関係部署にご回覧ください 編集・発行 三井住友銀行グループ・SMBCコンサルティング株式会社 2016.1.12 第 1540 号 SMBC経営懇話会 TEL:フリーダイヤル 0120-7109-49 FAX:(03)5255-5564 URL:https://www.smbc-consulting.co.jp 【法人実効税率の引き下げ 32.11% → 29.97%】 平成28年度税制改正大綱の概要と主な問題点 公認会計士 金本敏男事務所 公認会計士・税理士 金本 敏男 1.法人課税は、法人実効税率の引き下げ、中小企業の設備投資に対する固定資産税の減税などが行わ れます。 2.消費再増税に対応して、車体課税の見直し、軽減税率の導入が行われます。 3.配偶者控除の見直しの先送り、財政再建の道筋が不透明という問題点があります。 安倍内閣は、経済成長の隘路となっている少子高齢化の課題を解消するべく、 「新・三本の矢」である 「希望を生み出す強い経済」を確立するとともに、 「夢を紡ぐ子育て支援」及び「安心につながる社会保 障」を目標として「一億総活躍社会」を創り上げるべく、税制面から次に述べる平成 28 年度税制改正大 綱を発表しました。その主要となる改正内容は、次の通りです。 1.平成 28 年度税制改正大綱の概要 平成 28 年度税制改正は、おもに次の2段構えの税制改正となっています。 平成 28 年度:法人税率の引き下げ 平成 29 年度:消費税率の引き上げ時に、飲食料品等に関し軽減税率制度を導入 家計や企業の負担する税負担は、増税分と減税分を差引き、全体で年間 400 億円の減税型税制改正 となっています。 2.法人課税 (1)法人実効税率の引き下げ ・・・ 現行 32.11% ➡ 29.97%(平成 30 年度は 29.74%に) ただし、赤字企業に対する外形標準課税の拡大(8,000 億円の増税)で、産業界全体の税負担 は変わらず、換言すれば、稼ぐ企業を優遇し経済の活性化につなげようとしています。 (2)中小企業の設備投資への減税・・・新しく取得した機械の固定資産税を3年間半額にします。 (3)役員報酬の税優遇拡大・・・平成 28 年度から、企業統治の体制整備を条件に、株式報酬やROE連 動型報酬も認めています。 (4)「企業版ふるさと納税」・・・地方創生のための事業に寄付した企業の法人税を減税します。 (5)その他の改正・・・減価償却制度の見直しや繰越欠損金の控除限度額の段階的な引き下げの見直し (次頁に続く) (1540-2/2) 3.消費課税 (1)消費税率の引き上げ・・・平成 29 年 4 月から 8% ➡ 10% (2)消費再増税に対応して、平成 29 年 4 月から次の改正が行われます。 ①車体課税の見直し イ.自動車取得税の廃止 ロ.燃費性能に応じた「燃費新税(環境性能割)」が新設されますが、消費再増税後の販売減を 抑えるべく、 非課税車種が拡大されるので、 新車販売台数の半分が非課税となる見通しで、 自動車取得課税に比し、200 億円減税されるといわれています。 ②軽減税率の導入(1兆円規模)…飲食料品等に 8%の軽減税率制度を導入します。 【軽減税率の対象品目】 ・酒類、外食を除く飲食料品 ・週2回以上発行される定期購読の新聞 ③消費税の事務負担軽減のために、 「みなし課税制度(売上税額又は仕入税額の簡便計算) の特例」 を設けています。 ④インボイス制度の導入は、消費再増税から 4 年後の平成 33 年 4 月となります。 4.一億総活躍社会をにらみ、新しく導入される税制措置など (1)子育て支援のため、3世代同居に必要なリフォームに対する減税・・・改修工事費(250 万円を限度)の 10%、又は借入を利用した場合の住宅借入金の年末残高(1,000 万円を限度)の 2%を税額控除するこ とができます。 (2)農地バンクに農地を貸せば、固定資産税が半額となる制度(平成 28 年 4 月からはじまります。)が設けら れます。 (3)相続した空き家(居住用不動産)を解体した後の土地や耐震改修後の空き家を相続から 3 年以内に売却 した場合には、税の優遇措置が受けられます。ただし、その譲渡価格は、1億円以下とされています。 (4)NISAの手続き簡素化 NISA口座を開く際、マイナンバーを提示することで住民票の提出は不要となります。 (5)市販薬の購入…セルフメディケーション(自主服薬)推進のために、スイッチOTC医薬品控除の特例【医 療費控除の特例】(12,000 円を超える支出を控除)を5年間に限定し創設しています。 (6)「企業版ふるさと納税」・・・地方創生のための事業に寄付した企業の法人税を減税します。 (7)通勤手当の非課税枠が月 15 万円に引き上げられます。 (8)外国人向け消費税・・・外国人の消費を促すため、消費税の免税対象を拡大しています。 (9)結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与の非課税制度の拡充…不妊治療の薬代等が対象になります。 5.平成 28 年度税制改正大綱の主な問題点 (1)配偶者控除の見直しの先送り 「女性の社会進出を阻害しないように、専業主婦らを優遇する内容を変更すること」が先送りされています。 (2)財政再建の道筋が不透明 選挙対策等が優先し、基礎的財政収支改善の道筋が見えません。 【本稿に関するご照会窓口】 SMBCコンサルティング・経営相談部 TEL:0120-874-809 Netpress 経営に関するタイムリーなトピックスを掲載しています! 詳しくはこちら
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