「消防設備フォーラム」開催 - 一般財団法人日本消防設備安全センター

東京国際消防防災展2013
「消防設備フォーラム」開催
一般財団法人日本消防設備安全センター企画研究部
最新の消防機器やシステムを紹介する「東京国際消
建築設備技術者協会の協賛を受けた。
防防災展2013」が、10月2日からお台場の東京ビッ
当日、来られた方は、展示会場を見学し、午後から
グサイトで開催され、期間中多彩な催しにより4日間で
本フォーラムに参 加された方が多かった。 参 加 者 数は
12万5,000人近い来場者数となった。消防演習など
325名(消防職員41%、消防用設備等の設置・点検事
を含めた様々なアトラクションと展示の出展者268社に
業者33%、建築関係事業者等26%)で、開催内容から
およぶ消防防災展は、その入場者のアンケートによると
すると適切なバランスの受講者層であった。消防機関か
84%の人が満足と回答された。
らは、北は青森県、南は大分県からと全国規模で聴講し
この消防防災展でアカデミックタウンを活用した協賛
ていただき、事業所等では、建設業者、設備等メーカ、
事業として、10月3日に「消防設備フォーラム」を当
点検事業者、ビル管理業者、県・市町村防災担当職員
安全センターが実施した。この事業は、消防に関する機
など様々な部署からの出席となった。
器等展示案内などと異なり、消防設備を「過去から将
開催にあたり、当安全センター襲田理事長から、事業
来にむけて」の視点に立った新しい知識と技術を提供す
内容の紹介と消防用設備に係る「特殊消防用設備等」
るものとなり、アカデミックタウンを担う企画として大き
の性能評価の登録検定機関、「消防の用に供する機器
な成果を得た。
器具等」の認定の登録認定機関としての役割等につい
開催には、東京消防庁、公益財団法人東京防災救急
て説明があり、そのうえで、本フォーラムの開催趣旨、
協会、一般社団法人東京防災設備保守協会の後援と、
講演後のパネルディスカッションなどについての挨拶が
一般社団法人日本設備設計事務所協会、一般社団法人
あった。
プログラム
挨拶:襲田理事長
講演:「消防用設備等の規制の変遷とその効果」 東京理科大学大学院 国際火災科学研究科 教授 小林恭一
「消防用設備等を取り巻く現状と課題」
東京消防庁 予防部長 荒井伸幸
「建築設計から見た今後の消防用設備」
清水建設株式会社 設計本部設備設計部2部 設計長 髙橋満博
パネルディスカッション: コーディネーター
常務理事 木原正則
パネリスト
小林恭一(講演者)、荒井伸幸(講演者)、髙橋満博(講演者)
長谷川晃一(能美防災株式会社 営業技術部長)
襲田理事長
講演会風景
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講演概要
小林教授
⑴火災と防火法令(特に消防法令)改正
強化の歴史
髙橋設計長
⑴建築基準法と消防法の性能評価
⑵火災統計で見る規制強化の効果
⑵建築に求める社会のニーズ
⑶最新環境オフィスの事例
荒井部長
⑴消防用設備等点検報告制度
⑷特殊消防用設備等の事例
⑵消防用設備等の活用状況
⑸これからの消防用設備
⑶特殊な(先進的な)消防用設備等
パネルディスカッション(要約)
コーディネーターから、本日の講演内容より抽出した
きる防災設備の開発を目指して欲しい。東京消防庁とし
課題として、次2点が提案された。
ても協力して、
消防防災分野の「おもてなし」を進めたい。
⑴新しいトレンドと消防用設備について
長谷川氏 製品の小型、軽量化等を進めると同時に、他
東京オリンピックの招致が決定され、7年後のオリン
の設備との融合などエコに努めています。安全安心を得
ピックの開催に向けてスタートが切られました。その中
るために、今後ますます、設備・機器の信頼性、操作性
では、33競技施設が必要とされ、うち11が新設、13
の向上を図っていく必要があると思っております。
が改修、仮設等の建築が予定されていると報道がなされ
小林氏 1964年のオリンピックでは首都高速道路、新
ています。
幹線などの社会インフラの向上と技術革新の機運から、
その中で、先ほどの講演で髙橋様から提案されていま
様々な分野で大きく推進しました。今回のオリンピック
した{エコ(共有化・最適化)と安全安心(多機能化・面
で巨大な建築空間など斬新な建築物が多数建設される
的利用)
}を踏まえて、オリンピックという新しいトレン
のであれば、それに対応した新たな発想の消防用設備等
ドに向けての各パネリストのご意見を伺いたいと思います。
の開発の契機としてほしい。東京ドームができたときに、
髙橋氏 社会に与える影響が大きく、競技会場だけでの
リモートセンシングを使って火災を覚知し放水銃と連動
課題としてより社会全体への波及効果が大きいと思う。
させたように。
建築としては、再生可能エネルギーや自然エネルギー利
⑵消防用設備等の老朽化について
用など、オリンピック終了後の建築物の考え方も出てく
「昨年12月に中央自動車道笹子トンネルの天井板落
ると思う。スマートシティ構想の実現を目指すことも考
下事故があり、死傷者が発生しましたが、先ほどの荒井
慮すると、1棟だけで捉えるのではなく地域を巻き込ん
様の講演内容でも、消防設備等の老朽化や不良個所の
だエネルギー融通や防災強化が必要となり、消防用設備
発生などが説明されていました。この消防用設備の老朽
についても地域レベルで効果を発揮するようなシステム
化に関してご意見をお願いします。」
の開発が求められるものと思う。
荒井氏 事例等で紹介しましたが、消防用設備等の維
荒井氏 現行の消防法令の枠を超えた建築物が想定さ
持管理が適正に行われていれば、火災時の被害拡大防
れ、世界に向けた高い防火安全性能が求められ、総務大
止に寄与したはずなのにと思えることがあります。また、
臣認定の利用等が増えるものと思われる。日本だからで
点検時に維持管理がなされておらず、機能試験をためら
パネルディスカッション風景
消防設備フォーラム
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うようなケースもあると業者の方からお聞きすることも
り、その際に日本の点検報告制度について話をしていま
あります。建物所有者の変更による消防設備の維持管
す。その研修生の多くは、建築基準法第12条、消防法
理等の課題などもあります。消防機関としては、適正な
第17条の3の3について説明すると、点検することだけ
点検に向けて、関係者等の理解を得られるように今後も
でなく、その結果を関係機関へ報告することを義務付け
進めていきます。なお、不正な点検にあっては、業者名
ていることに興味を持つようです。
の公表など法的な措置を取るようにしています。消防用
私は、消防用設備等をどうやって維持管理するかが大
設備に対する老朽化や経年劣化に関しては、建物本体
事だと考えています。点検報告制度ができたのは、昭和
の老朽化などとリンクしています、また、首都直下地震
49年で、継続して点検を実施すれば、100年も200
などによる消防用設備への影響も考慮しておく必要があ
年も使い続けることができるといった思想で制度ができ
ると思います。これらは、消防庁で検討が始まっており、
たと思われます。しかし、昭和35年に消防用設備につ
その動向に注目しています。
いての規制が創設され、この点検報告制度ができた昭和
これらの課題に共通することは、やはり、日頃の維持
49年までは15年ほどと日が浅く、その当時の建物に設
管理が大事で、ハードを活かすソフトということになり
置されている消防用設備等は、まだ比較的新しいもので
ます。
あったと思います。今後は、建物のリニューアルの際に、
長谷川氏 消防用設備の点検をしていただいています
これまでとは違った大規模な点検を盛り込む必要がある
が、製品としても自動試験機能を有するものを開発する
と考えています。
など、不具合の発生がわかるようにしています。とは言
え、どのような製品にも機器の寿命があることでもあり、
当安全センターにおいて、消防用設備等の経年劣化等
点検は、継続的に防災設備メーカー等信頼できる業者に
に適応した点検方法等検討会を設置し情報を集めてい
依頼し、不具合品は速やかに交換・修理し、製品の機能
ます。
が十分に発揮されるようにしていただきたいと思います。
小 林 氏 JICAの研 修 生に防 火 法 令を教える機 会があ
詳しくは、当安全センターのホームページを見て情報
提供をお願いします(http://www.fesc.or.jp/)。
アンケート
出席者の方に「アンケート」を実施し、3つの講演で
は8割以上、パネルディスカッションでも8割弱の方が
講演1
「参考になった」と回答された。
講演2
講演3
0%
20%
40%
参考になった
あまり参考にならなかった
60%
80%
100%
どちらとも言えない
内容が難しく分かりにくかった
今後の展望等についてのアンケート
[消防設備の設置・点検事業者等]
①消防用設備等の長期間の設置、
使用に伴う「消防設備等の劣
化」を経験したことがあります
か。
泡消火設備において、配管等及びポンプ等
屋内消火栓設備、
スプリンクラー設備において、
ポンプ等
二酸化炭素消火設備等において、開放弁等
その他
(避難器具等)
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②消 防用設備点検制度における
「今後の動向」について、どの
ように思いますか
点検時にタブレットなどが使用できる
ツール等の開発が進む
点検内容がさらに高度・専門化する
1,000㎡未満等の防火対象物の
点検報告制度が推進される
その他
[消防職員等]
①消 防 署の予 防 分 野で、 今 後、
危惧されるような事案がありま
すか。
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後継者が育たなくなる
人員不足により、支障が出る
行政不服審査や訴訟等が増加する
その他
②消 防の予防行政の将来性につ
いて、どのように思いますか。
消防法令の技術基準等の
性能規制化が進む
大学等学術研究機関から、
新たな消防設備等の開発が進む
予防検定制度
(資格制)
などが普及する
欧米や中韓の消防用設備等製品が
普及する
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[建築事業者等]
①消 防用設備等の設置規制につ
いて、どの程度知っておられま
すか。
ルートAからルートCの3通りの
規制体系を知っていた
消防法の規制体系は知らなかった
大体知っていたが、
詳しい内容等は知らなかった
その他
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②新 規の消防用設備等の開発と
して望まれるものはどのような
ことでしょうか。
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自動火災報知設備などの警報設備の
IT化を含めた開発
スプリンクラー設備などの
水系消火設備の新技術の開発
消防隊の利用する排煙設備、
連結送水設備等の開発
その他
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ご意見をいただき、ありがとうございました。
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