「21+10」創刊号(2011年1月発刊) - 日本SGI

未来
21+10 対 談 # 1
未来
廣田篤史
山崎隆太
ひろた あつし
株 式 会 社 WO WO W
やまざき りゅうた
技術局 制作技術部長
放送の未来
完全デジタル化、フルハイビジョン対応、開局 20 周年、
WOWOW にとって 2011 年は、
WOWOW の廣田篤史氏と
放送業界、IT 業界、それぞれの立場で
日本 S G I 株 式 会 社 テレコム・メディア事 業 本 部 本 部 長
ファイルベースの送出系 放 送 基 幹システムの導 入など、
大きな変化の年となります。 日本 SGI の山崎隆太が、
描く “ 放送の未来 ” について語ります。
デジタル化で放送業界はどう変わるのか
山崎
2011年7月24日、アナログ放送が終了します。2011年は、WOWOWや放送業界に
とってどのような1年になるのでしょう。
廣田
コンピュータとの出会いは
大学のMac
山崎
WOWOWは、2011年7月24日までにBSアナログ放送を終了し、完全デジタル化に移
行します。
さらに10月1日より、
フルタイム・フルハイビジョン・3チャンネル放送を開始
話しは変わりますが、廣田さんとコンピュータの出会いとは、
どのようなものだったのでしょう。
廣田
制作技術の側面も同様で、他局の技術者と交流することも
ありますが、“WOWOWは、攻めてていいよね”と言ってもら
えるのは最大のほめ言葉です。
山崎
我々もまったく同じ考えで、お客様に常に“そこまでやるか”
大学の研究室で M a c をさわったのが最初だと記憶してい
と言われたいと思っています。特に放送業界は、IT環境と映
します。
これが2011年のWOWOWにとっての最大の変化です。
ます。また、CやFORTRANなどの開発言語に関しては授業
像の世界を結びつける仕組みが必要です。ITと映像の2つ
放送業界全体としても大きく変化していると思います。たとえば、WOWOWとスカ
で習いました。1989年にWOWOW(当時は、日本衛星放送
のノウハウを持っているITベンダーは多くなく、その分野で
パーJSAT(スカパー)は、以前にはライバル関係と思われていましたが、WOWOWの
株式会社)に入社したときには、まだWindows PCもなく、
WOWOWの期待を超えたいですね。
廣田
番組はスカパー経由でもご覧いただけます。
また、CATVやIPTVサービスでも放送を
ワードプロセッサ程度しかありませんでした。
しかし1990
開始しています。
年代の後半から、何の違和感もなく、気が付けば、1人1台の
を見ていないので、日本SGIにはIT業界と放送業界の橋渡し
今 後もこのような 傾 向 は 続 いていき、B S( B r o a d c a s t i n g S a t e l l i t e )放 送 や C S
PC環境になっています。
を期待しています。今後の日本SGIやIT業界には、“目から鱗
(Communications Satellite)放送、CATV、IPTVなど、要はコンテンツの配信をどの
放 送 業 界にお けるI T 化も同じで、I T 環 境を導 入すると声
経路で行うかという違いだけになるでしょう。
高らかに宣言すると抵抗がありますが、自然の流れとして
確かに一般的なITベンダーは、ITの側面からしか放送業界
が落ちる”取り組みをとことん追求してほしいです。
山崎
ITと放送技術の垣根が低くなったいま、日本SGIの放送業界
IT環境が導入されると受け入れられます。テープをなくそう
に対する貢献は多岐にわたらなければなりません。
ファイルベースを強力に推進
という啓蒙活動をするのではなく、いつの間にかテープが
放送番組で大切にされている「アナログ的で繊細な感覚」に
ファイルベースに移行することで違和感なくワークフローも
対し、ファイル化やデジタル化によるITの恩恵はもちろん、
山崎
大きな変化の中で、WOWOWはどのような差別化を行っていくのでしょう。
変わるでしょう。
営業、編成あるいは送出技術など、全ての業務、役割やあり
廣田
1991年の開局当時、レンタルビデオ店などは別として、お金を払って自宅のテレビ
山崎
IT化を大上段に振りかぶるとだめだということですね。
かたを理解したうえで、あらゆるお客様のチャレンジを支援
番組を観る文化を日本で最初に創ったのがWOWOWでした。ペイテレビ局として20
廣田
おそらくWOWOWの多くの社員は、ITアレルギーですから
したいです。
年以上培った経験やノウハウは、WOWOWにとって大きなアドバンテージといえるで
(笑)。ただ近年、入社してくる若い社員は、子供のころからパ
しょう。開局当初は、多くの方には、お金を払ってテレビを観ることに対する抵抗があり
ソコンと触れ合っていますので、それほどITアレルギーはあり
ました。
しかし、当時と比べて現在では、お金を払ってコンテンツを観ることに対する
ません。近い将来、状況は大きく変化するかもしれません。
抵抗がだいぶ少なくなっています。
“とんがっていること”が
WOWOWの存在意義
なコンテンツなど、常に新しいサービスを提供していかなければなりません。
廣田さんが入社されたころと今では、IT化によるコンテンツ制作の効率化は進んでい
るのでしょうか。
廣田
廣田
我々の仕事は、制作者がこだわって創った映像を、最高の
クオリティで視聴者に届けることです。ですから、妥協する
ことなく映像を配信できる圧縮/伸張技術やネットワーク
今後はさらに、デジタル化によるデータ放送の領域を活用することで、インタラクティブ
山崎
最後に、今後のITにどのような期待をしていますか。
山崎
技術に期待しています。
さまざまな技術が登場していますが、
ビットレートを落として
までサービスを提供したくないという思いがあります。技術
WOWOWにとって視聴者の“期待を超える世界”とは、
どの
者の立場からは、ある一定以上の画質や音質による放送が
ような世界なのでしょう。
できることは譲れない一線です。ここにこだわらなければ、
WOWOWはコンテンツ制作においても、それを支える技術
“WOWOWの存在意義”がなくなってしまいます。
積したりする下流工程の部分が、
ようやくファイルベースによりIT化されたところです。
においても、常に革新的なものを求めていきたいと思って
“WOWOW”という社名は、2倍の驚きや喜び(WOW!)を
上流工程に関しては、まだテープベースなので、IT化による画期的な効率化は今後
います。視聴者の皆さまに“WOWOWは、
とんがっているよ
意味しているので、その期待に応えなければいけません。
の取り組み課題となります。WOWOWには報道がありませんので、他局に比べると
ね”と言ってほしいと思っています。何事も、ぎりぎりのところ
そのためにも日本SGIやIT業界には今後も期待しています。
若干遅れているかもしれませんが、2013年ごろには上流工程から下流工程までを
を攻めていきたいです(笑)。
放送コンテンツの制作において、撮影したり、編集したりという上流工程に関しては、
それほどIT化されていないのが実情です。できあがったコンテンツを配信したり、蓄
ファイルベースに移行する計画です。
廣田
自然科学向けの
究極マシン
“ 地球シミュレータ ”
コンピュータは
自然科学から社会科学へ
21+10 イ ン タ ビ ュ ー # 1
未来
3 つの
ターニングポイント
1962 年、
コンピュータとの出会い
コンピュータに関わって約 50 年、3 つの大きなターニング
ポイントを経験しました。最初のターニングポイントは、真空管
私自身、
日本の草創期からコンピュータに関わりを持ち、
から半導体への移行です。これにより今日に至るまで、コンピュータ
常にコンピュータとはどうあるべきかを考え続け、行き着
の性能は飛躍的に向上しています。
いた先が 地球シミュレータ でした。地球シミュレータ
1962 年、卒業研究に入った研究室で、博士課程の
次に 1976 年、クレイのベクトルマシンが登場したことで、アーキ
は、より正確な気候予測や地球温暖化の影響評価、
先輩が開発した半導体素子コンピュータを使ったのが
テクチャが大きく変化し、科学計算が画期的に向上しました。 地震・津波などの防災減災、
産業界への利用分野
最初の出会いでした。このときには、あいうえお といった
さらにベクトルマシンをパラレル化した 地球シミュレータ
の拡大など、広範な分野を開拓しました。
母音をデータとしてコンピュータに取り込み、
周波数分析
の誕生です。
地球シミュレータは、
地球を 丸ごとシミュレー
などを行い、その音声にどのような特長があるかを
ション できる革命的なコンピュータです。これによ
研究するための音声分析プログラムの開発に取り
“ そろばん ” が
コンピュータの原点
今後は、実社会で採算を生み出すことができるフロンティア
としてのシミュレーション学を追求していく計画です。最高レベル
今後のコンピュータで重要となるのは、計算機能に加え
コミュニケーション 能力です。原点となるのは そろばん です。
そろばんには、計算の機能とコミュニケーション能力というコンピュータ
のもの作りと並行して、利用者が何を求めているのかを見極め、
本当に必要なものを提供することがシミュレーション学の最大
のテーマです。
重要になると考えました。
兵庫県立大学の大学院では、新たな研究科である 「シミュレーション学研究科」を 2011 年 4 月に開設
します。教員数 12 名の少数精鋭の研究科ですが、
教育・研究を行うことができるのがメリットです。
未来への道しるべ
としてのコンピュータ
みとしては、社会科学に目を向ける シミュレーション学 が
ます。比較的小さな研究科ですが、しがらみなく
組みました。
ラー HPC の時代へと大きく転換しました。そこで次の取り組
きめ細やかな人材育成をコンセプトとしてい
り未来を予測することが可能になりました。
いまや時代は、地球シミュレータの時代から超並列スカ
シミュレーションの
敷居を下げる
シミュレーション学を推進するには、誰でも簡単に操作
できるコンピュータが必要です。またシミュレーションの結果
を可視化するビジュアライゼーション技術も重要になります。
敷居を下げるという言い方は正しくないかもしれませんが、
今後のコンピュータで使いやすさは重要なポイントです。
日本 SGI は、我々が考えるシミュレーション学の領域
に必要なリソースを、オールラウンドに提供
してくれます。
一部には「 シミュレーション学 という学問は存在して
いない」という意見もあります。しかし無いからこそ、作り上
げていく意味があるのです。地球シミュレータ活用のような
分野は、最先端の研究者に追いつくだけでも大変な時間と
労力が必要です。その分野は、少数の最先端の研究者に
任せておけばいいのではないでしょうか。
若い研究者は、先輩研究者の顔色をうかがうこ
となく、自由に研究できる分野にこそやりがいが
あります。高校までは決められた体系化された学問
を学ぶことも重要です。しかし大学や大学院では既成
概念を取り払い、自分たちで何かを生み出すことを学んで
ほしいと思っています。
今後、グローバルな競争に勝ち抜いていくためにも創造的
な分野に若いエネルギーを費やしてほしい。学生のやる気
に必要な要素が含まれています。売り手と買い手がそろばんをはじき、
また、未来への道しるべとしてのコンピュータにも期待
コミュニケーションしながら商売を行う。これこそがコンピュータのある
しています。これまで、大ざっぱだった未来の予測を、
学では、未来を科学的に予測し、その予測を現実の中
より信頼性の高いものにして行くことがシミュレー
で生かし、夢を実現することを学びます。これこそ
べき姿です。
コンピュータは、人間を遙かに超えた計算能力を持っていますが、
ション学の目指すゴールでもあります。
思考する分野や芸術的表現などの分野ではまだまだ人間にかな
を引き出すには、夢や未来が必要です。シミュレーション
が本当のシミュレーション学なのです。
いません。社会の中で、人間の不得手とする部分を、人間の
一部として支援することがコンピュータの最も重要な役割
のひとつです。人間生活を豊かにすることもコン
ピュータの重要な役割だと信じています。
佐藤哲也
(さとう てつや)
兵庫県立大学教授
教育の未来
シミュレーション学研究科設置準備担当 工学博士
1963 年 3 月、京都大学工学部電子工学科卒業後、
京都大学理学部助手、東京大学理学部助教授、広島
大学教授などを歴任。1989 年 5 月に核融合科学
研究所教授 理論・シミュレーション研究センター長
に就任し、2001 年 12 月より海洋科学技術センター
地 球 シミュレ ー タにより、 自 然 科 学 の 分 野 にお けるシミュレ ー ションのあり方 を 極 めた 佐 藤 教 授 。 次 に目 指 す
分 野 が 社 会 科 学 におけるシミュレーションの 有 効 活 用です。 自然 科 学 から社 会 科 学 へ 、 兵 庫 県 立 大 学で 新 たな
研 究 テ ーマである「シミュレーション 学 」 の 創 生 に挑 む 佐 藤 教 授 が “ 教 育 の 未 来 ” について語ります。
地球シミュレータセンター長を経て現職。
核融合研究所及び総合研究大学院大学名誉教授。
1986年 12月に仁科記念賞、2003年 6月に Computerworld HHonors 21st Century Achievement Awards、
2004 年 3 月に東京クリエイション大賞、2005 年 7 月
にドーソン国際賞など、さまざまな受賞歴を持つ。
21+10 イ ン タ ビ ュ ー # 2
未来
可視化の未来
2 0 0 4 年 から 5 年 間 、 東 北 大 学 流 体 科 学 研 究 所 において、 S G I のスーパーコンピュータを中 核としたシステムを用いて
可視化手法を研究してきた藤代教授。現在は慶應義塾大学に移り、“ 見せない可視化 ” という、一見これまでの可視化とは
矛盾するコンセプトにより、新たな可視化の世界を提唱しています。その藤代教授が “ 可視化の未来 ” について語ります。
この 4 次元世界の振る舞いは、実験による観察や理論的
当時は「生意気な中学生がいる」ということで、テレビにも
解析によってかなりの部分まで理解できるようになってきました。
紹介されました(笑)。その後、高校 1 年生のときに「情報
しかし、本質を実感するには,コンピュータで計算した流れ
教育が必要である」というテーマで論文をまとめ、 当時の
を幾度も止めては、 さまざまな切り口や角度から目視してみる
通 産 省 が 主 催していた情 報 化 週 間 の 懸 賞 論 文 に応 募し、
必要があります。そこで、流体力学と情報科学の融合が重要
一般の部で第 1 席に選ばれました。
になります。
このころの経験は、 非常に大きかったと思います。 特に
人間には、どれだけコンピュータが進化しても追いつけない
中学のクラブ顧問が、身近な問題を通じて計算の本質を、また
特長があります。人間ならではの鋭敏な感覚や類推能力です。
コンピュータはこれからの世の中で不可欠になるという未来
しかし人間には、最初に見せられる可視化画像を一番良い
を教えてくれました。既に他界されていますが、その先生との
結果であると信じてしまう “ 刷り込み ” があるようです。
出会いが今の自分につながっていると日々実感しています。
また、 人間の目は長時間の観察で、 単純ながら重要な事
データビッグバンの到来
期待を超える可視化の世界へ
のデータを読むよりも遙かに対象を楽に理解させることがで
実を簡単に見過ごしてしまう弱点ももっています。スマートな
きます。言い換えれば、 可視化には一種のデータの圧縮効果
コンピュータ可視化システムによって、 特徴のよく現れた可
2006年、米国のNIH (National Institute of Health)と
が期待できるのです。各大学の研究者や SGI をはじめとする
視化が持続的に得られるように支援しなければ、 人間による
現状ではコンピュータが人間の知能を超えることはできま
NSF (National Science Foundation)は、2003年~2004年
IT ベンダーの技術者の継続的な努力によって、すでに成果も
本来の緻密な視覚解析に基づく科学的発見は期待できない
せん。しかし今後のコンピュータが、
より人間の知能に向かっ
の2年間に生産されたデータ量が、有史以来それまでに人類
上がりつつあります。
のです。
ていくことは間違いありません。特に可視化を研究している
が作り出した全文書のデータ量を超えたという調査結果を
事 実、 コンピュータの 能 力 向 上 や 低 価 格 化も相まって、
協調的可視化では、 こうした人間とコンピュータの “ いい
とコンピュータを通じて、人間というものを見つめ直している
発表しました。
可視化はエンドユーザ自ら行える身近な存在になってきまし
とこ取り ” により、流体をはじめとする複雑な物象の本質に
気がします。
また米国 NVAC (National Visualization and Analytics
た。これ自体は歓迎すべきことですが、一方で効果的な可視化
視覚的に迫ることを目指しています。
Center) の 試 算 で は、2010 年 の 年 間 総 デ ータ 生 産 量 が
を行わなければ、逆にムダなメディアデータを増やしてしまう
0.988 ゼタバイト(Zettabyte)に達するとも報告されています。
ことになります。つまり、現在の可視化システムは見せすぎ
ゼタは 2 の 70 乗で、ギガ、テラ、ペタ、エクサの次の補助
ることで、圧縮効果を半減させているとも言えるのです。
単位です。
これは主として、 インターネットの普及や高性能計算環境、
可視化の世界も、人間に置き換えると、まだまだ不可思議
なことがたくさんあります。たとえば “ 本城効果 ” と呼ばれる
出会いはコンピュータクラブ
写真は衝撃でした。写真の上下をぼかす工夫だけで、実際の
そこで現在、取り組んでいるのが「見せない可視化」です。
1973 年、中学入学と同時に所属した “ コンピュータクラ
こうした人間の視覚心理の仕組みは、まだ完全には解明さ
これは、 不要な部分を見えなくし、 本当に必要な部分だけ
ブ ” がコンピュータとの最 初の出 会 いでした。まだ 電 卓 が
れていません。今後の基礎研究によって解明される部分的な
センサーネットワークの利用拡大によるものです。日常的な
を見えやすくするという新しい可視化のコンセプトです。
数十万円する時代で中学校にコンピュータなどなく、企業の
知見でも、 その 1 つひとつを応用していくことで、必ず現在
事例を見ても、フェデックスでは 1 日に 1 億件、VISA では
竜安寺(京都府)の石庭は、庭に 15 個の石が置かれて
コンピュータを借りて、正規分布に基づく的当てゲームなど
の期待を超えるコンピュータ可視化の理想的な世界に到達で
1 億 5000 万件のトランザクションを処理していますし、1 日の
いるのですが、庭を望む廊下のどの位置から見ても、すべての
をプログラミングしていました。
きると思っています。
e メール件数は 35 億件に上ると言われています。
置き石が見渡せない設計になっています。逆に “ 隠す ” こと
しかしこれだけのデータを生み出しておきながら、それら
で、 どれだけ修行を積んでも、すべてを見渡すことはできない
をほとんど利活用できていないのが実情です。膨大なデータ
という禅の教えを説いているとも言われています。これ以上
の中に、重要な情報が埋もれているにも関わらず、なかなか
は考えられない「見せない可視化」のお手本です。
見つけ出すことができないのです。そこで “ 可視化 ” が重要
それでは、見せない可視化はどのように実現すればよいの
になります。
でしょう。その具体的手法が数理科学やデータ工学の知見
を利用した「協調的可視化」です。
“ 見せない可視化 ” が重要
人が視覚を介して受け取る情報量は、全感覚の 7 ~ 8 割を
“ 協調的 ” 可視化
占めるとも言われています。そこでデータビッグバンにより
鴨長明の『方丈記』ではありませんが、“ 流体 ” は時々刻々
人間の手に負えない状況になっている大量の数値データや
と変化していきます。時間とともに複雑に変化する 3 次元の
文字データを視覚的に表現し、直感に訴えることで、元のまま
流体は、「3D + t」の 4 次元の世界になります。
藤代一成
(ふじしろ いっせい)
慶應義塾大学 教授 理工学部情報工学科
1985 年、筑波大学 大学院工学研究科 修士号取得後、 東京大学理学部助手。その後、 筑波大学 電子・情報
工学系講師、お茶の水女子大学 理学部教授、東北大学 流体科学研究所教授などを歴任。理学博士(東京大学)。
可視化やコンピュータグラフィックス、バーチャルリアリティなどの分野を専門とする。
最新の共著書に『フルードインフォマティクス “ 流体力学 ” と “ 情報科学 ” の融合』(技報堂出版)がある。
風景をミニチュア模型のように写すことのできる撮影手法です。
2011 年 1 月発行 ⓒ 2011 SGI Japan, Ltd. All rights reserved. 掲載記事の無断転載、再配布を禁じます。SGIは、日本SGI株式会社の登録商標です。その他の会社名、製品名は、各社の商標または登録商標です。
〒 150-6031 東京都渋谷区恵比寿 4-20-3 恵比寿ガーデンプレイスタワー 31 階
み‐ らい【 未 来 】 ①〔 何 が起こるかは全 く想 像の域 を 出 ない〕
これから先の時。
「豊かな ―
を切り開 く・ ―
図 を 描 く・
を 先 取 り する・ ―
都 市」 現 在・過 去 ⇨ 将 来②〔 仏
―
永〈劫えいごう】
これから先、永 久(に)。【 ―
―
派】
一九 〇 九
―
+ 】 ① 二 十一世 紀の今、
10
の未 来を考えること。
② 日 本S G Iの機 関 誌。
これからの十 年を見 据えた人 類と地 球とコンピュータ
とぅえんてぃ‐わん‐ぷらす‐てん【
電 子 式 計 算 機が開 発・製 造された。
算 機 や 電 動 歯 車 式 計 算 機に代 わり、真 空 管 を 用いた
一九 四 〇 年 代 か ら一九 五 〇 年 代に掛 けてリレー 式 計
どの働 き が 有 り 、ラ ジオ・テ レビな どに 用い ら れる 。
の 電 極 を 封 入 し た も の 。整 流・検 波・増 幅・発 信 な
しん‐くう‐かん【 真 空 管 】 真 空のガラス管の中に二つ
(以上)
語 辞 典 第 四 版 より 引 用 )
や ダイナミックな 造 形 を 強 調 する。
(三省堂新明解国
年 イタリ アに起こった 芸 術 上の新 しい一派 。スピード
記 】未 来に起こる事を予 言した 書 物。【
ショウ)【
教で〕死 んでから 行 くといわれる世 界 。来 世 。後 生( ゴ
↔
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