2016年度入試動向 2016年度入試直前動向①~人気の系統は?~ 2015/12/21 いよいよセンター試験まで残り1ヶ月となった。そこで、今号より来春(2016 年度)入試の展望を数回に 分けてお伝えする。今号では、河合塾が実施した全統マーク模試の結果を踏まえながら、学部系統の人気とそ の背景について取り上げる。 ■「文高理低」は来春も継続 【図表1】は今秋実施した第3回全統マーク模試における学部系統別志望動向である。国公立・私立ともに理 系学部よりも文系学部の人気が高くなっている。 2014 年度入試までの数年間は、卒後の進路がイメージしやすい資格が取れる学部や理系学部に人気が集ま っていた。しかし、2015 年度入試では、大学生の就職状況が改善してきたこともあり、理系学部よりも文系 学部が人気となる「文高理低」の入試となった。2016 年度入試も、この「文高理低」の流れが継続しそうで ある。 文系ではとくに社会科学系の各系統で志望者の増加が目立つ。 「法・政治」 「経済・経営・商」学系は国公立・ 私立ともに前年から1割ほど志望者が増加しており、人気となっている。なお、来春は 15 の国立大で教育学 部の総合科学課程廃止の動きがある。志望者の減少幅が大きいのはそのためである。 文系人気の一方、理系学部にかつての勢いは見られない。国公立大では「理」、 「農」学系は志望者減少、 「工」 学系では前年並みとなっている。私立大では志望者が減少している学系は見られないものの、私立大全体の増 加率と比べると数値が低く、人気は低調と言える。 医療系では、国公立大はほとんどの分野が前年並みの志望者数となっている中、「看護」分野の志望者が前 年比 104%と変わらず高い人気を示している。ただし、センター試験理科を負担の軽い理科①で受験可能な大 学で志望者の増加、理科②2科目が必要な負担の重い大学で志望者の減少が目立ち、設定科目により人気に差 が出ている。私立大では「医」 「歯」 「看護」の各分野では志望者が大きく増加しており、堅調な人気となって いる。その中で「薬」学部のみ志望者数が前年並みにとどまり、人気は低調である。 【図表1】系統別の志願者数の推移 <私立大(一般+センター方式)> <国公立大(前期日程)> ※第 3 回全統マーク模試より -1© Kawaijuku Educational Institution. ■社会科学-国際系の新設、女子志望者の増加が人気を下支え 【図表2】は人気の社会科学系の各分野の志望動向である。 「国際」学系では学部の新設が、国公立・私立とも に志望者の増加に大きく影響している。また、 「法・政治」学系は、国公立大では難関大よりも準難関大や地 方大で志望者の増加が目立つ。とくに地方大の政策系学部では、廃止が相次ぐ教育学部の総合科学課程志望者 の受け皿となっている大学も見受けられ、これが分野の志望者増につながっている。私立大では「法・政治」 「経済」「経営・商」学系の志望者増加率が高く、人気となっている。各分野とも幅広い難易度帯で志望者が 増加しており、人気の底堅さを感じる。女子志望者が増加していることも人気を支える要因の一つである。 【図表2】社会科学系の志望動向 <国公立大> <私立大> ※第 3 回全統マーク模試より、国公立大は前期日程で集計 ■理工系学部-工学系では分野により人気に差も 数年前に理系人気となった折、真っ先に人気が出た理学部は、一転「理低」の代表格となっている。【図表3】 は理工系学部の各分野の志望動向である。理学系では国公立大の「化学・生物」分野が年間を通じて志望者の 減少率が高い。工学系では分野により人気差が出ている。 「電気電子・通信情報」分野の「電気電子」では国 公立・私立ともに志望者が減少している。一方、増加が目立つのは「建築・土木環境」分野である。 【図表3】理工系学部の志望動向 <国公立大> <私立大> ※第 3 回全統マーク模試より、国公立大は前期日程で集計 以上、2016 年度入試直前の学部系統の人気について見てきた。「文高理低」の流れ自体はこのまま本番入試 でも続くと思われるが、センター試験の平均点の変動が志望動向に与える影響は小さくない。 「法」と「経済・ 経営・商」、 「医」 ・ 「歯」 ・ 「薬」のような隣接する学部系統、同系統内の難関大と地方大の動向など、現時点と は異なる傾向となる可能性が残る。センター試験後の最新動向は、入試情報サイト Kei-Net などで紹介してい きたい。 -2- © Kawaijuku Educational Institution.
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