昭和63年度厚生省心身障害研究 「マススクリーニングに関する研究」 PKUおよび高フ舌二一ルアラ千ン血症患児家系の ハプロタイプに関する研究 (分担研究:マススクリーニングに関する研究) ベホ 芳野 信、西依 ‘.* * 淳、山下文雄、 F.K、Trefz ** 要約 PKU10家系、高フェニールアラニン血症2家系の患児、両親、同胞計43名につきフェ ニールアラニン水酸化酵素遺伝子のハプロタイプを検討し以下の結果を得た。1)全被検者を 通じハプロタイプ4が最も多く認められた。また、白人種では未記載のハプロタイプ51が3家 系にみとめられた。2)正常、変異フェニールアラニン水酸化酵素遺伝子をもつ染色体のいづ れも特定のハプロタイプとの連鎖不平衡は認めなかった。3)完全にinformativeな家系は1 家系のみであった。4)高フェニールアラニン血症患者は2名ともハプロタイプ7を伴っていた。 見出し語:PKU、高フェニールアラニン血症、ハプ・タィプ 研究方法 された(図1)。これらのハプロタイプのR P K U患児15名およびその同胞2名、高フ FLPパターンは表1に示す通りであ多。こ ェニールアラニン血症患児2名、およびその のうち、患児の両親につき正常および変異フ 両親24名、計43名の末梢血白血球よりD N A ェニールアラニン水酸化酵素をもつ染色体別 を抽出、既報1)のようにfuH l㎝gth h皿man にハプロタイプを分類したところ(表2)、 phenylahnine hydroxylase cDNAをプロー 上記4種のハプロタイプの分布はいずれも正 ブとしてサザンブロットにてrestriction 常、変異両群間に明らかな偏りは認めなかっ fragment 1㎝gth polymorphism(RFL P) を同定した。 た。 これらのハプロタイプのうち、4が79.2 彫ともっとも高頻度に認められた。また、白 結果 人種では頻度の高い1、一2、3は検出されな 全被検者を通じ4種のハプロタイプが検出 かったが、白人種では未記載のハプロタイプ *久留米大学医学部小児科学教室(Department of Pediatrics and Child Health,Kufume Un玉versi重y School of Medicine) **Universi t翫s−Kinderklin三k Heidelberg 一32一 HAPLOTYPES OF PKU AND HYPERPHENYLALANINEMIC AND THE IR FAMILY MEMBERS 2 HAR 1 ARA 418 - 4/4 3 YOS il,L 1_4/4 4/ l i/ (r Z) i/i i/ l 4 END 5 FUJ -,,;- 4/7 Z/l i/l 7 oo i/4 i/ L 4/5_1 6 YAM l4-/4 7/7 PAT I ENTS 4/ l i/ l il8 i/ L / l 9 SAK(1) 8 MIV I :/l -Ti/4 [] 4/4 - 4/51 i/l 4/4 - I;4-/4 il,.:_418 Closed symbols phenotypes ll t U f"._ /4 4/4 4/4 i nd i cate i/i 12 MOT(2) T NAG 4/4 4/4 7" /4 i/i / l lO MOT(t) i/4 i/ 4 /i i nd i v i dua I s with PKU or hyperDheny I a I an i nem i c : )' 7'1:: 7 4 7' * : i 4END , 7 ODC :7*;-) 77 )/Inl ii -3 - i(2){t S PKU 表1検出されたハプロタイプのRFLPパターン reStriCtiOn enZymeS Haplotypes Bg岨 E‘o RI E‘oRV 凹π4皿 幡ρ1 伽H& P捌豆b X甥錫1 9.4 1L5 6.5 11、5 19.0 7.9 19.0 6.5 表2 両親のハプロタイプの分布 23.0 11.5 6.0 25.0 11.5 6.0 6.5 30。0 23.0 23,0 6.0 6.5 3.6 0 022 生44生 4.9 25.0 2.7 L7 6.5 3.6 4 178 5 11.2 B㎝HI parental chromosQ皿es(N=48) 8330 tota1 0013 4 178 5 haplotypes norma1 mutant 2 1 24 24 total(紛 38(79.2) 3(6.3) 4(8.3) 3(6.3) 48(100) 51が検出された。高フェニールアラニン血症 イプのみのちがいによるのか、フェニールア の家系(図1、家系4 E N D、家系70D) ラニン水酸化酵素遺伝子の変異の差異を反映 ではいづれもハプロタイプ7が検出された。 しているのかは、さらに検討の余地がある。 完全にinformativeなのは1家系(図1、 家系6 Y AM)のみであった。 完全16nformativeな家系は12家系中、 1家系(6YAM)のみであり、ハプロタイ プのみに基づく出生前診断の可能性は欧米で 考察 の診断可能確率1)よりも低い可能性がある。 今回検討した家系ではハプロタイプ4が両 また、高フェニールアラニン血症2名でハ 親の染色体の79.2%と高頻度に検出された。 プロタイプ7が認められた(なお両家系は検 半面、白人種で多い12intronのsplicing mutation⇒や12exonの変異㊥との関連がし 索できる範囲では血縁関係は証明できなかっ られているハプロタイプ34)、24)は認められ ン血症の関連の有無は個体数が不十分である なかった。これらのちがいが人種差にもとづ ため判断できないが、両者が2家系でともに く本質約差異なのか、それとも検討個体数が 認められたことは興味ある点である・フェニ 少ないためなのかは不明である。また従来白 ールアラニン耐容量が類似した、より多数の 人種では記載されていないハプロタィプ51が 日本人患児のハプロタイプの検討が必要であ 認められた。これらの差異が、単にハプロタ ろう。 た)。ハプロタイプ7と高フェニールアラニ 一34一 白人種ではハプロタイプ1および4と、軽 phenylalanine hydroxylase locus an〔i 症の病型との関連5)が指摘されているが、わ c l i n i ca l p henotype s of p hen yl ke tonur i敢. れわれのPKU患児ではハプロタイプ4/4 」. Pediatr, 110:68−71, 1987. の同種接合体の患児でも、その他のハプロタ 6)L三chter−Konecki,U.et al.:Linkage イプの患児とくらべ、特に軽症である(フェ disequi l l ibrium between mutation and ニールアラニン耐容量が高い)傾向は認めな RFLP haplotype at theph㎝yla】anine かった。逆に軽症例(高フェニールアラニン hydroxylase locus in the German po− 血症)の2例ではハプロタイプ7が認められ pulation.Hum.Gen.78=347」352, た。ハプロタイプ7は、白人種では正常遺伝 1988. 子と連鎖している6)と言われている。これら の差異も単に人種差で説明可能か否かさらに 検討の余地がある。 文献 1)Woo,S.L.C et al.:Cloned human phenylalanine hydroxylase gene allσws p renatal diagn os i s and carr ier detec− tion of classical phenylketonuria. Nature,306:151−155,1983. 2)DiLella,A。G,et al.:Tight linkage between a splicing muaちion and a 呂pecif ic DNA haplotypG in phenyl− ketonuria。Nature,322:799−803,1986. 3)DiLella,AG.et aL:Anam玉no−acid substitut ion involved in phenylketo− nuria is in hnkage、disequillibrium with DNA haplotype2.Nature,327: 333−336, 1987. 4)Chakraborty,R.et a1,: PolymDrphic DNA haplotypes at the human phe− nyla lanine hydrox yl ase l ocus and the ir relationship with phenylketonuria. Hum.Gen.76;40−46,1987. 5)Guttler,F.et a1,:Correlation bet− ween pDlymorphic DNA haplotypes at 〉 一35一
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