強力なラインが改めて実力を示した勝利プレジデントロフト・姚輝雄鳩舎︵千葉東地区連盟・成田連合会︶ホフケンス系はアントワープの強豪・エンゲルス父子を始め、世界各地で今なお活躍鳩を生み出している。プレジデントロフトも同様で、ホフケンス系とカーレンス系を中心に近親交配を進めて基礎鳩の血を薄めることなく現在に伝えている。しかし姚さんは血統書と鳩の形だけで鳩を残すような甘い競翔家ではない。ということは、プレジデントロフトのスタート以来ほぼ年、飛ばした上で納得できた鳩のみをタネとして系譜を繋いでいるのである。プレジデントロフト︵姚輝雄鳩舎・成田連合会︶の作翔鳩が今年初めて企画された関東４ブロック合同ＧＰで最高分速を記録した。同ロフトは自鳩舎の血統を近親交配で固めて好成績を残し続ける鳩舎の１つである。姚氏が鳩について語る姿からは、いつまでも変わらぬ鳩レースへの情熱と愛情が感じられる。基礎は世界鳩界史屈指のラインその系源は、あまりにも有名な﹁カトリス﹂から発する古いカトリス︵カトレッセ︶系である。﹁カトリス﹂の直仔はヴァンブリュアーナ、マテルネ、ドゥエールトといった超長距離のビッグネームの基礎にも入っており、世界鳩界史上でも稀にみる影響力を持った血統へと成長を遂げている。一方でプレジデントロフトは現在でも度々その名を耳にする偉大なベルギーの競翔家オーグスト・ホフケンスの銘鳩﹁ゲシェフト﹂﹁フォンドマン﹂の全兄弟鳩、﹁フォンドマン﹂直仔、銘鳩兄弟の母方祖父である伝説的銘鳩﹁ドリーバンダー﹂の近親交配鳩などを導入して鳩舎の基礎とした。ルイ・ヴァンローンを基礎とする︵ヴァンローン氏談︶姚さんは２００２年 ∼２００３年まで毎年のように競翔面種鳩の質を見直す 30 45 45 で見せ場をつくった。日本優秀鳩舎賞ベストテン入りなど全国タイトルにも輝いている。しかしその後、競翔面に関しては少々力を抜き、頻繁にヨーロッパ鳩界を訪問するようになった。見聞を広めるとともに自分がこれまでの飼鳩生活で得たものを、本場の一流競翔家の理論にぶつけてみたかったのだ。その時々で勢いのある鳩舎を訪問しては種鳩、選手鳩、売り鳩をつぶさに観察してみる。理論と行動力を併せ持つ姚さんである。全部がそうだとは言わないが、一般的にヨーロッパの鳩舎が放出してもよいと考えるトリと、自鳩舎にキープしておきたいと考えるトリとの差に気付いた。その一部、鳩体の腰について語っていただいた。一般に﹁一枚小判﹂という言葉があるように、腰のしっかりした鳩が良いと言われる。姚さんは腰の厚みに注目している。要するに、厚ければ良いというものではない。つかんで尾の両サイドに厚みを感じ、中央部分にポケットのような、やや薄い部分があるトリがベストだという。２０１０年になり、姚さんは改めて自鳩舎の種鳩を見まわしてみた。なんと﹁遊んでいる﹂うちに姚さんの基準から外れたトリがずいぶんと増えている。タネを選択する基準が甘くなっていたのだ。これではいかん、と鳩づくりを根本から見 14.6.9 9:37:24 PM P024-025_6月号表紙の鳩.indd 24 輝雄さん︵成田連合会︶は姚１９８５年コルテベーク・コルテン鳩舎作翔のラ・ステレーヌＮ優勝鳩と、その一族を導入してプレジデントロフトをスタートさせた。コルテベーク・コルテン鳩舎の主力ラインはカーレンスである。カーレンスといえば﹁モナリザ﹂によるバルセロナＩＮ優勝を記憶にとどめている愛鳩家の方々も多いだろう。関東4ブロック合同GPで最高分速を獲得した、姚輝雄氏 “ウィットペン・ファイン” 11DA19042 PＢＷ ♀ 姚輝雄鳩舎（プレジデントロフト）作翔＊13年千翔会ＧＰ992羽中総合44位東日本ＣＨ連盟43位他 14年関東4ブロック合同GP7,513羽中最高分速千葉ブロック連盟GP2,517羽中総合優勝 “フーデブラウ” 02ＬＫ07141 Ｂプレジデントロフト作直仔／Ｒｇ総合10位姉の直仔／ “輝きシルバー” （千翔会1000Ｋ総合優勝） “ニュードラベコフ” 00ＬＫ15147 Ｂプレジデントロフト作千葉ブロック連盟品評会若鳩クラス♂２席 “ウィトプレ333” ＢＷプレジデントロフト作基礎鳩 “ド・プレリュードホフケンス” の娘兄弟の直仔／Ｒｇ総合優勝 “ミニマムリヒテファイン” 06ＬＫ05899 ＢＷＰプレジデントロフト作兄の直仔／千翔会千葉ＴＶ杯600Ｋ総合優勝 “リヒテウィットペン岩瀬” 03ＬＫ16670 ＰＢＷ岩瀬茂作インブラヒット作“ミール” のライン× 東日本稚内ＧＮ総合優勝のライン “レジョナルファイン” 01ＬＫ02033 ＰＢＷプレジデントロフト作 02年秋Ｒｇ総合優勝フーベン、カーレンスの混成系直した。それで翌２０１１年には、まあまあ納得のできるトリが生まれた。今回の千葉ブロックＧＰ総合優勝＆関東４ブロック最高分速の﹁ウィットペン・ファイン号﹂もその１羽である。その血統を見てみると、父方はプレジデントロフトが連綿と繋いできたホフケンス＆カーレンスの結晶体である。母方には岩瀬茂鳩舎のインブラヒット＆東日本ＧＮ総合優勝のラインが異血として入っている。なぜ母方祖父鳩にあたる﹁リヒテウィットペン岩瀬号﹂を異血として選んだのか。﹁ウィットペン・ファイン号﹂の母方祖母である２００２年秋のＲｇ総合優勝鳩﹁レジョナルファイン号﹂にはフーベンの血が異血として入っている。そして﹁レジョナルファイン号﹂の父方祖父にあたる﹁パパジョルジュ号﹂は、かの﹁ヨンゲ・アーティスト﹂の父﹁バロン﹂の孫で、ペンシルブルーの羽色を持っていた。実は岩瀬鳩舎の東日本ＧＮ総合優勝鳩にはフーベンの血が流れているという。薄いペンシルの刺しの羽色を持つ﹁リヒテウィットペン岩瀬号﹂を見たとき姚さんは、この鳩にはフーベンが出ていると感じた。それで﹁レジョナルファイン号﹂にも強い影響力を示しているフーベン系の強化を意識して﹁リヒテウィットペン岩瀬号﹂を交配したのだった。関東４ブロック連盟合同放鳩のＧＰは初の試みである。この記念すべきレースで姚さんが本命視していたのはＧＮ連盟３位、ＧＰ上位入賞２回のトリだったが、持ち寄り時に古いチップリングが装着されていたため、登録外の参加となってしまった。しかし優勝した﹁ウィットペン・ファイン号﹂もＧＰ総合位、１０００Ｋ４位など上位入賞を重ねてきたトリである。改めて鳩が良くなければ勝利はない、と感じさせられたレースだった。田久保政二・千葉ブロック連盟長のコメント今回、初めて埼玉、千葉、東京、ニュー神奈川の４ブロック連盟合同によるＧＰが開催されました。各連盟の皆様のご協力の下、レースが成功したことに感謝いたします。また、当ブロック連盟から最高分速鳩が生まれたことに、大きな喜びを感じております。姚輝雄さん、誠におめでとうございます。これからも、各地域の鳩友とともに、さらなるレース運営の発展、飼育管理の向上を目指して、頑張っていきたいと思います。 44 姚輝雄鳩舎（成田連合会） P024-025_6月号表紙の鳩.indd 25 14.6.9 9:37:26 PM