ニュースレター28号 - つじ歯科クリニック

Yamaguchi Support Network for Women
2016 年 1 月
YSNW
28 号
Newsletter
山口女性サポートネットワーク
Tel &Fax (0836) 37-5611
http://www.dv-net.jp
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[email protected]
寒中お見舞い申し上げます。
いつも皆様の温かいご支援をいただいておりますことを厚く御礼申し上げます。
事業の近況についてお知らせします。
今年度になってシェルターへの入所者は少なく、シェルターの利用日数は大体150日ぐらいです。
シェルターを利用しないで別居に向かう人も増えています。そうなると、別居に向かうまでの相談が
何度もあります。当然、電話だけで済むわけではなく、何度も面接をし、不動産屋、保証人の確保に
も力を貸します。エネルギーはシェルターに入所してもらう場合と同じくらい必要となります。ただ、
この場合家族などの強力な支援者がいる場合には、その後の回復が早く、子どものサポートなどもし
てもらい、様々な相談に乗ってもらえるので生活再建は軌道にのりやすいです。半面、家族が遠くに
いるなどで家族からの支援がない場合は孤軍奮闘となります。
それに加えて、シェルター退所後の人の相談が非常に増えています。精神的に不安
定になった、子どものことで困っている、生活費に困っている、離婚調停や裁判など
で困っている、新住所での不安などです。電話だけでは済まないことが多く、面接を
したり、同行したりして当事者が落ち着ける状態になるまで付きあっています。場合によっては、相
談者と相談員との信頼関係を作るのが厳しい人もおられますが、時間と丁寧な対応で少しずつ信頼関
係を築くようにしています。何年か時間がたてば、様々なことが解決し落ち着いた生活を営まれてい
くようになります。
入所時に所持金がなくシェルター代が払えない人も、退所後に生活が安定するとシェルター代を少
しずつ分割で支払ってもらっています。ほとんどの方が、厳しい生活の中からシェルター代を払って
下さっています。シェルター代が不要になると退所後の生活がどんなに楽になるだろうと思いますが、
今の段階ではシェルターに十分な助成制度もないため有料とせざるを得ないことが残念です。
このように相談からシェルター入所、退所後の支援を通してみて、生活保護などの制度を利用して
いますが、一人家庭の場合年収100∼200万円の生活です。母子家庭では、特に公務員や専門職
として安定した収入が得られない場合には生活の厳しさに直面せざるを得ません。
全国に散らばる離婚後の家庭を出張の時に訪ねてみました。父親から怒鳴られて育ったこどもが、
父親から離れても学校で大声を出す教師のもとでフラッシュバックが起き、登校できないということ
もありました。唯一の助けは、理解のあるカウンセラーに出会え、月に2回ぐらい母子でカウンセリ
ングを受けているということでした。また、ある家庭では、父親と同じような感情をそのまま受け継
ぎ、年下の兄弟に暴力をふるってしまう子どもがいたのですが、周りの協力でなんとか暴力を振るわ
ないように努力をしている姿もありました。このようにDV家庭で育った子どもは、子ども自身が随
分苦しんでいました。子どもへのケアが暴力の連鎖をくい止める最大の方策だと思いますし、子ども
への支援の必要性を痛感しています。
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弁護士
鈴木
朋絵
結婚していないカップルの間でDV被害が起きて、別の弁護士の相談を受けたけれども対
応してもらえなかった、と相談がまわってくることがときどきあります。
相談を受けた弁護士からすると、夫婦間DVであれば「離婚事件として依頼を受ける」こ
とがイメージできるようですが、デートDVでは離婚慰謝料よりも慰謝料額が低くなるため、
「弁護士にできることはあまりない」と考えてしまう方がおられるようです。
「弁護士を依頼
しても費用対効果が悪いですよ」などと被害者に回答して、相談のみで終わってしまってい
たケースもありました。
被害回復に必要なことは、手続を行うことによって、いったん落ち込んでしまった自尊心
の回復、そして、被害によって学業や職業を失わないことです。被害内容からして慰謝料金
額が低くなる場合であっても、弁護士をたてて請求をすることで、加害者に筋を通さなけれ
ばならない場合もあります。なによりデートDV被害対策は慰謝料請求だけではありません。
警察への被害届提出や保護命令(同居していた場合)又は接近禁止仮処分、同じ学校や職場
に通うカップルであれば学校又は職場における配慮要請、医師や臨床心理士・NPOとの連
携など、様々考えられ、ソーシャルワークと同様の視点での支援が必要となります。証拠の
確保、交渉と各種手続の事務遂行。弁護士が取り組むべき作業はいくらでもあります。
弁護士費用については、条件をみたす必要はありますが、犯罪被害者に対する弁護士会に
よる支援制度や法テラスの民事法律扶助制度を活用することもできます。
被害者を日常生活に戻すための支援が弁護士業務においても求められています。弁護士も
日々工夫して取り組まなければならないですし、ご相談する方・支援する方も弁護士に何を
望むか、アイディアを出しながら、支援をする弁護士を見つけていただきたいです。
10月17日は徳佐へのりんご狩りの日でした。自助グループが毎年実施している行事です。マイクロ
バスを無料で借りることができ、運転手はスタッフのご伴侶さんにお願いしました。今年は2歳から70
歳代までの男女15名の参加がありました。マイクロバスに乗り約1時間30分で到着しました。りんご
のもぎ方の説明を受けた後、太陽をいっぱい受けた甘くておいしそうなりんごを見つけては、皮ごと丸か
じりしました。捥いだばかりのりんごを服で拭いてほおばると、シャキッと果汁が飛び、硬くて甘酸っぱ
くて、澄んだ空気と太陽が心を洗い流してくれます。昼食は、野外炊飯の炊き込みご飯と天ぷら・おでん
など、自然を満喫しながら全員でお腹いっぱいいただきました。その後、オーナーからダッチオーブンに
よる“りんごのコンポート”の実演があり、お土産にいただきました。また、A さんと B さんが、トイレ
や水場をピカピカに掃除され見違えるほど綺麗になりオーナーも感激されました。近くを通るSLを見た
り、自然の中のたぬきをみたり自然に触れながらのスローな旅でした。
12月23日、フードバンク山口の紹介で宇部市の K さんご夫妻からみかんをもぎに来
てほしいとのことで、午後みかん狩りを予定していました。しかし、当日は朝から雨模様
で急遽午前中にスタッフ2人で畑にかけつけ、摘果作業に向かいました。みかんの木は1
本でしたが、たわわに実っていました。すべて摘果してほしいというご夫妻の要望で、雨が降り出す前に
と急ぎ、40分で1本丸ごと全部摘果しました。50kgの収穫となりました。さらに、さつま芋(鳴門
金時)1畝、20kgもいただきました。来年のためにみかんの木の剪定もしながらの慌ただしい時間で
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したが、収穫量の多さに驚き、貴重な体験に感謝しました。来年は子どもたちと一緒に芋掘りやみかん狩
りが楽しめそうです。みかんは味を見て購入された木ということで、酸味と甘みのバランスのいいたいへ
ん美味なみかんでした。
この日、ちょうどフードバンクからクリスマス用のお菓子が届きましたので、午後からはお菓子やみか
ん・さつま芋などでクリスマスプレゼント6家族11 人分を作り、自助グループのメンバーやシェルター
退所者の方々に宅配しました。ちょっとお邪魔させていただき、近況などをきかせてもらういい機会にな
りました。クリスマスプレゼントを持って行った皆さんにとても喜んでいただきました。
10月からシェルターのスタッフが二人増えました。M さんと K さんです。今、D
V研修をしながらシェルターや自助グループのお手伝いをしてもらっています。即戦力
としての彼女らの活躍が期待できます。新しいメンバーが増えることで、新しい発想や
アイディアなどもいただき、心新たにしているところです。
ご入金、ありがとうございました。
つじ歯科クリニック
辻
龍雄、
(株)ヨシイ・デザインワークス
加登田恵子、鈴木朋絵、辻
静間清人、山下歯科医院
平成 27 年 6 月∼28 年1月(敬称略・順不同)
吉井純起、はら皮膚科 原
真登、国際ソロプチミスト東下関、安藤消化器内科
山下公明、てらい内科クリニック
医療法人社団うのしま内科クリニック
寺井佳子、中村
曜子、吉山悦郎、石津
衛
安藤啓次郎、高野和良、平岡秀子、岡村鈴江、
雅、赤崎良子、加来洋一、三浦俊郎、後藤加代子、
浦山澄夫、中光弘治、吉原久美子、常春寺、林 佳子、徳海愛子、田中隆子、利重ユキコ、
松田洋子、羽地達次、山本歯科医院 山本文宣、尾中浩文、鉄谷千代子、神谷加津恵、医療法人香山会きわらクリニック耳鼻咽喉
科
緒方洋一、耳鼻咽喉科ののはなクリニック
藤野産婦人科医院
兼定啓子、松村通世、原田雅博、にっさん歯科医院
藤野俊夫、肥塚栄一郎、岡崎幸紀、中澤
哲明、河谷浩子馬場康彰、原谷和子、上野泰代、辻
木明美、中村淳子、平野歯科医院
多原康成
淳、佐田英明、小野弘子、本村和久、海野俊明、田中美智恵、稲光
博明、本田眞弓、医療法人社団かねはら小児科
金原洋治、鈴木文子、佐々
平野健一郎、畑尾光子、倉橋昌司、清水歯科医院 清水稔弘、金川昭啓、田村敏子、藤岡睦子、
高橋稔子、倉重淑子、喜多村美津子、光谷親子、中原篤子、國本満子、大海美恵子、南園節子、河辺真理子、原田文子、杉山和子、
桑原奈緒子、松本美和子、酒井妙子、佐伯昌子、医療法人なかたまり歯科
中玉利
国際ソロプチミスト防府、辻
東村石万、国際ソロプチミスト宇部、小柴久子
勇登、西野雅博、黒石デンタルクリニック
剛、なかの眼科クリニック
中野朋子
物品提供ありがとうございました。お蔭で、たくさん当事者に提供できました。
加登田恵子(紅茶・菓子)
、鈴木朋絵(米・タオル・電子レンジ・ガスレンジ、掃除機)
、フードバンク山口(ジャンボリーの食品
642KG)
・クリスマスの菓子)
、国際ソロプチミスト東下関(米 30KG・衣類・コーヒー、電球)
、フードバンク下関:田之上悟(米
120KG)、木村和子(姿見・こたつ・電子レンジ・ソファー他)
、末広理恵(:電気釜・鍋・食器)
、三木正子(テレビ)
、西法寺
斎
藤純理(菓子 5KG)、小池真理(皿・商品スタンプ)
、小林和子(みかん 50KG・サツマイモ 5KG)、小柴久子(ソファー・ワゴン・
キッチンテーブル・事務用収納棚・籐椅子)
、
賛助会員のみなさまへ
私どもの活動にいつもご理解と温かいご支援を賜り、誠にありがとうございます。
被害女性のためのシェルター活動や研修講座、被害女性の自立に向けての様々な事業を試行しておりま
す。しかし、私たち NPO 活動の基本は、ご理解いただくみなさま方の意思と篤志に支えられております。
どうか本年も、多くのみなさまのご賛助ご支援を賜りますようお願いいたします。
振込用紙を同封いたしました。既にお振込み下さり、重複しましたらご容赦下さい。
会員:年会費 5 千円、賛助会員:(個人年会費 1 口 3 千円、団体 年会費 1 口 1 万円)
郵便振替口座:01370-2-68031
口座名:山口女性サポートネットワーク
郵貯銀行 店番 139 一三九店(イチサンキュウ店)当座 0068031
ヤマグチジョセイサポートネットワーク
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山口県に「フードバンク」が設立されています。ご協力を!
辻 龍 雄
Wikipedia の「フードバンク Food Bank」を要約すると、「食べられるのに廃棄される食品
を寄付してもらい食糧に困っている人に渡す民間の社会福祉活動を、食品ロスの削減活動と
連携させた活動」と解釈していいだろう。1960 年代に米国アリゾナ州フェニックスで、
「ま
だ食べられる食品」がスーパーマーケットで大量に廃棄されることを、あるシングルマザー
に指摘されたことが活動開始のきっかけらしい。
その後、
「企業からの規格外食品(食べられるのに包装不良などで廃棄される食品)」を寄
付してもらう活動に加えて、農家から「収穫し残した作物」の寄付を受ける活動も開始され、
それは「セカンドハーベスト Second Harvest(二回目の収穫)と呼ぶようだ。
農林水産省のフードバンクについてのホームページをみると、日本には 40 の団体があり、
その内の 28 団体は法人格を有している。取り扱う食品の量について記載のある 33 団体で年
間平均 153.2 トン(3∼2,057 トン)。2000 年に東京で最初の団体が設立され、その後の設立
時期をみると 2003 年(1 団体)、2007 年(2 団体)、2008 年(9 団体)、2009 年(4 団体)
、
2010 年(3 団体)、2011 年(7 団体)、2012 年(6 団体)、2013 年(6 団体)が設立されてい
る。2007 年頃から各地に設立の動きが始まったようにみえる。
「フードバンク山口」は 2014
年 4 月設立で 2015 年実績約 2 トン。
食品を取り扱うことから法律のしばりもきつい。Wikipedia によると米国では連邦法で「善
意で寄付した食品が元で万一トラブルが発生した場合でも、故意や重過失がない限り寄付し
た側は法的責任が問われない」旨定められているという。一方、日本では、「食品の提供に
際しては、食品衛生法、JAS 法、景品表示法、廃棄物処理法、消費者安全法などさまざまな
法律に対応する必要がある」と農林水産省フードバンクの企業向けのページに明記されてい
る。この状況では企業は及び腰になるだろう。
フードバンクの活動は、食品ロス削減活動であるとともに、生活困窮者への生活支援の一
つである。私たちの団体は寄付して頂いた冷蔵庫、洗濯機、電子レンジなどの家電、家具、
食器、寝具、衣類などを、DV 被害者の生活自立支援物資として提供してきた。これまでも
フードバンク山口から食糧の支援を受けているが、連携できれば、自立を目指している DV
被害者への食糧支援を充実できるだろう。
「フードバンク山口」のホームページは http://fbyamaguchi.main.jp/。食品のご寄付(常温
で長期保存のできる未開封の米、乾麺、調味料、食用油、缶詰などの食品)、運営資金のご
寄付、賛助会員になるなどのご協力ご支援を宜しくお願い致します。
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