2015年11月 スワンガンツ - 医療法人 徳洲会 大垣徳洲会病院

発行日 2015.11.20
みなさんこんにちは。大垣徳洲会病院
医療情報誌
です。
臨床工学科が発行する
スワンガンツカテーテルは心不全やショックなどの
患者様の心機能を把握するために用いるカテーテル
です。多くの場合スワンガンツカテーテルと呼ばれ
ていますが、他にも「右心カテーテル」「肺動脈カ
テーテル」「サーモダイリューションカテーテル」
と呼ばれたりすることがあります。心臓カテーテル
室で検査の際に一時的に挿入し計測するものと重度
の心筋梗塞後や心肺蘇生後に心機能を持続的に計測
していくものがあります。
スワンガンツカテーテルのアプローチ部位
合併症
内頚静脈
鎖骨下静脈
上腕静脈
大腿静脈
1挿入が深過ぎると肺塞栓症を起こす
2カテーテルが動いて弁の運動を阻害
してしまい、心不全が悪化する事が
ある
3カテーテルからの感染
Medical partners
スワンガンツカテーテルの構造
スワンガンツカテーテルの主な構造は、バルーンを拡張させるためのチューブと先端にバルーン、
圧電素子、温度センサーがついています。
先端孔ルーメン・ハブ、注入用側孔ルーメン・ハブからは持続的に圧の測定、輸液ポート、採血
ポートとして使用する事が出来ます。オプティカルモジュールコネクターは酸素飽和度、サミス
ターコネクターとサーマルフィラメントコネクターは連続心拍出量の測定に用います。
測定している圧
右心房圧
(Right Atrial Pressure :RAP)
右室の前負荷(循環血液量)の指標
中心静脈圧と同じ。0~7 平均圧:4
平均圧上昇:右心不全、心タンポナーデ
平均圧低下:循環血液量の減少
右室圧
(Right Ventricular Pressure :RVP)
収縮期:15~25 拡張期:0~8
収縮圧上昇:肺高血圧症
肺動脈圧
(Pulmonary Atrial Pressure :PAP)
肺血管抵抗、右室の後負荷の指標
収縮期:15~25 拡張期:8~15
平均圧:10~20
肺動脈楔入圧
(Pulmonary Capillary Pressure :PCWP)
左心房の圧を反映、左心房の前負荷の指標
平均圧:6~12
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各部位の圧波形
Forrester分類
熱希釈法における心拍出量の測定
フォレスター分類は肺動脈楔入圧と心係数を用いて心不全の
程度を把握し治療方針を決定するために用いられます。
Subset Ⅰを目標に治療を行います。
Subset Ⅱは前負荷が多いため利尿薬や血管拡張薬で前負荷を
低下させます。
Subset Ⅲでは前負荷を増やすため補液や強心薬を使用してい
きます。
Subset Ⅳでは心係数を上げると共に前負荷を下げる必要があ
ります。薬剤でコントロールが困難ならIABP(大動脈バルー
ンパンピング)が必要となるかもしれません。
カテ先を肺動脈の奥へ進めると注入用
側孔が右心房に来ます。
ここに0℃の生理食塩水を注入する事に
より心臓内の血液温度が下がります。
下がった温度がもとに戻るまでの時間
をカテ先のセンサで測定する事で心拍
出量(CO)を求める事が出来ます。
心拍出量の正常値は4~8L/minです。
この値を体表面積で割ったものを心係
数(CI)と言います。
*IABP:Medical partners 平成27年1月号~3月号参照)
問い合わせ先
2015年11月号
臨床工学科 内線 2037
制作・編集担当 中野 路子
久富 俊宏