『銀行業界鳥瞰図』試行版-Vol.5

銀行業界鳥瞰図
2015 年 12 月 21 日
無料試行配信版 第 5 号
【私募投資信託関連統計(2015 年 11 月版)】
(
私募投純資産は 20 ヶ月連続で最高額更新、60 兆円突破
CONTENTS
1
2
3
私募投純資産は 20 ヶ月連続
で最高額更新、60 兆円突破
今年度の累計設定額は前年
度比 80%増
投信会社別ランキング表も更
新
2015 年 11 月末の私募投資信託(以下、私募投)純資産残高は、61 兆 4,768 億
円と初めて 60 兆円台を突破した。14 年 4 月以来、20 ヶ月連続で最高額を更新
中である。
[図表 1]は、私募投の純資産残高の前月比増減状況を要因別に分解(設定額、
解約・償還額、運用増減額)したものだ。今年度に入って、6 月、8 月、9 月の「運
用増減額」は大幅なマイナスであったので、やはり「日本株式の組み入れ比率」
が相応に高いものと推定される。だが、「設定額」が本年 2 月以降、10 ヶ月連続
で 2 兆円を超す極めて高い水準にあり、結果として、異例とも言える息の長い純
資産増が続いている。
なお、図表には示していないが、11 月末のファンド数は 3,919 本、1 本当たりの
平均純資産は 157 億円となっている。第 2 次安倍政権が成立した 12 年 12 月
末は、純資産 31 兆 8,185 億円、ファンド本数 2,753 本、1 本当たり平均純資産
は 116 億円であった。この間の増加率は、それぞれ、93.2%、42.4%、35.7%で
あり、アベノミクス導入後の「私募投の隆盛」は凄まじい。
「私募投」を
終わった商品と
認識していたのは
筆者の見通しの誤り
リーマン・ショック後、私募投の設定は低迷し、筆者は「成長の終わった商品」と
認識していたので、この点に付いては、見通しが甘かったと反省している。だが、
私募投マーケットの復活とその背景(銀行経理の歪み)を逸早くレポートしたの
は、旧『銀行業界鳥瞰図』であったと思う。銀行アナリスト稼業も来年 28 年目を
迎える。長く続けていれば(稀にはであるが)見通しを誤る事もある。
[図表 1] 私募投資信託純資産の前月比増減額の要因別分析
20 ヶ月連続での
純資産前月比増は
やはり凄い事だ
(出所) 投資信託協会「私募投資信託の純資産増減状況」をもとに、トリグラフ・リサーチ作成
銀行業界鳥瞰図
今年度の累計設定額は前年度比 80%増
続いて、設定額と解約額(売買額に相当)の過去 10 年間の推移を[図表 2]に描
いた。ここで、今年度 11 月まで(9 ヶ月間)の累計額を示そう。設定額 20 兆
8,642 億円(前年同期比+80.3%)、解約額 9 兆 6,723 億円(+11.3%)、合計額
30 兆 5,365 億円(+50.7%)である。
トレーディング的運用
と言うよりも
「急速に進む積み上げ」
という表現が相応しい
これまで筆者は、「トレーディング的運用」という表現を用いてきたが、これが相
応しかったのは昨年の夏場頃までなのかもしれない。確かに、解約額も高水準
で、かつ、増加基調にあるが、それを大幅に上回るペースで設定額が増えてお
り、今年度に入ってからの状況は「急速に進む私募投の積み上げ」とする方が
妥当と思える。
[図表 2]私募投資信託 設定額・解約額の月次推移
昨年秋頃から
設定額の増加に
一気に拍車が掛かった
(出所) 投資信託協会「私募投資信託の純資産増減状況」をもとに、トリグラフ・リサーチ作成
投信会社別ランキング表も更新
最後に、投信会社別の純資産残高(11 月末)、純資産増減率(8 月末→11 月
末)及び、本年 8 月~11 月累計設定額のランキング表を示そう。次ページの[図
表 3]である。
私募投信マーケットで
どの投信会社が
メジャー・プレイヤーで
あるかを知る資料
投資信託協会が、「契約型私募投資信託の投資信託会社別資産増減状況」の
公表を開始したのは、本年 8 月末統計からであり、残念ながらデータの十分な
ストックは無い。だが、急拡大する私募投マーケットにおいて、どのような投信会
社がメジャー・プレイヤーであるかを確認する上で、有益な資料と考えている。
弊社 Web レポート『TRI 稿房通信』で、先月初めてこの資料を紹介して後、当該
Web ページへのアクセスが極めて高水準である事から、新装『銀行業界鳥瞰
図』においては「定番資料」として、更新・配信を続ける予定だ。
執筆:代表取締役 大久保清和
2
銀行業界鳥瞰図
[図表 3]投信会社別主要項目ランキング表
※(8月末対比)
(単位:億円)
投資信託会社
Rank
2015年8月~11月 累計設定額ランキング
2015年11月末 純資産増減率ランキング
2015年11月末 純資産総額ランキング
11月末
投資信託会社
Rank
(単位:%)
8月末→11月末
(単位:億円)
投資信託会社
Rank
設定額
1
三井住友TA
8,670
2,450
合計
11,120
116.8
2
BRJ
5,902
1,062
6,965
ニューバーガ
71.5
3
ニッセイ
4,867
1,746
6,614
4
ナティクシス
65.3
4
ピムコ
5,163
950
6,113
32,832
5
シュローダー
60.6
5
農中全共
3,303
1,735
5,038
野村
30,831
6
ちばぎんAM
51.6
6
三菱U国際
3,737
1,152
4,889
ニッセイ
30,332
7
UBS
39.3
7
野村
2,983
1,198
農中全共
27,928
8
新生
31.5
8
アライアンス
2,655
1,020
3,675
三菱U国際
22,288
9
BNPパリバ
27.9
9
フィデリティ
2,628
1,015
3,643
10
アライアンス
20,967
10
インベスコ
27.6
10
DIAM
2,829
772
3,601
11
JPモルガン
18,323
11
明治安田
27.5
11
UBS
2,567
750
3,317
12
フィデリティ
17,570
12
ファイブスタ
26.4
12
三井住友
2,381
689
3,070
13
プルデンシャ
15,643
13
アストマクス
25.6
13
HSBC
2,101
950
3,051
14
ステート
13,440
14
ウエスタン
24.7
14
プルデンシャ
2,801
200
3,001
15
HSBC
12,031
15
ピクテ
24.6
15
JPモルガン
1,781
1,219
3,000
16
レッグメイソ
11,313
16
HSBC
24.1
16
ナティクシス
1,750
1,200
2,950
17
アムンディ
11,244
17
BNYM
22.1
17
ウエスタン
2,000
510
2,510
18
日興
11,033
18
ドイチェ
21.1
18
インベスコ
1,853
631
2,484
19
ウエスタン
10,875
19
新光
19.6
19
ドイチェ
1,785
512
2,296
20
東京海上
9,662
20
ウエリントン
17.5
20
日興
1,512
344
1,857
21
ウエリントン
9,079
21
損保J日本興
15.8
21
BNYM
1,044
570
1,614
22
大和住銀
8,930
22
フィデリティ
15.7
22
ニューバーガ
1,407
201
1,608
23
大和
8,727
23
ピムコ
14.2
23
シュローダー
1,067
520
1,587
24
UBS
8,596
24
プルデンシャ
13.2
24
ウエリントン
1,000
500
1,500
25
インベスコ
8,467
25
BRJ
12.8
25
大和住銀
1,274
193
1,468
26
ドイチェ
8,104
26
JPモルガン
12.5
26
大和
1,064
390
1,454
27
明治安田
6,789
27
アライアンス
12.2
27
明治安田
840
587
1,427
28
イーストスプ
6,731
28
三井住友TA
12.1
28
東京海上
1,037
227
1,264
29
ゴールドマン
6,196
29
キャピタル
12.1
29
新光
832
388
1,220
30
BNYM
5,949
30
ニッセイ
10.9
30
アストマクス
809
283
1,091
31
ナティクシス
5,448
31
みずほ
10.4
31
アムンディ
789
209
997
32
新光
4,619
32
しんきんAM
9.5
32
ゴールドマン
832
148
980
33
MFS
4,538
33
三菱U国際
8.7
33
しんきんAM
726
80
806
34
T&D
4,442
34
ゴールドマン
8.1
34
ステート
676
128
804
35
日立投資顧問
4,209
35
レオス
6.2
35
BNPパリバ
545
253
799
36
しんきんAM
3,467
36
スパークス
5.8
36
アクサ
693
16
709
37
シュローダー
3,449
37
T&D
5.3
37
レッグメイソ
379
285
663
38
リクソー投信
3,362
38
中銀AM
5.2
38
みずほ
397
245
642
39
パインブリジ
3,162
39
日立投資顧問
4.9
39
T&D
407
207
614
40
モルガンS
3,087
40
野村
4.9
40
ピクテ
277
205
483
41
みずほ
3,059
41
DIAM
4.8
41
BFAJL
257
196
453
42
BFAJL
2,977
42
楽天
4.3
42
損保J日本興
405
37
442
43
NN
2,923
43
農中全共
3.9
43
岡三
224
208
432
44
アストマクス
2,774
44
日興
3.2
44
シンプレクス
342
39
381
45
マニュライフ
2,745
45
BFAJL
3.0
45
パインブリジ
159
197
356
46
ニューバーガ
2,709
46
ヘンダーソン
2.8
46
SBIアセッ
231
69
300
47
朝日ライフ
2,686
47
大和住銀
2.7
47
朝日ライフ
188
104
292
48
シンプレクス
2,639
48
アムンディ
2.5
48
日立投資顧問
206
30
236
49
岡三
2,255
49
MU投資顧問
2.4
49
NN
160
17
177
50
BNPパリバ
2,092
50
朝日ライフ
2.3
50
マニュライフ
155
19
174
51
MU投資顧問
2,058
51
ラッセル
1.9
51
新生
34
78
112
52
損保J日本興
1,691
52
パインブリジ
1.2
52
MU投資顧問
57
39
95
53
ラッセル
1,687
53
三井住友
1.0
53
MFS
57
21
78
54
ベアリング
1,522
54
日本コムジェ
1.0
54
キャピタル
64
11
74
55
アクサ
1,357
55
ステート
1.0
55
モルガンS
54
20
74
56
アバディーン
1,269
56
コモンズ投信
1.0
56
スパークス
54
18
57
ピクテ
1,050
57
GCI
0.9
57
ベアリング
56
11
67
58
スパークス
876
58
MFS
0.4
58
ベイビュー
63
0
63
59
キャピタル
687
59
あおぞら投信
0.2
59
ちばぎんAM
50
0
50
60
ベイビュー
562
60
リクソー投信
0.1
60
ラッセル
33
12
45
61
新生
394
61
カレラ
0.0
61
イーストスプ
42
1
42
62
SBIアセッ
364
62
レッグメイソ
▲ 0.2
62
日本コムジェ
32
5
37
63
日本コムジェ
323
63
モルガンS
▲ 1.3
63
あおぞら投信
31
1
31
64
あおぞら投信
310
64
JAAM
▲ 2.2
64
リクソー投信
19
2
21
65
中銀AM
234
65
東京海上
▲ 2.4
65
アバディーン
13
1
14
66
ノーザン・T
229
66
ベイビュー
▲ 4.0
66
いちよしAM
9
1
10
67
ちばぎんAM
173
67
プラザ
▲ 4.5
67
ファイブスタ
8
0
8
68
JAAM
109
68
アバディーン
▲ 4.6
68
ヘンダーソン
5
0
5
69
コモンズ投信
70
69
NN
▲ 4.9
69
中銀AM
3
0
3
70
ヘンダーソン
59
70
岡三
▲ 5.2
70
コモンズ投信
1
0
1
71
いちよしAM
55
71
マニュライフ
▲ 6.7
71
JAAM
1
0
1
72
ファイブスタ
38
72
イーストスプ
▲ 7.8
72
レオス
0
1
1
73
レオス
36
73
大和
▲ 8.0
72
楽天
0
0
0
74
プラザ
26
74
ベアリング
▲ 9.1
72
プラザ
0
0
0
75
GCI
22
75
いちよしAM
▲ 9.5
72
CAM
0
0
0
76
CAM
19
76
シンプレクス
▲ 11.0
72
ノーザン・T
0
0
0
77
楽天
4
77
ノーザン・T
▲ 14.0
72
カレラ
0
0
78
カレラ
0
78
CAM
▲ 24.0
72
GCI
純資産総額
43,970
1
三井住友TA
1
SBIアセッ
2
BRJ
40,982
2
アクサ
3
DIAM
37,331
3
4
ピムコ
36,735
5
三井住友
6
7
8
9
全社計
614,768
全社計
純資産増減率
651.3
9.6
全社計
8月~10月計
11月
4,180
72
0
0
0
0
82,377
26,877
109,253
(出所)投資信託協会「契約型私募投資信託の投資信託会社別資産増減状況」をもとにトリグラフ・リサーチ作成
(以上)
執筆:代表取締役 大久保清和
3
銀行業界鳥瞰図
【図表 3 作成に際しての注記事項】
・ランキング表は、2015 年 11 月末時点の私募投資信託純資産残高が 100 万円以上の投資信託会社を対象に作成し
たものであり、契約型私募投資信託の株式投信及び公社債投信の合計ベースの統計を用いている。
【ご留意事項】
・当資料中の情報は、トリグラフ・リサーチ株式会社において信頼できると考える情報源に基づいて
作成していますが、トリグラフ・リサーチ株式会社は、当資料中の情報・意見等の公正性、正確性、
妥当性、完全性等を明示的にも、黙示的にも一切保証するものではありません。かかる情報・意見
等に依拠したことにより生じる一切の損害について、トリグラフ・リサーチ株式会社は、一切責任を負
いません。
・当資料中の情報・意見等が、今後修正・変更されたとしても、トリグラフ・リサーチ株式会社は、当該
情報・意見等を改定する義務や、これを通知する義務を負うものではありません。
・当資料は、トリグラフ・リサーチ株式会社からの金融商品・証券等の引受又は購入の申込又は勧
誘を構成するものではなく、公式又は非公式な取引条件の確認を行うものではありません。
・当資料及び当資料中の情報は、トリグラフ・リサーチ株式会社の文書による事前の同意がない限
り、その全部又は一部をコピー、配布、掲載、引用することは一切できません。
トリグラフ・リサーチ株式会社
〒 399-0212
長野県諏訪郡富士見町
立沢 1-1746 メイプルヒルズ 10
電話番号:
0266-61-7661
FAX 番号:
0266-61-7662
電子メール:
[email protected]
執筆:代表取締役 大久保清和
4