選 択 と 集 中

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年(平成
年) 月
日
広島県医師会速報(第
号)
昭和
年
月
日 第
種郵便物承認
選 択 と 集 中
新年を迎え、まず今年こそはしようと
思ったことは、再び要るものと要らない
ものの選択をすることである。中でも差
し迫った脅威である、部屋の空間を圧迫
する目前の書類や資料の山から、必要な
もののみを選択し、整理して一定の場所
に集中管理し、すぐに利用できるように
することであった。選択と集中である。
要らないものを捨てることですっきりし
たいのである。学生時代の試験では、あ
る教授から「君の答案はしっかりと骨だ
けだね」と言われたことを思い出すが、
物事の本質は、余分な肉の部分をどれだ
けそぎ落としすことができるかで、より
把握できるようになると思われる。その
選択がうまくいかないと必要な情報にた
どり着けない。多くの資料の中から、今
後必要になるかどうかを判断し、紐付け
する事が求められる。娘たちは携帯から
素早くデータを引きだし、紙のデータは
持たなくても不自由がない。また写真や
動画もすぐに共有できる。すなわち極論
すれば紙のデータはすべて破棄できる環
境にあるともいえる。もちろん、バック
アップは必要で、それにいつでもアクセ
スできることが条件である。資料や書類
は、情報を得るためのものであり、その
保存のために生活空間が浸食されるのは
時代に合わなくなってきているのかもし
れない。カルテ情報も、フェースシート
やサマリーさえあれば、業務的には十分
である。もちろん診療録は自分の身を守
る証拠品として原本保存を要するわけだ
が、最近は電子カルテが標準的に使われ
るようになって電子的に保存できるよう
になってきている。
最近は情報過剰になりがちで、それだ
けに、情報の取捨選択にはエネルギーが
必要である。
その判断を下すのは脳であり、糖類は
脳にとって重要なエネルギー源であり低
血糖は命に関わる重大事である。かと
いって高血糖が続けば、それも問題だ。
ちなみにわが体型は膝の負傷をした 歳
代に増加して以降、順調に増加しており、
ご先祖様のおかげで糖尿病にならずに済
んだために脂肪とお肉を十分に蓄えるこ
とができてしまっている。今や、家内か
ら「 代の頃はスマートだったのに…」
と繰り返し言われ、ストレスに拍車がか
かる状況である。必須アミノ酸ロイシン
を多く取り筋力を保ちつつロコモーティ
ブシンドロームに備える必要を感じる今
日この頃である。背筋を伸ばして腹筋を
鍛えて、余分な脂肪を全部捨てて…こち
らも選択と集中ができてコントロールで
きればと思われるのだが。
必要のないと思われたものは、切り捨
てて、必要と思われるものに集中すると
言うことは言葉では簡単であるが、その
判断を誰がどのような基準でするかに
よって全く別の結果が生み出されていく
わけで、誠に恐ろしいことである。これ
が実際にうまくいった試しのない事は、
政治の世界での選択と集中が、実際に有
効でなかった事が極めて多い事を検証し
ても明らかであろう。にもかかわらず時
として、その判断を迫られることが多い
のがこの世の中である。
「こんな、ゴミの
山は要らないでしょう。ぜーんぶ捨てて
あげるわね!」と言って、選択をしよう
とした私の背後で、家内がにっこりほほ
笑んでいた。
(大谷 博正)
2016
一般社団法人 広島県医師会
28
1月15日
〒732-0057 広島市東区二葉の里三丁目2番3号 TEL 082-568-1511 FAX 082-568-2112
広島県医師会長 平 松 恵 一
(広報委員)山中 祐介、小園 亮次、高路 修、佐々木 達、佐々木 龍司、谷 充理、中尾 三和子、平林 直樹、
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