次回予告 ⑦イオンチャネル ・神経伝達物質シリーズひと段落に伴い、 関連問題の知識確認を実施します。 年末にちょっとふさわしい代物を用意しました。 各自知識を思う存分発揮してトロフィーを得てください -目標・イオンチャネルの種類を分類できる ・各イオンチャネルの特徴について説明できる ・イオンチャネルに作用する薬物を列挙できる 2 1.イオンチャネルとは何か 1.イオンチャネルとは何か 特定のイオンを選択的に通過させる孔(チャネル)を形成す るタンパク質。イオンチャネルによるイオン透過は、膜内外 の濃度勾配と電位差による受動輸送であり、エネルギーは必 要としない。 細胞外 濃度(mM) PQ 次の各イオンに対し、 細胞内外の濃度差の 不等号は? Na+ Ca2+ K+ Cl- 細胞外 > 細胞外 > 細胞外< 細胞外 > 細胞内 細胞内 細胞内 細胞内 組織間液 血漿 Na+ Ca2+ K+ Cl- 145 142 細胞内 濃度 (mM) Na+ 15 10-7 1.2 1.2 4.5 4.4 120 116 105 20 教科書によっては値が 若干違うので注意 特定のイオンを選択的に通過させる孔(チャネル)を形成す るタンパク質。イオンチャネルによるイオン透過は、膜内外 の濃度勾配と電位差による受動輸送であり、エネルギーは必 要としない。 程度 Na+濃度 高い Na+濃度 低い 3 4 1.イオンチャネルとは何か 2.カルシウムチャネル 2A. 1A.細胞膜を通過するイオンの種類 2A-1. (Ca2+)(Na+)(K+)(Cl-)など 電位の変化により開口する(通常は脱分極) (リガンド依存性)型 リガンドが結合することにより開口する 1B-3. (漏出)型 常に開口している 膜電位依存性カルシウムチャネル ・細胞膜の(脱分極)に応じて開口する ・細胞膜の閾値を超える脱分極 →最終的には細胞内へのカルシウム流入を引き起こす ・電位依存性カルシウムチャネルの開口 →伝達物質の遊離・筋収縮を誘発する 1B.イオンチャネルの種類 1B-1. (電位依存性)型 1B-2. 細胞膜のカルシウムチャネル 5 2.カルシウムチャネル 2A. 6 2.カルシウムチャネル 細胞膜のカルシウムチャネル 2A. 2A-1. 膜電位依存性カルシウムチャネル ・L、T、N、P(Q)、R*タイプが存在する ・一般的に用いられている薬物の標的 細胞膜のカルシウムチャネル 2A-1. 膜電位依存性カルシウムチャネル ・L、T、N、P(Q)、R*タイプが存在する (例外) 〔シルニジピン 〕は 血管平滑筋のL型Ca2+チャネル遮断 に加えて 交感神経終末の細胞膜上にあるN 型Ca2+チャネルを遮断 → 降圧作用による頻脈(循環反射)を引き起こしにくい。 L型)カルシウムチャネル →(L型 (例外)抗てんかん薬〔エトスクシミド〕 →T型カルシウムチャネルを阻害する (抗てんかん薬) 7 8 2.カルシウムチャネル 2A. 2.カルシウムチャネル 細胞膜のカルシウムチャネル 2A. 細胞膜のカルシウムチャネル 2A-2.リガンド依存性(受容体共役型)カルシウムチャネル ・(リガンド)が結合することにより開口 ・ 代表例:(NMDA)受容体、プリン受容体 2A-2.リガンド依存性(受容体共役型)カルシウムチャネル ・(リガンド)が結合することにより開口 ・ 代表例:(NMDA)受容体、プリン受容体 ・ ・ 〔ケタミン〕: (NMDA NMDA)受容体に結合し、その作用を抑制する →(麻酔)作用を目的として使用 〔メマンチン〕: (NMDA NMDA)受容体に結合し、その作用を抑制する →アルツハイマー型認知症の進行抑制 2A-3. 2A-4. 機械受容チャネル カルシウムストア共役型Ca2+チャネル 9 2.カルシウムチャネル 10 2.カルシウムチャネル 2B. 細胞内のカルシウムチャネル 2B-1. (リアノジン)受容体 2B. ・細胞質のカルシウムにより活性化される性質(カルシウム 誘発カルシウム遊離; CICR)を持つ 2B-2. イノシトール 3リン酸(IP3)受容体 IP3により刺激される小胞体上に存在するCa2+チャネル ・ムスカリン( M1、 M3)受容体と共役する(Gq)タン パク質により( PLC)が活性化され、IP3の産生が上昇する ・(骨格筋)および(心筋)の収縮シグナルを発生 細胞内のカルシウムチャネル Gq Ca2+放出チャネル (リアノジン受容体) Ca2+ストア Ca2+ Ca2+ PLC PIP2 IP3 筋小胞体 11 12 2.カルシウムチャネル 2B. 3.カリウムチャネル 細胞内のカルシウムチャネル 2B-2. 3A. イノシトール 3リン酸(IP3)受容体 Gq ・膜の(脱分極)により開口するチャネル ・電位依存性カリウムチャネルに影響を与える薬物 抗不整脈薬(薬物名;〔 アミオダロン 〕 PIP2 PLC 膜電位依存性カリウムチャネル ソタロール ニフェカラント IP3 Ca2+ストア Ca2+ アミオダロン 13 → IP3を介したカルシウム上昇は 血管内皮細胞 :(NO )の産生に関与 →血管拡張 平滑筋の収縮)に関与 血管平滑筋細胞:(平滑筋の収縮 腸管平滑筋 平滑筋の収縮)に関与 :(平滑筋の収縮 13 3.カリウムチャネル 3B. 14 3.カリウムチャネル 内向き整流性カリウムチャネル 3B. 3B-1. ATP感受性カリウムチャネル ・ATP量の変化(この場合は減少)により開口する ・心臓、膵臓β細胞、平滑筋、骨格筋、神経細胞などに存在 ・開口薬の臨床適用:虚血性心疾患〔 ニコランジル 〕、 脱毛〔 ミノキシジル 〕 内向き整流性カリウムチャネル 3B-1. ATP感受性カリウムチャネル ・ATP量の変化(この場合は、減少)により開口する ・阻害薬の臨床適用: 〔スルホニル尿素薬 トルブタミド グリベンクラミド 〕 p461 17-10 N H N O O トルブタミド NO2 グリベンクラミド ニコランジル 尿素 ミノキシジル 15 16 3.カリウムチャネル 3B. 3.カリウムチャネル 3B. 内向き整流性カリウムチャネル 薬物 小話 内向き整流性カリウムチャネル 3B-1. ATP感受性カリウムチャネル ・開口薬の臨床適用:虚血性心疾患〔ニコランジル〕、 3B-1. ATP感受性カリウムチャネル ・ATP量の変化(この場合は、減少)により開口する ・心臓、膵臓β細胞、平滑筋、骨格筋、神経細胞などに存在 ・開口薬の臨床適用:虚血性心疾患〔 ニコランジル 〕、 脱毛〔 ミノキシジル 〕 ・阻害薬の臨床適用: グリベンクラミド 〕 〔スルホニル尿素薬 トルブタミド p461 17-10 脱毛〔ミノキシジル〕 PQ ダイレクトOTC ダイレクト OTCとは 新しい有効成分が、医療用医薬品という段階を経ずに、 直接(ダイレクトに)一般用医薬品(大衆薬、OTC) として、申請され承認される薬物 17 3.カリウムチャネル 3B. 3.カリウムチャネル 薬物 小話 内向き整流性カリウムチャネル 18 3B. 3B-1. ATP感受性カリウムチャネル ・開口薬の臨床適用:虚血性心疾患〔ニコランジル〕、 3B-1. ATP感受性カリウムチャネル ・開口薬の臨床適用:虚血性心疾患〔ニコランジル〕、 脱毛〔ミノキシジル〕 脱毛〔ミノキシジル〕 スイッチOTC 新薬 医療用 医薬品 安全性 有効性 もともとは 血管拡張薬として開発 一般用医薬品 (OTC) イブプロフェン シメチジン・ファモチジン ロキソニン など 新薬 ダイレクトOTC 安全性 有効性 薬物 小話 内向き整流性カリウムチャネル リアップ (大正製薬) 一般用医薬品 (OTC) その他の脱毛治療薬 アセチルコリン カルプロニウム(コリン作動薬) フィナステリド(5α-還元酵素阻害薬) テストステロンの 活性化を抑制 フィナステリド使用が 19 PQ 禁忌とされる対象は? 妊婦 20 3.カリウムチャネル 3B. 4.ナトリウムチャネル 内向き整流性カリウムチャネル 4A. 電位依存性ナトリウムチャネル ・活動電位の(脱分極)相の形成に関与 3B-2. Gタンパク質制御カリウムチャネル ・アセチルコリンにより活性化され、Gタンパク質のうち (G Gβγ βγ)により活性化される ・テトロドトキシン感受性と非感受性の2種類が存在 ・(局所麻酔薬)の標的因子 ・心臓のAChによる拍動数の減少(徐脈)に関与している 3B-3. ・臨床応用(不整脈 )・(てんかん)の治療 →チャネルの不活性化状態の延長が関与している 揮発性麻酔薬が作用するカリウムチャネル 4B. リガンド依存性ナトリウムチャネル ・ニコチン性アセチルコリン受容体 21 22 4.ナトリウムチャネル 4.ナトリウムチャネル 4A. 電位依存性ナトリウムチャネル ・活動電位の(脱分極)相の形成に関与 4A. 電位依存性ナトリウムチャネル ・活動電位の(脱分極)相の形成に関与 ・テトロドトキシン感受性と非感受性の2種類が存在 ・テトロドトキシン感受性と非感受性の2種類が存在 ・(局所麻酔薬)の標的因子 TQ 不整脈)・(てんかん)の治療 ・臨床応用( テトロドトキシンを有している生物は テトロドトキシン(TTX)結合部位 →チャネルの不活性化状態の延長が関与している 4B. リガンド依存性ナトリウムチャネル ・ニコチン性アセチルコリン受容体 肝臓・卵巣に蓄積 1アミノ酸の違い (生物濃縮) TTX結合部位近傍のアミノ酸配列 TTX感受性 チロシン(Tyr) フェニルアラニン(Phe) TTX非感受性 システイン(Cys) ヒョウモンダコ スベスベマンジュウガニ等も 23 24 4.ナトリウムチャネル 5.クロライドチャネル 4A. 昔はフグ毒に当たると体を埋めていた、、らしい 電位依存性ナトリウムチャネル ・活動電位の(脱分極)相の形成に関与 ・電位依存性、リガンド依存性のチャネルが存在 ・リガンド依存性クロライドチャネル: ・テトロドトキシン感受性と非感受性の2種類が存在 ( GABAA )および GABAC受容体 ・(局所麻酔薬)の標的因子 PQ フグが自らのテトロドトキシンで死なない理由は 不整脈)・(てんかん)の治療 ・臨床応用( (グリシン)受容体 →チャネルの不活性化状態の延長が関与している グリシン受容体による反回抑制 フグがもつNa+チャネル TTX非感受性 4B. リガンド依存性ナトリウムチャネル ⇒ TTXによる影響を受けないため ・ニコチン性アセチルコリン受容体 毒素 LD50(mg/kg マウス) テトロドトキシン 0.01 青酸カリウム 10 通常:一過的にドキドキする ボツリヌストキシン 0.0000011 25 グリシン神経による反回抑制 26 5.クロライドチャネル シナプス後抑制 興奮性の刺激に対して、グリシン 神経が抑制的に作用するため、 過度の興奮伝導は起こらない EPSP ・電位依存性、リガンド依存性のチャネルが存在 ・リガンド依存性クロライドチャネル: ( GABAA )および GABAC受容体 (グリシン)受容体 IPSP PQ 興奮の伝導 レンショー 細胞 グリシン受容体の遮断薬を 一つ挙げなさい ストリキニーネ 28 5.クロライドチャネル 5.クロライドチャネル 薬物 小話 ・グリシン受容体遮断薬 ・グリシン受容体遮断薬 ストリキニーネ 薬物 小話 ストリキニーネ PQ ストリキニーネを誤飲した人がいる! 解毒薬は手に入らない! どうやって助ける? ストリキニーネが 効いている状態ならば、、 興奮しっぱなし → 痙攣 静かなところでそっとしておく 29 30
© Copyright 2024 ExpyDoc