(57)【要約】 【課題】 野生型のプロテインCインヒビターよりも作 用の増強された改変型プロテインCインヒビターを提供 することを目的とする。 【解決手段】 野生型ヒトプロテインCインヒビターよ りも強いセリンプロテアーゼ阻害活性を有する改変型ヒ トプロテインCインヒビターであって、野生型ヒトプロ テインCインヒビターのAsn型糖鎖結合部位である第 230位及び第319位の少なくとも一方に対応する部 位のアミノ酸残基にAsn型糖鎖が結合していないこと を特徴とする改変型ヒトプロテインCインヒビター。 −1− (2) 特開2002−10783 1 2 【特許請求の範囲】 のアスパラギン残基をセリンに、又は第319位のアス 【請求項1】野生型ヒトプロテインCインヒビターより パラギン残基をグルタミンに置換してなるものである改 も強いセリンプロテアーゼ阻害活性を有する改変型ヒト 変型ヒトプロテインCインヒビター。 プロテインCインヒビターであって、野生型ヒトプロテ 【請求項7】野生型ヒトプロテインCインヒビターに比 インCインヒビターのAsn型糖鎖結合部位である第2 し、トロンビン及び血漿カリクレインに対して強い阻害 30位及び第319位の少なくとも一方に対応する部位 作用を有することを更に特徴とする、請求項1ないし6 のアミノ酸残基にAsn型糖鎖が結合していないことを の何れかの改変型ヒトプロテインCインヒビター。 特徴とする改変型ヒトプロテインCインヒビター。 【請求項8】請求項1ないし7の何れかの改変型ヒトプ 【請求項2】改変型ヒトプロテインCインヒビターであ ロテインCインヒビターを有効成分として含有すること って、野生型ヒトプロテインCインヒビターのAsn型 10 を特徴とする、血液凝固異常亢進抑制剤。 糖鎖結合部位である第230位及び第319位の少なく 【請求項9】請求項1ないし7の何れかの改変型ヒトプ とも一方に対応する部位にAsn型糖鎖が結合しないよ ロテインCインヒビターを有効成分として含有すること うに該野生型ヒトプロテインCインヒビターの少なくと を特徴とする、炎症反応抑制剤。 も一方のAsn型糖鎖結合領域のアミノ酸残基を置換し 【請求項10】該血液凝固異常亢進が播種性血管内凝固 てなるアミノ酸配列を有し、該野生型ヒトプロテインC におけるものである、請求項8の血液凝固異常亢進抑制 インヒビターよりも強いセリンプロテアーゼ阻害活性を 剤。 有することを特徴とする改変型ヒトプロテインCインヒ 【請求項11】該炎症反応が播種性血管内凝固に伴った ビター。 ものである、請求項9の炎症反応抑制剤。 【請求項3】該Asn型糖鎖結合領域のアミノ酸残基の 置換が、第230位及び第319位のアスパラギン残基 【請求項12】配列表の配列番号2で示されたアミノ酸 20 配列をコードする塩基配列を有するDNAにおいて: の属するAsn型糖鎖結合領域であるアミノ酸配列−A 1) 該アミノ酸配列の第230位及び第319位のう sn−X−Ser−(XはそれぞれLeu又はHisを ち少なくとも一方のアスパラギン残基をコードする3塩 表す)における、 基を、他のアミノ酸残基をコードする3塩基となるよう 1) 他のアミノ酸残基によるアスパラギン残基の置 に置換するか、 換、 2) 第231位及び第320位のうち少なくとも一方 2) プロリン残基によるXの置換、及び のアミノ酸残基をコードする3塩基をプロリンをコード 3) トレオニン以外の他のアミノ酸残基によるセリン する3塩基となるように置換するか、又は 残基の置換 3) 第232位及び第321位のうち少なくとも一方 のうち、少なくとも何れかによるものである、請求項2 のセリン残基をコードする3塩基をトレオニン以外の他 の改変型ヒトプロテインCインヒビター。 30 のアミノ酸残基をコードする3塩基となるように置換す 【請求項4】野生型ヒトプロテインCインヒビターを構 るか、 成するアミノ酸配列中における第230位及び第319 の少なくとも何れかの置換をすることにより得ることの 位のAsn型糖鎖結合部位のアスパラギン残基の少なく できる、改変型ヒトプロテインCインヒビターをコード とも一方を他のアミノ酸残基に置換してなるアミノ酸配 するDNA。 列を有し、且つ、該野生型ヒトプロテインCインヒビタ 【請求項13】第230位のアスパラギン残基をコード ーよりも強いセリンプロテアーゼ阻害作用を有すること する3塩基について他のアミノ酸残基をコードする3塩 を特徴とする、改変型ヒトプロテインCインヒビター。 基となるように行う置換において、該他のアミノ酸がセ 【請求項5】第230位のアスパラギン残基を置換する リン、グリシン、アスパラギン酸、ロイシン及びプロリ 他のアミノ酸残基がセリン、グリシン、アスパラギン 酸、ロイシン及びプロリンよりなる群より選ばれるもの ンよりなる群より選ばれるアミノ酸であり、第319位 40 のアスパラギン残基をコードする3塩基について他のア であり、第319位のアスパラギン残基を置換する他の ミノ酸残基をコードする3塩基となるように行う置換に アミノ酸残基がグルタミン、アラニン、アルギニン、ア おいて、該他のアミノ酸がグルタミン、アラニン、アル スパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グリシン、 ギニン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、 ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオ グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジ ニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニ ン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリ ン、トリプトファン、チロシン及びバリンよりなる群よ ン、トレオニン、トリプトファン、チロシン及びバリン り選ばれるものである、請求項3又は4の改変型ヒトプ よりなる群より選ばれるアミノ酸である、請求項12の ロテインCインヒビター。 DNA。 【請求項6】野生型ヒトプロテインCインヒビターを構 【請求項14】該配列表の配列番号2で示されたアミノ 成するアミノ酸配列中において、少なくとも第230位 50 −2− 酸配列をコードする塩基配列が、配列表の配列番号1で (3) 特開2002−10783 3 4 示された塩基配列中、第58∼1218位の塩基よりな れにつき先に特許出願を行っている(特開平11-60500 る配列である、請求項12又は13のDNA。 号)。プロテインCインヒビターは、セリンプロテアー 【請求項15】配列表の配列番号7又は9で示された塩 ゼインヒビターファミリーに分類されており、尿、血液 基配列中、第58∼1218位の塩基よりなる配列を有 及び精液において検出されている。 するものである、DNA。 【0005】プロテインCインヒビターを得るために 【発明の詳細な説明】 は、多量の新鮮な生体成分が必要である。例えば、この 【0001】 インヒビター1mgを得るためには、新鮮尿60Lを必要 【発明の属する技術分野】本発明は、ヒト生体成分由来 とする。 のプロテインCインヒビターより強いセリンプロテアー 【0006】しかしながら、臨床現場に安定供給できる ゼ阻害活性を有する、改変型プロテインCインヒビター 10 程の量のプロテインCインヒビターを得るためにそれに 及びこれを含む薬剤に関する。 見合う多量の生体成分を確保するには、困難が予想され 【0002】 る。しかも、このプロテインCインヒビターを生体成分 【従来の技術】播種性血管内凝固(Disseminated Intra から得るには原材料の鮮度が高いことも要求される。例 vascular Coagulation: DIC)は、血液凝固系の異常 えば、原材料として尿を用いたとき、その尿の鮮度が低 亢進により引き起こされる疾患の代表である。感染症や いと、当初は含有されていた筈のプロテインCインヒビ 悪性腫瘍等による細胞の破壊により露出した組織因子が ターの大部分はカリクレインにより低分子化されてしま 血液と接触する結果、DICを特徴づける血液凝固系の っているため、プロテインC阻害活性が実質的に消失し 異常亢進が引き起こされる。DICにおいては、血液中 ていることとなる。このため、医療現場の要求に見合う のトロンビン濃度が顕著に上昇し、全身の細小血管内で 血栓が形成される(凝固優位型DIC)、これは組織壊 量でプロテインCインヒビターを安定供給できる方法 20 は、現在のところ知られていない。 死や各種臓器の機能不全をもたらす。また、形成された 【0007】 血栓を溶解するため、二次的な線溶系の亢進が見られ、 【発明が解決しようとする課題】プロテインCインヒビ その結果、患者の体内では、血液凝固−血栓溶解が高頻 ターの十分量を安定供給するには、遺伝子組換え技術等 度で繰り返され、それに伴いフィブリノーゲン及びフィ 有効な手段を駆使してこれを多量に作製する方法の確立 ブリン分解物の血中濃度が上昇する。更に重度になる の確立が選択肢の一つである。しかし更に、このプロテ と、フィブリノーゲン等血液凝固系の諸因子の消費量が インCインヒビターの抗凝固作用を増強させることがで 生成量を上回り、そのため顕著な出血傾向をもたらし きれば、相対的に少量のプロテインCインヒビターで治 (線溶優位型DIC)、死に至る場合がある。 療効果が得られることとなり、利用効率が高まるため、 【0003】DICにおいては、血中のトロンビン濃度 十分量のプロテインCインヒビターの安定供給は一層容 が顕著に上昇して血液凝固系が異常亢進しているため、 30 易となろう。同時に、増強された抗凝固作用を有するプ 治療薬としては、従来ヘパリン(分子量4,000∼40,000 ロテインCインヒビターは、先に知られているプロテイ の混合物)、低分子量ヘパリン(ヘパリンから分子量4, ンCインヒビターよりも優れた治療効果を発揮する可能 000∼5,000のものを分画)、及びアンチトロンビンIII 性をも有することになる。 が用いられてきた。しかしながら、ヘパリンは、トロン 【0008】本発明者等はこの点に着目した。すなわ ビンがアンチトロンビンIIIに反応するのを仲介するこ ち、本発明は、野生型のプロテインCインヒビターより とによって作用を表すが、トロンビンと複合体を形成し も作用の増強された改変型プロテインCインヒビターを たアンチトロンビンIIIは速やかに代謝され消失する。 提供することを目的とする。 このため、ヘパリンを投与しているDIC患者ではアン 【0009】 チトロンビンIIIが不足傾向となり、アンチトロンビンI IIの補充が必要となる場合がある。しかしながら、アン 【課題を解決するための手段】タンパク質に結合するA 40 sn型糖鎖は、アスパラギン結合型糖鎖又はN結合型糖 チトロンビンIII製剤は高価なためその使用が保険上の 鎖とも呼ばれ、ポリペプチド鎖中のAsn型糖鎖結合領 制限を受けており、患者への十分な投与は望みにくいと 域〔−Asn−X−Thr−若しくは−Asn−X−S いう問題がある。またヘパリンは血液凝固時間を延長さ er−:ここに、Asn=アスパラギン、Thr=トレ せるため、患者に出血傾向を起こす一因となる。低分子 オニン、Ser=セリン、X=Pro(プロリン)以外 量ヘパリンも、副作用の面では通常のヘパリンと同様で のアミノ酸残基〕のアスパラギン残基の酸アミド基に糖 ある。 鎖の還元末端のN−アセチルグルコサミンがN−グリコ 【0004】このような背景において本発明者等は先 シド結合した糖鎖群である。これは、タンパク質の機能 に、播種性血管内凝固において見られる血液凝固系の異 を修飾する役割を果たしているが、本発明者等は、ヒト 常亢進とそれに伴う二次線溶の亢進を、生体成分由来の プロテインCインヒビターにおいては、活性を抑制する プロテインCインヒビターが改善することを見出し、こ 50 −3− 方向にAsn型糖鎖が作用しており、Asn型糖鎖結合 (4) 特開2002−10783 5 6 部位のうち1ヶ所又は複数ヶ所のAsn型糖鎖結合部位 生型ヒトプロテインCインヒビターよりも強いセリンプ において糖鎖の結合をなくすことによってプロテインC ロテアーゼ阻害活性を有することを特徴とする改変型ヒ インヒビターの活性を高められるということを見出し トプロテインCインヒビターをも提供する。 た。この発見は、本発明者等が、プロテインCインヒビ 【0014】野生型ヒトプロテインCインヒビターのア ターに3ヶ所存在するAsn型糖鎖結合領域のうち2ヶ ミノ酸配列は、配列表において配列番号2に示されてい 所の、少なくとも一方の領域においてAsn型糖鎖の結 る。配列表において配列番号1で示された塩基配列は、 合(すなわち、Asn型糖鎖による修飾)が起こらなく 併記されたアミノ酸配列においてアミノ酸番号1ないし なるようにアミノ酸残基を変更することを試みた結果、 387よりなる野生型ヒトプロテインCインヒビターの 得られたAsn型糖鎖の欠落を有する改変型ヒトプロテ アミノ酸配列及びこれに先行するアミノ酸番号−19な インCインヒビターが、ヒトのセリンプロテアーゼに対 10 いし−1よりなるシグナル配列をコードする塩基配列で してヒト生体成分由来のプロテインCインヒビターより ある。 も強い阻害作用を持つことが見出されたことに基づく。 【0015】上記のAsn型糖鎖結合領域のアミノ酸配 【0010】すなわち本発明は、野生型ヒトプロテイン 列は、第230位のアスパラギン残基の属するものにつ Cインヒビターよりも強いセリンプロテアーゼ阻害活性 いては−Asn−Leu−Ser−であり第319位の を有する改変型ヒトプロテインCインヒビターであっ アスパラギン残基の属するものについては−Asn−H て、野生型ヒトプロテインCインヒビターのAsn型糖 is−Ser−である。これらのAsn型糖鎖結合領域 鎖結合部位である第230位及び第319位の少なくと に糖鎖が結合しないようにするには、1) アスパラギ も一方に対応する部位のアミノ酸残基にAsn型糖鎖が ン残基を他のアミノ酸残基で置換する、2) それらの 結合していないことを特徴とする改変型ヒトプロテイン Cインヒビターを提供する。 配列中央のLeu又はHisをProで置換する、又は 20 3) それらの配列末尾のSerをトレオニン以外の他 【0011】本発明の改変型プロテインCインヒビター のアミノ酸残基で置換する、の何れの手段をも用いるこ が野生型プロテインCインヒビターのそれよりも高い活 とができる。 性を有するのは、野生型ヒトプロテインCインヒビター 【0016】従って本発明は更に、該Asn型糖鎖結合 のアミノ酸配列中のAsn型糖鎖結合領域のアミノ酸残 領域のアミノ酸残基の置換が、第230位及び第319 基を置換すること等により、分子内に3ヶ所存在するA 位のアスパラギン残基の属するAsn型糖鎖結合領域で sn型糖鎖結合領域、特に第230位及び第319位の あるアミノ酸配列−Asn−X−Ser−(Xはそれぞ アスパラギン残基の属するAsn型糖鎖結合領域の少な れLeu又はHisを表す)における、 くとも1つにおいてAsn型糖鎖が欠落している結果で 1) 他のアミノ酸残基によるアスパラギン残基の置 ある。 換、 【0012】野生型ヒトプロテインCインヒビターのア 30 2) プロリン残基によるXの置換、及び ミノ酸配列において、Asn型糖鎖結合部位は、第23 3) トレオニン以外の他のアミノ酸残基によるセリン 0位、第243位、第319位のアスパラギン残基の部 残基の置換 位に存在する。本発明における「改変型ヒトプロテイン のうち、少なくとも何れかによるものである、上記改変 Cインヒビター」は、野生型ヒトプロテインCインヒビ 型ヒトプロテインCインヒビターをも提供する。 ターのアミノ酸配列中に存在するAsn型糖鎖結合領域 【0017】更に本発明は上記のうち特に、野生型ヒト 内のアスパラギン残基(Asn型糖鎖結合部位)、特に プロテインCインヒビターを構成するアミノ酸配列中に 第230位及び第319位のアスパラギン残基のうち少 おける第230位及び第319位のAsn型糖鎖結合部 なくとも一方にAsn型糖鎖が結合していないものであ 位のアスパラギン残基の少なくとも一方を他のアミノ酸 れば、アミノ酸配列自体は野生型のそれと同一のもので あってもよい。これらのAsn型糖鎖が結合しないよう 残基に置換してなるアミノ酸配列を有し、且つ、該野生 40 型ヒトプロテインCインヒビターよりも強いセリンプロ にするにはまた、これらのアスパラギン残基の属するA テアーゼ阻害作用を有することを特徴とする、改変型ヒ sn型糖鎖結合領域内の何れかのアミノ酸残基を置換す トプロテインCインヒビターをも提供する。 ることによってもよい。 【0018】上記の改変型ヒトプロテインCインヒビタ 【0013】従って本発明はまた、改変型ヒトプロテイ ーを、野生型ヒトプロテインCインヒビターを構成する ンCインヒビターであって、野生型ヒトプロテインCイ アミノ酸配列中における第230位及び第319位のA ンヒビターのAsn型糖鎖結合部位である第230位及 sn型糖鎖結合部位のアスパラギン残基の少なくとも一 び第319位の少なくとも一方に対応する部位にAsn 方を他のアミノ酸残基に置換することにより作製する場 型糖鎖が結合しないように該野生型ヒトプロテインCイ 合、それらのアスパラギン残基と置換するために選ばれ ンヒビターの少なくとも一方のAsn型糖鎖結合領域の るアミノ酸は、該置換によってAsn型糖鎖が結合でき アミノ酸残基を置換してなるアミノ酸配列を有し、該野 50 −4− なくすればよいから、アスパラギン以外に種々のアミノ (5) 特開2002−10783 7 8 酸を選択し得る。それらのうち、第230位のアスパラ は、トロンビン及び血漿カリクレインが主要な血液凝固 ギン残基は例えばセリン、グリシン、アスパラギン酸、 因子及び炎症性細胞刺激因子であること〔Journal of C ロイシン又はプロリンで置換してよく、第319位のア linical Investigation, 69:1199-1202(1982)、Pathoph スパラギン残基は例えばグルタミン、アラニン、アルギ ysiology of Shock, Sepsis, and Organ Failure, Schl ニン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グ agG, Redl H, eds, Spring-Verlag 1993, pp46-60 リシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジ 等〕、尿由来のプロテインCインヒビターがトロンビン ン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリ 及び血漿カリクレインの阻害を経てDICにおける病態 ン、トレオニン、トリプトファン、チロシン又はバリン を改善すること〔Thrombosis and Haemostasis, 84:54- で置換してよい。そのような置換により得られる改変型 58(2000)に本発明者等が投稿した〕によって支持され ヒトプロテインCインヒビターも、野生型ヒトプロテイ 10 る。 ンCインヒビターに比して顕著に高い阻害作用を有する 【0023】従って本発明はまた、上記の何れかの改変 ことが、後述の研究結果に基づき合理的に推定される。 型ヒトプロテインCインヒビターを有効成分として含有 【0019】従って本発明は更に、上記の各改変型ヒト することを特徴とする、血液凝固異常亢進抑制剤及び炎 プロテインCインヒビターのうち、第230位のアスパ 症反応抑制剤をも提供する。 ラギン残基を置換する他のアミノ酸残基がセリン、グリ 【0024】ここにおいて、該血液凝固異常亢進は、特 シン、アスパラギン酸、ロイシン及びプロリンよりなる に好ましくは、播種性血管内凝固におけるものである。 群より選ばれるものであり、第319位のアスパラギン また、該炎症反応も、特に好ましくは、播種性血管内凝 残基を置換する他のアミノ酸残基がグルタミン、アラニ 固におけるものである。 ン、アルギニン、アスパラギン酸、システイン、グルタ ミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシ 【0025】更に本発明は、配列番号2で示されたアミ 20 ノ酸配列をコードする塩基配列を有するDNAにおい ン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリ て: ン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン及 1) 該アミノ酸配列の第230位及び第319位のう びバリンよりなる群より選ばれるものである改変型ヒト ち少なくとも一方のアスパラギン残基をコードする3塩 プロテインCインヒビターをも提供する。 基を、アスパラギン以外のアミノ酸残基をコードする3 【0020】本発明より、野生型ヒトプロテインCイン 塩基となるように置換するか、 ヒビターに比してセリンプロテアーゼ阻害作用の増強さ 2) 第231位及び第320位のうち少なくとも一方 れた改変型ヒトプロテインCインヒビターが提供され のアミノ酸残基をコードする3塩基をプロリンをコード る。改変型ヒトプロテインCインヒビターは、従来の野 する3塩基となるように置換するか、又は 生型ヒトプロテインCインヒビターに比して少量で同等 3) 第232位及び第321位のうち少なくとも一方 の効果を得ることを可能にする。従って、遺伝子工学的 30 のセリン残基をコードする3塩基をトレオニン以外の他 に製造できることと相まって、ヒトプロテインCインヒ のアミノ酸残基をコードする3塩基となるように置換す ビターを臨床現場に必要な供給量を確保することが容易 るか、の少なくとも何れかの置換をすることにより得る となる。 ことのできる、改変型ヒトプロテインCインヒビターを 【0021】本発明の改変型ヒトプロテインCインヒビ コードするDNAをも提供する。 ターの活性は、野生型ヒトプロテインCインヒビターに 【0026】更に本発明は、上記何れかのDNAであっ 比して、トロンビン及び血漿カリクレインに対する阻害 て、第230位のアスパラギン残基をコードする3塩基 作用が野生型プロテインCインヒビターより強いという について他のアミノ酸残基をコードする3塩基となるよ ことによって更に特徴づけられる。 うに行う置換において、該他のアミノ酸がセリン、グリ 【0022】更には、本発明の改変型ヒトプロテインC インヒビターのセリンプロテアーゼ阻害活性が野生型よ シン、アスパラギン酸、ロイシン及びプロリンよりなる 40 群より選ばれるアミノ酸であり、第319位のアスパラ り強いことは、これまでよりも強い治療効果を期待して ギン残基をコードする3塩基について他のアミノ酸残基 プロテインCインヒビターを使用できることをも意味す をコードする3塩基となるように行う置換において、該 る。トロンビン及び血漿カリクレインに対して阻害作用 他のアミノ酸がグルタミン、アラニン、アルギニン、ア が増強されていることは、血液凝固系の持続的亢進及び スパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グリシン、 これに伴って起こるものを含む炎症性反応に対する改善 ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオ 効果が高いことを意味する。このことは、本発明の改変 ニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニ 型ヒトプロテインCインヒビターが、DICにおける血 ン、トリプトファン、チロシン及びバリンよりなる群よ 液凝固系の異常亢進及びそれに伴って起こる炎症反応を り選ばれるアミノ酸であることを特徴とするDNAをも 改善する能力において、野生型ヒトプロテインCインヒ 提供する。 ビターより優れていることを示すものである。このこと 50 −5− 【0027】更に本発明は、上記DNAであって、該配 (6) 特開2002−10783 9 10 列表の配列番号2で示されたアミノ酸配列をコードする ことは意図しない。 塩基配列が、配列表の配列番号1で示された塩基配列 【0033】<実施例1> 中、第58∼1218位の塩基よりなる配列であること 1. 野生型及び改変型プロテインCインヒビターの発 を特徴とするDNAをも提供する。 現 【0028】更に本発明は、上記DNAの好ましい例に a) 野生型及び改変型プロテインCインヒビター発現 含まれる、配列表の配列番号7又は9で示された塩基配 用ベクターの構築 列中、第58∼1218位の塩基よりなる配列を有する ヒト肝臓由来のポリ(A)RNA(Clontech社製)1μ ものであるDNAをも提供する。 gよりcDNA合成モジュール(cDNA Synthesis Modul 【0029】 e:Amersham社製)を用いてcDNAを合成し、これを 【発明の実施の形態】本発明において、Asn型糖鎖の 10 鋳型としてポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によりプロ 結合の制限された改変型ヒトプロテインCインヒビター テインCインヒビター遺伝子を増幅した。このとき用い は、Asn型糖鎖結合領域におけるアミノ酸残基の置換 たフォーワードプライマー(プライマー1)の塩基配列 によって得たものであってもよいが、それに限らず、化 を配列表の配列番号3で、リバースプライマー(プライ 学的手段を含む適宜の手段による野生型ヒトプロテイン マー2)を配列表の配列番号4で示す。フォーワードプ CインヒビターからのAsn型糖鎖の除去や、野生型ヒ ライマー(プライマー1)は、配列表の配列番号1の野 トプロテインCインヒビタータンパク質へのAsn型糖 生型ヒトプロテインCインヒビターの塩基配列の塩基番 鎖の結合の阻止によって得たものであってもよい。As 号1∼36に相当する塩基配列及びその5側に連結した配列 n型糖鎖の除去又は結合阻止の手段は問わない。 cgcggatcc(このうち、ggatccはBamHI部位である)より 【0030】各種改変タンパク質の二次構造について本 発明者等が行ったコンピュータ解析より、上記2個のA なる。リバースプライマー(プライマー2)は、配列表 20 の配列番号1の塩基番号1197∼1221に相補的な塩基配列 sn型糖鎖結合部位の各アスパラギン残基を置換する場 及びその5側に連結した配列cgcggatcc(同上)よりな 合については、置換するアミノ酸として少なくとも下記 る。 のアミノ酸が、本発明の目的にとって好ましいことが判 【0034】PCR産物を、制限酵素BamHIを用いて常 明している。 法により消化した後、アガロースゲル電気泳動を行っ 1) 第230位のAsn(「Asn230」と略す): た。目的のDNAバンドを精製した後、クローニングベ セリン(Ser)、グリシン(Gly)、アスパラギン クターpBluescript SK(-)のBamHI部位に組み込んだ。得 酸(Asp)、ロイシン(Leu)、プロリン(Pr られた野生型プロテインCインヒビター(以下、「wP o) CI」と略す。)の遺伝子は、塩基配列を確認後、BamH 2) 第319位のAsn(「Asn319」と略す): I消化により切り出してバキュロウイルス構築用ドナー グルタミン(Gln)、アラニン(Ala)、アルギニ 30 ン(Arg)、アスパラギン酸(Asp)、システイン ベクターpFastBac-1(GIBCO BRL社製)のBamHI部位に組 み換えた。方向が合っているクローンを選び出し、これ (Cys)、グルタミン酸(Glu)、グリシン(Gl をwPCI発現用のBacmid作製に用いた。 y)、ヒスチジン(His)、イソロイシン(Il 【0035】また、プロテインCインヒビターのアミノ e)、ロイシン(Leu)、リジン(Lys)、メチオ 酸配列(配列表の配列番号2)のN末端側から230位の ニン(Met)、フェニルアラニン(Phe)、プロリ アスパラギン(Asn230)をセリンに、又は319位のア ン(Pro)、セリン(Ser)、トレオニン(Th スパラギン(Asn319)をグルタミンに置換した2種 r)、トリプトファン(Trp)、チロシン(Ty 類の改変型プロテインCインヒビター(以下、それぞれ r)、バリン(Val) 「Asn230Ser」、及び「Asn319Gln」と略 【0031】本発明の改変型ヒトプロテインCインヒビ ターは、先に知られている野生型ヒトプロテインCイン す。)の遺伝子は、それぞれ以下のようにして構築し 40 た。すなわち、先ずそれぞれのアミノ酸置換部位を含む ヒビターと同様、生理的に許容し得る塩類溶液等に加え 領域に、Asn230Serの作製用には配列表の配列番 て点滴静注等により循環血中に直接投与する形で、播種 号5で示した塩基配列を有するプライマー(プライマー 性血管内凝固に対して使用することとができる。使用に 3)を、そしてAsn319Glnの作製用には配列表の 当たっては、患者の循環血のフィブリノーゲン濃度、フ 配列番号6で示した塩基配列を有するプライマー(プラ ィブリン分解物濃度、プロトロンビン時間等、血液凝固 イマー4)を設計した。 系の諸パラメータを定期的にモニターし、その結果に応 【0036】プライマー3(配列番号5)は、配列表の じて投与量を加減すればよい。 配列番号1(野生型ヒトプロテインCインヒビター塩基 【0032】 配列)に示した塩基番号733∼765の塩基に相当するが、 【実施例】以下、代表的な一実施例を挙げて本発明をよ 但し該プライマーの塩基番号13∼15の塩基配列(配列番 り具体的に説明するが、本発明が該実施例に限定される 50 −6− 号1の塩基番号745∼747に対応する)が、野生型のAs (7) 特開2002−10783 11 12 nの代わりに、Serをコードするように設計されてい ドナープラスミド1μlにBacmid構築用大腸菌DH10Bac る。プライマー4(配列番号6)は、配列表の配列番号 のコンピテント細胞(GIBCO BRL社製)20μlを加えて 1(野生型ヒトプロテインCインヒビター塩基配列)に 混和し、氷上にて30分間静置した。次に、42℃で45秒間 示した配列番号1003∼1034の塩基に相当するが、但し該 のヒートショックを与えた後、直ちに氷中に移して2分 プライマーの塩基番号10∼12の塩基配列(配列番号1の 間冷却した。予め37℃に温めておいたLB培地0.5ml 塩基番号1012∼1014に対応する)が野生型のAsnの代 を加えて混和し、37℃にて5時間震盪培養した。目的遺 わりに、Glnをコードするように設計されている。 伝子のBacmidへのトランスポジションを選別するために 【0037】プライマー3及び4をフォーワードプライ 培養液をLB培地にて2,000倍希釈し、その0.2mlを選 マーとし、プライマー2をリバースプライマーとして用 別用LBプレート(カナマイシン50μg/ml、ゲンタ い、プロテインCインヒビター遺伝子を鋳型としてPC 10 マイシン7μg/ml、テトラサイクリン10μg/m Rを行った。PCR産物をアガロースゲル電気泳動に供 l、IPTG/X-galコート)に播いた。37℃にて2日 し、増幅されたそれぞれのDNA断片を精製した。更 間培養後、大きくて白いコロニーを選択しそれを2ml に、プライマー1をフォーワードプライマーとし、精製 LB培地(カナマイシン50μg/ml、ゲンタマイシン した各DNA断片をリバースプライマーとして用いて前 7μg/ml、テトラサイクリン10μg/ml)にて一 記のプロテインCインヒビター遺伝子を鋳型としてPC 晩培養した。培養液1mlから大腸菌を回収し、アルカ Rを行った。PCR産物を制限酵素BamHIにて消化後、 リ溶解法にて野生型及び改変型プロテインCインヒビタ アガロースゲル電気泳動を行って、目的のDNAバンド ー発現用Bacmidを回収した。 を精製し、pBluescript SK(-)のBamHI部位に組み込ん 【0040】c) 組換えバキュロウイルスの作製 10%ウシ胎仔血清を含むTNM−FH培地(Graces Ins だ。得られた改変型プロテインCインヒビター遺伝子 は、目的の塩基置換が行われている事を確認した後、Ba 20 ect Cell Culture MedIum 500ml、50倍希釈したYeast mHI消化により切り出し、バキュロウイルス構築用ドナ olate Solution 10ml、及び50倍希釈したLactoalbumI ーベクターpFastBac-1のBamHI部位に組み換えた。次 n Hydrolysate SolutIon 10ml;何れもGIBCO BRL社 に、方向が合っているクローンを選び出し、それらを各 製)で懸濁したSf9細胞を細胞培養用の6ウェルプレ 改変型プロテインCインヒビター発現用のBacmid作製に ートにウェル当たり4.5×105 個/2ml播いた後、27℃ 用いた。 にて1時間静置してプレートに固着させた。次に、培地 【0038】上記で得られた及び及びアミノ酸配列を、 を除き、TNM−FH培地2mlにて細胞を濯いだ後、 配列表の配列番号7及び配列番号8にそれぞれ示す。配 同培地を2ml加えて27℃にて10分間静置した。Cell F 列表の配列番号7に示した塩基配列は、配列番号1(野 ctin(GIBCO BRL社製)5μlにTNM−FH培地100μ 生型ヒトプロテインCインヒビター塩基配列)に示した lを加えたものとwPCI発現用Bacmid5μlにTNM 塩基配列に相当するが、但し塩基745∼746がAsnの代 30 −FH培地100μlを加えたものを混和し、室温で30分 わりにSerをコードするよう設計されている、Asn 間静置した。その後、TNM−FH培地を800μl加え 230Serをコードする塩基配列である。配列表の配列 て混和した。10分間静置していたSf9細胞から培地を 番号8に示したアミノ酸配列は、配列番号2(野生型ヒ 除去し、これに先のBacmid-lipid混合液を加えて27℃で トプロテインCインヒビターアミノ酸配列)に示したア 静置した。5時間後、10%ウシ胎仔血清を含むTNM− ミノ酸配列に相当するが、但し230位のアミノ酸がS FH培地2mlにて細胞を濯いだ後、同培地を2ml加 erに置き換えられるよう設計された、Asn230Se えて27℃にて培養した。3日後、培養上清を回収し、遠 rのアミノ酸配列である。配列表の配列番号9に示した 心分離(2,000rpm、5分間)して細胞残渣を除いた 塩基配列は、配列番号1(野生型ヒトプロテインCイン ものをwPCI発現用種ウイルス液とした。同様に各改 変型プロテインCインヒビター発現用Bacmidを用いて各 ヒビター塩基配列)に示した塩基配列に相当するが、但 し塩基1012∼1014がAsnの代わりにGlnをコードす 40 改変型プロテインCインヒビター発現用の種ウイルス液 るよう設計されている、Asn319Glnをコードする を作製した。この様にして作製した種ウイルス液は、使 塩基配列である。配列表の配列番号10に示したアミノ 用するまで4℃にて保存した。 酸配列は、配列番号2(野生型ヒトプロテインCインヒ 【0041】d) 野生型及び改変型プロテインCイン ビターアミノ酸配列)に示したアミノ酸配列に相当する ヒビターの発現チェック が、但し319位のアミノ酸がGlnに置き換えられる Ex-CELL400(JRH Bioscience社製)培地に懸濁させたHi よう設計された、Asn319Glnのアミノ酸配列であ gh-Five細胞を25cm2 培養フラスコに2×106 個/5m る。 l播いた後、27℃にて1時間静置してフラスコに固着さ 【0039】b) 野生型及び改変型プロテインCイン せた。次いで、培養上清を除去し、10%ウシ胎仔血清を ヒビター発現用のBacmidの作製 含むTNM−FH培地800μlにwPCI発現用種ウイ 野生型及び各改変型プロテインCインヒビター発現用の 50 −7− ルス液200μlを混和したものを加え、室温でシーソー (8) 特開2002−10783 13 14 にてゆっくりと揺らしてウイルスを感染させた。1時間 ヒビターの精製 後、ウイルス液を除き、Ex-CELL400培地2mlにて細胞 上記1.で得たwPCIを含む培養上清500mlを分子 を濯いだ後、同培地を5m加えて27℃にて3日間培養 量10,000カットの限外濾過膜(PM-10, Amicon社製)を 後、培養上清を回収して遠心分離(2,000rpm、5分 用いて150mlまで濃縮した後、50mM塩化ナトリウム 間)により細胞残渣を除いた。こうして得られた培養上 を含む20mMトリス塩酸緩衝液(pH7.4)に対して透 清2mlを、分子量10,000カットの遠心濃縮装置(ミリ 析し、液内の緩衝液を交換した。次いで、内液を同緩衝 ポア社製)を用いて200μlまで濃縮した。各改変型プ 液で平衡化させたHiTrap Heparinカラム(カラム容積5 ロテインCインヒビター発現用種ウイルス液を用いて同 ml、アマーシャム ファルマシア バイオテク社製) 様の操作を行い、培養上清を得た。これらを12.5%ゲル に供し、同緩衝液でカラムを洗浄後、同緩衝液に溶解さ 濃度のSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動に供し、 10 せた塩化ナトリウムの直線濃度勾配(50mMから2.0 クシマー染色及び抗ヒトプロテインCインヒビター抗体 M)により溶出させた。この溶出画分を4∼20%マルチ (Nordic Immunology社製)を用いたウエスタンブロッ ゲル(第一化学薬品社製)を用いてSDS−ポリアクリ ティングを行い、野生型及び改変型プロテインCインヒ ルアミドゲル電気泳動に供し、抗ヒトプロテインCイン ビターの発現を確認した。 ヒビター抗体を用いたウエスタンブロッティングで分析 【0042】e) バキュロウイルスの大量培養 し、wPCIを含む画分を集めた。各改変型プロテイン 野生型及び改変型プロテインCインヒビター大量発現用 Cインヒビターを含む培養上清についても同様に精製、 のウイルス液を得るために、以下の操作を行った。10% 分析し、各改変型プロテインCインヒビターを含む画分 ウシ胎仔血清を含むTNM−FH培地で懸濁したSf9 を集めた。これらを4∼20%マルチゲルを用いてSDS 細胞を150cm2 培養フラスコに1.2×107 細胞/10ml播 いた後、27℃にて1時間静置してフラスコに固着させ −ポリアクリルアミドゲル電気泳動に供し、銀染色及び 20 抗ヒトプロテインCインヒビター抗体を用いたウエスタ た。次いで、培養上清を除去し、10%ウシ胎仔血清を含 ンブロッティングで分析し、得られた各プロテインCイ むTNM−FH培地5mlとwPCI発現用種ウイルス ンヒビターは高純度のものであることを確認した。 液100μlを混和した液を加え、室温でシーソーにより 【0045】3. トロンビン及び血漿カリクレインに ゆっくりと揺らしてウイルスを感染させた。1時間後、 対する阻害作用 ウイルス液を除き、10%ウシ胎仔血清を含むTNM−F 上記1.及び2.に述べたように発現及び精製した野生 H培地を30ml加えた。27℃にて4日間培養した後、培 型及び改変型プロテインCインヒビター(wPCI、A 養上清を回収し、遠心分離にて細胞残渣を除いたものを sn230Ser、及びAsn319Gln)それぞれとヒト wPCI大量発現用のウイルス液としてストックした。 尿由来プロテインCインヒビター(以下、「uPCI」 同様に、改変型プロテインCインヒビター発現用種ウイ と略す。)のトロンビン及び血漿カリクレイン阻害活性 ルス液を用いて各改変型プロテインCインヒビター大量 30 を比較した。0.15M塩化ナトリウム及び0.05%ウシ血清 発現用ウイルス液を作製した。 アルブミンを含む50mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0) 【0043】f) 野生型及び改変型プロテインCイン 中でトロンビン(最終濃度10nM)及び血漿カリクレイ ヒビターの大量発現 ン(最終濃度10nM)と各プロテインCインヒビター 150cm2 培養フラスコ5枚(培養液量30ml)にコンフ (最終濃度25∼500nM)を37℃にて15分間反応させ ルエントに用意したHigh-Five細胞をピペッティングに た。これらの反応液それぞれに合成基質(最終濃度1m より剥がして得た細胞懸濁液を10mlずつ新しい150c M、S-2238:トロンビン活性測定用、S-2302:血漿カリ m2 培養フラスコに播いた後、27℃にて1時間静置して クレイン測定用:共に第一化学薬品社製)を加え、405 細胞をフラスコに固着させた(合計15枚)。次いで、培 nmにおける吸光度の時間変化量をTHERMOmax Kinetic Microplate Reader (Molecular Devices社製)でモニタ 養上清を除いた後、15枚のフラスコそれぞれに10%ウシ 胎仔血清を含むTNM−FH培地4mlとwPCI大量 40 ーして得た反応初速度から算出した各酵素の残存活性を 発現用のウイルス液1mlを混和したものを加え、室温 利用して、各酵素の活性を50%阻害するのに必要な各プ にてシーソーでゆっくりと揺らしてウイルスを感染させ ロテインCインヒビター濃度(IC5 0 )を求めた。結果 た。1時間後、ウイルス液を除き、Ex-CELL400培地5m を表1及び2にまとめる。 lにて細胞を濯いだ後、同培地を30ml加えた。27℃に 【0046】 て3日間培養後、遠心分離(2,000rpm、5分間)に 【表1】 て細胞残渣を除去し、wPCIを含む培養上清を得た。 同様に、各改変型プロテインCインヒビター大量発現用 のウイルス液を用いて、各改変型プロテインCインヒビ ターを含む培養上清を得た。 【0044】2. 野生型及び改変型プロテインCイン 50 −8− (9) 特開2002−10783 15 16 *【0047】1 ) Fujita M, Thrombosis and Haemostas is, 84:54-58(2000)より引用。 【0048】 【表2】 * 【0049】1 ) Fujita M, Thrombosis and Haemostas Asn型糖鎖の修飾を制限することで、トロンビン及び is, 84:54-58(2000)より引用。 血漿カリクレインに対して強い阻害作用を有する改変型 【0050】uPCI及びwPCIの10nMトロンビン 活性に対するそれぞれのIC5 0 値は、150nM及び120n プロテインCインヒビターを得ることができることを示 している。 20 Mであった。同様に、20nM血漿カリクレインに対する 【0052】 それぞれのIC5 0 値は100nM及び65nMであった。A 【発明の効果】本発明によれば、血液凝固系の異常亢進 sn230Serのトロンビン及び血漿カリクレインに対 及びそれに伴う炎症反応の亢進に対する抑制作用が、先 するIC5 0 値はそれぞれ58nM及び34nMであり、As に知られている尿由来ヒトプロテインCインヒビターよ n319Glnのトロンビン及び血漿カリクレインに対す りも顕著に強い改変型ヒトプロテインCインヒビターを るIC5 0 値はそれぞれ94nM及び44nMと、uPCI及 得ることができる。更に、本発明の改変型ヒトプロテイ びwPCIと比較して顕著に低いものであった。すなわ ンCインヒビターは遺伝子組換え技術等により容易に作 ち、プロテインCインヒビターのAsn230又はAsn3 製することが可能でありしかも該尿由来ヒトプロテイン 19に糖鎖が結合しなければ、トロンビン及び血漿カリク Cインヒビターに比して少量で同等の効果が得られるた レインに対する阻害活性が顕著に増加することを示して め、生体成分から精製するよりも多量且つ安定した供給 30 いる。 が可能となる。 【0051】この結果は、Asn230、Asn319を含む 【0053】 Asn型糖鎖結合部位のアスパラギン残基を置換して、 【配列表】 Sequence Listing <110> JCR Pharmaceuticals Co., Ltd. <120> Modified Protein C Inhibitors <130> P94-00 <160> 10 <210> 1 <211> 1221 <212> DNA <213> Homo sapience <220> <221> sig_peptide <222> (1)...(57) <400> 1 atg cag ctc ttc ctc ctc ttg tgc ctg gtg ctt ctc agc cct cag Met Gln Leu Phe Leu Leu Leu Cys Leu Val Leu Leu Ser Pro Gln -19 -15 -10 −9− -5 45 (10) 特開2002−10783 17 18 ggg gcc tcc ctt cac cgc cac cac ccc cgg gag atg aag aag aga 90 Gly Ala Ser Leu His Arg His His Pro Arg Glu Met Lys Lys Arg -1 1 5 10 gtc gag gac ctc cat gta ggt gcc acg gtg gcc ccc agc agc aga 135 Val Glu Asp Leu His Val Gly Ala Thr Val Ala Pro Ser Ser Arg 15 20 25 agg gac ttt acc ttt gac ctc tac agg gcc ttg gct tcc gct gcc 180 Arg Asp Phe Thr Phe Asp Leu Tyr Arg Ala Leu Ala Ser Ala Ala 30 35 40 ccc agc cag aac atc ttc ttc tcc cct gtg agc atc tcc atg agc 225 Pro Ser Gln Asn Ile Phe Phe Ser Pro Val Ser Ile Ser Met Ser 45 50 55 ctg gcc atg ctc tcc ctg ggg gct ggg tcc agc aca aag atg cag 270 Leu Ala Met Leu Ser Leu Gly Ala Gly Ser Ser Thr Lys Met Gln 60 65 70 atc ctg gag ggc ctg ggc ctc aac ctc cag aaa agc tca gag aag 315 Ile Leu Glu Gly Leu Gly Leu Asn Leu Gln Lys Ser Ser Glu Lys 75 80 85 gag ctg cac aga ggc ttt cag cag ctc ctt cag gaa ctc aac cag 360 Glu Leu His Arg Gly Phe Gln Gln Leu Leu Gln Glu Leu Asn Gln 90 95 100 ccc aga gat ggc ttc cag ctg agc ctc ggc aat gcc ctt ttc acc 405 Pro Arg Asp Gly Phe Gln Leu Ser Leu Gly Asn Ala Leu Phe Thr 105 110 115 gac ctg gtg gta gac ctg cag gac acc ttc gta agt gcc atg aag 450 Asp Leu Val Val Asp Leu Gln Asp Thr Phe Val Ser Ala Met Lys 120 125 130 acg ctg tac ctg gca gac act ttc ccc acc aac ttt agg gac tct 495 Thr Leu Tyr Leu Ala Asp Thr Phe Pro Thr Asn Phe Arg Asp Ser 135 140 145 gca ggg gcc atg aag cag atc aat gat tat gtg gca aag caa acg 540 Ala Gly Ala Met Lys Gln Ile Asn Asp Tyr Val Ala Lys Gln Thr 150 155 160 aag ggc aag att gtg gac ttg ctt aag aac ctc gat agc aat gcg 585 Lys Gly Lys Ile Val Asp Leu Leu Lys Asn Leu Asp Ser Asn Ala 165 170 175 gtc gtg atc atg gtg aat tac atc ttc ttt aaa gct aag tgg gag 630 Val Val Ile Met Val Asn Tyr Ile Phe Phe Lys Ala Lys Trp Glu 180 185 190 aca agc ttc aac cac aaa ggc acc caa gag caa gac ttc tac gtg 675 Thr Ser Phe Asn His Lys Gly Thr Gln Glu Gln Asp Phe Tyr Val 195 200 205 acc tcg gag act gtg gtg cgg gta ccc atg atg agc cgc gag gat 720 Thr Ser Glu Thr Val Val Arg Val Pro Met Met Ser Arg Glu Asp 210 215 220 cag tat cac tac ctc ctg gac cgg aac ctc tcc tgc agg gtg gtg Gln Tyr His Tyr Leu Leu Asp Arg Asn Leu Ser Cys Arg Val Val −10− 765 (11) 特開2002−10783 19 20 225 230 235 ggg gtc ccc tac caa ggc aat gcc acg gct ttg ttc att ctc ccc 810 Gly Val Pro Tyr Gln Gly Asn Ala Thr Ala Leu Phe Ile Leu Pro 240 245 250 agt gag gga aag atg cag cag gtg gag aat gga ctg agt gag aaa 855 Ser Glu Gly Lys Met Gln Gln Val Glu Asn Gly Leu Ser Glu Lys 255 260 265 acg ctg agg aag tgg ctt aag atg ttc aaa aag agg cag ctc gag 900 Thr Leu Arg Lys Trp Leu Lys Met Phe Lys Lys Arg Gln Leu Glu 270 275 280 ctt tac ctt ccc aaa ttc tcc att gag ggc tcc tat cag ctg gag 945 Leu Tyr Leu Pro Lys Phe Ser Ile Glu Gly Ser Tyr Gln Leu Glu 285 290 295 aaa gtc ctc ccc agt ctg ggg atc agt aac gtc ttc acc tcc cat 990 Lys Val Leu Pro Ser Leu Gly Ile Ser Asn Val Phe Thr Ser His 300 305 310 gct gat ctg tcc ggc atc agc aac cac tca aat atc cag gtg tct 1035 Ala Asp Leu Ser Gly Ile Ser Asn His Ser Asn Ile Gln Val Ser 315 320 325 gag atg gtg cac aaa gct gtg gtg gag gtg gac gag tcg gga acc 1080 Glu Met Val His Lys Ala Val Val Glu Val Asp Glu ser Gly Thr 330 335 340 aga gca gcg gca gcc acg ggg aca atc ttc act ttc agg tcg gcc 1125 Arg Ala Ala Ala Ala Thr Gly Thr Ile Phe Thr Phe Arg Ser Ala 345 350 355 cgc ctg aac tct cag agg cta gtg ttc aac agg ccc ttt ctg atg 1170 Arg Leu Asn Ser Gln Arg Leu Val Phe Asn Arg Pro Phe Leu Met 360 365 370 ttc att gtg gat aac aac atc ctc ttc ctt ggc aaa gtg aac cgc 1215 Phe Ile Val Asp Asn Asn Ile Leu Phe Leu Gly Lys Val Asn Arg 375 380 385 ccc tga 1221 Pro <210> 2 <211> 387 <212> PTN <213> Homo sapience <400> 2 His Arg His His Pro Arg Glu Met Lys Lys Arg Val Glu Asp Leu His 1 5 10 15 Val Gly Ala Thr Val Ala Pro Ser Ser Arg Arg Asp Phe Thr Phe Asp 20 25 30 Leu Tyr Arg Ala Leu Ala Ser Ala Ala Pro Ser Gln Asn Ile Phe Phe 35 40 45 Ser Pro Val Ser Ile Ser Met Ser Leu Ala Met Leu Ser Leu Gly Ala 50 55 60 Gly Ser Ser Thr Lys Met Gln Ile Leu Glu Gly Leu Gly Leu Asn Leu −11− (12) 特開2002−10783 21 22 65 70 75 80 Gln Lys Ser Ser Glu Lys Glu Leu His Arg Gly Phe Gln Gln Leu Leu 85 90 95 Gln Glu Leu Asn Gln Pro Arg Asp Gly Phe Gln Leu Ser Leu Gly Asn 100 105 110 Ala Leu Phe Thr Asp Leu Val Val Asp Leu Gln Asp Thr Phe Val Ser 115 120 125 Ala Met Lys Thr Leu Tyr Leu Ala Asp Thr Phe Pro Thr Asn Phe Arg 130 135 140 Asp Ser Ala Gly Ala Met Lys Gln Ile Asn Asp Tyr Val Ala Lys Gln 145 150 155 160 Thr Lys Gly Lys Ile Val Asp Leu Leu Lys Asn Leu Asp Ser Asn Ala 165 170 175 Val Val Ile Met Val Asn Tyr Ile Phe Phe Lys Ala Lys Trp Glu Thr 180 185 190 Ser Phe Asn His Lys Gly Thr Gln Glu Gln Asp Phe Tyr Val Thr Ser 195 200 205 Glu Thr Val Val Arg Val Pro Met Met Ser Arg Glu Asp Gln Tyr His 210 215 220 Tyr Leu Leu Asp Arg Asn Leu Ser Cys Arg Val Val Gly Val Pro Tyr 225 230 235 240 Gln Gly Asn Ala Thr Ala Leu Phe Ile Leu Pro Ser Glu Gly Lys Met 245 250 255 Gln Gln Val Glu Asn Gly Leu Ser Glu Lys Thr Leu Arg Lys Trp Leu 260 265 270 Lys Met Phe Lys Lys Arg Gln Leu Glu Leu Tyr Leu Pro Lys Phe Ser 275 280 285 Ile Glu Gly Ser Tyr Gln Leu Glu Lys Val Leu Pro Ser Leu Gly Ile 290 295 300 Ser Asn Val Phe Thr Ser His Ala Asp Leu Ser Gly Ile Ser Asn His 305 310 315 320 Ser Asn Ile Gln Val Ser Glu Met Val His Lys Ala Val Val Glu Val 325 330 335 Asp Glu ser Gly Thr Arg Ala Ala Ala Ala Thr Gly Thr Ile Phe Thr 340 345 350 Phe Arg Ser Ala Arg Leu Asn Ser Gln Arg Leu Val Phe Asn Arg Pro 355 360 365 Phe Leu Met Phe Ile Val Asp Asn Asn Ile Leu Phe Leu Gly Lys Val 370 375 380 Asn Arg Pro 385 <210> 3 <211> 45 <212> DNA <213> Homo sapience <400> 3 cgcggatcca tgcagctctt cctcctcttg tgcctggtgc ttctc <210> 4 <211> 34 −12− 45 (13) 特開2002−10783 23 24 <212> 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Leu Phe Leu Leu Leu Cys Leu Val Leu Leu Ser Pro Gln -19 -15 -10 -5 ggg gcc tcc ctt cac cgc cac cac ccc cgg gag atg aag aag aga 90 Gly Ala Ser Leu His Arg His His Pro Arg Glu Met Lys Lys Arg -1 1 5 10 gtc gag gac ctc cat gta ggt gcc acg gtg gcc ccc agc agc aga Val Glu Asp Leu His Val Gly Ala Thr Val Ala Pro Ser Ser Arg −16− 135 (17) 特開2002−10783 31 32 15 20 25 agg gac ttt acc ttt gac ctc tac agg gcc ttg gct tcc gct gcc 180 Arg Asp Phe Thr Phe Asp Leu Tyr Arg Ala Leu Ala Ser Ala Ala 30 35 40 ccc agc cag aac atc ttc ttc tcc cct gtg agc atc tcc atg agc 225 Pro Ser Gln Asn Ile Phe Phe Ser Pro Val Ser Ile Ser Met Ser 45 50 55 ctg gcc atg ctc tcc ctg ggg gct ggg tcc agc aca aag atg cag 270 Leu Ala Met Leu Ser Leu Gly Ala Gly Ser Ser Thr Lys Met Gln 60 65 70 atc ctg gag ggc ctg ggc ctc aac ctc cag aaa agc tca gag aag 315 Ile Leu Glu Gly Leu Gly Leu Asn Leu Gln Lys Ser Ser Glu Lys 75 80 85 gag ctg cac aga ggc ttt cag cag ctc ctt cag gaa ctc aac cag 360 Glu Leu His Arg Gly Phe Gln Gln Leu Leu 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