水素経済は実現するか?

エネルギーと自動車の未来展望
水素経済は実現するか?
2014/2/18:本郷台プラット栄
2014/12/5: かながわ県民センター1502号室
2014/12/20改訂
青木一三
分散発電用燃料電池
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PAFC; Phosphoric acid fuel cells (水素変換効率86%、水素燃料電池効率42%、メタン燃料効率36%)
– 富士電機100kWのセル単価650yen/W、
PEFC; Polymer Electrolyte Fuel Cel(水素変換効率86%、水素燃料電池効率36%、メタン燃料総合効率
31%) フッ素系の高分子材料電解質膜中をプロトンが拡散、電極は炭素微粒子でこれに白金、ルテニ
ウム触媒を担持
– パナソニック/TGの都市ガス燃料+改質、燃料電池、0.75kW 出力でのセル単価2,660yen/W
– 都市ガス向け燃料電池熱併給システム(エネファーム)を補助金で強引に8万台普及させた
SOFC; Solid Oxide Fuel Cell(燃料極上で改質が行われるので水素変換不用。酸素イオンが電解質中
を拡散する。都市ガスベース運転温度950℃、小型分散発電総合効率45%、大型の総合効率60%)
– JX日鉱日石、SOFC 0.7kW 出力のセル単価は3,860yen/W 2011年販売開始、2014/10製造中止
– 東芝/TG、SOFC、0.7kW、セル単価4,285yen/W
– BlueGenのセル単価は2,400yen/W
– Bloom Energyの固体酸化物(SOFC)、都市ガス燃料、100kW出力のセル単価640yen/W
– Redox Power Systemsの固体酸化物(SOFC)、都市ガス燃料、運転温度350-650℃ 25kW出力
の予定セル単価100yen/W (2014年末発売予定)。もしこれが実現すれば水素を必要とするPEFC
は駆逐され都市ガス燃料のオフグリッド、マイクログリッドが可能となる
エネファームの改質器
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改質反応 CH4+H2O → 3H2+CO
吸熱
– 都市ガスに水を反応させて水素と一酸化炭素に分解
– 水は燃料電池排ガスの凝縮水をリサイクル利用
CO変成(シフト)反応 CO+H2O → H2+CO2
発熱
– 一酸化炭素を1%以下まで除去する
選択酸化反応 CO+1/2O2 → CO2
発熱
– 微量残った一酸化炭素をppmレベルまで除去する
出口組成
– H2: 75%
– CO2: 20%
3%
– N2:
– CH4: 2%
– CO: 10ppm
改質反応器は4重管型
燃料電池の分散発電単価(メタン燃料)
Type of Fuel Cell
-
PAFC
PEFC
PEFC
SODC
Developper
-
Fuji
Panasonic
Toyota
Toshiba
construction cost
yen/W
SODC
Bloom
650
2660
60
4285
SODC
Redox
Energy
Power Sys.
640
100
cell life
year
8
8
8
8
8
8
cell size
kW
100
0.75
114
0.75
100
25
yen/W
0
0
0
0
0
0
efficiency
%
36
31
31
45
45
45
internal consumption
availability
%
%
0
30
0
30
0
30
0
30
0
30
0
30
100
2628
100
2628
100
2628
100
2628
100
2628
100
2628
17.75
4.05
17.75
289.42
17.75
43.23
17.75
6.75
demolishing cost
load factor
annual power generated
%
kWh/y
(revenue-fuel cost)/equity
(revenue-fuel cost)/power generated
%/y
yen/kWh
17.75
43.90
17.75
179.66
fuel price
yen/kWh
11.91
11.91
11.91
11.91
11.91
11.91
fuel cost/power generated
yen/kWh
33.08
38.42
38.42
26.47
26.47
26.47
power cost
yen/kWh
76.99
218.08
42.47
315.88
69.69
33.22
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•
•
PEFCエネファームは熱併給にしても補助金なしには競争力はない
東芝のSOFCはPEFCにも劣り、日石は撤退
トヨタのFCVの114kWの燃料電池以外の車体価格がHV車と同じ250万円とすれば燃料電池は470万円
となり、燃料料電池の単価は41.2yen/Wとなる。スケールダウンすると単価があがるので、都市ガスで
分散発電する20軒向けのマイクログリッドを構築するとしよう。これに改質器を加えて60yen/Wとなり、8
年間使えるとするとしても電力料金が43yen/kWhとなり、グリッドの30yen/kWhに対抗できない。
Redox Power Sysの100yen/Wの25kW SOFCで5軒向けマイクログリッドなら何とかなるかも
メタン燃料SOFC燃料電池によるオフグリッド発電
140.00
SOFC セル発電単価
• 都市ガス燃料の価格上
昇のため、燃料電池建
設費が100yen/Wに下
がったところで、都市ガ
SOFC
スコストの上昇のため、
gas engine
PVのようにグリッド電力
zero nuke in 2030
とクロスオーバーしない
zero nuke in 2060 • ただ熱併給すれば燃料
電池オフグリッド発電が
zero nuke in 2090
パリティ達成可能かも
(点線)
120.00
yen/kWh
100.00
80.00
60.00
40.00
20.00
0.00
1980
2000
2020
2040
year
2060
2080
•
•
•
2100
熱効率45%
稼働率30%
直流家電
3000
2500
2000
SOFC
1500
gas engine
1000
500
0
1,980
2,000
2,020
2,040
2,060
2,080
2,100
SOFC セル製造単価
•
Redox Power Systems
が成功する前提
•
セル単価 yen/W
水素・アンモニア燃料
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化石燃料はいづれ枯渇する。核分裂・核融合は汚染リスクがあり、リスクコストを含めるとコスト高となる。結局、太陽
エネルギー、すなわち再生可能エネルギーがローコストの人類の将来のエネルギーとなる。ただ太陽エネルギーは
夜間はゼロとなるため、バッテリーに蓄えるか水素・アンモニアなどの化学エネルギーに変換して蓄える必要がある
太陽エネルギーは薄く降り注ぐため、受光面積が資源になり、砂漠などが資源となる。これは地球上に偏在するため、
水素やアンモニアに変換してパイプライン・海上輸送する必要がある
水素はパイプライン輸送できるが、海上輸送のためには冷却液化するか、水素化物にしなければならない。メタンに
変換しても海上輸送のためには冷却液化してLNGにしなければならない。メタノールに変換することも考えられるが、
いずれにせよ0.04%の炭酸ガスを大気から分離しなければならず、コストがかかる
化石燃料はしかしまだ、十分あり、再生可能エネルギーのコスト競争力はこれからである。とはいえ、再生可能エネ
ルギーからの水素・アンモニアを流通させるシステムは今から徐々に準備して化石燃料後にシステムにソフトランディ
ングする必要がある。そこで化石燃料から水素・アンモニアに変換して暫増させる戦略がでてくる
ダイムラーベンツが1997年にメタノール燃料改質・燃料電池車FCVを開発すると宣言したことに触発されて世界中で
FCV開発競争に突入した。コストダウンが困難で他国が開発をスローダウンさせるなかで、日本だけは継続し、都市
ガス燃料電池熱併給システム(エネファーム)を補助金で強引に8万台普及させた
2010年のエネルギー基本計画でIPCCの人為的温暖化説にしたがい、水素を化石燃料から作る時はCCS; Carbon
Capture and Storageを組み合わせるとしたが誰もCCSはしない
2014年のエネルギー基本計画で水素エネルギーを電力・熱と並ぶ二次エネルギーとして位置付け、年間約150億円
の予算を維持しているが、化石燃料から水素製造するかぎり、LNGより液化など変換ロスが大きく、化石資源を早く
枯渇するだけで持続的とは言えない。排出権を充当しCCSをしないと地球規模の二酸化炭素排出量は増える
日本政府は家庭用燃料電池の実用化後も水素エネルギーのインフラストラクチャー整備に資金供給しつづけ、トヨタ
自動車などが、補助金前提で高圧ボンベ方式の水素燃料電池車を2014年に市販開始すると意思表示した。
こうして日本は世界に先駆け、自動車向け水素給油ステーションを整備してゆくことになった。高圧ボンベ方式のCNG
車が普及しなかったのは、税金の補助が無かったから。水素は特別に補助金をつけるようだが普及するかどうか?
アンモニアは水素媒体としては最適なのだが、その臭気ゆえにいまだに、これを実用化しようという企業はでてこない。
海上輸送と陸送はアンモニアで行い、それを熱分解して水素と窒素混合ガスとし、これをパイプで供給するマイクロ
都市ガス網の構築、はたまた給油ステーションで熱分解して窒素を除き、高圧ボンベ充填水素としてFCV向けに市販
することも考えられる
アンモニアはしかしLPGと同程度のボンベで運べるので、安価なエンジン搭載HVの燃料として使うのがコスト的にも
持続性の面でも望ましい
各種自動車燃料とSS比較
Gasoline HV
Conventioal car
灯油
Diesel
Autogas(LPG)
Price of registered driving car/ss fuel number
fuel price
fuel price fuel price
sedan
number distance ratio press. of S.S
Myen
km
MPa
yen/kWh yen/km
2,232,000 2,850,000
1,370
82
0 34,700 160yen/liter
18.1
5.3
2,000,000 48,000,000
1,000 1,383
0 34,700 160yen/liter
18.1
13.3
1,000
0
1,800y/18liter
9.1
13,000,000
1,000
351
0 37,000 110yen/liter
10.0
2,500,000
240,000
1,000
126
0.1
1,900 100yen/liter
13.3
9.8
Home LPG
NGV (CNG)
都市ガス13A圧縮CNG
FCV(hydrogen)
Methanol
EV
CIF Ammonia from NG
0.1
2,500,000
43,600
7,236,000
2,000,000
2,000,000
3,600,000
17
76,000
-
330yen/Nm 3
11.1
145
20
300 71-85yen/Nm 3
7.7
5.7
650 2,000
20
70
130yen/Nm 3
1,000 86.7yen/Nm 3
50yen/liter
6,000
400$/ton
11.8
24.6
7.2
9.8
30
6.46
8.8
4.8
700
0
230
13
0.1
CIF Ammonia from CSP
0.1
1,300$/ton
21.0
•
内ガソリン税(53.8yen/liter)、LPG税(9.8yen/liter、17.5yen/kg)を含む。CNG 水素はゼロ
•
LPG車がタクシー以外に広がらず24万台にとどまるのは燃料系の追加コストで車体価格が上昇すること、サービス・
ステーションの数が1,900ヶ所しかなく、LPG税があるため
•
税金がなく、価格がガソリンの半分にもかかわらず、CNGがなかなか普及しないのはボンベの最大充填圧が20MPa
の規制で車体価格が高止まりであるためとサ−ビス・ステーションの数が700しか無いこと
•
都市ガスを家庭用圧縮機で圧縮するCNGが普及しないのはガス事業法の規制対象で下がらないため
•
EV・PHV・PHEV車の充電スポットは6,000ヶ所でもなかなか普及しないのは車体価格とバッテリー交換費が高い
•
FCVは(補助金を考えても)車体価格が高く、化石燃料より製造する水素価格は無税でも86.7yen/Nm3 =
24.6yen/kWh = 7.2yen/km = 1023yen/kgでガソリンより割高。くわえてサービス・ステーションの数が少ない
ハイブリッド車
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高効率のミ ラー・エンジンを定格で稼働させ、回生エネルギーを200Vリチウム・イオン・バッテリーに回収し、エンジ
ンとモーターを高効率な出力配分で走行する「スプリット方式」またはストロングHEV技術が成功し290万台普及
「パラレル方式」で大手町を走るハイブリッドバス(日野、イスズ)に採用、エンジンは190kW直噴ディーゼル、バッテ
リーは屋根前方、後方は電動空調機。燃費4.9km/kiter 3,000万円
Audi、Volkswagen、Daimler、BMWなどのドイツ自動車メーカーは、CO2排出量95g/kmを48Vという低電圧「パラレル
方式」またの名を「マイルドハイブリッドシステム」で達成しようとしている。これは発展途上国向けにも可能
LPG燃料車
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2011年の世界におけるLPG自動車の普及台数はガソリン代金が高いため2,100万台と多く、ほとんど
自家用。しかし日本ではメーカーがタクシー向けにしか販売しないので24万台どまり
オートガス価格は13.3yen/kWhとガソリンの18.1yen/kWhと安いがタクシー相手なので日本での給油ス
テーションは1900ヶ所しかない
CIF価格6.5yen/kWhの天然ガス由来アンモニア燃料はそのままLPG車に使える
アンモニア燃料は臭気のため社会が受容しにくいのでまずタクシー、バス、トラック業界に
給油ホースのコネクター脱着時に漏れる匂いをコネクターにビルトインした円弧状の空気吸入口から
匂いを空気毎吸引し、触媒燃焼後大気放出することで防げる。
NGV(CNG)
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天然資源をそのまま販売するCNGは本来安いはずだが、ガス事業の総括原価方式規制のため、高価。
アルミ/C-FRP製ボンベは法規制で20MPa止まり
水素自動車の水素ボンベはCrMo鋼製70MPaと特別緩和したにもかかわらず恣意的非対称規制のま
ま
天然ガス自動車(NGVまたはCNG車)
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NGVは実用化されて久しくトラック中心に43,600台普及。7.7yen/kWhとガソリンの18.1yen/kWhの半分
以下なのだが、全国に3万7000か所あるガソリンスタンドに比べ300ヶ所と遠く及ばないためあまり普及
しない
ホンダは米国でCivic GXを家庭用充填機と一緒に販売している。8時間でCivic GXが約100マイル(約
160km)を走行できる天然ガスを車両に充填できる。日本でもガス会社が販売しているが売れない。
NGV向けCNGステーション
千住
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都庁
千住
高圧ガス保安法の規制により保安監督者の配置が必要。エコステーション認定充填所は全国で約270
か所、事業者が独自に設置した充填所を含めると300か所を超える。
4万弱あるガソリンスタンドに遠く及ばない。
藤沢
NGV Cylinder design standards
ISO 11439 and 11489
Type 4 CNG Cylinders – Fully Wrapped Composite with Non‐Metallic Liners
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原理はNGVでもFCV水素でも同じ
2000年以降のNGVの事故20件のうち11件が火災がらみである
NGVは未だ最大200気圧のまま
NGVの成功と失敗に学ぶ
Sonia Yeh “An empirical analysis on the adoption of alternative fuel vehicles:The case of natural gas vehicles” Energy Policy 35 (2007) 5865‐5875
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NGVは第2次オイルショックを機に、ニュージーランド政府がNGV購入に補助金を給付し、ガス燃料にも補助金給付
と税金減免を行った(最終価格はガソリンの約3分の1)ことで、1980年初頭に11%もの市場シェアをNGVが占める
ことになった。ところが1985年に政府が各種補助金や優遇施策を打ち切ると、1995年にはNGVが市場からほとん
ど消滅してしまった
ニュージーランドでは天然ガスは産出されない。天然ガスが産出されない国でガス価格を政策的に抑制するのは、
長い目で見て無理な施策だったと言うほかない。この歴史が示すとおり、補助金や税制優遇に頼るだけの普及施
策は長続きしない
アルゼンチンは燃料への税制優遇に加えて、NGV向けのガススタンドを整備する民間事業者が確実に収益を出せ
るしくみを政府が提供した。自動車用天然ガスは、公定卸価格のガソリンや軽油に対して3分の1と圧倒的に安価
で、ガススタンドが得られる利ざやを大きく確保した。アルゼンチンは自国で産出するガスにも恵まれており、燃料
補助金を給付せずとも、政策を持続することが可能だった。結果、1994年から目覚ましい勢いで普及が進んだ
FCVも補助金が終わればニュージーランドのNGVと同じ運命をたどるだろう
EV・PHV・PHEV
オランダ産業局(RVO)ウェブサイトの公開情報を基に作成
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ノルウェーでは電気自動車(EV)の普及政策として、車両購入時の補助、自動車税の免除、優先レーンの利
用許可など、圧倒的に有利な条件(インセンティブ)を消費者に提示した結果、3万台以上のEVが街中を走り
回るようになった
オランダはノルウェーに次いで、EVの販売実績が伸びている。しかし、2012年初頭からEV以上に販売実績を
伸ばしているのが、プラグインハイブリッド車(PHV)またはPHEV(Plug-in Hybrid Electric Vehicle)
360万円する日本のEV・PHV・PHEVは保有台数76,000台@2014年
250万円のハイブリッド車(HV)は290,000台@2012年
水素自動車(FCV)
PEFC燃料電池
<114kW
10-30yen/W
70MPa高圧水素タン
ク>500km
モーターと
パワーコント
ロールユニット
21kWニッケル水素電池
リチウム・イオン電池
回生エネルギー貯蔵
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研究助成を受けたトヨタやホンダは2014年末にも高圧タンク充填高純度水素ガス燃料のPEFC燃料電
池搭載のFCVを720万円で市販開始予定。政府はガソリン車との価格差の200万円(+オリンピックの目
玉として東京都100万円)を補助する
燃料電池以外の車体価格がHV車と同じ250万円とすれば燃料電池は470万円となり、燃料電池の単価
は41.2yen/Wとなる。エネファームのリフーマー付き燃料電池2660yen/Wの半分の1330yen/Wが燃料電
池としても単価はエネファームの3%という驚きの数値
MEA(膜/電極接合体)劣化の仕組みを解析し、MEAの劣化につながる過電流や過電圧を高精度に制
御し乗用車としての目標である20万km(5000時間)の寿命を確保。FCから水排出する配管内水素濃度
の上限を4%とし、4%に達すると水素の注入を遮断し爆発を防ぐ仕組みを義務付ける。容器の圧力サイ
クル上限2.2万回
高圧水素タンク
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水素に関してはANSI/CSA HPRD 1 and EIHP Rev. 12b. タンクの火災対策に関する国際規格に関してはCSA B51
Part 2, JARI S001, SAE TIR J2579, ANSI/CSA HGV 2, ISO DIS 15869.2 and EIHP Rev. (draft ISO standard for
hydrogen fuel tanks)いずれも国際的には直ぐ規格にせずドラフトとし技術標準として実績を積み上げることが合意
燃料チャージ中にタンク内温度が85℃以上にならないという要求もある
2014年5月中に車に積む水素燃料タンクの規制をゆるめ、最高圧を700気圧にして1回の充填で走れる距離を今より
2割長くした。2016年には安全審査を国際基準にそろえ、日本製の燃料電池車を海外に輸出しやすくする
トヨタは2014年中にFCV市販開始。国内400台、米国3000台
FCVの革新は700気圧の高圧タンクにあり。CNGは未だに200気圧止まり
水素漏れを防止するライナー(タンクの最も内側の層)に、強度が高く水素透過防止性能に優れたポリアミド(PA)系樹
脂、タンクの外側はカーボンファイバー層
ホンダ(高圧タンク)は2015年、日産(高圧タンク)は2017年に販売予定だがダイムラー、BMW(液体水素)、GM、フォード
は日和見。ただダイムラーはバスに関しては2020年に日本市場に投入。高圧タンク方式か?
FCVコストダウンの方策
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燃料電池スタックと水素タンクはFCV向けの専用品、それ以外はハイブリッド車などと共通化すること
で、コストを削減する。
燃料電池スタックについては、発電セルの出力密度が面積当たりで2∼2.5倍に高まっている。その結
果、材料にかかるコストを半減できる。さらに、非常に高コストとされる白金(Pt)触媒に使うPtの使用
量を、当初の1/5程度まで削減。
高コストの水素タンクは炭素繊維強化樹脂(CFRP)をぐるぐる巻きにするので、現状は非常に高い部
品の一。水素タンクを内製して、材料の見直しや製造方法の改善によってコスト低減を進めている。
将来的には水素タンクのコストを当初の1/2∼1/3にできるとみている。
ただガソリン車は走行中にのみ摩擦などで劣化するのに対し、FCVは停止しているときにも劣化が進
行する。
Hydrogen Cylinder Rupture Testing
Burner below Type 4 cylinder w/o PRD
Type 4 found 82 m away
Zalosh and Weyandt
Fire 9 minutes after ignition under hydrogen cylinder
Type 3 found about 41 m away
FCVの問題点
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燃料電池にしろ、二次電池にしろ、電極という繊細な部品を持つものは、設備のコストダウンが困難で、かつ寿命も
二次電池は6,000サイクル、燃料電池は5,000時間と短く、更新コストがかかる。またPEFCに使われる白金の国際相
場はグラム4000円程度。燃料電池の出力1kWあたりの白金使用料は1グラムとしてFCV1台に50グラム使うとして、白
金だけで20万円必要。PEFCは白金を使うため、CO<1ppmという高純度水素という燃料しか受け付けない
SOFCはセラミック膜を600-900℃でつかうため、不可変動の激しい自動車には使えず、定置式でも日本石油がエネ
ファームから撤退したように技術的に難しい
このようなわけで燃料電池の建設単価はPEFC 2,660yen/W、SOFC 640yen/Wと高く、マイクロガスタービン166yen/W
やガスエンジン100yen/Wにとても太刀打ちできない
燃料電池は発電効率が高いとされて多大な資源がその開発に投入されたが、発電効率はPEFCは36%、SOFCで45%
でコモンレール・インジェクション・エンジン効率の50%に及ばない
にもかかわらず経産省は過去15年間、水素燃料電池の実用化を国是としてきた。トヨタなどはこの方針を利用して、
70MPaボンベとPEFCを使う水素燃料電池車を開発した。経済産業省は2014年6月に国の政策として水素社会を目指
す方向を示した。しかし、水素社会というのは「エネルギーを運ぶ手段として水素を使う社会」のことであり「水素をエ
ネルギーとして使う社会」のことではない
EVは自宅で夜間充電できるが、FCVは給ガスステーションに全面依存。NGVのときと同様、燃料費がやすくなるわけ
ではなく、給ガスの不便さを考えれば高価なFCVを購入する動機にはなりえない。
また水素タンクが火災につつまれると数分で破裂タンクが破裂し、100m円周内内が着弾地となる。FCV購入者はこ
の損害は強制保険や任意保険の対称になるのか確認が必要
トヨタの秘密兵器はしかしコモンレール・インジェクション・エンジン搭載車にあり、一旦水素サービスステーションが政
府の補助金で普及すればこの秘密兵器を投入して水素燃料車の市場を席巻することも可能だし、ガソリンやディー
ゼルエンジンハイブリッド車も可能
給ガスステーションの数がFCV普及のキーポイント。オリンピック名目で補助金を出してもその後は尻つぼみ?
EV・PHV・PHEV(ガソリン、アンモニア燃料)はPV+batteryのオフグリッド・ハウスのバックアップに使える。原理的に
FCVも同じ目的に使えるが、水素燃料コストがグリッド電力と同程度ならEV・PHV・PHEVより不利
地球規模でみればガス田でCCSしない場合、水素エネルギーの二酸化炭素排出量はNGVより増える
オーストラリアの褐炭のように船で輸送できないものを液体水素にして運ぶ計画もあるが、液化ロス大
リスクとしては燃料電池向け水素は触媒毒になるため、付臭剤などが添加できず、漏れによる事故が発生しやすい
水素ステーション
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LPG改質: 千住、 名古屋市神の倉
都市ガス改質: 青梅
ナフサ改質:横浜旭
脱硫ガソリン改質:横浜大黒
灯油改質:秦野
メタノール改質:川崎
アルカリ水電解;相模原
オフサイト:横浜鶴見、海老名中央
液体水素: 有明
水素シリンダーカードルを使う移動式:12ヶ所
オーストラリアの褐炭からの水素を液体水素タンカー輸送(岩谷)
海外の化石燃料由来アンモニアの熱分解水素+窒素分離
海外の安価な水素を有機ケミカルハイドライド法海上輸送+精製
車に2つのタンクを載せて車上でケミカルハイドライを脱水素する方式は無理
2014.6現在の水素ステーションは稼働中17ヶ所、建設決定が31ヶ所にとどまる。政府は整備費を補助
して1015年までに100ヶ所(岩谷20)にし、FCVが200万台に達する2025年ごろには1,000ヶ所という。と
報道されているが、2014/11現在、開設予定は41ヶ所
通常のガソリン給油ステーションの建設費は1億円程度
水素給ガス・ステーションの建設費は6-7億円(国の補助金1.8-2.8億円、東京都はオリンピック名目で1
億円)かかるため、数千億円の補助金が必要
カルフォルニア州ですら2015年までに68ヶ所の水素ステーションを設ける程度
NGVと同じ運命をたどるとすれば1,000ヶ所程度のSSではFCVの普及台数は2025年で最大145,000台
程度にとどまりLPG車にも及ばない
水素シリンダーカードルを使う移動式
アルミ/C-FRP
CrMo鋼
CrMo鋼
35MPa
70Mpa
83Mpa
超高圧容器
205L
250L
100L
出前サービス式
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10トン・トラックや大型トレーラー上に超高圧容器、コンプレッサー、超高圧ディスペンサー等を搭載した
タイプもある。燃料電池自動車が要求する場所に移動し、その場で直接、自動車の燃料タンクに圧縮
水素を供給できる
いわばFCVセールスマンのための助っ人
価格は1台約5-6,000万円。
現時点では定置式で数も少ないため(首都圏で5箇所建設中)
規制により7台分しか貯蔵できない(規制緩和検討中)
有機ケミカルハイドライド法で産油国産水素をタン
カー輸送する構想
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化石燃料原料水素や砂漠の再生可能エネルギー由来水素を有機ケミカルハイドライドでタンカー輸送
し、水素ガスに戻してFCV燃料、脱硫用水素、火力発電混焼に供給する構想。
千代田化工建設の有機ケミカルハイドライド
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メチルシクロヘキサンへの触媒を使う水素化反応は発熱反応でエネルギー転換率は69.1%
• Toluene+3H2→Methylcyclohexane + 205kJ/mol
触媒を使う脱水素反応は吸熱反応でエネルギー転換率は72.1%
• Methylcyclohexane→Toluene+3H2- 205kJ/mol
循環中に蓄積するガムは精製除去
LNG化に適さない小規模天然ガス(4$/MMbtu=3.8$/GJ)を水素(10$/GJ)にして有機ケミカルハイドラ
イド法にして輸送すると日本着15$/GJとなる。これを27.8$/GJ = 29.3$/MMbtu = 30¢/Nm3=10¢/kWh
で下流に供給できれば70MPaボンベ渡しで86.7yen/Nm3=1023yen/kg=24.6yen/kWhとなる
岩谷は70MPaボンベ渡しで1,100yen/kgまたは10yen/kmとしている。
発電用のLNGは16-18$/Mmbtu(米国産は12$/Mmbtu)火力発電燃料としては水素は割高
液体水素ステーション
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液体水素/水素のターボエキスパンダーの液化効率は61%
有明水素ステーションの液体水素貯槽 NEDOの参加企業である昭和シェル石油と岩谷産業が共同で
設置・運営している。液体水素を気化させた圧縮水素を35MPaの圧力でFCVに充填する
変換技術のエネルギー転換効率
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LNG/天然ガス:95% 天然ガスを液化して液化天然ガスにする
電解水素/電力: 76% 水の電気分解で水素を作る
水素/メタン:80-86%
メタンの水蒸気改質で水素を作る
水素/炭素(褐炭)+水:65% 褐炭の部分酸化とシフト反応で水素を作る
液体アンモニア/メタン:81.4% メタンの空気での部分酸化とシフト反応の合成ガスアンモニア合成
液体アンモニア/電解水素:75.1%
電解水素ガスと空気分離窒素ガスから冷凍アンモニア合成
液体水素/水素:61%
水素を二段膨張タービンサイクルで冷却液化
圧縮水素/水素またはCNG/LNG:90% 水素ガスのボンベ詰め、またはLNGのボンベ詰
水素/アンモニア:95.7% アンモニアの燃焼熱で650℃で熱分解した水素・窒素混合ガス
水素/水素(非熱回収型有機ケミカルハイドライド):67% トルエンを水添して輸送し、消費地で脱水素
水素/水素(熱回収型有機ケミカルハイドライド):79% 同上、ただし水添熱熱回収
ハイブリッド車に使われるミ ラー・エンジン:38% 圧縮比が膨張比より大きいエンジン
大型過給機付高圧縮ディーゼル・エンジン:47%
Gas engine:Honda 163cc 22.5%、MHI 1MW希薄燃焼ミラーサイクル42.3%
Micro gasturbine(Capstone C65):29%
コモンレール・インジェクション水素燃料エンジン:50%
BTG発電:42%
boiler turbine generator
石炭ガス化発電IGCC:48% (1,200℃級GT)
LNG燃料コンバインド発電:60% (1,500℃級GT)
LNG燃料SOFCトリプル・コンバインドサイクル発電:70% (1,500℃級GT)
水素燃料PEFC燃料電池:36%
LNG燃料SOFC燃料電池:大型50%、小型45%
総合エネルギー転換効率
資源→自動車
Bcoal
NG
NG
NG
NG
Bcoal→H2(65%)、H2→LH2(61%)、LH2→CH2(90%)、CH2→PEFC(36%)
NG→LNG(95%)、LNG→CNG(90%)、CNG→HV(38%)
NG→H2(86%)、H2→Chemhallide→H2(79%)、H2→CH2(90%)、CH2→PEFC(36%)
NG→NH4(81.4%)、NH4→2H2+1/2N2(95.7%)、H2→CH2(90%)、CH2→PEFC(36%)
NG→NH4(81.4%)、NH4→HV(38%)
13
33
22
25
31
CNGハイブリッド車が最高総合効率
アンモニアハイブリッド車がこれに次ぐ
液体水素化は最も効率が悪い
化石燃料から変換した水素を水素燃料自動車につかうことは温暖化防止の呪文をとなえて資源を浪
費する「頭隠して尻隠さず」的行為だ
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資源→電力
Natural
Resorces
NG
NG
CSP power
CSP power
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Conversion & Transportation process
NG→LNG(95%)、LNG→SOFC triple combined cycle(70%)
NG→H2(86%)、H2→Chemhallide→H2(79%)、H2→SOFC triple C.C.(70%)
CSP power→H2(76%)、H2→Chemhallide→H2(79%)、H2→SOFC triple C.C.(70%)
CSP power→H2(76%)、H2→NH4(75.1%)、H2→SOFC triple C.C.(70%)
LNG燃料を燃すSOFC triple combined cycleが一番天然ガス資源の温存に適している
CSP発電電力の有効利用という面ではアンモニア化が一番総合効率が高い
Well to Grid
Efficiency
67
48
42
57
an ostrich policy
頭隠して尻隠さず
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水素は資源ではなく、電力と同じ二次エネルギーである。風力や太陽光のような再生可能エネルギー
から製造されればG20が目標とするサステナブルエネルギーとなりうる。しかし現時点では褐炭や天然
ガス、LPG、ナフサなどの化石燃料から改質反応で変換したものを使おうとしている。そのとき二酸化
炭素が発生する
改質反応でエネルギーがロスするため化石燃料をかえって早く枯渇させることになる。そういう意味で
サステナブルエネルギーとはいえない
「水素は燃しても水になるだけで二酸化炭素は排出しない」というのはウソである。なぜなら生産国で
化石燃料から転換したしたものをつかおうとしていることに言及していないからである。水素エネル
ギーは褐炭や天然ガスを直接エネルギーにする時より二酸化炭素排出量が増える。そして大気はつ
ながっているのだ。まさに砂に頭を突っこんで現実逃避しようとするダチョウの習性とそっくりだ
こういうわけで世界は日本の水素エネルギー推進政策はan ostrich policyだと思うだろう