遂行（実行）機能 - nifty

神経心理学 15（2014/12/05）＠筑波大学（望月聡）
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遂行（実行）機能
15-1.
症状（臨床神経心理学・高次脳機能障害学）
すいこう
15-1-1. 遂行機能（実行機能）executive function とは
a. volition：動機づけ，意図，未来に向けた思考・構想
b. planning：いくつかの段階，評価・選択，枠組み
c. purposeful action：順序よく，まとまった形で，開始・維持・変換・中止
d. effective performance：目標を意識，目標に近づいているかを評価；
自己監視（self-monitoring），自己修正（self-correction）
，
自己意識（self-awareness），行動制御（ability to regulate behavior）
e. 「概念機能 conceptual function」
思考の柔軟性，抽象的思考，推論能力，注意の分配
※発動性，注意，記憶（特にワーキングメモリ）などとも関連
15-1-2. 遂行機能障害 executive dysfunction
／遂行機能障害症候群 dysexecutive syndrome かつては「前頭葉障害・症状・症候群」
a. 保続（perseveration）
・意図性保続：新たに動作・行為を行おうと意図したときに...
・間代性保続：いったんある動作・行為を始めるとそれが...
・「構え」の保続：注意の転換，概念の転換ができないために...
b. 固着（rigidity）
c. 行動の開始困難→始められない
d. 行動の維持困難（impersistence）→中断
e. 行動の中止困難→止められない
f. 衝動性・衝動コントロールの不良
g. 脱抑制
h. 誤りの修正障害
i. 自発性や意欲の低下
j.自己の障害への気づき（awareness）の障害
15-2.
どのように調べるか（神経心理学的検査）
／介入するか（認知リハビリテーション）
15-2-1. 検査・課題
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神経心理学 15（2014/12/05）＠筑波大学（望月聡）
a. Wisconsin Card Sorting Test（WCST）
b. Stroop Test
c. 流暢性語頭音／カテゴリー
d. Trail Making Test（TMT） A/B
e. ハノイの塔／ロンドン塔／トロントの塔
f. BADS（遂行機能障害症候群の行動評価）
①規則変換カード検査
②行為計画検査
③鍵探し検査
④時間判断検査
⑤動物園地図検査
⑥修正 6 要素検査
（⑦遂行機能障害質問紙 DEX）
g. その他 n-back task, self-ordered pointing, task-switching, Go/No-go
などなど
15-2-2. 認知リハビリテーション
a. 目標の設定 ― 外部からのコントロール
b. 計画の立案 ― 自己教示法
c. 計画の実行 ― 段階的教示法
「問題解決療法 problem-solving therapy」
「目標無視 goal neglect」－「目標管理訓練 goal management training」
d. 行動療法
e. (SAS モデル)
e1) 不適切なスキーマの活性化されない環境
e2) SAS の効果を増大 or 他の機能で代償
e3) スキーマと競合スケジューリング過程を調整
15-3. メカニズムの仮説（認知神経心理学）
※実行機能という言葉を使わず認知制御 cognitive control ということもある。
15-3-1. 行動制御モデル＝SAS モデル(Norman & Shallice)
15-3-2. （ふつうの認知心理学）
“実行機能は何因子か” ←（補足資料参照）
・Miyake et al. (2000) 確認的因子分析
3 因子 “Inhibition”, “Updating”, “Shifting”
・Friedman et al. (2011); Miyake & Friedman (2012)
共通因子と 2 因子“Common EF”, “Updating”
， “Shifting”
（・14，20，24，36 ヶ月での自己抑制は 17 歳時点の EF 機能を予測する）
（→実行機能と自己制御のカンケイ）
（・ほとんど遺伝）
神経心理学 15（2014/12/05）＠筑波大学（望月聡）
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・Testa et al. (2012) 探索的因子分析
6 因子
“prospective working memory”,
“set-shifting and interference management”,
“task analysis”,
“response inhibition”,
“strategy generation and regulation”,
“self-monitoring and set-maintenance”
15-3-3. 遂行のモニタリング performance monitorin
エラーモニタリング error monitoring，
エラー関連陰性電位 error-related negativity:ERN
誤反応後の反応時間の遅れ post-error slowing
反応コンフリクト response conflict
15-4. 脳の構造と機能（認知神経科学）
15-4-1. 前頭前野（外側部 lateral）LPFC; 特に背外側部 dorsolateral DLPFC
15-4-2. 前頭前野（内側部 medial）MPFC，前部帯状皮質 anterior cingulate cortex(ACC)
参考図書
坂井克之：前頭葉は脳の社長さん？―意思決定とホムンクルス問題．講談社ブルーバッ
クス，2007．

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