音響振動系の放射伝達特性推定法に関する研究

SURE: Shizuoka University REpository
http://ir.lib.shizuoka.ac.jp/
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音響振動系の放射伝達特性推定法に関する研究
小泉, 宣夫
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1992-06-02
http://doi.org/10.11501/3090538
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音響振動系の放射伝達特性推定法に関する研究
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小泉
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宣夫
目次
第1章 序論
1
1.1 研究の目的
1
1.2 研究の概要
4
第2章 音響放射エネルギの推定
7
2.1 はじめに
7
2.2 任意形状の振動体の音響放射特性
10
2.2.1緒言
10
2.2.2 表面音圧の数値解法
11
2.2.3 放射係数と音圧分布の推定
16
2.2.4 球音源
20
2.2.5 曲げ振動する円断面はり
28
2.2.6考察
32
2.2.7 まとめ
33
2.3 衝突体の音響放射特性
34
2.3.1緒言
34
2.3.2衝突と剛体放射
35
2.3.3 半正弦波形過渡運動による音響放射
37
2.3.4衝突音の推定
41
2.3.5球の衝突音の測定
43
2。3.6 測定結果
45
2。3.7 自由振動との比較
48
2.3.8 まとめ
50
2。4 広帯域加振を受ける多自由度系の音響放射特性
51
2.4.1緒言
51
2.4.2 周期的な衝突加振の周波数特性
51
2.4.3 損失係数と放射係数
55
2.4.4 直i接波の影響
59
2.4.5実験モデル
62
2.4.6入力パワーの推定
63
2.4.7振動エネルギの推定
67
2.4.8放射パワーの推定
71
2.4.9 まとめ
75
2.5 まとめ
76
第3章 音響伝達特性の同定
78
3.1 はじめに
78
3.2 音響伝達特性の離散時間モデル
83
3.2.1緒言
83
3.2.2 FIRモデル
84
3.2.3 極/零点モデル
85
3.2.4次数の推定
88
3.2.5極/零点モデルの同定と制御性能
9ユ
3.2.6 まとめ
97
3.3 伝達関数の適応同定
98
3.3.1緒言
98
3.32 同定と制御
98
3.3.3適応同定アルゴリズム
100
3.3.4 複数音響経路の適応同定系の構成
103
3.3.5 適応同定系のハードウェア設計
110
3.3.6 まとめ
112
3.4 まとめ
114
第4章 結論
115
4.ユ 本研究のまとめ
115
4.2 本研究の展望と課題
117
謝辞
120
参考文献
121
本研究に関する発表論文
124
第ユ章 序論
ユ.ユ 研究の目的
従来機絨騒音といえば工場のような特殊な環境下での問題であったが,端末機
器類がオフィスに浸透し,さらに家庭にまで様々な機器類が普及するに至って,
我々の身近な音響環境への関心も高まり,騒音の低減化への要求は一層厳しくな
ってきている・しかし,機器設計における系統的な騒音低減化の方法はまだ確立
されておらず,ほとんど試行錯誤的に行なわれているのが現状である.そこで系
統的な低騒音化設計の遂行を可能とする基本技術を確立する必要がある.
一般に,機械騒音の発生源は加振源,伝達要素,固体音要素に分けられる.プ
リンタを例に上げれば,加振源はモータ,打字機構,伝達要素はアクチュエータ,
支持部品,固体音要素はベースプレート,カバー等から成る.低騒音化対策を加
振源から順に辿ると,一つ一つの音源を抑える音源対策,振動を他の要素に伝え
ないようにする振動伝達遮断,そして音を封じる策としての遮音がとられ,最後
の手段として能動制御が適用があげられる.以上の流れをFig.1.1に示す.
P・i,ter:m°t°『 aCt・at・r
base plate
impact mechanism supPorting parts
cover plate
transmission
structu re−borne
element
sound element
sound
radiation
Fig.1.1 Noise reduction strategies along sound transmission path.
1
低騒音化設計に於ける音源対策と振動伝達遮断については,設計時の機械的パ
ラメータから音の放射特性や振動系問の音響伝達特性を推定することが必要であ
る・中でも,系の応答をエネルギで表現するエネルギ伝達モデルが有効であると
考えられる・振動エネルギの音源から放射に到る伝達経路を同定することができ
れば・音源対策や振動遮断の方策が決定できる.エネルギ伝達モデルの特徴は,
系の機械的パラメータから予めモデルパラメータを推定できる点である.
低騒音化設計の中で,3番目の遮音対策も重要であるが,それだけに頼ると,
発熱や質量・容積の増加を招くので,低騒音化を考慮した機構設計を行ない,そ
れで防げない部分を付加音源により音を抑制する能動制御で解決するのが望まし
いと考えられる.
能動制御系の設計に関しては,機械系の発生する音に関するさらに詳細な情報
を必要とする・制御用音響信号は波形情報をもとに生成されるので,位相情報を
持つ波形伝達モデルを用いる必要がある.しかしながら,波形伝達モデルにおい
て・機械的パラメータからモデルパラメータを直接得ることは極めて難しく,制
御系の最適構造を設計時に決定することはできない.
したがって,能動制御を含む低騒音化技術では,エネルギ伝達モデルによって,
機械的性質からあらかじめ系の特性を予測し,それに基づいて信号検出,発生の
位置や信号処理帯域等の系の構造を決定した上で,波形伝達モデルによる離散時
間信号処理系を構築するという手順をとることになる.この手順をFig.1.2に示す.
すなわち,低騒音化の方法論としては,エネルギ伝達モデルによる音響放射特
性の推定と,波形伝達モデルによる制御用音響信号の生成という2段階が必要で
あるということである・もちろん,現実で問題を複雑,困難にしているのは,騒
音を発生する機械振動系に多く見られる特徴,すなわち,加振源が衝突振動で,
かつ固体音要素が多自由度系である点である.放射エネルギの推定もこれに対応
するものでなければならないし,また,波形伝達モデルの離散時間モデルもなる
べく機械系の構造に近いものを選んで安定性や適応性を有利にする必要がある.
本研究の目的は,機械振動系において系統的かつ効果的な騒音制御を実現する
ための基本技術として,エネルギ伝達モデルに基づいた任意加振形態による多自
2
Pt
餐Ac。ustics theory
vibrati◎n source
energy transmission model
estimation of radiated energy
(mean SqUare valUeS)
謹
design of slgnal processing systems婁
(locations of signal detection and 器
generation, bandwidth)
signal source
waveform trans耐ssion model
generatiOn of COntrOl Signal
(discrete−time syslems>
器 .
: slgnal processlng the◎ry
Figj.2 Reiation betweenthe energytransmissiion modei andthe waveform
transmission model.
由度音響振動系の放射特性の予測・推定法ならびに,信号処理系を構成する場合
の波形伝達モデルの,物理系に対応し,かつ変動に対する適応化に適した同定法
を確立することである.
3
ユ。2 研究の概要
本論文の構成と概要を以下に述べる.第2章「音響放射エネルギの推定」では
エネルギ伝達モデルを用いた音響放射特性の推定法について述べる、はじめに第
ユ節では,広帯域の振動成分に起因する機械類の騒音の解析には,それを機構要
素に分解し,それぞれの要素に関して加振入力から音響放射に至るエネルギ伝達
のモデルを用い,エネルギの平衡関係から放射エネルギを推定する方法が有効で
あることを示す・そこで,広帯域成分を有する加振力を受ける多自由度振動系の
応答を周波数帯域毎の時間的かつ空間(位置)的な2乗平均値で表現することで,
音響放射特性を損失係数や放射損失係数を用いて推定する手順を導く.
第2節「任意形状の振動体の音響放射特性」では,任意の形状および振動形態
に対して,エネルギ伝達モデルにおける音響放射の周波数特性のパラメータであ
る放射効率と放射損失係数を得る方法として,それらの数値計算法を導く.呼吸
振動と往復振動の2種類の球音源と,機構要素の例として曲げ振動する円断面は
りを取り上げ,本数値解法の有効性を検証している.
第3節「衝突体の音響放射特性」では,機械振動系特有の加振形態として一般
的な衝突振動による音響放射を取り上げ,接触時の急激な運動変化に起因する剛
体放射音の過渡音場を解析する.特に,定常振動の解析との理論的統一をはかる
ため,放射係数を用いた放射エネルギの推定法を導く.剛体放射音の代表例とし
て,球の衝突の実験を行ない,本手法の有効性を検証している.
第4節「広帯域加振を受ける多自由度系の音響放射特性」では,以上のまとめ
として・周期的な衝突加振を受ける平板を実際的な機構モデルとして取り上げ,
放射特性の推定を行なう.まず,推定に用いられる駆動点インピーダンス,損失
係数および放射係数の選定について検討し,これらの係数を用いて加振入力か
ら求めた放射パワーレベルの周波数特性の推定値と測定値とを比較することによ
り,エネルギ伝達モデルに基づく放射特性推定法の有効性を検証している.
以上,第2章では,音響放射特性の予測法の基礎として,エネルギ伝達モデル
4
の機構要素固有の入力への対処,振動分布形態,形状の任意性への拡張によって,
本方法論が広範囲な機械振動系の条件に対し適用できることが示される.
次に,第3章「音響伝達特性の同定」では,ディジタル信号処理系における音
場の波形伝達モデルの同定法の構成について述べる.はじめに第1節では,能動
騒音制御系において局所制御原理に基づく場合,ディジタル信号処理による制御
器を構成するためには,音場の波形伝達モデルを効果的に適応同定する系を構成
することが重要であることを示す.
第2節「音響伝達特性の離散時間モデル」では,能動騒音制御系の主要構成要
素である制御器の内部構造として,音響経路の伝達関数のモデル構造を取り上げ,
離散時間系の表現である極/零点モデルとFIR(有限長インパルスレスポンス)
モデルに関し,それらを構成するためのモデル次数について比較考察する.周波
数帯域内の極の数はモード密度と,またFIRモデルの次数は系の損失係数とそ
れぞれ対応することを示し,系のモード密度が低く周波数帯域が狭い場合には,
極/零点モデルの方がFIRモデルに較べて次数を大きく削減できることを明ら
かにする.対象となる系として,小規模の音響空間を取り上げ,各モデルを用い
た能動騒音制御系の制御性能を求め,本手法を検証している.
第3節「伝達関数の適応同定」では,制御器の外部構造として,音場の変化に
伴う伝達関数の変動に追従できる適応同定系の構造について考察する.従来は単
一経路の同定に構造が限定されていたのに対し,複数の伝達関数が必要な制御問
題においても有効に機能する構成法を提案する.すなわち,既知の騒音源から各
検出点に至る音響伝達関数を適宜模擬音響経路フィルタ係数として呼び出す構成
により,従来法よりも優れた騒音除去が実現できることを示す.また,汎用DS
Pを用いたFIRフィルタに基づく信号処理回路を構築し,本手法の有効性を検
証している.
以上第3章では,能動騒音制御系設計の基礎として,離散時間系の伝達関数モ
デルの物理系との対応と,適応同定の多チャンネル系への拡張という波形伝達モ
デルの内部構造と外部構造の両面からの考察によって,局所制御を効果的に実現
するための方法論を提示する.
5
最後に,第4章「結論」では,機械振動系において放射される音響エネルギの
推定と,放射後の伝達関数の同定という放射前,放射後の両面から音響の放射伝
達問題を考察することにより,低騒音化設計ならびに能動騒音制御を実現するた
めの基本技術を確立したことを結論として述べる。
6
第2章 音響放射エネルギの推定
2。ユ はじめに
振動体の物理的性質に基づく音響放射特性の推定手段としては,振動方程式の
解法が研究され,有限要素法などの数値解法が目覚ましい発展をとげている.こ
れらはいずれも共振点の挙動の定式化に基づくものである.機械振動系の騒音を
扱う場合は共振点を広い周波数帯域にわたり多数把握しなければならず,数値解
法を駆使しても一つ一つの共振特性の積み重ねでは的確な解を得るのは難しい.
一つ一つの共振特性の正確な構造は部品の製造過程でも変化があるので,それら
を設計時の予測法として用いることは容易ではない.しかし対象周波数をいくつ
かの帯域に分割し,その中に含まれる共振点の数とその統計的な性質を用いて平
均エネルギで系の挙動を表すことにすれば,偏差に左右されないロバストな放射
特性の記述を得ることができる.
そこで,機械類をいくつかの機構要素に分割し,一つの多自由度振動系からな
る機構要素のエネルギの流出入に着目し,広帯域の加振源が固有振動を誘発する
場合の放射特性をエネルギの平衡関係式から消散されるエネルギ量として推定す
る方法を考えることにする.
定常振動する多自由度振動体に関するエネルギ流出量,すなわちパワーの平衡
関係は
llin == llrad+lldiss
(2.1.1)
で表される.ここで瓦・は振動体に供給されるパワー(入力パワー),1砺は音響
放射パワー,』嘘厨ま音響放射以外による消散パワーを表す。振動体の応答を時間
及び空間(振動面前体)に関する平均振動エネルギEという一つの値で代表させ
7
ると,各パワニはE及び各損失係数で式(2.L2)のように表される.
砺瓢ωn7totE,刀泌魏ωηrα4E,1姦∬= oηintE
(2.1.2)
損失係数は単位周期当たりの損失エネルギと保存エネルギとの比で,77t・tは全損
失係数,η・edは放射損失係数を表す.ηintは内部損失係数であり,エネルギ伝達モ
デルでは伝達経路に考慮されないすべての損失を含める(ηint = nt・t” ny・ad).ま
た・・inlま加振入力の時間的2乗平均値o薇び騒点インピーダンスの振動麺上の
平均値〈Z>によって式(2.1.3)のように表せる.
(2.1.3)
以上の式(2.1.1),(2.1.2),(2.1.3)から罵ωの推定式,
娠繍幅一 カ辱篶讐
(2、1.4)
が導かれ,放射パワーの推定手順は以下のようになる.
1)(12>と〈Z>から入力パワ_昂。を求める.
2)Uinとηt°tにより振動エネルギEを求める.
3)Eとη’edにより放射パワー瓦edを求める.
Fig.2.1.1に推定手順を示す.
帯域は広すぎれば周波数による変化を把握できず,逆に狭すぎれば共振モード
の不在,不足によって統計的取り扱いが成立しない.騒音を問題にする場合広く
用いられるのはオクターブバンドあるいは1/3オクターブバンドであり,周波数特
性を明確にするためには1/3オクターブバンドを採用する.等比形であるから,低
域では帯域幅が狭く,共振モードが不在の場合もあるので注意を要する.
8
mean square
??モ奄狽≠狽奄盾獅
°「ce〈
P2>
mput power @ Iz1η
ne rgy in multiple−
adiated
egree−of−freedom
ound powe
ystems だ
<z;>
ηint
rMng point
otai loss faCtor
mpedance
ig.2.1.ri
l7 rad
ηrad
radiation loss
t。t fact・r
internal loss factor
bw diagram◎f estimation.
以上示したような,加振から音響放射へのエネルギの流れをたどる系のモデル
エネルギ伝達モデルと呼ぶ.さらに多自由度振動系を複数含んだ連結モデルを
み立てると・かなり複雑な構造物に対してもマクロ的な振動応答の解析が可能
なる・この手法はSEA(Statistical Energy Analysis)法として船舶や航空機などの
型構造物の解析に活用されてきている(Lyon,1975).これらの応用では,定常加
を受ける平板等の限定された構造モデルについて,損失係数などのパラメータ
データベース化されている.しかし,小型の機構要素の解析では,形状や加振
態を限定できないことが多いので,パラメータの計算法がまず必要である.し
がって,機器の設計における放射エネルギの予測法としてエネルギ伝達モデル
活用するためには,まず任意の形状,振動形態に対する放射係数の計算法を確
する必要がある.さらに,機構要素の加振源の典型的特徴である衝撃入力に対
る扱い方の検討が必要である.
このような観点から,第2節ではまず任意形状多自由度振動体の音響放射特性
数値計算法を導き,第3節において衝突時の過渡的な音響放射のエネルギ解析
行なう.これらの考察に基づき,第4節では機構要素のモデルとして周期的な
突振動を受ける平板を取り上げ,放射エネルギの推定を行ない,本手法の有効
を検証することにする.
2、2 任意形状の振動体の音響放射特性
2.2.1 緒言
エネルギ伝達モデルによる放射特性のパラメータは放射損失係数であり,任意
の加振形態,形状についての放射特性を推定するためにはその数値計算法を定式
化しておく必要がある.また,特定の場の評価のために,場の音圧の推定法につ
いても合わせて検討しておきたい。
任意形状体の放射特性を扱うためには,音場の普遍的な表現形式であるヘルム
ホルツ積分方程式を適用して,基準化した,あるいは与えられた振動分布に対し
て表面音圧を決定しなければならない.その数値解法としては,振動表面を要素
に分割し,節点上の音圧についての連立方程式に変換する方法が一般的である
(Schenck 1968, Englom and Nelson 1975, Koopman and Nelson 1982).そこでこれら
の表面音圧の計算法を適用し,放射係数(放射損失係数あるいは放射効率)の計
算法を導く.次に,場の音圧を求める場合,周波数が高くなると表面音圧の計算
誤差と場での積分誤差が加わり精度は低下する.一方,振動体表面の放射形態が
平面波で近似できる非常に高い周波数では,表面音圧の計算を回避することがで
きるが,従来は適用範囲が明らかでなかった.そこで,数値解析を適用して放射
係数を低周波数から求めていけば,任意の形状と振動形態に対して平面波近似の
成立する下限周波数を決定することができる.したがって,表面音圧を数値解析
により求める範囲と平面波近似で与える範囲をこの下限周波数で分割すれば,実
用的な場の音圧の推定方法を構成することができる.
本節は,周波数特性を表す放射係数として放射効率と放射損失係数の計算法を
導き,かつ放射効率を指標とした有効な場の音圧分布の推定法を提案するもので,
基本形状についての計算結果を示す。
計算は2種類の球音源について行ない,放射効率と場の音圧分布を理論解と比
較する.また,機構要素の基本として曲げ振動する円断面はりをとりあげ,放射
10
係数の数値解を無限長の仮定による理論解と比較検討する.
2.2.2 表面音圧の数値解法
調和振動する任意形状物体の放射音場はヘルムホルツの積分形式で表される.
それは・波動方程式にガウスの積分定理を適用し,境界条件を内挿することによ
って得られ,次式で与えられる(Junger and Feit,1g72).
塒無驚+P9(R−R・)w(R・)}dS(R・)
(2.2.1)
畷似R6繋+戯)嘱)} 』)
(2.2.2)
・獅繋+P9(Ri−R・)w(R・)}dS(R・)
(2.2.3)
ここで,pは音圧, wは振動加速度,η0は外向単位法線ベクトルを表し, R。, Re。
は振動体表面S上,RはSの外側の場, R、はSの内部における位置ベクトルである.
9は9(d) =一 exp(−ikdi/4πdで表されるグリーン関数である.ただしkli波定数の必であ
る・式(2・2・1)は任意の場の音圧を表面上の振動分布と音圧分布とによって表す積
分形式である.いま振動分布が与えられるものとすれば,未知変数は表面音圧分
布である.式(2.2.2),(2.2.3)は式(2.2.1)における場の点Rを各々表面上,振動体内
部に移した形式で,表面音圧に関する積分方程式を形成している.従って式
(2・2・2),(2・2.3)を解くことにより表面音圧を求め,式(2.2.1)に代入して積分を実
行すれば場の音圧が求まることになる.
式(2.2.2)は表面ヘルムホルツ積分方程式と呼ばれ,境界上での定式化であるた
11
め離散化が容易である.ただし,ある特性波定数については解が一意ではないの
で,Schenck(1968)によって示されたように,式(2.2.3)の内部ヘルムホルッ積分方
程式と連立して,離散化した未知数の数より多い連立1次方程式を解く方法を用
いる・特性波定数以外では内点を用いる必要はないが,一般化した定式化を示す
ことにする.
i(j,2)
i(」,3)
’fiFx…j radiation
element
(1∫・・,M)
Fig.2.2.1 Configuration of element and area coordinates.
Fig.2.2。1に示すように,振動体表面を接点iによって構成される3角形の要素ノ
に分割すると,接点ゴにおける表面音圧に関して式(2.2.2)を離散化した次式が得ら
れる.
∫=1,...,N
(2.2.4)
ここでPiはi接点ゴ(総数N)の音圧, P1, wノは要素1(総数切上の音圧と振動加速度
Sノ腰勲麺乃はノの単位灘ベクNLx, pは大気徽λは音滋厳す.
θ1はグリーン関数,
Gl一λexp(瑠)
t2π 4
1 (2.25)
で,d{は撚腰菊上の点との雛を表す.また,捌体内部に点翻,...2
N’を追加すると,式(2.2.3)を離散化した次式が得られる.
・=
zノ舞圃)悶
i=N+1, ..、Nt (2.2.6)
Sijに関する積分は面積座標に変換すると容易であるが,接点ゴが要菊の頂点である
場合・その点は特異点になる.そこで要素ブを,iを含まない場合(i:i¢ i)と含
む場合(ノ:ici)にわけて,前者に1埴髄楓儲には極座標を用いて数値積
分を行なう.
要素fを構成するi接点を塩m)(m・1,2,3)で表し,式(2.2.4),(2.2.6)の右辺積分
項に対し面積座標(ξ、,ξiξ3)による数値積分(Huebner,1975)を行なうと,積分項
は次のように書きかえられる.
L
=剛Σw1(ρ1σ’1!+ρ弼Gl!)
ノ:i(カ
伝1
(2.2.7)
ここで1は要素jkの積分点, Lは積分点の総数四は重み係数で,各変数は積分点
の座標(ξ,i,ξノ,ξ,i)と,積分点と接点の距離41を用いると次式で表される.
ヨ ヨ
房一ΣP肋)ξil,弼=Σ砂肋)ξ孟
(2.2.8)
m=1 加雄1
G{1去ex撃)・G・レ駆1
(2.2.9)
掻点fが要素の頂点塩m)と一致する場合は,その接点から頂点番号mlを付け直し,
Fig.2.2.2に示すような極座標系(rθ)を設ける。式(2.2.4)右辺を極座標変換する
と,
i(.3.,3e)
i
−i(」,1・)’
i(j,2t)
Fig.2.2.2 Configuration of potar coo rdinates.
4のべ外ルは面内にあるので第2項が残り,次の関係を得る.
/蝪Gで+ρ鵬
蹴髪∬路幽dθ 1:燭
(2.2.10)
ここでβ,琳θ,rに関する積分の上限である.更にrについて積分し,θについて数
値積分を行なうと,次の計算式が導かれる.
κ瑠鰯θ一1亀鴫鰭似)
(2.2.11)
14
ここで1’はθに関する積分点(総数Lt),Wi’はその重み係数, C。7,はrについての積
分結果を含む複素数の係数である.
式(2・2・7),(2・2.10),(2.2.1ユ)を式(2.2.4),(2.2.6)に代入すると,表面音圧に関す
る方程式は次のような形になる.
加」蕩}略嘱+聯銑蕩}繰一
f謬1,_,N
(2.2.12)
f=N≠1,_,Nt
(2.2.13)
M L
O=Σ剛ΣW!(P∫G(i+ρ弼G{1)
ノ累1 1 ・1
ここで式(2・2・8)を用いて,PノとPiの関係を
拷=Σζ〃Pご
旗1
(2.2.14)
ξナ」Fξ孟 ;ご=∫(ノ,栩)
=0 :iisi(グ,m)
(2.2.15)
で表し,式(2.2.12),(2.2.13)に代入してPiを左辺に移すと,次のN個の連立1次
方程式を導くことができる.
A診雛b
(2.2.16)
ここでP=〔Pi,.。.,PN]T, AはN’×Nの係数行列, bは加速度分布を含むN吹の係数べ
クトルで,次式で表される.
ゐ ルゴ
正A]in=z−2 w,Σ剛G’11彰。1ゴ=n
i・ 1 ノ{切}
15
ム ド
講Σw!Σ剛G・{1傷。1:i≠n
何 ノ{’の} f寓1,_,1v’,刀畿1,_,N
(2.2.17)
ρ ル嚇罐禽紡禽c 似)〉鳶1詔
M L
謝ρΣ岡ΣWz弼Glz ∫=N+1,...,Nl
ノ識1 1= 1
(2.2.18)
表面ヘルムホルツ方程式の特性波定数以外の計算では内点をとる必要はない.こ
の場合・N』NであるからAの逆マトリクスを計算すれば表面音圧を求めることが
できる・一般化したアルゴリズムとしては常に過剰な連立1次方程式を解く形に
しておきこともでき,表面音圧は最小2乗解として次式から計算される.
p:(A*A)−IA*b
(2.2.19)
ただし*は共役転置を表す.
式(2.2.2)は第2種Fredholm型積分方程式に属し(Schenck 1968),後の計算に用い
る基本形状についての特性波定数は級数展開により求まる.球音源ではn次球ベ
ッセル関数による」.(k’a♪=Oを満たす値である.呼吸振動ではn=O,往復振動では
n=1より・それぞれの最小値(≠0)はk ’a=n,45である.また,十分長い円断面
はりではn次ベッセル関数による」.(k’a)=Oより求まり,曲げ振動(n. 1)での最小値
はk’aE14となる.
2.2.3 放射係数と音圧分布の推定
放射効率は放射パワーを同じ面積で同じ2乗平均振動速度を有する平面波のパ
ワーで基準化した放射係数で,次式で定義される.
4ed
σfrad :
ρcs〈ル2>
(2.2.20)
ここで・sは全放射面穣〈w2>は法線方向振動巌の全麺での2乗平均値で,
離散化すると次の関係を得る.
価2
(2.2.21)
また,パワーの離散化した計算式は次式で表される.
辱卵w》陰1略R棚w!
(2.2.22)
調和振動による基準化した速度分布溜について表面音圧を求めていけば,式
(2.2.20)∼(2.2.22)より放射効率を計算することができ,周波数特性が得られる.
従って,ある振動条件での放射パワーは(物を使って式(2.2.20)から推定できる.
例えば,入力が広帯域性であれば,帯域を分割して各々の中心周波数での,ある
いは平均値としての(Fedを用いれば,まず帯域別のパワーが求まり,それらの和
をとれば全体の放射パワーが推定できる.
放射損失係数η’edは振動エネルギーの音響放射への交換率を表し(Cremer, Heckl
and Ungar,1973),次の定義式で与えられる.
η泌=
R・E一ダ講〉
(2.2.23)
ここで甜振動エネルギー,ρ刷は振動体の密度,vvrk体税である.また,暢〉は
速度の質点運動方向成分の2乗平均値で,
儲畷w鷹2 躇ノ書W1(wl)m2 (2’2’24)
より計算する・放射効率が振動分布から放射量あるいはそのスペクトルを予測す
る放射係数であるのに対し,放射損失係数はエネルギー転換率であるから,振動
体の駆動源の入力レベルから予測する場合に用いる.
次に,任意の場の音圧は式(2.2.1)から計算することができる.ゴのかわりに自由
音場の点をアで表すと,式(2.2.1)を離散化した計算式は前節と同様の数値積分によ
り,次の形に整理される.
M L
ρ,=Σ剛Σw1(pfσ・11+酬Gl1)
ノ鷹1 伝1 (2.2.25)
G壕響1)・噛・1, (2・2・26)
ただしdl,は場の点とノ止の積分点1との距離である.
さて,表面音圧の計算誤差は音波長が離散点間の距離に近づくほど大きくなる.
これはグリーン関数の指数項の影響によるものである.従って高周波数で場の音
圧を求める場合,表面音圧の計算誤差に式(2.2.25)の積分誤差が加わり,精度は低
下する.このため高い周波数では分割数を増やすことが考えられるが,要素モデ
ルの細分化は方程式のたて直しとなるから便利な方法とはいえない.そこで,表
面音圧の数値計算を避け,式(2.2.25)の積分点だけ増やして精度を上げる方法を考
える.
高周波極限として音波長が放射面の曲率半径に比べて短く,同位相の振動領域
の次元より小さい場合,表面で平面波的な放射状態となる.すなわち,音響イン
ピーダンスをρcとして与えることができ,表面音圧はρcWの形で表される.従っ
て,式(2.2.1)は
塒イ醗畿)+ 9(R−R・)}dS(R・)
(2.2、27)
となる・さて,この式の有効な周波数範囲の指標としては放射効率が最適である.
式(2.2.20)から明らかなように,放射効率が1であれば,振動体表面は2乗平均的
18
な意味で平面:波を構成しており,式(2.2.27)の表現が許容できることになる.
この高周波近似を含んだ総合的な音場予測法は,結局次のように構成される.
まず必要な周波数にわたって,低い周波数から対応する基準化した振動モードを
与えて表面音圧を求め,放射効率,放射損失係数を計算していく.放射効率が1
に収束したら,そこを折点周波数に定め,それより高域の放射効率は1とする.
パワースベクトルあるいは全放射パワーは放射係数から計算する.場の音圧分布
は振動分布の絶対値を与えて計算する.折点周波数以下では式(2.2.16)によって表
面音圧を求め,式(2.2.25)に代入して得られる.また,折点周波数以上では式
(2・2・27)を用いて,離散点誤差を減らすべく積分点を増やして計算する.以上の推
定手法を図示すると,Fig。2.2.3のようになる.
RADIATION FACTOR E TIMATION
AB OLUTEしEVEしESTIMATION
normalized frequency
frequency, structural
mode shape
element
model
response data
normalized su rface
pressure
radiation efficiency,
radiation loss factor
highfrequency
surface
pressure
approximation,
increased
integration points
powersρectrum
totalρower
Fig.2.2.3 Flow diag ram of estimation.
なお,場の音圧の近似表現法としては他に点音源列近似がある.低周波数極限と
して音波長が振動体の次元に比べて十分大きい場合,表面音圧は加速度に比例し
19
ts’unger and Feit, 1972),振動体の次元を平均半留で表すと,ρ(Ro)諜餅となる.式
(2.2.1)に代入すると次式が得られる.
吋一畿+9一㈹ (2.2.28)
ここでkPR“Rd<<1,遠点の条摩1臨Rd<<1を仮定すれば右辺第・項は簸でき,
振動分布のみに依存する次式が成立する.
畷砂(R・) 9(R−R・)dS(R・) (2.2.29)
この式は点音源の配列を連続的に表現したものと等価であり,有効性については
数値例で比較検討する.
2.2.4 球音源
解析解と比較できる最も基本的な音源として球をとりあげ,呼吸振動(0次の
球音源)と往復振動(1次の球音源)の2種類の振動形態について検討する.
呼吸振動として,一様な法線方向振動速度Waを有する半径aの球表面での音響
インピーダンスの理論解は
z。一」㍗一ρc(初)2+ik°
Wa 1+(ka)2 (2.2.30)
で与えられ,実部をρCで割ると放射効率
(ka)2
σrT zzd=
1+(ko)2 (2.2.31)
が得られる.往復振動は機械的振動の基本となるもので,無次元化した場の音圧
Pr
の理論解は
20
ρ綱= 月イ)c・sθ
(2.2.32)
で与えられる(早坂,吉川,1974).ただし,恥は運動軸方向の振動速度,γ認
r/aである.放射効率の理論解は次式で表される。
(ka)4
σあαf瓢
4+(舷)4
(2.2.33)
数値解のモデルはi接点数26,要素数48の多面体で,Fig.2.2.4にその形を示す.表
面音圧導出のための数値積分には面積座標による積分として5次,極座標による
積分としてシンプソンの7点公式を用いている.
Fig.2.2.4 Poiyhedric model of spherical source.
まず,呼吸振動について表面音圧を計算した.速度で基準化し音響インピーダ
ンスで表した,周上の45度ごとのi接点上の数値解と,式(2.2.30)による理論解との
比較をFig.2.2.5に示す.周波数を無次元したkaで表し,低い値から順に示してい
る.通常内点は用いずN』N』26として計算を行なった.ka<<1では虚部の値が大
きく,音圧と速度とは逆位相であるが,1<<kaでは実部が支配的になり,平面波
の値である上限値pc EI 4×ユ02に収束する. Fig、 2.25に示したka:2.8の場合を除く
と,内点を用いない数値解と理論解はよく対応している.ka:2.8は表面方程式の
特性波定数k』π/aに近いため,内点として一か所,原点を追加してN』27で計算し
たところ,誤差は減少した.
21
0
e
Pa/Wa
=呈跳闘}Ana・ytica・
2
讐呈鮎nary}Numeri・a・(N屡一26)
含呈蹴…y轄1Σ二㌔.盛h
(N’鋸27)
0
0
1)ka
一3
3.5xlO
0
200
400
Pa/るa
ロ
Pa/Wa
200
1
0
90
0
一1
4)ka
2)ka:3.5x10
2。8
Q
40
400
Pa〈Wa
Pa/Wa
20
200
3)ka
90
0
0
5)ka
1.4
5.6
Fig.2.2.5 Acoustic impedance at grid points inbre athing mode.
22
同様に往復振動について表面音圧を計算した結果をFig.2.2.6に示す.図は運動
の
方向の速度w1で基準化して複素数表示した.2.22で述べたように特性波定数の最
小値はk∈4.5/aであるので,この近くでは内点を付加した計算と比較した.図で
明らかなように,ka:4.2では内点付加によって誤差が収束している。
卿
0
ご=至畠羅in y}顛・・y・i・a・
磐堅鋤n y}N ・ri・a・(N・篇26)
●圃Pの■噂煽脚降
1
@、
11
塞呈鋤nary}賠鑑・,5.盤h
、
、
、
(N°鷲27)
、
’
、
一90
PaW1
εc◎
一3
1) ka 3.5x10
o
o
90
0
」幽ρ●幽噛隔、
1
!
1
、
、
ノ
舳隔
A
\
、
、、
、
、
一90
夢
Pa WI
書◎o
一1
2) ka 3.5x10
o
o
Co
90
の
oa/w1
屡 0
か
90
S> o
8
o
4)ka 2.8
o
、、
1
’
\
試
、
’
.e。 A 9。
一90
90
■
Pa v1
1か
8
o
かo
o
3)ka L 4
5)ka 4.2
o
Fig.2.2.6 Surface pressure at grid points inescillating mode.
23
これらの表面音圧の値を用いて計算した放射効率の周波数特性をFig.22.7に示
す.計算値は理論解とよく一致しており,周波数特性を十分推定している.内点
を付加することによって特性波定数付近の解が収束することは,この計算からも
明らかである.放射効率の曲線はka>>1でユに収束している.
↑。
1△
4.5
rad
−1
10
Ana1V亡ical
Nurnerical
Nurnerical with
lnterエor poエnt
Osci:Llatinp, mode:
Analytical
△・Nuπ1ΩricaI
ム: Nuπ1eごica工, with
ユ0−6
ka,
Fig.2.2.7 Radiation efficiency for spherical source.
24
場の音圧分布の計算結果は,表面音圧を求めた周の延長上にある㍗伽25での
値を示した・まずFig. 2.2.8に示した呼吸振動の場合を見ると, ka<<1では理論解
と数値解と数値解の加速度成分項(式(2.2.29))の3者は一致しており,kaが大き
くなるにつれて加速度成分項の値は前2者から離れていく.数値解は理論解とよ
く対応しているが,更にkaが大きくなると,誤差を生じ指向性が見られるように
なる.これは場の積分における離散化誤差で,わずかな分割の非体称性が指向性
をもたらすことを示している.さて,Fig。2.2.7の放射効率の計算により2<kaでは
高周波近似が成立するから,表面音圧をρcwで与え,積分点を増やして計算した
結果をka:2.8,5.6についてFig.2.2.8に示した.従来の48要素x 7の積分点数に対し,
高周波近似では224x7を用いることにより,計算精度は大きく向上している.
つぎに,往復振動による場の音圧分布をFig.2.2.9に示す.推定値の対応は呼吸
振動の場合と同様であり,ka<3では表面音圧の数値解を用いた計算値, ka=5.6で
は積分点を増やした高周波近似による計算値が理論解とよく一致している.呼吸
振動の場合と異なるのは,数値解の加速度成分項(式(2.2.29))が低周波数におい
ても収束しない点である.
25
0
闘Analytic .
1
O Numeτical, E(1.(2.225)
−4
x10
㊥ Numericaユ, by approximation and increased
lPr/Pc鳶aI
ロ サ の
1ntegratlon pomts(224x7), E q.(2.2.27).
90△ Acceleration term of numerical, Eq.(2.2.29),
O
1)ka
一3
3.5x10
0
0
.0
ユ
ー2
x10
.0
iPr!ρc鬼1
lPr/pcaba 1
90
0
2)ka
90
一1
3.5xlO
4) ka : 2.8
0
.04
0
。0
.02
.O
ipノρ・dial
lPr/ρc鳶a
0
90
3)ka
Fig.2。2.8
90
1.4
5)ka
5.6
Field pressure distribution of spherical source inbre at hing mode,
r/a・=25.
26
0
一・
X0
りo
lp./ρ?w、1§
か
oH
i)ka,3.5xlO−3ム
t
塾
0
0
一90
0
90
曾
lPノρ・叩
2)ka
Ho
o
8
審
ω
り
0
一90
き
4)ka:2.8
ド
曜
3.5x工0劇1
・IDr!P・Wl l
N
ひ
0
90
o
3>ka:1.4
く) o
N が
lPr/ρ・Wii
O
5)ka
o
』 』
5.6
i£/ρ・Wllb
醐Anaユyロc
ONumerica1, Eq.(2.2.25)
愈ume姻, by apPr・ximati・n・and・in(瓢ed p。ints(224x7), Eq.(2.2.27).
△Acceleration term of numerica1, Eq.(2.2.29).
Fig・2・2・9 Field pressure distribution of sphe ri cal source in osciUating mOde,
r/a=25.
27
2・2・5’曲げ振動する円断面はり
つぎに・曲げ振動する円断面はりについて計算する.有限長のはりについては
噺解が得られないので漁賑理翻との放射騰の比轍行なった.Fig.
2・2・10に示すようなx方向に曲げ振動するz軸上の無限長円断面はりの音場は,円
柱座縣を用いて噺的に表現することカ・・できる(Baily and Fahy,1972).
うZ
Fig.2.2.10 Cylindrical beam in flexu ral vibration.
ρm(うろφト
(2.2.34)
ここで・騨速度振幅Hiは・麹次ハンケル関数k.は曲げ麟のz軸方向の波
定数aは断面半径である・単位長さ当たりの響放射パワーは次式のように表
される.
ωρλ加嘱
ll.、Ut =
2π2蝕f(ka)P
ただしτ2峯た鴫である.一騨位長さ当たりの翻エネルギーは
(2.2.35)
石一ρ例加2λ壷傷
(2.2.36)
であるから,放射損失係数η’edは次式のように求まる.
η,ed ・ a⊥ 1
ρm(細)2蝕、’(厳)12
(2.2.37)
また,放射効率は次式で表される。
a,ed=L’ka.ny、rad
ρ
(2.2.38)
勉は
th ・k・(1一暑1/2
(2.2.39)
より求められる.ここでk。は臨界波定数で,ヤング率をE。とすると
Fig.2.2.1†
Finite element model of cylindrical beam.
29
k・a・・c(4ρh,IE・)1%ある.式(2.2.37),(2.2.38)によって求めた勉ny・adの値はFig.
22・12,2・2・13に理論曲線として示した.左ノはアルミ,軟鋼を例にとり0.13として
ある・無限長はりにおいては,krkcでのエネルギー放射はない. k・kc,すなわち
曲げ振動の軸方向の波長と音波長とが一致する周波数から放射が始まり,
ha =1(Ska)で放射損失係数は最大になる.
(Hz for a:4!㎜)
]一
σrad
10−1
10−2
ユO−3
ユo−4
工O−5
一6
10
−3
−1
−2
ユ0
ユ0
1
10
10
ka
Fig.2.2.12 Radiation efficiency for cylindrical beam undergoing flexural
vbration.
30
数値解には円断面を8角形で構成した接点数82,要素数160のモデルを用いた.
Fig・2・2・11にその構成を示す.面積座標による積分には3次の公式を用いた.モ
デルの長さと半径の比を25とし,単純支持の0次から3次のモードについて計算
した・最低次の特性波定数はk’aE4に近く,それより低い周波数を対象にしたので,
すべてについて内点を用いずN』1恥82とした.放射効率と放射損失係数の計算値
をそれぞれ,Fig.2.2.12,2.2.13に示す.
(Hz for a:4mm)
100 1k iOk
io−3
1
NU職erical SOユutiorL:
η rad
Y篇1!ar25
xρm/ρ
mode:
10一ユ
lO囎2
Analytical SOluti◎n、
for infinite baτ
lO−3
lO−4
lO−8
lO−5
1e−3
Fig.2.2.13
lOPt2
10−1
工 ka
Radiation loss factor for cylindrical beam undergoing flexural
vibration.
31
放射効率の数値解はk。aくkaで無限長理論解に近づき,ユに収束している.これ
に対し,k。a以下では理論解のように0にはならず,なだらかに減少していく.こ
の領域では端部の影響が含まれるからである。更に高次モードの放射係数を求め
るためにはモデルの軸方向の分割の細分化が必要である.ただし,実際には対応
する共振周波数は高くなり,1<kaに含まれて無限長理論解で近似できる範囲にな
るから,実用上は低次の解析に使える分割で十分である.
2.2.6 考察
放射係数の推定において,周波数が高くなると積分誤差が増えるが,平面波的
な放射状態に収束することを確かめれば,それ以上の周波数についての計算は不
要である.球音源とはりの計算例では放射効率が1に収束する周波数まで精度を
得ており,要素モデルの分割数は適当であると言える.球音源,円断面はりの放
射効率の曲線はいずれも単純な形をしている.一般に閉じた構造体では似たよう
な傾向にあり,低周波数から求めていく方法で折点周波数,すなわち高周波近似
の下限周波数を定めることができる.Fig.2.2.7,2.2.12によれば,この周波数は
ka=2から3にある(aは球の半径あるいは円断面半径).この折点周波数以上では
表面音圧をρCWで与えた高周波近似を用いて場の音圧の計算を行なうことができ
る.この場合積分点を増やして計算精度を上げる必要があるが,連立1次方程式
を解くわけではないので要素モデルの変更や計算時間の飛躍的増大などの問題は
ない.
特性波定数における特異性は,内点を付加した方法により回避できることを確
認したが・任意形状体では特性波定数を求めること自体が数値問題である.解が
異常であると判断して内点を追加するか,はじめから内点を含ませて最小2乗法
を全周波数に適用するかのいずれかになるが,内点の数や位置の選び方は精度に
影響するので今後検討を要する課題である。
音場の近似計算法には高周波近似と,点音源列近似の2種類が波長の極限とし
てある・式(2・2・25)の表面音圧をρcWで与える高周波近似は放射効率の折点周波数
以キで適用できることを確認した・これに対し,往復振動球音源の計算結果が示
すように・表面音圧項を無視した式(2.2.29)で表される点音源列近似は,低周波に
おいても閉じた構造体の近似表現には不適当な場合があることに留意すべきであ
る.
2.2。7 まとめ
調和振動する任意形状機構要素の放射効率と放射損失係数の数値計算法を導い
た・定式化はヘルムホルツの積分形式に基づいており,特性波定数においては,
内点を用いた最小2乗法による解法で解の発散を回避した.呼吸振動と往復振動
の2種類の球音源について表面音圧と放射効率を求めた結果は理論解とよく一致
した.また,機構要素の例として曲げ振動する円断面はりを取り上げた.放射係
数の数値解は高周波数で無限長理論解に収束することを確認した.
また,場の音圧分布の有効な計算手法を構築した.これは,放射効率の折点周
波数を求めて表面音圧の数値解法を用いる上限周波数とし,それ以上の周波数で
は表面音圧を高周波近似で与える方法で,高周波数で生じる積分誤差を単に場の
計算における積分点の増加だけで改善することができる.本方法の有効性は球音
源によって確認した.
2。3 衝突体の音響放射特性
2.3。1 緒言
衝:突音は機i械騒音の主要因の一つであり,元来衝突加振を意図したものから,
機構のガタやプレによって生じるものなどその形態は様々である.音の発生はi接
触時の衝突体の停止,変形に始まり,やがて系の固有モードが誘発され,自由振
動となって減衰していく。これらの過程の解明には,厳密には系全体の過渡応答
の解析を必要とするが,大きく接触時の急激な運動変化と,後続の自由振動の二
つに分けて考えることができる。それぞれの音場への寄与度は個別の条件により
異なるが,前者による音はパルス性であるため,環境騒音として特に問題になる
部分である.このパルス性の音を解明するために,自由振動の寄与度の少ない球
と球の衝突を取り上げることにする.
西村,高橋(1962)は剛球の衝突音が剛球の重心の加速度によって説明できる
ことを示した.この剛体放射(Akay,1978)の考え方に基づいて, Koss and・Alfredson
(1978)は球と球の衝突による音圧波形を推定した.それは重心の過渡的な運動を
半正弦波として,個々の球を独立に自由音場においた場合のそれぞれの過渡波形
を求めておいて,それらを合成する方法で,実測値とは良い対応を示した.これ
らの研究によって球の衝突音のとらえ方は明確になったが,このような指向性音
源に関しては放射エネルギや周波数特性の推定が重要である.放射エネルギにつ
いてはD.G.Holmes(1976)が重・L・の運動がインパルスである場合の放射量を導出し,
これを衝突による放射量の上限値とした.つづいてA.T.Holmes, Richards and
Westcott(1977)は生成される音圧波形の立ち上がりを半正弦波で近似して,放射エ
ネルギを推定した.しかし,これらの結果は大胆な仮定に基づく推量であり,実
験的な検証もないので,その有用性は明らかでなかった.
本節では,半正弦波形の過渡運動による剛体の放射エネルギスペクトルを解析
的に求め,これを用いて2個の球の衝突による放射エネルギの推定を行なう.ま
34
ず衝突と剛体放射の考え方を示す.次に,剛球による過渡音場を周波数領域で表
現する・半正弦波形の過渡運動による放射エネルギスペクトルを運動周波数に対
応する無次元の周波数の関数として導き,このスペクトルの総和として全放射エ
ネルギを求める・この結果を用いて2個の球の衝突による放射手ネルギと音圧ス
ペクトルの推定を行なう・実験は鋼球と高分子材料の球について行ない,実際の
放射エネルギと音圧スペクトルの主周波数成分の範囲について考察する.
2.3。2 衝突と剛体放射
衝突とは2物体の動的なi接触である.衝突体を自由飛行する弾性体の球とし,
被衝突体も同じく弾性体の球とする。衝突によって双方の球は弾性変形し固有振
動を励起するが,接触時間が基本固有振動周期に比べて十分大きいとすれば,ヘ
ルツの接触理論を適用することができる(Goldsmith, 1960).それによれば,時間t
と変位,即ち2物体の変形量である両重心の接近距離ξとの関係は楕円積分で与
えられるが,次のような半正弦波による近似がよく用いられる.
ξ = e.sin(zgtd) 0≦ξ≦d
(2.3.1)
ここで,ξ.は接近距離の最大値,dはi接触時間である.
このような定式化は局部変形の理論に基づくものであるが,物体全体の運動は
局部変形を無視した剛体としての重心の過渡運動としてとらえることができる.
球の衝突音はこの観点から説明できるので,これを剛体放射と呼んでいる(Akay,
1978).
そこで,接触中の球の動きを式(2.3.1)の半正弦波形の剛体の運動で表し,速度
の推移として一定速度Uで衝突し,その後停止する場合を考えると,球の運動速
度は次式で表される.
v(t)=乙1.
:t〈O
夢{c・s傷∫)+1}:・≦綴
(2.3.2)
・=0 :d<t
0
d
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を
Fig・2・3・t Half sine transient accele rati。n representing rigid m。vement。f
sphere during impaCt.
Fig.2.3.1は剛体の運動としての考え方を,二つの材質,径の等しい球の衝突にあ
てはめた場合を示しており,i接触中に受ける力の変化をF,式(2.3.2)で表した速
度の変化をv,加速度の変化をVで表している。
36
2・3・3 半正弦波形過渡運動による音響放射
過渡運動の放射エネルギは音圧波形から直接求めることもできるが,ここでは
定常振動系で広く用いられる放射効率を用いて導出する.帯域雑音による定常振
動系では,放射効率(砺は放射されるパワーと,振動速度の2乗平均値と表面積
が等しい剛壁が放射するパワーとの比で定義されており,周波数の関数として次
式で表される.
ll(ω) (2.3.3)
arcrf=
ρcA〈v 3(ω)>s
ここでn(tu)は音響放射パワースペクトル,儒(tO))sは表面の振動速度パワ_スペク
トルの振動面全体にわたる平均値,ρは大気密度,cは音速, Aは表面積を表す.
過渡振動系についても,同様の方法で放射効率を表すことができる.パワーの
比をエネルギの比に置き換えれば次の定義式が得られる(Jeyapalan and Doak,1980).
(2.3.4)
E(ω)
ared =
ρc臨(ω)P)s
ここで,Eωは放射エネルギスペクトルで,次式で定義される.
呵P(碗ω)dS
(2.3.5)
ただし,P(φ)は球表面における音圧のフーリエ変換, yn(ω)は表面の振動速度のフ
ーリエ変換,*は共役複素数を表す.放射効率(T・adは,ある振動モードに対して決
定される周波数の関数であるから,モードが等価であれば定常振動について得ら
れた値を過渡振動に適用することができる.既知の放射効率を用いて放射エネル
ギスペクトルを求める式は,式(2.3.4)より次式のようになる.
37
E(ω):’ρcAg,ad(ω凱(ω)P)s
(2.3.6)
球の剛体運動の放射効率は,定常振動における往復振動の場合に相当するから,
(ka)4
σ泌=
4+(ha)4 (2.3.7)
で表される(式(2・2・33))・ただしkは波長定数の金・aは球の半径である・,ここで,
式(2.3.2)の半正弦波の速度波形をフーリエ変換すると,
V(t・)一一’£9・S(9t・)(雄)一詮・・(9t・)
(2.3.8)
d d
となり,表面の振動速度の振動面全体にわたる平均値は次式のようになる.
輌畷ly(t・)c・s el2dS
一古ひ2C・S2肇の噛一旗誰)2
(2.3.9)
d d
式(2.3.7),(2.3.9),を式(2.3.6)に代入すれば,放射エネルギスペクトルとして次
の結果を得る.
E(⑳如2σ鰐の4結4傷一ω量一譲
d d
(2.3。10)
ここで,過渡運動の波長定;9tkinlcdと球の半径aとの積による無次元の変数
」C}= kda= 1:tl (2.3.11)
を導入し過灘動の周灘撫次元化して表すことにする・また・鯛騰ω
38
についても同様に鰍元の表示k°で統一すると,式(2.3.1。)は次のように整理され
る.
E(φ〉.lkgtE(kO)
ω
(2.3.ユ2)
E(k°)= 9pna3σ2c・s2響4鴇4㍍㌢ポ
式(2・3・12)で表されるエネルギスペクトルをFig.2.3.2に示す. Fig.2.3.2は運動周
波数の無次元数βをいくつか選んであり,エネルギ値は(1/3)ρna 3 U 2で割って無次
元化してある・図が示すように,スペクトルのピーク点の周波数はβと共に大き
くなるが,βとピーク点のkaの値とは一i致していない.すなわち,運動の周波数
1.0
A
㌧
cn窒п@O・5
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と
G
ξ
国
O
O.1
.5
5
ユ
ka
Fig・2.3。2 Acoustic energy spectra for half sine transient acceleration of sphere.
と音響放射エネルギのスペクトルのピーク周波数は一致していない.Fig.2.3.10
に波線で示した曲線は,式(2.3.12)におけるβとピーク点のkaの値との関係を表し
ている.スペクトルのピーク周波数はβが大きいほど,すなわち過渡運動が急峻
なほど運動周波数よりも低域に移行していく.
全放射エネルギは,エネルギスペクトルの全周波数にわたる積分によって得ら
れ,次式で表される.
辱琉(ke)d(ha)
(2.3.13)
式(2.3.13)に式(2.3.12)を代入すると,次式が得られる.
Etot=
Qρフ1ur 3 u 2ε(β)
(2.3.14)
ただし,
耐(藩踊(が4〆4畑言一(沸4鰐}
+(β4−4β2−4)]
(2。3.15)
ここで,ε(角は放射エネルギを無次元化した値で,その値をFig.2.3.3に示す.図
が示すように,εはβの増大と共に1に収束する.したがってβの極限であるステ
ップ形の過渡運動の場合の放射エネルギは(ユ/3)ρna 3σ2になる.この値は球に対し
て相対速度Uを持つ球の周りの定常流のエネルギであり,ステップ形で球が停止
する場合はこのエネルギがすべて音響放射に転換,される(D.G. Holmes,1976).関
数ε(β)は実際の放射エネルギと,この上限値との比率を表している.
放射効率を用いた以上の定式化は,音圧の過渡波形を導出しなくても,運動速
度のフーリエ変換から放射エネルギを求めることができ,重畳積分を回避できる
利点がある.
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翻
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β繍器
Fig・2・3・3 Total acoustic energyfor half$ine transient acceleration of rigid
sphere.
2.3。4 衝突音の推定
前節で述べた結果を適用して,2球の衝突音の全放射エネルギと周波数特性の
推定を行なう.ここで,衝突の過渡音場は,2球のそれぞれの自由空間上での過
渡音場の線形和で表されるものと仮定する.この仮定は音圧の過渡波形の観測か
ら(Koss and Alfredson,1978),妥当なものと言える.
さて,推定の実例として,材質,径の等しい2球を取り上げ,速度びで進行す
る球が静止している一方の球に衝突する場合を考える.このとき,完全弾性衝突
であれば進行していた球は停止し,静止していた方は速度Uで始動する.したが
って,2球の過渡運動の相対変化は等価になり,放射エネルギは一つの球に関し
て式(2.3.14),(2.3.15)より得られる値の2倍として推定することができる.
また,周波数特性として,衝突時の運動方向に生成される音圧のスペクトルの
ピーク周:波数の推定を行なう.エネルギスペクトルである式(2.3.12)は音圧のスペ
クトルとは一致しない.それは2球の波動伝搬時間差によって音圧波形合成時の
位相差が関わってくるからである.衝突時の運動方向では,2球の過渡運動が同
時に始まるとすれば,中心が23離れているために2㏄の伝搬時間差が生じる.過
41
渡運動をこの時間差で合成したときの運動速度のフーリエ変換は式(2.3.8)に
1“eXP(−i2kO)をかけたものになる.この伝鍛時間差を過渡運動に含めた場合の放射
エネルギスペクトルは次式で表される.
E(舷)躍多ρ繭一c・s2響41鴇4暢一勿1β一翻Z3.16)
式(2.3.12)と比較した式(2.3.16)の値をFig.2.3.4に示す。式(2.3.16)によるピーク周
波数は式(2・3.12)のそれよりも高くなる、Fig.2・.・3.10に実線で示した曲線は,式
(2.3.16)におけるβとピーク点のkaの値との関係を表している。音圧スペクトルの
ピーク周波数の推定には式(2.3.16)を用いる。
β:
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ka
Fig. 2.3.4 Acoustic energy spectra by doubled transient motion with time delay
2a1c, compared with those by single transient motion.
42
2.3.5 球の衝突音の測定
2個の材質と径が等しい球の衝突音を観測し,全放射エネルギと音圧のスペク
トルについて推定値と比較した.Fig.2’.3.5に測定系を示す.球をそれぞれ糸で吊
るし,一方を引き離して衝突させた.静止した球には加速度検出器を取付け,被
衝突体の運動波形を検出した.マイクロホンは衝突時の球と球を結ぶ中心線上で
引き離す方の球の側に設置し,接触点から距離r(1mに設定)の点で音圧波形を
記録した.
検出した波形の一例をFig.2.3.6に示す.下側の記録波形は加速度で,接触時間
dと,その間の積分値によって衝突速度σを求めることができる.上側の記録波形
は中心線上暗圧P1で, tw寸エネルギはこの値から系全体をdip。1eとして講した.
いま理論値との比較のために,放射エネルギを一つの球についての値で表すこと
にすると,その計算式は次式で表される.
Microphone Sphere Accelerorne ter
Q.
トー−lrトー一一一・1
一YN−.一一.一一
Fig.2.3.5 Experimental setup.
43
o
@ 喚
@ ‘
2msec。
Souτ蓋d pressure
c
d Acceleration
Fig.2.3.6 Transient waveform by impact of spheres
(25.4mm dia. steel, U==O。58m/s).
E=
ここで・積分範囲Dは剛体運動の及ぶ範囲で,Fig.2.3.6に示したように,立ち上
がりから三つの山までをとった.無次元化した値εの計算式は次式のようになる.
備苓∬P勧
(2.3.18)
また・音圧のスペクトルは上記の剛体運動の及ぶ範囲の信号のみを抽出し,フー
リエ変i換により求めた.
44
2
gre ,8/9/°一
Acry],三蔓:ユ2.7mm
電 .
ユ
PolyprOPyユene,a:1.2.7mm
屡
Poユ.yprOpylene,a:9.5mm
Nyユon,a:12.7mm
Nyユ馬a二9.5mm
0
0
ユ
2 3
工mpact veXocity U (mi/s)
Fig.2.3.7 Value of parameterβas a function of impact veloclty.
2.3.6 測定結果
実験に用いた球は鋼(半径a;175mm,125mm,10mm,5mm),アクリル(a:
12.7mm,9.5mm),ポリプロピレン(同),ナイロン(同),それにテフロン(a
l12.7mm)である.これらの球による,衝突速度と,接触時間から求めたβとの
関係をFig. 2.3.7に示す. Uの変化に対し,βの変化は小さい。衝突速度3m/s以内で,
βの値は鋼球で1.1∼1.7,テフロンを除く高分子系材料で0.5∼6.9の範囲をとった.
接触理論によれば,dはσ忌に比例する関係があり(Goldsmith,1960),特に剛球に
ついてはこの傾向が確認できる.衝突速度が極めて大きくなると塑性変形を生じ,
接触過程は異なったものになる.テフロンについてはUが2m/s以内でほぼβ隷05の
一定の値を得た.テフロン球は基本振動周期が大きいのでヘルツの接触理論はあ
てはめにくく,接触過程も半正弦波よりかなり乱れた形を示した.一般の機構要
素の弾性衝突では,Uは1 Om/s以内にあるので,βは2.5以下の値をとるものと考え
られる.
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βx
Fig. 2.3.8 Estimates of total acoustic energy compared with theoreticai curve by
Eq.(2.3.15).
式(2・3・18)より求めた放射エネルギの無次元値εとβとの関係をFig.2.3.8に示す.
実験値は式(2.3.15)による推定曲線と良く対応している.特にテフロンを除く高分
子系材料についてはばらつきが小さく,推定値と良く一致した.εの値は鋼球で
0・3∼0・55・アクリル,ポリプロピレン,ナイロンの球で0.05∼O.15の範囲をとっ
た.テフロン球での値は推定値よりもかなり低いが,これは過渡運動が半正弦波
とかなり異なることによるものと考えられる.推定曲線によれば,βの上限値25
に対してεはほぼ05である.鋼球の実験値は変動が大きくεが0.5を越えるものも
あるが,これは1<β〈5の範囲に推定曲線の折点が存在し,過渡運動波形の変動が
エネルギ量に敏感に影響する領域にあるからだと考えられる.
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ka 5
Fig.2.3.9 Sample spectra of measured sound pressure in the di re ction of
impact.
測定した中心軸上の音圧波形のスペクトルをFig.2.3.9に示す.図にはアクリル,
ナイロン,鋼における見本波形のスペクトルが示されているが,対応するβの値
の増加に従ってピークも高域に移行している.これらのスペクトルのピーク値を
与える波長定数をんρ磁=α物沸とし,βとkp・akaとの関係を推定曲線とともに示し
たのがFig.2.3.10である.実験値は式(2.3.12)よりも式(2.3.16)による推定曲線と良
く対応しており,主周波数成分の同定には波形合成の位相差を考慮する必要があ
るといえる.kp・akaa実験値は1.5以下にあり誰舳線もユ<βでほぼ1.5に収束し
ている。従って機構要素の弾性衝突としてはkp・aka.,ユ.5を上限値とすることができ
る.
47
Fig.2.3.10 Normalized peak frequency of radiatbn spectra.
以上の実験結果から,本推定法は球の衝突による放射エネルギと音圧スペクト
ルの主周波数成分の予測に有効であることが示された.実際の衝突において1ま,
材料によってβの値の範囲はかなり制限される.従って,εやkpeakaを材料定数と
して与えれば,剛体放射によるエネルギを大略的に予測することができる.
2.3.7 自由振動との比較
次に・衝突時の弾性変形によって生じる自由振動による音響放射と剛体放射と
のエネルギ比率について考察する.Rayleighは球のポァソン比をv。 O.5としたと
きの球の徽による最低次の固有振動エネルギを求めており,それによれば,
E・ib ・“t>喜πρ醒・3σ3
(2.3.19)
である(Goldsmith,1960).ここでYoはヤング率である.衝突前の運動エネルギは
E,in == 2/3 mρ.a3u2であるから,エネルギの変換率λ調瓦わ/E,inを定義すると,
λ一器〉男 (2・3・2・)
となる.砿は物体の撒の伝髄度で材料固有の慨とるから渡換率λは
弾性変形の範囲内で衝突速度に比例する.このλを用いれば自由振動による音響
放射エネルギは次式のように表される.
E彪=勉石たf。・λ
(2.3.21)
ηtot
さて球の剛体放射エネルギと衝突前の運動エネルギの関係は
E撃云E燃ε
(2.3.22)
となる.例として,直径2cmの鋼球に同径の球が1m/sで衝突する場合,β=1,
9eo.2,ρ/bi7.7 x IO’5 ,式(23.20)よりλ ・ 3.8xIO6,η.A =O.01となり,これら
を代入してエネルギ比を求めると,
ρ
肇一耳…3×1。2
(2.3.23)
E彪 ηraゴ・ε
η・λ
を得る.衝突速度や球径材質に対し,βの値の変化は小さいので,この比に大
きな変動はない.じたがって,球のみでは全放射エネルギ的に見て剛体放射が支
配的であると推論することができる.これに対し,被衝突体が薄い平板などの多
自由度振動系である場合は,自由振動の影響は無視できないというよりむしろ支
配的である.これについては統計的手法により次節で考察する.
49
2.3.8’ ワとめ
半正弦波形の過渡運動による剛球の放射エネルギスペクトルを解析的に求め,
これを用いて2個の球の衝突音の推定を行なった。
音響放射エネルギスペクトルは放射効率と剛体の運動速度のフーリエ変換で表
される.定常振動系における放射効率の解を適用すれば,音圧波形の導出を回避
してスペクトルを求めることができる.全放射エネルギはこのスペクトルの総量
として求められる.半正弦波形の過渡運動による放射エネルギスペクトルの性質
を調べるために,それを運動周波数に対応する無次元の周波数β=kdaの関数で表
した.また,全放射エネルギは上限値であるステップ形速度変化による放射量
(1/3)pna3U2との比鞠β)で表した.
この解析結果を適用して,材質,径の等しい2球の衝突による放射エネルギと,
運動方向に生成される音圧スペクトルのピーク周波数の推定を行なった.実験値
は推定値と良く一致し,推定法の有効性が検証された.運動周波数,全放射エネ
ルギ及び音圧スペクトルをそれぞれ無次元化したβ,E, kp・akaの値で実験値を整理
し,実際の機構要素の弾性衝突でとられる値の範囲を検討した.材料によってβ
の鯛はかなり制限されるので,ε轡・召醜材料騰として与えれば緬突音の
大略的な予測ができることがわかった.
実際の衝撃性の機構騒音は剛体放射成分よりも,自由振動による放射成分が支
配的であることが多く,これについては次節で述べる.
2.4 広帯域加振を受ける多自由度系の音響放射
特性
2.4.1 緒言
本節では,機構要素のモデルを取り上げ,エネルギ伝達モデルに基づいた音響
放射特性の推定を行なう.機構の広帯域加振源としては,歯車,プリンタの打字,
機構の遊びなどのような繰り返し衝撃を代表例と考えることができよう.前節で
は衝突体の剛体放射音について考察したが,被衝突体が多自由度振動系であれば,
後者からの誘発された固有振動による音響放射が一般に支配的である.このよう
な機構要素のモデルとして,周期的な衝突振動を受ける平板を取り上げ,第1節
の定式化にしたがってパラメータを順次検証し,衝撃による入力特性から音響放
射パワーを求め,本推定法の有効性を検証する.
2.4。2 周期的な衝突加振の周波数特性
周期的な衝突振動源として,Fig.2.4.1に示すような周期丁の衝撃力1(t)の過渡波
形列,
1(t):1(たヒnT) (n=1,2,_)
(2.4.1)
を考えると,フーリエ級数展開は次のようになる.
1⑦一玩+Σ L。C・s(2πnf、t− en)
n=1
乙・寄L・=a+硯
(2.4.2)
ここでfsは繰り返し周波数an, b nはフーリエ級数
51
ア
/。
峠1ωc・s2rmfs(t)dt(n==・,1,2,…)
畷1(t)sin 2mf・(t)dt
(n=1,2,...)
(2.4.3)
である孫数乙πは間隔fsの線スペクトルを表す. Parseval 。定理によ塒問的2乗
平均値として,
琉(嘱号Σゐ2
(12>t。F
(2.4.4)
また帯域Afでの時間的2乗平均値として,
(i2>Af圭 2ゐ号
唾∠Sf
(2.45)
を得る.
o亙
1
婁
占,
T
Time
a> Triangular pulse
9
ε
謡
T
@ Ti:nc
q一一一 一一一伽
b) Sine pulse
Fig。2.4.1
Periodic puise waveform.
52
以上の式を用いて,Fig. 2.4.1に示すa)3角型およびb)サイン型の過渡波形列を
例にとり(12)・・tを求めると,3鯉波形列において
(12)・・綜 (2.4.6)
サイン型:波形列において
(12)t・蒜 (2.4.7)
となる・ここでAは過渡波形のピーク値である.dは過渡波形の存続時間で,衝撃
による衝突時間に相当する.このdを変えたときの1/3オクターブバンドでの無次
元化した(12>w,
◎囎箭 (2・4・8)
の計算例をFig.2.4.2に示す.
線スペクトルの値Lnは周波数と共に減少し, cYAが小さいほど,すなわち波形
が鋭いほど減少の度合いは緩やかになる.一方ユ13オクターブバンドでの⑭△fは,
ある帯域を中心にピークを持ち,d/Aが小さい程このピークは高域に存在する.
3角型とサイン型とを比較すると前者の方が高域成分は大きい.この2種類の波
形で鋭さと滑らかを代表させると,実際の〈12>Afはこの中開的な周波数特性を持つ
場合が多いと考えられる.Fig.2.4.2においてんは60Hzであるから,63Hz帯,
.125Hz帯にそれぞれ1次,2次の線スペクトルを含んでいる.高周波帯域では,
帯域幅はfsよりも十分大きく多数のスベクトルを含むので,統計的な意味で周波
数特性はfsに無関係である.
次に,有限大の平板を板上の一点で加振する場合,加振位置及び周波数帯域に
関する駆動点インピーダンスZの平均値は無限大の平板での値に等しくなる
(Cremer, Heck1 and Ungar,1973).この値は,
俸Z」=8麻≡2・3ρmCLh2 (2.4.9)
より求められ,周波数に依存せず材質と板厚によって決定される.ここでDは単
位幅当たりの平板の曲げ剛さ,ρmは材料密度,hは板厚, CLは縦波の伝搬速度で
ある.アルミニウム板における板厚の変化に対する値をFig.2.4.3に示す.
53
o.15
ゴ’
O.5ms
5
N
〈
御
−一一一〇.75n、5
0.1
−。− 1111.s.
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ユ/3・ctave band center f・eq・ency(kM
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0
0.063 0。125 0.25 0.5 ユ 2 4 8 16
1/3。ctave band cenしer frequency(kHz)
ゆ
b) Sine pulSel
Fig.2.4.2 1!30ctave band characteristics of periodic pul$e.
3・coo
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l,ooぐ1
●(1
’ih一
ロ N ら,
鱒 3006
ご.
“ ユoo0
30
0
1 2 3 4 5 10
Tliickness !L (mll))
Fig.2.4、3
DrMng point impedance of infinite aluminumρlate.
54
駆動点インピーダンスを実測し周波数特性を知る場合には次式を用いる.
G。z(D
z(か=
G。(か (2・4・10)
ここで, G・1は力と速度のク。ススペクトノレ, Gvは速度のパワニスペクトルを表
す.
2.4.3 損失係数と放射係数
平板上のユ点を力1 = Leja)tで駆動したときの平板の振動速度v躍V6μは,固有関
数展開により,
V(x)繍書[緩(1鍛ω2】煽∫一α)dU (2’4’11)
で表される・ここでqnは固鱗塩はノノレム( Cρ離ン砺は晦動数で
ある.平板の全領域に渡る2乗平均値としての振動速度(vXは系の全エネルギEを
全鷺勘調(A:板の表面積)で割ったものであるから,
(2・4・12)
となる.式(2.4.11)を代入すると加振点x、について
←謬耳[( 礪(Xs) (2.4.13tDn2−to2)2+η2(D2]An)
、さらに加振点の位置を平板全領域に渡って平均すると次式が得られる.
呵←幽龍(tWt.t。22+2t。.4 醐
次に加振力をムω箪妨一吻に成分を持つ雑音とすると,帯域内の平均値は
55
のように近似的に計算される.ω・をムωの中心周波数ωに置き換えると,
(v2>…撫η(t・)
(2.4.16)
となる.ここでn(φ)はモードの密度(tOnの個数/ω)である。以上の結果から,
平板の平均応答は,加振力,質量,損失係数帯域中心周波数,モード密度によ
って決定されることがわかる.帯域内の個々のモードは独立した等価なエネルギ
保存体として働き,個数だけに依存している.モード密度と平均インピーダンス
の関係は次のようになる.
の=π話 (2・4・17)
ninから(v 2>あるいはEを推定する場合に必要になるのは全損失係数ηt・tである
(式(2.1.2)).音の放射による損失が他の損失に比べて小さい(η・ed<<ηi.)ときは,
77totは77intで近似される.ηi・tは内部損失のほかに境界損失を含むため,与えられ
た振動系の支持条件を考慮に入れて理論的に推定することは困難であり,経験的
に定めるか実測データに基づくしかない.アルミニウム板の場合,材質自体の内
部損失係数は104のオーダであるが,全縁を支持したときのηintは1σ3から10“2のオ
ーダになることが知られている(Eichler,1965).77t・tを実測する場合には,加振を
止めたときの振動の対数減衰率DR(dB/s)を用いる.ηt・tとの関係は次式で示される.
η・・F藷
(2.4.18)
次に,放射パワーは式(2.1.4)により,放射損失係数を用いて振動エネルギEか
ら求めることができる.平板の放射効率(T・adはMaidanik(1962)によって示され,次
式から計算することができる.
56
1)臨界周波数た以上:fc・ゲ(kp<ka)
・,ad=(1一争麦
(2.4.19a)
2)臨界周波数付近:fn≡f(kn…5kn)
a,ed=(Zx)麦+(享)麦
λc λ,
(2.4.19b)
3)臨界周波数以下:ブ〈fc(ka<kp)
ミ1(の+穿2(の
¢忽=
(2.4.ユ9c)
9・(・。一
=0
妺ロ!2if<k)
垂≦D
(2.4.19d)
92(の=
(2.4.19e)
ここで1.lyは矩形板の縦横寸法,λcは臨界波長, kp, k.はそれぞれ屈曲波,音波の
波定数α嵩雁蹴鰯Ap畿鰍Px2(lx+ly)である鵬界周灘4は板の材質と厚
さによって決まり,次式から求められる.
艦肇「毒 (2・4・2°)
4以上での式(2.4.19a)は無限大の平板の場合と等しく,全表面が放射領域となり周
波数と共にa・edは1に収束する.4においては式(2.4.19b)が(「ladの最大値を与える.
次にf.以下においては,k。がkpの縦横いずれかの方向成分より大きいときにはどち
らかの縁に添って放射領域が存在し,k、がkpのどちらの方向成分よりも小さいと
きには四隅に放射領域が存在する。式(2.4.19c)において第ユ項は後者,第2項は
前者の影響を表し,式(2.4.19d)が示すようにf‘/2以下では二つの放射形態が混在す
る・kpの方向成分ちkyと共振モード・放射形態との関係はFig・2・4・4,2・45に示
57
した.
式(2.4.19)によるqedの値をFig.2.4.6に示す.3mm厚アルミニウム板の場合, f.
は式(2.4.20)より4kHzである. qedは魂以上では平板の寸法に関係なく決定され, f.
k.v
kp(△ω)
A・P(ω)
印
kx
三
−
tx
Flg.2.4.4 Wave numberla鍵ice.
〃づ〃藩譜
欄一一一nodal li1ユe
恥
/
Surface mode
\くd臨
Corner
Z
m(x{e
端幟1−一
一一L−一トー一
1!2ゐc
”t’
h’x
Fig.2.4.5 Distribution of radiation mode.
58
以下では平板の面積,周長に依存する.式(2.4.19d)を用いて得られる四隅からの
放射係数は四隅相互の音波の干渉を考慮しておらず,2/1・・ 2/ly<kaを満たす必要が
ある.実験で用いた平板では,この下限周波数は300Hz位である.この周波数以
下で推定値を得るにあたり,干渉分を補正するためには,バッフルの条件も実際
に即して考慮しなければならない.
放射損失係19(η・edと(T・adとの関係は
ρc
ηred =
ared
ωρ“,h
(2.4.21)
で与えられる.式(2.4.21)に(T・adを代入して求めたny・edの値をFig.2.4.7に示す.推
定には各帯域での平均値を必要とするが,fcを含む帯域の他は中心周波数での値
で近似することにする.
ここで示された放射係数は無限バッフル面内における単純支持平板の片側放射
の場合であるから,実際の平板の設置条件にそのまま適用するときの制度は限定
される。特にfc以下では縁あるいは四隅が放射領域であるから,周囲の形状と平
板の支持条件に左右される.支持条件の影響については次のことが知られている
(Smith,1964). fc以下では変位のない周辺支持条件のうち,固定支持の場合に(Y・ad
は最大となり,単純支持の場合の2倍となる.実在の支持条件による値はこの二
つの値の中間にあると考えられる.fc以上では全表面放射となるから,メP純支持
条件で近似して差し支えない.
2.4.4 直接波の影響
前節で示した推定方法は共振モードによる定在波のみを考慮したものである.
ところで平板に衝撃を加えると,まず直i接波が衝撃点から伝搬するので,この影
響について考察しておく. 一
加振点を中心とする半径rの円を通過する直接波のパワーは,その間の損失を
無視すると入射パワーに等しく
59
5
S{mp盗y Supported
R50×550×3mm
≠撃浮高奄獅浮
ユ
O.1
誓 ∫.
ComCr
Surface
@ Edge
@ mode
高盾р
高盾р
1).01
o.25
FrequCncy (kHz)
Fig.2.4.6
Radiation efficiency ef a[uminum plate.
轍
?O
ナ ra
@ 硝
?O一
fcナ〈。 ◎
Simply supported
R50x550㎜
ユ蹴ui
@ um
の
●
一4ユ0
■
●
一 3㎜し。
@ ・一 ユ流mt。
一5ユ0
0。063 0.25 ユ
Frequency
4 ユ6
(kHz)
Fig.2,4.7 Radiation loss factor of aluminum plate.
60
瓦敵=2πρ顧c〆v融CF. = 2Ch
(2.4.22)
で表される.ここでCEは屈曲波の群速度(エネルギの伝搬速度),Cbは屈曲波の
VD
位相速度,
は直接波の振動速度である.一方定在波による振動速度の時間的お
よび平板上の平均値〈v2>は振動エネルギEを平板の全羅で割った値である.従っ
てこれと←3>が等しくなる半径隔求めると,
炉雛窯2灘鑑3!2ザ (2’4’23)
となる.加振点近傍の直i接波が支配的な領域の半径はffに比例する.一般にある
程度の大きさを有する平板については,「Eは十分に小さい.ちなみに実験に用い
た3mm厚アルミニウム板ではrE =3・52×10顧4×ザ(m)となり,10kHzで35mmである.
次にfc以下では定在波による放射係数が落ちるので,この影響での直接波によ
る放射パワーを求める.これは無限大の平板の加振点近傍からの放射パワー刀濫
を考えればよく,低周波(f2<‘f・2)の場合,
瑠=歳12>
(2.4.24)
であたえられる(Beranek, 1971).定在波による放射パワーを刀慧で表し,式
(2.1.4),(2.4.9)を適用すると,全放射パワーは
ρ+n・ed)」曵
π認=1瑠+耳狩=(
2・3 CL 77 totρmh 2
27zρmC
(2.4.25)
となる.二つの項の比は損失係数と材質に依存する.実験で用いたアルミニウム
板を例にとると,η・edに最低値5 x IO“を与えても1辺留の方が一ケタ大きいので,
ここでの推定には直接波の影響は含めない.一般には式(2.4.25)の二つの項の比較
によって影響を考慮するかどうかを決定する.
61
2.4.5 実験モデル
平板には350mm x 550mmの長方形アルミニウム板を選んだ.厚さは3mm,2mm,
1mmのものを使用した. Fig.2.4.8に示すように,平板は厚さ5mmの鉄製のフレー
ムに帯板を介して接合してあり,フレームは20mm厚の合板から成る奥行き
400mmの木箱に固定してある.帯板は0.1mm厚,幅ユ2mmでL字型に曲げてあり,
平板及びフレームとはエポキシ系i接着剤で固定されている.この方法でなるべく
単純支持に近い構造を実現した.平板には加振器で衝撃が与えられる.加振器の
可動部にはインピーダンスヘッドを取付け,その先端に4mmネジをはめた.衝突
部分であるネジの先端部は平になっている.加振器は正弦波で駆動し,先端部が
最大変位近くで平板に接触するようにして衝撃を与えた.正弦波の周波数に応じ
て衝撃繰り返し周波数が決まり,50から70回/秒に選んだ.インピーダンスヘッ
ドの衝撃側は力変換器になっており,衝撃力波形を直接観測することができる.
また比較のため,衝突ではなく接触状態であランダムノイズ加振も試みた.この
場合は先端部を平板に押しつけて点駆動した.Fig.2.4.9に衝撃,駆動,及び振動
検出に選んだ平板上の5ケ所の位置を示す.またFig.2.4.10に測定系を示す.
350×55( irm]
a!uminum platc
Fnrco
signal
OUtl川t
Excitcr
Impedance head
Impact stud Frame
4/nun dia.
ne8clance Stecl・t・ipαlmmt・
Plate
Fig.2.4.8 Experimental model.
62
o
E
2
葡
ε
曽
⑧4
■
ユ⑳
⑫
3
55
◎
鵠
⑧
5
mm
Fig.2.4.9 Positions forexdtation and impact.
Sine
№?獅?ムator
Random noise
№?獅?ムa℃oτ
ム
1/30ctave
暫L_A
≠獅<?魔嘯?ム 欲
2ch FFT
≠獅<?凾嘯?ム
Digitaユ
高?Inorv ψ
Computer
Pユot:er
__」
Fig.2.4。10 Measuring systems.
2.4.6 入力パワーの推定
衝突体のインピーダンスヘッドにより,衝撃入力と運動速度を同時に観測した.
Fig.2.4.11に観測波形を示す.運動速度波形が示すように正弦運動め最大変位近
くで衝突させており,衝突速度は10から20cm/secである.衝撃入力の過渡波形は
3角波に近い形をしており,接触時間は05から1msec.の範囲にあった.1/3オ
クターブフィルタを通して得られる入力の周波数特性をFig.2.4.12に示す.図の
a)は接触時間dがO.5msec., b)は0.8msec.の場合であり,前者の方がピーク値は高
域に存在している.f,・ 60(Hz)響あるので低域では線スペクトルを含む63Hz,
63
125Hz帯で高い値を示している. FF r分析器を用いて得られる線スベクトルの観
測結果をFig.2.4.13に示す.
100
(N)
50’
0
a)
工孤pact
.5
(rns)
force騨avefo漁.
(N)
20
b) Impact fOTce train.
(ms)
.5
m/s)
0
(ms)
C)エr・pact。τveユ・・ity.
Fig. 2.4.“ Periodic impact waveforms.
アルミニウム板の平均駆動点インピーダンスは3mm厚の場合,式(2.4.9)より3.O
x102(k9/s)となる.この値を検証するために,加振器に先端直径15mmの平らな面
を持つインピーダンスヘッドを取付け,この表面をワックスで平板にi接合し,1/3
オクターブ帯域雑音で加振してインピーダンスを測定した.Fig.2.4.14に理論値
との比較を示す.また,ホワイトノイズを用いたFFrアナライザによる測定結果
をFig.2.4.15に示す.低域ほど共振モード数が減少し位置による値の変動が大き
64
套
曇
くなるが,平均値としてはZ・・が妥当であることが推察される.Z・Qを用いて得られ
る入力パワーの推定値は入力と同じ周波数特性を持つので,Fig.2.4.12にレベル
値を示した.
9.0
と
マ
2
ごま
90
!,。
叉
戸
£
口
づ
b
?伽■覧
磐
;4
鍛
づ
80
と
ミ
70
で
>
2
』刈
70
℃
ン
三
nJ
ヨ
一twoo・−Measured input force/input power
ε
ぢ
x
60
Estimate for triangular pulse
£
3
A
60 k
婁
0.063 0噸ユ25 0.25 0。5 1 2 4 8
16
50
1!3 0ctave hana center freqご乳ency(kl’iz)
さ
ユ
5
a) 3mm th…ck pla亡e, ゴごO.5ms
まzloo
つ
』
)
100彰
コ
−
CJ
×
90 0
累90
三i
−
ミ
_ 80
ca
80「づ
、 罐,
P
き
、讐
6
− ●
o
2 70
3
鰯P 1)feasured 董npu L r‘}roe/i貸PUt Po㌔へ・cr
X 命醐劇■齢 Estimate fゼ》r triユ蜜、窮疑塁tir >
I、Ulse
2
9
含60
囲
7(》
℃
0.063 0.125 0.25 0.5 1 k 4 8
1/3。ctaサe band centcr f・eque・cy(kHz)
60
ユ6
望
き
a
ヨ
b)2mm t圃(plate, d:0・8ms・
臼
.類
Fig.2.4.12 Frequency characteristics of input fo rce / input power.
65
≡
£
ぢ
茎
驚
ジ
ξ
二
200H箔
Frequency
套
乙
と
ヨ
手
2 ’1 6 8 ユO
Frequency (kHz) 暉
Flg.2.4.13 1叩ut spectra for periodic impact.
500
俄畷も
遠響
峨
竃
ρ
勢oo
N
z脚
50
罐:1灘…d
pos.3
゜ユ0
0.125 0.25 0.5
1/3・c;ave baiid ccnte rt frequency(kHz)
Fig.2.4.14 DrMng point impedance of 3mm thick piate.
66
ユ000
ReIz〕
(kg/s)
◎
0・ユ ユ (kHz) ユO
a) 3mrn thick piate
200
Re’fz〕
(k8/s)
0
O・1 ユ (kHz) 10
b)ユ㎜thick pユate
Fig.2.4.15 Spectra of driving point impedance.
2。4.7 振動エネルギの推定
周期的な衝突加振は広帯域のエネルギを与えるが,スペクトルは定常振動加振
と異なり離散的である。平板上の加速度ピックアップから検出した,それぞれの
振動スペクトルをFig.2.416,2.4.17に示す.ランダムノイズ加振では平板の固有
振動数のピークをとらえている.これに対し,周期的衝撃では,衝撃周波数毎の
ラインスペクトルが形成されており,広域まで続いている。全体的な周波数特性
を見ると(Fig.2.4.16,2.4.17の0−6kHz),二つは似通ったカーブを示している.
このことは,いずれも広帯域入力により平板の固有振動モードを漏らさず励起し
ている結果と見ることができる.
全損失係数ηt・tは駆動点インピーダンスの場合と同様に帯域雑音で駆動し,加
振を止めた後の対数減衰率から求めた.対数減衰率の測定例をFig.2.4.18に示す.
帯域に含まれる共振モードのそれぞれの減衰特性が異なるために,減衰の傾きが
67
0
ユ
(kde)
0 0一ユ
(kHz)
6
0.8
Fig.2.4.16 Vibration spectra by random n◎ise excitation.
0
ユ
(kHz)
6
0 0.1
(kliZ)
O.8
4。7 5 (kHz) 5●4
Fig.2.4.17 Vibration spedtra by periodic impact excitation,50Hz.
68
7紹
6お
田Bコ
59
鴫騒
3tt
セ ゆ ゆ ゆ
器 .8 監㈱。コ
Fig.2.4.18 Time decay cu rve of 3mm thick plate at 400Hz band.
O.1
=瓢’° 二鞘勲二
一 ・
?
: ゆ’
:
鱒
閏
・.
聰
@鴨
1
o ● 噛
ρ
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一 ・o 囎一・
Go◎」ρ、
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ミ}一
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3㎜軸一 偏繭 葡
゜c備蜘
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脚 曽
層
・− 潤
hic− 一 閑
, 曾
?o
0.OOl
?奄
0.25 1
ユ/30ctave band
4
ユ6
(kHz)
Fig.・2.4.19 Measured value of total loss faCtor.
一定にならない場合には上限と下限を求めた.Fig、 2A.19に測定結果を示す.値
は周波数とともにいくらか減少する傾向が見られる.3mm厚でO.01 一 O.03,1mm
厚で0.004−0.01の値の範囲にあり,予測の係数としては定数として扱うことにし
た.
69
墨
N3
,ノ
で 9
雲
、
咽
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( 7
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一60唱
名 鼠 。
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咽 『
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国
℃
田
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■
9
“
一70毬
田
の
婁
_80<
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鴫
■
0。25 ユ 4
113 ◎ctave ban d (kHz)
’0.063
16
a)3mm thick plate
(
A
il
iVs
Io
d 8
℃
)
綴
A
芝
V冷
鵡自
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一30
卜〉、
・㌔
一40属
零
・V°
)
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Vxl
脅
−50望
出
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lo 8
b
H.
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亀
1’
望5
β
ユ £
Pτedicted eneTgy/
. 〉
veユocity
−・一聯
溌
`ワeraged response
−70
response
ω
〉
<
磐4
国
0。063 0.25 ユ
4
ユ6
ユ/3 0とtave band (kHz)
b) ユ㎜ thiek plate
Fig.2.4.20 Vibrational’ energylvelocity by periodic impact excitation, SOHZ・
70
入力パワーの推定値及びη∫αから平板の平均振動エネルギEあるいは2乗平均振
動速度(v2>雛定した.この推定値と振動レベルの実測値との比轍Fig.2.4.2・に
示す。推定値としては,ηt・t,zに実測値を与えた値と,ηt・tを一定値に設定しzに
理論値Z・・を与えた値とを比較している.Zの実測値とは衝撃位置(Fig.2.4.9の点
1)での帯域雑音駆動値である.振動レベルはFig.2.4.9に示す5ケ所で加速度を
検出し,積分して得た値であり,推定値はこれらのほぼ平均の値を示している.
1mm厚と3mm厚を比較すると,前者では400Hz以上で実測平均値の変動が小さく
なり推定置に対応しているのに対し,後者では2 ]dHz近くまでバラつきが見られ
る.これは式(2.4.17)からモード密度を求めればわかるように1mm厚の方がモード
分布が密であるからである.モード密度は板厚の2乗に逆比例している.実測に
よるz,ηt・tからEを算定することは,これを振動速度以外の方法で測定している
ことを意味するが,振動レベルは測定点の選び方で平均値が左右されるから,本
手法は有効な算定手段の一つとなり得る.予測値を得るには,Z nt・tは実測によ
らず設定される必要がある.Fig.2.4.20に示した予測値は実測係数に基づく推定
値と数dB以内の差しかないので,ηt・tの設定さえ適切であれば精度ある推定がで
きる。
2.4.8 放射パワーの推定
2.4.3で示した放射損失係数を用いて,衝撃入力特性から音響放射パワーを予測
した.放射形態は音場の境界条件の影響を受ける.実験モデルにおける平板は単
純支持に近い状態とし,片面放射とするために一面は箱内に収めた.ここでは
η・diが得られる無限バッフル中の平板の片面放射という仮定にたって推定値を求
め,実測したパワーレベルと比較することにする.
放射パワーレベルの測定は小型無響室で行なった.無響室内に硬い合板の床を
置き,半無限音場とした.合板中央に実験装置を設置し,床面中央から半径1mの
半球面をなす位置で10ケ所測定点を選び,音圧レベルを測定した.測定位置を
Fig.2」421に示す.音源から1mの距離での平均音圧レベルLpが得られれば,パワ
71
Surface of
Anech◎ic
hemisphere
chamb
Obj ect
4
Fユ0
垂
甚丑eigh鉱
4
1
、
r
0.7
o.4
o.1
一 〇
@婁
屋
/‘一
1備 “9 亀
9
9
Eoτizo
Plan
8
Fig。2.4.21 Microphone posltlon$on the surtace of a semisphere forsound
P◎wer measurement
一一一
@Yベルは
Lπ凶+101・9(2π2)al)P+8 (2.4.26)
より求められる。Fig.2.4.22に測定値と推定値を示す.推定値は実測の入力周波
数特性に,ηt°t:実測に基づく一定値,Ze°及びη’edの計算値を与えて求めたもので
ある.図a)b)は衝突周波数60Hz,図c)d)は衝突周波数50Hzの結果である.
臨界周波数は3血n厚で4kHz,2mm厚で6kHz,1mm厚で12kHzとなり,放射パワ
ーはこれを含む帯域まで高いレベルを示している.推定値は200Hz以上の帯域で
求めたが,実測値とよく対応しており,本手法が聴感上重要な周波数帯域を一望
できる広帯域騒音の簡便な周波数特性予測法として有効であることが確認できる.
200Hz以下でのバラつきは共振モードを帯域内で平均的に扱うことは無理である
ことを示している。また低域ではバッフルの影響がでてくるのでη’edの計算値は
補正を必要とする.推定の精度を改善するには,設置形態による音場の境界条件
を考慮した放射係数の導出と損失係数の適切な推定が必要である.
Fig.2.4.22が示すように周期的な衝撃は広帯域騒音を発生させる.これは入射
72
パワーが中域にピークを持つような特性を示すと共に,放射係数が臨界周波数に
向けて増大するからであり,前者は過渡特性,後者は板の材質と板厚に関係する.
また,衝撃力の過渡特性が同じであるかぎり,衝突周波数の高次線スペクトルを
数多く含む中高域での統計的な放射特性に与える影響は小さい.
曾
望80
2/
b
−
270
tn
3
葦
ミ60
一Expcrimental values・
Theoret i ca l prediction
50
0.063 0.125 0.25 0.5 16
ユ/30crave band centeでfrequency(kHz)
a)3mm thick plate, impact repetiti・n・60H・
90
?80
雲
弓
9
0 70
韻
磐
」と
士60
膚、
50
O.0630. 125 0.25 0.5
1/3 0ctave band center frequency (k}・lz)
b) 2mm thick plare, impacτ repeでition:60Hz
Fig.2.4.22a),b)
Radiated$ound power level estimates by 60Hz periodic i.m pact
excitation.
73
諮
■一●噸
、
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£
《∬覧
\
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9
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measured vaユues
@ vaユues
一駒一 テsti瀧ated
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ユ/3。ctave band(kHz>
c)3mm thick plate, impact frequency:50Hz
ユヱ
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pleasuτed valuき§
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、、
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●
8
0.063 O.25 ユ
4
16
ユ/30ctave band(kHz)
d)1mm thick plate, impact frequency:50Hz
Fig、2.4.22c),d) Radiated sound power estimates by 50Hz periodic impact
excitation.
74
2.4.9 まとめ
機構要素の音響放射モデルとして周期的な衝突振動を受ける平板を取り上げ,
エネルギ伝達モデルに基づいた音響放射パワーの推定を行なった.また,推定に
用いられる駆動点インピーダンス,損失係数及び放射係数の選定について検討
した.衝撃入力の実測値から推定した放射特性は実測値とよく対応し,推定法の
有効性を確認した。また,この実験で,衝突振動によって誘発される自由振動に
よる音響放射の性質が明らかになった.
本手法は帯域内に十分な数の共振モードが存在することが条件である.実験解
析例では平板の寸法が小さいので,この仮定が満たされない低周波域では推定値
の精度は低下している.このような周波数領域では,一つ一つの共振モードに対
応した計算法を本手法と組み合わせるなどの実用的な手順を確立する必要があろ
う.
75
2.5 まとめ
広帯域成分を有する機械振動系の音響放射の周波数特性として,エネルギ伝達
モデルに基づく音響放射エネルギの推定法を導いた.まず,2.2節でモデルパラメ
ータである放射係数が任意の形状,振動モードに対して得られるように,その数
値計算法を導いた.次に,2.3節で放射係数を用いた衝突による過渡音場の放射エ
ネルギスペクトルの推定を行なった.最後に2.4節で機構要素のモデルとして周期
的な衝突振動を受ける平板の音響放射特性について考察し,本推定法の有効性を
検証した.
inputs
蓑stationaw
,・
?≠窒高盾獅奄
radiation
coefficients
ン論磁篶霧
E=コ:2.2
m、 I、
@:2.3
^^^ O^ O^ O《
@:2.4
、∼、 m、
A A A ゐ み A A の ゐ の h の A ぬ ぬ
:・:・:・:・:め:・:・1 broadband:
ゐ ハ A ゐ ゐ ゐ み
:stati。na艇β葡∼蹟・:::
A A A ♂b A A ♂b A ■㌧ 《 ♂」 A A 《 A
A A A ♂L A ♂b ♂」 義 A A ♂L 《 A A ♂b A
A A 凶㌧ A A A 剣∩L ♂㌧ 1∩b ♂b A 轟 」㌔ ¢㌧ 轟
other parameters
●㌔ A A A A A c隔 A A A A A A A A げも
d㌧ 一㌧ 」㌧ A A A ■∩b A A ♂」 A A d」 A A
A デし ら A ゐ げも げも A ゐ げも ゐ A ゐ A も びし
と璽P991コー一:::i1ア7ρaoオ:::
ゐ A ぬ ゐ の A ゐ ゐ の ロ コ コ ゐ ゐ
:statisticalこ^:^:ρlatθ^二^:
A ゐ あ ゐ A ヘ へ の げも A
ぬ A め ぬ ノし ゐ の A ゐ ゐ
:loss factors^:^
oo ●疇 噸ウ 鳴・ c曜 … r A A n A “ 剣ヤ A A
A A d」 」」 ●∩」 A ♂b A A ♂● e σ聯 “ A A A
A A A A A A A A 《 A 轟 《 ♂b A A
A A ♂b A A A 《 A A A A ♂b A 棚∼ ♂b A
A A ♂㌧ A A ♂」 ♂㌧ A A ♂b A ♂b A ♂L A
N も も N
ノ ノ ノ ノ ノ ノ ノ ノ ノ ノ ノ ノ ノ ノ ノ
A A
A ♂㌧ A A ♂b A A ♂㌧ A ♂b
verification of the
、.・、・、・、・、・、・、・、,、.・〉・、・、・、・、・、1、
こtranSlentwmρ∂α:・こ
method(2.4)
’ 1 ” ! 1 ! ’ 1 ! ” 1 ! !
、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、
! ! ’ ! ! ! ! ! ! 1 ! ! 1 ! 1
specificness of
machine elements
(2.3)
arbitrariness of
modes(2.2>
Fig.2.5.11ntegration of methods described inthis chapter.
本章で考察した結果はFig.25.1に示すような関係になっており,音響放射特性
の予測法の基礎として,機構要素固有の入力への対処(2.3節の衝突音の解明),
モード,形状の任意性への拡張(2.2節の数値解法),エネルギ伝達としての予測
法の検証(2A節)という,3つの軸にわたる考察によって,本方法論が広範囲な
76
機械振動系の条件に対し適用できることが示された.2.4節では手法の検証という
立場から,広帯域振動特性をもつ系を選びながら,なるべく解の存在する条件で
考察を行なっている.複雑形状の高次モード系についての放射係数の数値解の適
用は,現在のところ,精度の点で効率的でないために,統計的な解析解のある平
板を用いて検証を行なっている.より複雑な形状/モードの問題解決に関しては,
数値解法の技法の発展や計算処理能力の向上によって実現されていくであろう.
77
第3章 音響伝達特性の同定
3。1 はじめに
前章では加振源から音の放射に至るまでの振動エネルギの伝達に関して考察し
た.次に,放射してから特定の暴露位置や観測点に至る音の伝達に関する問題に
ついて考察する。これは特に能動制御を実現する上で重要な課題である.
放射される音を別な音源を用いて抑制する能動音場制御を実現する方法として
は,3つのアプローチが考えられる.音場の固有モードに着目する方法,境界面
で囲まれた領域を制御する方法,そして局所制御による方法である.それらの概
念をFig.3.1.1に示す.
まず,壁面の吸音能力が小さい閉空間内で音響放射がある場合,周りの音場は
定在波が支配する共振系として扱うことができる。共振系の振動は,適切な位置
に逆相の信号を加えることにより,全体を抑制することができる(Fig.3.1.1a).
したがって,適切な付加音源の設置によって空間全体のグローバルな騒音抑圧を
実現することができる.しかしこの固有モードに着目する方法では,周波数が高
くなると,空間内の共振の山谷が密集して分布するので,適切な付加音源の設置
位置を見い出すことが難しくなる.したがって,広帯域音源を対象とする場合は,
帯域内のすべての振動モードに対して抑制力を持つような,分布した付加音源の
配置を考えなければならず,実用的とはいえない.
次に,定在波の抑圧だけではなく,任意の音圧分布になるように空間を制御す
ることを考える.音場を波動方程式で記述される拡散過程とみなすと,領域の制
御は,閉曲面上の境界値による制御問題として扱うことができる.境界面上の音
圧を規定するヘルムホルツの積分方程式にしたがえば,境界条件として音圧のみ
を規定することにより領域内部の音場を制御することができる(Fig.3.1.lb).
この2番唱の方法を実現するためには,対象とする音波長よりもかなり小さな間
隔で音源を分布させる必要がある.したがって,広帯域の音場を対象とする場合
78
は,大規模なスピーカ配列が必要となり,実用的ではない.以上のように,広帯
域音場に対して空間領域の制御原理を適用することは技術的に難しい.
これに対するのが,局所制御の考え方である.局所制御による能動制御の基本
原理は,騒音を抑制したい部分にちょうど逆相となる信号を放射することにより
音を相殺することである.この場合,制御領域は一つの音圧波形で表すことがで
きるような小さな領域である.制御領域を拡大は,複数の制御領域を近接して配
置することにより実現することができる(Fig.3.1.1c).ここで,騒音源をとら
えることができれば,制御器に音源から制御領域に至る伝達特性を模擬させるこ
とにより,ちょうど逆相となる信号を放射するこζで,領域での消音が原理的に
実現できる.この方法では伝達特性さえ適切に与えられれば実現が容易であるた
め,ディジタル信号処理技術の発農と共に急速に発展し,低騒音化の重要技術と
なりつつある.そこで,この局所制御による方法を最適な騒音制御のアプローチ
としてとらえ,技術的な課題を明らかにすることにする.
[(1:c・ntr・ls・unds・u・rce
匪]:C・ntr・1 regi・n
の “ Ot ぼ の ロ の の ロ む Pt − の ヨ
:
source l
source
i
fadiation
?盾浮獅п@fidd
a)modal controI
b)boundary control
C)local control
Fig.3.1 .1 General principles of active sound control
局所制御による能動制御系の構成をFig.3.1.2に示す.ここでは音源,制御領域
79
a)C◎ntrol sound source is located in the co耐rol region.
co nt re I region
mic.t
b)Control s◎und source is located outside the control region.
Fig.3.1.2 General configuration of active sound control systems.
ともに一つの音圧波形で表すことができるような小さな領域であると仮定する.
音源信号は何らかの方法で参照できるものと仮定し,そのセンサをマイク1とす
る.マイク2は誤差信号の検出に用いられ,常に値が最小になるように制御器の
模擬経路が適応的に変化するような構造になっている.Fig.3.1.2a)は制御したい
領域に制御音源であるスピーカがある場合で,ダクトやエンクロージャではこの
ような条件が多い.この場合,制御器は音源から制御領域に至る伝達特性を模擬
し,制御器の出力の位相を反転させた信号をスピーカから放射すれば,領域での
消音が原理的に実現できる.また,スピーカは負のエネルギ放射源すなわち吸音
機構として機能させることもでき,2次放射が問題となるパワーの大きな系の制
御に向いている.つぎに,Fig.3.1.2b)は制御領域から離れたところから制御信号
を発生させる場合で,3次元音場の制御の一般的な方式である.この場合は音源
のモニタであるマイクユから制御器,スピーカを経て制御領域に至る伝達特性が,
80
音源から制御領域に至る伝達経路に一致するように制御器の模擬経路を決定し,
逆相の信号を放射させる.制御器の設計にはスピーカから制御領域問での伝達の
影響を補償するため,逆フィルタの問題が存在する.
つぎに,信号処理系の構成はFig.3.1.3のようになる.目標となるリファレンス
モデルは音源から制御領域に至る放射伝達特性に相当する.制御対象である音響
系はFig.3.1.2a)ではスピーカ系との干渉を考慮した制御領域で形成される共振系,
b)ではスピーカから制御領域に至る伝達特性に相当する.これらの図から明らか
なように,制御器は,音の経路を模擬する伝達関数あるいはその内の迂回経路分
を補償した伝達関数等の波形伝達モデルに基づくディジタルフィルタによって構
成される.
十
acousticaI
systems
adjusting
mechanism
Fig.3.1.3 副ock diagram of control systems.
以上の点から,局所制御原理に基づく能動制御系における制御器の設計は音響
伝達関数の同定問題に帰着される.したがって,まずは制御器の構造即ち伝達関
数のモデルを決定することが重要である.また,音場は常に変動するため,誤差
信号を監視しながらそれを逐次修正する適応同定系を構成する必要がある.この
適応同定系の性能は音響伝達関数のモデルの構造に大きく依存し,最適な構造を
持たせないと安定した適応性能を確保することはできない.特にモデル(フィル
タ)次数が収束性能に与える影響は大きい.
したがって,放射された音を能動的に抑圧するための信号制御系の構成法を確
81
立するためには,音響空間での伝達関数の離散時間モデルの最適構造,ならびに
その適応同定系の設計法を導くことが重要である.そこで,次節では,制御器を
構成するための伝達関数モデルについて論じ,音場の2点間の伝達関数の離散時
間系の表現である極/零点モデルとFIR(有限長インパルスレスポンス)モデ
ルのフィルタ次数について比較し,種類の選択指標を示す。次に第3節では,適
応同定の諸問題について論じ,特に伝達関数が一つではなく複数ある場合の適応
同定系の構造について考察する.
82
3.2 音響伝達特性の離散時間モデル
3。2.1 緒言
前節で述べたように,能動騒音抑圧のための制御器の設計は音響伝達関数の同
定問題に帰着される.即ち,ディジタル信号処理系においては伝達関数を模擬す
るフィルタを設計することである.Fig.3.1.2a)に示した単純な制御系のディジタ
ル信号処理系の構成はFig.3.2.1のようになる.この構成では制御器は音源から制
御領域に至る伝達関数をそのまま模擬できればよい.したがって,制御器に有限
長インパルス応答(FIR:Finite lmpulse Response)モデルを用いるのが離散時
間系の最も率直な表現である.しかし音場の伝達関数の模擬に用いる場合,その
次数は極めて大きくなる欠点を持つ.そこで,これに代わるものとして考えられ
るのが,極/零点モデル(あるいはARMA:Auto−Regressive Moving Averageモデル
と呼ばれる)である.極/零点モデルには帰還ループが含まれるので,FIRモ
デルよりも少ない次数で伝達関数を模擬できる可能性がある.離散時間モデルの
構造や次数は適応系の収束特性や実装時の実時間性を決める重要な要因であり,
次数に関して言えば小さい方が有効である.さて,極/零点モデルがFIRモデ
ルより少ない次数で表現できるかどうかについては,適切な判断法が確立されて
いないのが現状である.従来は次数を変化させてモデルシミュレーションを行な
source
acoustic transferfunction
control region
control source
(loudspeaker)
digital representation
of acoustic tran$ferfunction
controller
Fig.3.2.1 Basic idea of digital control system
83
い,収束状態を見て必要な次数を決定する方法が用いられてきた(Muron, O. and
Sikorav, J.,1986).
そこで,本節では音場の統計的性質に基づいて有効な次数を予測する方法を示
し,離散時間モデルの選択指標を求めることにする.音響空間としては小規模の
円断面管とエンクロージャを取り上げ,伝達関数測定データに基づいたモデル化
のシミュレーションを行ない,モデル選定や次数推定の有効性を検証する.
3.2.2 FIRモデル
音響伝達関数の離散系モデルに有限長インパルス応答フィルタ(以下FIRフ
ィルタという)を用いる場合,そのモデル出力は次式のような入力との畳み込み
演算で表される.
y(t) =Σ h(k)x(t−k) (3・2・1)
krO
ここで,h(t)は音場の2点問の有限長インパルス応答, Mはその次数である.この
h(t)のZ変換は,
H(z)篇Σh(k)z−k (3・2・2)
kmO
で表され,さらに,次式のような因数分解系が得られる.
M
H(z)・ cr][(1 一 CkZ−i) (3・2・3)
k=1
ただし,Cは定数, Ckは零点を表す複素数である.このように,有限長インパルス
レスポンスによる音場の伝達関数は複素平面上の零点によってのみ表現されてい
る.Fig.3.2.2にこのFIRフィルタモデルの構造を示す.
このFIRフィルタの長さは系の伝達遅延および減衰特性と関係がある.フィ
ルタの次数を決定する上で有効な係数は,系が60dB減衰するのに要する時間,残
響時間TRである.残響時間と損失係数との関係は式(2.4.18)に示した対数減衰率と
84
の関係から次式で表される。
(3.2.4)
TR一努
emlSSIon
immision
M
g(z)=Σh(k)τk
Onput
outp
@ k=0
Finite impulse response model
Fig.3.2.2 Finitdmpulse response猟ermodel.
したがって,FIRモデルの次数は残響時間にサンプリング周波数喋をかけたも
のになる.すなわち,次数は
M=Zt=TRfl,
(3。25)
At
で表される.損失係数の小さい系に対し,広い周波数範囲を対象とすると,この
モデルの次数は大きくなる.例えば,4を14kHz,残響時間を0.5秒とすると次数
は7000となる.FIRフィルタの次数が大きくなると,信号処理プロセッサの規
模は大型化することになる.
3.2.3 極/零点モデル
つぎに,音場を多自由度振動系と見なすことにすれば,その伝達関数は共振と
反共振の分布で表すことができる.
したがって連続系の伝達関数は次のような因
数分解系で表すことができる.
H(s)=(s”q1)(s−q2)°”。
(3.2.6)
(S−1ワ1)(S−P2)・磐・
85
ここで,q1,%.・は零点を, PpP2,.。は極を表す。この関数はFig.3.2.3に示すように
s一平面上の零点と極の分布として表現でき,極は左半面のノω一軸に平行な直線上
にほぼ分布する.伝達関数の統計的性質は大略的に二つのパラメータで記述する
ことができる.一つは隣iり合う極と極の間の平均的な距離であり,もう一つは極
の分布する直線とノω一軸との距離である.前者の逆数はモード密度であり,後者
は損失係数と関係がある.
冒
1ω
火
o
刀<ミ+Jω
羊
◎ ◎
@置
笈丁◎↓n
㊧
率
σ
婁
ol◎
火
*
x:poles
掾FzerOS
8
Fig.3.2.3 poIe/zero distribution on s−plane.
閉空間の音場としてダクトや管のような1次元の場合と,3次元の2つを例に
あげて以下考察する.まず,それぞれの波動方程式から必要な周波数範囲での共
振点の数を推定することができる(Lyon,1987).3次元の場合は第2章Fig.2.4.4
のような波定数格子を考えて求める.それは次式で与えられる.
四ρ=
雛一娘L
6π2c3
:1D
:3D
(3.2.7)
ここで,Lは管の長さ, Vは閉空間の容積である.単位角周波数当たりの共振点の
86
数であるモード密度は,周波数に関する微係数として,次のように求められる.
n(ω)=ユL
ガc
_ω2V
2π2c3
:1D
:3D
(3.2.8)
1次元音場ではモード密度は一定であるのに対し,3次元では周波数の2乗に比
例する.また,隣り合う極と極の間の平均的な間隔はこの逆数として次式のよう
に表される.
δω畿忽
一一 2π2c3
ω2レ
:ID
:3D
(3.2.9)
一方,極の分布する直線と実軸との距離δと残響時間との関係は
TR.,.6,.2
(3.2.10)
δ
で与えられる.
以上は極の分布に関するものであるが,零点の予測は極の場合程単純ではない
(Lyon,R. H.,1983 and 1984).1次元では場所によって変化するのは明白であるが,
統計的な観点から極と同数であると仮定する.
さて,離散時間系の極と零点を含む伝達関数は次式のような因数分解形で表す
ことができる.
H(1 一 CkZ−1)
H(z)鋸cん=l
N
rl(1 一 dkZ−1) (3.2.11)
k=1
また,次のような差分方程式で表現される.
87
(3.2.12)
N yω雛一Σ aky(t・・k)+ΣbkX(t一た)
k= 1 k=0
muitl一δergees−of−freedom/modai system
O
input
M
B・ 2 bkZ−k
k=O
N
output
A=ΣakZ−k
k躍1
pole/zero modeI
Fig。3.2.4 pole!ze ro filter model representing multトdegrees−of−freedom system.
この極/零点モデルによるディジタルフィルタはFig.3.2.4に示すような帰還ルー
プを含む形となる.フィルタにおける極と零点を,模擬したい音響伝達系の共振
点と反共振点に対応させれば物理系に忠実な無限インパルス応答によるモデルが
構成できることになる.一般的な性質として,周波数帯域が広い場合はその極部
と零点の次数は大きくなる.また,損失の大きい(残響時間の小さい)系ではモ
デルと極と零点はz一平面の原点に近くなるから,次数の縮退が起こる可能性があ
る.
3。2.4 次数の推定
極/零点モデルは物理特性を考慮した離散時間系における理想モデルである.
極/零点モデルの総次数として極と零点の個数の総和をとれば,その予測値は式
88
(3.2.7)より以下のようになる.
Nt・・瓢2Np−2釜
:翌)
=2ω3V
6π2c3
・一…一
:3D
(3.2.13)
福フFIRモデルの次数は帯域周波数fに対し,
M == 2TRf
(3.2.14)
となる・双方のモデルの次数の傾向を周波数範囲,モード数,残響時間をパラメ
ータにして表したのがFig・3・2.5である.周波数範囲,モード密度が一定の場合,
残響時間が大きくなる,即ち損失係数が小さくなると,とFIRフィルタの次数
が増えるが,極/零点フィルタの次数は一定値に収束する.また,FIRフィル
タと1次元の極/零点フィルタの次数は周波数に比例するのに対し,3次元モデ
ルは3乗に比例し増大する.FIRの次数は基本的にはモード数に依存しない.
いずれの場合も,FIRの次数が分解能を決めるので,極/零点フィルタの次数
はそれを越えることはない.
Order
Order
Order
FIR
ク
ク
多/Z3D
ク
ク /
ク !
・乍/ZID
/
/
!
/
;一一一…一一一…一・一・一・・一・一・・m・一・一一一一・一・−d
伽
fixed f, n(ω)
デ
fixed n(ω), TR
fixed f, TR
Fig.3.2.5 Tendency of necessary order fordigital filter models.
89
以上のことを理解するために,3種類の具体的な音響空間について考えてみる.
一つは1次元音場として,長さ1mの管内の空間,次に小規模の3次元音場とし
て容積v=O. 1m3の直方体の箱内の空間,そして中規模音場として容積v=100m3の室
内空間についてフィルタ次数を予想した結果をFig.3.2.6に示す.この結果,ダク
トや小さなエンクロージャでは極/零点モデルの採用がフィルタ次数の削減に有
効であることがわかる.しかし普通の室内では,そのままの適用ではフィルタ次
数の削減は余り期待できないことがわかる.ただし,バンドパス処理として特定
の周波数帯域に制御範囲を制限できるときは,極/零点モデルによる低次元化が
期待できる.
Order
10,000
1,000
FIR(TR=・O.035sec.)
pole/zero(3D,V=O.1m3)
pole/zero(1D,L=1m)
500
iK
2K 4K
Frequency(Hz)
Fig.3.2.6
Estimated order of acoustical systems.
90
3・2・5 極/零点モデルの同定と制御性能
つぎに,これらの音響空間について実際に能動制御系の構成を想定し,その制
御器に用いるための音響伝達関数の離散時間モデルを同定する.まず,直接伝達
関数の測定によってFIRフィルタ係数を求め,それをもとに極/零点モデルを
同定して,それらのフィルタ次数と同定精度および音場制御性能との関係を考察
する.
ここでは,比較的モード数の少ない音場として,小型のエンクu一ジャと円断
面管の2種類を選んだ.小型エンクu一ジャの内寸は58cmx38cm x 38cm,容積
0.1m3の木製で,箱内の適当な点から放射される音を特定の点で制御するためのフ
ィルタの設計を目標とする.スピーカとしてホーンドライバーを用い,マイクロ
ホンは適当な位置に配置してインパルス応答を測定した.また音場の損失(残響)
特性を変えるために適度にスポンジ材を用いた.一方,円断面管は透明アクリル
の内径45mm,全長1mのもので,一端から放射される音を開放端で制御するよう
な系の設計のための極/零点フィルタの同定を目標として管の両端間の伝達関数
を求めた.音源のスピーカとして同じくホーンドライバを用い,開放端にマイク
ロホンを設置してインパルス応答を測定した.Fig. 3.2.7にこれらの実験モデルを
図示する.
インパルス応答はM系列の疑似ランダム雑音を用い,直接相関関数を使って求
めた.これらは直接FIRモデルとした.極/零点モデルの同定には,雑音入力
と測定したインパルス応答とを畳み込んだ信号を未知システムの出力信号とし,
次節に示す逐深同定アルゴリズムを適用した.
Fig.32.8に小型エンクロージャのインパルス応答の測定結果と極/零点モデル
の同定結果を示す.まず上段に1.8kHzサンプリングによる測定したインパルス応
答を示す.予測式からは極/零点モデルの次数は20まで削減できることになる.
極と零点の次数がそれぞれ18+18,16+16,12+12の同定した結果のインパルス応
91
噂
measurement and
奄р?獅狽奄?奄モ≠狽奄盾
.
?盾窒氏@driver(assumed noise source)
58cmx38cmx38cm
E:・:・:
control oreglon
mlC
免A7D漢
彗qi§i㈱lte蒼 ,卜
hone
’わZA:°…il
Assumed controller setup
a)small box enciosure(3D)
measurement and
奄р?獅狽奄?奄モ≠狽奄盾
horn driver
●
iassumed noise source)
tlm,45mm diameter
microphone
@ mlcro
●
モ盾獅狽窒盾堰@ ●「eglon
AID,
ゴdigita剛ter
に1『・
D/A
Assumed controller setup
b)cylindrical pipe(I D)
Fig.3.2.7 Experimental model.
92
答をその下に順に示した.次数16+16まではほぼ原波形に近いが,12+12ではネ十
分で,予測される10+10までは削減できない。これはスピーカ等の音響変換系の
影響と考えられる.
samp:ing frequency:1.8kHz
tap Iength:128
time ie轟9重h:71 msec。
127
sample
a)Measured impulse response wavefbrm.
b)Es廿ma主ed impulse response wavefbms by pole/zero m 6dels of order:18poles and 18
zeros(above),16poles and 16 zeros(middle), and 12poles and 12 zeros(below)。
Fig.3.2.8 11mpu・lse response of small box enclosure.
93
Sampling freqロenCy:1.8kHz
tap length:128
time length:71 msec。
o
127
saniple
a)Measured impulse response waveform.
b)Est㎞ated impulse response waveform by polelzero mOdo1 of order:8 poles and 8 zero s.
Rg.3.2.9 impulse response of small box enclosure with added damping.
次に,箱の中に吸音材を入れて損失を大きく(残響を小さく)した場合の結果
をFig.3.2.9に示す.この場合はFIRフィルタのタップ長は30以下であり,極/
零点モデルについては8+8の次数でも十分な近似が得られている.したがって,
極/零点の縮退が生じているものと考えられる.
次に,円断面管の両端間伝達関数の同定結果をFig。3.2.10に示す. Fig.3.2.6に
よる推定によれば,極の次数は10以下に下げられることになる.極と零点の次数
が13+13,8+13,13+8の同定結果を順に示す.極の次数を8まで下げると応答を模
擬することはできなくなるが,零点の次数は削減しても影響がでていない.1次
元の音場では,両端間の音場の伝達関数には理論的に反共振が存在しないことか
ら,この系は理想的には零点のない全極モデルである.
以上の同定結果をまとめ,極と零点の次数の異なるモデルの精度を騒音抑圧に
適用したときの性能として表した.その結果をFig.3.2.11に示す.縦軸は正規化
したFIRフィルタと極/零点フィルタの出力誤差をデシベル表示したものであ
94
sampli貧9称equency:t8kHz
tap轟ength:128
t1me length:71 msec.
sample
127
a)Measured impU lse response waveform.
b)Estimated impulse response wavefbrms by pole々zero models of order:13 poles and 13
zeros(above),8poles and 13 zeros(middle), and 13 poles and 8 zoros(below).
’
Fig.3.2.10 1mpulse response of cylindricai pipe.
95
22
y(t)
20
18
1・1・91
ッ(dB
16
AB sam order
Afixed t 18
Bfixed t 18
14
12
100
20
4∩
order
30
y(t)Σaky(t−k)+ΣbkX(t−k)
20
1・b91
ッ(dB)
10
A,B
Afixe
Bfixe
00
10
5
to 13
to 13
15
order
Fig.3.2.11
performance eStimates of noise cancellatiOn.
t
』96
り・付加音源による音場制御を行なったときの消去性能を表している.図中,○
印には極と零点の次数を同数に横軸の数に設定した場合,△印は極の次数を最高
次のままにして・零点の次数を横軸の数に設定した場合,口印は零点の次数を最
高次にしたまま極の次数を横軸の数に設定した場合の推定誤差を表示している.
この結果から・3次元音場では,極と零点の次数を同数と仮定したモデルを設
定してもよいといえる・一方1次元音場では,観測点の位置により異なり,終端
に観測/制御点があるような場合は,零点の次数を大きく削減できることがわか
る。
3.2.6 まとめ
ディジタル信号処理系における音響経路の離散時間モデルの有効次数について
論じ,FIRモデルと極/零点モデルを比較考察した。系のモード密度が低く,
周波数帯域が狭い場合には,極/零点モデルによって大きく次数を削減できるこ
とを示した.次に,小規模の音響空間を用いた極/零点モデルのシミュレーショ
ンを行ない・1次元と3次元の音場を比較し,それぞれのモデル化の特徴を明ら
かにした.また,これらの極/零点フィルタを適用して付加音源による騒音制御
を行なう場合の消去性能を推定した.
極/零点フィルタの設計にあたっては,3次元音場では極と零点の次数は同数
と考えてもよいが,ユ次元では観測点の配置によって次数のバランスを配慮する
必要がある..ダクトや機械類のエンクロージャのような小規模の音響空間での制
御系構成には極/零点モデルが次数の削減に有効である.一方,一般の室内のよ
うな容積が大きく,かつ減衰の大きい空間ではFIRモデルの採用が適切である.
3.3 伝達関数の適応同定
3.3。1 緒言
前節では能動騒音抑圧のための制御器におけるディジタルフィルタモデルのか
たちについて論じた.このモデルは,先見的に与えられるものではなく,実際の
系において随時同定する必要がある.波形伝達モデルにおいては常に系の正確な
模擬が要求され,特に音圧などの波形の消去を目的とする場合,このことは特に
重要である.音場は温度変化や系の境界条件の変化によって常時変動している.
したがって,制御機能を正常に維持するためには,音響伝達関数の適応同定系を
構成することが不可欠である.さて,適応同定のための逐次型アルゴリズムは今
日一応の方法が確立されているが,これを用いる系構成に関しては一つの音響伝
達関数を扱う方法のみが存在する.さらに多数の音響伝達関数の複合的な適応同
定が必要な系については,新たな構造を模索する必要がある.
本節では,能動制御系の適応化のための基本検討課題として,適応同定の問題
を考察する.まず,適応同定の方法論について考察し,次に,複数の音響伝達関
数を同時に適応同定するための系の構成法を提案する.また,このためのハード
ウェアの構成についても検討を行なう.
3.3。2 同定と制御
音響伝達関数のディジタルフィルタモデルを求める同定問題において,常に同
定誤差を検出しながらモデルを逐次修正する方法を適応同定という.適応同定問
題はFig.3.3.1に示すように,適応制御系とは相対の関係にある.ただし,制御系
における平行モデルが未知の音場で,制御器の出力が直接平行モデル出力を制御
する場合は,同定系の調整モデルは制御系の制御器となり,この二つの系は等価
となる。さらに,制御点すなわちモデル出力を差し引くところが実音場であれば,
98
十
Unknown
Ac◎ustical
system
adjustable
model
駿鶴盤m、− 1騰fac°ustical
Fig・3・3・1 Duality of identification.andcontroL
1脚 蟹響 一儒一■臨嘲隅騙
jmicrophone
塵
acoustic path filter
M
H(z)=Σh(k)z−k
k=O
lspeaker
鑑
Fig.3.3.2 Adaptive identication system using FIR filter.
実音場制御問題そのものになる.
有限長インパルス応答フィルタ(以下FIRフィルタという)を用いた音場の
伝達関数の適応同定系の基本構成をFig.3。3.2に示す.音場内のある2点間の伝達
関数を求める場合,この2点にスピーカとマイクmホンを置き,入力信号x(t)と
して定常白色雑音を印加し,マイクロホンで得られる出力信号y(t)と伝達経路モ
デルの出力が等しくなるようにモデルの係数を決定するのがシステム同定問題で
99
ある.この初期同定に限らず,出力信号の誤差e(t)を常時モニ’^一しながら変動す
る伝達経路のモデルの係数を逐次修正していくのが適応同定系である.
また,極/零点フィルタモデルを用いた適応同定系をFig.3.3.3に示す・図の構
成は,フィルタの極部の入力として,モデル出力ではなく実在系の出力yを用い
ている.これは方程式誤差系と呼ばれる構成である(Ljung and S oeders troem,1983).
これに対し,自らのモデル出力を帰還する出力誤差モデルがあるが,前者の方が
安定した収束性能を確保することができるのでこれを用いることとする.
y(t)
十
e(t):error signal
駐
:
竃
:
〈y(t)櫨 螺 哺 縣 繭 一
:1 ・一一一
:
欄
黶@ 屑 麟 曙 蝉 一 一
:
N
:
`=ΣakZ−k
adaptation
:
@ k漏1
:
:
:
Ah(t)
:
M
a=Σbkτk
:
@ k思0
:
轟 _ 傭 嘱 輯 幽 “ 鱒 営 櫛 傭 備 帽 髄 一 一 刷
:
ix(t) ac。uticpathfilter
:
』■ ●聞 ●臨 劇耀 ●囎 鷹鷹 欄 一 鰯 ●臨 ■哺 伽臆 鱒 鰯■
Fig。3.3.3 Adaptive identification system using pole/zero filter.
3.3.3 適応同定アルゴリズム
適応同定のための逐次同定アルゴリズムを以下に示す.いま,一般化のために
極/零点モデルを取り上げると,差分方程式,
N y(t) =一 2 aiiy(t−k)一 2 bkX(t−k) (3・3・1)
k=1 “ k=0
100
の係数%bkを求める問題となる.ここで,次のような外乱e(t)を含む直並列型(方
程式誤差)モデルを適用することにする。
N M
y⑦=一Σαげ(t−k)一Σ鰍(t−k)+e⑦ (3・3・2)
k=1 k=1
ここで未知パラメータをベクトル,
θT・i(a・・…・aN・b・・…・bM) (3.3.3)
で表すと,2次形式規範による線形予測同定アルゴリズムは以下のようになる.
まず予測誤差を
A
E(t)xy(t)−y(t) (3.3.4)
とすると,パラメータベクトルの推定式は次のような逐次更新式(Ljung and
S㏄derstr㏄m,1983)で表すことができる.
A A
θ(t)=θ(t−1)+L(t)ε(t) (3.3.5)
A ム
A
θ(t)§(乞1(1),…,∂N(t),bl(t),…,b〃(t))T
ここで,更新ベクトルL(t)は以下の手順で求められる.
L(t) = P(r)9(t)
P(t+1)=[P(t)−P(t)確+1)S−1(T+1)qT(t+1)P(t)]/λ(t+1)
S(t+1)=qT(t+1)P(t)ψ(r+1)+λ(t+1)
v(t)
λ(t+1):
(1−v(t+1))
v(t+1)
(3.3.6)
(3.3.7)
(3.3.8)
(3.3.9)
ここで,¢は状態変数ベクトル,
g(t+1)…(−y(r),…,−y(t−1>+1),x(t),一メ(レM+1))
101
(3.3.10)
である.予測値はパラメタ推定値と状態変数の積から得られる.
A
免+1)=q(t+1)Tθ①
(3.3.11)
Fig.3.3。4にこの逐次推定の手順を示す.上式で極表現に関する部分, a,(t)を除
けばFIRモデルに関する同定式が得られる.
次に,マトリクスグωをnormΦ(t)で置き換えたものは更新方向を規範の負のグ
ラジエントと一致させることになり,最急降下法の一種になる.このアルゴリズ
ムは行列演算が回避されるので,実時間処理に適している.このFIRモデルの
ための高速処理アルゴリズムは,一般に学習同定法と呼ばれており(野田,南雲,
す(t)
u(t) y(t)
L(t)
ε(t)
A 〈
ニ(t−1)→θ(t)
Φ(t)→中(t+1)
り(t)→?(t+1)
v(t+1)
λ(t+1)
P(t)
S(t+1)
P(t)→P(t+1)
L(t+1)
Fig.3.3.4 Procedure of recursive identification.
102
1968),次のような手順で示される.すなわち,パラメータベクトルの更新式は
以下のようになる。
勧一餉)+響→ω殉)
(3.3.12)
Σ x2(t−k)・
k=o
また,系の予測値は次式より求める.
A
飾+1)=韓+1)Tθ①
(3.3。13)
ここで,パラメータベクトルと状態変数ベクトルは
A A
A
θ⑦…≡(b1(tl),…,bM(t))T
(3.3.14)
㌍(t+1)s(x(t),…,,x(t−M+1))
(3.3.15)
で表される。
3.3。4 複数音響経路の適応同定系の構成
音場制御系では,観測点や制御点が複数必要な場合が多い.このような系では
複数の伝達関数を同時に適応同定できる構成を考える必要がある.その一例とし
て,一つの音源から複数の観測点に至る音響伝達関数の同定系の設計について考
察する.それぞれの検出点での入力感度が個々に変化し,一つの合成観測信号を
得るような構成を取り上げ,複数の音響経路の伝達関数を記憶し,適宜感度の変
動に合わせて合成音響経路の模擬系を推定するための適応同定系の構成法を提案
する.また,ここでは対象とする音場は周囲の比較的大きい音響空間と考え,F
IRモデルを音響伝達関数に用いることとする.
音場制御系の構成において,騒音を抑制したい箇所が複数ある場合,除去対象
の騒音源が多数ある場合,除外したい音源の他に多数音源が存在する場合などで
は,考慮すべき音響経路は一つではない.そこでこれらの音響経路が複合する制
御系における適応同定を考える基本モデルとして,次のような信号系での騒音除
去系を取り上げることにする.Fig.3.3.5に示すように,この系は機械の動作状況
103
等を把握するために,機構の特定の動作から発生する音等の監視音源を検出し,
不要な騒音を除去して特定信号を抽出するものである.監視音源は空間上に分布
するために,複数の検出点を空間上に配列し,個々の検出点の感度を適宜変化さ
せながら信号を合成し,状況に応じて特定の信号を選択抽出するような系である
と仮定する.目的信号の騒音除去は,騒音源から検出点に至る伝達関数による模
擬経路フィルタの出力信号を,検出信号から差し引くことにより実現される.今
適応同定の問題を明らかにするために,このような信号系上の騒音搾圧を例とし
て取り上げるが,もちろんこの同定系を複合することにより,実際の音響空間を
制御する系への応用をはかることができる.
sens謎ivity(gain)
⑨
十
monitor signal
〇一::})(2
灘rreference i
・SOI」rces l
…
㊥
mechanical systems
acoustic path
model翻ter
.sensor
mOnitored
noise source
N
Fig.3.3.5 Block diag ram of an example for noise extraction.
複数の検出点がある系の設定としては特定の1点のみを活かしてスキャニング
する方法もあるが,ここでは分布する監視音源を常にモニターする場合を考える.
複数の検出点の出力を直接加算して信号を合成すると,背景雑音が加算され目的
信号のSN比の劣化が生じる.検出点の個数をN個とするとS/Nの劣化量は
101091。N(dB)となる.このような観点からは,近傍の目的音源に対応する検出点
あるいはその近傍の検出点のみ感度を上げ,その他は感度を下げるような感度切
104
換えを動的に行なうことが望ましい.今感度を上げた状態を高位,下げた状態を
低位と呼ぶことにし,低位検出点の感度を1に正規化し,高位検出点の感度をヨズ
で表すことにする,ここで,感度とは検出した音圧波形の信号の相対増幅率を表
す・また,kは同時に高位となる検出点の個数であり,その個数に応じて一定の
値に設定されるものとする.それぞれの検出点に印加される信号は無相関である
と仮定すると,背景雑音レベルが一定となるための,1点が高位の場合と鮒固が
高位の場合との感度の関係は
aゴ2+(1>−1)= kak’2+(1>−k)
あるいは
αぜ一α1 オ刷1
(3.3.1)
で表せられる.この条件を感度切り替え時の理想的な配分条件と考えることにす
る.
次に,既知の騒音源から放射され,動作中のすべての検出点に入力される騒音
成分をモニタ信号から除去するために,騒音除去系は,騒音源から個々の検出点
に至る音響経路を経て,入力の加算点に至る全体の経路に対して,模擬音響経路
フィルターを構成することになる.さて,このフィルタ係数の適応化をはかる場
合,誤差検出点は一箇所であるので適応回路は当然一つの構成となる.しかし,
従来の構成では,模擬音響経路フィルターに用いるタップ係数は,検出点感度の
切換による音響経路の変化に対してはすぐに対応できない.模擬音響経路の修正
は同定誤差に基づく適応動作だけに頼る方法では回復には時間を要する.そこで,
ここではそれぞれの検出点に応じた複数の音響経路のメモリを有し,必要に応じ
てこのメモリからの呼び出しにより全体の音響経路を合成することにより,検出
点の感度切り替えに瞬時に適応できる構成をi提案する.構成の概要をFig.3.3.6に
示す.記憶する音響経路の個数は接続された検出点の個数に等しいものとするが,
記憶される伝達関数は必ずしもユつの検出点に至る音響経路そのものとは限らな
105
sensor
rOO … :○ .…菱
牽 monitor out
o
acoustic
path
垂*Bh modei
?唐狽奄高≠狽盾
亀 亀
T 亀
sensitivity(gain)
rW派ching
sens面vity mem°ツ
igain)
羅懸
acoustic path
noise source
Fig.3.3.6 System configuration of multiple acoustic path identification.
い.この問題を次に説明する.
この構成では,低位検出点の感度が完全に0の場合は,任意の感度設定に対し
て模擬音響経路を個々の検出点に至る音響経路の線形和によって合成することが
できる.しかし,実際に低位検出点についても一定の感度を持つ場合には,感度
設定に対して拘束条件を設けないと全体の音響経路を線形加算によって得ること
はできない.その条件を次に求めることにする.
今,接続された検出点の総数をN個とし,騒音源からi番目の検出点に至る音響
経路の伝達関数を耳とする.使用状態では低位検出点も生きているので,このHi
は動作中に観測あるいは同定することはできない.さて,姻が高位状態のとき
の全体の音響経路の伝達関数Hは
k N
H:(ak−1)ΣHj+ΣH, (3・3・17)
ノ:on ∫講1
で与えられる.ただし,右辺第1項はk個の高位状態についての和を表すものと
する.一方,j番目の検出点が1点だけ高位状態にあるときの,全体の音響経路の
伝達関数葛は次式で与えられる.
(3.3.18)
ゐず=(or1)Hi+Σ昂
出1
106
高位状態のすべてに関する総和をとると,
k k N
ΣH」.(a・−1)Σ H」+kΣHi , (3・3・19)
1:0n ノ:on 勧1
が得られる・したがって,姻が高位のときの感度aまと1点が高位のときの感度a、と
が
・ヒ1一午 (3.3.20])
なる関係にあれば,全体の音響経路の伝達関数は次式のように1点が高位のとき
の線形和によって表すことができる。
k
H一老Σ」砂 (3・3・21)
」:on
1点が高位のときの伝達関IXH;.は動作中に観測あるいは同定することが容易であ
り,2点以上が高位の場合はこの式により即座に模擬音響経路を合成することが
できる。
翁
ミ1。
畿}at:6dB
匿
.=8
塁6
蓬4
塁2
△
O
愈
葦゜
1 2 3 4 5 6
Number of actuated(high sensitMty)sensors
Rg.3.3.7 SensitMty of actuated sensors.
107
式(3.3.20)の条件は背景騒音レベルー定の条件である式(3.3.1)とは一i致しない・
Fig.3.3.7に式(3.3.1)と式(3.3.20)との比較を示す.1つが高位のときの感度a1を
2(6dB)および3(95dB)とした場合の2点以上のときの値を示してあるが, akとak’の
差は1dB以内にあるので,式(3.3.20)を本構成における感度の設定条件として用い
ても,モニタ信号のレベルは正常な信号処理が実行できる状態に保たれるものと
考える.
rnonitor output
acoustic pat
1) fiiter c◎efficients baded by training operatin.
monltor outpu量
al
H1
acoustic pa
2)fir$t microhone activated(H’10n adaptation).
monitor output
acoustic path
3)first and second microhones aCtivated(no adaptation).
Fig.3.3.8 0 p・e rat i・o n sequence.
1008
本構成における動作概念をFig.3.3.8に示す.まず,動作開始に当たっては,1
点を高位状態になるように順に切り替え,特定騒音源により,H;・(ン』1,N)の初
期値を同定し,メモリーに格納する.さて作動状態になると,目的(監視)音源
が一つのとき,すなわち1点が高位では格納した内のどれかが模擬音響経路に呼
び出される.次に,目的(監視)音源が二つ以上発生することで複数の検出点が
高位になれば,式(3.3.21)に従って模擬音響経路が合成される.次に,すべての目
的音源が中断し,騒音のみの状態になると誤差信号に基づく音響経路の修正が始
まる.この場合,最後まで目的音源のあった検出点の高位状態を保持するかたち
が自然である.目的音源の中断が1点が高位の状態で終了し,高位状態の頻度の
高い検出点と中断状態になる寸前の高位検出点とは対応すると仮定すれば,この
方法で音響経路の使用頻度に応じた修正を実行することができる.
本提案を実現するためのハードウェアの規模は従来の一つの模擬経路のための
ものと基本的に変わらず,音響経路のメモリの増加程度ですみ,演算手順も簡単
であり,容易に実現可能な構成であるといえる.
実際の室内音場でのインパルスレスポンスの測定値を用いて,時間特性のシミ
ュレーションを行なった.約0.5秒の閉空間の中に3点の検出点を50cm間隔に配
列し,それぞれの検出点に至るインパルスレスポンスを測定した.これのフィル
タ長は4000,8kHzサンプリングで遅延時間長は0.5秒である.
このデータをもとに,従来の適応動作のみで系を構成したときの検出点切換え
による騒音低減量の変化をFig. 3.3.9に一点鎖線で示す.縦軸の騒音低減量は,
1010g(検出信号のパワー/誤差信号のパワー)(dB),を表す.適応動作には式
(33.12)一(3.3.15)で示した学習同定法を適用し,信号には白色雑音を用いた.図
から明らかなように,検出点が替っただけで消去量は大きく落ち込むことが分か
る.この場合,性能は適応修正アルゴリズムに大きく依存するが,現状の実時間
処理技術ではこの学習同定法程度のものが限界であり,実際の音声信号を用いれ
ば,収束はさらに遅くなり,回復に時間を要することになる.
一方,提案した構成による騒音低減量の変化は図に実線で示した。この場合,
109
切り替えによって派生する性能の顕著な劣化は回避され,わずかに音場の変動分
だけの収束を待てばよいことになる.ここでは使用条件として帯域4kHz(8kHzサ
ンプリング)を仮定し,横軸を時間で表した.実際には高位検出点が替った後は
適応動作を禁止し,目的音源が中断状態になってから適応が再開されるが,図で
は切り替え直後に適応動作を開始する形で示してある.頻繁に目的音源が替る系
では,適応動作だけでは十分な消去性能を回復できず,本手法が有効であること
がわかる.
50
Proposed multipath method
) 40
4000taps
A碧
8・kHz samPヱin9
箆
筥
8
6
30
20
碧
c
/\b鱒㎞
レ
10
マchange of actuated
point
0
IO 20
Time(s)
Fig.3.3.9 Time vari ation of estimated noise reduction.
3.3、5 適応同定系のハードウェァ設計
次に,一般の室内環境で伝達関数を適応同定するためのハードウェアの設計法
ならびに,試作装置で達成できた性能について述べる.FIRモデルで音響経路
を同定する場合のフィルタの規模は取り扱う帯域と音場の損失あるいは残響特性
で決まる.残響時間05秒を処理するために必要なタップ数は,8kHzサンプリン
110
グ時で4000タップに及ぶ.一方,この全タップを1チップLSIで実現することは
困難であるため,複数のチップで分割処理することによって実現する必要がある.
また,実時間動作のためには,必要な演算量を1サンプル周期(125microsec.)内
に実行することが要求される.適応アルゴリズムとして学習同定法を用いた場合
の積和演算回数は約8000階(2N)であるが,これを複数チップで並列処理を行な
うことにより,1チップあたりに必要な演算量を低減し,実時間処理を可能にす
る必要がある.
ディジタル信号処理部は,汎用信号処理プロセッサ(DSP:Digita1 Signal
Processor;内部RAM256 x 2words,マシンサイクル100ns,タップ係数記憶用外部
拡張RAM 4k w・rds)(Kanek・, T., Yamauchi, H. and・lwata, A.,1986)をFig.3.3.10に
示すように複数個用いて構成した.このDSPはユチップで256タップのエコー
キャンセラが実現できるため,小型で経済的なハードウェアを構成できる.また
記憶部に余裕を持たせることにより,3.3.4で示した複数音響経路の適応同定が可
能である.
さらに,7kHz帯域の信号をディジタル処理するために,帯域分割手法を用いた.
これにより,低域用(0.2−4kHz)および広域用(4−7kHz)の同定処理を8kHzサンプ
slave DSP
for
slave DSP
slave DSP
for
for
master DSP
convolution
convolution
C◎nvolution
for control
filter
filter
filter
(taps 1∼256)
(taps 257
(taps 3585
−512)
∼3840)
externaI
externai
く・
4劇
ti s
露目纏醒困罎響組匿図璽繧彊饗閣創響
璽国鼠題薗冨層鰭風竃匿園図劇盟厘闘題田国
屠
externai
RAM for
RAM for
RAM for
storing tap
storlng tap
storing tap
coetficients
coefficients
coeificienti∋
瑠厘置羅暫凹蟹図翻琶霞纏目9謹図翼9国豚
罰翼艮風尾8腰臨霞冨圖目響琶鳳團厨目匿圏図厘
Fig.3.3.10 Configuration of digital signal processing hardware.
111
リングで動作させることができ,実時間動作を確保することができる.4kHz帯域
で用いるときは二つの処理部を直列に接続して用いることにより,ハードウェァ
の効率的な活用を図っている.実環境下での本装置の同定性能をFig.3.3.11に示
す.図では検出される信号レベルに対し,同定誤差信号のレベルを比較して表し
ている.精度として,ほぼ30dBのSIN比を確保している.帯域分割処理のため急
峻なミラーフィルタを用いているため,4kHzあたりにノッチが生じる結果となっ
た.
Q 曹 ,儒 璽 一
゜・「曹 .一の、 層 ゜ 9r °購 璽 湘9
@ ReverberatiOn Iim‘,:0.5 s劔c.
0
p 鴨 覇
繭
c Loudspεaker!nlic冒’◎phol1じ・
distance:2.5 m
_10
−20
鱒 酬一
?@ ,
齠ャ 囎■ ●
“O
−60
−−70
monitored
噂. 瞬
,■ , 5
signai level
−−30
碧
−−50
, 噛・” 齢
吻・ 脚
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, 鴨一 } 卿
」噂 o
潤摎ヨ .
rro r
噂 o開
d鴨 噂 ・ 幽◎9
signa目evel
@ , ■
2 4 6
8
Frequency{kHz》
Fig.3.3.11 Noise cancellation performance of the experimental system.
3.3。6 まとめ
本節では,まず適応同定の原理について説明した.次に,複数の音響経路情報
を必要とする音場制御系において,感度の替わる多点検出系を想定し,不要信号
成分を除去するための信号処理部の適応同定系の動作,構成法と,FIR型の適
112
応同定系のハードウェァの設計法を述べた.
提案した複数音響経路の適応同定系は,適応アルゴリズムだけによりフィルタ
係数を修正する方法に比べ,検出点が切り替わっても,騒音あるいは不要信号成
分の低減量の劣化は経時変動分のみに依存するので,常に正常な特性を保持でき
ることを明らかにした・また,本手法は従来の構成と比べて,記憶回路の増大だ
けですむので,ハードウェア設計において極めて有利であることを実例で示した.
113
3e 4 まとめ
能動騒音抑圧を行なうための制御機の設計をねらいとして,信号処理系構成の
ための波形伝達モデルの同定法について論じた.まず,信号処理系の離散時間モ
デルに関し,FIRモデルと極/零点モデルを取り上げ,対象となる物理系とモ
デル次数との関係を明らかにした.次に,適応同定の問題を論じた。そこで,複
数の波形伝達モデルが必要な場合の適応同定系の構成法を検討した.感度の替わ
る多点検出系を有し,不要信号成分を除去することを目的とした騒音除去系を想
定し,模擬音響経路に,既知の騒音源から各検出点に至る音響伝達関数を必要に
応じてフィルタ係数として呼び出す構成を提案した.
本章で考察した結果はFig.3.4.1に示す関係になっている.能動制御系設計の基
礎研究として,離散時間系の伝達関数モデルの物理系との対応(3.2節)と,適応
的にそれらのモデルを逐次同定する方法の多チャンネル系への拡張(3.3節)とい
う,波形伝達モデルの内部構造と外部的な適応構造との2面にわたる考察を行な
っている.また応用としては,極/零点モデルによる騒音制御性能の推定(3.2節)
と,FIRモデルによる適応同定器の設計(3.3節)を取り上げている.これらの
考察により,能動騒音抑圧を実現するための方法論を提示している.
application to
study of waveform transmission model
internal structure of
external structure for
≠モ盾浮唐狽奄メ@path model
≠р≠垂狽奄魔?@identification
noise control
feasibility study
(3.2)
・乍1自’㎡ddd”二・、 、
single path
poielzero m◎del
practical implementation
P「a
N x N N N
、 、 、 、 、 、 、 、 、 、
relation to
撃高浮奄狽奄垂撃?@path・ 、
こdesign of signal
こPl9『ρ跨り9卿ン.
垂?凾唐奄モ≠戟@system
(3.3)
(3.3)
(3.2)
Fig.3.4.11ntegration of methods described in this chapter.
114
第4章 結論
4、ユ 本研究のまとめ
本論文では,機械振動系において系統的かつ効果的な騒音制御を実現するため
の基本技術として,機構設計時にエネルギ伝達モデルに基づいた任意加振形態に
よる任意形状の多自由度音響振動系の放射特性を予測,推定する方法ならびに,
放射された音に対して処置する能動騒音制御系の構成に必要な,物理系に対応し,
かつ変動に対する適応性に優れた波形伝達モデルの同定系を設計する手法につい
て論じた.
第2章「音響放射エネルギの推定」ではエネルギ伝達モデルを用いた音響放射
特性の先験的な推定法を構築した.
第2節「任意形状の振動体の音響放射特性」では,任意の形状および振動形態
に対して,エネルギ伝達モデルにおける音響放射の周波数特性のパラメータであ
る放射効率と放射損失係数を得るため⑱数値計算法を導いた.呼吸振動と往復振
動の2種類と,機構要素の例として曲げ振動する円断面はりを取り上げ,本数値
解法の有効性を確認した.また,場の音圧分布の計算法として,放射効率の折点
周波数を求めて,それを表面音圧の数値解法を用いる上限とし,それ以上の周波
数では近似値を用いる方法を提案した.球音源によってこの手法の有効性を確認
した.
第3節「衝突体の音響放射特性」では,機械振動系特有の加振形態として一般
的な衝突振動による音響放射を取り上げ,接触時の急激な運動変化に起因する剛
体放射音の過渡音場を解析した.特に,定常振動の解析との理論的統一をはかる
ため,放射係数を用いた放射エネルギの推定法を導いた.実際に,材質,径の等
しい2球の衝突による放射エネルギと,運動方向に生成される音圧スペクトルの
ピーク周波数の測定を行ない,本推定法の有効性を明らかにした.
第4節「広帯域加振を受ける多自由度系の音響放射特性」では,以上のまとめ
115
として,周期的な衝突加振を受ける平板を実際的な機構モデルとして取り上げ,
放射特性の推定を行なった.まず,推定に用いられる駆動点インピーダンス,損
失係数,および放射係数の選定について検討し,これらの係数を用いて加振入力
から求めた放射パワーレベルの周波数特性の推定値と測定値とを比較することに
より,エネルギ伝達モデルに基づく放射特性推定法の有効性を確認した.
以上,第2章では,音響放射特性の予測法の基礎として,エネルギ伝達モデル
の機構要素固有の入力への対処,振動分布形態,形状の任意性への拡張によって,
本方法論が広範囲な機械振動系の条件に対し適用できることを示した.
次に,第3章「音響伝達特性の同定」では,局所制御原理に基づく能動騒音制
御を実現するための音場の波形伝達モデルの同定法の構成について論じた.
第2節「音響伝達特性の離散時間モデル」では,能動騒音制御系の主要構成要
素である制御器の内部構造として,音響経路の伝達関数のモデル構造を取り上げ,
離散時間系の表現である極/零点モデルとFIR(有限長インパルスレスポンス)
モデルに関し,それらを構成するためのモデル次数について比較考察した.周波
数帯域内の極の数はモード密度と,またFIRモデルの次数は系の損失係数とそ
れぞれ対応することを示し,系のモード密度が低く周波数帯域が狭い場合には,
極/零点モデルの方がFIRモデルに較べて次数を大きく削減できることを示し
た.各モデルを用いた能動騒音制御系の制御性能を推定することにより,ダクト
や機械類のエンクロージャのような小規模の音響空間でのモデル化には極/零点
モデルが次数の削減に有効であることを明らかにした.
第3節「伝達関数の適応同定」では,制御器の外部構造として,音場の変化に
伴う伝達関数の変動に追従できる適応同定系の構造について考察した.従来は単
一経路の同定に構造が限定されていたのに対し,複数の伝達関数が必要な制御問
題においても有効に機能する構成法を提案した.すなわち,既知の騒音源から各
検出点に至る音響伝達関数を適宜模擬音響経路フィルタ係数として呼び出す構成
により,従来法よりも優れた騒音除去が実現できることを示した.また,汎用D
SPを用いたFIRフィルタに基づく信号処理回路の設計法を示した.
以上第3章では,能動騒音制御系設計の基礎として,離散時間系の伝達関数モ
116
デルの物理系との対応と,適応同定の多チャンネル系への拡張という波形伝達モ
デルの内部構造と外部構造の両面からの考察によって,局所制御を効果的に実現
するための方法論を提示した.
本論文では,機械振動系において放射される音響エネルギの推定と,放射後の
伝達関数の同定という放射前,放射後の両面から音響の放射伝達問題を考察する
ことにより,低騒音化設計ならびに能動騒音制御を実現するための基本技術を確
立した.
4.2 本研究の展望と課題
次に,本論文で述べた推定手法の活用について考えてみたい.まず,プリンタ
端末を例に機械類の低騒音化を考える.打字機構においては材質や衝突速度を設
計パラメータとして音響特性を予測した設計を行なうことができる.筐体などの
設計には放射特性を予測しながら,特に聴感上影響のある帯域でのレベルを下げ
るように筐体形状あるいは接合部の設計することができる.以上はエネルギ伝達
モデルに基づいて行なわれる.一方,空調ファンなどの既存の要素については能
動制御を用いて影響を低減することができ,信号処理系の波形伝達モデルは閉空
問の形状に基づいて設計することができる.この場合,入力信号の検出点や,制
御信号の発生位置,帯域はエネルギ伝達モデルによって得られた知見により設定
することができる.
さて,抑制とは全く別の観点から,騒音を情報源として有効活用する技術が存
在する・機械類か6.発生する音により,その動作状態を監視し,診断する音響診
断系がそれである.異常診断や動作状況の監視には音響情報が有効であることは
古くから知られている。従来は経験者の感覚に頼っていた故障診断手法が最近で
は信号処理技術を活用した自動計測システムとして発展しており,新しい学問分
野として体系化されつつある(Lyon,1987).診断のための信号処理系には,観
測した信号のうち必要な音響情報のみを抽出し,音源信号を復元する逆フィルタ
リングやパラメータ同定の技術が求められる.音響診断系の構成の一例をFig.4.1
117
sensor
mlC『ophone
accele『ometer
preprocessor
processor
c◎mparator
output
bandpass fi量ter 奮requency anaiysls
identification v且sual display
inverse f蹴ering
adaptive f轍ering
parame重er expansion actuator
Fig.4.1 Diagram of comp◎nents◎f a diagnostlc system.
に示す.ここでも信号処理は波形処理が中心であるので,位相情報を持つ波形伝
達モデルによって信号処理系が構成される.しかし能動制御系と同じく,機械的
性質から波形伝達モデルを直接導くことは難iしく,その最適構造を設計時に決定
するためには,系の機械的パラメータと密接に関連する別の手段が必要である.
例として,動力機関の音響診断系を考える.音源は歯車,カムなどの機構要素か
ら,燃料の着火など様々であり,受音点は振動体の放射係数などに基づいて,適
切な位置に配置する.多点受音系における適応同定系の構成手法を適用すれば,
ある場合は点火状況について,ある場合は減速機構の診断というように,目的信
号に応じた不要信号除去ができるような信号処理系を設計することが可能である.
以上の二つの例から明らかなように,エネルギ伝達モデルと波形伝達モデルの
双方を活用することにより,効果的な能動制御や音響診断系を構築することが可
能となる.
スピーカの設計などにおいては,有限要素法などの計算技術が音場の解析に活
用されている.しかし,騒音というのは元来意図するところの音響放射ではなく,
振動伝達の漏れであるからモデル化が難しい.したがってモデルに忠実に解くこ
とよりも,物理的特徴によるパラメータを変えたときにどうなるかが簡単に推察
できる方が有用である.エネルギ伝達モデルではそのような活用ができる。例え
ば,衝突時の力波形が変わったときや,衝突を受ける平板の板厚を変えたときの
放射スペクトルの変化は簡単な計算により類推できる.本手法は帯域内に十分な
数の共振モードが存在することが条件である.実験解析例では平板の寸法が小さ
いので,この仮定が満たされない低周波域では正確な推定は望めなかった.この
ような周波数領域では,一つ一つの共振モードに対応した計算法を本手法と組み
118
合わせるなどの実用的な手順を確立する必要があろう.今後計算処理技術が進歩
して高次モードの解析が容易に実現できるようになっても,簡便で大局的な方法
は有益な示唆を与えてくれるはずである.
今日,能動制御についてはいくつかの実用システムが稼働している.実時間信
号処理技術の発達とともに,能動制御や自動診断系は今後ますます発農,普及し
ていくものと思われる.処理系がワンチップ化され,価格も下がれば普及に拍車
がかかるであろう.模擬経路フィルタ,あるいは逆フィルタ,適応フィルタの設
計が中心となる技術であり,安定性を確保するために物理系の特徴を考慮した設
計を考えていく必要がある.離散時間モデルの構成に関しては,モード密度が大
きい系ではFIRモデルのほうが有利であると論じた.しかし音響空間を共振系
と見なせば,極/零点系の方が物理系をよく表現しているはずである.極は共振
系固有のものであり,零点は伝達関数の位置に依存する.したがって極と零点を
独立に制御するなどの方法で系の変動に強い疑似経路フィルタが設計できる可能
性が残されている.本論文の第2章で扱った問題は主にエネルギレベルの予測に
関してであった.しかしこれからは位相情報の活用を検討する必要がある.例え
ば逆フィルタの設計には位相情報の統計的性質がわかればより変動に対して安定
性の高いフィルタを構築することができる.現状では位相特性の統計的性質は未
だ十分明らかになっていない.また,計測技術として見ても広帯域な音響振動に
対しての位相の計測は難しい点がある.振動伝達,放射における位相特性の推定
法の確立は今後の重要な研究課題と言える.これが実現されれば,エネルギ伝達
モデルと波形伝達モデルとの発展的な統合により,より強力な信号処理系の設計
手段が確立されるであろう.
119
謝辞
本論文をまとめるにあたり,終始懇切なご指導と有益なご教示をいただいた静
岡大学教授後藤敏幸博士に心から感謝の意を表します.
また,有益なご討論をいただいた静岡大学の宮下豊勝教授,鈴木久喜教授,塩
川祥子教授,松田孝教授,ならびに佐々木彰教授に感謝の意を表します.
本研究は日本電信電話株式会社研究所において行なったものをまとめたもので
ある.以下に研究遂行にあたりお世話になった方々をあげ,感謝の意を表したい.
東海大学教授中川三男博士には入社以来,宅内機器研究部プリンタ研究室,中川
特別研究室においてご指導いただいた.音響放射エネルギに関する研究はこの時
期になされたものである.北海学園大学教授深谷健一博士には衝突音の研究テー
マを勧められ,ご指導いただいた.また,静岡県立大学教授松田隆一博士には機
構設計の立場からご助言をいただいた。
信号処理系の設計は音声会議装置の研究実用化の基幹技術としてソニー(株)
川嶋功氏,ヒューマンインタフェース研究所及川弘氏のご指導のもとで宅内機器
研究部電話機研究室で開始したものである.特に適応同定系の設計は及川氏と同
僚の牧野昭二君とで達成した仕事である.
MIT教授R.H.Lyon博士には1年間客員研究員として滞在の折,ご指導いた
だいたとともに,同定モデルの研究に関してご助言をいただいた.
また,中川特別研究室,電話機研究室,音声情報研究部の研究員の方々の熱心
なご討論からは本研究を遂行する上での多くの示唆を得ている.
本論文作成にあたり,東京工芸大学教授杉山精博士,ヒューマンインタフェー
ス研究所古井特別研究室長古井貞煕博士にはご配慮と激励をいただいた.
おわりに,音場制御研究グループリーダ東山三樹夫博士に感謝の意を表します.
東山博士にはMIT滞在の機会をいただいただけでなく,本論文をまとめること
を熱心に勧められた.また,現在でも音響研究遂行上多方面にわたりご指導ご
討論いただいている.
120
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本研究に関する発表論文
(主要論文)
Nobuo Koizumi:Response Estimation of a Plate Excited by PeriOdic lmpact;精機学会英
文誌14,P.161,1980.
小泉宣夫:周期的な衝撃を受ける平板の放射パワーの推定;日本音響学会誌,
36,pp.402−409,1980.
小泉宣夫:機構要素の音響放射特性の数値解析法;日本音響学会誌40,PP.18−27,
1984.
小泉宣夫:衝突時の過渡運動による球の音響放射;日本音響学会誌41,pp.
285−290,1985.
及川弘,小泉宣夫,牧野昭二:複数反響路エコーキャンセラを用いた音声会議装
置;N∬研究実用化報告37,2,pp.191−197,1988.
Nobuo Koizumi, S h()ji Makino, Hiroshi Oikawa:Acoustic ech o canceller with multiple
echo paths;J. Acoust. S㏄. Jpn.(E)10,1, pp.39−45,1989.
Hiroshi Oikawa, Nobuo Koizumi, Sh()ji Makino:Audio Te1㏄onfbrencing Set with
Multipath Echo Canceller;Review of the ECL,36,2, pp.217−223,1988.
(口頭発表および資料)
第1章
小泉宣夫:端末機械の騒音;精機i学会シンポジウム資料;1980.3.
第2章第2節
小泉宣夫:ヘルムホルツ積分による振動体の音場の数値解析;電子通信学会技術
報告EA82−36.
小泉宣夫;ヘルムホルツ積分による振動体の放射係数の数値計算法;日本音響学
会騒音研究会資料N−8301.
小泉宣夫:曲げ振動によるはりの放射特性;日本音響学会講演論文集1979.10・
小泉宣夫:振動する機構要素の放射音場の計算;日本音響学会講演論文集1981.
124
10.
小泉宣夫:振動する機構要素の放射音場の計算(2);日本音響学会講演論文集
1982.10.
小泉宣夫:振動する機構要素の放射音場の計算(3);日本音響学会講演論文集
1983.5.
第2章第3節
小泉宣夫:衝突におけるエネルギ伝達と音響放射;電子通信学会技術報告
EA80−76.
小泉宣夫:衝突時の過渡運動による剛体の音響放射特性;日本音響学会騒音研究
会資料N−8303.
小泉宣夫:急激に運動変化する球の音響放射;日本音響学会講演論文集1978.5.
小泉宣夫:衝突における剛体運動音のエネルギ;日本音響学会講演論文集1980.
10.
小泉宣夫:衝突における剛体運動音の周波数特性;日本音響学会講演論文集1981.
10.
小泉宣夫:球の衝突による剛体運動音の測定;日本音響学会講演論文集1983.10.
第2章第4節
小泉宣夫:周期的な衝撃を受ける平板の放射パワーの推定;電子通信学会技術…報
告EA78−82.
小泉宣夫:広帯域加振を受ける平板の振動および放射特性;日本音響学会騒音研
究会資料N−8111.
小泉宣夫:衝撃加振される平板におitる振動エネルギの周波数特性;精機学会講
演論文集1979.
小泉宣夫:周期的な衝撃を受ける平板の振動および放射特性;日本音響学会講演
論文集1979.6.
小泉宣夫:広帯域加振される平板の振動,騒音レベルの推定;精機学会講演論文
集1982.
第3章第2節
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Nobuo Koizumi, Richard Lyon:Qn the m Odel order for the identification of acoustical
systems;Journal of Acoustica1 Society of Arnerica, SupPlement 1,86, P・S3,ユ989・
第3章第3節
小泉宣夫,牧野昭二,及川弘:複数反響路を有する音響エコーキャンセラの構成
法;電子通信学会技術報告EA87−75.
小泉宣夫,牧野昭二,及川弘:複数反響路を有する音響エコーキャンセラ;信学
会情報システム部門講演論文集1987−431.
小泉宣夫:通信系における音場の同定・制御技術の現状と将来,日本機械学会環
境工学シンポジウム’91講演論文集,1991.
(解説論文)
小泉宣夫:音場制御一音場の創成,テレビジョン学会誌45,4,pp474−479,1991.
小泉宣失:音場の制御,油圧と空気圧,22,7,PP.770−775,1991.
小泉宣夫:室内音場のアクティブコントロール,音響技術,76,pp.19−22,1991.
小泉宣夫:3次元音場の能動制御技術,騒音制御,15,6,pp.296−299,1991.
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