「京都府自殺対策に関する条例(仮称)骨子案」(PDF:261KB)

京都府自殺対策に関する条例(仮称)案の骨子
(上段に条例案骨子の特徴についての考え方を記載し、下段枠内に骨子を
記載(下線部は府独自措置でポイントとなる箇所を明示)しています。)
1
条例制定の目的
近年、京都府の自殺者数は減少傾向にありますが、依然として多くの方が自ら命を絶たざるを得ない状
況に追い込まれています。そのため、関係者が一体となって自殺対策を推進していくことで、悩み苦しむ人を
孤立させない共生社会を実現するため条例を制定することとします。
自殺対策基本法の趣旨を踏まえ、自殺対策の実施に関し基本理念を定め、府、府民、事業主
及び自殺対策関係団体等※1の責務を明らかにするとともに、府の施策の実施に関し必要な事
項を定めることにより、府、国、市町村、府民等※2が一体となって自殺対策を推進し、悩み
苦しむ人を孤立させない共生社会の実現に寄与することを目的とします。
※1 自殺対策関係団体等とは、医療機関、学校、自殺対策を実施する民間団体、地域福祉の推進を図ること
を目的とする団体その他の自殺の防止等に関係するものをいいます。
また、自殺の防止等とは、自殺の防止及び自殺者の親族等に対する支援の充実をいい、自殺者の親族
等とは、自殺者又は自殺未遂者の親族その他これらの者と社会生活において密接な関係を有する者をい
います。
※2 府民等とは、府民、事業主及び自殺対策関係団体等をいいます。
2
基本となる理念
失業、多重債務等の経済・生活問題、がん、うつ等の健康問題、家族間の不和、離婚等の家庭問題等は、
誰もが自らの人生の様々な場面で抱える可能性があることから、自殺に追い込まれるという危機は誰にでも
起こり得るものと言えます。こうした観点から、条例では「誰もが自らの人生の様々な場面で自殺に追い込ま
れる可能性がある」ということを全ての府民の共通認識とし、自殺対策に取り組んでいく必要があることを基本
理念として明らかにします。
① 自殺対策は、誰もが自らの人生の様々な場面で自殺に追い込まれる可能性があることが全
ての府民の問題として認識され、推進されなければならないこととします。
② 自殺対策は、自殺が個人的な問題としてのみとらえられるべきものではなく、その背景に
様々な社会的な要因があることを踏まえ、社会的な取組として実施されなければならない
こととします。
③ 自殺対策は、自殺が多様かつ複合的な原因及び背景を有するものであることを踏まえ、単
に精神保健的観点からのみならず、自殺の実態に即して実施されるようにしなければなら
ないこととします。
④ 自殺対策は、施策の対象の特性に応じて、自殺の事前予防、自殺発生の危機への対応及び
自殺が発生した後又は自殺が未遂に終わった後の事後対応(自殺者の親族等に係る対応を
含む。)の各段階を捉えた効果的な施策として実施されなければならないこととします。
⑤ 自殺対策は、府、国、市町村及び府民等の相互の密接な連携の下に実施されなければなら
ないこととします。
3
関係者の責務
悩み苦しむ人を孤立させない共生社会の実現には、府民の協力を得て自殺対策を進めていく必要があり
ます。こうした観点から、条例では、府は関係者との連携、協働の下に自殺対策を策定、実施することとしま
す。また、府民に期待される役割として、自殺の防止等の活動を自主的に行うこと、府が実施する自殺対策
への協力を盛り込むこととします。さらに、自殺対策関係団体等に期待される役割として、自殺対策の積極的
な実施、相互間の連携及び府が実施する自殺対策への協力を盛り込むこととします。
【府の責務】
① 府は、基本となる理念(以下「基本理念」といいます。)にのっとり、自殺対策を総合
的かつ計画的に策定し、実施するものとします。
② 府は、自殺対策の策定及び実施に当たっては、市町村及び府民等と連携し、協働して取
り組むものとします。
【府民の責務】
③ 府民は、基本理念にのっとり、自殺対策に関する関心と理解を深めるよう努めるととも
に、自殺の防止等の活動を自主的に行うよう努めるものとします。
④ 府民は、府が実施する自殺対策に協力するよう努めるものとします。
⑤ 府民は、自ら心身の健康の保持及び増進のための取組を積極的に行うよう努めるものと
します。
【事業主の責務】
⑥ 事業主は、基本理念にのっとり、その雇用する労働者の心身の健康の保持を図るために
必要な措置を講じるよう努めるものとします。
⑦ 事業主は、府が実施する自殺対策に協力するよう努めるものとします。
【自殺対策関係団体等の責務】
⑧ 自殺対策関係団体等は、基本理念にのっとり、自殺対策を積極的に実施するよう努める
とともに、自殺対策関係団体等相互間の連携を図るよう努めるものとします。
⑨ 自殺対策関係団体等は、府が実施する自殺対策に協力するよう努めるものとします。
4
自殺対策推進計画
政府の自殺総合対策大綱が指摘しているとおり、自殺対策は中長期的な視点に立って継続的に進める
必要があります。こうした観点から、条例では総合的かつ計画的に自殺対策を推進するために、自殺対策推
進計画を策定することとします。
① 知事は、自殺対策を総合的かつ計画的に推進するための計画(以下、「自殺対策推進計
画」といいます。)を定めるものとします。
② 自殺対策推進計画は、自殺対策の目標及び内容について定めるものとします。
③ 知事は、自殺対策推進計画を定めるに当たっては、京都府自殺対策推進協議会の意見を
聴くとともに、府民の意見を反映させるために必要な措置を講じるものとします。
④ 知事は、自殺対策推進計画を定めたときは、遅滞なく公表するものとします。
⑤ 知事は、毎年、自殺対策推進計画に基づく自殺対策の実施状況を取りまとめ、公表する
ものとします。
5
府民の自殺対策に関する関心と理解を深めるための施策等
社会全体で自殺対策に取り組んでいくには、自殺対策に関する府民の関心と理解を深め、自殺の防止等
の活動の実施に向けた機運の醸成を図る必要があります。こうした観点から、条例では、毎年3月1日を「京
都いのちの日」と定め、その日から 1 箇月間に府民の自殺対策に関する関心と理解を深め、自殺の防止等の
活動を促す取組を集中的に行うこととします。
① 府は、教育、広報等を通じて、自殺の防止等に関する府民の理解を深めるよう必要な施
策を講じるものとします。
② 府は、市町村及び自殺対策関係団体等と連携し、協働して府民の自殺の防止等の活動が
積極的に実施されるよう必要な施策を講じるものとします。
③ 自殺対策の重要性を認識し、自殺の防止等に向けた機運の醸成を図る機会とするため、
毎年3月1日を京都いのちの日と定めるとともに、府は、京都いのちの日から 1 箇月の
期間において、府民の自殺対策に関する関心と理解を深め、自殺の防止等の活動を促す
取組を集中的に行うものとします。
6
自殺のおそれがある者に対する支援等に関する施策
① 府は、自殺の防止等に関する人材の確保、養成、資質の向上に必要な施策を講じるもの
とします。
② 府は、職域、学校、地域等における府民の心身の健康の保持及び増進に係る体制の整備
に必要な施策を講じるものとします。
③ 府は、自殺の原因となり得る問題を抱えている者に対し、市町村及び自殺対策関係団体
等と連携し、協働して相談その他の支援を提供する体制の整備及び充実に必要な施策を
講じるものとします。
④ 府は、心の健康の保持に支障を生じていることにより自殺のおそれがある者に対し必要
な医療が早期かつ適切に提供されるよう、必要な施策を講じるものとします。
⑤ 府は、自殺をする危険性が高い者を早期に発見し、相談その他の自殺の発生を回避する
ための適切な対処を行う体制の整備及び充実に必要な施策を講じるものとします。また、
施策を講じるに当たっては、市町村及び自殺対策関係団体等との緊密な連携の下に行う
ものとします。
7
自殺未遂者に対する支援等に関する施策
① 府は、自殺未遂者が再び自殺を図ることがないよう、自殺未遂者に対する適切な支援を
行うために必要な施策を講じるものとします。
② 府は、自殺又は自殺未遂が自殺者の親族等に及ぼす深刻な心理的影響が緩和されるよう、
自殺者の親族等に対する適切な支援を行うために必要な施策を講じるものとします。
③ 府は、自殺対策関係団体等が行う自殺の防止等に関する活動を支援するために必要な施
策を講じるものとします。
8
京都府自殺対策推進協議会
① 知事の諮問に応じ、自殺対策に関する重要事項の調査審議を行うため、京都府自殺対策
推進協議会を置くものとします。
② 委員は、学識経験を有する者その他適当と思われる者のうちから、知事が任命するもの
とします。