第4章 人口と経済成長 (Population and Economic Growth)

第 4 章 人口と経済成長
1
人口と生産高の長期展望
4.1
4.1.1
第 4 章 人口と経済成長
人口の長期展望
✓
Figure 2
✏
世界の人口推移: 紀元前 1 万年から紀元 2005 年
⋆ 講義ノートは
http://www2.asia-u.ac.jp/˜ shin/lecture/growth.html にある.
⋆ 第 2 版のスライドは
http://wps.aw.com/aw weil econgrowth 2/ → Classrom ReR Slides にある.
sources → PowerPoint⃝
⋆ 第 3 版のスライドは
✒
✑
http://wps.aw.com/aw weil econgrowth 3/ → Classrom Re-
• 横軸: 年度,縦軸: 人口 (比例目盛)
R Slides にある.
sources → PowerPoint⃝
• 生産要素が人口のみ
• 紀元後 1000 年までの地球上の人口 < 現在のアメリカ
人口
– 人口 2 倍 → 生産 2 倍 → 1 人当たり生産は不変
• 紀元前 10000∼紀元後 1 世紀: 年平均 0.04% 増加
• 他の生産要素が存在
– 人口 2 倍 → 他の生産要素一定 → 1 人当たり生
産は減少
• その後∼1800 年: 年平均 0.09% 増加
• 19 世紀: 年平均 0.6% 増加
– 限界生産性逓減
• 20 世紀前半: 年平均 0.9% 増加
第 4 章では,1 人当たり所得を説明するモデルに人口を導
入する.
• 20 世紀後半: 年平均 1.8% 増加
• 人口の規模 (size)
• 人口成長率 (growth rate)
✓
Figure 1
1 人当たり所得と人口成長の関係
4.1.2
✏
マルサス・モデル
トマス・マルサス (Thomas Malthus, 1766-1834) 人口の
原理 (Essay on the Principle of Population)
✓
■ 人口のパワー
✏
フッター派教徒 (Hutterites)
• 若いうち結婚
✒
• 横軸: 1 人当たり GDP,縦軸: 人口増加率
• 横軸: 右下がり傾向
• 人口増加 → 貧困
• 人口増加 ← 貧困
• 人口増加 ⇄ 貧困
✑
• 避妊しない
• 早期離乳
フッター派女性は 45 歳まで平均的に 10.4 人の子供を
産む.
1880 年 251 人 →1960 年 5,450 人 (年平均人口成長率
4.1%)
✒
✑
(1) 人口と経済成長間の歴史的関係
(2) ソローモデルの人口増加
マルサスの繁殖の制限
(3) 死亡率と出生率
• 現実的抑制 (positive check)← 人間 + 動物
(4) 所得増加とともに出生率が低下する理由の経済学的説明
• 予防的抑制 (preventive check)← 人間のみ
第 4 章 人口と経済成長
2
マルサス・モデル
✓
– 横軸: 1 人当たり所得,縦軸: 人口成長率
Figure 3
✏
マルサス・モデル
– 右上がり
• グラフ (a): 人口規模と 1 人当たり所得の関係を上方
へシフトさせる.
• グラフ (b): 変化しない.
✒
✑生産性向上の結果
• (a) 1 人当たり所得と人口規模の関係
• 生産性の向上 → 生活水準の向上 → 人口増加
– 横軸: 1 人当たり所得,縦軸: 人口規模
• 生活水準がもとの水準に戻るまで人口増加 → やがて
人口増加率 0
– 人口規模が生活水準に与える影響
– 右下がり
• 生産性の向上前と比較すると
• (b) 1 人当たり所得と人口成長の関係
– 人口は増加,
– 横軸: 1 人当たり所得,縦軸: 人口成長率
– 1 人当たり所得は変化無し
– 所得が高いほど人口成長率も増加
– 右上がり
例
マルサス・モデルの結果
• 1000 年ごろの中国
• y ss : 定常状態における 1 人当たり所得
– 高い技術力,しかし,高い人口密度
• Lss : 定常状態における人口
• アイランドにジャガイモの導入
• 人口が定常状態以下 → 人口増加
– 1750 年以降,ジャガイモが主食,人口 3 倍増加
• 人口が定常状態以上 → 人口減少
• 初期状態に関係なく定常状態に到達.
• 定常状態は安定的である.
わな
マルサスの 罠
生産性の向上 (技術進歩) が存在したとしても,人口が多
くなるだけで最低生存水準での生活であることに変わりは
生産性の向上
✓
Figure 4
マルサス・モデルによる生産性向上の効果
ない.これが,低開発経済が人口増加を伴いながら貧困か
✏ら脱出できない原因である.そのため,脱出できないとこ
ろからマルサス的均衡は”マルサスの罠”とも呼ばれる.
マルサス的均衡から脱出
(1) 絶えざる生産性の改善
✒
✑
• (a) 1 人当たり所得と人口規模の関係
– 横軸: 1 人当たり所得,縦軸: 人口規模
– 右下がり
• (b) 1 人当たり所得と人口成長の関係
かんがい
1 肥料の改良,
灌漑 ,土地改良などを通じて技術進歩率を高める.
低開発経済がマルサス的均衡から脱出し,所得水準を上
げるには,
• 生産性の改善 (技術進歩率) が人口増加率を上回る必
要がある → 難しい
ことがわかる1 .
第 4 章 人口と経済成長
3
• 縦軸: 成長率
(2) 道徳的抑制
• マルサスモデルでは生産性の改善が福祉の向上をもた
らすことはできない.
• 1700 年以前の 200 年間: 年平均人口成長率 0.2%
• 道徳的抑制 (moral restraint) だけが生活水準を向上
させる唯一の方法.
• 1820 年-1870 年: 年平均人口成長率 0.7%
✓
Figure 5
• 1700 年-1820 年: 年平均人口成長率 0.4%
✏しかし,19 世紀後半
• 1 人当たり所得増加 → 人口成長率鈍化
マルサス・モデルの道徳的抑制効果

経済成長初期 → 人口増加
所得増加 →
その後 → 人口減少
✒
✑
• (a) 1 人当たり所得と人口規模の関係
ソロー・モデルによる人口成長
4.2
• マルサスメカニズム ← 資源 (◦)
– 横軸: 1 人当たり所得,縦軸: 人口規模
– 人口規模 (size) に焦点
– 右下がり
• 別の経路が存在: 人口が資本に与える影響
• (b) 1 人当たり所得と人口成長の関係
– 人口成長率 (growth rate)
– 横軸: 1 人当たり所得,縦軸: 人口成長率
– 右上がり
• グラフ (b): 1 人当たり所得と人口成長との関係を示
す曲線の下方シフト
4.1.3
4.2.1
人口成長と資本の希釈化
きしゃく
• 資本 希釈 (capital dilution): 人口増加が 1 人当たり
資本に与える負の影響
マルサス・モデルの崩壊
マルサス・モデルの主要な特徴
労働者 1 人当たりの資本蓄積方程式
• 土地が一定ならば人口が多くなると生活水準が低下
∆k = γf (k) − δk
する.
• 1 人当たり所得が十分高ければ人口成長する.
(4.1)
ここで,γ は投資率,δ は減価償却率,f (k) は生産関数,∆k
は労働者 1 人当たり資本の増分である2 .
マルサスモデルは現在では適用されない.
• マルサスモデル: 所得 ↑ → 人口増加率 ↑
資本希釈化の導入
• 現実: 先進国 → 人口増加率が低い
✓
Figure 6
経済活動人口の成長率を n とすると,労働者 1 人当たり
の資本の変化を表わす方程式は
✏
∆k = γf (k) − δk − nk
西ヨーロッパにおけるマスサス・モデルの崩壊
= γf (k) − (δ + n)k
(4.2)
• 新しく生まれた労働者にも資本を分配しないといけな
い.その分労働者 1 人当たり資本の増分が減少する
(nk).
✒
✑
• 横軸: 時間
2第
3 章を参照のこと.
• 新しい労働者の出現による資本希釈 (capital dilution)
(nk) は減価償却 (δk) と全く同じ効果.
第 4 章 人口と経済成長
4
✓
確認
✏
Figure 7
人口成長を取り入れたソロー・モデル
(1) 方法 1
資本蓄積方程式から
∆K = I − D = γY − δK
(4.3)
✒
式 (4.3) の両辺を K で割る.
Y
Y
∆K
L
=γ −δ =γ K
−δ
K
K
L
y
=γ −δ
k
労働者 1 人当たりの資本 (k =
K
L)
✑
• 横軸: 労働者 1 人当たり資本
• 縦軸: 資本希釈,減価償却,投資,労働者 1 人当たり
生産
(4.4)
• 人口導入 −→ 傾きが δ 直線が傾きが n + δ 直線に変
の成長率は
わる.
∆k
∆K
∆L
=
−
k
K
L
(4.5)
∆k ∆L
∆K
=
+
K
k
L
(4.7)
• 人口成長率が上昇 −→ (n + δ)k 直線が時計反回りに
回転 −→ 定常状態における産出量が減少
なので,3
• 人口成長率が減少 −→ (n + δ)k 直線が時計回りに回
転 −→ 定常状態における産出量が増加
である.式 (4.7) を式 (4.4) に代入
∆k ∆L
y
+
=γ −δ
k
L
k
y
∆k
+n=γ −δ
k
k
∆k
y
=γ −δ−n
k
k
4.2.2
1 つの数量分析
コブ・ダグラス生産関数
(4.8)
労働者 1 人当たり変数で表記したコブ・ダグラス生産関数
f (k) = Ak α
(4.12)
式 (4.8) の両辺に k をかける.
ここで,A は生産性パラメータ.
∆k = γy − δk − nk = γf (k) − (δ + n)k
式 (4.2) は
(4.9)
∆k = γAk α − (δ + n)k
(2) 方法 2 (微分する)
(4.13)
定常状態条件
定常状態では ∆k=0 なので,式 (4.13) は,
d( K
dk
L)
k˙ =
=
dt
dt
K
K˙ L
−
=
L L
L
=1
˙ − K L˙
− K dL
KL
dt
=
=
2
L
L2
˙
˙
˙
L
K
L
=
−k
L
L
L
dK
dt L
=n
γAk α = (δ + n)k
(4.14)
定常状態における労働者 1 人当たり資本ストック水準
(4.10)
γY − δK
Y
K
− kn = γ − δ − nk
L
L
L
= γy − δk − nk = γf (k) − (δ + n)k
式 (4.14) を k について解くと,
=
k ss =
1
( γA ) 1−α
n+δ
(4.15)
定常状態における労働者 1 人当たり生産量
定常状態条件
式 (4.15) の k ss を生産関数に代入すると,
α
( γ ) 1−α
1
y ss = A(k ss )α = A 1−α
n+δ
定常状態条件は資本ストックの増分 ∆k が 0.
γf (k) = (δ + n)k
(4.11)
3 参考
∆(xy)
∆x
∆y
≈
+
xy
x
y
,
∆( x
)
y
(x
)
y
≈
∆x
∆y
−
x
y
(4.16)
(4.6)
第 4 章 人口と経済成長
5
人口増加が定常状態における労働者 1 人当たり生産量に与
4.3
人口成長の解明
える影響
2 国を考える.人口成長率 (n) を除いた全ての要因は同様
と仮定する.つまり,生産性 (A),投資率 (γ),減価償却率
(δ) は同様.
• 人口転換 (demographic transition)
• 死亡転換 (mortality transition)
• 出生転換 (fertility transition)
• 国 i と国 j
人口転換過程は世界の豊かな国ではほぼ完了しているが,
• 国 i の人口成長率を ni ,国 j の人口成長率 nj
多くの発展途上国では現在でも進行中である.
定常状態における国 i の労働者 1 人当たり所得
1
yiss = A 1−α
(
α
γ ) 1−α
ni + δ
(4.17)
定常状態における国 j の労働者 1 人当たり所得
1
yjss = A 1−α
(
γ
nj + δ
α
) 1−α
4.3.1
死亡転換
出生時における平均寿命
(4.18)
出生時における平均寿命 (life expectancy at birth)
定常状態における国 i と国 j の労働者 1 人当たり所得の
比率
先進諸国
α
( n + δ ) 1−α
yiss
j
=
yjss
ni + δ
(4.19)
✓
Figure 8
✏
先進諸国の平均寿命
例
• 国 i の人口成長率 ni は 0%
• 国 j の人口成長率 nj は 4%
• 両国の減価償却率 δ は 5%
• 両国の資本分配率 α =
yiss
yjss
=
( 0.04 + 0.05 ) 12
0.00 + 0.05
1
3
=
✒
→
α
1−α
=
( 0.09 ) 21
0.05
1
2
✑
• 横軸: 年度
• 縦軸: 誕生時の期待寿命
≈ 1.34
(4.20)
人口成長率 0% の国は人口成長率が 4% の国と比べて労
• 1800 年以降,死亡率の改善
• 1800 年以前,先進国の場合でもほとんど改善無し
働者 1 人当たり所得が 34% 高い.
• もし,資本分配率 α =
資本分配率 α =
2
3
→
α
1−α
=
2
3
の場合
2
3
1− 23
= 2.式 (4.20) は 3.24 に
なる.
発展途上国
✓
Figure 9
✏
発展途上国の平均寿命
• 式 (4.19) は α に敏感.
• 国家間の人口成長率の差によって所得格差の一部が説
明できる.
結果
✒
• 高い人口増加率 → 資本希釈 →1 人当たり所得低下
• 横軸: 年度
• 1 人当たり所得と人口成長率は負の相関4
• 縦軸: 誕生時の期待寿命
4 国によってどうして人口成長率に差が生まれるのかについては次の節で論議する.
✑
第 4 章 人口と経済成長
先進国と発展途上国の比較
(1) 急速な改善
発展途上国の死亡転換は先進諸国よりも急速に改善して
いる.
• インドの誕生時の期待寿命
– 1930 年 26.9 年 → 1980 年 55.6 年
– 50 年
• フランスの誕生時の期待寿命
– 1755 年 27.9 年 → 1930 年 56.7 年
6
(2) 発展途上国の場合
発展途上国の急速な死亡率の低下は,豊かな国でゆっく
り蓄積された進歩の多くが一時に発展途上国に到来した.
• 政府と非政府組織は,急速に公衆衛生技術と医学を第
2 次世界大戦前後に輸入した.
• この死亡率改善の原因の違いは,発展途上国が 1 人当
たり所得のはるかに低い水準で成し遂げたことを説明
する.
• 後発性の利益
– 175 年 (インドの約 3 倍長い)
• コンプレス転換 (compressed transition)
後発性の利益 (Latecomer’s advantage)
• ガーシェンクロン (A. Gerschenkron) が見出した経
(2) 早い発展段階
験則.
発展途上国の死亡転換の決定的特長は,これらの諸国が
• 発展途上国は先進国が開発した技術や知識, 開発政策
類似した推移をたどったときに豊かな国の所得よりはるか
の経験を早い時期から利用できるので, 急速な経済発
に低い 1 人当たり所得水準で起きたことである.
展が可能であるという利点を持つ.
• インドの誕生時の期待寿命
– 1980 年,1 人当たり所得が 1,239 ドルのとき
55.6 年
• フランスの誕生時の期待寿命
– 1930 年,1 人当たり所得が 4,998 ドルのとき
56.7 年
• 早期転換 (the advancing of transition)
死亡転換の説明
死亡率減少要因
1. 生活水準の改善 (improvements in the standard of
living) → 栄養の摂取
2. 公衆衛生手段の改善 (improvements in public health
measures)
3. 医学的治療の役割 (the role of medical treatments in
curing diseases) → 医療技術の進歩と普及
• 産業構造変化 (structural changes in industrialization) によくみられる.
けお
• ↔ Kicking Away the Ladder (はしごを外せ− 蹴落
とされる発展途上国),Ha-Joon Chang
死亡率の低下における後発性の利益
(1) 先進国における死亡率の低下
• 自らの農業革命や産業革命を通じた生産力の拡大
• 自らの医療技術や医薬品の開発など
• 内生的である.
(2) 発展途上国における死亡率の低下
• 先進国の経験と技術を導入
• 外生的である.
人口転換においても後発性の利益が考えられる.
(1) 先進国の場合
最初に経済発展を経験した国々では先に示した 3 つの死
亡率改善は大なり小なり 1 時期に 1 つずつ起きた.
4.3.2
出生転換
ごうけい とくしゅ しゅっしょうりつ
• 合計 特殊 出生率
(total fertility rate: TFR) 1 人
1. 栄養と生活水準の向上 (1775-1875)
の女性が可妊期間 (15 歳から 49 歳まで) に産む平均子
2. 公衆衛生設備の改善 (19 世紀後半)
供の数.
3. 医学の進歩 (20 世紀)
• 合計特殊出生率=約 2.1 → 人口成長率 0
第 4 章 人口と経済成長
7
• 例
アメリカの場合
✓
✏
Figure 10
アメリカの合計特殊出生率, 1860-2005
• NRR=1 → 人口成長率 0
• NRR=2 → 女性の数が 2 倍増加 → 人口も 2 倍増加
純再生産率 (NRR) は死亡率の低下が人口成長に与える
大きな役割を示してくれる.
スウェーデン
✑
✓
✒
• 横軸: 年度
Figure 11
✏
スウェーデンの出生率,死亡率および純再生産率
ごうけい とくしゅ しゅっしょうりつ
• 縦軸: 合計 特殊 出生率
• 1860 年約 5 人 → 2005 年約 2 人
• 1946 年から 1965 年まで,ベビー・ブーム
✒
• 大恐慌と第 1 世界大戦期間中: 低い出生率
✑
• (a) 合計特殊出生率
• 第 2 次世界大戦以降: 出生率急増
• (b) 出生時における平均寿命
コンプレス (compressed) 転換
• (c) 純再生産率
死亡率と同様に発展途上国の合計特殊出生率 (TFR) の推
移は先進国の推移よりもっと短期間に集中して起きている.
合計特殊出生率 (TFR) が 5 から 3 までの変化にかかった
異なる出生率と死亡率 & 等しい純再生産率 (NRR)
• 1780 年と 1915 年: NRR は 1.21,1965 年: NRR は
1.15
年数
• 1780 年: TFR は 4.54,期待寿命は 36.9 年
• アメリカ: 63 年 (1862 年から 1925 年)
• 1915 年: TFR は 3.08,期待寿命は 58.6 年
• インドネシア: 15 年 (1975 年から 1990 年)
•
1
4
• 1965 年: TFR は 2.41,期待寿命は 73.7 年
以下
インドとナイジェリア
4.3.3
出生と死亡の相互作用
✓
総再生産率と純再生産率
Table 1
✏
インドの人口データ
• 総再生産率 (gross rate of reproduction: GRR) 生産
年齢 (15 歳から 49 歳まで) にある女子が,自分におき
かわるべき女児を何人産むかを示す数値.ある世代の
母親が次の世代にどれだけ母親を残すか.1 人の女子
が生涯に産む平均女児数で示される.
• 純再生産率 (net rate of reproduction: NRR) 総再生
産率から,死亡する女児を差し引いたもの.
✒
✑
過去 40 年間にわたる TFR の劇的な低下と平均寿命の上昇
に直面して NRR は若干減少した.
✓
✏
Table 2
ナイジェリアの人口データ
純再生産率 = 総再生産率 − 死亡する女児
(1)
(4.21)
(2)
• TFR の低下 → (1) の減少
✒
✑
ナイジェリアでは,TFR はほぼ一定で平均寿命が延び,NRR
• 平均寿命の上昇 → (2) の減少
が一気に上昇した.
第 4 章 人口と経済成長
8
図 4.1: 人口転換の概念図
• 両国ではデータは人口転換の途中から始まっているこ
とに注意してほしい.
人口増加と 1 人当たり GDP
1 人当たり GDP(y =
• 両国の NRR は 1955 年に 19 世紀後半の人口成長の頂
点にあったヨーロッパの水準であった.
4.3.4
∆( Y )
∆y
= YL =
y
(L)
経済発展と人口増加
Y
L)
の成長率を考える5 .
∆Y
Y
GDP の成長率
人口成長率
∆L
L
−
(4.24)
人口成長率
ここで,∆ は変化(= 増分)を表す.
人口成長率 = 出生率 − 死亡率
• 1 人当たり GDP の成長率
=GDP の成長率 − 人口成長率
(4.22)
• 人口成長率は出生率から死亡率を控除したもので決
まる.
• 人口成長率は,経済発展の初期は上昇し,やがて低下
する傾向がある.
出生転換の説明
4.4
なぜ,1 国が豊かになるにつれて人々は子供の数が少ない
人口転換
方を選ぶのか ?
• 多産多死 → 多産少死 → 少産少死
低い人口成長率
高い人口成長率
低い人口成長率
• 図 4.1 人口転換の概念図を参照
4.4.1
• A<B, C<D
出生数の減少: さまざまな方法
避妊
4.3.5
人口増加と 1 人当たり GDP
第 2 次世界大戦以降,発展途上国の出生率の減少は避妊
1 人当たり GDP
• 人口成長率の高い国は貧しい傾向がある.
道具使用の急増と一致.
✓
■ 家族計画とその効果
✏
• 1 人当たり GDP=
✒
✑
GDP
人口
5 参考
∆(xy)
∆x
∆y
≈
+
xy
x
y
,
∆( x
)
y
(x
)
y
≈
∆x
∆y
−
x
y
(4.23)
第 4 章 人口と経済成長
✓
9
Figure 12
✏
親と子供間の資源の流れ
発展途上国における望ましい出生率と合計特殊出生率
経済成長 −→

養育費増加
子供からの便益減少
• 社会保障 (social security)
✒
✑
質と量のトレード・オフ
• 横軸: 希望する出生率,縦軸: 合計特殊出生率
もし,望ましい出生数が常に現実の出生数に等しければ,
教育を受けた子供が大人なったときより生産性の高い労
働者になる.
データの各点は図で示した 45 度線上にあるだろう.
• 事実は,ほとんどのデータは 45 度の上方にあった.
• 避妊道具使用の急増 −→ 出生率減少 (×)
• 希望する出生率減少 −→ 出生率減少 (⃝)
4.4.2
4.5
• 低所得水準における人口の罠
• a low income demographic trap
• ネルソン (Nelson, R. R.), 1956, “A theory of the lowlevel equilibrium trap,” American Economic Review,
Vol.46, pp.894-908.
出生率の減少: さまざまな動機
経済成長が出生率を下げる最良の方法というアイデアは,
1975 年の国連会議での “発展は最良の避妊薬” (“developmet
is the best contraceptive.”) という有名な標語に要約されて
いる.
人口転換の内生化
• GDP: 右上がり,人口成長率: 逆 U 字
4.6
結論
✓
✏
⋆ memo
死亡率減少の効果
• 死亡率の低下 −→ 出生率の低下
所得効果と代替効果
• 所得効果 (income effect) より豊かになればすべての
ものにより多く支払うことができる.
• 代替効果 (substitution effect) 賃金が高くなれば,子
供は相対的にもっと高くつく.
経済成長 −→ 所得増加 −→ 賃金上昇
✒
4.7
✑
補足:ソローモデルの諸表記
経済成長論
Weil, Economic Growth
• 投資率: γ
• If 所得効果 > 代替効果 −→ 子供の数 ↑
∆k = γf (k) − (δ + n)k
(4.25)
• If 所得効果 < 代替効果 −→ 子供の数 ↓
1890 年と 1988 年のほぼ 100 年間に,女性の全時間収入
は男性収入の 46%から 67%に上昇した.
女性の相対賃金の上昇は家計所得の上昇以上に子供の価
格 - つまり,女性の時間の機会費用 - を引き上げた.
1970 年代にラテン・アメリカで行われた出生調査は,7
現代マクロ経済学
Barro, Macroeconomics: A Modern Approach
• 貯蓄率: s
• 仮定: S = s(Y − δK)
年以上の教育を受けた女性の合計特殊出生率は 3.2 であった
が,1 年から 3 年まで通学経験をもつ女性の合計特殊出生率
は 6.2 であった.
y
∆k
= s − (sδ + n)
k
k
(4.26)
第 4 章 人口と経済成長
10
経済発展論,開発経済学
出生時における平均寿命
• 出生時の平均寿命 (life expectancy at birth)
Todaro and Smith, Economic Development
• 貯蓄率: s
Life expectancy at birth =
T
∑
π(i)
(4.29)
i=0
∆k
f (k)
=s
− (δ + n)
k
k
(4.27)
∆k = sf (k) − (δ + n)k
(4.28)
ここで,π(i) はある人が年齢 i に生存する確率,T は最大
可能年齢 (the oldest possible age).
• 誕生時の期待寿命は生存関数グラフの下の面積.
合計特殊出生率
4.8
基本用語
• 合計特殊出生率 (total fertility rate: TFR)
きしゃく
• calptal dilution (資本 希釈 )
TFR =
• demographic transition (人口転換)
• mortality transition (死亡転換)
• fertility transition (出生転換)
T
∑
F (i)
(4.30)
i=0
ここで,F (i) は年齢別出生率 (age-specific fertility rate).
• 合計特殊出生率は年齢別出生率グラフの下の面積.
✓
• life expectancy at birth (誕生時の期待寿命)
✏
Figure 14
年齢別出生率
ごうけい とくしゅ しゅっしょうりつ
• total fertility rate (合計 特殊 出生率 )
• net rate of reproduction (純再生産率)
4.9
✒
問題
• 横軸: 年齢
1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9
4.10
✑
付録: 合計特殊出生率,平均寿命
• 縦軸: 1 人の女性が産む平均的な子供の数
純再生産率
• 純再生産率 (net rate of reproduction: NRR)
および純再生産率の定式化
生存関数
NRR = β
• 生存関数 (survivorship function)
✓
Figure 13
T
∑
π(i)F (i)
ここで,β は女児出産比率.この比率は自然状態で 50% よ
✏り少し低い.
スウェーデン女性の生存関数
4.11
Key Terms
• survivorship fucntion (生存関数)
• age-specific fertility rate (年齢別出生率)
✒
• 横軸: 年齢
• 縦軸: 生存確率
(4.31)
i=0
✑
4.12
A1, A2
問題