緩やかに拡大する “オーガニックというライフスタイル” - ひょうご経済研究所

主任研究員 水
上 潤
(全田畑に占める割
機 関 と し て 有 機 農 産 物 の 事 業 者( 生 産 行 程 管 理
者 ) を 認 証 し て い る。 有 機 農 産 物 の ほ 場 面 積 は、
緩やかに拡大する
“オーガニックというライフスタイル”
日本のオーガニック市場
2010年で日本の有機食品・オーガニック食
品の市場規模は1300~1400億円となって
2009年の全国8506
( 同 0・ %) か
(同0・ %)、兵庫県
%)、 兵 庫 県 3 3 0
年の全国9495
合 0・
ら、
(同0・ %)まで拡大し、 県の有機ほ
場の割合は全国より高くなっている。
された農産物」と定義されている(詳細は農水省
堆肥等による土づくりを行ったほ場において生産
年生作物にあっては、最初の収穫前3年前)の間、
ことを基本に、播種または植付け前2年以上(多
とは「化学的に合成された肥料及び農薬を避ける
品目の基準が制定されている。例えば有機農産物
「有機畜産物」「有機加工食品」「有機飼料」の4
こ の「 有 機 J A S 規 格 」 に よ り、「 有 機 農 産 物 」
(8・3%)か ら2万4955
環境創造型農業を行うほ場面積は6405
( 同 1・6 %) か ら 2 9 2 1
安 心ブランド農 産 物を作るほ場 面 積は1212
る( 図 2)。 そ の 結 果、
ド 」 農 産 物 ─ と 認 証 し、 そ の 生 産 を 推 進 し て い
分の1以下とした農産物を「ひょうご安心ブラン
の使用を5割以上低減し、残留農薬を国基準の
農産物、②土づくりを基本に化学合成肥料や農薬
年 の 間、 ひ ょ う ご
( 同 3・8 %) へ、
( ・8%)へ 拡
ha
2014年3月末の兵庫県の有機農産物の事業
者( 生 産 行 程 管 理 者 ) は と、 全 国 2 1 3 3 の
いる(表1)。
大し、環境に配慮した農業のほ場面積が拡大して
32
~
のHP参照)。
2 兵庫県における有機農業
拡大の促進
兵 庫 県 で は、 兵 庫 県 有 機 農 業 研 究 会 等 が 認 証
10
ha
12
ha
ha
1
いる(図1)。また、農薬や 化学肥料の使用を減
らした「特別栽培農産物」など安全性に配慮した
食品を加えた市場規模は約6000億円になって
43
調査報告書」(2011年6月))。
485
21
兵庫県では①化学合成肥料や農薬の使用を3割
以上低減した農産物を「環境創造型農業」による
64
日本では、2000年に「有機JAS規格」が
制 定 さ れ、 年 に 有 機 農 業 推 進 法 が 制 定 さ れ た。
いる(「日本におけるオーガニック・マーケット
ha
ha
ha
18
12
ha
近年、消費者は、家で食べる野菜を農産物直売
所 で 購 入 し た り、 家 庭 菜 園 で 作 っ た り、 オ ー ガ
作成:ひょうご経済研究所
ニック野菜中心のレストランで食事をしたりなど、
③有機加工食品
できるだけ自然なものを体に入れる傾向が出てき
④有機飼料
有機JAS規格
(①∼④)
09
88
②有機畜産物
ている。
安全性に
配慮した食品
はちみつ
コットン
化粧品
など
・ひょうご安心
ブランド
・環境創造
型農業
国際規格・海外規格
①有機農産物
・⑤特別栽培
農産物
有機食品・オーガニック食品
1300∼1400億円(①∼③)
6000億円(①∼③、⑤)
06
調査
図1 オーガニック食品市場の概念(2010年)
24
調査
大
環境への配慮の程度
環境創造型農業
ブランド
ひょうご安心
①
土づくりを基本に化学的に合成された肥料
及び農薬の使用を30%以上低減
小
慣行(一般)栽培
割合
0.43
0.44
0.59
0.64
表1 全国と兵庫県の有機ほ場農地面積等の推移(単位ha、割合%)
年の有
児 島 1 4 5、 新 潟 1 2 2 に 次 ぎ、 第 5 位 で あ る。
兵庫県で有機農業が活発な要因として、
機農業推進法制定以前から、行政が環境創造型農
業を推進し、これに取り組んだ農家が多かったこ
とが挙げられる。
76,800
76,400
76,300
76,100
4,609,000
4,593,000
4,561,000
4,549,000
有機農業
土づくりを基本に化学的に合成された
肥料及び農薬の使用を50%以上低減
4・1%を占め、北海道249、熊本170、鹿
②
有機
ほ場
330
337
448
485
首都圏を中心に展開するナチュラル
ハウスは、有機野菜、化粧品・栄養補
トランがある。
兵庫県にもオーガニック食品や環境
配慮型食品を販売するショップやレス
3 兵庫県における小売・
レストランの事例
などとなっている。
菜、 水 稲、 小 麦、 そ ば、 果 樹、 菌 類 )
(茶、野菜、水稲、果樹)、豊岡市(野
篠 山 市( 野 菜、 水 稲、 果 樹 )、 三 田 市
ト」(農水省)として認定された。
は2013年度の「日本の食を広げるプロジェク
た、同社を中心に組成された「兵庫県有機農業活
シャレという女性層が増えています」という。ま
の生産を実感してもらっています。近年、オーガ
限 定 せ ず、 自 然 な も の に こ だ わ っ た メ ニ ュ ー を
産物の1%未満ですが、当店は有機JAS規格に
います。日本では有機農産物の占める比率は全農
ムは女性を中心に年間3万人にご利用いただいて
認証商品ではなく、減農薬など環境に
ていますが、必ずしも有機JAS規格
い オ ー ガ ニ ッ ク 食 品 を 選 ぶ 傾 向 が 出 て き て い る。
いる。また、米国では、遺伝子組み換えを行わな
欧州では、自然を活かした環境づくりを理念と
し、オーガニック食品を選択する傾向が強まって
4 今後のオーガニック市場
性 化 協 議 会 」 の「 生 産 者 と 消 費 者 を つ な ぐ 事 業 」
ニックというライフスタイルを楽しむことがオ
く、お客様に農業体験を通じてオーガニック野菜
展 開 し て い ま す。 西 宮 は 丹 波 や 神 戸 市 西 区 に 近
助食品、アレルギー対応食品等を販売
する小売チェーンであり、県内には神
戸・元町に直営店がある。大久保敏店
配慮した食品、商品を販売しています。
その結果、2012年のオーガニック食品の市場
長によると「オーガニックを基本とし
年以上も当店の食品や商品を買い続
ファームアンドカンパニーは、西宮北口でレス
トラン「レギューム」を営むほか、有機農家と連
す」という。
した当社のコスメにこだわるお客様が増えていま
品は国内に認証制度がなく、国際機関で認証取得
けてくれるファンも多いです。オーガニック化粧
肌につけるものなど“オーガニックというライフ
ジャム、化粧品、コットンなど、口にするものや
割 高 で、 ご く 一 部 の 消 費 者 が 買 い 求 め る 傾 向 に
日本では国産農産物や大手量販店等で販売され
る食品に対する信頼が厚く、オーガニック食品は
規模は欧米ともに約3兆円となっている。
あ っ た。 し か し、 こ こ に き て、 食 品、 ジ ュ ー ス、
携し、有機農産物等の宅配・卸、農業体験事業を
スタイル”嗜好が女性を中心に広がってきている。
(資料)「耕地及び作付面積統計」(農水省)、「ひょうごみどり白書」(兵庫県)
行っている。光岡大介社長によると、「レギュー
20
化学的に合成された肥料及び
農薬を使用しない
割合
1.6
2.2
2.4
3.8
ひょうご
安心
1,212
1,685
1,795
2,921
割合
8.3
19.7
27.2
32.8
環境
創造型
6,405
15,066
20,760
24,955
田畑
割合
0.18
0.20
0.21
0.21
有機
ほ場
8,506
9,084
9,401
9,495
田畑
兵庫県
全国
06
2009
2010
2011
2012
③
地域的には丹波市(水稲、野菜、大豆、果樹な
ど)
、神戸市西区(野菜)
、養父市(野菜、水稲)、
25
図2 環境創造型農業のイメージ