事例 6 CATIA のカスタマイズ機能 ダッソー・システムズ 田中 昭彦* *たなか あきひこ:CATIA BT 営業部ディレクター URL:www.3ds.com モデリングのツールからプロセス実現の ツールへ としてしかとらえられていない。これでは,自社 のプロセスとのかい離や機能不足に不満が出るの は当然で,うまく導入が進まない。 そこでカスタマイズ,ということになるのだが, 「自社のモノづくりのプロセスそのものが競争 多くの企業ではこのカスタマイズ業務は大きな負 優位である」という自負のある日本の大手製造業 担となる。また,CAD の場合モデルの品質はカ では,自社のプロセスをわかっているのは自社の ーネルに依存しているので,いくらカスタマイズ IT 部門という考えから,多くの開発を自社でて しても,作れない形状は作れないし,読めないモ がけ,パッケージソフトの導入には距離を置いて デルは表示できない。むしろ,ほかの業務プロセ いるケースが多かった。自社製の 2 次元 CAD を スといかに連携できるかが重要になる。 使用しているところも多く,90 年代までは 3 次元 ダッソー・システムズでは,現在では業界共通 CAD の開発を手がけた企業も少なくなかった。 のコンセプトになっている PLM(プロダクト・ラ しかし開発保守費用負担の重さと非効率性から, イフサイクル・マネージメント)という考え方を ほとんどの企業が 3 次元 CAD の自社開発からは 2000 年から提唱しており,CAD を,PLM を実現 手をひき,パッケージ CAD の採用が進んだ。し するための開発のほかのプロセスと密な連携を前 かし依然として,自社にとって最良のシステムは 提としたオーサリング(データ作成)ツールと位 自社開発すべきであり市販 CAD は「カスタマイ 置付けている。PLM という文脈(全体最適化)で ズしないと使えない」という意識が強いようだ。 考えた時,CADは単なるモデリングのツールから, これが一因にあるかはともかく,3 次元 CAD に ついては思ったほど導入が進んでおらず,業務の かなりの部分を 2 次元 CAD でのレイアウト検討 や出図作業に費やしている,という声をよく耳に プロセス実現のツールに変わっていく。 ワークベンチの進化とカスタマイズの 位置づけの変化 する。 3 次元 CAD の導入と機を一にして,仕事のやり ダッソー・システムズの CATIA V5 は,発売以 方,プロセスもツールにある程度あわせたやり方 来10年がたち,いくつかの業界ではデファクト・ にかえていく必要があるのだが,残念ながらプロ スタンダードとして高い評価を得ているが,その セスは変えずにツールを当て込んでいくという手 間お客様企業や業界の要望を取り入れてきた。現 法をとった企業が多かった。そのため,3 次元 在は V5R20 というリリースが発表されている。 CAD は設計のツールとしてではなく,出図のた カスタマイズなしでは,あるいはほかの製品と組 めの 3 次元のモデリングツールおよび作図ツール み合さなければ実現できなかったような機能が, 42 機 械 設 計
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