第21回 肝臓病教室 最新のC型肝炎治療 ダクルインザ®錠・スンベプラ® カプセル併用療法について 大津赤十字病院 薬剤部 西田 正美 水口 奈緒 今までのC型慢性肝炎の治療効果 (Genotype1 高ウイルス量) 90.0 84.7% 81% 80.0 IFNが効きにくいGenotype1高ウイルス量の肝炎に対して、 70.0 有効性のさらなる向上をめざして開発されたお薬が・・・ 60.0 52% 50.0 ダクルインザ錠・ スンベプラカプセル 併用療法 40.0 30.0 20.0 10.0 0 22% 26% 14% 1992 2003 2001 2004 2011 IFN PegIFN IFN+Rib PegIFN+Rib (24週) (48週) (24週) (48週) 2014 PegIFN+Rib(24週) ダクルインザ錠+ +ソブリアート(12週) 3剤併用 スンベプラカプセル(24週) (%) ダクルインザ®錠・スンベプラ® カプセルについて 製品名 ダクルインザ®錠 スンべプラ®カプセル 一般名 ダクラタスビル塩酸塩 アスナプレビル 剤形 淡緑色の五角形の フィルムコーティング錠 白色~微黄色の軟カプセル HCVの複製や細胞内シグナル伝達 経路の調製に関与するNS5A蛋白を 阻害する。 C型肝炎ウイルスを構成するために必 要なたんぱく質として機能できる形 へと分解する酵素であるNS3/4Aプ ロテアーゼを選択的に阻害する。 写真 作用 (次ページ参照) Otsu Red Cross Hospital 今までの治療薬との違い ●ダクルインザ・スンベプラ併用療法は、日本初のジェノタイプ1のC型 慢性肝炎に用いるウイルス排除を目指した経口剤のみによる治療法です。 ●IFN製剤とは異なった作用で、C型肝炎ウイルスに直接作用します。 Tリンパ球 NK細胞 ★ ★ ★ マクロファージ NS3/4Aプロテアーゼ阻害 スンベプラカプセル テラビック、ソブリアート NS5Bポリメラーゼ阻害 現在開発中 NS3/4A ②間接作用 免疫を活性化して、 細胞の破壊を促進 インターフェロン NS5B NS5A阻害 ダクルインザ錠 C型肝炎ウイルスは、 C、E1、E2、p7、NS2、 NS3/4A、NS4B、NS5A、NS5B のたんぱく質で構成されています。 NS5A ①直接作用 細胞を破壊して、増殖を抑制 C型肝炎ウイルス Otsu Red Cross Hospital 治療のスケジュール ダクルインザ錠・ スンベプラカプセル 併用療法 0 経過観察 24 48(週間) ●ダクルインザ錠・スンベプラカプセル併用療法を24週間うけた後、 24週間経過観察し、その後血液中にC型肝炎ウイルスが認められるか確認します。 ●お薬は決められた量を飲み忘れることなく24週間継続してきちんと服用することが 重要です。 Otsu Red Cross Hospital 服用方法 ダクルインザ®錠 スンべプラ®カプセル 用法 1日1回 1日2回 用量 1回1錠 1回1カプセル 製品名 写真 ●2剤同時に服用してください。 ●2剤は食事の影響を受けません。 食前、食後を問わず服用可能です。 医師の指示通り服用してください。 Otsu Red Cross Hospital 副作用 ●肝機能障害 ●鼻咽頭痛(鼻や喉の炎症) ●頭痛 ●発熱 Otsu Red Cross Hospital 使用上の注意 ●他剤との相互作用について 治療中、一緒に服用するとお互いに影響を与えあい、効果が弱く なったり、逆に効果が強く出て副作用がおきてしまう薬がいくつかあ ります。 現在、他のお薬を服用している場合、また今後、新たに服用を開 始するときには、必ず主治医もしくは薬剤師に相談してください。 ●治療中の妊娠、授乳について ダクルインザ錠は胎児の死亡や奇形の可能性があります。 治療中・治療終了後5週間は、避妊が必要です。 また、治療中は授乳をしないでください。 Otsu Red Cross Hospital 治療の効果 (%) 100 87.4% 80.5% 84.7% SVR24達成割合 80 60 40 20 0 118/135 70/87 188/222 IFN不適格未治療/ 不耐容患者 前治療無効患者 合計 Kumada H, et al. Hepatology. 2014; 59(6): 2083-2091 Otsu Red Cross Hospital 背景因子別治療の効果 (%) 100 SVR24達成割合 80 89.9 81.2 90.9 83.1 85.5 84.0 64/77 124/145 168/200 93.9 83.1 84.8 84.3 157/189 95/112 91/108 60 40 20 0 108/133 80/89 <65歳 ≥65歳 年齢 男性 女性 性別 20/22 無 有 代償性 肝硬変 31/33 <800K ≥800K 開始時 HCV RNA量 TT TG/GG IL28B (rs8099917) Kumada H, et al. Hepatology. 2014; 59(6): 2083-2091 Otsu Red Cross Hospital 治療費の目安 製品名 ダクルインザ®錠 スンべプラ®カプセル 薬価 9186円/錠 3280円/カプセル 今までの 治療費と大き くかわらない ですよ ダクルインザ錠・スンベプラ カプセル併用療法の治療費 約44万円/1か月 Otsu Red Cross Hospital 最後に・・・ 使用するお薬をよく理解し、きちんと服用しましょう。 治療中ご不明な点がありましたら、すぐに医師・薬剤師に申し出てください。 Otsu Red Cross Hospital
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