投資情報室 2014 年 12 月 11 日(木) Weekly Outlook 週刊投資情報 No.184 CONTENTS 1.日本株見通しとポイント 2.米国株見通しとポイント 3.円相場見通しとポイント 4.国内経済動向 5.新興国市場・経済動向 6.日本株式~自動車電装化で恩恵を受ける電子部品企業 7.日本株式~NISA の利用度向上で選好される可能性のある銘柄 8.日本株式~“夢のプロジェクト”リニア中央新幹線の着工迫る 9.国内政治・政策動向~すでに「圧勝」を映した改革加速迫られる 10.来週・再来週の主なスケジュール 1/17 本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。 2014 年 12 月 11 日(木) 投資情報室 Weekly Outlook No.184 1.日本株見通しとポイント~株価下落の背景は主に海外要因 長谷川 浩 11 月末以降の日経平均の連続上昇記録は 7 日で途絶え、主として海外要因から比較的大きな下落となっ た。追加緩和後、かつ株価上昇後の調査にもかかわらず景況感の回復が鈍い結果が統計に示されるなど、 景気回復ペースに疑問符が付きつつある。選挙後の景気対策への注目が高まる可能性はあるが、まずは 年末年始の消費動向を見極めたい。調整終了後の物色対象としては、輸出関連企業の出直りが早いだろう。 ◆世界的に株価は下落に転じた ◆ただし、国内景気回復に一抹の不安 先週末以降の日経平均は、円ドルが 120 円台に乗せ るなど、世界的なリスクオンの流れを背景に 8 日にかけ て 7 日続伸した。8 日に発表された日本の 7-9 月期 GDP2 次速報値は事前予想を下回ったが、特に材料視 されなかったようだ。しかし、同日発表のドイツの 10 月 鉱工業生産が事前予想を下回ったこと、原油価格の先 行きに対する弱気の見方が台頭したことなどから NY ダ ウが 100 ドル超下落し、翌 9 日の日経平均は反落。さら に、ギリシャの政局不安や OPEC(石油輸出国機構)が 2015 年の原油需要見通しを下方修正したことなどを受 け、NY ダウが 10 日に 268 ドル下落すると、日経平均も 11 日まで 3 日続落となった。 弊社では消費税増税の影響が薄れること等を背景に 堅調な景気回復を予想している。しかし、11 月の景気ウ ォッチャー調査では、調査期間が日銀の追加緩和後、 かつ株価が年初来高値圏にあった 11 月末にかけてで あったにもかかわらず、指数は前月に続けて悪化して おり(図表 2)、調整終了後の株価指数の上昇力に対し て一抹の不安を覚えざるを得ない。国内景気の回復に とって個人消費は大きなポイントであり、ここからの年末 商戦の動向は注視する必要があろう。ただし、国内景気 減速の影響を受けにくい輸出関連企業については、株 価の中期的な上昇トレンドに変化はないとみられる。 図表 1 NY ダウと同 200 日移動平均、日経平均の推移 ◆一時的な調整局面とみる 19,000 今週に入りにわかに雲行きが怪しくなった株式市場 だが、今回の下落は、昨年以降の調整局面入りの場面 と同様、国内発ではなく、海外発の要因による一時的な リスクオフの流れに日本株も巻き込まれたものとみられ る。直近の調整局面としては、今年の 9 月下旬から 10 月中旬にかけて、NY ダウの下落、円高とともに日経平 均が 1 ヵ月弱で約 1,800 円下落した例があげられる。こ の時の下落の主な要因は、①円高、②世界景気の減速 懸念の高まり、③エボラ出血熱、イスラム国など地政学 的リスク、であった。これらの要因は世界的な投資環境 の変化と言え、日本独自の要因ではない。また、この時 もドイツの 8 月の鉱工業生産が大きく落ち込んだことが 世界的な株価下落のきっかけの一因となっている。 18,000 NYダウ 17,000 16,000 15,000 14,000 NYダウ200日移動平均 13,000 12,000 2013/4/1 2013/9/2 2014/2/4 日経平均 2014/7/8 2014/12/9 (年/月/日) (出所:Astra Manager よりSMBC日興証券作成) 図表 2 景気ウォッチャー調査先行き判断 DI と株価の推移 今回の下落について、ギリシャの政局不安は、今しば らくはくすぶると思われる。しかし、欧州でもすでにセー フティーネットは整っており、ギリシャの財政再建の遅れ が世界的な金融不安に発展する可能性は低いだろう。 また、原油価格の下落は資源国の景気懸念につながる が、現時点ではエネルギーコストの下落による先進国経 済への好影響の方が評価されやすいだろう。したがっ て、株価の調整がテクニカル的にある程度進めば、堅 調な米国景気を背景とした株価上昇トレンドに回帰する と思われる。具体的には NY ダウの 200 日移動平均線 (12 月 11 日現在 16,841 ドル)までの調整が一つのめど となろう(図表 1)。 70 60 (円) 20,000 景気ウォッチャー調査先行き判断DI (季節調整値)(左軸) 17,500 50 15,000 40 12,500 30 10,000 20 7,500 日経平均(右軸) 10 0 5,000 2,500 2002 2004 2006 2008 2010 2012 2014 (年) (出所:内閣府「景気ウォッチャー調査」、Astra Manager より SMBC日興証券作成) 2/17 本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。 (NYダウ:ドル、日経平均:円) 2014 年 12 月 11 日(木) 投資情報室 Weekly Outlook No.184 2.米国株見通しとポイント~FOMC の結果次第でさらに下押しも 河田 剛 12 月 4 日以降の米国株は、原油安によるエネルギー株の下落や、中国株の大幅安、ギリシャの政治不安な どから調整した。16、17 日開催予定の FOMC では、声明文中の「相当な期間」を削除するかが注目される が、市場の受け止め方によっては、S&P500 の 12 ヵ月先予想 PER が 16 倍弱と割高な水準に達しているこ ともあり、株価がさらに調整する可能性もあろう。 12 月のミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)(事前 予想:89.5)などが注目される。16、17 日開催予定の FOMC(連邦公開市場委員会)では、異例の低金利を 「相当な期間」維持するとの声明文中の文言を削除する かどうかが注目される。削除する場合でも他の表現で利 上げ時期のコンセンサスが前倒しにならないように配慮 すると考えられる。しかし、市場の受け止め方によって は、S&P500 の 12 ヵ月先予想 PER(IBES 集計)が 16 倍 弱(10 日時点)と 2007年以降のピークを超える水準に 達していることもあり、株価がさらに調整する可能性もあ ろう。予想 PER が 15 倍程度まで下落するとすると、株価 は高値から 7~8%の下落になると試算される。 ◆先週、今週のレビュー~調整色強まる 12 月 4 日の米国株市場は、11 月 29 日終了週の新規 失業保険申請件数が事前予想を上回ったことや、ECB (欧州中央銀行)理事会で追加緩和の発表がなかった こと、原油安に伴うエネルギー株の下落などから、ダウ 工業株指数(NY ダウ)は前日比▲12 ドルとなった。5 日 は 10 月の製造業受注指数が事前予想を下回ったもの の、11 月の雇用統計(雇用者数)が事前予想を上回っ たことや、エネルギー株の買い戻しなどから、NY ダウは 同+58 ドルとなった。週明け 8 日には、中国の経済指標 が低調だったことや、原油安によるエネルギー株の下落 などから NY ダウは同▲106 ドルとなった。9 日は、11 月 の NFIB(全米独立事業連盟)中小企業楽観度指数や 10 月の求人件数が事前予想を上回ったが、中国株の 大幅下落やギリシャの政治不安などから、NY ダウは同 ▲51 ドルとなった。10 日は OPEC(石油輸出国機構)が 2015 年の需要見通しを下方修正したことなどから、エネ ルギー株が下落し、NY ダウは同▲268 ドルの大幅安と なった。 注:事前予想は Bloomberg、2014 年 12 月 11 日 10 時時点のもの 図表 1 非農業部門雇用者数の推移 (千人) 600 非農業部門雇用者数 (前月比) 400 200 ◆11 月の雇用統計 0 5 日に発表された 11 月の雇用統計では、非農業部門 雇用者数が前月比+32.1 万人(事前予想:+23.0 万人、 10 月は+21.4 万人→+24.3 万人、9 月は+25.6 万人→ +27.1 万人に修正)、民間部門雇用者数が同+31.4 万人 (事前予想:+22.5 万人、10 月は+20.9 万人→+23.6 万 人、9 月は+24.4 万人→+24.9 万人に修正)と、事前予想 を大幅に上回り、10 月分、9 月分はともに上方修正され た。失業率は 10 月 5.8% →11 月 5.8%と横ばいで、事 前予想(5.8%)通りとなった。労働参加率も 10 月 62.8% →11 月 62.8%と横ばいだった。FRB(連邦準備制度理 事会)が重視する全人口に占める雇用者数比率は 10 月 59.2%→11 月 59.2%と横ばいだった。27 週以上の長 期失業者、経済的理由でのパートタイマーは減少した。 時間当たり賃金は前月比+0.4%と比較的高い伸びにな った。したがって労働市場関連の指標は順調に改善し ていると考えられる。 ‐200 3ヵ月平均 ‐400 10/1 11/1 11/7 12/1 12/7 13/1 13/7 14/1 図表 2 14/7 (年/月) (出所:Datastream よりSMBC日興証券作成) S&P500 12 ヵ月先予想 PER の推移 (倍) 17 16 15 14 13 12 11 10 ◆当面の見通し~さらに下押す可能性も 9 経済指標では、11 日(今夜)発表予定の 11 月の小売 売上高(事前予想:前月比+0.4%)、12 日発表予定の 8 2007 2008 2009 2010 2011 2012 (出所:Datastream よりSMBC日興証券作成) 3/17 本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。 10/7 2013 2014 (年) 2014 年 12 月 11 日(木) 投資情報室 Weekly Outlook No.184 3.円相場見通しとポイント~ドル安は急ピッチなドル高の調整の域 本間 英至 米ドルは、週初に 121.85 円まで上昇したが、その後一時 4 円以上も下落するなど軟調に推移している。ギリ シャや中国等の先行き不透明感等が材料とされているが、最大の要因は、これまで押し目もなく急ピッチに ドルが上昇したことの反動とみている。日米の金融政策の違いを主たる背景としたドル高円安見通しに変更 はなく、ここからはドル押し目買いの姿勢が望ましいと考えている。 ◆この 1 週間(12/4~)のレビュー ドル円相場は、5 日の米雇用統計の堅調な結果を受 けて米ドルが大きく買われ、週明け 8 日の東京時間朝 方には 121.85 円と 2007 年 7 月以来の水準まで上昇し た。しかし、その後ドル安円高に転換。原油安等を背景 とした米株の軟調推移や中国景気の先行き不透明感、 ギリシャの政情不安、日本株の大幅下落などの悪材料 が相次いだことで、リスク回避的なドル売り円買いの動 きが続き、米ドルは一時 117.44 円まで下落した。ユーロ、 豪ドル、英ポンドなど米ドル以外の通貨も、前週末から 週明けに高値をつけたものの、米ドルと同様、リスク回 避的な円買い戻しの動きが強まり、外貨は概して対円 で軟調推移を辿った。(東京時間 12/11 正午時点) ◆ドル円の見通しと来週にかけての注目材料 ◇ドル急上昇の反動がようやく実現 米ドルは 8 日につけた高値から一時 4 円以上も下落 と、ドル売り優勢の展開となっている。ギリシャや中国の 先行き不透明感、内外株の下落等がドル売りの材料と して指摘されているが、何よりも、米ドルがこれまで急ピ ッチで上昇してきたことの反動が最大の要因とみてい る。 ◇総選挙、FOMC、ギリシャ大統領選に注目 米ドルは 10 月初めに 110 円を回復後、一旦調整に 転じたものの月半ばの 105.23 円で底打ち。日銀の異次 元緩和拡大もあり、調整らしい調整もないまま一本調子 で上昇。過熱感が指摘される中にありながらも、米ドル の手当てが遅れた輸入筋のドル買いの動きに投機筋が 乗る格好となり、2 ヵ月弱で 16 円以上もドル高が進行し た。その後、5 日に注目指標の米雇用統計を通過すると、 今週末に衆院選、来週に米 FOMC(連邦公開市場委 員会)というビッグイベントを前にして、様子見モードから ドル買い意欲が減退していた。そのタイミングで浮上し た既述の悪材料が、それまで積み上がったドル買いポ ジションの整理を促す絶好のきっかけになったとみてい る。米ドルの上昇が急ピッチだっただけに、下値を模索 する局面はもう少し続く可能性はある。その際は、 105.23 円(10/15 安値)から 121.85 円(12/8 高値)の値幅 の 0.382 倍戻しとなる 115.50 円がメドとして意識されよ う。 ◇先行きドル高円安シナリオに変更なし 来週にかけては、既述の総選挙、FOMC の他、今夜 の 11 月小売売上高を皮切りに、地区連銀製造業景況 指数や住宅関連指標などの注目指標の発表が相次ぐ。 また、16~17 日の FOMC 後に予定されるイエレン FRB (連邦準備制度理事会)議長の記者会見も要注目とな 図表 1 ドル円・一目均衡表の推移 (円/ドル) (円/ドル) 123 121.85円(12/8) 123 121 121 119 119 117 117 転換線 115 113 遅行線 上昇幅の0.382倍値戻し=115.50円 111 基準線 115 113 111 109 109 雲 107 105 107 105.23円(10/15) 103 10/1 105 103 10/9 10/17 10/27 11/4 11/12 11/20 11/28 12/8 12/14 (月/日) (出所:Bloomberg よりSMBC日興証券作成) 4/17 本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。 とはいえ、先行きはドル高円安基調という見通しに変 更はない。金融政策に関する日米の方向性の違いは 今後一段と鮮明化するとの見方に変更がないことが最 大の理由である。週末の衆院選では、連立与党の勝利 が確実視されており、海外投資家を中心に、第一の矢 である異次元緩和を含めたアベノミクスは信認されたと の評価が下される見込みだ。一方、来週の FOMC では、 前週末の米雇用統計が堅調な結果だったこともあり(後 述)、「当分の間(for a considerable time)ゼロ金利を維 持」との文言が変更される可能性が高い。実際の利上 げは半年程度先の話ながらも、ゼロ金利の解除に向け て更に一歩前進したことを印象づけることになりそうだ。 こうしたことを踏まえれば、米ドルが大崩れする可能性 は低いだろう。足元の動きは、急ピッチなドル高の調整、 ドル高基調の中のガス抜きと位置付けられ、ここからの ドル下落は押し目買いの好機として臨みたいところだ。 2014 年 12 月 11 日(木) 投資情報室 Weekly Outlook No.184 は現在、ABS(資産担保証券)などの資産購入を行って いるものの、バランスシートは期待通りには拡大してい ない。市場では、TLTRO 第 2 回で 1500 億ドルユーロ程 度の資金供給を見込むが、この程度の供給額では 1 兆 ユーロの積み増しは非常に困難である。QE 投入に前 向きなドラギ総裁にとって、TLTRO 第 2 回が期待外れ に終わるのはむしろ望ましいところだろう。これまで少し ずつ進めてきた ECB の緩和措置を改めて振り返ると、ド ラギ総裁は QE に強硬に反対するドイツ連銀関係者の 外堀を埋めるべく、一つずつ手順を踏んでいるようにみ える。その手順の最後が今夜の TLTRO 第 2 回。市場予 想を大幅に上回らない限り、これまでの措置では緩和 策は不十分ということが確認され、早ければ 1 月 22 日の 次回 ECB 理事会で、国債購入を含めた QE の決定が 予想されよう。ユーロ圏は、日本と同様に金融政策の方 向性で米国との違いが一段と鮮明化することから、ユー ロは対米ドルでの下落傾向が今後も続く見込みだ。一 方、対円ではドル円の動きに振り回されながらも、基本 的には上値は重いと考えている。経済指標については、 16 日にマークイット PMI と独 ZEW 期待指数、18 日に 独 IFO 景況指数が発表される(いずれも 12 月)。 ろう。一方、欧州では 17 日にギリシャで大統領選挙が 行なわれる。サマラス首相が大統領候補として指名した ディマス氏が議会で 200 票の支持を得れば大統領就任 となるが、連立政権の議席数は 300 中 155 と半分を僅か に上回る程度。200 票に届かない場合は、23 日(200 票 必要)、29 日(180 票必要)と投票が続き、それでも決ま らなければ、2 月にも総選挙となる。世論調査では、ユ ーロ離脱を主張するツィプラス党首が率いる急進左派 連合の優勢が伝えられ、政権が交代した場合、ユーロ 圏各国との関係悪化や財政問題の再燃などが懸念さ れるところ。足元、ギリシャ国債が売られる等やや気にな る動きもみられ、ギリシャ情勢は当面注意が必要だ。 ◇雇用統計は米景気の堅調推移を再確認 なお、5 日に米国で発表された 11 月の雇用統計を簡 単に紹介する。最も注目される非農業部門雇用者数は 前 月 比 +32.1 万 人 と 、 事 前 予 想 ( 同 +23.0 万 人 、 Bloomberg 調査)を大幅に上回る増加幅を記録した。月 当たり 20 万人超の増加幅は 10 ヵ月連続となる。加えて、 1 ヵ月 DI が 69.7(10 月:63.8)と 1998 年 1 月以来の水 準まで上昇しており、雇用が業種面での拡がりを伴って 拡大していることも確認された。一方、イエレン FRB 議 長が注視する雇用市場の slack(たるみ)の状況につい ても、長期失業者および経済的理由によるパートタイマ ー数が減少。時間当たり賃金も 10 月の前月比+0.1%か ら同+0.4%へと加速。賃金上昇圧力が強まる兆候が窺 えるなど、slack は解消に向かって着実に前進している 様子が示された。総じて、今回の統計結果は雇用市場 の順調な拡大を示す内容であり、米景気は引き続き堅 調推移を辿っていることが改めて確認できたといえる。 豪ドルは、16 日に金融政策委員会の議事要旨が公 表される他、中国で発表される小売売上高、鉱工業生 産等の主要月次指標(12/12、いずれも 11 月)、HSBC 製造業 PMI(12/16、12 月)が材料となろう。一方、英ポ ンドは、17 日の金融政策委員会の議事要旨が注目材 料。その他では、11 月消費者物価指数(12/16)、8-10 月 ILO 失業率(12/17)、11 月小売売上高(12/18)が発 表される。 ◆米ドル以外の来週にかけての注目材料 ユーロは、足元で米ドルに対して買い戻しが優勢とな っているが、8 日には 1.2247 ドルと 2012 年 8 月以来の 水準まで一時下落した。4 日に開催された ECB(欧州中 央銀行)理事会では政策変更は見送られたものの、声 明文で ECB のバランスシートを約 1 兆ユーロ拡大させる 文言を、従来の「expect(期待/予想)」から「intend(意 図)」に変更。ただの希望ではなく、より強い意思でバラ ンスシート拡大に取り組む意向を示した。また、現在実 施中の緩和措置が機能しているか来年早々に再点検し、 その評価次第で現行のプログラムを見直す可能性を示 唆。ドラギ総裁は、QE(量的緩和)の導入について「全 会一致の必要はない」とも発言しており、ドイツの反対が あっても多数の賛意があれば可能との見解も表明した。 これを受けて、ECB が国債購入を含めた QE に踏み切 る公算が大きくなり、ユーロ安をもたらす格好となった。 図表 2 米・非農業部門雇用者数と雇用 1 ヵ月 DI (千人) (DI) 500 80 雇用1ヵ月DI(右軸) 450 75 非農業部門雇用者数(前月比、左軸) 400 70 350 65 300 250 60 200 55 150 50 100 45 50 0 現行措置の再点検の点で、今夜行われる TLTRO(条 件付き長期資金供給策)第 2 回は要注目である。ECB 11/7 12/1 12/7 13/1 13/7 14/1 14/7 (年/月) (出所:米労働省よりSMBC日興証券作成) 5/17 本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。 40 11/1 2014 年 12 月 11 日(木) 投資情報室 Weekly Outlook No.184 4.国内経済動向~10-12 月は 3 四半期ぶりのプラス成長へ 野村 真司 7-9 月の実質 GDP は 2 次速報で前期比年率▲1.9%(1 次速報同▲1.6%)と、予想外に下ぶれた設備投資 等を主因に小幅下方修正となった。一方、10-12 月は同+3.5%と 3 四半期ぶりのプラス成長に転ずる見通し。 牽引役は個人消費と輸出である。但し消費マインド、企業マインドは悪化、あるいは横ばい圏での推移にと どまっており、10-12 月の段階では 2 四半期連続マイナス成長が続いた反動増の域を出ていない。 ◆7-9 月 GDP2 次速報:予想外の小幅下方修正 図表 1 実質 GDP 項目別前期比・寄与度の推移 GDP 統計 2 次速報によれば、7-9 月の実質 GDP は 前期比▲0.5%(同年率▲1.9%)となり、上方修正が大 方の予想の中、1 次速報の同▲0.4%(同年率▲1.6%) から小幅下方修正された。下方修正の主因は設備投資 と公共投資。設備投資は 1 次速報の同▲0.2%から同▲ 0.4%に下方修正された。1 次速報での需要見通しに比 べ法人企業統計の結果が弱かったことに加え、法人企 業統計では集計されない中小・個人企業の動向も下押 し要因。また、公共投資も季節調整等、技術的な要因 により 4-6 月が上方修正された影響で 1 次速報の同 +2.2%から同+1.4%に下方修正された。 (前期比、寄与度、%) 4 2.6 1.7 1.5 1.5 1.1 0.1 2 0.7 1.4 1.5 0.1 1.1 0.7 0.4 0 ‐0.2 ‐0.4 ‐0.5 ‐0.6 ‐1.1 ‐1.2 ‐2 ‐0.6 ‐1.8 住宅投資 民間在庫品増加 設備投資 実質GDP ‐4 ‐4.0 ‐3.3 ‐0.4 公的需要 外需 個人消費 ‐0.5 ‐1.7 ‐6 1Q 2Q 3Q 4Q 1Q 2Q 3Q 4Q 1Q 2Q 3Q 4Q 1Q 2Q 3Q 4Q 1Q 2Q 3Q 4Q 1Q 2Q 3Q 4Q 1Q 2Q 3Q 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 (年/四半期) (出所:内閣府「国民経済計算」よりSMBC日興証券作成) 4-6 月、7-9 月と 2 四半期連続マイナス成長の後、 10-12 月は 3 四半期ぶりのプラス成長を見込む。牽引役 となるのは個人消費と輸出。個人消費は賃上げ、ボー ナス増、人手不足等から名目所得は上昇し、消費者物 価上昇率の鈍化を背景に実質所得も改善している。今 後も原油安等から実質所得の改善が見込まれ、個人消 費を下支えしよう。輸出は堅調な米国経済を追い風に アジア向け生産財・資本財が増加している。GDP と連動 性の高い鉱工業生産について、10-12 月は前期比 +3.2%と 3 四半期ぶりの増産が見込まれており、実質 GDP に換算すると前期比年率+3.5%のプラス成長が期 待できる。但し、後述するように消費マインド、企業マイ ンドは改善しておらず、10-12 月の段階では、2 四半期 連続マイナス成長が続いた反動増の域を出ていない。 図表 2 実質 GDP 前期比 需要項目別寄与度 (%pt) 0.4 0.2 0.0 -0.2 -0.4 -0.6 -0.8 1次速報 2次速報 -1.0 個 人 消 費 住 宅 投 資 設 備 投 資 在 庫 投 資 政 府 消 費 公 共 投 資 輸 出 輸 入 (注:2014 年 7-9 月実質 GDP 前期比に対する需要項目別寄与度) (出所:内閣府「国民経済計算」よりSMBC日興証券作成) ◆10 月経常収支:所得収支を主因に黒字急増 10 月の経常収支(季節調整値)は+9,470 億円(9 月 +4,144 億円)と、7 ヵ月連続の黒字となった。貿易赤字 は 2 ヵ月ぶりの拡大。輸出の伸び率(前月比+1.4%)が、 輸入の伸び率(同+1.4%)と同水準にとどまったことが背 景にある。一方、第一次所得収支は、本邦企業による 直接投資の配当金等の受取増に加え、証券投資収益 も増加したこと等から、比較可能な 1996 年以降では過 去最大を記録した。当面も、第一次所得収支は円安効 果もあり高水準の黒字を継続することが見込まれる一方、 貿易収支は原油安効果で輸入額が抑制されるため、赤 字は徐々に縮小する公算が大きい。従って、経常収支 は趨勢的に黒字基調に戻った可能性が高い。 6/17 本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。 1.7 図表 3 国際収支の推移 80,000 (億円) (季節調整値) *四半期ベース 60,000 40,000 20,000 0 -20,000 -40,000 貿易収支 第一次所得収支 経常収支 サービス収支 第二次所得収支 -60,000 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 (注:直近の 2014 年 10-12 月は 10 月単月分を 3 倍した数値) (出所:財務省「国際収支」よりSMBC日興証券作成) (年) 2014 年 12 月 11 日(木) 投資情報室 Weekly Outlook No.184 ◆11 月景気ウォッチャー:現状、先行き共に悪化 行指標である船舶・電力を除く民需は、前月比▲6.4% と 5 ヵ月ぶりの減少となった。業種別にみると製造業は 同▲5.5%と 2 ヵ月ぶりの減少。前月に大型案件のあっ た電気機械、石油・石炭製品の反動減が目立った。ま た、非製造業(船舶・電力を除く)は同▲7.5%と 3 ヵ月ぶ りの減少で、前月に大幅増加した通信業、不動産業等 が低調。10 月は大幅な減少を記録したものの、業種別 でみれば増加・減少が拮抗していること、3 ヵ月移動平 均が底入れしていること(図表 5)等を踏まえれば、持ち 直しの動きが継続していると見るのが妥当であろう。既 に企業の設備過剰感は解消、人手不足・賃金上昇で省 力化投資のニーズは高まっており、機械受注は緩やか な回復トレンドを持続する公算が大きい。10 月の受注金 額を前提に 11 月、12 月が同+3.1%以上であれば、内閣 府の 10-12 月見通し(前期比▲0.3%)を達成できる。決 して高いハードルではなかろう。 11 月の景気ウォッチャー調査(調査期間 11 月 25 日 ~30 日)では、足元の景況感を示す現状判断 DI が前月 比▲2.5 ポイントの 41.5 となり 2 ヵ月連続の低下、横ばい を示す 50 を 4 ヵ月連続で下回った。水準的には消費増 税が実施された 4 月(41.6)とほぼ同水準まで落ち込ん だ。家計関連では小売関連、住宅関連中心に低下。企 業関連では、引き続き円安を背景とする原材料高を受 けて非製造業中心に低下した。また、雇用関連では一 部で求人の増勢に一服感がみられたことから低下。DI で 47.6 と、2012 年 12 月以来の 50 割れとなった。 2~3 ヵ月先の景気に対する先行き判断 DI は、前月比 ▲2.6 ポイントの 44.0 となり 6 ヵ月連続の低下。節目の 50 を 3 ヵ月連続で下回った。円安による原材料高等、 物価上昇への懸念から家計関連、企業関連、雇用関連 すべてで低下。11 月は、10 月末の日銀によるサプライ ズ緩和を受けた円安・株高に伴う資産効果、解散・総選 挙の大義名分となった消費再増税先送り、需要減・供 給増を背景とする原油安等、現状判断 DI、先行き判断 DI 共に改善に寄与する材料と考えられた。しかし結果 は現状、先行き共に悪化。景気ウォッチャー調査は、家 計関連が 7 割弱を占め、2 割強を占める企業関連も中 小企業が中心となるため、円安のメリットよりもデメリット が強調されやすい。今後は実質所得の改善が見込まれ ると共に、総選挙後の政府が策定予定の景気対策にも 一定のマインド改善効果が期待され、家計・企業ともに マインドは底入れに向かおう。 ◆来週の注目指標 15 日に 12 月の日銀短観が発表される。市場が注目 する大企業業況判断 DI は、製造業が+13(9 月+13)、 非製造業が+12(同+13)とほぼ横ばい圏を見込む。先 行きは緩やかな改善方向となろう。 図表 4 景気ウォッチャーと消費者態度指数の推移 (DI) 60 55 50 45 40 ◆12 月ロイター短観:業況判断は横ばい圏 35 12 月のロイター短観(調査期間:11 月 25 日~12 月 3 日)は、15 日発表の日銀短観(12 月調査)の業況判断 DI(良い-悪い)を予測する上で参考となる。業種別で みると、製造業の業況判断 DI は 9 月比横ばいの+10 で、 9 月に水準を切り下げた後、横ばい圏で推移。背景とし て、繊維・紙パ、食品、輸送用機器、精密・その他で消費 増税の悪影響が継続していることや、円安による輸入コ スト増が挙げられる。また、非製造業も 9 月比+1 ポイント の+23 と横ばい圏で推移。ただ、製造業に比べ相対的に 高水準を維持している。業種別では個人消費の動きを 反映する小売が▲14 と、非製造業では唯一マイナス圏 で推移し、もたつき気味の個人消費を象徴している。9 月 の日銀短観では先行き 12 月見通しが製造業、非製造業 共に横ばい圏だった。ロイター短観の結果通りになれば、 企業の景況感が踊り場にあることを示唆している。因み に先行き 3 月の見通しは製造業が+7(12 月比▲3)、非 製造業が+24(同+1)とまちまちな結果。 25 景気ウォッチャー調査:現状判断DI 20 景気ウォッチャー調査:先行き判断DI 消費者態度指数(訪問留置法による) 15 消費者態度指数(郵送法による) (シャドウ部分は景気後退期) 10 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 (年) (出所:内閣府「景気ウォッチャー調査」、 「消費動向調査」よりSMBC日興証券作成) 図表 5 機械受注の推移 (億円) 16,000 (季節調整値・月次ベース) 14,000 外需 12,000 民需(除く船舶・電力) 10,000 8,000 非製造業(除く船舶・電力) 6,000 4,000 2,000 製造業 *マーカー入りの太線は3ヵ月移動平均。 ◆10 月機械受注:持ち直しの動きは継続 0 2008 10 月の機械受注統計によれば、民間設備投資の先 2009 2010 2011 2012 2013 (出所:内閣府「機械受注統計」よりSMBC日興証券作成) 7/17 本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。 30 2014 (年) 2014 年 12 月 11 日(木) 投資情報室 Weekly Outlook No.184 山本 正樹 武田 泰典 5.新興国市場・経済動向 白岩 千幸 前田 佑太 足元の新興国株式市場は、中国株急落にギリシャの政情不安等も加わり、総じて軟調に。新興国通貨は、急 速な円高ドル安を受けて、対円で軒並み下落した。最近では日米欧や一部新興国の株高、米ドル高・円安・ユ ーロ安等に過熱感が出ていただけに、足元の動きは健全な調整の範囲内とみている。来週は米国の FOMC、 中国の経済指標等の注目イベントが予定され、これらが市場の流れを変えるきっかけになる可能性もあろう。 ◆最近の新興国市場の動向 為替市場では、米雇用統計を受け先週末にほぼ米ド ル全面高となった後、今週は円やユーロなど特に主要 通貨に対して、米ドル高の巻き戻しの動きが顕著となっ た。この結果、新興国通貨は対円では総じて下落した。 直近 1 週間の通貨騰落率(図表 1、10 日時点、対円)を みると、メキシコペソ(▲4.8%)などの下落が目立つ。 OPEC(石油輸出国機構)が 2015 年の OPEC 産原油需 要見通しを 12 年ぶりとなる低水準に下方修正したこと 等を受け、今週は原油安が一段と進行。産油国である メキシコやロシアの通貨が売られた。また、南アフリカラ ンドは、大規模な停電や経常収支の赤字が市場予想を 上回ったことから売られた。(前田) 新興国株式市場は、中国株急落(9 日)やギリシャの 政情不安、原油価格の一段安等から先進国株式が大 幅安となる中、総じて軟調となった。直近 1 週間の株価 騰 落 率 ( 図 表 1 、 10 日 時 点 ) を み る と 、 中 国 ・ 上 海 (+5.8%)が大幅な上昇となる一方、ブラジル(▲5.3%) 等は大幅安となった。上海株は、11 月 21 日の利下げ決 定後、大きく上昇していたが、レポ取引の担保に関する 規制強化等をきっかけに 9 日は▲5.4%と急反落。もっと も、翌 10 日には同+2.9%と反発し、週間ベースでは大 幅な上昇を維持している。一方、ブラジルでは、最大の 貿易相手国である中国の輸入(11 月分)が、市場予想 に反して前年比で減少したこと等が嫌気された。原油安 から、ロシアやメキシコなど産油国の下げも目立った。 図表 1 主な新興国市場の動向 騰 落 率 (% ) 直近値 12 月 1 0 日 2 0 14 年 初 来 2 0 13 年 年 間 過 去 1週 間 過 去 30 日 間 過 去 90 日 間 過 去 1年 間 株価指数 中国 インド 韓 国 インドネシア タイ マレーシア フィリピン ロシア トルコ 南アフリカ ブラジル メキシコ 為替 上海総合指数 香港ハンセン指数 SENSEX30種指数 韓国総合指数 ジャカルタ総合指数 SET指数 FBM KLCI総合指数 フィリピン総合指数 MICEX指数 イスタンブール100種指数 JSE全株指数 ボベスパ指数 ボルサ指数 2,940.00 23,524.52 27,831.10 1,945.56 5,165.40 1,559.56 1,765.52 7,175.08 1,486.85 84,126.33 48,745.43 49,548.08 41,372.66 38.9 0.9 31.5 ▲3.3 20.9 20.1 ▲5.4 21.8 ▲1.1 24.1 5.4 ▲3.8 ▲3.2 ▲6.7 2.9 9.0 0.7 ▲1.0 ▲6.7 10.5 1.3 2.0 ▲13.3 17.8 ▲15.5 ▲2.2 5.8 0.4 ▲2.2 ▲1.2 ▲0.0 ▲2.2 0.4 ▲2.5 ▲7.5 ▲0.9 ▲2.2 ▲5.3 ▲4.0 18.9 ▲0.9 ▲0.2 ▲0.6 4.0 ▲0.5 ▲3.4 ▲0.2 ▲1.9 8.2 ▲3.4 ▲6.0 ▲7.1 27.2 ▲4.6 3.1 ▲4.4 0.6 ▲1.3 ▲5.4 ▲0.4 2.6 6.5 ▲4.9 ▲15.1 ▲9.4 31.4 ▲0.9 30.9 ▲2.4 20.8 14.1 ▲4.2 21.9 1.6 13.5 9.2 ▲2.8 ▲2.6 24.9 7.5 22.7 ▲2.3 13.5 14.1 12.9 12.8 0.7 ▲2.2 5.4 19.7 ▲2.0 ▲2.0 ▲0.3 ▲2.0 ▲1.3 ▲1.2 ▲0.1 ▲4.1 ▲2.8 ▲4.4 ▲4.0 ▲4.8 1.6 1.6 1.6 1.2 2.7 ▲0.1 5.0 ▲14.2 2.2 0.2 0.1 ▲4.1 9.2 7.9 3.6 5.5 8.1 2.2 9.4 ▲24.7 6.9 4.6 ▲3.4 ▲0.0 12.6 12.7 9.4 10.7 12.1 6.5 14.5 ▲31.6 2.5 2.9 1.0 1.2 ※プラスは外貨高・円安、マイナスは外貨安・円高 中 国 インド 韓 国 インドネシア タイ マレーシア フィリピン ロシア トルコ 南ア ブラジル メキシコ 円/人民元 円/インドルピー 円/韓国ウォン(x100) 円/ルピア(x100) 円/バーツ 円/リンギ 円/フィリピンペソ 円/ルーブル 円/トルコリラ 円/ランド 円/レアル 円/メキシコペソ 19.07 1.89 10.69 0.95 3.59 34.22 2.66 2.14 51.97 10.21 45.03 8.09 9.7 11.4 7.0 10.4 11.7 6.7 12.5 ▲32.9 6.1 1.9 1.0 0.2 (出所:Bloomberg よりSMBC日興証券作成)(注:「直近値」については、当該日付が休場となっている場合は、その前営業日の値を掲載) 8/17 本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。 2014 年 12 月 11 日(木) 投資情報室 Weekly Outlook No.184 ◆新興国市場関連トピック も大幅に下落した。中国株式市場は、11 月 21 日の利下 げ決定の後、市場金利の低下や追加緩和期待などから 急騰していたこともあり、9 日の上海総合指数は前日比 ▲5.4%,ハンセン H 株指数も同▲4.5%と急落した。 中国~11 月の貿易黒字は輸入減少で過去最高を更新 12 月 8 日に発表された 11 月の貿易統計によると、輸 出は前年比+4.7%と市場予想(Bloobmerg、以下同)の 同+8.0%および 10 月の同+11.6%を大幅に下回った。地 域別では最大の輸出先である米国向け(10 月+10.9% ⇒11 月+2.6%)と香港向け(10 月+24.0%⇒11 月+1.0%) の伸びが大幅に鈍化した。香港向けは 9 月と 10 月に前 年比+20%を超える伸びを示していたが、水増しの可能 性が指摘されていた。一方、輸入は同▲6.7%(10 月 +4.6%)と 3 ヵ月ぶりにマイナスに転じた。品目別では、 価格の下落もあり、鉄鉱石、石炭、原油が大幅減。輸入 の減少を主因に、貿易収支は 545 億ドル(前年比 +61.4%)と過去最高を更新した。(白岩) レポ取引の担保規制変更のニュースはしばらくは金 融市場に影響を与え、担保から除外された社債の価格 下落、市場金利の上昇、株式市場の軟調な展開が続く 可能性がある。ただし、中国では景気減速が続きインフ レ圧力が乏しいことから、早晩金融当局は追加金融緩 和を実施するとみられる。そうなれば株価も緩やかな上 昇に転じるであろう。(白岩) 図表 3 上海総合指数とハンセン H 株指数 13,000 3,200 図表 2 中国の貿易統計 (前年比、%) 上海総合指数 (左軸) 3,000 (100万ドル) 50 (2000年1月3日=2000) (1990年12月19日=100) 50,000 貿易収支(右軸) 12,000 2,800 40 40,000 輸出(左軸) 2,600 30 30,000 20 20,000 2,400 10 10,000 2,200 0 0 -10 ハンセンH株指数 (右軸) 11,000 10,000 2,000 -10,000 輸入(左軸) -20 -30 1,800 14/1 -20,000 -30,000 13/1 13/4 13/7 13/10 14/1 14/4 14/7 14/10 14/3 14/5 14/7 14/9 9,000 14/11 (年/月) (出所:CEIC、Bloomberg よりSMBC日興証券作成) (年/月) (出所:CEIC、中国通関統計会よりSMBC日興証券作成) トルコ~7-9 月実質 GDP は見かけよりも良好 中国~11 月の CPI は資源安で 5 年ぶりの低い上昇率 10 日に発表されたトルコの 7-9 月の実質 GDP は前期 比+0.4%と 4-6 月の同▲0.5%からプラスに転換し、市場 予想と一致した。一方、前年比では+1.7%と 4-6 月の同 +2.2%から伸びが鈍化し、市場予想の同+2.8%を大幅 に下回った。 10 日に発表された 11 月の消費者物価指数(CPI)は 前年比+1.4%(10 月+1.6%)と 5 年ぶりの低い上昇率と なった。食品価格は穀物価格等の上昇率の鈍化を背 景に同+2.3%(10 月+2.5%)と鈍化、非食品価格も資源 や原材料の価格低下を背景に+1.0%(10 月+1.2%)と鈍 化した。前月比は▲0.2%(10 月 0%)と、5 ヵ月ぶりにマイ ナスとなった。(白岩) 前年比での下振れが目立つ結果となったが、前期比 の内訳をみると決して悪い内容ではない。5~7 月に実施 された合計 1.75%pt の利下げの効果等から、個人消費 が前期比+1.7%(寄与度+1.1%pt)、民間固定資本形成 (設備投資等)が同+2.6%(寄与度+0.5%pt)と、ともに 3 四 半 期 ぶ り に プ ラ ス に 転 換 。 政 府 支 出 は 同 +1.3% (+0.2%pt)と伸び悩んだものの、純輸出(輸出-輸入) の寄与度は+1.0%pt と成長率を大きく押し上げた。一方、 在庫投資の寄与度は▲2.4%pt と 3 四半期ぶりのマイナ スとなり、成長率の大きな下押し要因となった。 中国~9 日に上海株が急落 証券業監督管理委員会の管理下にある中国証券登 記決済有限責任会社(以下中国証券登記)は 8 日、地 方政府の資金調達機関(融資プラットフォーム)が発行 した社債について、格付けが AAA 以上、または発行体 が AA 以上のものを除き、レポ取引(買い戻し条件付き 債券貸借取引)の担保として利用することを禁じた。9 日 には担保から除外された債券のみならず、国債の価格 10 月以降の月次統計でも家計部門を中心に内需の 持ち直しがみられる上、7-9 月に在庫調整が大きく進ん だこと、原油価格が今後も低水準で推移するとみられる 9/17 本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。 2014 年 12 月 11 日(木) 投資情報室 Weekly Outlook No.184 前倒しされる可能性もあろう。 こと等から、今後も景気の緩やかな回復が続いていくと 予想している。一方、内需回復は経常収支の悪化要因 となるが、原油安が輸入の増加を抑制し、経常赤字の 縮小傾向は継続すると見込まれる。緩やかな景気回復 と経常赤字の縮小等を背景に、トルコリラは当面底堅く 推移すると予想している。(前田) 通貨ペソについては、エネルギー産業への民間参入 に関する入札が原油安によって不調に終わるとの懸念 や、国内の社会不安などを背景に目先的には下値を模 索する展開が予想されるものの、その後は国内景気の 回復などを背景に徐々に持ち直していくとみている。 (武田) 図表 4 トルコの実質 GDP(前期比) 6 純輸出 在庫投資 個人消費 (前期比、 %) 5 4 図表 5 メキシコの政策金利および消費者物価指数 政府支出 民間固定資本形成 実質GDP成長率 10 (前年比、%) 9 3 2 8 1 7 0 6 -1 -2 -3 2011 2012 2013 2014 消費者物価指数 (左軸) 7 6 4 4 インフレターゲット 消費者物価指数コア (左軸) 3 2 (出所:CEIC、Bloomberg、メキシコ中銀などよりSMBC日興証券作成) 中銀は声明文で、景気の見通しが国内における社会 不安(イグアラ市の市長が主犯とされる殺人事件に対す る大規模な抗議活動)の拡大や海外景気の低迷などを 背景に前回会合時に比べて悪化していると指摘。一方、 原油安などを背景に通貨ペソが下落基調にあることか ら、インフレ率の見通しは上振れ方向にあるとした。 ◆来週にかけてのスケジュールと見通し 世界の金融市場では、今週に入って、中国株の急落 にギリシャの政情不安等も加わり、神経質な動きが続い ている。もっとも、最近では日米欧や一部新興国の株高、 また日米欧の金融政策の相違を手掛かりとした米ドル 高・円安・ユーロ安に過熱感が出ていただけに、今週の 動きは健全な調整の範囲内とみている。 原油相場の下値を模索がなお続いていることや、中 国景気の先行き不透明感から、新興国の中でも原油輸 出国・資源国には今しばらく逆風が続こうが、原油安の 恩恵を受ける新興国への投資については、足元の調整 を押し目買いの機会と捉えたい。 来週にかけては注目イベントが目白押しとなっている。 米国では FOMC(連邦公開市場委員会)(16~17 日)が 予定されているほか、ユーロ圏でも、ドイツの 12 月 ZEW 景気期待指数(16 日)、12 月 IFO 景況指数(18 日)など 注目度の高い指標が発表される。一方、新興国では、 中国で 11 月の鉱工業生産(12 日)等の主要経済指標 の他、12 月の HSBC 製造業 PMI 速報値 (16 日)など が注目される。今週末にかけて各市場である程度ポジ ション調整が進めば、来週はこれらの注目イベントが市 場の流れを変えるきっかけになる可能性もあろう。 (山本) 10/17 本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。 8 1 1 06/1 07/1 08/1 09/1 10/1 11/1 12/1 13/1 14/1(年/月) メキシコ中央銀行は 5 日、市場予想通り、政策金利を 4 会合連続で 3.0%で据え置くことを決定した。 一方、中銀は 8 日、ペソ安を緩和するため、ペソが前 日の終値から対ドルで 1.5%以上下落した場合、1 日当 たり 2 億ドル規模のドル売り介入を実施すると発表した (9 日から実施)。更に 9 日には、カルステンス中銀総裁 が通貨ペソは過小評価されていると発言し、ペソ安が続 いてインフレに影響を及ぼす場合は利上げに踏み切る 可能性があるとした。可能性は低いとみられるが、ペソ 安が長期化する場合には、利上げ時期が来年前半に 9 5 2 メキシコ~政策金利据え置きも、通貨安防止策を発表 景気は今後も、米国向けの輸出拡大や民間投資の 持ち直しを背景に緩やかな回復基調が続くとみられる。 一方、インフレ率は通貨安による上振れリスクはあるもの の、昨年年初に実施された付加価値税引き上げによる 押し上げ効果が剥落すること、国内長距離電話料金の 撤廃、ガソリン価格の引き上げ幅縮小などを背景に来 年前半にかけて大きく鈍化するとみられる。このため、 政策金利は当面据え置かれ、景気回復が本格化し、イ ンフレ率も加速に転じると予想される来年後半に利上げ に転じるとみている。 政策金利 (右軸) 10 5 3 (年) (出所:トルコ統計機構よりSMBC日興証券作成) (%) ※データは政策金利が14年12月10日、 消費者物価が11月まで 2014 年 12 月 11 日(木) 投資情報室 Weekly Outlook No.184 6.日本株式~自動車電装化で恩恵を受ける電子部品企業 松永 良輔 11 月 26 日にトヨタは、衝突回避支援または被害軽減を図る予防安全パッケージを 2017 年までに日米欧の ほぼ全ての乗用車へ設定する予定、と発表した。自動車の電装化には、「環境規制」、「安全性」、「快適性」と いう 3 つの軸足があり、その底流にあるのは「電子制御→コンピュータ化」である。コンピュータ化が進めば、 それに伴いその周辺の電子部品にも波及需要が広がり、恩恵を受けることになる。 ◆「環境規制」だけが背景ではない自動車電装化 11 月 26 日にトヨタは、衝突回避支援または被害軽減 を図る予防安全パッケージ「Toyota Safety Sense」を 2017 年までに日米欧のほぼ全ての乗用車へ設定する 予定、と発表した。レーダーとカメラを用いて衝突回避 支援等の導入を行う予定である。富士重工などが同様 の運転支援システムを導入しているが、トヨタではこれま で高級車種への搭載に留まっていた。今回の展開の背 景には、欧州で 2014 年より自動ブレーキが安全格付け の対象となり、米国では道路安全保険協会が ADAS(先 進運転支援システム)の普及推進を表明した、ことなど があると考えられる。 ◆自動車電装化は電子制御→コンピュータ化の流れ 自動車電装化の流れは、環境規制だけでなく、上記 のような安全性の向上、さらには快適性の向上までさま ざまなかたちで広がりをみせている。たとえば、安全性と 快適性を兼ねた HUD(Head Up Display)や ITS(高度道 路交通システム)と連携する高速通信システム等もその 例である。 パワー・ウインドウ等で分かる通り、昔は手動で対応し ていたことを、電動的にやってくれるという意味での電 装化は以前より存在したし、その応用範囲も広がってき た。しかしそれを発動させるのは人の判断によるものが ほとんどであった。今日進む電装化は、運転支援という かたちで自動車自身がそれを判断する能力を持つとい うことである。 そのような自動化要素を含んだシステムでは、「外部 環境を認識し、それに合わせた対応を考え、対応を具 現化する」といういわゆるコンピュータ化が必要となる。 これを電気的に表記すれば「センサ等でとらえ、ECU (自動車版の CPU システム)で考え、モータや LED やス ピーカ等を駆動させる」ということになる。ECU は機能や アプリケーションごとに設置されるため、これらが増加す れば ECU 搭載数も増加する。それにより、各 ECU 部位 ごとの周辺部品である受動部品や電源制御/ドライバ IC、 コネクタ等への需要も増加することになる。 ◆自動車電装化で注目できる電子部品企業 下段表に示す通り、主要電子部品企業の自動車関 連売上の伸びは自動車の台数の伸びを上回っている。 電子部品は一般的に時間経過とともに価格が下落する 傾向があることを考えると、自動車1台当たりの員数ある いは投入係数が増加していることが窺える。民生用や 産業用途で培った IT 技術の横展開先として巨大市場 である自動車向けに需要が伸びる電子部品企業は注 目に値しよう。 図表 1 2009 年リーマンショック以降の自動車需要と主要電子部品企業の自動車関連売上動向 世界自動車需要 台数伸び率(前年比) 台数伸び率 (09~13年 年率換算) (2014年 予想) 85,277 6% 3% 関連売上比率 関連売上伸び率 関連売上伸び率(前年度比) (13年度) (09~13 年度 年率換算) (14年度会社見通し) 13% 15% - 61% 22% 16% 13% 35% - 16% 14% 4% 17% 16% - 25% 11% 19% 14% 22% - 26% 26% - 14% 16% 17% 2013年(千台) 会社名 コード ミネベア マブチモーター 日本電産 オムロン TDK アルプス ヒロセ ローム 村田製作所 6479 6592 6594 6645 6762 6770 6806 6963 6981 自動車関連主要製品例 ボールベアリング、LEDバックライト等 パワーウインドウ、ドアミラー等、各種車載向モータ 電動パワステ、ウォーターポンプ用等、各種車載向モータ等 ボディ制御用、パワステ用、キーレスエントリ用、コントローラ/システム等 セラミックキャパシタ、同インダクタ、電源部品、センサ等 各種センサ、通信モジュール、ヘッドアップディスプレイ等 同軸、基板ケーブル間コネクタ LCD/LEDドライバ、モータ・ドライバ、電源制御などの各種アナログ技術IC等 セラミックキャパシタ、同インダクタ、センサ、高周波モジュール等 (注:①弊社電子部品セクターのカバー銘柄のなかで会社側が車載電子部品売上を公表している会社を中心に抽出、②アルプス電気に関しては、車載 情報機器セグメントは含まない) (出所:①各社資料よりSMBC日興証券作成(一部弊社推定)、「-」は非公表等、②世界自動車需要は、日本自動車販売協会連合会、 Autodata、NNA、ACEA、マークラインズよりSMBC日興証券作成、2014 年台数予想はSMBC日興証券予想) 11/17 本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。 2014 年 12 月 11 日(木) 投資情報室 Weekly Outlook No.184 7.日本株式~NISA の利用度向上で選好される可能性のある銘柄 西尾 浩一郎 NISA の口座数は順調に増加している。NISA 口座の今年の非課税枠は 12 月末までに使わなければ利用で きなくなるため、今後は「駆け込み投資」が発生する可能性がある。NISA の先行事例である英国では、直近 で税務年度末(4 月)に「駆け込み投資」が発生している。NISA の利用度向上を踏まえた上で、物色の対象と なりそうな銘柄に注目するのは有効な投資戦略であると考え、関連銘柄を探った。 図表 2 は TOPIX 採用銘柄のうち、①今期予想 PER が 20 倍以下、②今期予想配当利回り(年率換算)が 2.0%以上(配当予想に上限と下限がある場合は下限で 算出)、③1 株当たり配当金が直近 3 期連続で増配(変 則決算を除く)かつ今期予想配当が増配、との条件を満 たす銘柄を時価総額の大きい順に並べたもの(予想は 日経予想。時価総額、予想データは 12 月 5 日時点)。 連続増配は、源泉となる利益をしっかりと稼いでいると のイメージを描きやすく、個人投資家の期待も膨らみや すいと考えられ、物色の対象となりやすいのではないか。 投資の際の参考にされたい。 ◆銘柄選別のキーワードは、 (1)大型、(2)割安、(3)高配当利回り、(4)増配 NISA の口座数は順調に増加している。9 月に日本証 券業協会が公表したデータでは、6 月末時点での NISA 口座数は約 727 万口座となり、制度開始から半年で約 48%増加。NISA 口座の今年の非課税枠は 12 月末まで に使わなければ利用できなくなるため、今後「駆け込み 投資」が発生する可能性がある。NISA の先行事例であ る英国の ISA では、直近で、税務年度末である 4 月に かけて「駆け込み投資」が発生しており、日本でも同様 の「駆け込み投資」が行われることが想定される(図表 1)。 ここで、NISA の利用度向上を踏まえた上で、物色の対 象となりそうな銘柄に注目するのは有効な投資戦略で あると考えられる。 弊社ストラテジーチームでは、NISA 口座で選好され ている銘柄の特徴として、(1)大型、(2)割安、(3)高配当 利回り、を挙げており、総資産規模、経験年数、年齢と いった NISA 口座の投資家属性については取引パター ンにほとんど影響を及ぼしていない、と分析している。 従って、今後 NISA の利用度が向上する中でも、その取 引パターンは大きく変化しないと想定できよう。日本株 市場で ROE への関心が日々高まっていることも考慮し、 上述の 3 条件に加えて、(4)ROE 向上策の一つである増 配、との条件を満たす銘柄を NISA 関連銘柄と想定し、 選考される可能性のある銘柄を探った。 図表 1 大手金融サービス会社の ISA 口座売買額(個人) (百万ポンド) 1,400 1,295 1,200 1,000 800 600 450 400 200 169 138 113 25 64 6 93 18 0 -63 -200 -10 -84 13/6 13/7 13/8 13/9 13/1013/1113/12 14/1 14/2 14/3 14/4 14/5 14/6 (注)英国では 4 月が税務年度末。 (年/月) (出所:英国投資運用業協会(IMA)よりSMBC日興証券作成) 図表 2 NISA 関連銘柄 銘柄 コード 銘柄略称 2914 9432 9433 7267 7201 4578 8309 8002 1878 9021 J T N T T K D D I ホ ン ダ 日 産 自 大塚 HD 三住 ト ラ ス ト 丸 紅 大 東 建 JR 西 日 本 決算期 2011/3 2011/3 2011/3 2011/3 2011/3 2011/3 2011/3 2011/3 2011/3 2011/3 配当金 配当金 配当金 配当金 予想 決算期 決算期 決算期 (円) (円) (円) (円) 決算期 34 120 70 54 10 28 8 12 229 80 2012/3 2012/3 2012/3 2012/3 2012/3 2012/3 2012/3 2012/3 2012/3 2012/3 50 140 80 60 20 45 8.5 20 297 90 2013/3 2013/3 2013/3 2013/3 2013/3 2013/3 2013/3 2013/3 2013/3 2013/3 68 160 90 76 25 58 9 24 324 110 2014/3 2014/3 2014/3 2014/3 2014/3 2014/3 2014/3 2014/3 2014/3 2014/3 96 2014/12 170 2015/3 130 2015/3 82 2015/3 30 2015/3 65 2014/12 10 2015/3 25 2015/3 347 2015/3 115 2015/3 予想 予想 予想配当 12月5日 終値 利回り 配当金 PER (円) (%) (倍) (円) 100 14.5 3.671 3,632.0 180 13.5 2.869 6,275 160 16.1 2.104 7,605 88 12.0 2.354 3,738.0 33 12.7 2.907 1,135.0 75 11.8 2.738 3,652.0 11 13.0 2.207 498.4 26 5.9 3.494 744.2 391 18.7 2.817 13,880 120 16.7 2.131 5,630 注:配当金は株式分割調整済み。株式分割調整は JT(12 年 7 月:1 株→200 株)、KDDI(12 年 10 月:1 株→100 株、13 年 4 月:1 株→2 株)、JR 西日本(11 年 7 月:1 株→100 株)。JT と大塚 HD の今期は 9 カ月決算。 (出所:Bloomberg、Astra Manager よりSMBC日興証券作成) 12/17 本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。 2014 年 12 月 11 日(木) 投資情報室 Weekly Outlook No.184 8.日本株式~“夢のプロジェクト”リニア中央新幹線の着工迫る 西尾 浩一郎 JR 東海はリニア中央新幹線の建設工事を来週から着手する。将来の経年劣化や大規模災害に対する抜本 的な対策が必要であるとの観点から、先ず東京―名古屋間で 2027 年の開業を目指す。東京圏―名古屋圏 は交通機関の利用者が多く、時間短縮による経済効果が期待される。今後、工事が本格化するにつれて、 有望な投資テーマとして注目される可能性があることから、関連銘柄を取りまとめた。 ◆最先端技術の結集で世界に日本の力を知らしめる 図表 1 リニア実現による 1 年あたりの経済効果 JR 東海は、リニア中央新幹線(以下、リニア)の建設工 事を 12 月 17 日から着手する。東京・名古屋・大阪を結 ぶ東海道新幹線が 10 月に開業 50 年となる中、将来の 経年劣化や大規模災害に対する抜本的な対策が必要 であるとの観点から、先ず東京―名古屋間で 2027 年の 開業を目指す。 その他, 300 その他, 600 大阪圏, 1600 リニアは超電導を利用した日本独自の先端技術によ り、車両に搭載した超電導磁石と地上に取り付けたコイ ルとの間の磁力で浮上して走行することで、安定かつ最 高時速 505km という超高速走行が可能になっている。 品川―名古屋間を最速 40 分程度で結び(のぞみは 90 分程度)、料金は+700 円程度の上乗せに留める方針で ある。東京圏―名古屋圏は交通機関の利用者が 1 日当 たり 6.8 万人(東京圏―大阪圏は 12.8 万人)も数え、時間 短縮による経済効果が期待される。交通政策審議会は、 大阪開通時の経済効果を便益(利用者の移動時間短 縮などの効果):7,100 億円、生産額変化:8,700 億円と 試算する(図表 1)。 今後、工事が本格化していくことから関連銘柄への 注目度が高まるとみられる(図表 2)。品川―名古屋間の 総事業費は 5 兆円を超えるが、弊社では JR 東海につい て好調な新幹線収入拡大を背景に利益水準が向上し、 リニア建設に伴う将来財務リスクは 2010 年当時の会社 見通しから大幅に改善されるとみている。一方、線路延 長約 286km のうち、トンネルは約 247km と約 86%を占 めることから、地盤改良、地質調査、トンネル工事などで 高い技術を持ち経験豊富な企業が重宝されよう。建設 業界は、復興需要(2015 年度復興庁概算要求額 2.6 兆 円+事項要求)、首都高・外環道の改修整備(事業費 2 兆円規模)や高層ビルなどの再開発、東京オリンピック (関連予算約 8,300 億円)、そしてリニア開発と大規模プ ロジェクトが続く繁忙期を迎え、利益率上昇を伴った業 績拡大も期待できる。この他では、超電導技術に強み を持つ企業なども脚光を浴びそうだ。リニア開通に向け て関連企業の能力は更に磨きがかかると考えられ、“技 術立国ニッポン”の力を世界に知らしめることになろう。 生産額 変化 全国合計 8700億円 東京圏, 4000 名古屋圏, 1800 名古屋圏, 山梨、長野, 1400 800 山梨、長野, 300 ※四捨五入しているため、必ずしも各圏域の合計と全国合計値は一致していない。 (出所:交通政策審議会:中央新幹線小委員会よりSMBC日興証券作成) 図表 2 主なリニア関連銘柄 12月10日 終値(円) 1414 ショ ーホ ゙ン ド 橋梁の耐震対策やトンネルの剥落対策等を手掛ける 4,595 1719 安藤 ハサ ゙マ トンネル等大型土木に強い。瀬戸大橋等、大型建築にも実績 719 1801 大 成 建 山梨リニア実験線で受注実績、名古屋で高層ビル建設中 624 コード 銘柄略称 1812 1815 1820 1835 1861 1926 1950 5232 5715 5803 6741 6744 7011 7012 7013 8088 9022 鹿 島 鉄 建 西 松 建 東 鉄 工 熊 谷 組 ラ イ ト工 日本電設 住阪セメ 古 河 機 フジ クラ 日 信 号 能 美 防 三 菱 重 川 重 I H I 岩 谷 産 JR東海 ポイント 山梨リニア実験線で受注実績、名古屋で高層ビル建設中 東海道新幹線、青函トンネル等数多くの大型工事に参加 トンネル等大型土木に強く、同分野では大手クラスに匹敵 鉄道の保守等に強み、東海道新幹線等の案件に参加 青函トンネル、本四架橋などの大型土木に強みを持つ 地盤改良、杭・地中連続壁等の特殊土木分野が中心 変電所、信号等の電気設備の設計、メンテナンス等が中核 土木建築工事や軟弱地盤の改良等、各種セメントを提供 破砕機やトンネルドリルジャンボなどで高シェアを誇る 超電導ケーブルで世界トップレベル 鉄道信号、交通信号が主力で自動入改札機などにも注力 火災報知や消火設備などの製造・施工・保守を手掛ける リニア「LO系」開発、交通システムやトンネル掘削機等、多彩 東京湾アクアラインなどで、掘削機の技術力の高さを発揮 超電導モーターを製造、トンネル削減機で豊富な実績 リニアモーターカーの超電導コイル冷却用にヘリウムを供給 東海道新幹線が圧倒的なドル箱、リニアを自前で建設 467 460 480 2,529 361 932 1,517 360 208 448 1,240 1,598 695.6 539 593 867 16,740 (出所:Astra Manager、東洋経済会社四季報最新銘柄レポート、会社資 料、各種報道等よりSMBC日興証券作成) 13/17 本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。 便益 全国合計 7100億円 大阪圏, 2300 東京圏, 2600 2014 年 12 月 11 日(木) 投資情報室 Weekly Outlook No.184 9.国内政治・政策動向~すでに「圧勝」を映した改革加速迫られる 司 淳 衆院選の中盤・終盤情勢は自民党が単独で 3 分の 2 に迫る勢いとなっている。投票率が過去最低を更新する 可能性も与党に有利に働くとみられるが、無風の最終局面で有権者の絶妙な判定が期待される。一方、政府 は「年内解散」のツケを払うべく、緊急経済対策や来年度税制改正大綱の閣議決定などを前倒ししている。漏 れ伝わる個別の対策内容から、すでに「与党圧勝」を反映した官邸主導の改革加速を迫られているようだ。 30 日には 2015 年度税制改正大綱を前倒しで閣議決定 する予定だ。経済対策を反映させた 2014 年度補正予 算案は 1 月 9 日に閣議決定し、2015 年度当初予算案 は 1 月 14 日に閣議決定する方針だ。当初の予定に比 べて与党税制調査会が大綱の取りまとめを前倒しする ことで可能となってきた。 ◆自民単独で 3 分の 2 に迫る中盤・終盤情勢 衆院選の中盤・終盤情勢は、序盤情勢であった自公 の与党優勢な状況から変化はない。むしろ自公の勢い が増している。衆院定数 475 議席のうち、自民党(公示 前 295 議席)が単独で 300 議席を上回る勢いは変わっ ていない。民主党が伸び悩み、維新の党などが苦戦し ている状況も変わっておらず、参院で否決された法案を 衆院で再可決できる 3 分の 2(317 議席)を自公・与党で 上回るか、一部には自民党が単独で 3 分の 2 に迫る勢 いとも伝えられている。ただ、小選挙区で約 3~4 割、比 例代表で約 2 割が態度未定であり、最終局面で情勢が 変わる可能性もある。 これまでに報じられた個別の対策内容を挙げると、政 府は 2015 年度に、結婚、出産、子育ての費用を贈与す る場合、贈与税を非課税とする方針である。法人減税 の代替財源として検討されていた社会福祉法人や中小 企業への課税強化は先送りされ、赤字大企業への負担 増などで減税財源を賄う方向と伝えられた。また 3 大都 市圏から地方に拠点や施設を移転した企業を対象に、 法人税を数年間、優遇する特例も税制大綱に盛り込む 方針と報じられた。以上は、高齢者に偏る個人金融資 産の世代間移転を促しながら少子化対策につなげ、大 企業には赤字から黒字への転換を求め、地方活性化 や人口減にも歯止めをかける狙いがある。地方自治体 が実情に応じて自由に使える「地域生活支援交付金」 (仮称)の約 2000 億円なども盛り込み、2014 年度補正 予算は総額 3 兆円規模になる見込みである。財源は 2013 年度決算剰余金や今年度税収の上振れ分などで 対応し、赤字国債は発行されない見通しである。 投票率が下がる可能性も指摘されている。大手全国 紙等によれば、世論調査で「必ず投票に行く」と答えた 人の割合は、実際の投票率より高めに出る傾向にある が、投票率を予測する目安になっている。それによると 現行方法による調査開始(2003 年)以降の衆院選で最 も低くなったことから、今回の投票率は 50%台半ばと推 定 さ れ 、 戦 後 最 低 と な っ た 前 回 2012 年 衆 院 選 の 59.32%を下回る可能性があるという。投票率が低い場 合は、一般的に組織政党が強みを発揮することから、 自民、公明、共産に有利とされている。つまり、これまで の選挙情勢が一段と加速される可能性すらあるのだ。 こうした報道などがアナウンスメント効果を及ぼす可 能性も指摘される。与党の勢いを報じた序盤情勢を見 て有権者が勝ち馬に乗ろうとする「バンドワゴン効果」が、 中盤・終盤情勢に働いた可能性が高い。一方で、劣勢 と報道された政党や候補者に支持が流れる「アンダード ッグ効果」が、小選挙区比例代表並立制が初めて導入 された 96 年や次の 2000 年の衆院選では働いた。ただ 近年は有権者は自分の 1 票を「死に票」としないために 当選しそうな候補者に投じる傾向が強くなったとされる。 態度未定者は、「3 日前の報道で決める」とも言われて いる。勝ち馬に乗るのか、勝ち過ぎにブレーキをかける のか。無風の最終局面で絶妙な判定が期待される。 図表 1 当面の主な政治・政策スケジュール 特別国会召集(首班指名選挙、~26日)~第3次安倍内閣発足 12月28日 緊急経済対策素案とりまとめ 12月30日 15年度税制改正大綱 1月上旬 経済財政諮問会議で2015年度予算案の基本方針 1月9日 2014年度補正予算案閣議決定 1月14日 2015年度当初予算案閣議決定 1月下旬 通常国会召集 2月中旬 2014年度補正予算成立 年度内 2015年度当初予算の成立目指す 〃 今冬 増税延期法案の国会審議 九州電力川内原発の再稼働?(早くて2月以降?) 4月12日 統一地方選(道県知事選、道府県議選、政令市長、市議選) 4月26日 統一地方選(政令市以外の市区町村の首長・議員選) 5月? 集団的自衛権関連法案を一括提出 〃 日米防衛協力のための指針(ガイドライン)改定 7月 拉致再調査開始から1年 9月 自民党総裁選(9/25任期満了) 7月 参院通常選挙 2016年 (出所:各種報道よりSMBC日興証券作成) 14/17 本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。 衆院総選挙投開票日 12月24日 2015年 ◆税制改正と予算編成を急ぐ~「年末解散」のツケ 当面のスケジュールは、12 月 24 日に特別国会(~26 日)が召集され、首班指名選挙、第 3 次安倍内閣が発 足する見込み。28 日には緊急経済対策を取りまとめ、 12月14日 2014 年 12 月 11 日(木) 投資情報室 Weekly Outlook No.184 10.来週・再来週の主なスケジュール <来週のスケジュール> 発表日 国・ 地域 日本 12月 15日 (月 ) 米国 インド ロシア ブラジル 米国 12月 16日 (火 ) ユーロ圏 独 英国 中国 日本 米国 12月 17日 (水 ) ユーロ圏 英国 ギリシャ マレーシア タイ ロシア 日本 米国 12月 18日 (木 ) 独 NZ 12月 19日 (金 ) 日本 ブラジル 12月 12月 12月 12月 12月 11月 12月 11月 11月 10月 - 11月 11月 11月 11月 10月 12月 12月 12月 11月 12月 11月 11月 11月 11月 11月 11月 - - 11月 - 11月 8-10月 - 11月 - 11月 - 12月 12月 7-9月期 - 11月 11月 日銀短観 大企業製造業業況判断(現状) 日銀短観 大企業製造業業況判断(先行き) 日銀短観 大企業非製造業業況判断(現状) 日銀短観 大企業非製造業業況判断(先行き) 日銀短観 26年度大企業全産業 設備投資計画( 前年度比) 鉱工業生産指数( 前月比) ニュ ーヨーク連銀製造業景況指数 卸売物価指数(前年比) 鉱工業生産(前年比、発表日未定、~16日) 経済活動指数(前月比) FOMC(連邦公開市場委員会、 ~ 17日) 住宅着工件数( 前月比) 住宅着工許可件数(年率換算) 住宅着工件数(年率換算) 住宅着工許可件数( 前月比) 貿易収支(季調済) 製造業PMI(速報) サービス業PMI(速報) ZEW景気期待指数 消費者物価指数(前年比) HSBC製造業 PMI( 速報) 貿易収支 貿易収支( 季調済) 輸出( 前年比) 輸入( 前年比) JNTO訪日外客数 消費者物価指数(除食品&エネルギー、前年比) イエ レン FRB( 連邦準備制度理事会) 議長が記者会見 政策金利 消費者物価指数(前年比、確報、前回値は速報値) MPC(金融政策委員会)議事要旨(12月3~4日開催分) 失業保険申請件数 ILO失業率 第一回大統領選挙 消費者物価指数(前年比) 政策金利 実質小売売上高(前年比) 日銀金融政策決定会合( ~ 19日) フィラデルフィア連銀製造業景況指数 IFO景況指数 実質GDP(前期比) 黒田日銀総裁が記者会見 全国百貨店売上高(前年比) 失業率 市場予想 前月・ 前期・ 前年 13 13 13 13 12 13 14 14 8.0% 8.6% 0.6% ▲0.1% 12.00 10.16 1.10% 1.77% 1.1% 2.9% 0.40% - - - 2.1% ▲2.8% 105.0万戸 109.2万戸 103.0万戸 100.9万戸 ▲3.9% 5.9% 177億ユーロ - 50.1 - 51.1 - 11.5 - 1.3% - 49.7 50.0 ▲10,044億 円 ▲7,369億 円 ▲10,000億 円 ▲9,775億 円 7.2% 9.6% 2.4% 3.1% 127.2万人 - 1.8% 1.8% - 0.00~0.25% - - - - - - 2.00% 1.1% - 0.00~0.25% 0.3% - 30.0 - - - - - - 40.8 104.7 0.7% - ▲20,400人 6.0% - 2.8% 2.00% 1.7% 12月 20日 (土 ) 12月 21日 (日 ) (注)発表日は現地時間。市場予想と実績は 2014 年 12 月 11 日 12 時時点の Bloomberg の値を表示。スケジュールは予告なしに変更されることがあります。 (出所:Bloomberg および各種報道などよりSMBC日興証券作成) 15/17 本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。 - ▲2.2% 4.7% 2014 年 12 月 11 日(木) 投資情報室 Weekly Outlook No.184 <再来週のスケジュール> 発表日 12月 22日 (月 ) 国・ 地域 日本 米国 日本 11月 11月 12月 - 10月 11月 11月 12月 23日 (火 ) 12月 24日 (水 ) 米国 11月 11月 11月 11月 7-9月期 ギリシャ NZ 日本 トルコ - 11月 日本 12月 25日 (木 ) 12月 26日 (金 ) 米国 ベトナム 日本 - - - - - 1-12月 11月 11月 11月 11月 11月 11月 12月 - 全国スーパー売上高(前年比) 全国コンビニエンスストア売上高(前年比) 中古住宅販売件数( 前月比) 休場(天皇誕生日) FHFA住宅価格指数(前月比) 個人所得(前月比) PCEコア ・ デフレータ ( 食品・ エ ネルギ ーを除く個人消費デフレータ、 前年比) 個人支出(前月比) 新築住宅販売件数( 前月比) 耐久財受注( 除輸送用機器、 前月比) 耐久財受注( 前月比) 実質 GDP ( 前期比年率、 確報、 前回値は改定値) 第二回大統領選挙(?) 貿易収支 特別国会召集(~26日、首班指名選挙、第3次安倍内閣発足) 政策金利 黒田日銀総裁が講演( 日本経済団体連合会審議員会) 日銀金融政策決定会合議事要旨(11月18~19日分) 休場(クリスマス) 実質GDP(前年比、発表日未定、~31日) 全国消費者物価指数( 生鮮食品除く、 前年比) 失業率 家計調査-実質消費支出(前年比) 有効求人倍率 小売業販売額(前年比) 毎月勤労統計-現金給与総額(前年比、速報) 都区部消費者物価指数(生鮮食品除く、前年比) 緊急経済対策とりまとめ 市場予想 前月・ 前期・ 前年 ▲1.9% - ▲1.1% - 1.5% - - - 0.0% - 0.2% - - 0.2% - 0.7% - ▲1.1% - 0.3% - 3.9% - - - - ▲9.08億NZドル - - 8.25% - - - - - - - 5.6% - 2.9% - 3.5% - ▲4.0% - 1.10倍 - 1.4% - 0.5% - 2.4% - - - 12月 27日 (土 ) 12月 28日 (日 ) (注)発表日は現地時間。市場予想と実績は 2014 年 12 月 11 日 12 時時点の Bloomberg の値を表示。スケジュールは予告なしに変更されることがあります。 (出所:Bloomberg および各種報道などよりSMBC日興証券作成) 16/17 本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。 1.6% 2014 年 12 月 11 日(木) 投資情報室 Weekly Outlook No.184 本調査レポートについて 【免責事項】 本調査レポートは証券その他の投資対象の売買の勧誘ではなく、SMBC日興証券株式会社(以下「弊社」といいます)が情報の提供を 目的に作成したものです。本調査レポートは、弊社が信頼できると判断した情報源から入手した情報に基づいて作成していますが、こ れらの情報が完全、正確であるとの保証はいたしかねます。情報が不完全または要約されている場合もあります。本調査レポートに記 載する価格、数値等は、過去の実績値、概算値あるいは将来の予測値であり、実際とは異なる場合があります。かかる価格、数値等 は予告なしに変更することがありますので、予めご了承くださいますようお願いいたします。本調査レポートは将来の結果をお約束する ものでもありませんし、本調査レポートにある情報をいかなる目的で使用される場合におきましても、お客様の判断と責任において使用 されるものであり、本調査レポートにある情報の使用による結果について、弊社及び弊社の関連会社が責任を負うものではありません。 本調査レポートは、本調査レポートを受領される特定のお客様の財務状況、ニーズ又は投資目的を考慮して作成されているものでは ありません。本調査レポートはお客様に対して税金・法律・投資上のアドバイスを提供する目的で作成されたものではありません。投資 に関する最終決定は、契約締結前交付書面、上場有価証券等書面、目論見書、お客様向け資料等をよくお読みになり、お客様ご自身 の判断でなさるようお願いいたします。 弊社及び弊社の関連会社のリサーチ部門以外の部門が本調査レポートで推奨されている投資や見解と整合しない又は矛盾するコメン トを顧客又は自己勘定部門に対して行う場合があります。弊社及び弊社の関連会社はかかるコメントを参考に投資決定を行うことがあ ります。弊社並びに弊社の関連会社及びこれらの役職員は、本調査レポートで言及されている証券、その派生商品又は本調査レポー トの対象会社の別の証券の売買を行う可能性があります。 本調査レポートは、弊社又は弊社の関連会社から配布しています。本調査レポートに含まれる情報は、提供されましたお客様限りでご 使用ください。本調査レポートは弊社の著作物です。本調査レポートのいかなる部分についても電子的または機械的な方法を問わず、 いかなる目的であれ、無断で複製または転送等を行わないようにお願いいたします。本調査レポートに関するお問い合わせは、弊社の 営業担当者までお願いいたします。追加情報をご希望の場合にはご連絡ください。 本調査レポートに記載された会社名、商品名またはサービス名等は、弊社または各社の商標または登録商標です。 【金融商品取引法第 37 条(広告等の規制)にかかる留意事項】 手数料等について 弊社がご案内する商品等へのご投資には、各商品等に所定の手数料等をご負担いただく場合があります。例えば、店舗における国内 の金融商品取引所に上場する株式等(売買単位未満株式を除く。)の場合は約定代金に対して最大 1.242%(ただし、最低手数料 5,400 円)の委託手数料をお支払いいただきます。投資信託の場合は銘柄ごとに設定された各種手数料等(直接的費用として、最大 4.32%の申込手数料、最大 4.5%の換金手数料又は信託財産留保額、間接的費用として、最大年率 5.61%の信託報酬(又は運用管 理費用)及びその他の費用等)をお支払いいただきます。債券、株式等を募集、売出し等又は相対取引により購入する場合は、購入対 価のみをお支払いいただきます(債券の場合、購入対価に別途、経過利息をお支払いいただく場合があります。)。また、外貨建ての商 品の場合、円貨と外貨を交換、又は異なる外貨間での交換をする際には外国為替市場の動向に応じて弊社が決定した為替レートによ るものとします。上記手数料等のうち、消費税が課せられるものについては、消費税分を含む料率又は金額を記載しております。 リスク等について 各商品等には株式相場、金利水準、為替相場、不動産相場、商品相場等の価格の変動等及び有価証券の発行者等の信用状況(財 務・経営状況を含む。)の悪化等それらに関する外部評価の変化等を直接の原因として損失が生ずるおそれ(元本欠損リスク)、又は 元本を超過する損失を生ずるおそれ(元本超過損リスク)があります。 なお、信用取引又はデリバティブ取引等(以下「デリバティブ取引等」といいます。)を行う場合は、デリバティブ取引等の額が当該デリバ 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