シオノギにおける CDISC標準の導入事例のご紹介 2014年12月4日 申請時電子データ提出とCDISC標準に関する勉強会 塩野義製薬 解析センター 神谷 亜香里 目次 • • • • • • • • シオノギでの解析手順の変遷 (CDISC)標準導入のメリット CDISC標準導入のために行うこと スケジュール シオノギで同時に行ったこと(きっかけ,ターゲット,目標) SDTM,ADaM作成のための工夫(具体的に) 課題 おわりに 2 目次 • • • • • • • • シオノギでの解析手順の変遷 (CDISC)標準導入のメリット CDISC標準導入のために行うこと スケジュール シオノギで同時に行ったこと(きっかけ,ターゲット,目標) SDTM,ADaM作成のための工夫(具体的に) 課題 おわりに 3 シオノギでの解析手順の変遷のイメージ Analysis Dataset TLFs(CSR) (ADaM) raw 100%!! (すべての試験 でSDTM作成) 約60% (標準化に注力) 第一次 標準化対応 2013年9月 PMDA_ 次世代審査・相談体制発表 第二次 標準化対応 大きなきっかけはPMDA対応 raw SDTM ADaM TLFs(CSR) CDISC対応 0% 4 目次 • • • • • • • • シオノギでの解析手順の変遷 (CDISC)標準導入のメリット CDISC標準導入のために行うこと スケジュール シオノギで同時に行ったこと(きっかけ,ターゲット,目標) SDTM,ADaM作成のための工夫(具体的に) 課題 おわりに 5 CDISC標準導入のメリット • • • • 承認申請時規制当局への提出物の準備 海外とのデータのやり取りが容易 共通の形式でのデータ管理 解析が楽に(SDTMという統一の形式に 収まっている) – SDTMの特殊性(SUPP,RELREC)に 対応できるよう標準プログラムを準備. • 業務手順の統一 – 一定の(高)品質 – スピード – トータルの時間(コスト)↓ • 周辺業務の標準化を後押し CDISC標準に限らず 何か「標準」を 導入する メリットかも. どうせなら, グローバル標準& 申請に必要な CDISC標準を! – プロトコル,CRF,LAB,DB,SAP,TLF 6 標準化を進めるメリット ☺似ている試験をコピーして作成できる!! • 1例)ある品目 – Ph2試験を参考に,Ph3試験を作成. SDTMの仕様・プログラム • コピーの割合:63.8% (仕様・プログラムを変更せずに利用できた割合) • 似ている試験からのコピーはせずに作成する場合に比べ て,作成・QC期間が短縮! – 作成期間:63.3%短縮 – QC期間:27.5%短縮 作成・QC期間の短縮≒コスト削減! 7 目次 • • • • • • • • シオノギでの解析手順の変遷 (CDISC)標準導入のメリット CDISC標準導入のために行うこと スケジュール シオノギで同時に行ったこと(きっかけ,ターゲット,目標) SDTM,ADaM作成のための工夫(具体的に) 課題 おわりに 8 SDTM,ADaM導入のために,まず行うことは 「やるぞ!」 CROに委託する場合も 必要と思われる. SDTM ADaM IGの理解, 特定の試験でマッピング試行 IGの理解, 特定の試験でマッピング試行 9 シオノギでは 各WG:約7名(DM・統計部門のメンバー) 約2時間/1回 × 2回/1週 (もちろん,それまでに準備が必要.) 約2‐3ヶ月 SDTM IGの理解, 特定の試験でマッピング試行 相当厳しいスケジュール! (他業務との兼ね合いもあると 思いますし, 各社で,頻度,期間,優先する ドメインは,検討するほうがよい と思います.) WG2 WG間では, 適宜情報共有 ADaM IGの理解, 特定の試験でマッピング試行 WG3 10 体制確立までのスケジュール CROに CROに委託する場合も 各社の標準,ルール ブックを作成しておくと よいと思われる. 2010/1 2010/4 2011/4 稼動 2010/5 業務標準 (インフラ整備) SDTM WG2 ADaM WG3 Integrated DBの検討 (SDTM) Integrated DBの実装 (SDTM) SOPs etc 2010/2 WG2活動開始 Analysis DSの検討 (ADaM) 2010/3 WG3活動開始 Analysis DSの実装 (ADaM) SOPs etc 11 きっかけとターゲット • きっかけは, – – – – グローバルレポジトリ構築 データの標準化 業務効率化(個々の試験での解析,統合解析も) 当局への提出 • ただし,第一目的ではなかった. • eCTDのmodule5の構造,Formatを当てないSASデータセット,... • ターゲットはOngoingでの変換 – 逆に,Legacyの変換は,まだ経験がない. 12 グローバル臨床データベース構築とベンダーの関係 システムと業務標準のそれぞれでベンダーの支援が必要 1.システムの構築 システムの導入 構築のためにベンダーの支援 2.業務標準の構築 標準データ,解析業務の標準化 標準化に向けての ベンダーの支援 SDTM WG ADaM WG 2本の矢の アプローチで 「グローバル 臨床データベース」 を構築 グローバル環境で 開発を開始 13 グローバル臨床データベースの全体構想 Domestic (Japan) 1.臨床試験データ業務フローをシステム管理 RawData RawData RawData Trial A RawData Registration and Trial B Transform RawData TFLs TFLs 2.インフラ整備 (業務標準の構築) Integrated Database All Trials Analysis datasets Trial A Trial B Trial A TFLs ADaM ADaM Trial C Calculate and Generate Trial B or or Output ADaM TFLs Trial A Trial B Original + Original Original SDTM format format format 解析業務の標準化 国内,海外共通DB SDTM Overseas Registration (US/CRO) Registration Registration Trial C Trial C Trial C Trial C RawData SDTM ADaM TFLs 3つのWGを立ち上げて導入を検討 14 もっと前に,DM・統計の部長,開発部長への説明,根回し・・・ 全体のスケジュール 2010/1 システム WG1(5名) 2本の矢 SDTM WG2(7名) ADaM WG3(7名) 2010/4 システム導入検討 SDD 販売名:SAS 2011/4 稼動 2010/5 稟議,契約 Drug Development 2010/1下旬活動開始 要件定義 システム 設計 CSV,システム運用手順 (ユーザ管理・ 変更管理・運用管理) システム構築 業務標準 (インフラ整備) Integrated DBの検討 (SDTM) 2010/2 WG2活動開始 Analysis DSの検討 (ADaM) Integrated DBの実装 (SDTM) Analysis DSの実装 (ADaM) SOPs etc SOPs etc 2010/3 WG3活動開始 途中から,USメンバーとも議論したが,WGメンバーは日本メンバーのみ 15 ゴールは業務体制確立(大改革) • 協力していただいているCRO,ベンダーとの契約もあり, スケジュール厳守! (振り返るとこれが一番大変.) • 小さい目標はあったが,体制が確立できなくては プロジェクトの目標達成にならない. – – – – レポジトリ IG理解,手順 意識改革 根回し ※それぞれの会社の状況に応じて, ゴールを設定することはできると思います. 16 CDISC標準化対応前から行っていた様々な「標準化」が CDISC標準化を後押しした! 幅は,関与の度合い. Medical Writer Data Management プロトコル 統計 C R F L A B D B S A P T L F (DM) 臨床 CDASHを意識 構造,Terminology CDISCのLABを意識 17 目次 • • • • • • • • シオノギでの解析手順の変遷 (CDISC)標準導入のメリット CDISC標準導入のために行うこと スケジュール シオノギで同時に行ったこと(きっかけ,ターゲット,目標) SDTM,ADaM作成のための工夫(具体的に) 課題 おわりに 18 第一次CDISC標準化対応 For FDA (2010年) raw SDTM ADaM TLF の確立 ☆要点とシオノギでの工夫 体制の確立を最優先! IGの理解 フォルダ構造の工夫 SDTMの工夫 ((SAS)プログラミングスキルのない人でも作成可能に!) ADaMの工夫 19 フォルダ構造の工夫 ~eCTDを意識~ FDAがeCTDで求めるmodule5の構造 SDTMやADaM関連の フォルダ構造が示されている シオノギが作ったフォルダ構造 • FDAが提示した構造に加え, TLFやSAP,TLF shellsを格 納するフォルダを追加した社 内独自のフォルダ構造を構築 フォルダをtemplate化 (全115folders) • 上記で構築したフォルダ別, 役割別にアクセス権を細かく 定義 Source: FDA. Study Data Technical Conformance Guide.; February 2014. 20 SDTM作成・QCの工夫 raw SDTM 1. SDTMデータ仕様書の作成 1.1 3つの用途 1.2 作成方法 2. SDTMの作成 2.1 SDTM作成用SASマクロ・関数 2.2 ソフトウェアと環境 3. SDTM仕様書とSDTMのQC 3.1 3.2 3.3 3.4 チェックリストに基づく目視チェック SASプログラムによるチェック OpenCDISC DM担当者による目視チェック 21 raw 1. SDTMデータ仕様書の作成 1.1 3つの用途 1. define.xmlの作成 2. SDTM作成をサポートするメタデータの作成 3. 空のSDTMデータセットの作成 (CDIでのアウトプットデータ) 標準SAS program define.xml SDTMデータ 仕様書 標準SAS program VARIABLE TERMINOLOGY SDTM 標準SAS program VALUE SDTM Datasets (All Domains) COMPUTATION METHOD DATASET ADaMのメタデータへ 空データセット (メタデータ) 22 raw 1. SDTMデータ仕様書の作成 1.2 作成方法 標準 コードリスト CRF上の 試験特有 コードリスト プロトコル SDTMデータ SDTMデータ 仕様書 仕様書 標準SAS (template) program (Draft 0) SDTM DB仕様書 手作業 SDTMデータ 仕様書 (Final Draft) 23 2. SDTMの作成 2.1 SDTM作成用SASマクロ・関数 raw SDTM [マクロ] • decode:メタデータTERMINOLOGYを用いて,指定したコードリ ストのコード値(CODE)に対応したCODEDVALUE列のデータ値 を格納する. • sequence_generator:指定変数(主に--SEQ)への連番の格 納に用いる. [関数] • to_iso:ISO8601形式の日付を,年,月,日それぞれの数字変 数から作成する. • diff_day:ISO8601形式の日付同士の日数差を計算する. 24 raw 2. SDTMの作成 2.2 ソフトウェアと環境~位置づけ~ SAS Clinical Data Integration(CDI) (V2.3) raw SDTM SDTM CDI,SDDを推奨しているという ことではありません. ADaM TLFs(CSR) SAS Drug Development(SDD) (V3.5) SAS,アクセス管理したフォルダ,ログ管理,version管理. 25 2. SDTMの作成 2.2 CDIとSDD ~CDIによるSDTM作成~ raw SDTM • GUI*ベースで,(SAS)プログラミングスキルがなくても,作成可能! (*GUI : Graphical User Interface) <アウトプット> SDTMのdomain <変換> Compare(目視チェック) <インプットデータ> プロトコル • シングルプログラムで可能 (SDTM変換のCDI用仕様書を作成) DB仕様書 Compare (目視チェック) SDTM変換の CDI用仕様書 26 3. SDTM仕様書とSDTMのQC raw SDTM 3.1 チェックリストに基づく目視チェック 3.2 SASプログラムによるチェック 3.3 OpenCDISC Compare (目視チェック) プロトコル SDTMデータ 仕様書 標準 SAS program define.xml DB仕様書 Compare 標準SAS program 標準SAS program 標準 datasets SAS program SDTM (.sas7bdat) SDTM datasets (.xpt) 27 raw 3. SDTM仕様書とSDTMのQC SDTM 3.4 DM担当者による目視チェック SDTM Datasets 標準SAS program Raw Data 標準SAS program SDTM Data Report Raw Data Report Compare (目視チェック) 対象は,全ドメイン. RawからSDTMへのマッピングの適切性を確認. データのことは,DM担当者が一番よくわかっている! (ロジカル,記載や入力の手引き,実データ) 28 ADaM作成の工夫 SDTM ADaM 1. ADaMデータ仕様書の作成 ※SDTMと同じく,Excelで仕様書を作成. 2. ADaMの作成 2.1 ADaM作成用SASマクロ ※ピュアなSDTMは扱いにくい! – SUPP,RELREC 29 ADaM SDTM 2. ADaMの作成 2.1 ADaM作成用SASマクロ SDTM [DM] USUBJID BRTHDTC 123456 1950‐01‐01 [SUPPDM] SEX USUBJID M SAS program <iso形式⇒SAS日付> QNAM 123456 PPS 123456 SUBJCLAS QVAL N INELIGIBLESUBJECT SAS program <SUPPXXを転置して XXへmerge> SAS program <コード値の変数を作成> ADaM用一次変換 [DM] USUBJID BRTHDTC 123456 1950‐01‐01 さらに,コード変数には フォーマットを当てて利用 SEX SEXC PPS PPSC SUBJCLAS SUBJCLASC M 1 N 2 INELIGIBLESUBJECT 60 $SEX. $PPS. $SUBJCLAS. 30 目次 • • • • • • • • シオノギでの解析手順の変遷 (CDISC)標準導入のメリット CDISC標準導入のために行うこと スケジュール シオノギで同時に行ったこと(きっかけ,ターゲット,目標) SDTM,ADaM作成のための工夫(具体的に) 課題 おわりに 31 課題 情報の更新と教育 より効率よく! 標準化は... 32 情報の更新と教育 • 最新のIGへの対応 – エキスパート? – WG? • トレーニング – 部内(DM・統計) – 部外(薬事,MW,臨床,...) 当初 各自で勉強することを想定. 社内のルール:各社内標準テンプレートやSOP・WI 基本的な考え:CDISCのIG 限界がある. 社内トレーニング資料の充実? 社外トレーニングの受講? 33 効率よく作成・QCするには? • templateから?似た試験から? – templateの更新は,いつ,誰が? Phase2 Phase3 template 34 標準化に終わりはない 標準化には教育も必要! (周知徹底が難しい. 導入教育,継続教育.) 標準化は見直しが必要! (見直しをしていかないと, 形骸化していくことが多い) 35 おわりに • CDISC標準は,FDAのみならずPMDAへの承認申請時提出の ためにも対応せざるを得ない状況になっています. • すべて対応するのは難しいですが,少しずつ対応することで, 周辺業務の標準化を後押しできると思います. • 関連部署とのコラボレーションを促進させることで業務の効 率化も進むでしょう. • SDTM(,ADaM)を当局への提出のためだけに作成するのは もったいないです! • 標準化による業務効率のみならず,統合データの容易な作 成,DSURや安全性監視および化合物の様々な情報を引き出 すことが可能となります.宝の山となります. • シオノギの事例紹介が,参考になれば幸いです. • 業界全体で意見交換する場ができ,継続していければと思い ます. 36 backup 37 正道か?オプションか? 「再考」 ①正道 raw SDTM ADaM TLF CSR(TLF)からSDTMへのトレーサ ビリティを保つことが重要. SDTMは, • とくに安全性の統合解析で役立つ. • 海外とデータをやり取りしやすい. • 申請時絶対に不要な試験はない. 手順は一本のほうがよい ②オプション Analysis Dataset (ADaM) raw TLF 必要なときにSDTMを作成すれ ばよいので,CSR作成時に常に タスクをかけなくてよい. 齟齬があるかも SDTM ADaM 38
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