第5章 第5章 農村環境保全の基本方針 1 農村地域の将来像と基本方針 ⑴ 農村地域の将来像 本市の現状と課題、上位計画の位置付け、策定委員会の検討内容を踏まえ、農村地域の将 来像を次のように設定します。 【農村地域の将来像】 誇りをもって次世代へ繋げる 人と自然が共生する「いわき」の農村 ~自然環境・景観と調和した魅力的な農業農村を目指して~ ⑵ 農村地域の基本方針 この将来像に向けて、 「自然環境」 、 「社会環境」、 「生産環境」の3つの視点から、農村環 境の保全・整備に向けた農村づくりの基本方針を次のように設定します。 <農村づくりの基本方針> 自然環境 豊かな自然と農村が共生する環境づくり 社会環境 地域社会が求める住みよい農村づくり 生産環境 人が輝き活力ある農業づくり 49 第5章 2 農村環境計画の施策の体系 【基本方針】 誇 り を も っ て ~次 自 然 世 環 代 境 へ ・ 景 繋 観 げ と る 調 和 し た 魅 力 的 な 農 業 農 村 を 目 指 し て ~ 人 と 自 然 が 共 生 す る 「 い わ き 」 の 農 村 【 農 村 地 域 の 将 来 像 】 基本方針1 ①良好な水辺空間の維持・保全 ②水源涵養機能をもつ森林や農地の保全・整備 ③農業用ため池放射性物質対策の推進 自然・景観資源の保全 ①多様な動植物の生息地の維持・保全 ②身近な自然環境の保全・創出 ③地域の自主的な環境美化・緑化活動の推進 周辺環境に配慮した農業生産基盤整備 ①自然環境への影響を最小限とした整備の推進 生活環境の整備 ①広域農道や基幹農道の整備 ②農業水利施設(排水施設)の保全・整備 ③生活排水対策の推進 農村環境の保全 ①特色ある農村景観の維持・保全 ②地域の共同活動への支援 地域資源の保全・継承 ①地域コミュニティの活性化 ②歴史資源の保全・里づくりへの活用 ③地域が育んだ文化・伝統行事の継承 ④都市と農村の交流促進 有効かつ持続的な農地と農業用水の利用 ①優良農地と農業用水の保全・確保 ②農業水利施設(用水施設)の保全・整備 ③農業生産基盤の整備推進 ④耕作放棄地の発生防止と利活用 ⑤鳥獣被害対策の推進 ⑥担い手への農地利用集積の推進 担い手の育成・確保 ①意欲ある多様な担い手の育成・確保 ②新規就農希望者への支援 安全・安心な農産物の供給 ①農産物の放射性物質測定や測定結果等の公表 ②農産物のブランド化や販路の強化支援 ③地産地消の推進 環境に配慮した農業の推進 ①有機農業や低農薬等環境にやさしい農業の推進 ②家畜排泄物等の適切な処理及び循環利用の推進 「社会環境」 地域社会が求める 住みよい農村づくり 基本方針3 「生産環境」 人が輝き 活力ある農業づくり 【具体的な施策】 豊かな水環境の保全 「自然環境」 豊かな自然と農村が 共生する環境づくり 基本方針2 【取組むべき項目】 50 第5章 3 ⑴ 農村環境の保全方針 自然環境の保全方針 基本方針1 自然環境 豊かな自然と農村が共生する環境づくり 項目1 豊かな水環境の保全 施策1 良好な水辺空間の維持・保全 本市には、大小 322 もの河川が流れ、上流域の清流、渓谷やダム湖、 「いわき七浜」と 呼ばれている海岸、水路、ため池、地域の身近な水辺等、自然環境を有する水辺空間が 数多く分布しており、貴重な財産として将来に引き継いでいかなければなりません。 このような豊かな水環境を維持・保全していくため、ごみのポイ捨てや不法投棄の防 止、生活排水の適切な処理等、関係部署と連携しながら、有効な施策の推進に取組みま す。 施策2 水源涵養機能をもつ森林や農地の保全・整備 森林や農地は、降水を貯留し、河川へ流れ込む水の量を平準化して洪水を緩和すると ともに、河川の水量を安定させる機能をもっており、これを水源涵養機能といいます。 本市の森林面積は、総面積の約7割を占め、豊かな森林資源に恵まれています。 ダム集水区域や主要な河川の上流に位置する水源地周辺の森林等については、農業用 水や生活用水等の安定供給を確保するため、 「市森林整備計画」に基づき、保全・整備を 図ります。 施策3 農業用ため池放射性物質対策の推進 東京電力㈱福島第一原子力発電所事故により拡散した放射性物質は農業用ため池にも 流入しており、福島県が実施した放射線モニタリング調査によると、市内においても放 射性濃度が高いため池が確認されています。 今後、一定の期間をかけて高濃度の放射性物質が検出されたため池の詳細調査を行い、 国の規定する技術マニュアルに基づき、最適な工法が実施できるよう対策に取組みます。 51 第5章 項目2 自然・景観資源の保全 施策1 多様な動植物の生息地の維持・保全 温暖な気候で、豊かな自然環境にある本市には多様な動植物が多数生息・生育してい ます。 植物については、海岸部がアカガシ、スダジイ等の照葉樹林(常緑広葉樹林)、山間部 がブナ林を中心とする夏緑林(落葉広葉樹林) 、その中間部ではイヌブナ・モミ等で成り 立っています。 なお、本市が北限又は南限となっている植物や、希少種、絶滅危惧種も見られます。 動物については、鳥類、両生類、魚類、昆虫等の生息地が数多く分布しています。 しかし、河川及び海域の水質汚濁、ごみの不法投棄、希少野生動植物の乱獲、特定外 来生物※14 等の繁殖等、様々な要因が、これら動植物の生息・生育に悪影響を与えかね ません。 このため、希少野生動植物の生息・生育状況に関する情報収集や保全検討、特定外来 生物※14 の市民への情報提供等による拡散防止、河川・海域の水質監視、生活排水対策の 推進、自然公園法、森林法、福島県生活環境の保全等に関する条例等の各種法規制の遵 守等により、関係部署と連携しながら、有効な施策の推進に取組みます。 施策2 身近な自然環境の保全・創出 水田、河川、ため池、用排水路等の水辺、樹林地や地域の象徴となっている古木・大 木等身近な自然環境は、多種多様な生き物を育み、また、市民に潤いと安らぎを与えて くれます。 このような身近に触れ合える自然環境を大切に守り育てるとともに、農業農村整備事 業※22 の実施の際には、生態系保全水路の整備等、身近な生物の生息空間の創出につい て検討します。 また、市民が自主的に行う自然や環境に関する学習や自然とのふれあい活動等に対し て、関係部署と連携して支援に取組み、市民意識の高揚を図ります。 施策3 地域の自主的な環境美化・緑化活動の推進 本市では、昭和 57 年に「いわきのまちをきれいにする市民総ぐるみ運動」を開始し、 長年にわたり市民や事業者による自主的な美化活動が続けられてきました。 さらに、ごみのポイ捨てを防止し、美化活動を充実することにより、清掃で美しいま ちづくりを推進していこうと、 平成 12 年に「いわき市ポイ捨て防止による美化推進条例」 を施行しました。 市民が日常的に利用する施設や道路等の公共空間の環境美化が図れるよう、市民の自 主的な美化活動を支えていく必要があります。 また、植栽や花壇の設置等の地域の緑化活動を支援し、身近な自然の創出、維持保全 を図ります。 これらの地域の自主的な環境美化・緑化活動について、関係部署と連携しながら推進 に努めます。 52 第5章 項目3 周辺環境に配慮した農業生産基盤整備 施策1 自然環境への影響を最小限とした整備の推進 農村地域のほ場、農道、農業用水路等は自然と一体となって豊かな生態系を形成し、 農業生産の場であるだけでなく、様々な生き物の生息地としての役割も果たしており、 農業生産基盤の整備の際には、前述したように、 「環境との調和への配慮」が事業実施の 原則に位置付けられています。 整備事業の実施前には、 「農村環境アドバイザー※25」の立会いによる環境調査を行い、 指導・助言等を踏まえた事業計画等を策定し、生態系、水環境、農村環境等、自然環境 への影響を最小限とした整備を進めていきます。 また、整備後の維持管理が地域の負担増にならないようにも配慮していきます。 ◆自然石ネット工水路(三和町合戸) ◆農村環境アドバイザー立会いによる現地調査 (四倉町上仁井田の「上仁井田堰」 ) 53 第5章 ⑵ 社会環境の保全方針 基本方針2 社会環境 地域社会が求める住みよい農村づくり 項目1 生活環境の整備 施策1 広域農道や基幹農道の整備 高速道路や幹線道路等へのアクセスを容易にし、農産物輸送体系が確立されることで 地域農業の振興と農村地域の生活環境の改善が図られることを目的とし、本市では、広 域営農団地農道整備事業「いわき地区」 、基幹農道整備事業「釜ノ前3期地区」、 「釜ノ前 4期地区」を実施しています。 これら農道の供用開始に向けて、事業主体である福島県と連携し、事業進捗が図れる よう取組みます。 施策2 農業水利施設(排水施設)の保全・整備 排水機場や排水路といった農業水利施設※24 は、多数の人が恩恵を受けている社会共 通資本であり、適時の施設診断や予防保全対策を実施し、施設の長寿命化を図ります。 また、老朽化の進行や異常が確認された場合は計画的な改修に努めます。 施策3 生活排水対策の推進 農村集落地の生活環境の改善、河川や水路の水質向上を図るため、農業集落排水施設、 合併処理浄化槽等の生活排水処理施設が有するそれぞれの特性等を考慮し、関係部署と 連携しながら効果的・効率的に生活排水対策を推進します。 ◆基幹農道「大久地区」 54 第5章 項目2 農村環境の保全 施策1 特色ある農村景観の維持・保全 本市の中山間地域※12 等に見られる農村景観は水田を基調としており、他に畑、里山、 小川、雑木林等の地域資源により構成されています。 近年では、こうした豊かな自然と伝統的な文化等からなる農村の持つ魅力が再認識さ れ、農村に対する期待が高まっていることから、都市化による開発等で失われることな く、農村景観の維持・保全に努める必要があります。 また、農村景観にも十分な配慮した農業生産基盤の整備に取組みます。 施策2 地域の共同活動への支援 本市には、多面的機能支払交付金制度※10 を活用した地域活動組織が多数あり、地域コ ミュニティにより、農地法面の草刈り、水路の泥上げ等の地域資源の保全活動や水路の ひび割れ補修や植栽による景観形成等、地域資源の質的向上活動に取組んでいます。 今後も、同制度を活用した地域の共同活動に対する支援を推進していきます。 また、農業農村整備事業※22 において、周辺環境に配慮した生態系保全水路やビオトー プ等の生物の生息空間を整備する場合がありますが、整備後の維持管理は地域住民にお 願いすることとなります。 このような施設は、地域住民の意向を踏まえた整備内容とするとともに、整備後の維 持管理を一方的に任せるのではなく、同制度を活用した専門家による技術習得のための 研修会開催や、他地区の優良事例をお知らせする等の支援・助言に取組みます。 なお、これら活動等を通じて、農業・農村をもつ多面的機能※23 に対する市民の理解を 深め、農地や身近な自然環境の保全に対する意識を養います。 ◆稲穂の風景(三和町合戸) 55 第5章 項目3 地域資源の保全・継承 施策1 地域コミュニティの活性化 本市には、自治会、協議会、老人会、婦人会等の住民組織があり、自治会イベント等 の各種行事が行われています。 しかし、中山間地域※12 では人口減少や少子高齢化等の進行により、祭りや行事等の 地域活動への参加者が減少し、地域活動の継続が難しくなっている面があります。 そのため、関係部署と連携しながら、地域イベント、農業イベントの企画、地域活動 等に対する支援を行うとともに、これらの活動を通じてコミュニティの活性化が図れる ように努めます。 施策2 歴史資源の保全・里づくりへの活用 農村地域には、神社、寺、祠、塚、宿場町の町並み、歴史を伝える古いため池、かん がい水路、堤、堰、田圃の石積み、茅葺き家屋等の建造物といった身近な歴史資源が現 在も地域に息づいています。 こうした歴史資源を地域の財産として保存するとともに、関係部署と連携しながら、 里づくりへの活用にも努めます。 施策3 地域が育んだ文化・伝統行事の継承 地域には、じゃんがら念仏踊りや獅子舞等の郷土芸能をはじめ、代々受け継がれてき た地域の祭りや行事、いわき遠野和紙やいわき絵のぼり等の伝統工芸、伝統技術等が現 在も地域に息づいています。 これら地域が育んできた伝統文化等の保全を図るとともに、関係部署と連携しながら、 地域に眠っている歴史資源の掘り起しや里づくりへの活用にも努めます。 施策4 都市と農村の交流促進 観光・教育分野等の連携を図り、耕作放棄地等を活用した農業体験ができる市民農園 や滞在型市民農園の整備を支援するとともに、都市住民を対象とした農業体験やイベン トの開催等、消費者と生産者の交流を図ります。 また、都市との交流の拠点となる農産物直売所、農家レストラン、観光農園※3 等の取 組みを支援します。 56 第5章 ⑶ 生産環境の保全方針 基本方針3 生産環境 人が輝き活力ある農業づくり 項目1 有効かつ持続的な農地と農業用水の利用 施策1 優良農地と農業用水の保全・確保 本市では農業従事者の減少とともに、経営耕地面積も年々減少しています。 地域の要望等に応じ、ほ場整備等の農業生産基盤の整備を進め、優良農地の確保に努 めるとともに、農地の流動化※28 を進め、優良農地は意欲ある担い手に集積するように 取組みます。 さらに、関係機関・団体、地域農業者等の意向を踏まえた効率的な農地の土地利用を 検討し、農業振興地域整備計画等の各種計画・施策により、優良農地の保全・確保に努 めます。 また、良質な農産物の生育には、田畑を潤す農業用水が不可欠です。 農業用水は、かんがい用水としての機能はもちろんですが、農作物、農機具の洗浄等生活 用水としての機能、防火や消流雪といった機能、景観・生態系保全機能等を有しており、市 民生活に根付いていることから、農業用水の保全・確保にも努めます。 施策2 農業水利施設(用水施設)の保全・整備 取水堰や農業用水路等の農業用水施設は、農業用水を安定的に供給するために必要不 可欠です。 これら施設については、適時の施設診断や予防保全対策の実施による施設の長寿命化 を図るとともに、老朽化の進行や異常が確認された場合は計画的な改修に努めます。 また、老朽化が進んでいるため池についても、優先順位を見定め計画的な改修を行い、 農業用水の安定供給や豪雨、洪水等の自然災害の未然防止に努めます。 施策3 農業生産基盤の整備推進 本市では、これまで合戸地区(三和)や大野第一地区(四倉)等の大規模なほ場整備 をはじめ、かんがい排水、ため池、農地防災等各種基盤整備を実施してきました。 今後も、農業の生産性の向上、農村の生活環境の向上、農村と農地の保全管理といっ た観点から、地域の意向や実情に応じたほ場整備をはじめ、広域農道「いわき地区」等 の農道、老朽ため池、湛水防除施設等の農業生産基盤の整備について、農業従事者が安 全に農作業に取組めるように配慮しながら推進していきます。 57 第5章 施策4 耕作放棄地の発生防止と利活用 本市では、農村地域の高齢化や担い手不足、農産物の価格低迷による営農意欲の減退 等により、耕作放棄地が増加傾向にあります。 耕作放棄地については、土地の立地条件、特性、再生利用の可能性等を考慮し、意欲 ある担い手への集積、観光農園※3・市民農園等の体験農業の場、特色ある草花の植栽に よる景観緑地の整備等多様な活用方策が考えられます。 ついては、多面的機能支払交付金制度※10、中山間地域等直接支払交付金制度※13 の活 用支援、いわき市耕作放棄地対策協議会との連携等、耕作放棄地の再生・利用に向けた 取組みを促進します。 施策5 鳥獣被害対策の推進 狩猟者の高齢化や狩猟人口の減少のほか、東日本大震災や東京電力㈱福島第一原子力 発電所事故によるイノシシ捕獲圧の減少等により、イノシシやハクビシン等の鳥獣によ る被害の拡大が懸念されています。 本市の鳥獣による農林水産業等に係る被害は、主にイノシシによる被害であり、主な 被害作物を挙げると、水稲(6月~9月頃) 、いも類(4月~10 月頃)、豆類(11 月~12 月頃)です。 また、水田の畦畔や牧草地内の掘削等農地被害も発生しており、農業者の営農意欲の 減退を招き、農地被害が耕作放棄地の増加につながる恐れがあります。 ついては、被害防止対策として、イノシシ捕獲報償金交付制度を活用した捕獲圧の維 持・拡大を図り、電気柵等の設置費用補助、捕獲檻の貸出し等の支援制度を継続すると ともに、いわき市鳥獣被害防止対策協議会等の関係団体や関係部署とともに、被害防除、 環境整備、個体数調整に一体的に取組みます。 施策6 担い手への農地利用集積の推進 農地中間管理事業※26、利用権設定等促進事業※30 等農地の賃借を行うための制度を活 用し、農地の流動化※28 により認定農業者※19 等への集積を進めます。 また、ほ場整備実施地区等、地域ぐるみで農地の流動化※28 を進めようと機運が生じ ている地区においては、関係部署と連携しながら「人・農地プラン(経営再開マスター プラン)※29」の作成・活用について支援します。 58 第5章 項目2 担い手の育成・確保 施策1 意欲ある多様な担い手の育成・確保 本市では、人口減少や東日本大震災による営農意欲減退等により、農家及び農業従事 者が減少しています。 また、地域農業の中心となる担い手についても高齢化が進んでおり、意欲ある担い手 の育成が急務となっています。 若手専業農家、定年帰農者、女性農業者、高齢農業者等、それぞれの立場の意欲等を 考慮し、関係部署や関係団体等と連携しながら、担い手への育成を支援します。 また、認定農業者※19 には、低利な資金制度や補助事業の活用、 「いわき市認定農業者 協議会」の活動を通じ、農業者としての育成を支援します。 施策2 新規就農希望者への支援 市内外の非農家出身者等幅広い新規就農者を確保するため、関係部署、関係機関、農 業大学校、農業高校等と連携し、資金融資制度等の紹介、新規就農相談等の案内、農地 の斡旋等、新規就農希望者支援体制の整備を図ります。 ◆市内の農業風景 59 第5章 項目3 安全・安心な農産物の供給 施策1 農産物の放射性物質測定や測定結果等の公表 いわき産農産物に対する不安を解消するため、関係機関、関係部署と連携のもと、出 荷される農産物の放射性物資を測定し、市公式ホームページ等で出荷農産物の測定結 果・方法等を公表していきます。 また、本市農産物の放射性物質検査に併せ、美味しさ等の魅力について、生産者や行 政のみならず消費者とも連携を図った情報発信に努めます。 施策2 農産物のブランド化や販路の強化支援 いわき産農産物の認知度向上による需要促進と生産者の所得向上を図るため、生産者 団体が行う秀品率の向上等、関係部署と連携し、いわき産農産物の高品質化に向けた取 組みを支援します。 また、生産者と実需者との交流会の開催促進、各種イベントの活用等により、販路の 拡大に取組みます。 施策3 地産地消の推進 多種多様な農産物が生産されている生産地であり消費地でもある本市は、地産地消に 取組む環境に恵まれています。 地産地消を推進するため、農産物直売所や関係団体等が行うPRイベントや先進事例 研究等に対する支援、いわき産農産物を活かした食農教育の推進、学校給食への利活用 に向けた供給体制の構築等に向け、関係部署と連携し取組みます。 ◆いわきの直売所MAP 出典:「いわき農の歩み」(市農業振興課発行) 60 第5章 項目4 環境に配慮した農業の推進 施策1 有機農業や低農薬等環境にやさしい農業の推進 安全・安心な農産物に対する消費者の関心は年々高まっており、堆肥等による土づく りを基本として、本市では、化学肥料、化学合成農薬を減らした「環境と共生する農業」 を推奨しておりますが、 「環境と共生する農業(環境にやさしい農業)」は水質改善や動 植物に対する環境負荷の軽減にも繋がります。 ついては、農業者に対して、下記の認定・制度等の活用を促し、環境にやさしい農業 (環境保全型農業※2)の推進を図ります。 ○エコファーマー 土づくりと化学肥料、化学合成農薬の低減に一体的に取組む農業者のうち、都道府 県知事から「持続性の高い農業生産方針の導入に関する計画」の認証を受けた農業者 ○特定栽培農産物 化学合成農薬の使用回数、化学肥料による窒素成分を、ともに5割以上削減して栽 培された農産物 ○有機農業 作付の2年以上前から、化学肥料、化学合成農薬を使用しないことを基本とした栽 培で、登録認定機関の認定を受けたもの ○環境保全型農業直接支援 農業者等が実施する化学肥料・化学合成農薬を原則5割以上低減する取組みとセッ トで、緑肥の作付や堆肥の施用等、地球温暖化防止や生物多様性保全に効果の高い営 農活動の取組みに対する支援 施策2 家畜排泄物等の適切な処理及び循環利用の推進 平成 11 年 11 月、 「家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律」が施行 され、一定規模以上の畜産農家に対して、平成 16 年 11 月までに堆肥舎等の家畜排泄物 処理施設の整備が義務づけられました。 この法律は、家畜排泄物を堆肥等の有機物資源として積極的に活用することをねらっ たもので、同法の施行により、市内の畜産農家において堆肥を供給する体制が整いつつ あります。 本市では、堆肥を供給できる市内の畜産農家を紹介した「堆肥供給者リスト」を作成 しており、畜産農家と耕種農家が取組む耕畜連携の推進により、堆肥の円滑利用を支援 しています。 また、ビニールハウス等に使用される廃ビニールやプラスチック等の農業廃棄物につ いては、回収及び再利用を促進するため、農業者の意識啓発に努めます。 61 第6章 第6章 1 いわき市内の地域別整備計画 地域別整備計画 ⑴ 地域区分について ➀ 地域区分の設定 本章では、計画の対象となる農業農村地域(農業振興地域※20)を以下に示すような エリアやゾーンに区分し前章の農村環境の整備・保全の基本方針に基づき、エリア・ゾ ーン毎の整備・保全方針を示します。 市内で行う各種農業農村整備事業※22 は、この地域別整備方針を考慮して進めていき ます。 表6-1 エリア・ゾーン区分 森林地域 ➀生態系保全ゾーン い わ き 市 域 農業農村地域 (農業振興地域) 中山間田園エリア ②人と自然の共生ゾーン 近郊田園エリア 市街地地域 計画対象エリア 海浜地域 62 ➂農業生産振興ゾーン 第6章 ア エリア区分の考え方 市域は地形構造や土地利用特性から、次表に示す4つの地域に区分されますが、本 計画では、 「農業・農村地域」(農業振興地域※20)を計画対象としています。 「農業・農村地域」については、国・県が定める中山間地域※12 を対象とした「中 山間田園エリア」と中山間地域※12 を除くエリアを対象とした「近郊田園エリア」の 2つに区分します。 表6-2 地域・エリア区分の考え方 区 対 象 エ リ ア 分 地域・エリア区分の考え方 ○森林地域 農業振興地域以外の森林地域(国有林)を対象としたエリア ○農業・農村地域 農業振興地域 中山間田園 エリア 農業振興地域のうち、中山間地域の指定を受けているエリア 近郊田園エリア 農業振興地域のうち、中山間地域を除くエリア ○市街地地域 市街化区域及び周辺に形成された既存市街地地域 ○海浜地域 太平洋沿岸地域 ※ここで言う中山間地域とは、国の特定農山村法指定地域及び県知事指定地域を指 す。 イ ゾーン区分の考え方 計画対象となる「中山間田園エリア」 「近郊田園エリア」については、第4章の環境 資源マップ等から判断できるとおり、エリア内に性格の異なる地域があります。 これら2つのエリア内にある性格の異なる地域については、次の考え方に基づき、 3つのゾーンに区分します。 表6-3 ゾーン区分の考え方 ゾーン ➀生態系保全 ゾーン ゾーン区分の考え方 希少な植物群落地や野鳥、ホタル、淡水魚、野生動物等の 生物の生息域 (45 頁の「環境資源マップ(自然環境) 」より抽出) 中山間地域や市街地近郊に分布する農村集落地 ②人と自然の共生 ゾーン (46 頁の「環境資源マップ(社会環境) 」の「集落地」を ➂農業生産振興 ゾーン 農業振興地域内のまとまった農用地とその周辺 抽出) 63 第6章 ⑵ 地域別整備方針 エリア及びゾーン別に、第5章で整理した保全方針等に基づいて、表6-4のとおり農 業農村整備を進めます。 表6-4 エリア別の整備・保全等方針 両エリアに共通する エリア エリアの整備・保全等方針等 整備・保全等方針等 整備 整備 ○自然環境への影響を最小限とした ○広域農道や基幹農道の整備 整備 中山間 田園 ○生活排水対策の推進 保全 ○農業生産基盤の整備推進 ○特色ある農村景観の維持・保全 保全 整備と保全 ○良好な水辺空間の維持・保全 ○水源涵養機能をもつ森林や農地の ○多様な動植物の生息地の維持・保全 整備・保全 ○歴史資源の保全 ○優良農地の保全・確保 その他 ○都市と農村の交流促進 整備と保全 ○身近な自然環境の保全・創出 ○農業水利施設(排水施設・用水施設) 整備 近郊 田園 の保全・整備 ○大規模ほ場整備の推進 その他 その他 ○耕作放棄地の発生防止と利活用 ○無秩序な開発の抑制 ○担い手への農地利用集積 ○意欲ある多様な担い手の育成・確保 64 第6章 表6-5 ゾーン別の整備・保全等方針 ゾーン ゾーンの整備・保全等方針 ○希少な野生動植物の生息地の保全 生態系保全 ○自然環境への影響を最小限とした整備 ○特色ある農村景観の維持・保全 人と自然の共生 ○身近な自然環境の保全・創出 ○歴史資源の保全 ○優良農地の保全・確保 ○耕作放棄地の発生防止と利活用 農業生産振興 ○農業基盤整備事業の推進 ○有機農業や低農薬等環境にやさしい農業の推進 ※エリアとゾーンの説明欄に同じ内容がある場合は、該当地域ではその内容を特に強調して いることになります。 図6-1 エリア・ゾーンのイメージ 65 第6章 図6-2 地域・エリア区分 66 図6-3 ゾーン区分(生態系保全ゾーン・人と自然の共生ゾーン) 67 第6章 図6-4 ゾーン区分(農業生産振興ゾーン) 68 第6章 第7章 第7章 1 農業農村整備事業における環境への対応方策 農業農村整備事業における環境配慮事項 ⑴ 農業農村整備事業の内容 農業農村整備事業※22 は事業内容が多岐にわたり、本市で実施中又は実施済の主な事 業としては次のようなものがあります。 ここでは、工種別に整備にあたって留意すべき事項を整理します。 ➀ 主な農業農村整備事業 ●かんがい排水事業 ●湛水防除事業 ●経営体育成基盤整備事業 ●一般農道整備事業 ●中山間地域総合整備事業 (ほ場整備事業) ●基盤整備促進事業 ●広域営農団地農道整備事業 (山村基幹) ●農業集落排水事業 ●基幹農道整備事業 ●農業用河川工作物応急対策事業 ●ため池等整備事業 ② 主な整備工種と整備内容 【主な整備工種】 ア ➀ほ場整備 ほ場整備 【主な整備内容】 ◇区画整理 ◇排水路整備 ◇農道整備 ◇その他整備 ◇用水路整備 イ ウ 用排水路整備 農道整備 ◇開渠工整備 ◇放水工整備 ◇合流工整備 ◇落差工整備 ◇水路橋整備 ◇サイホン工整備 ◇暗渠工整備 ◇余水吐工整備 ◇流量調整施設整備 ◇急流工整備 ◇分水工整備 ◇管理用道路整備 ◇橋梁工整備 ◇排水樋門整備 ◇その他整備 ◇車道整備 ◇橋梁工整備 ◇歩道整備 ◇トンネル工整備 ◇安全施設整備 ◇その他整備 69 第7章 【主な整備工種】 エ 頭首工整備 オ ため池整備 カ 農村集落環境 整備 ⑵ 【主な整備内容】 ◇頭首工整備 ◇護岸工整備 ◇管理棟整備 ◇安全施設整備 ◇管理用道路整備 ◇その他整備 ◇堤体整備 ◇余水吐整備 ◇護岸整備 ◇管理用道路整備 ◇取水工整備 ◇その他整備 ◇集落内水路整備 ◇農村公園整備 ◇集落内道路整備 ◇活性化施設整備 ◇営農飲雑用水施設整備 ◇その他整備 配慮すべき環境保全項目 農業農村整備事業※22 を進めていくにあたっては、 「福島県農業農村整備環境対策指針」 に則し、次の環境保全項目に配慮していきます。 ① 生態系の保全 ○希少な野生動植物の保全 ○自然環境への負荷軽減化による 生態系の保全 ○生態系に配慮した緑化保全 ○施設の構造や形状の工夫による 生態系への配慮 ○連続性に配慮した自然環境の保全と創造 ○生態系に配慮した設計・施工 ○豊かな生態系を構成する自然環境の現況 ○生態系に配慮した環境維持用水 保存 ② の確保 水環境の保全 ○水路・ため池・ダム等の水質保全 ○土砂の流入防止 ○定期的な水質調査の実施 ○ごみの流入及び投棄の防止 ○必要に応じた水質浄化対策の実施 ○水質に配慮した環境維持用水の確保 ○農業用水に対する家庭雑排水の流入防止 ○公共水域の機能保全 70 第7章 ③ 農村景観の保全 ○景観に配慮した諸施設の修景 ○景観に配慮した道水路線形の工夫 ○景観に配慮した舗装の修景 ○周辺の景観も考慮した修景 ○景観に配慮した緑化による修景 ○水辺景観に配慮した環境維持用水 ○地域の個性を演出する景観資源の保全 ④ の確保 歴史文化資源の保全 ○地域の歴史文化を感じさせる施設修景 ○地域の歴史文化を物語る資源の保護 ○地域の歴史文化資源との一体的な整備 ○地域活動拠点の充実 ⑤ 土環境の保全 ○土壌の浸食防止 ○土壌汚染防止 ○土捨場の適正保全 ○地下水汚染防止 ○遊休農地の適正管理 ○地下水遮断防止 ○地下水涵養機能の保全 ⑥ その他の保全 ○魅力ある地域資源のネットワーク形成 ○観光・レクリエーション基盤の充実 ○地域交流基盤の充実 ○清潔・安全への配慮 ○休憩・散策への配慮 ○親水機能に配慮した環境管理用水の ○親水空間の保全と創造 の確保 71 第7章 ⑶ 工種別の環境配慮事項 ① ほ場整備 【環境への対応方針】 ほ場整備は、農地等を生産性の高い条件に整備するための一連の土地改良で、その内 容には区画整理、農道整備、用排水路整備等があります。 ほ場整備は、広大な面的広がりをもち地域に大きな影響を与えることから、水環境や ビオトープの保全等地域の環境・景観に配慮するとともに、多自然型工法※9 等を積極的 に取り入れ、水生動植物の生態系に配慮した環境維持用水路の整備を図る等、地域の実 情に即し、自然や集落等の環境と調和しながら、環境創造型の整備を進めていきます。 ◆大久地区のほ場整備(左が区画整理前、右が区画整理後) ② 用排水路整備 【環境への対応方針】 用排水路は、用水の導水路及び余剰水の排水路としての重要な役割を担っていますが、 近年、単に農業用水利施設※24 としてのみならず、市民が身近に感じる水辺空間として、 地域環境に潤いと安らぎを提供する施設としての親水性が求められています。 そのため、構造や線形等の工夫による自然浄化機能の向上や地下水涵養機能の保全と 併せ、多自然型工法※9 等を積極的に取り入れ、魚道の確保、ワンドの整備等生態系に配 慮した環境づくりや、水辺の遊歩道、親水護岸等を整備し、本来の目的に加え、地域交 流や歴史・文化等地域資源を継承し自然にふれあえる場として環境創造型の整備を進め ていきます。 ◆環境保全型ブロック景観水路 (四倉町駒込) 72 第7章 ➂ 農道整備 【環境への対応方針】 農道は、農業生産活動、農産物流通への利用を主体としながら、農村生活に密着した 地域の産業・文化・経済等の活動に大きな役割を担っています。 整備沿線の地形的条件や景観資源、歴史文化的資源、地域の生態系等を踏まえるとと もに、路線選定時の配慮、通学路や歩道等交通安全性の確保、緊急時を含めた各地区や 集落を結ぶ横断状道路網整備の検討等、単に通行するのみではなく、農業生産性や農村 生活環境の向上、快適性・生態系保全・地域の個性が垣間見えるよう、周辺環境との調 和に配慮した道路の改善整備を促進していきます。 ◆広域農道「いわき地区」 ④ 頭首工整備 【環境への対応方針】 頭首工は、農業用水を河川から取水するために古くから発達した施設であり、用水路 の頭首部に設けられる水門・堰堤等の施設の総称です。 河川を横断してさえぎる人工構造物であるため、頭首工上下流の生態系を分断しない ための魚道整備や環境維持用水の確保、又、施設そのものが背景から突出しないよう地 域景観との調和に配慮した施設の修景整備等、水環境・土環境の保全と併せ、生態系や 農村景観の保全等、地域周辺環境に配慮しながら環境創造型の整備を進めていきます。 ◆愛谷堰 73 第7章 ⑤ ため池整備 【環境への対応方針】 ため池はかんがい目的、調整池はかんがい用水量の調整をするための貯水池です。 特に、ため池は古くから農業用水の供給源としての役割はもとより、動植物の生息の 場や市民へ憩いの場を提供する等の役割を担ってきました。 用排水路とともに老朽ため池の改良整備を促進し、身近な小動植物生息の場としての 環境の維持保全、水質浄化対策、周辺景観・歴史文化資源と一体となった修景整備、水 辺を利用した親水施設の創出等環境創造型の整備と環境にやさしい整備とを併せ、多面 的な活用を図っていきます。 ◆一盃森ため池 (大久町大久) ⑥ 農村集落環境整備 【環境への対応方針】 住みよい豊かな農村集落環境は、道路整備、上水道や生活排水処理施設、集会施設、 レクリエーション施設等の基盤整備が充実していることが重要な要素の一つとなりま す。 このような基盤整備に加えて、特色ある自然や農村景観の維持・保全、歴史文化資源 の保存・継承と里づくりへの活用等、快適・利便性の中に潤いや安らぎある集落環境を 形成するとともに、地域間の交流・連携と併せ自然豊かな環境を活かした地域外との交 流や活性化を目指した、それぞれが個性的で魅力ある農村集落環境づくりを進めていき ます。 ◆三和町下市萱の風景 74 第7章 ⑷ 本市における環境に配慮した施工例 本市で農業農村整備事業※22 の際に、 環境に配慮した施設を創造した例を紹介します。 ➀ 魚道ブロック ア 事業概要 事業名 場所 事業 工期 イ 中山間地域総合整備事業 地区名 三和 いわき市三和町下市萱 施設名 魚道ブロック 平成 13 年度~平成 20 年度 施工 年度 平成 16 年度 環境配慮事項 主な環境配 慮対象生物 魚類(ヤマメ、ウグイ) 目的 三面張排水路内に生息する魚類の遡上や生態系保全に配慮し、水路内に 魚道ブロックを設置した。 効果 主な環境配 水路法面には草が生い茂り、景観に馴染んでいる。 慮事項等 水路内ではヤマメ等の生息が確認されている。 なお、本水路には、景観部1箇所、粗石付落差工 10 箇所、本流部があ る。 景観部では、置き石部の淀みと本琉部の流れに分かれ、それぞれの生態 系が保全されていると考えらえる。 ウ 位置図 対象水路 75 第7章 エ 平面図と断面図 平面図 断面図 ➂ ② ➀ ④ 番号は写真撮影位置 オ 水路の写真 写真撮影位置➀ 写真撮影位置② 魚道ブロック(写真撮影位置➂) 景観部(写真撮影位置④) 76 第7章 ② 石積護岸水路 ア 事業概要 事業名 場所 事業 工期 イ 経営体育成基盤整備事業 地区名 渡戸 いわき市三和町渡戸 施設名 石積護岸水路 平成 11 年度~平成 16 年度 施工 年度 平成 16 年度 環境配慮事項 主な環境 配慮対象 魚類(アブラハヤ、ウグイ、ヤマメ) 生物 目的 本水路の上流にある楢木第2堰に生息する魚類等の流下や、下流で合流 する好間川からの遡上が考えられること、また、水路周辺の植物や周囲景 観への配慮・調和を図ることを目的に、現場で発生した自然石を使用し護 岸を整備した。 主な環境 配慮事項 等 配慮・工夫した点 自然石使用により水路断面に、淀みと浅瀬を創生し、魚類等の遡上に配 慮した。 地元の反応 疑似製品による施工も考えたが、地元の石を積極的に活用するよう要望 があがり、関心が高かった。 コスト面で工夫した点 事業区域内で確保した現場発生石を使用していたが、数が足りず、近傍 の林道工事や国道工事から調達した。 ウ 位置図 対象水路 77 第7章 エ 断面図 オ 水路の写真 三面コンクリート水路 石積護 岸水路 カ 水路内で確認できた生物 ウグイ ホトケドジョウ 78 第7章 ➂ 魚道 ア 事業概要 事業名 場所 事業 工期 イ 農業用河川工作物応急対策事業 地区名 酒井 いわき市勿来町酒井関根 施設名 魚道 平成 20 年度~平成 24 年度 施工 年度 平成 24 年度 環境配慮事項 主な環境 配慮対象 魚類(ウグイ、ヤマメ、オイカワ、フナ類等) 生物 目的 2級河川蛭田川にある酒井堰には、魚道等は備わってなかったが、堰を 新たに改修するのに併せ、魚が遡上できるよう左岸に魚道を設置した。 主な環境 配慮事項 等 効果 河川における上下流の生態系を分断することにはならず、生態系の保全 が期待できる。 設置した魚道はバーチカルスロット式で、プール隔壁の同一方向に縦長 の隙間(バーチカルスロット)を空けたもので、魚はプールの壁を乗り越 えるのではなく、隙間を泳いで次のプールに進み、力のない魚類が遡上す るのに適している。 ウ 位置 酒井堰 79 第7章 エ 平面図と標準断面図 ② ➂ ➀ ※番号は写真撮影位置 カ 写真 魚道 写真撮影位置➀(酒井堰) 写真撮影位置② 写真撮影位置➂ 魚道内で確認できたモクズガニ 80 第8章 第8章 農業農村整備事業における整備計画 1 環境創造区域と環境配慮区域の設定 農業農村整備事業※22 における工事の際の環境配慮の方針として、次の2つの区域を設 定します。 今後は、この区域の考え方に基づいて農業農村整備事業※22 を実施していきます。 ⑴ 環境創造区域 ➀ 区域の考え方 農業農村整備事業※22 の実施にあたり、自然と共生する環境を創造する区域で、次の ような整備を行う区域を設定します。 事業完了後、環境配慮施設が形として残る整備を行います。 <例> ●水路等で生物の生態系に配慮した護岸整備(ホタル、メダカ等) ●河川の上下流の生態系を分断しないよう堰に設置する魚道 ② 対象区域の設定 工事の際に、多自然型工法※9 を取り入れることが想定される農業農村整備事業※22 の計画のある地域及び事業実施中の地域を「環境創造区域」として設定します。 なお、今後地域の要望等により、急遽、農業農村整備事業※22 の実施が決まった際 等には、整備内容を考慮し新たに「環境創造区域」を設ける場合もあります。 (2)環境配慮区域 ➀ 区域の考え方 農業農村整備事業※22 の実施にあたり、環境への影響緩和等を配慮して工事を実施す る区域で、次のような整備を行う区域を設定します。 事業完了後、環境配慮施設は形として残りません。 <例> ●自然生態系の拠点となっている場を避けるよう水路や農道のルート、線形の変更 ●施工の際、一時的に、動物を捕獲・移動 ●低騒音の作業機械の使用 ② 対象区域の設定 上記の環境創造区域を除く、農業振興地域※20 を「環境配慮区域」として設定しま す。 81 第8章 2 環境創造区域と環境配慮区域における農業農村整備事業の整備計画 ⑴ 環境創造区域内の整備計画 図の 位置 ➀ ② ➂ ④ ⑤ 事業名 復興再生基盤総合整備 地区名 予定 工期 主な事業内容 大久 H19~ 区画整理工 大野第二 H23~ 区画整理工 下仁井田 H25~ 区画整理工 夏井 H25~ 区画整理工 錦・関田 H25~ 区画整理工 (農業用河川工作物応 上仁井田 H29~ 頭首工 H30~ 頭首工 事業(農地整備事業) 復興再生基盤総合整備 事業(農地整備事業) 復興基盤総合整備事業 (農地整備事業) 復興基盤総合整備事業 (農地整備事業) 復興基盤総合整備事業 (農地整備事業) 農村地域防災減災事業 ⑥ 急対策事業) 農村地域防災減災事業 ⑦ (農業用河川工作物応 上高久 急対策事業) ⑧ 農地整備事業 神谷 H32~ 区画整理工 ⑨ 農地整備事業 山田 H32~ 区画整理工 ⑩ 農地整備事業 大野第三 H33~ 区画整理工 ※1 今後、急遽、農業農村整備事業の実施が決まった際等には、事業を追加する場 合があります。 ※2 上記表内の「図」とは、83 ページ「図8-1」のことを指します。 82 第8章 ⑵ 環境配慮区域内の整備計画 図の 事業名 位置 ⑪ 広域営農団地農道整備 事業 地区名 予定 工期 主な事業内容 いわき H3~ 農道工 ⑫ 基幹農道整備事業 釜ノ前3期 H7~ 農道工 ⑬ 湛水防除事業 菅波 H20~ 排水機場(排水ポンプ工) ⑭ 基幹農道整備事業 釜ノ前4期 H26~ 農道工 細谷・沢帯 H26~ 大越藤間第二 H26~ 排水機場補修更新 夏井川左岸 H26~ 用水路補修更新 下仁井田 H29~ 排水機場補修更新 鮫川堰 H31~ 用水路補修更新 ⑮ ⑯ ⑰ ⑱ ⑲ 復興基盤総合整備事業 (農地防災事業) 基幹水利ストック マネジメント※7 事業 基幹水利ストック マネジメント※7 事業 基幹水利ストック マネジメント※7 事業 基幹水利ストック マネジメント※7 事業 ポンプ増設、既設排水機場 の強化(2箇所) ※1 今後、急遽、農業農村整備事業の実施が決まった時等には、事業を追加する場 合があります。 ※2 上記表内の「図」とは、83 ページ「図8-1」のことを指します。 83 第8章 図8-1 環境創造区域・環境配慮区域の設定 ➀ ⑪ ② ⑥ ⑰ ⑩ t ⑧ ➂ y ⑭ ⑬ ⑦ ⑫ ⑲ ⑨ ⑤ 84 ⑱ ⑮(細谷) ⑮(沢帯) ⑯ ④ 第9章 第9章 1 計画の推進 推進体制 本計画の推進に向けた施策等を、次のとおり整理します。 図9-1 計画の推進に向けた施策 ➀本計画の周知 ②農村環境の保全に関する理解や活動の きっかけづくり ⑴住民参加 ●啓発活動 ●子供たちへの農業体験・環境教育 ③協働型による事業の実施 ●説明会等による事業の周知 ●地域住民参加による計画づくり ●地域住民の主体的な活動への支援 ➀庁内関係部署との連携・調整 ⑵関係機関との ②計画的な事業の推進 連携 ➂国・県・関係機関等との連携 85 第9章 ⑴ 住民参加 ➀ 本計画の周知 本計画が提唱する保全や整備方針等を理解してもらうため、JAや土地改良区 ※16 等の関係団体へ配布し周知するとともに、計画の内容を市公式ホームページ等を通じ て広く市民に周知します。 ② 農村環境の保全に関する理解や活動のきっかけづくり ア 啓発活動 本計画の内容に限らず、農村環境の保全、農業・農村の多面的機能※23、農業農村 整備事業※22 等への理解、関心、保全活動等を始めるきっかけづくりとして、各種 環境学習会やイベントの開催、シンポジウムの開催等の啓発活動に努めます。 イ 子供たちへの農業体験・環境教育 福島県農村振興課が実施した農作業体験学習実態調査結果によると、農作業体験 学習を実施する小学校数は東日本大震災直後の平成 23 年度に急減しましたが、その 後回復傾向にあります。 本市において平成 26 年度に農作業体験学習を実施した学校は、回答校 63 校中 31 校で実施率は 49%になります。 農作業体験を実施していない理由として、 「放射線への対応について保護者等の理 解が得るのが困難」や「東日本大震災の影響により、田んぼ・畑の利用ができない」 といった理由が多いという結果となっていますが、条件が整えば農作業体験学習を 実施したい学校が約 65%を占め、農作業体験学習の教育効果は広く認識されている と考えられます。 ついては、放射線への対応に留意しつつ次代を担う子供たちに対し、学校、地域 農家等と連携して、安心して農業体験や環境教育等の機会を提供できるように努め ます。 福島県は、小学生に農業を体験できる機会を提供する目的で「ふくしまの農育」 推進事業を実施しており、このような事業の推進に連携して取組みます。 ③ 協働型による事業の実施 ア 説明会等による事業の周知 農業農村整備事業※22 の実施予定地区においては、構想段階から整備の内容や事 業の進め方について、地域の代表者や関係者と綿密な打合せをして進めています。 事業の受益者である農家や、恩恵を受ける地域住民等に対しても、必要に応じて 説明会等を開催し、理解と協力を得るよう努めます。 86 第9章 イ 地域住民参加による計画づくり 農業農村整備事業※22 の構想・調査・計画検討等の早い段階から、地域住民の意 向を踏まえた整備計画が策定されることが望ましいです。 事業主体は、説明会等の開催により計画づくりへの住民参加に取組む必要があり、 整備内容や将来の維持管理に至るまで、地域の合意形成がまとまるように努めます。 ウ 地域住民の主体的な活動への支援 本市には、農業や環境保全に関する市民組織等が活動しており、こうした市民組 織の主体的な活動が充実できるよう、関係機関と連携を図り人材の育成に努めます。 また、農業農村環境の整備に関する支援ができるように、研修会等による技術職 員の育成、各種パンフレットの作成や周知に努めます。 なお、第5章で述べたとおり、本市には多面的機能支払交付金制度※10 を活用した 地域活動組織が多数あります。 このような地域コミュニティによる活動に対して支援を継続するとともに、新規 活動希望組織に対しては、説明会を開催する等して同制度の活用が図れるよう支援 します。 また、ビオトープ空間のような環境向上につながる取組みを希望している地区が ある場合には、すでに主体的な活動を実施している地区の事例を紹介したり、取組 み手法を助言する等、地域の環境づくりに対して支援します。 ⑵ 関係機関との連携 ➀ 庁内関係部署との連携・調整 本計画が提唱する内容を推進するためには、庁内関係部署の理解と相互の連携が不 可欠です。 本計画の所管である農林水産部農地課が中心となり、関連計画や関連事業の調整を 図り、効率的、効果的な農業農村整備事業※22 を推進します。 また、環境教育等の分野においても、関係部署との連携に努めます。 ② 計画的な事業の推進 農業農村整備事業※22 の実施にあたっては、事業の重要性・緊急性、地元合意形成 の熟度、事業効果等、多様な視点から検討するとともに、国や県の各種補助事業の積 極的活用や市の財源の確保に努め、長期的な行財政運営の視点に立った計画的かつ効 率的な事業の推進を図ります。 ➂ 国・県・関係機関等との連携 本計画が提唱する内容を推進するためには、庁内のみならず関係機関との連携が不 可欠であり、今後も国、県等の行政機関をはじめ、JAや土地改良区※16 等との連携 を図ります。 87 第9章 2 今後の展開 旧計画においても、第8章の内容のとおり「環境創造区域」と「環境配慮区域」を設 定し、「環境創造区域」内では、周辺環境への影響に配慮した施設を創造しました。 例えば、 環境保全型ブロックや自然石を使用による護岸整備、ビオトープの設置等です。 これらの地区においては、本計画策定にあたる現地調査により、地区によって差はある ものの様々な水生生物が確認できました。 今後実施する農業農村整備事業※22 においても、環境保全・配慮に関する取組みがな されているかを検証していくともに、特に「環境創造区域」内においては、整備事業完了 後の現地調査等により、区域内の生態系が保全されているか等経年的な検証・評価にも努 めてまいります。 出典:農林水産省発行パンフレット「生きものたちの住む農村を目指して」 88 終わりに (仮称)新いわき市農村環境計画の検討を終えて (正式名称は第3回策定委員会で決定予定) (仮称)新いわき市農村環境計画策定委員会委員長 福島工業高等専門学校 建設環境工学科 教授 原田 正光 89 参考資料 参考資料 90 参考資料 1 策定体制と経過 ⑴ 本計画の策定体制 ●(仮称)新いわき市農村環境計画策定委員会 本計画を策定するにあたり、必要な事項を審議するために設置した委員会で、知識有 識者、農業分野又は自然・環境分野の団体、関係行政機関から構成されています。 実施体制図 事務局 ○素案の作成 素案の 提 ○委員会運営 示 新 (仮称)新いわき市農村環境計画 策定委員会 ○計画(案)の検討・審議 計画の 農 提 村 示 環 ○計画(案)の承認・決定 境 計 画 庁内関係課 等からの意見 パブリックコメント ○意見収集、整理 ○結果の反映 ⑵ 策定経過 実施日 平成 27 年5月 11 日 平成 27 年7月 23 日 実施内容 「 (仮称) 」新いわき市農村環境計画策定委員会設置要綱」の制定 策定委員会委員委嘱状交付式 第1回策定委員会 平成 27 年8月 27 日 現地視察会(三和町・小川町・四倉町地内) 平成 27 年 10 月 29 日 第2回策定委員会 平成 28 年1月5日 ~平成 28 年1月 19 日 市民意見募集(パブリックコメント) 平成 28 年1月○日 第3回策定委員会 平成 28 年2月○日 市民意見募集(パブリックコメント)の結果公表 平成 28 年2月○日 策定委員会より「提言書」を市長へ提出 91 参考資料 ⑶ 策定委員会名簿 (敬称略、全 13 名) 区分 氏 名 委員長 原田 正光 副委員長 草野 弘嗣 委員 草野 京子 委員 佐々木 秀明 委員 塩 光輝 委員 鳥海 陽太郎 委員 新妻 ゆき子 委員 蛭田 元起 委員 蛭田 秀史 委員 古川 眞智子 委員 村上 佐俊 委員 吉田 正明 委員 吉村 作治 所 属 等 福島工業高等専門学校 建設環境工学科 教授 福島県土地改良事業団体連合会 いわき支部長 いわき市農業協同組合女性部 部長 いわき明星大学 科学技術学部 准教授 茨城大学 名誉教授 いわき地域学會 自然部会長 いわき市認定農業者協議会 会員 いわき市農業委員会 農地部会長 いわき農業青年クラブ連絡協議会 副会長 福島県植物研究会 会員 福島県いわき農林事務所 農村整備部長 (公財)日本野鳥の会いわき支部 副支部長兼事務局長 東日本国際大学 学長 92 備 考 知識経験を有する者 農業分野の団体 農業分野の団体 知識経験を有する者 知識経験を有する者 自然・環境分野の団体 農業分野の団体 行政機関 農業分野の団体 自然・環境分野の団体 行政機関 自然・環境分野の団体 知識経験を有する者 参考資料 ⑷ 策定委員会設置要綱 (仮称)新いわき市農村環境計画策定委員会設置要綱 (目的) 第1条 本市の環境に配慮した農業農村整備事業の基本構想を定めたいわき市農村環 境計画の次期計画(以下「次期計画」という。)の策定において、必要な事項を審議 するため、(仮称)新いわき市農村環境計画策定委員会(以下「委員会」という。) を設置する。 (所掌事項) 第2条 委員会は、以下の事項を所掌する。 ⑴ 次期計画原案の策定 ⑵ その他必要な事項 (組織) 第3条 委員会は、14名以内の委員をもって組織する。 2 委員は、次の各号に該当する者のうちから市長が委嘱する。 ⑴ 知識経験を有する者 ⑵ 関係団体 ⑶ 行政機関 ⑷ その他市長が必要と認める者 (委員長及び副委員長) 第4条 委員会に委員長及び副委員長を置き、それぞれ委員の互選により選任する。 2 委員長は、会務を総理し、委員会を代表する。 3 副委員長は、委員長を補佐し、委員長に事故あるとき又は委員長が欠けたときは、 その職務を代理する。 (会議) 第5条 委員会は、委員長が招集し、委員長が会議の議長となる。 2 委員長は、必要があると認めたときは、委員以外の者を委員会に出席させ、意見 を聴くことができる。 (事務局) 第6条 委員会の事務局は、いわき市農林水産部農地課内に置く。 (補則) 第7条 この要綱に定めるもののほか、必要な事項は別に定める。 1 2 附 則 この要綱は、平成27年5月11日から実施する。 この要綱は、次期計画が策定された日に、その効力を失う。 93 参考資料 2 ⑴ 計画策定への市民意見 策定委員会から市長への提言 (仮称)新いわき市農村環境計画の原案提出にあたっての (仮称)新いわき市農村環境計画策定委員会からの提言 平成 28 年2月○日 (仮称)新いわき市農村環境計画策定委員会 委員長 原田 正光 94 参考資料 ⑵ 「(仮称)新いわき市農村環境計画(素案)」に係る市民意見募集(パブリック コメント)の実施結果 ➀ 概要 ア 対象要件 (仮称)新いわき市農村環境計画(素案) イ 意見募集期間 平成 28 年1月5日(火)~平成 28 年1月 19 日(火) 15 日間 ウ 資料の公表 ○市公式ホームページへの資料掲載 ○担当課(農林水産部農地課)における資料提供 ○いわき市役所本庁舎1階市民ロビー、各支所の情報公開コーナーへの資料備え付け エ 意見提出方法 任意の様式に意見、住所、氏名、年齢、性別、電話番号を記入し、農地課に直接持 参するか、郵送、FAX 又は電子メールにより提出 ② 結果 ➂ 素案に対する市民意見の内容及び市民に対する市の考え方 95 参考資料 3 番号 用語解説 用語 (掲載ページ) 意味 地下水位が高いために収穫量が少ないとか農 ※1 暗渠排水 作業が困難である等の水田に対し、地下に素焼 (12 ページ) 管、化学製品管、そだ等を埋設し地下水位を下げ 乾田化を図って水田の汎用化を図る方策。 出典 農林水産用語集 (福島県農林水産 部発行) 「環境保全型農業の基本的考え方」(平成6年 4月農林水産省環境保全型農業推進本部)によれ ば、「農業の持つ物質循環機能を生かし、生産性 との調和に留意しつつ、土づくり等を通じて、化 ※2 環境保全型農業 学肥料、農薬の使用等による環境負荷の軽減に配 農林水産省 (15 ページほか) 慮した持続的な農業」と定義されており、地域の ホームページ 慣行(地域で従来から行われている方法)に比べ て農薬や化学肥料の使用量を減らしたり、堆肥に よる土づくりを行う等、環境に配慮した農業をい う。 農業を営む者が、観光客等の第三者にほ場にお ※3 観光農園 いて、自ら生産した農産物の収穫等の一部の農作 農林水産省 (56 ページほか) 業を体験又はほ場を観賞させて代金を得ている ホームページ 事業。 グリーンツーリ ※4 ズム (48 ページ) 福島県農林水産業 農山漁村において、その土地の自然、文化、人々 振興計画「ふくし との交流を楽しむ滞在型の余暇活動。 ま農林水産業新生 プラン」 福島県農林水産業 ※5 潮目 (9ページ) 寒流と暖流等異なる二つの潮流の接する海面 振興計画「ふくし に現れる帯状の筋。 ま農林水産業新生 プラン」 都市計画区域のうち、都市計画法第7条の規定 ※6 市街化区域 に基づき定められている、すでに市街地を形成し 農林水産省 (30 ページほか) ている区域及びおおむね 10 年以内に優先的かつ ホームページ 計画的に市街化を図るべき区域。 施設の管理段階から、機能診断を踏まえた対策 の検討・実施とその後の評価、モニタリングまで ストックマネジメ ※7 ント (83 ページ) をデータベースに蓄積された様々なデータを活 農林水産省 用しつつ進めることにより、リスク管理を行いつ ホームページ つ施設の長寿命化とライフサイクルコストの低 減を図るための技術体系及び管理手法の総称。 96 参考資料 番号 ※8 ※9 用語 (掲載頁) 生物相 (11 ページ) 多自然型工法 (72 ページほか) 意味 出典 一定の場所・地域に生息する生物の全種類。動 物相と植物相だけを合せていうこともあるが、基 広辞苑 本的には菌類相や微生物相等も含む。 人間の利便性追及型社会から地球環境や自然 EICネット(一 生態系に配慮した社会(環境保全型社会)に変え 般財団法人環境イ ていくことを基本的な考えとして生まれた近自 ノベーション情報 然工学を技術的側面から捉えたもの。同義語は、 機構が運用するホ 「近自然工法」。 ームページ) 多面的機能支払 制度 ※10 農業・農村の多面的機能が適切に発揮されるよ ( 多 面 的 機 能 支 う、国及び地方自治体が連携し、交付金により地 払交付金制度) 域の共同活動を支援する制度。 農林水産省 ホームページ (16 ページほか) 1次産業の農林漁業者は生産に留まる側面が ※11 地域産業6次化 (8ページ) あるが、加工(2次)、販売・多様なサービス提 供(3次)に農林漁業者が関わることで、生産物 に新たな付加価値を加えて、収入の増加を目指す 取組み。 福島県農林水産業 振興計画「ふくし ま農林水産業新生 プラン」 平野の外縁部から山間地のこと。 狭義では、農林統計上用いられている地域区分 のうち、中間農業地域と山間農業地域を合わせた 地域を指す。 なお、食料・農業・農村基本法(平成 11 年法 律第 106 号)第 35 条において、中山間地域等は ※12 中山間地域 「山間地及びその周辺の地域その他の地勢等の 農林水産省 (30 ページほか) 地理的条件が悪く、農業の生産条件が不利な地 ホームページ 域」と定義されている。 この場合の「中山間地域等」は、上記の農林統 計上の「中山間地域」のほか、諸条件が不利な地 域である地域振興立法(過疎法、山村振興法、特 定農山村法、離島振興法、半島振興法等)の対象 地域が含まれる。 中山間地域等 直接支払制度 ※13 (中山間地域等 直接支払交付金 制度) 中山間地域等直接 農業の生産条件が不利な中山間地域等におけ 支払制度パンフレ る農業生産活動を継続するため、国及び地方自治 ット(第4期対策) 体が連携し、交付金により支援を行う制度。 (農林水産省発 行) (16 ページほか) 97 参考資料 番号 用語 (掲載頁) 意味 出典 外来生物(海外起源の外来種)であって、生態 系、人の生命・身体、農林水産業へ被害を及ぼす ※14 特定外来生物 もの、又は及ぼす恐れがあるものの中から指定さ 環境省 (18 ページほか) れる生物。 ホームページ 特定外来生物は、生きているものに限られ、個体 だけではなく、卵、種子、器官等も含まれる。 都市計画の内容及びその決定手続、都市計画制 限、都市計画事業その他都市計画に関し必要な事 項を定めることにより、都市の健全な発展と秩序 ※15 都市計画区域 (30 ページ) ある整備を図り、国土の均衡ある発展と公共の福 祉の増進に寄与することを目的として、「都市計 農林水産省 ホームページ 画法」 (昭和 43 年法律第 100 号)第5条に基づき 指定されている区域。 土地改良法に基づき、土地改良事業に参加する ※16 土地改良区 (86 ページほか) 資格を有する者(有資格者)の3分の2以上の同 農 林 水 産 用 語 集 意を得たうえで 15 人以上の有資格者が、都道府 (福島県農林水産 県知事に設立の認可を申請し、認可を受けて設立 部発行) される法人。 ※17 ※18 土地改良法 (1ページ) トレーサビリティ (15 ページ) 農用地の改良、開発、保全及び集団化に関する 事業(土地改良事業)を適正かつ円滑に実施する ために必要な事項を定めている法律。 追跡が可能であることを意味し、問題発生時に 食品の流通ルートを遡ることによって問題の原 因把握、当該食品の回収・撤去を容易にする体制。 農林水産省 ホームページ 福島県農林水産業 振興計画「ふくし ま農林水産業新生 プラン」 農業経営基盤強化促進法(昭和 55 年法律第 65 号)の規定に基づき、都道府県の作成した基本方 ※19 認定農業者 (14 ページほか) 針、市町村の農業経営基盤強化のための基本構想 に基づく「農業経営改善計画」を市町村に提出し、 農林水産省 ホームページ 認定を受けた農業者(法人を含む)。 自然的経済的社会的諸条件を考慮して総合的 に農業の振興を図ることが必要であると認めら れる地域について、農業の健全な発展を図るとと ※20 農業振興地域 (6ページほか) もに、国土資源の合理的な利用に寄与することを 目的として、 「農業振興地域の整備に関する法律」 (昭和 44 年法律第 58 号)第6条1項に基づき指 定されている区域。 98 農林水産省 ホームページ 参考資料 番号 用語 (掲載頁) 意味 出典 農業生産活動を行う上で必要な関係法令等の 農業生産工程 ※21 管理(GAP) (15 ページ) 内容に則して定められる点検項目に沿って、農業 農林水産省 生産活動の各工程の正確な実施、記録、点検及び ホームページ 評価を行うことによる持続的な改善活動のこと。 水田で必要な農業用水を確保するためのダム ※22 農業農村整備 や堰の建設、営農条件を改善するための水田、畑 事業 の整備、農産物などを運搬するための農業用道路 (1ページほか) の整備、農村の環境整備などを行っている事業の 農林水産省 ホームページ 総称。 国土の保全、水源の涵養(かんよう)、自然環 農業・農村の有 ※23 境の保全、良好な景観の形成、文化の伝承等、農 す る 多 面 的 機 能 村で農業生産活動が行われることにより生ずる、 (1ページほか) 食料その他の農産物の供給の機能以外の多面に 農林水産省 ホームページ わたる機能のこと。 ※24 農業用水利施設 農業用水を貯めておくダムやため池、川から取 福島県農林水産業 水するための堰やポンプ場、さらには、これらの 振興計画「ふくし (14 ページほか) 水を田や畑まで引いてくる水路等、農業用水を利 ま農林水産業新生 用するための施設。 プラン」 農業農村整備事業の当初事業計画の作成段階 農村環境アドバ ※25 イザー (53 ページ) 等において、「自然環境との調和への配慮」等に 関し、調査主体及び事業主体に対し助言を行う 農村環境アドバイ ザー設置要綱(福 島県の要綱) 者。 地域内の分散し錯綜した農地利用を整理し、担 い手ごとに集約化する必要がある場合や、耕作放 棄地等について、農地中間管理機構が借り受け、 農地中間管理 ※26 事業 (58 ページ) 必要な場合には基盤整備等の条件整備を行い、担 い手がまとまりある形で農地を利用できるよう 配慮して貸し付ける事業。 なお、農地中間管理機構とは、上記事業を行う 公益財団法人福島 県農業振興公社ホ ームページ ことを目的とし、都道府県知事が農地中間管理事 業の推進に関する法律(平成 25 年法律 101 号) 第4の規定に基づき指定した団体のことである。 福島県農林水産業 ※27 農地の利用集積 特定の農業者が、「所有」「借入」「農作業委 振興計画「ふくし (14 ページほか) 託」により、農地を集積し利用すること。 ま農林水産業新生 プラン」 99 参考資料 番号 用語 (掲載頁) 意味 農用地の有効利用と効率的かつ安定的な農業 ※28 農地の流動化 経営の確立を目指して、地域の農業に意欲的な農 (57 ページほか) 家に農用地を利用する権利を与え、又は所有権を 移転することで土地利用の集積を図ること。 人・農地プラン ※29 (経営再開マスタ ープラン) (14 ページほか) 利用権設定等 ※30 促進事業 (58 ページ) 集落や地域における今後の中心となる経営体 やそれ以外の農業者を含めた地域農業のあり方 を定めたもの。 出典 農林水産用語集 (福島県農林水産 部発行) 農林水産省 ホームページ 農業経営基盤強化促進法に基づく市町村基本 構想に従って実施される農業経営基盤強化促進 農林水産省 事業の一つで、農用地について利用権の設定・移 ホームページ 転、所有権の移転を促進する事業。 100 (仮称)新いわき市農村環境計画【素案】 発行年月 発 行 平成 28 年○月 いわき市農林水産部農地課 〒970-8686 福島県いわき市平字梅本 21 番地 TEL 0246-22-1139(計画指導係直通) FAX 0246-22-7634 URL http://www.city.iwaki.fukushima.jp/
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