新技術 ∼汚染土壌の安定化処理∼

T echnology
M arket
O dessa
N ews
新技術 ∼汚染土壌の安定化処理∼
Odessa Technos’ Co.,Ltd.
The New technology ∼Disposing of polluted soil∼
近年、重金属や油分による土壌汚染の問題が顕在化し、その有効な浄化対策の確立が求められている。
当社ではいち早くこの問題に取り組み、汚染土壌の安定化処理技術を確立した。
■汚染土壌の安定化処理概略
オデッサシステムによる汚染土壌の安定化処理は、化学薬剤「ソイルケア」による安定化処理と、特殊固化材「ハードロ
ップ」による安定化処理の 2 種類の組み合わせにより行われる。その安定化は、「ソイルケア」の場合は配位結合による捕
集および還元反応、「ハードロップ」の場合は水和反応にて生成される水和生成物による封じ込め作用にそれぞれ依存す
る。
CH2
CH2
SH
CH2
CH2
O
CH2
還元反応を利用して
有害物質を安定化
SH
CH2
C
Na
CH2
C
Na
N
強力な配位結合により
有害物質を捕集
O
ソイルケアによる安定化処理
「ハードロップ」の水和生成物の
結晶構造内に有害物質を封じ込める
ハードロップによる安定化処理
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■重金属・油汚染土壌安定化のメカニズム
○化学薬剤ソイルケアによる安定化
ソイルケアは還元作用を有する「ソイルケア F」と、強力な配位結合能力を有する「ソイルケア E」の 2 種類がある。ソ
イルケアによる有害物質の安定化メカニズムは、以下の通りである。
土壌中にアニオン(陰イオン)として溶出している物質は、ソイルケア F にて還元され、カチオン(陽イオン)とな
る。その後、カチオンになった物質は、アニオン物質であるソイルケア E の強力な配位結合作用により捕獲・固定化さ
れる。また、ソイルケア E は、土壌中にカチオンとして溶出している物質も捕獲・固定化する。
○特殊固化材ハードロップによる安定化
ハードロップによる有害物質の安定化のメカニズムは、以下の通りである。
ハードロップは水和反応により、水和生成物を形成する。水和生成物にはエトリンガイト、水酸化カルシウム、モノ
サルフェート水和物および C-S-H など様々なものがあるが、有害物質の安定化には C-S-H によるところが大きい。C-S-H
とはハードロップの主要化合物であるエーライトおよびビーライトの水和によって生成する低結晶性のカルシウムシリ
ケート水和物である。これは針状もしくは板状結晶が層状に重なることで束を形成し、それらが無秩序に形成したもの
で、層間には微細なゲル空隙および毛細管空隙を無数に保有している。この空隙に有害物質を封じ込め、土壌が経時的
に強度を増すことで安定化する。
C-S-H は有害重金属を封じ込めることが可能であるが、油汚染土壌なども同様に封じ込めることが可能である。
C-S-H の電子顕微鏡による写真
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■オデッサシステムでの汚染土壌安定化の利点
オデッサシステムで汚染土壌を安定化処理する利点としては、その処理方法が簡便であることがあげられる。以下に
処理フローを図で示す。
バックホウにて混合
ソイルケアの添加
化学薬剤の添加・攪拌
水槽
特殊固化材
ハードロップ
を混合・攪拌
オデッサシステムへの投入
ベルコン
にて搬出
処
理
土
搬
出
処
理
土 養
生
養生
オデッサシステムによる汚染土壌処理のフロー
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運搬
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■汚染土壌安処理の長期安定化
オデッサシステムによる汚染土壌処理では、有害物質の長期的安定化が可能である。ハードロップは特殊セメント系
固化材および特殊高分子吸水材が主成分であるが、他に珪酸質混合材が添加されており、セメント系固化材の主要化合
物であるエーライトおよびビーライトから遊離した水酸化カルシウムと反応して不溶性の C-S-H を生成する。これはポ
ゾラン反応と呼ばれ、水和反応の後期から長期的に継続する。
ハードロップによる有害物質の安定化は、前期もしくは中期にて C-S-H により有害物質が封じ込められ、後期のポゾ
ラン反応で一層強固になる。これにより長期に渡る安定化が可能となり、防水性、化学的抵抗性、長期強度は増大する。
さらにソイルケアによる作用により、二重、三重の安定化が見込まれるのである。
汚染土壌安定化処理試験結果の一例
単位:mg/l
項
目
改良前
改良後
環境基準値
六価クロム
0.55
0.005 未満
0.05 以下
六価クロム
0.99
0.018
0.05 以下
鉛
0.029
0.001 未満
0.01 以下
砒
素
1.20
0.001 未満
0.01 以下
水
銀
0.15
0.0005 未満
0.0005 以下
カドミウム
0.032
0.001 未満
0.01 以下
セレン
0.076
0.007
0.01 以下
油汚染土壌安定化処理試験結果の一例
検体種類
固化材添加率
油分(mg/l)
未処理土
−
780
ハードロップ
10%
32
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