授業のエキスパート養成事業(第1学年生活科)学習指導案

授業のエキスパート養成事業(第1学年生活科)学習指導案
学 校 名
伊予市立北山崎小学校
職・氏名
教諭・藤谷 素三子
1
日時・場所
平成24年7月5日(木)第5校時(13:45∼14:30)・砂場周辺
2
単元名
なつだ
3
単元目標
いっしょに
あそぼうよ
○
夏の自然に触れながら、遊びを楽しもうとする。
○
夏の自然を感じ、工夫しながら遊ぶ。
○
季節によって自分たちの遊びや生活が変わってきたことや、身近な自然を利用して遊ぶ楽しさに気
付く。
4
【関心・意欲・態度】
【思考・表現】
【気付き】
単元設定の理由
(1) 児童の姿
本校の児童は、表現することに課題が見られる。1年生は、入学当初、自分の思うことをうまく表
現できなかったり教師や友達の話を聞くことが難しかったりしたこともあったが、教師や友達との間
に安心して話すことができる雰囲気や関係ができると、次第に自分の思いや考えを伝えられるように
なってきた。心が動く体験をしたときに、それを教師や友達に伝えようしたり、また、言葉だけで表
すことが難しいときには、身体表現などを交えて精一杯伝えようとしたりすることができる児童たち
である。
そこで、生活科の学習では、児童の伝えたい思いが膨らむような活動や体験を保障し、見付けたこ
とや感じたこと、体験したことを話し合う場を数多く設定するようにした。学校探検で、各教室で見
付けたことや仲良くなった教師や友達のことを紹介し合う場では、探検時の写真や探検メモをテレビ
に映しながら話し合い、「次は、∼に探検に行きたいな。」と次の学習への見通しをもった。アサガ
オの栽培では、本葉を観察した児童が、「大きな葉っぱは、きつねみたいな形をしているよ。」と発
表すると、友達がその葉を見るために集まり、「ぼくの葉っぱも同じ形をしているよ。」「私の葉っぱ
は、ひよこが二匹くっついた形だよ。」などと伝え合いながら、アサガオに対する気付きの質を高め
ていく姿が見られた。
(2) 本単元の意義
本単元は、夏の校庭や公園に出かけ、夏の自然を生かして遊ぶ中で、身近な自然に触れ、遊びを工
夫する楽しさを味わうことをねらっている。それらの活動を通して、遊びの面白さや自然の不思議さ
に気付き、みんなで遊びを楽しんでほしいと考える。
夏は、太陽、雨、水、土、砂、草花などの身近な自然とダイナミックに触れ合うことのできる躍動
的な季節である。児童は、梅雨の時期には、降りしきる雨を眺めながら、外遊びへの期待を高め、雨
が続いた後の晴れ間には、外に飛び出し遊び始める。夏の自然の中で遊ぶ活動は、土や砂、水の感触
を体全体で楽しむなど、遊びに浸り、遊び自体の面白さを味わうことにつながる。
そして、遊んで楽しかったという思いから、児童たちは更に楽しい遊びを考えたり、つくった物で
遊びを広げたりしようとするだろう。そこには、友達と関わり合う場が生まれ、友達の活動に刺激を
受けたり、友達の思いに気付いたりしながら、友達と一緒に遊ぶ楽しさを感じることができると考え
る。また、友達同士で力を合わせたり競い合ったりすると、遊びが一層楽しくなることにも気付くだ
ろう。
(3) 指導に当たって
本単元では、児童の日常生活のつぶやきや気付きを取り上げながら徐々に単元に入っていくととも
に、単元開始の時期に図画工作科の「すなやつちとなかよし」とも関連を図りながら、生活科の時間
や休み時間の遊びが連続するように、活動を柔軟に展開していきたい。
まず、夏の自然に関するつぶやきや遊びに関する発言を意図的に取り上げて話題にしたり、教師も
一緒になって遊びを楽しんだりして、児童の気付きから活動が広げられるようにしたい。そして、児
童一人一人の思いを活動につなげていくことができるように、遊びにたっぷりと浸ることのできる時
空間を保障する。また、生活科の時間に加えて、休み時間にも続けて活動できるように、遊びのコー
ナーを常設する。さらに、自教室から近い場所にある砂場や土山、その周辺を遊び場として保障し、
近くに廃材コーナー・道具コーナーを設け、必要に応じて使うことができるように支援していきたい。
遊びの活動中は、友達と話したりアイデアを出し合ったりするなど、友達との関わりの中で遊びが
展開されるように、似通った遊びを近い場所で行えるように設定したり、遊びに使う用具の数を増減
したりする。また、活動を紹介し合う意図的な情報交換の場を必要に応じて設定する。そうすること
で、友達の活動の様子を知り、更に遊びを工夫したり友達の活動と結び付けたりするきっかけづくり
になるようにし、みんなで一緒に遊ぶ楽しさを味わわせたい。
単元を通して、教師も遊びの参加者となり、児童の活動や会話、つぶやきを見取っていく。一つの
遊びにこだわり続けたり、いろいろな遊びに挑戦したりするなどの多様な自己表出を認めながら、そ
の中にある児童の気付きを次の活動へとつなげ、広げさせるようにしたい。そして、児童が遊びを通
して、自分の思いや願いを実現し、意欲と自信をもって毎日の生活を送ることができるよう学習を展
開したいと考える。
5
単元構想
全14時間(6月下旬∼7月中旬)
学習活動
(時数)
○主な指導
●他教科との関連
児 童 の 意 識 の 流 れ
また、雨が
運動場に雨
お日様が暑
降ってきたね。
が流れて、川
いよ。冷たい
外で遊べない
ができている
お茶がおいし
日常生活での児童のつ
な。
よ。すごいな。
いな。
ぶやきや気付きを大切
○
朝の会、休み時間等
にして、意図的に取り
ぼくも、カ
上げることで、季節の
水が冷たく
アサガオの
タツムリを見
花が咲いたよ。
て気持ちいい
付けたいな。
うれしいな。
な。
変化に対する興味や関
心が高まっていくよう
にする。
外で、遊びたいな。公園にも行ってみたいな。
1
みんなで、遊ぼう。
夏の自然の
●
中で遊びを見
図「すなやつちとな
かよし」
付けて遊ぶ。
(5)
田植えをし
ヤマモモが
大きな木の
○
草花、樹木、虫など
ていて、きれ
なっているよ。
下は、涼しい
を探したり見付けたり
いだね。
食べてみよう。
ね。
しながら、体全体で、
夏を感じ取らせる。
砂場で山や
川を作ろう。
泥団子を作
りたいな。
水鉄砲を作
花や葉っぱ
って、遊びた
で色水ができ
遊び等自然を利用した
いな。
るよ。
遊びを楽しむ時間を十
アサガオに
を集めたいな。
紙を敷いてた
ルに穴を開け
ペットボト
たくと、花の
たら、シャワ
ルがロケット
ーができたよ。
になるよ。
泡クリーム
浮かぶ船を
を作りたいな。
作りたいな。
影踏み・草花・砂場
分に取り、楽しさを実
不思議な砂
ペットボト
○
感させる。
○
形がうつるよ。
土・砂の堀り方やプ
ラスチック容器の穴の
シャボン玉
開け方、シャボン液の
を飛ばしたい
吹き方等、安全面に留
な。
意が必要なことは、事
前指導を行う。
○
教師も遊びの参加者
として、児童とともに
もっと、遊びたいな。
2
遊びを楽しむ。対話的
友達と一緒
に関わりながら、共感
に工夫しなが
することで、児童の気
ら遊ぶ。(8)
※本時その6
持ちや工夫を見取る。
もっと、楽しくしよう。
トンネルを
大きなシャ
いろいろな
作ろう。水を
ボン玉を作り
花で色水を作
流すと、固ま
たいな。スト
りたいな。葉
るから、くず
ローを換えて
っぱでもやっ
れにくいよ。
みようかな。
てみよう。
水をどんど
本で調べて
いろいろな
ん流そう。川
みよう。砂糖
色が出て、き
が広がって面
水を入れると、
れいだな。並
白いな。とい
割れにくいと
べて、お店屋
を使って流そ
書いてあった
さんにしよう。
う。
よ。
山の中にも
ハンガーに
水を流したい
毛糸を巻いて、
な。パイプを
枠を作ろう。
○
経験が想起できるよう
な言葉掛けをしたり、
いろいろな遊びをイメ
ージできる図鑑や本を
用意したりしておく。
○
材、用具のコーナーを
置き、必要に応じて使
えるようにする。また、
色水で絵を
友達とアイデアを出し
かこう。お客
合いながら遊びをつく
さんも一緒に、
り出すことができるよ
絵がかけるよ。
う、遊びに必要な道具
等は児童の活動の様子
に合わせて増減する。
絵を乾かそ
他の物でも、
う。絵が並ん
よ。何か浮か
できるかな。
で、きれいだ
べて遊びたい
やってみよう。
な。
○
への満足感を味わわせ
る。失敗しながら工夫
いろいろな遊びができたよ。
したり考えたりする経
みんなで遊ぶと、楽しいね。
験を大切にすること
遊びの思い
出を振り返る。
遊び込むことのでき
る時間を保障し、活動
なあ。
3
児童の思いが実現で
きるような材料や廃
通そうよ。
池ができた
幼稚園・保育所での
で、気付きを促してい
く。
聞いて、聞いて、楽しかったよ。
(1)
○
みんなで活動を振り
返る場を設定し、自分
○○君と一
いろいろな
いろいろな
が楽しかったことや友
緒に長い川を
シャボン玉が
色水を作った
達と仲良く遊んだこと
作ったよ。水
できたよ。と
よ。家の花で
を、自覚できるように
のトンネルも
ってもきれい
も、やってみ
支援する。
うまくできて、
にできたよ。
たいな。
滝になったよ。
○
これから始まる夏休
みの生活や遊びを工夫
し、楽しく過ごそうと
する意欲を高める。
みんなと遊んで、楽しかったね。
夏休みも、いっぱい遊びたいな。
友達を誘って、一緒に遊びたいな。
6
本時の指導
(1) 目
○
標
土、砂、水などを使った遊びを工夫したり、友達と楽しみながら遊んだりする。
(2) 言語活動充実の視点
導入の場面で、前時の活動を友達と紹介し合う。学習の始めに意図的な情報交換の場をもつことで、
遊びを工夫したり友達の活動と結び付けたりするきっかけにし、本時の活動への思いを膨らませるこ
とができるようにする。
友達と一緒に遊ぶ場面で、遊びを面白くするためにアイデアを出し合い、話したり相談したりしな
がら楽しく遊ぶことができるように支援する。意見が食い違った場合は、関わり合う力を育てる機会
と捉え、児童同士が思いを伝え合いながら解決できるように支援する。
(3) 準備物
身近な材料、必要な用具等
(4) 展
開
学習活動
1
前時の遊びを
児童の意識の流れ
○主な指導
こんなことをして、遊んでいるよ。
○
紹介し合う。
午前中の遊びの様子
を紹介したり聞き合っ
たりすることにより、
山にトンネ
ルを作った
よ。今から、
水を流すよ。
2
工夫しながら
シャボン玉
の液ができた
よ。大きいの
ができるかな。
色水を作っ
たよ。色水を
使って、絵を
かくよ。
更に遊びを工夫したり
友達の活動と結びつけ
たりするきっかけとな
るようにする。
○
さあ、遊ぼう。
遊ぶ。
前時までの活動の様
子から、本時に必要と
といを使っ
て、水を流そ
うよ。
トンネルか
ら落ちた水が
滝みたいだね。
続きの川を
作ろうよ。
ト ン ネル も
増やそう。
大き なシャ
ボン 玉を作 る
よ。 そっと 吹
いて みよう 。
もっと大き
なシャボン玉
を作りたいな。
ハンガーでや
ってみよう。
穴のある物
ならできるか
な。
きれ いな色
水ができたよ。
並べ て、飾 り
たいな。
なりそうな身近な材料
や用具を用意してお
く。
○
会話を楽しみながら、
思いや工夫を見取り、
紙に染みこ
一人一人に応じた支援
ませると、模
様ができたよ。
児童と一緒に遊びや
をする。
○
自分のしたい遊びが
決まらない児童には、
干して乾か
友達との関わりを通し
そうよ。一緒
て思いを引き出してい
にしよう。
くようにする。
○
友達と協力したりい
合ったりする中で更に
遊びを発展できること
3
本時の活動を
振り返りながら
片付ける。
楽しかった
ね。また、面
白い形の川を
作ろうね。
大きくでき
るシャボン液
は、大切に置
いておこうね。
色水の絵が
並んできれい
だな。うれし
いな。
に気付かせていく。
○
次時への期待が膨ら
むような言葉掛けをす
る。
(5)
評価の視点(小単元を含む)
学習活動
□
夏の自然に触
れながら、遊び
を楽しむ。
○
7
(1)
活動や体験についての
身近な環境や自分自身に
関心・意欲・態度
思考・表現
ついての気付き
夏の自然に関心をも
ち、自分のしたい遊び
に意欲的に取り組もう
としている。
土・砂、水、草花等
に触れながら、自分の
やってみたい遊びに取
り組んでいる。
・
自分の活動に必要な
物を準備したり、見付
けてきたりしている。
・
自分のしたい遊びに
夢中になっている。
・
自分がしたい遊びの
イメージを膨らませな
がら活動している。
・
・評価の視点
生活への
・
・
○評価規準
自分がしたい遊びを
教師や友達に話しなが
ら、活動している。
うまくいかなくても
何度も挑戦しようとし
ている。
・
できるようになった
ことを友達や教師に見
てもらおうと働き掛け
ている。
・
みんなで楽しく遊ぶ
ために、道具や用具の
準備、片付け、整理整
頓をしている。
○
夏の自然を感じなが
ら、遊びを工夫してい
る。
○
夏の自然を生かした
遊びの楽しさに気付い
ている。
・
自分が遊びたいこと
を思い浮かべ、遊び方
を考えながら活動して
いる。
・
土・砂、水、草花等
を生かして生み出す遊
びの楽しさに気付いて
いる。
・
自分で新たに考えた
工夫を加えたり、友達
の工夫を取り入れたり
している。
・
土・砂、水、草花等
に触れながら、自然の
不思議さに気付いてい
る。
・
より楽しくなるよう
に、遊びのルールを考
え、遊びをつくり出し
ている。
・
・
どんな遊びができる
か考えている。
何度も遊びに挑戦す
ることで、遊びが楽し
くなったりいろいろな
アイデアが生まれたり
することに気付いてい
る。
・
・
遊びながら遊びのこ
つを見付けている。
暑い夏でも、遊び方
を考えれば、楽しく遊
べることに気付いてい
る。
・
友達と互いの思いが
ずれたときに、話をし
ながら、解決しようと
している。
・
ルールや遊び方を工
夫したり、遊びをつく
り出したりする面白さ
に気付いている。
授業評価の視点
授業構成力
本時の導入部分に設定した「前時の活動を紹介し合う」情報交換の場は、児童一人一人が本時の活
動への思いを膨らませるきっかけになっていたか。
(2)
授業実践力
遊びの中で見せる児童の表情やつぶやき、発言などから、教師が児童の思いや願い、思考や気付き
を見取り、適切な指導ができていたか。