インド南部への関心高まる 日本企業

FOCUS
インド南部への関心高まる
日本企業
―利便性を提供する工業団地と日本商工会の側面支援
㈱アジアにじゅういち
白水和憲
代表取締役 インドのモディ首相が8月 30 日から9月3日
画していたアセンダス(シンガポール通産省傘下
の5日間、日本を訪問した。安倍首相との首脳会
のジュロンタウン公社の子会社)が日本企業の入
談や企業関係者との懇談など日本との関係を深め
居を念頭に置いていたこともあり、2010 年9月
るスケジュールを精力的にこなした。9月1日の
シンガポール政府を通じて日本に支援要請したこ
共同声明には今後5年間で日本はインドに対し官
とで動き出した。翌 10 月、日本の経産省が日本
民あわせて 3.5 兆円の投融資を実施する内容が盛
企業数社に事業参画を打診すると、日揮とみずほ
り込まれ、
「これで日本企業のインド進出にも政
コーポレート銀行(現みずほ銀行)が協業を表明。
府の後押しが期待できて心強い」と、東京都内で
12 年1月にはジャヤラリタ TN 州首相(当時)と
のモディ首相講演(9月2日)を聴きにきていた
枝野幸男経産相(当時の民主党政権)との2者会
日本企業関係者は頬を緩ませた。
「
(ミャンマーと
談の後、シンガポール政府(在印高等弁務官)も
インドの境界を南北に走る)アラカン山脈を越え
加えて3者臨席のもと、TN 州政府、IREO(印不
ると、同じアジアとは思えないほどの高い壁がは
動産ファンド)
、アセンダス、日本コンソーシア
だかる“未知の世界”があった」とは、歴代日本
ム(みずほ、日揮)の3国にまたがる開発プロジェ
企業インド駐在員の挫折感めいたため息として有
クト促進・支援についての MOU(合意書)が交わ
名だった。インドの異文化の高い壁に戸惑った経
され、13 年3月には TN 州から開発許可がおり、
験の多い日本企業だが、昨今は果敢に勝負する
造成工事と日本企業誘致活動が本格的に開始 ―
企業も多くなり、昨秋、インド進出日本企業は
―という経緯をたどった。
1000 社の大台を超えた。
日揮とみずほ銀が TN 州で総合工業団地
OneHub Chennai は、インドでは初めてとなる
工業区、商業区、住宅区(タウンシップ)から成
る複合都市開発計画であり、敷地は約 1500 エー
7月中旬、インド南部タミル・ナドゥ(TN)州
で日本・インド・シンガポールの3国による共同
開発の総合工業団地「OneHub Chennai」の建設
現場を視察した。TN 州の州都チェンナイ市の中
心から車で南に一直線で約1時間半(約 50km)
、
世界遺産マハーバリプラムの少し手前に位置し
ている。主要3港(チェンナイ港まで 57km、エ
ンノール港まで 70km、カトゥパリ港まで 85km)
へのアクセスもよい。
このプロジェクトは TN 州で工業団地建設を計
20
2014 年 12月号
チェンナイからOneHubChennai に向かう「ITExpressway」
の両側には IT 企業が立ち並ぶ