Vol. 58 日本複合・防音床材工業会会長 永大産業株式会社 代表取締役社長 大道 正人 明けまして おめでとうございます。 旧年中は、多大なご支援、ご配慮を賜り誠にありがとうご ざいます。本年も引き続き、宜しくお願い申し上げます。 昨年の世界経済を振り返りますと、米国がリーマンショッ ク以降実施してきた量的緩和を終了し9年半ぶりの利上げを 実施するなど、回復の兆しが見えました。一方、イスラム過 激派によるテロが大きな社会不安となり欧州の経済回復が勢 いを欠いていることや、中国や新興国経済の失速不安など、 地政学的リスクの高まりとともに、世界経済の先行きには不 透明感が残りました。また日本経済は、政府による経済政策 や日本経済による金融政策を背景に消費税の影響が徐々に緩 和され、穏やかな回復基調で推移しました。 住宅業界に目を向けますと、住宅取得資金贈与の非課税枠 拡大や省エネ住宅ポイント制度等、政府による住宅取得支援 策に下支えされ、新設住宅着工戸数は堅調に推移しました。 利用関係別では、持家や分譲戸建ての回復が少し遅れており ましたが、足元では前年比で増加に転じており、一昨年4月 の消費増税後の低迷からは脱したものと見ております。 今年の住宅業界は、来年4月に予定されている消費税率 10% への引き上げを控えた需要の盛り上がりが期待されておりま す。 なお、TPP が合意されたことに伴い、マレーシア産合板に かけられている関税 10%が協定締結後 15 年で撤廃されるこ とにより、国内の合板業界に対する影響が懸念されています。 当工業会としても林野庁の合板業界へのテコ入れ対策と合板 業界の取り組みに注目しています。 日本複合・防音床材工業会では、高齢者施設や学校・商業 施設・店舗の木造化が進められている状況の中、住宅はもと よりこれら各種建築物の床材に適した複合フローリングの更 なる普及と安定供給を目指し、製品の品質向上および施工品 質向上のために調査・研究を行っております。林野庁は「林 業は森林資源の循環利用を図りつつ、成長産業化を実現する ことが必要」との認識のもとで、2020 年の国産材率 50%達 成の目標を掲げ、輸入材から国産材への代替を大きな政策目 標としており、日本複合・防音床材工業会はこれに賛同して フロア基材の国産材化に向けて取り組んでいます。 当工業会の推計では、フロア基材の国産材合板使用率は 2014 年の3%から 2015 年には 6.7%へと倍増しております が、現在も多くの解決を要する技術的課題があります。これ らの課題を解決し国産材合板使用率を増加させるため、当工 業会会員の協力のもと、関係省庁、関連団体と連携を図り、 技術的課題の解消に向けて取り組んでまいります。 さて、日本複合・防音床材工業会は平成 27 年 12 月現在で 68 社の会員で構成されています。委員会活動としましては、 主に正会員で構成される技術委員会と広報委員会並びに昨年 より新たに立ち上げた、賛助会員も参加できる資材流通委員 会により成り立っています。それぞれの立場で、製品の開発・ 改良、エンドユーザーへの情報提供、会員相互の意見交換な どを図りながら、複合フローリングの普及活動を続けていま す。 昨年の各委員会の活動状況ですが、技術委員会では安定し た複合フローリングの品質確保のために、性能試験規格書を 最新版へ更新するための見直しを行いました。また、新たな 事業として「床暖房システムの床衝撃音低減性能認定事業」 を立ち上げました。広報委員会では工業会ホームページに「旧 日本複合床板工業会」と「旧日本防音床材工業会」のパンフ レットを統合し、さらに内容を充実させた「床材のお手入れ」 コンテンツを掲載しました。加えて、資料室および会員専用 ページに掲載している「複合フローリング・防音直床の販売 量」を分かり易い表示に変更しました。資材流通委員会では、 賛助会員の皆様に工業会活動への積極的な参加を求めると共 に、会員へ分かり易く簡単な解説付きで各種情報提供をしま した。今後はショールームや公的機関の実験施設などへの見 学も計画をしています。 最後になりましたが、工業会会員の皆様並びに「産・官・学」 関係者の方々のより一層のご支援をお願いいたしまして、新 年のご挨拶とさせていただきます。 本年も変わらぬお引き立ての程よろしくお願い申し上げま す。皆様のご健勝とご発展をお祈り申し上げます。
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