2016年度入試動向 2016年度入試直前動向④~私立大入試のトピック~ 2015/12/25 今号では、2016 年度入試における私立大の注目点を紹介する。私立大では来春も有名大の学部新設、キャ ンパス移転、入試変更など、受験生の志望動向に影響を与える変更に事欠かない。以下、詳細をお伝えする。 ■37 年ぶりとなる医学部新設 前々号でお伝えした通り、2016 年度は国立大で学部の再編が目立つが、私立大でも学部新設の動きが活発 である。医療系では近年新設の動きが活発な看護だけでなく、医学部が新設される。 東北医科薬科大は医学部を新設、大学名称も東北薬科大から改称する。医学部としては琉球大での設置以降 37 年ぶりの新設となる。2016 年度は入学定員 100 名をすべて一般入試で募集する。人気の医学科での学部新 設ということもあり、すでに受験生の認知度も高い。模試段階でも近隣の医科大と比べても遜色ない志望者数 を集めている。私立医科大の学費は高額ではあるが、東北医科薬科大の修学金貸与制度は入学定員の過半数が 対象となる。卒業後に医師として東北地方で一定期間勤務することが条件となるが、なかには国立大並みの学 費となるコースもある。志望者は地元東北地方の受験生が中心だが、東京に地方試験会場を設置することもあ り、関東地方からの志望者も目立つ。 ■主要大での学部新設 私立大では国際系の学部新設が近年のトレンドの一つである。2016 年度で注目されるのは、学習院大(国 際社会科学) 、近畿大(国際)である。両大学とも知名度が高い大学であることもあり、すでに多くの志望者 を集めている。【図表1】は今秋実施した第3回全統マーク模試における2大学と近隣大の同系統学部志望者の 成績分布である。学習院大(国際社会科学)は今回の模試では1千5百人を超える志望者を集めた。グラフは 明治学院大(国際)と形が似通っており、同じような学力層が志望している様子がうかがえる。実際に学習院 大(国際社会科学)志望者の併願大をみると、明治学院大(国際)のほか、明治大(国際日本)、青山学院大 (国際政治経済)、立教大(異文化コミュニケーション)、法政大(国際文化)といったMARCHグループを はじめ、東洋大(国際地域)などが挙がっている。 近畿大(国際)の志望者も1千4百人を超えており、すでに受験生の認知が進んでいる様子がうかがえる。 こちらも併願大は関西大(外国語)、関西外国語大(外国語)、龍谷大(国際)など近隣の大学の国際系学部が 目立つ。 【図表1】学習院大・近畿大の新設学部と近隣同系統学部志望者の成績分布 <学習院大> <近畿大> ※第 3 回全統マーク模試より、一般方式で集計 -1© Kawaijuku Educational Institution. ■続くキャンパス移転-都心回帰、4年間同一キャンパスが特徴 私立大では、ここ数年キャンパス移転・新設が相次ぐ。 「郊外から都市部」 「4年間同一キャンパスで修学可 能に」といった動きが特徴だ。キャンパスの移転・新設の動きは志願者増加に直結する。 【図表2】は、来春キャンパスを移転する東 京理科大(経営)と立命館大(総合心理) 【図表2】キャンパス移転大の志望動向の変化 の志望者の出身地域の推移をみたもの。 A:東京理科大(経営) (昨年) (今年) 東京理科大(経営)は埼玉県の久喜キャ ンパスから、新宿区の神楽坂キャンパスに 全面移転する。併せて入学定員増、新学科 の設置などの増加要因も加わることから、 第3回全統マーク模試の志望者は前年から 倍近く増加しているほか、志望者の出身地 域にも変化が見られる。移転後に通学しや すくなる神奈川県、千葉県の志望者の割合 が増加している。 B:立命館大(総合心理) 立命館大は文学部の心理学域を改組して (昨年) (今年) 総合心理学部を開設、これを機に京都市内 の衣笠キャンパスから大阪いばらきキャン パスに移転する。募集人員が増員されるこ ともあり、こちらも志望者が大きく増加し ている。志望者の出身地区をみると、大阪 府の志望者が大幅に増加しているなど、キ ャンパス移転の影響は小さくない。 このほか、2016 年度は日本大がスポーツ ※第 3 回全統マーク模試より、一般方式で集計 科学、危機管理の2学部を新設、新たに三 軒茶屋キャンパスを設置する。交通アクセスが良い好立地なだけに、志望者が集まることが予想される。 ■公立大学法人化-2016 年度は2大学が公立大に 私立大の公立大学法人化の動きも見逃せない。2009 年の高知工科大を皮切りに各地でこの動きが見られる が、2016 年度は成美大(京都府福知山市)、山口東京理科大(山口県山陽小野田市)が公立大学法人化する予 定である。私立大から公立大になることで、授業料の値下げも予告されている。 これら2大学の入試は、2016 年度は私立大として実施される。国公立大の分離・分割方式とは別実施とな るため、他の国公立大との併願が可能である。 山口東京理科大では、2015・2016 年度の推薦・AO入試の志願者数を公表しているが、AO入試で 39 人→ 164 人、一般推薦入試(前期)で 22 人→194 人と志願者数は大幅に増加している。続く一般入試でも大幅な志 願者数の増加が見込まれる。 以上、2016 年度入試で受験生の志望動向に影響しそうな私立大のトピックについて見てきた。河合塾では 私立大一般入試が本格化する2月から、入試情報サイト Kei-Net で主要私立大の志願者速報を提供する。最新 の志願動向はそちらで確認してほしい。 -2- © Kawaijuku Educational Institution.
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