岩手医科大学歯学会 第 40 回総会プログラム - 先進歯科医療研究センター

岩手医科大学歯学会
第 40 回総会プログラム
日時:平成 26 年 12 月 6 日(土)午後 1 時より
会場:岩手医科大学歯学部第四講義室(C 棟 6 階)
12:30
受付開始
13:00
13:05
歯学会長挨拶
13:05
13:40
総会
13:45
15:00
特別講演
「ザ・接着
座長
野田
守
座長
水城 春美
̶審美治療を成功に導く勘どころ̶」
○ 梶村 幸市 理事長(医療法人碧空会)
15:05
15:55
一般演題
1.嚢胞内容液を用いた低侵襲病理診断の実際
○千葉高大、青村知幸、八木正篤、古城慎太郎、阿部亮輔、山谷元気、松本 誠、
羽田朋弘、熊谷章子、水城春美、武田泰典*、三上俊成*(口腔顎顔面再建学講座口腔外科
学分野、病理学講座病態解析学分野*)
2. 次世代シーケンスを用いたホルマリン固定パラフィン標本からの遺伝子診断に関する検討
○三上俊成、武田泰典(病理学講座病態解析学分野)
3.上顎洞の血管分布
○東根まりい、安藤禎紀*、藤原尚樹**、石崎 明***、三浦廣行****、藤村 朗*
(歯学部 3 年、解剖学講座機能形態学分野*、解剖学講座発生生物・再生医学分野**、
生化学講座細胞情報科学分野***、口腔保健育成学講座歯科矯正学分野****)
4.移植後再発白血病に対する再移植患者の口腔管理を行った 1 症例
○千葉舞美、阿部晶子*、熊谷佑子、赤松順子、岸 光男*
(歯科医療センター歯科衛生部、口腔医学講座予防歯科学分野*)
5. 岩手県立磐井病院歯科口腔外科における過去5年間の入院患者の臨床統計的観察
○高橋美香子*、**、石川義人*、加藤秀昭**、香木千尋**、松本 誠**、千葉 卓**、
中里
紘**、水城春美**
(岩手県立磐井病院歯科口腔外科*、口腔顎顔面再建学講座口腔外科学分野**)
休憩(会長特別賞投票)
16:05
17:20
大学院歯学研究科
第 3 学年研究発表会
座長
近藤 尚知
座長
水城 春美
1. GFP マウス骨髄由来間葉系幹細胞株の骨分化における成長因子の影響
○五十嵐靖之、帖佐直幸*、鬼原英道、石崎 明*、近藤尚知
(補綴・インプラント学講座、生化学講座細胞情報科学分野*)
2.ヒト口腔扁平上皮癌細胞株 HSC-4 細胞における浸潤能発現機構の解明
○樋野雅文、客本齊子*、帖佐直幸*、水城春美、石崎 明*、加茂政晴*
(口腔顎顔面再建学講座口腔外科学分野、生化学講座細胞情報科学分野*)
座長
杉山 芳樹
3.口腔軟組織における Bisphosphonate 製剤の作用に着目した BRONJ 発症機序の探究
○小松祐子、衣斐美歩*、星 秀樹、帖佐直幸**、客本斉子**、加茂政晴**、杉山芳樹、
石崎 明**(口腔顎顔面再建学講座口腔外科学分野、医歯薬総合研究所腫瘍生物学部門*、
生化学講座細胞情報科学分野**)
座長
三浦 廣行
座長
田中 光郎
4.スンクス口蓋のリンパ管構築
○畠山 慧、三浦廣行、藤村 朗*、佐藤和朗
(口腔保健育成学講座歯科矯正学分野、解剖学講座機能形態学分野*)
5. シェーグレン症候群モデルマウスにおける耳下腺分泌障害機構の解明および正常 ICR
マウスにおけるプリン受容体の解析
○守口 霞、齋野朝幸*
(口腔保健育成学講座小児歯科学・障害者歯科学分野、統合基礎講座解剖学講座細胞生物学
分野*)
17:20
会長特別賞発表
(担当講座:歯科矯正学分野、病態制御学分野)
特別講演(13:45 15:00)
「ザ・接着
座長
野田
守
̶審美治療を成功に導く勘どころ̶ 」
梶村 幸市 理事長(医療法人碧空会)
修復や補綴に使われるマテリアルの進化に伴い、接着技法を駆使する治療が拡大して来ました。
接着と聞くとレジン充填時のボンディングは当然としても、ラミネートベニアや接着性ブリッジ
における接着 ちょっと特殊なもの、と思われるかも知れませんが、現在では大半の修復治療に
おいて接着技法を使うことになって来ました。
レジン充填では如何に強固に歯質に接着させるかを考慮したボンディング材が市場にありま
すが、治療後しばらくすると充填周囲が着色してくることが多く、レジン充填は耐久性が高くな
い治療と認識されて来ました。しかし、ちょっとした工夫をすれば数年経っても着色の少ないレ
ジン充填は可能です。またインレーや Cr-Br などの間接修復に使うセメントもグラスアイオノマ
ーセメントを中心とした合着(接着)からより接着性の高いレジンセメントに移行しつつありま
す。
旧来からのメタル修復では材料と臨床操作に大きな変化はありませんが、セラミック修復は陶
材焼付鋳造冠から CAD/CAM によるオールセラミッククラウンが中心になり、技工操作のみなら
ず臨床操作も変化してきました。メタルフリーという概念の広まりと比例するように、硬質レジ
ンによる CAD/CAM 冠の保険収載を皮切りに、保険治療においてもレジンなど高分子材料の適応
拡大が予想され、ますます接着修復が重要になってくると思われます。
CAD/CAM による歯冠補綴を成功に導くには陶材焼付鋳造冠や HJC とは異なる支台歯形態が
必要ですし、各種接着用セメントも上手に使いこなして行かなくては修復物の脱落や破損、術後
疼痛などの予後不良が出やすいと思われます。
そこで接着の概念を整理して、どうすれば予後の安定した接着ができるかという臨床的な勘ど
ころ、CAD/CAM における臨床のポイントと各種接着材料の効果的な使い分けについてお話させ
ていただき、受講される先生方の一助にしていただければと思います。
一般演題(15:05 15:55)
座長
水城
春美
1. 嚢胞内容液を用いた低侵襲病理診断の実際
口腔顎顔面再建学講座口腔外科学分野、病理学講座病態解析学分野*
○千葉高大、青村知幸、八木正篤、古城慎太郎、阿部亮輔、山谷元気、松本
誠、羽田朋弘、
熊谷章子、水城春美、武田泰典*、三上俊成*
歯原性嚢胞や嚢胞形成性腫瘍の多くは顎骨内に生じるため、生検時に骨削除など大きな外科的
侵襲が加わる。そのため、小児や高齢者の多くでは検査入院による全身麻酔下での処置が必要と
なる。そこで、骨吸収により菲薄化した部位から穿刺吸引を行い嚢胞内容液から細胞成分を採取
し、cell block tissue array 標本を作製すれば外科的侵襲の少ない病理検査が可能になると考
えた。生検時に嚢胞内容液の穿刺吸引を行い、細胞成分を集めて cell block tissue array 標本
を作製し、HE 染色により診断を行った。その結果、上皮成分が検出されない症例も多かったが、
角化嚢胞性歯原性腫瘍や含歯性嚢胞では病理診断が可能な症例もあった。結論として、嚢胞内容
液中の細胞成分による病理診断は、生検時の外科的侵襲を軽減するために有用であることが示唆
された。内容液の粘性が高い場合の対処や ELISA によるタンパク分析の併用についても検討を行
ったので報告する。
2. 次世代シーケンスを用いたホルマリン固定パラフィン標本からの遺伝子診断に関する検討
病理学講座病態解析学分野
○三上俊成、武田泰典
腫瘍組織の一部を用いて遺伝子診断を行う場合、切除時の新鮮材料もしくは病理診断に用いら
れたホルマリン固定パラフィン包埋標本(FFPE 標本)が用いられる。FFPE 標本では病理組織像
を参考にして適切な部位から遺伝子の抽出が可能であるが、ホルマリン固定により RNA の分解が
進んでいる。そのため次世代シーケンスによる網羅的な遺伝子解析は困難とされてきたが、最近
では様々な工夫により可能になってきている。今回我々は、培養細胞と FFPE 標本から抽出した
total RNA を用いて次世代シーケンスの transcriptome 解析を行い、解析結果を比較した。培養
細胞のように均質な細胞からなる材料と比較すると、FFPE 標本では RNA の分解が進んでおり解
析結果が明らかに修飾を受けていた。しかし、遺伝子発現量の比較や遺伝子変異の検出は培養細
胞の場合と同様に行うことができた。融合遺伝子候補の抽出では、融合遺伝子の一方が FFPE 標
本上の間質成分(非腫瘍部)にも発現している場合にその融合遺伝子が候補として抽出されなか
った。FFPE 標本を用いた遺伝子診断では、それぞれの解析技術の利点、欠点を考慮して行う必
要がある。
3.上顎洞の血管分布
歯学部 3 年、解剖学講座機能形態学分野*、解剖学講座発生生物・再生医学分野**、
生化学講座細胞情報科学分野***、口腔保健育成学講座歯科矯正学分野****
○東根まりい、安藤禎紀*、藤原尚樹**、石崎 明***、三浦廣行****、藤村 朗*
歯科医療の最終目的は天寿を全うするまで自分の歯で食べることができる口腔内環境を人に与
えることである。歯科界挙げての大プロジェクトである 8020 運動は当初の予想を裏切って早々
とその目標に到達したが、喪失した歯のほとんどが臼歯であることは現実として受け入れなけれ
ばならない。一方、インプラント利用者は年々増加しているとの報告もある。このような現状の
中、上顎臼歯部で骨吸収が著しいケースに骨の厚みを増成する上顎洞底挙上術が行われているが、
上顎洞粘膜を剥離する際の重要な知識の一つである血管分布の詳細な記載がない。そこで私たち
は平成 24 年度岩手医科大学臨床解剖実習に用いた 42 体のご遺体の上顎洞 84 側を対象にその血
管(動脈)分布を検索した。その結果を報告するとともに、成書に記載されている血管名に「上
顎洞内動脈弓」を加えることを推奨したい。
4. 移植後再発白血病に対する再移植患者の口腔管理を行った 1 症例
歯科医療センター歯科衛生部、口腔医学講座予防歯科学分野*
○千葉舞美、阿部晶子*、熊谷佑子、赤松順子、岸 光男*
造血幹細胞移植患者では、移植前処置の副作用により重篤な粘膜障害が口腔および口腔周囲に
生じ、その苦痛は移植患者の QOL を大きく損ねる主要な原因の1つとなっている。これらを緩和
することを目的に、我々は、平成 16 年から造血幹細胞移植チームの一員として、移植前の早期
から術中、術後にわたる周術期口腔管理を行っている。今回、造血幹細胞移植後に白血病が再発
し、再度移植を行うことになった患者に対して口腔管理を行う機会を得た。この症例では、1 回
目と 2 回目の移植前後の口腔内状況を比較すると、2 回目の方が口腔粘膜炎の発症期間が長く、
その程度は重度であった。そこで本症例に関する移植前後の口腔内の経時的な変化ならびに口
腔管理内容について詳細に報告する。
5. 岩手県立磐井病院歯科口腔外科における過去5年間の入院患者の臨床統計的観察
岩手県立磐井病院歯科口腔外科*、口腔顎顔面再建学講座口腔外科学分野**
○高橋美香子*、**、石川義人*、加藤秀昭**、香木千尋**、松本 誠**、千葉 卓**、
中里
紘**、水城春美**
岩手県立磐井病院歯科口腔外科は、県南地域の口腔外科診療施設としての役割を担っている。
入院患者の受け入れ開始後 6 年が経過したので、受診患者の動向把握を目的として、入院患者の
臨床統計的観察を行ったので報告する。対象は 2009 年 4 月から 2014 年 3 月の 5 年間に入院した
406 名で、疾患、性別、年齢分布、来科地域、受診経路について調査した。入院患者数は 2009
年度が 72 人、2013 年度が 86 人で徐々に増加傾向にあった。性別は男性が 199 人、女性が 207
人で、年齢分布は 20 歳代が 80 人と最も多かった。来科地域は一関市が 323 人(79.6%)、岩手県
内の合計は 389 人(95.8%)、宮城県は 14 人(3.5%)だった。疾患は、埋伏歯などの歯科疾患が 224
例、嚢胞が 66 例、炎症が 50 例、腫瘍が 30 例などであった。受診経路は院外紹介が 371 例(91.4%)、
そのうち歯科からの紹介が 350 例(86.2%)、医科からの紹介が 21 例(5.2%)で、院内紹介が 13 例
(3.2%)、紹介なしが 22 例(5.4%)であった。
梶村 幸市 先生 略歴
平成 2 年
同
年
岩手医科大学歯学部卒(歯 20 期)
岩手医科大学歯学部歯科補綴学第二講座
平成 12 年
日本橋梶村歯科医院開設(東京都中央区)
平成 18 年
医療法人社団 碧空会(アオゾラカイ)設立
平成 19 年
ユアーズ歯科パークフィールドクリニック(埼玉県三郷市)
ユアーズ歯科柏クリニック(千葉県柏市)開設
平成 24 年
岩手医科大学歯学部 歯科保存学講座 う蝕治療学分野 非常勤講師
平成 26 年
岩手医科大学歯学部 臨床教授