平成22年度 No.2 食肉衛生検査所 フィードバック担当 林原 健吉 新年明けましておめでとうございます。 今回のフィードバック通信では、特に増加傾向を示した疾病(非定型抗酸菌病、豚回虫病) について説明します。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 非定型抗酸菌病(ミコバクテリウム症:フィードバックデータ内ではミコ症) 非定型抗酸菌(ミコバクテリウム属菌)の感染 によって発症します。 オガクズ使用により、感染豚の糞便が重要な汚 染源となります。 病変は主に腸間膜リンパ節に限局する事が多 く、米粒大から小豆大のチーズ様の乾酪結節を形 成します。(赤点線内、白色部分) ほとんどの症例は臨床症状を示さないが、まれ に全身性の感染から発育不全を示します。 豚回虫病(肝白斑症:フィードバックデータ内では寄生肝) 豚回虫病(肝白斑症:寄生肝) 豚回虫 豚回虫の幼虫寄生により、肝臓が白濁、線維化し、成虫の小腸内寄生に伴う消化器障 害を主徴とします。幼虫の体内移行に基づく呼吸器障害も起こします。 オガクズを持続的に使用した場合、成熟卵が集積し、オガクズの摂取により感染しま す。 発症状況について 非定型抗酸菌病の発症状況ですが、夏場に多く発症し、秋から冬にかけて減少してい きました。農場数では、秋までに 10 農場で発症を認めましたが、冬には 5 農場と半減し ました。 豚回虫病については多くの農場で認められ、11月には農場全体の3分の2に上りま した。平均すると全体の半数の農場で発症が認められることから、豚回虫の汚染が広が っていると思われます。 予防対策について 非定型抗酸菌病も豚回虫病もオガクズが重要な感染源です。平成22年の夏場から秋 にかけて、非定型抗酸菌病や豚回虫病が多く認められた生産者の中で、対策を試み、格 段に発生が減少した生産者の方がいます。どの様な対策を試みたのか聞いてみたところ、 オガクズの管理をしっかりされたとのことでした。 駆虫薬投与も大切ですが、オガクズの交換頻度を多くすることや、発酵熱により病原 菌や虫卵を減少させ、石灰散布で封じ込めすることも有効でしょう。非定型抗酸菌病は、 購入したオガクズ自体が汚染している場合もありますので、思い切って仕入れ先を変え ることも必要であると思われます。発生している生産者の方で、お困りのところは、一 度オガクズの管理について確認してみてはいかがでしょうか。 2 疾病とも撲滅は難しいと思いますが、疾病をなくすためにも皆様のご協力が必要で す。一緒に頑張りましょう。 安全な食肉のために 今回は当所で特に増加傾向を示した疾病を 2 例挙げました。2 例とも現在は減少傾 向ですが、これからも注意すべき疾病であると考えています。 フィードバックデータを見て、これらの疾病の多い生産者の方は家畜保健衛生所に 御相談され、疾病の防除対策を取って頂き、消費者により安全・安心な食肉を提供で きれば幸いです。 年末年始大雪による被害はどうだったでしょうか、心配です。お身体にはくれぐれ もお気をつけ下さい。 本年もよろしくお願いします。 鳥取県食肉衛生検査所への連絡は・・・ 食肉衛生検査所 フィードバック事業担当 林原 健吉 〒689-3203 西伯郡大山町小竹1291-7 電話 0859-54-2531 ファクシミリ 0859-54-4814
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