O P E R AT I O N A L U S E A N D SERVICE SOLUTIONS Vetronix 中型/大型商用車向け 診断テスト (ETASグループ) Bernard J. Carr CARBが中型/大型車用アプリケーション用の 規制を定め承認 乗用車と軽トラックにオンボード監視/診断システムを導入する規制が1996年に実施されたのに続き、同様なシステ ムの導入が大型トラックにも義務付けられるのは時間の問題でしたので、大型車の排ガスが行政規制案の照準になっ たのも当然の成り行きです。2005年、カリフォルニア大気資源委員会(California Air Resources Board、 CARB)は、車両総重量等級(GVWR)が14,000ポンド(6.35トン)を超える車両のオンボード診断システム機 能についての規制を定め、承認しました。 T itle 13, California Code of Regulations, Section 1971.1, Heavy-duty(HD) OBDとして知られる規制が2005年 7月にCARBにより承認されました。この HD OBD規制は自動車運転中にコンポーネ ントをオンボード監視するための機能の拡 ほぼ同じパワープラントを一まとめにしたも 張や、HD OBDシステムに接続して運転 データを取得できる外部テスト装置のサポー の)にHD OBD機能を搭載するようエンジ ンメーカーに要請しています。ただし、この 通信プロトコルの特長 トについて規定するものです。この規制は、 エンジンファミリと期限の規定には重要な • ISO 15765-4―ガソリンエンジン すべてのクラスのオンロードトラックに搭載 例外が1つあります。外部テスト装置との通 とディーゼルエンジンについて使用 されている中型および大型車用のガソリン 信を標準化するという要件については2010 エンジンとディーゼルエンジンを特に対象と モデルイヤーの対応は見送られることにな しています。 りました。 全体的なスケジュールにはフェーズイン(段 たいていの場合、この見直しにより既存機 階的導入)計画が含まれています。この計 能の定義修正や新機能の導入が必要になり 画では、2010モデルイヤーを期限として、 ます。業界のエキスパートが規制要件適合 各社1つのエンジンファミリ(同じエンジン に必要な新技術を開発し続けているためで デザインをベースとする、馬力とトルク比が す。 しかし、2013モデルイヤーでは、すべての 大型車にHD OBDを搭載し、外部テスト装 置と標準的な通信(物理層、データリンク 層、通信プロトコル、診断メッセージなど) を行えるようにする必要があります。 CARBでは、エンジンメーカーと技術の進 歩がHD OBD要件に確実に対応していける ように、2年毎に規制を見直します。 36 RT J2. 2006 可能 • SAE J1939―ディーゼルエンジン のみについて使用可能 O P E R AT I O N A L U S E A N D SERVICE SOLUTIONS SAE J1979/ISO 15031-5 E/E Diagnostic Test Modes に加えられる 可能性のある変更 新要件 説明 1 モード/サービス$0A ■ 外部テスト装置がHD OBD ECUからパーマネントフォールト コード情報を取得可能とします。 ■ 既存モード/サービス$03を模範とされる可能性があります。 ■ 追加のステータスバイトが定義される可能性があります。 ■ これは、ディーゼルエンジンの排ガス規制がガソリンエンジン についてすでに定義されているものとはかなり異なるために要 求されています。 ■ 外部テスト装置用に既存PIDの$01ビットおよび$41ビットを ガソリンかディーゼルのReadiness Monitorラベルにマッピ ングし直すために、Fuel Type PIDが使用される可能性があり ます。 ■ ディーゼルエンジンサブシステム技術に適用される診断デー タパラメータを外部テスト装置に表示できるようにする必要 があります。 ■ 長いリストになる可能性があります。 ■ ディーゼルエンジンサブシステム技術に適用される診断トラ ブルコードを外部テスト装置に表示できるようにする必要が あります。 ■ 長いリストになる可能性があります。 ■ ディーゼルエンジンサブシステム技術に適用される使用過程 車の運転時性能追跡データを記述しているデータエレメント を外部テスト装置に表示できるようにする必要があります。 ―パーマネントフォールトコード 2 ディーゼルエンジン用 Readiness Monitorラベル 3 ディーゼルエンジン用の 追加のPID ガソリンエンジンの機能 このHD OBDガソリンエンジン規制案の内 容 は、乗 用 車 / 小 型 トラック用 の既 存 の CARB 規 制 の規 定 とほぼ同 じで、直 径 0.150インチ径の漏れを検知できる車両エ 4 ディーゼルエンジン用の 追加のDTC バポレーティブシステム監視が求められま す。 HD OBD対応ガソリンエンジン用ECUは、 2010モデルイヤーまでに、パーマネント 5 ディーゼルエンジン用の追加の 使用過程車性能追跡エレメント フォールトファンクションに対応することが 求められます。ここで「パーマネント(恒久 的) 」という語が用いられているのは、外部 テスト装置(スキャンツールなど)やECU 注目すべきは、2013年にすべてのガソリン 電力損失によりECUメモリ内のDTCがクリ アされることが絶対にないからです。ECU エンジンがHD OBD適合を義務づけられる のに先駆け、2007∼2012モデルイヤーに HD OBD対応ディーゼルエンジン用 ECU は、2010モデルイヤーまでにパーマネント フォールトファンクションに対応しなければ とテスタの通信のために定められている通 対し、すべてのガソリンエンジンが最低で なりません。ECUとテスタの通信について 信プロトコルはISO 15765-4“Diagnos- も“Title 13, California Code of Regu- 定める通信プロトコルは、ISO 15765-4ま tics on Controller Area Networks (CAN)”として規定されています。 lations, Section 1971, Engine Manufacturer Diagnostics (EMD)”に適合しな ➔ たはSAE J1939として規定されています。 ■ ければならないことです。 ディーゼルエンジンの機能性 このディーゼルエンジン規制案には、オン ボードECU は一時的なセンサやアクチュ エータの異常や性能上の異常を検出できな ければならないと規定されていますが、ヘ ビーデューティーエンジン製造者にとって は、実装の複雑な未知な要件を含んでいま す。 37 J 2 0 0 6 .2 RT O P E R AT I O N A L U S E A N D SERVICE SOLUTIONS 統合プロトタイピング環境 運転サイクルごとに1回稼働するモニタと連 続的に稼働するモニタとが用いられる点は、 乗用車や小型トラックの場合と同じですが、 HD OBDの場合は、車を4時間連続運転し た後、運転サイクルごとに1回稼働するモニ タの動作を再度有効にし直さなければなら ないという新しい要件があります。大型ト ラックのエンジンを1日中動かし続けるのは よくあることとはいえ、その長時間の運転 には疑似的連続運転、休憩時の路上停車、 新しいサブシステム技術をディーゼルエン 長いアイドル時間などが含まれているので、 ジンに適用するために、新しいパラメータ この要件が必要になりました。 識別子(PID)がいくつか定義される予定で 注目に値するのは、ガソリンエンジンと同 す。DPF(ディーゼル・パティキュレート・ じスケジュールに厳密に従い、2013年にす フィルター)に関するPID案は、たとえば以 べてのディーゼルエンジンにHD OBD適合 が義務づけられるのに先駆け、 2007 ∼ 下のとおりです。 2012モデルイヤーに対し、すべてのディー • Diesel Particulate Filter Bank 1 Delta Pressure, • Diesel Particulate Filter Bank 1 Inlet Pressure, • Diesel Particulate Filter Bank 1 Outlet Pressure, • Diesel Particulate Filter Bank 2 Delta Pressure, • Diesel Particulate Filter Bank 2 Inlet Pressure, and • Diesel Particulate Filter Bank 2 Outlet Pressure. ゼルエンジンが最低でも“Title 13, Cali- fornia Code of Regulations, Section 1971, Engine Manufacturer Diagnostics (EMD)”に適合しなければならないこ とです。 業界文書 HD OBDに要求されるモード、サービス、 “Title 13, California Code of スキャンツールにより使用されるモードと Regulations, Section 1971.1, Heavy-duty (HD) OBD”は大型 サ ー ビ ス を 定 義 す る SAE J1979/ ISO 15031-5という統一文書に適切な更新が必 ディーゼル車用電子制御ユニットの 要になる可能性が極めて高く、前ページの 抜本的な機能変更を要求しています。 新しい技術が登場すればその監視も必要に 表に示すような内容の変更が行われる可能 なるため、調査およびメンテナンスのレディ 性があります。 かつてECU Ottoには工場固有の診 断ルーチンをサポートしながらエン ネスデータビットが新たに必要になります。 さらに、データエレメントの運転時性能追 跡リストも、ディーゼルエンジン固有の項 目がレコードに追加されることにより拡張 されます。 ジンの機能動作を保証することが要 SAEの“Truck and Bus Command and Control”委員会が新しい推奨プラクティ ス“J1939-03 On-Board Diagnostics Implementation Guide”を作成している ことは注目に値します。この文書の目的は、 J1939規格文書を用いて大型車(HDV)に オンボード診断(OBD)を導入するための ガイドラインを示すことです。 この文書では、現在世界中で策定され発展 を続けている以下の規制にOEMエンジン メーカーが対応するのを支援することに重 点を置いています。 “State of California Air Resources Board (ARB) Title 13, CCR 1971.1, United States Environmental Protection Agency; European Commission directives Euro IV and V; UN/ECE WP 29 GRPE WWH OBD Global Technical Regulation (GTR)” 38 RT J2. 2006 まとめ およびデータ定義を追加するために、汎用 求されましたが、これからのディー ゼルエンジンにはHD OBDにより一 様に標準化された診断機能が導入さ れようとしています。
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