【大槌町東日本大震災津波復興計画に係る事業の見直し】.

「大槌町東日本大震災津波復興計画の見直し結果〈概要〉
1 見直し結果のポイント
3 三役評価による事業の検証結果(町民の関心が高いと思われる8事業について特出しで評価したもの)
・復興実施計画に掲げる 231 事業全ての事業に対し、聖域を設けず検証を実施した。
・ハード事業については、現在進めている面整備事業の着実な進捗を促すとともに、ソフト事業については、計画事業の
効率化のため、事業統合や、事業目的に沿った内容となっていない事業の実施体制の見直しを行った。(住宅再建の
本格化に合わせ、仮設住宅から移行期まで切れ目のない支援を総合的に実施するため民生部の「コミュニティ活動支
援事業」と「コミュニティ移行支援事業」を統合、総務部の情報関係事業、産業振興部の水産関係事業など継続を前提
とした戦略の充実強化のための見直しなど)
2 検証チーム評価結果
・事業数については、ハード整備など一つの事業を地区別に分けたものや、町長公約など同じ事業でも内容別に複数の
事業シートに分けたものもあるため、評価事業総数は、全 255 事業となった。
・評価については、B評価は、見直しの必要があるが、内容を精査し、あり方を見直す必要があるものなど、事業の継続
を前提とし、優先順位が高いものである。一方C、D、E、Fについては、事業の縮小、廃止を前提とし、他の事業を優先
すべきであるものと評価したものとなっている。
【評価別集計】※棒グラフ左側が「各部局評価」、右側が「検証チーム評価」
◆旧役場庁舎の一部保存
→事業廃止【E】評価
・大槌町旧役場庁舎保存技術委員会及び説明・意見交換会
を、町内外で9回に渡って実施した。
・旧役場庁舎について、様々な意見が示されたところである
が、いたずらに議論を長引かせることは中心市街地の再生、
まちづくりの進展に影響があること、維持管理費用が町の将
来負担としてかかることには変わりはないこと、さらに現にこ
の町に住んでいる住民の「現状は見るに見かねる」という町
民感情を考慮すれば、本問題はスピード感を持って取り組む
必要があると考えることから、旧役場庁舎は解体する方向と
した。
◆鎮魂の森
→効率性、あり方見直しの上継続【B】評価
・防波堤の覆土をガレキ処理土を使用し、その上に植樹する
等、かつてない鎮魂の森として計画されているが、それが将
来の当町の身の丈にあったものか議論の余地がある。
・整備範囲(規模)・手法・時期についても未整理の状況であ
り、検討の余地は残されているため、今後は跡地利用計画
の一環として整理する方向で検討するとし、あり方を見直す
前提で事業継続と判断した。
◆東日本大震災身元不明者納骨施設
→現行のまま継続とする【A】評価
◆観光船はまゆりの復元
→事業規模の縮小【C】評価
・寄付金が復元した場合の試算約4億5千万円以上に対し
て、350 万円ほどしか集まっていない。実現の見通しがたた
ず、必要な賛同も得られていない事業であるため、現在頂い
ている寄附の範囲内で事業規模の縮小を前提に見直しをす
るべきものであると判断した。この判断を踏まえて、今後の進
めかたを赤浜地域と検討していくものとする。
・御遺骨は現在、3寺院に預かっていただいており、御遺族
は3寺院を歩き回って参拝をしている現状にある。また 27 年
度3月の完成予定から 1 年半以上の遅れが見込まれてお
り、これ以上の遅延は許されないため「現行のまま継続する」
と判断した。
・建築費については平成 27 年6月に 1 億→5000 万に見直
している。
◆災害FM・大槌新聞
→事業廃止【E】評価
◆生きた証プロジェクト
→本年度で終了【F】評価
【検証チーム評価集計】
【検証チーム評価比率】
◆見直し集計結果
評価項目
現行のまま継続【A】
効率性、あり方見直しの上継続【B】
事業規模の縮小【C】
当面の間休止【D】
事業廃止【E】
既に終了又はH27年度で終了予定【F】
国県事業等【G】
合計
事業数
105
43
1
3
24
26
53
255
・「現行のまま継続【A】」は 105 事業で、全体の 41%となった。
・「効率性、あり方見直しの上継続【B】」「事業規模の縮小【C】」「当面の間休止【D】」「事業廃止【E】」となったものは
71 事業であり、全体の約 30%が何らかの形で見直しとなった。(事業の集約化、運営体制の見直し、内容充実化等)
・「事業廃止【E】」の内訳については、純然たる事業廃止は3事業、他 21 事業は統合による廃止となった。
・犠牲者 969 人(75%)分の御遺族に接触し、412 人に聴取
りを完了したが聴き取りを拒否される御遺族もあることから、
残りの御遺族の聞き取りを年度内終了に向けて完了させる
ことを織り込み、当初の事業計画どおり、一旦、平成 27 年
度で事業終了させると判断した。
・成果物の活用方法は、震災記録継承事業に引き継ぎ、検
討していくことにする。
◆三枚堂大ケ口トンネル工事
→現行のまま継続とする【A】
・維持管理費が将来の財政を圧迫する懸念があるため、管
理費試算について妥当性をチェックした結果、概ね維持管理
費は約 60 万/年、5 年に一度の定期点検で約 400 万、1
5~16年で照明の更新費約 400 万と試算されている。試
算は土木振興協議会のデータを参考としており、妥当性が高
いと判断した。
・効果としては、災害時に安全、安心な道路として利用され
る意義が大きい。また、小鎚川、大槌川両流域の住民の交
流が活発化し、日常生活の利便性が向上すると判断した。
・災害FMの導入目的である緊急情報等の提供は、防災行
政無線戸別受信機の配布(平成 27 年 11 月から順次)、FM
中継局の整備(平成 28 年3月頃予定)、広報の配布再開等
により他の代替手段に移行していること
・当初2年を期限として開始したが、委託団体のコミュニティ
FM化のための準備支援期間として、2度の免許期間延長を
行った経緯があること
・緊急雇用制度の活用については、有効求人倍率が震災前
の水準まで回復していること
以上により事業の目的を果たしているため、廃止と判断し
た。
◆町道整備事業(高森団地融雪施設整備)
→当面の間休止【D】評価
・高森団地以外の箇所にも急勾配道路があるため、町全体
を調査の上、安価で効果的な融雪対策計画を策定し、効率
的に事業を進めることが必要であること、および町としては
復興事業を優先させることが急務であるため、本事業につい
ては再検討を前提として「当面の間休止」と判断した。