2016.1.13 (vol.24) 経営発達支援計画の申請と認定後のあり方 http://www.c3c3.jp e-mail:[email protected] 発行:有限会社 C3 不易流行 (経営支援機関の役割と責務) TE:077-524-7755 文責:田中義郎 経営発達支援計画の認定は、昨年 12 月 25 日の第 2 回第 2 次認定を含め合計 357 の商 工会・商工会議所(単会ベース)になった。認定率は 16%前後ではないかと推定される。 大半の商工会・商工会議所(以下経営支援機関、東京 23 区、政令指定都市に立地する 商工会議所を除く)の関心は、「いかに認定を受けるか」に集中しているようであるが、 認定を受ければ万事がうまくいくという単純な話ではない。認定を受けたその先が本番 なのだ。 将来禍根を残さないためにも、一度立ち止まり、今何をすべきかを改めて確認してお く必要があるのではないかと考える。 前号(vol.23)でも触れたが、最優先すべきは、如何に認定を受けるかではなく、認定 を受けるに足りる実力を如何に構築するかにある。認定は手段であり目的ではない。認 定は目的達成のための1つのプロセスに過ぎない。 国から示された「経営発達支援計画策定にあたっての留意点」(以下、留意点)を鵜呑み にして作成すれば認定が目的の支援計画に陥る。小規模事業者の持続的発展に資するこ とを目的に取り組めば、組織構造の抜本的改革に繋がる支援計画になる。 念のため申し上げると、「留意点」は、あくまでスタンダード(標準)に過ぎないという ことだ。留意点に沿って作成しても「魂」は入らない。見せかけの支援計画に止まる。 目的地を定める 認定後もさまざまな課題が横たわる。最大のボトルネックは、組織としての目的地が 曖昧なことだ。組織の目的は法律で明記されている。しかし、問題は後段(社会一般の 福祉の増進)の解釈である。 後段の解釈は時代の変遷と共に変化する。例えば、バブル崩壊前と企業数減少に歯止 めがかからない現状下では認識が変わる。さらに、地方創生にも寄与しなければならな いという任務も背負っている。 組織には明確な「目的地」が先ずありきである。経営支援機関はどこに向かって行くの か。今日に至っても歴然としない。 サンフランシスコに向けて出港した船の目的地はサンフランシスコである。目的地の 定まっていない組織は迷走を続けるしかない。羅針盤のない船と同様の事態に陥る。「経 営支援もイベントも」という議論を払拭できないのは、目的地が定まっていないからで ある。目的地を明確にし、ベクトルを整えないと、組織の本質より世間的な体裁が優先 され、事業(の量)もどんどん膨らんでいく。 1 ©2016 C corporation 3 「流行」は時の経過とともに「不易」になり、不易は次の流行(流れ)を生み だす礎になる。両者は対立概念ではなく「表裏一体」の概念である。 2016.1.13 (vol.24) 経営発達支援計画の申請と認定後のあり方 http://www.c3c3.jp e-mail:[email protected] 目的地を明らかにし、目的地だけを目指して全力疾走する。これは組織運営の「基本 の基」である。企業にも同じことが言える。その持続的発展の第一歩は目的地に「旗」を 立て、進むべき方向をまず明らかにすること。どのような手段で目的地に向かうかとい う議論(戦略の構築)は、それからで良い。 経営支援機関はどこに向かって進んで行くのか。地域で唯一の総合経済団体である。 何をおいてもまず「地域経済の活性化」に貢献しなければならないだろう。 経営支援機関の目的地:地域経済の活性化を通して、地方創生の一翼を担い、経営 支援機関として社会的地位の向上を図ること。 地域経済の活性化は、地域で圧倒的多数を占める小規模事業者の持続的発展によって もたらされる。このことを前提に支援計画に取り組む。支援計画は目的地に向かう手段 (戦略)として位置付け、その活用を図る。 ただし、支援計画といえども万全ではない。小規模事業者の持続的発展を目指して細 部にわたる取り組みが列挙されているが、実態にそぐわない一面もある。例えば、新た な需要開拓(販路開拓・商品開発)などである。小規模事業者の経営実態から判断して、 まず最優先すべきは「土台」を固めること。前号でも述べたが、土台が脆弱であれば何を しても中途半端に終わる。需要開拓などの取り組みはその先で良い。 戦略は目的地に向かって進む手段である。そのスピード(戦略のレベル)は土台のレベ ルに規制される。これもマネジメントの「基本の基」である。 (図 24-1)組織(経営)の骨格 目的地 未来 戦略 土台 現在 目的地が明確になれば、事業の優先順位も明らかになる。スクラップの推進を加速さ せる条件が整う。多岐にわたる事業を抱えていては(目的地に向かって)全力疾走はでき ない。支援計画の遂行にも相当の負荷がかかる。さらに事業が増えると「質」は確実にダ ウンする。手を抜かないと仕事が回らなくなる。コミュニケーションも不足し、職員間 の連携も徐々に薄れ、組織は弱体化する。ストレスやフラストレーションもたまる。最 優先すべきは、ボトルネックにメスを入れることなのだ。 2 ©2016 C corporation 3 「流行」は時の経過とともに「不易」になり、不易は次の流行(流れ)を生み だす礎になる。両者は対立概念ではなく「表裏一体」の概念である。
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