうぞ、原発は安全だし、安いんでしょ。だから最低限、これくらいのことは守ってや ってくださいね、ってやれば実質的には動かなくなるんですね。保険料なんていうのは、 べらぼうに高くなりますので、実質的には、できない。だけど、それはやめろと言って、 やめさせたんじゃなくて、どうぞ、やってください。でも普通の産業並みの規制はかけ ますよと。その結果、あなたが、それはコスト的に無理だといって、やめるんだったら、 それは自分の経営判断なんだから、別に原発だけ特別にいじめたわけでも何でもないん だから、そんなことについて国は責任を負いませんと。そういうやり方で止めていくっ ていうのが 1 番国民のためにはいいのかなというふうに思いますね。 3 Gbiz: 条件をつけて。 古賀: うん。それをできれば本当は民主党と維新の党が統一するために基本的政策合意とかい うのをやっていましたけれども、そういうのに入れてほしいなと思いますね。共産党も、 ただ反対というだけじゃなくて、そういうような提案を出して、国が損しないようにし てもらいたいなというふうに思いますけど、ちょっと、このまま、どんどん、どんどん 原発がね。 Gbiz: 再稼働していきますかね。 古賀: 僕は、すごく不安なのは野党再編の動きとか、野党共闘とか、いろいろいわれているん ですけど政策の話が出るときに原発の話っていうのが、ものすごく影が薄くなっちゃっ て、安保法案のことは言うし、立憲主義とか、そういう言葉はいろいろ入ってくるんで すけど、原発は言っても原発をなくしましょうとか、そういう抽象的な話でしかなくて、 具体的に見てみると民主党と維新の政策合意でも見えるように 2030 年代に稼働ゼロを 目指すと。 30 年代です。39 年まで、39 年 12 月 31 日まで稼働ゼロだから逆に言うと、それまで は稼働していいですよ。しかも稼働ゼロですから、原発ゼロじゃないんですね。稼働ゼ ロっていうのは稼働している原発が、たまたま 2029 年 12 月 31 日はゼロでしたとい うだけの話で、やっぱり大事だから、また動かしましょうって言えば動かせるっていう ふうにも読めるんですよ。この稼働ゼロっていうところが、かなり民主党が、こだわっ たらしいんで。 Gbiz: あやしい(笑)。 古賀: あやしい。そう、あやしいんです(笑) 。 以上 4
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