1/2 Team SOFC 担当者 太陽光発電および固体酸化物型燃料電池を利用した 家庭用熱電併給システムの適用可能性に関する研究 Jorge Lamas(D1) 澤木伸佑(B4) 2014 年度班紹介資料 0.1690 PL 0.3963 1.緒言 近年,太陽光発電(PV)および燃料電池が家庭へ盛んに (2) PE:SOFC 発電効率[-] 導入されているが,PV には余剰電力を系統電源へ逆潮流 HE:SOFC 排熱回収効率[-] させている,SOFC には化石資源を燃料とするといった欠 PL:部分負荷[-] 点がある.そこで本研究では PV および SOFC を複合した 部分負荷とは,定格出力に対する発電量の比であり, PV-SOFC システムを提案する.本システムでは PV の余剰 電力を水電解へ用いることで SOFC の燃料である水素を PL EPS ROS (3) 生成する.これにより余剰電力を系統電源へ逆潮流させる EPS:SOFC の発電量[W] ことなく水素として貯蔵し,SOFC の燃料を自給する.そ ROS:SOFC の定格発電出力[W] と定義する. のため,エネルギ自立度の向上が可能となる.本報では本 システムの適用可能性を把握するため,日本の 5 都市にお 4.解析条件 いて水素添加率 10%の水素-都市ガス混合燃料を利用した PV-SOFC システムを家庭へ導入した際における一次エネ 本報では,PV-SOFC システムを国内 5 都市(札幌, 東京,名古屋,大阪,福岡)の家庭へ導入した際にお ルギの削減量をシミュレーションにより評価した. ける省エネルギ性を検証した.そこで,比較対象と して余剰電力を電力として貯蔵する PV-Battery シス 2.PV-SOFC システム 本報にて想定した PV-SOFC システムの概略を図 1 に示 テムおよび従来型の家庭である Conventional システ す.本システムでは,PV で得られた電力は家庭内へ供給 ムを想定した.また,各システムを評価する指標と され,余剰分は水電解装置へ送られ水素を生成し,タンク して一次エネルギ消費量を(4)式のように定義し,各 にて貯蔵される.そして水素は電力需要に応じ SOFC へ燃 システムの省エネルギ性を評価する指標として省エ 料として投入され,家庭内へ電力および温水が供給される. ネルギ率を式(5)のように定義した. EFC PSDU GOA UEf (4) ERS CEFC EFC 100 CEFC (5) 3.SOFC の性能特性 SOFC の性能特性を把握するため,水素を都市ガ スへ熱量比 10%添加した混合燃料を用いた運転試験 を行なった.結果より,SOFC の発電効率および排熱 EFC:各システムの一次エネルギ消費量[kWh] 回収効率を以下に近似した. PSDU:系統電源使用量[kWh] UEf:系統電源の受電端効率[-] PE 1.710 PL4 4.518 PL3 4.537 PL2 2.266 PL 0.0841 HE 0.1461 PL3 0.3220 PL2 (1) GOA:都市ガス使用量[kWh] ERS:省エネルギ率[%] CEFC:Conventional システムの一次エネルギ消費量[kWh] 5.結果および考察 5・1 各都市における一次エネルギ消費量 本報で想定した各都市の各エネルギ供給システムにお ける年間の一次エネルギ消費量を図 3 に示す.なお,図中 の数字は各システムにおける省エネルギ率[%]を示す.図 Fig.1 PV-SOFC system 3 より全ての地域において PV-SOFC システムおよび 2/2 PV-Battery システムを導入することで従来と比較し家庭の システムでは余剰電力により生成した水素を消尽するこ 一次エネルギ消費量を削減できたことがわかる. となく家庭へエネルギを供給できる.そのため,余剰電力 5・2 が小さい地域においても,省エネルギ率が低下することは 地域特性が省エネルギ性へ与える影響 各都市の各期における需要熱電比別の省エネルギ率を ない.また,水素を消尽しないため,一日における系統電 図 4 に示す.ここで,需要熱電比とは家庭における 1 日の 源消費量を抑制することが可能となる.以上のことより, 電力需要に対する給湯需要の比である.なお,SOFC の熱 PV-SOFC システムは余剰電力が小さいエネルギ形態の地 電比は定格出力で運転した際に 0.89 となる. 図 4 より中間 域において有効である. 期・冬期ともに,需要熱電比が SOFC の熱電比である 0.89 に近い都市ほど高い省エネルギ率を示していることがわ 6. 結言 かる.また,夏期についても名古屋を除き,需要熱電比が (1) 全ての地域において, PV-SOFC システムを導入するこ 0.89 に近い都市ほど省エネルギ率が高くなっていること とで家庭における一次エネルギ消費量を削減できる. がわかる.夏期において,名古屋は夕方以降の電力需要が (2) 季節を問わず,需要熱電比が 0.89 に近い地域ほど, 他の都市と比較して小さい.したがって,系統電源からの PV-SOFC システムは高い省エネルギ性を示す. 購入電力量を抑制することができるため,熱電比に関わら (3) PV-SOFC システムは水素を消尽しないため, 冬期の朝 ず高い省エネルギ率を示したと考えられる.以上より,一 般に需要熱電比が 0.89 に近いほど,PV-SOFC システムの 方における系統電源使用量を抑制できる. (4) 余剰電力の大きい需要形態において PV-SOFC システ 省エネルギ率は高くなると考えられる. ムの省エネルギ性は PV-Battery システムと比較し低下 5・3 する. 各システムにおける省エネルギ率の比較 図 3 より PV-SOFC システムは PV-Battery システムと比 較し名古屋および福岡において大きく省エネルギ率が下 回っている.名古屋は冬期において,福岡は夏期において 他都市と比較し PV 発電量が大きく夕方以降の電力需要が 小さい.したがって PV-Battery システムにおいては,長時 間にわたり家庭における電力需要を蓄電池より賄うこと ができる.また,冬期および夏期は中間期と比較し,電力 (a) Summer 需要が大きいため年間における省エネルギ率に与える影 響が大きい.よって,これらの季節において省エネルギ性 が大きく下回った名古屋および福岡における PV-SOFC シ ステムは年間における省エネルギ率に関しても PV-Battery システムを大きく下回ったと考えられる.一方,PV-SOFC (b) Shoulder Fig.3 Primary energy consumption Fig.7 (c) Winter Saving energy rate
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