アブラキサン点滴静注用 100mg - 医薬品医療機器情報提供ホームページ

患者向医薬品ガイド
2014 年 12 月改訂
アブラキサン点滴静注用 100mg
【この薬は?】
アブラキサン点滴静注用 100mg
Abraxane i.v. Infusion 100mg
パクリタキセル注射剤(アルブミン懸濁型)
Paclitaxel
販売名
一般名
含有量
(1 バイアル中)
100mg
患者向医薬品ガイドについて
患者向医薬品ガイドは、患者の皆様や家族の方などに、医療用医薬品の正しい理解
と、重大な副作用の早期発見などに役立てていただくために作成したものです。
したがって、この医薬品を使用するときに特に知っていただきたいことを、医療関
係者向けに作成されている添付文書を基に、わかりやすく記載しています。
医薬品の使用による重大な副作用と考えられる場合には、ただちに医師または薬剤師
に相談してください。
ご不明な点などありましたら、末尾に記載の「お問い合わせ先」にお尋ねください。
さ ら に 詳 し い 情 報 と し て 、「 医 薬 品 医 療 機 器 情 報 提 供 ホ ー ム ペ ー ジ 」
http://www.info.pmda.go.jp/ に添付文書情報が掲載されています。
【この薬の効果は?】
・この薬は、抗悪性腫瘍剤で、タキサン系と呼ばれるグループに属する注射薬で
す。
・この薬は、がん細胞の細胞分裂にかかわっている微小管というものの働きを阻
害することにより、がん細胞の増殖を抑制します。
・次の病気と診断された人に、医療機関で使用されます。
乳癌、胃癌、非小細胞肺癌、治癒切除不能な膵癌
【この薬を使う前に、確認すべきことは?】
○患者さんまたは家族の方は、この薬の効果や注意すべき点について十分理解でき
るまで説明を受けてください。説明に同意をした場合に使用が開始されます。
○この薬は、骨髄抑制(白血球減少、貧血、血小板減少)などの重篤な副作用があ
らわれことがあるため、頻回に血液検査が行われます。
次のような症状があらわれた場合にはただちに医師または薬剤師に連絡してくだ
さい。
- 1 -
・白血球減少(発熱、さむけ)、貧血(めまい、たちくらみ)、血小板減少(鼻
血、鼻血、青あざ、歯ぐきの出血)
○次の人は、この薬を使用することはできません。
・重篤な骨髄抑制(貧血、白血球減少、血小板減少)がある人
・感染症にかかっている人
・過去にアブラキサン、パクリタキセル、アルブミンで過敏な反応を経験したこ
とがある人
・妊婦または妊娠している可能性がある人
(動物実験で胎児に悪影響を及ぼすことが報告されています。)
○次の人は、慎重に使う必要があります。使い始める前にそのことを医師または薬
剤師に告げてください。
・骨髄抑制(貧血、白血球減少、血小板減少)がある人
・肝臓に障害がある人
・腎臓に障害がある人
・高齢の人
・間質性肺炎かかっている人または肺線維症のある人
○この薬は併用に注意すべき薬があります。他の薬を使用している場合や、新たに
使用する場合は、必ず医師または薬剤師に相談してください。
【この薬の使い方は?】
この薬は注射薬です。
●使用量および回数
・通常、成人の使用する量と使用方法は、あなたの体表面積(身長と体重から
計算)や症状などにより、医師が決めます。
癌の種類
乳癌、胃癌
非小細胞肺癌
治癒切除不能な膵癌
使用方法
A法
B法
C法
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(繰り返します)
1コース
1週目
2
A法
260mg/m (体表面積)
を 1 回 30 分かけて注射
します。
2週目
3週目
少なくとも20日間休薬
1
日
(繰り返します)
1コース
1週目
2
B法
100mg/m (体表面積)
を 1 回 30 分かけて注射
します。
2週目
3週目
8
日
1
日
15
日
目
(繰り返します)
1コース
C法
1週目
125mg/m2(体表面積)
を 1 回 30 分かけて注射
します。
1
日
2週目
8
日
3週目
15
日
目
4週目
休薬
・縦の矢印で示す日に使用し、その後、休薬します。副作用の程度などにより、
1 回の使用量や使用間隔が変更されることがあります。
・C法ではゲムシタビンと併用します。
【この薬の使用中に気をつけなければならないことは?】
○この薬はパクリタキセルを水に溶けやすくするためにアルブミン(ヒトの血液成
分のひとつ)を加えています。製造工程でウィルス等の感染防止対策を行ってい
ますが、ヒトの血液を原料としているため感染症を発症する危険性を完全には排
除することはできません。患者さんは、病気の治療におけるこの薬の必要性と共
に、感染症の危険性について十分に理解できるまで説明を受けてください。
○変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)等が伝播したとの報告はありま
せんが、理論的なvCJD等の伝播の危険性を完全には排除することはできない
ので、患者さんは、治療におけるこの薬の必要性とともに危険性について十分に
理解できるまで説明を受けてください。
○骨髄抑制(貧血、発熱、出血しやすい、血が止まりにくいなど)などの重篤な副
作用がおこることがありますので、これらの症状があらわれた場合にはすぐに医
師、薬剤師、看護師に連絡してください。このため、頻回に臨床検査(血液検査、
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肝機能検査、腎機能検査など)が行われます。
○末梢神経障害(運動のまひ、感覚のまひ、手足のしびれ、手足の痛み)があらわ
れることがあります。この薬を長く使用した場合にあらわれる確率が高くなりま
す。これらの症状があらわれた場合には、ただちに医師に連絡してください。
○過敏反応(呼吸困難、胸痛、低血圧、頻脈、徐脈、潮紅(ほてり)、血管浮腫(ま
ぶた、唇・舌のはれ、息苦しい、じんましん)、発汗など)などの重篤な副作用
があらわれることがありますので、これらの症状があらわれた場合には、ただち
に医師に連絡してください。
○低血圧、高血圧、徐脈などがあらわれることがあります。めまい、ふらつき、脈
が遅くなるなどの症状があらわれた場合には、ただちに医師に連絡してください。
○関節の痛み、筋肉の痛みなどがあらわれることがあります。これらの症状があら
われた場合には、ただちに医師に連絡してください。
○発熱することがあります。発熱した場合には、医師に連絡してください。
○感染症(かぜのような症状、さむけ、ふるえを伴う急激な高熱、関節の痛み、か
らだがだるい、発熱)などがあらわれることがあります。これらの症状があらわ
れた場合には、ただちに医師に連絡してください。また、人ごみを避けたり、外
出後は手洗いやうがいなどをしたり、感染症にかからないように気をつけてくだ
さい。
○出血しやすくなることがあります。鼻血、歯ぐきの出血、あおあざなどの症状が
あらわれた場合には、ただちに医師に連絡してください。
○授乳中の人は授乳を中止してください。
○妊婦または妊娠している可能性がある人はこの薬を使うことができません。妊娠
の可能性があるときは、すぐに医師に相談してください。
○他の医師を受診する場合や、薬局などで他の薬を購入する場合は、必ずこの薬を
使用していることを医師または薬剤師に伝えてください。
副作用は?
特にご注意いただきたい重大な副作用と、それぞれの主な自覚症状を記載しまし
た。副作用であれば、それぞれの重大な副作用ごとに記載した主な自覚症状のう
ち、いくつかの症状が同じような時期にあらわれることが一般的です。
このような場合には、ただちに医師または薬剤師に相談してください。
重大な副作用
主な自覚症状
白血球減少などの からだがだるい、発熱、のどの痛み、鼻血、息切れ、
骨髄抑制
青あざができる、歯ぐきの出血、出血が止まりにくい、
はっけっきゅうげんしょう
出血しやすい、動悸(どうき)、めまい
などのこつずいよくせい
感染症
かぜのような症状、からだがだるい、発熱、嘔吐(おう
かんせんしょう
と)
末梢神経障害、麻 運動の麻痺、感覚の麻痺、手足のしびれ、手足の痛み、
痺
言葉が出ない、手足が動かない
まっしょうしんけいしょう
がい、まひ
顔面神経麻痺など 顔のゆがみ、顔の筋肉の麻痺、涙が出にくい、しゃべ
りにくい、ものを食べにくい、口の中の水分がこぼれ
の脳神経麻痺
やすい、味覚が低下
がんめんしんけいまひなど
- 4 -
ののうしんけいまひ
ショック
冷や汗、めまい、意識がうすれる、考えがまとまらな
い、血の気が引く、息切れ、判断力の低下
アナフィラキシー からだがだるい、ふらつき、意識の低下、考えがまと
まらない、ほてり、眼と口唇のまわりのはれ、しゃが
れ声、息苦しい、息切れ、動悸、じんましん、判断力
の低下
息苦しい、息切れ、から咳、発熱
間質性肺炎
かんしつせいはいえん
肺線維症
息苦しい、息切れ、から咳、発熱
はいせんいしょう
急性呼吸窮迫症候 唇が青くなる、苦しくて速い呼吸、手足の爪が青くな
群
る
きゅうせいこきゅうきゅう
はくしょうこうぐん
息苦しい、急激に胸を強く押さえつけられた感じ、狭
心痛、冷や汗
う っ 血 性 心 不 全 からだがだるい、全身のむくみ、吐き気、息苦しい、
うっけつせいしんふぜん
動く時の息切れ
心伝導障害
めまい、胸の痛み、胸の不快感、動悸
心筋梗塞
しんきんこうそく
しんでんどうしょうがい
脳卒中
のうそっちゅう
肺塞栓
はいそくせん
肺水腫
はいすいしゅ
血栓性静脈炎
けっせんせいじょうみゃく
えん
難聴、耳鳴
片側の麻痺、意識の低下、考えがまとまらない、頭痛、
しゃべりにくい、吐き気、嘔吐、手足の麻痺・しびれ、
半身不随、意識を失って深く眠りこむ、判断力の低下
汗をかく、発熱、意識の低下、咳、胸の痛み、息苦し
い
吐き気、嘔吐、横になるより座っている時に呼吸が楽
になる、息苦しい、息切れ
発熱、皮膚や唇・手足の爪が青紫色~暗紫色になる、
はれ、下肢のむくみ
耳が聞こえにくい、耳鳴り、声や音が聞こえない
なんちょう、じめい
消化管壊死
嘔吐、腹がはる、下痢、血が混ざった便
しょうかかんえし
消化管穿孔
吐き気、激しい腹痛、嘔吐
しょうかかんせんこう
消化管出血
しょうかかんしゅっけつ
消化管潰瘍
血が混ざった便、黒色便、吐き気、血を吐く、腹痛、
嘔吐
吐き気、嘔吐、黒色便、血が混ざった便、胃の痛み
しょうかかんかいよう
重篤な腸炎
じゅうとくなちょうえん
腸管閉塞
発熱、吐き気、嘔吐、激しい腹痛、下痢、血が混ざっ
た便
嘔吐、むかむかする、激しい下腹部痛、排便の停止
ちょうかんへいそく
腸管麻痺
ちょうかんまひ
肝機能障害
嘔吐、むかむかする、激しい腹痛、食欲不振、腹がは
る
かゆみ、皮膚が黄色くなる、吐き気、嘔吐、からだが
- 5 -
かんきのうしょうがい
黄疸
おうだん
膵炎
だるい、白目が黄色くなる、食欲不振、尿が黄色い
白目が黄色くなる、皮膚が黄色くなる、尿が褐色にな
る
吐き気、嘔吐、胃・おなかの激しい痛み、背中の痛み
すいえん
意識の低下、眼がはれぼったい、疲れやすい、尿量が
減る、尿がでない、頭痛、からだがだるい、息苦しい、
からだのむくみ
中毒性表皮壊死融 関節の痛み、全身の赤い斑点と破れやすい水ぶくれ(水
解症(TEN)ちゅうど 疱)、からだがだるい、発熱、食欲不振
急性腎不全
きゅうせいじんふぜん
くせいひょうひえしゆうか
いしょう(てん)
皮膚粘膜眼症候群
(スティーブン
ス・ジョンソン症
候群)
高熱、陰部の痛み、ひどい口内炎、唇や口内のただれ、
発熱、中央にむくみをともなった赤い斑点、赤い発疹
(ほっしん)
、まぶたや眼の充血、食欲不振、からだがだ
るい、結膜のただれ
ひふねんまくがんしょうこ
うぐん(すてぃーぶんすじょんそんしょうこうぐ
ん)
播種性血管内凝固 めまい、頭痛、鼻血、白目が黄色くなる、耳鳴り、歯
ぐきの出血、息切れ、動悸、青あざができる、紫色の
症候群
はしゅせいけっかんない
あざ、皮膚が黄色くなる、尿が黄色い
ぎょうこしょうこうぐん
黄斑浮腫
視力の低下、眼のかすみ、ゆがんでみえる
おうはんふしゅ
以上の自覚症状を、副作用のあらわれる部位別に並び替えると次のとおりです。
これらの症状に気づいたら、重大な副作用の表をご覧ください。
部位
自覚症状
全身
からだがだるい、疲れやすい、かぜのような症
状、発熱、高熱、からだのむくみ、全身のむく
み、ふらつき、冷や汗、汗をかく、関節の痛み、
片側の麻痺、運動の麻痺、感覚の麻痺
頭部
頭痛、めまい、意識の低下、意識がうすれる、
考えがまとまらない
顔面
顔のゆがみ、顔の筋肉の麻痺、血の気が引く、
ほてり、鼻血
眼
眼と口唇のまわりのはれ、眼がはれぼったい、
白目が黄色くなる、まぶたや眼の充血、結膜の
ただれ、視力の低下、眼のかすみ、ゆがんでみ
える、涙が出にくい
耳
耳鳴り、耳が聞こえにくい、声や音が聞こえな
い
口や喉
のどの痛み、歯ぐきの出血、眼と口唇のまわり
のはれ、しゃべりにくい、言葉が出ない、しゃ
がれ声、から咳、咳、唇が青くなる、吐き気、
嘔吐、血を吐く、皮膚や唇・手足の爪が青紫色
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部位
胸部
腹部
背中
手・足
皮膚
便
尿
その他
自覚症状
~暗紫色になる、ひどい口内炎、唇や口内のた
だれ、ものを食べにくい、口の中の水分がこぼ
れやすい、味覚が低下
息切れ、動悸、息苦しい、苦しくて速い呼吸、
急激に胸を強く押さえつけられた感じ、狭心痛、
胸の痛み、胸の不快感、動く時の息切れ、横に
なるより座っている時に呼吸が楽になる、むか
むかする、吐き気
腹がはる、腹痛、激しい腹痛、胃の痛み、激し
い下腹部痛、食欲不振、胃・おなかの激しい痛
み、むかむかする、吐き気
背中の痛み
関節の痛み、手足のしびれ、手足の痛み、手足
が動かない、手足の爪が青くなる、片側の麻痺、
半身不随、手足の麻痺・しびれ、皮膚や唇・手
足の爪が青紫色~暗紫色になる、はれ、下肢の
むくみ
かゆみ、青あざができる、紫色のあざ、全身の
赤い斑点と破れやすい水ぶくれ(水疱)、皮膚や
唇・手足の爪が青紫色~暗紫色になる、はれ、
皮膚が黄色くなる、中央にむくみをともなった
赤い斑点、赤い発疹、じんましん
下痢、血が混ざった便、黒色便、排便の停止
尿が黄色い、尿が褐色になる、尿量が減る、尿
がでない
出血が止まりにくい、出血しやすい、意識を失っ
て深く眠りこむ、判断力の低下、陰部の痛み
【この薬の形は?】
性状
白色ないし黄色の塊又は粉末
形状
【この薬に含まれているのは?】
有効成分
添加物
パクリタキセル
人血清アルブミン
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【この薬についてのお問い合わせ先は?】
・症状、使用方法、副作用などのより詳しい質問がある場合は、主治医や薬剤師
にお尋ねください。
・一般的な事項に関する質問は下記へお問い合わせください。
製造販売会社:大鵬薬品工業株式会社
(http://www.taiho.co.jp/)
医薬品情報課
電話番号:0120-20-4527
受付時間:9時~17時30分
(土、日、祝日、その他当社の休業日を除く)
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