第5章 さまざまなコストバランス法の応用例

特集
匠の道具を使いこなせ! 品質とコストを
両立させるコストバランス法
開発手法の導入を成功させるために必
要なこと
日本の技術者・設計者のネガティブな特徴を 2
つ挙げよう。
1 つは「オタク族」が多いことだ。特に大企業
やそのOBに多い。種族別でいえば,
「QCオタク」
,
「品質工学オタク」
,「FMEA オタク」
,「5S オタク」
,
「TRIZ オタク」
,
「VE⊘IE オタク」
,
「DR オタク」
,
「3 次元 CAD オタク」,
「CAE オタク」
,最近で言
えば「3D プリンターオタク」が定番となる。彼
らの共通点は 4 つある。
第5章
①〇〇オタクは,〇〇に関しては非常に真摯。
②ところが前記○○がすべてであり,ここを中
心に世界の製造業が回っていると説く。まる
で,新興宗教に近い。
③お互いにけなしあい,けん制し合っている。
同業者同士が協業しない。
④企業の現場に行かない。常駐しない。社員食
さまざまなコストバラ
ンス法の応用例
―手法導入のコツと必得
堂にも行かない。一日中,椅子に座っている。
次に,
「粗探し族」の多いこと。
たとえば,
「98%のトラブルはここに潜在す
る」と指導しても,98%を問題視することをせず
に,残 2%だけを質問してくる。たとえば筆者が
「トラブルは,この 4 つの設計思想を当て嵌めれ
ば完全防止できる」と説くと,必死にその例外を
探し,指摘してくる。
前者への対応は,最適な指導者を探して何度も
チェンジすることがコツ。後者は,たとえば隣国
企業のように,
「年俸制+業務指名制」で対応す
ることが望ましい。つまり,野球,サッカーの選
手同様の前記給与システムで「競争の原理」を持
ち込むことで「粗探しにかまけているとライバル
にポジションを奪い取られる」という危機感を抱
いてもらうことだ。両対策ともシンプルなのがう
れしい。
もう一つ共通対策があるとすれば,それは「即
実行,即実感」を体験させることであろう。本章
では,その事例を紹介していきたい。
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機 械 設 計