l

添削問題 AⅠ
棒の微小振動【解答】
Ⅰ(1) この棒 AB の慣性モーメント I は,
l
1
M 2
M 
I
x dx   x 3   M l 2
0 l
 3l
0 3

l
S


 
図a
であり,棒 AB の回転運動方程式は(図a参照)
,
I
d 2
 l  S sin(   ) ≒ lS (   )
dt 2
l
a
(2) ここで, l sin   a sin  より, l ≒a   ≒ 
ゆえに,運動方程式は,
Ml 2 d 2
Sl (a  l )
 l 
 2 ≒ Sl 1    

3 dt
a
 a
∴
d 2
3S (a  l )
≒

2
Mal
dt
これは単振動を表す。したがって,この単振動の周期 T は,角振動数  
より,
T
2

 2
1
Mal
3S (a  l )
3S (a  l )
Mal
添削問題 AⅡ
無線信号の送受信【解答】
Ⅰ(1) 間隔 a の金属棒1と2から発せられる電気信号の位相差を  (金属棒2から発せら
れる信号の位相の方が,金属棒1からの信号より進んでいる)とすると,町 A で信号
が極大となるための条件は,
2a

sin  A    2N
…①
町 B の方向  B で信号が極小となるための条件は,
2a

sin  B    2N   
…②
ただし, N , N  は整数である。
①,②式より  を消去すると,
1

a sin  A  a sin  B   N  N   
2

三角関数の加法定理と B   A   から,
1
1
1

2a cos( A   ) sin    N  N   
2
2
2

よって,
a
1
2
 (N  N   )
1
1
2 cos( A   ) sin 
2
2
a ( 0) を最小にするためには分母を最大に,分子を最小にすればよいから
1
cos( A   )  1
2
N  N  1
よって,これらより,各パラメータは次のように定まる。
a

1
4 sin 
2
, A 
1
1
 , B   
2
2
…③
(2) ③式の結果を①式へ代入すると,町 A で信号を受信し,町 B で受信しないための位
相差を,

1
  2N
2
と得る。
町 A で信号を受信せず,町 B で信号を受信するためには,位相差を         と
すればよい。
2
(注)
位相差のとり方(金属棒2から発せられる信号の位相の方が,金属棒1からの信号より
「進んでいる」
)を,
「遅れている」変えれば, に負号が付く。また, 0 ≦  2 の範囲で
答えてもよい。
Ⅱ
  c / f  11.1 m ,   84 を代入して,
a  4.1 m ,  A  42  ,  B   42 
3
添削問題 B
(1)
スリットによる干渉【解答】
ベクトル図
Q
A
a
a



a
O
d

P
第 1(下側)のスリットからの光波の位相を 0 とすると2番目のスリットからの
光波の位相は  


  2  ft 
2

d sin  で あ る 。 位 相 差  の2つの波を合成しよう。
x
 とおいて,

a cos(   )  a cos  2a cos   cos(   )
ここで,  

2
であり,上式の右辺は,振幅が A2  2a cos  ,位相差  の波動を
表している。
なおベクトル図から,二等辺三角形△OPQ において, 

2


d sin  ,  2 ,

そして A  2a cos  である。
このように2つの波の和は,振幅が a で偏角が,0 と  である2つベクトルの和
によって得ることができる。
(2) 回折格子のそれぞれのスリットから出る波は,その手前
の
スリットからの波に対して位相差が 2 (   )で振幅
a の波である。ベクトル図は,辺の長さが一定値 a で隣り合う
辺が一定の角度をなす図形から成り,図形の頂点を通る円の
中心を O とする。
OS のような半径方向の線は長さが R で図形の内角を N
等分する(右図参照)。
OST  OTS 
1
(180   ) , TOS  
2
三角形△TOS において,
4
a  2R sin

2
 2R sin 
(  2 )
∴
R
a
2 sin 
…①
図形は N 個の二等辺三角形を持ち, TOZ  NTOS  N  2N
したがって2等辺三角形△TOZ において,合成した波の振幅は TZ であり,TZ は
2R sin N で与えられる。
振幅は①式を使って,
 a 
a sin N
 sin N 
2 R sin N  2
sin 
 2 sin  
第1のスリットを通過した光波と合成波との位相差は,
 1

ZTS  OTS  OTZ   90    (180  N )
2 2


1
(N  1)  (N  1)
2
(3)
1
sin 
a sin N
0

3
2
合成波の強度 I 
I
0
a 2 sin 2 N
sin 2 
2

(4) 主極大点   p , p  0,  1,  2,  として,
5
3
β

I max
2
 
  N 2a 2 ,
(    0 として   p    )
 a 
  
2 N
(参考)
主極大に隣接する副極大の強度 I 1 を見積ってみよう。
(3)のグラフからわかるように,隣接する副極大は,主極大から一度,強度が 0 に
なった後,最初に極大になるところである。  

2N
は強度が 0 になる前であるか
ら極大点にはならない。したがって,
sin 2 N  1 ,すなわち,   
I1  a 2
1
 3 


 2N 
2

a 2N 2
22
( N  1 で, sin
3
2N
3
3

とおける場合)
2N 2N
(5) 主極大があらわれる条件は,
  n
sin  

d sin   n , n  0,  1,  2, 

つまり
n
を満たす n の数が 主極大の数である。
d
sin   1 なので, 1 
n
d
,つまり, n 
d

主極大は,0 次の回折( n  0 )を含むので可能な回折角が 2 n  1 を超えない。
 2d

 1 を超えない。
つまり 
 

(6) 主極大の場合
  n
つまり

d sin   n , n  0,  1,  2, 

 に関して微分すると , d cos  n
 が小さいので, sin  
これから,  
n
d cos
n
とおくことができる。
d
 n 
cos  1  

d 
2
よって,  
n
 n 
d 1 

 d 
2
  589.0 nm ,     589.6 nm , n  2 , d  1.2  106 m を代入すると,
6
  5.2  103 rad ,あるいは, 0.30
7
問題 C
(1)
重力波検出器【解答】
50 秒間に振幅が 0.8 倍になることから,
e 50  0.8
∴

1 5
ln  4.5 103 1 / s
50 4
(2) 棒を伝わる縦波の速さは,
E
v


7.11010
 5.1103 m/s
2700
棒には,その両端を節と腹とした基本振動が生じるとすると,棒の長さ l  1 m を
用いて,
  4l  4 m
波の基本式より,
f 
v


  2f  8.0 103 rad/s
∴
(3)
5.1103
 1.275103 ≒ 1.3 103 Hz
4
2本の棒で反射されたレーザー光は,それぞれの棒に生じている縦波の振動数の
信号をもち,それらの信号によるうなりをフォトセルで観測する。
いま,棒の長さが微小な長さ l だけ異なるとき,その波長は,  4l より,  4l
だけ異なる。よって,
 l


l
となる。一方,2本の棒の中を伝わる縦波の速さは一定であるから,波長が  だけ
変化したときの振動数の変化を f とすると,
v  f , v  ( f  f )(   )
の両辺の比をとって微小量の積
f 
を落とすと,
f 
f

l


f

l
2本の棒からの信号のうなりの振動数 0.005 Hz は,2つの信号の振動数の差 f に
等しい。したがって,対応する2本の棒の長さの差は,
l 
f
f
l
0.005
1  3.9 106 m
3
1.27510
(4) 棒の自由端から距離 x の点にはたらく棒の重力は,棒の断面積を A として,Axg
となるから,重力加速度の大きさの変化 g による応力の変化は,
xg
応力の変化によるこの点での棒の微小な長さ dx の変化を  (dx ) と書くと,ヤング
8
率の定義より,
xg  E
 (dx )
dx
 (dx ) 
∴
xg
E
dx
…①
①式の両辺を x  0 から x  l まで積分して,棒の長さの変化は,
l 
g
2E
l2
(5) 検出可能な,棒に生じる縦波の波長の変化が  
と,このときの棒の長さの変化は,   4l より, l 
…②
656109
 6561013 m である
104

4
 1641013 m である。
②式より,
l
2El

g
2  7.11010 1641013
 9.3  107 m
19
270010
以上の長さの棒が必要である。 このような長い棒を用いて実験することは不可能で
ある。
9