レーザーイオン交換法によるガラス板 ズの製作と評価

第21巻第9号
レ
ザ ー 研 究
(945)
レーザーオリジナル
レーザーイオン交換法によるガラス板
光学非円形レンズの製作と評価
松井重憲
*
(1993年2月25日 受理)
Fabrication of Optical Non−Circular Lenses by a
Laser Ion−Exchange Method and Its Analysis.
Shigenori MATSUI*
(Receive(i February25,1993)
The growing use of optical lenses in optical integrated circuits has necessitated£in(iing a
better,more cost−effective way of producing them。We have succeeded in developing a method
o至producing high−quality micro lenses on soda−lime grass plates by combining laser amealing
and ion−exchange;The method is referred to as a”Laser Ion−Exchange Method”。The use of
this technique makes it increase the refractive indexes on both sides of a soda−1ime glass plate
to create an optical lens.The upper surface of the glass is amealed by CO21aser beam
irradiation while the underside is subjected to ion−exchange between Na+of the glass and K+
of KNO30f an immersion bath.This method was applied to producing circular,non−circular,
linear and array micro−lenses.
Key Words l CO2Laser,Ion−exchange method,KNO3,Array micro−lensラNon−circular micro−lens.
るので最適な材料を選べるが,組み合わせに際
1、まえがき
近年,レーザーを利用した半導体光集積回路
して相互結合の困難さや,システムの安定性が
問題になる1)。そこで著者はモノリシック形で
技術1)は活発に研究開発され一般的な手法になっ
あるにも関わらず誘電体であるガラス基板を用
ているが,いまだ実用的な段階まで至っていな
いて集積化が可能であると考え,その第一段階
い。またその具体的な方法は各種様々であり最
近ではレーザー誘起薄膜堆積法2)などが開発さ
として炭酸ガスレーザー照射によるアニーリン
グ法と熱イオン交換法3)とを組み合わせた形の
れオプトロニクス分野に応用する試みが成され
レーザーイオン交換法を開発し,導波路と分岐・
ている。実際,光集積回路のハイブリット形集
集光等のレンズとを同一基板上に加工する研究
積回路は,その機能により個別な材料で構成す
を進めている。既にガラス板上でのレーザーイ
*日本大学大学院理工学研究科電気工学専攻(〒:101東京都千代田区神田駿河台1−8)
*Graduate School of Science and Technology,Nlhon University(1−8,Kanda−surugadai,Chiyoda−ku,Tokyo
101)
一9一
(946)
レーザーイオン交換法によるガラス板光学非円形レンズの製作と評価
平成5年9月
オン交換法によりマスクレスなマイクロレンズ
加工を可能にし報告を行っている4)。そして第
社製,S−1214)を挿入してこれにレーザー光を
二段階として導波路製作の基礎実験となる棒状
板内温度の空問分布,およびその時間的変化を
の非円形レンズ加工に研究対象を移行した。非
観測する。
円形・非球面レンズの加工法としては種々の技
術が開発されているが5)マスキングの手法や加
照射し,裏面後方に赤外線カメラを設置して基
工時聞等の問題があり,多品種大量生産には適
2.2温度分布実測値と計算値との比較
Fig.2は赤外線カメラで得られた温度分布で
していない。しかし著者の方法ではマスクレス
(a)はレーザー光照射後,(b)は照射前,(c)は
で短時間での加工が可能になっている。しかし,
両者の差分値,下はこれを中心位置についてグ
この方法の基盤となっているガラス板内でのイ
ラフ化したものである。照射レーザーエネルギー
オン交換機構について不明な点が少なくない。
は026」/pである。(c)よりレーザー光照射中
本稿では,まずイオン交換機構を解明するた
心付近のみでの温度上昇が確認される。更に中
めの基礎データを得る目的で,赤外線熱画像処
心付近領域内で横軸を拡大して画面積分表示し
理装置を用いてレーザー光照射時のガラス板裏
た温度分布と以前に報告をした熱伝導方程式よ
面の温度上昇度を基板の厚さを変えて測定した。
り計算した結果との比較4・7)をFig.3に示す。横
また以前に報告した裏面温度上昇を熱伝導方程
軸幅は約10mmに拡大した。試算の際の条件は
式より算出した結果と比較検討し,更にイオン
レーザーエネルギー026J/p,パルス幅5.74mseq
交換分布との関係についても検討した。そして,
以上の基礎実験を参考にして,炭酸ガスレーザー
繰り返し速度100pps,照射回数30000shots,
反射率約40%,熱伝導率・熱拡散率は温度に依
で加工した非円形レンズの光学的特性を実験的
らず(予備加熱温度400℃における値)一定とし
に検討した結果についても報告する。このよう
た。中心部とそこから5mm離れた点との温度
なレンズ自体,出力光が楕円ビームで広がり角
を有している半導体レーザー光①を直接円形ビー
差は約120℃であるのに対し,計算値は約150℃
ムに成形集束し得る集光用レンズとして利用価
ている。また厚さの異なるガラス板について温
値が高い。
度の時間的な変化を実測した結果をFig.4に示
とかなり近い値であり,その分布もほぼ一致し
す。厚さは0.70mm,1,00mm,L35mmでレー
2.レーザー光照射時のガラス板裏面温度測
ザーエネルギー0.13J/pの場合である。図より
定
厚さが薄くなるにしたがって温度上昇度が大き
2,1実験装置と方法
く,飽和値は高くなることが確認できる。
Fig.1にレーザー照射時の温度上昇度測定装
置の概略図を示す。400℃一定の両端開口型円
筒電気炉中にソーダライムガラス板(松浪硝子
関を明らかにする必要がある。そこでEPMA
GRASS PLATE
)
2.3イオン交換と裏面温度上昇度との関係
前述の結果よりガラス板裏面内での温度上昇
分布が確認できたが,これとイオン交換との相
(日本電子社製,JXA−8600)により裏面内での
K+とNa+分布を測定8)した。測定条件は,加速
LENS
電圧15kV,電流値5×10−8A,スキャン速度
CO2LASER
(照射時問)0.5sec,エネルギー3.75×10−4jで
・囹O
あった。このエネルギーと照射時問は,レンズ
THERMAL V工DEO SYSTEM
加工時のレーザーエネルギーおよび照射時間に
Fig,1Schematic diagram of the thermal video system。
比較すると十分に小さな値であり,レーザー照
一10一
21
91
-
T
!t
-
(947)
after
(a)
;,
*
i
i
+
;
*
i:
;
i
:;
,
i
'*
{
(b) before
(c) differcnce(a
-b)
Fig, 2 Photograph of a temperature difference within frame. (C02 Iaser : energy, 0.26J/p)
EH ['C]
(J
: Thickness ; O. 70mm
: Thickness ; i. OOmm
: Thickness ', l. 35mm
<!
600
(D
;Calculative curve
.H
,Measurrnent curve
S
o
y 500
fCl
+J
(
(D
p
l
500
p+
E;
(D
EH
EH 400
O 24 8 iO
6
shots times.
400
Fig. 4
Relation of the glass plate thickness and
temperature rise AT to Shot times.
(Plate thickness, 0.70 mm, 1.00 mm, 1.35 mm)
-5-4-3-2-1 O 1 2 3 4 5
Distanse Lrom the center (mm)
Fig. 3 Temperature v,s. the distance from the center
f
for calculative curve,
:
(Frame distance, 10 mm ; energy, 0.26 J/p ;
PW, 5.74 msec ; PP, 100pps ; T, 400
t, 300 sec)
)
)=
;
L
7 i
' ・ (;
F k -
;
jc
_.・
< >
7) )
lj
・7J*
7 U
)
i
. :*. )tL ) . Fig. 5iCEPMAiC J
rlJ;
l;
; :y*" f
)
/'77*;n
t
>
FF l ) f,, u Lf Ov*C
- 11 -
7
.L・ *
l i
.11
;t.
f
150 pm
*
P l - l >・ C
平成5年9月
レーザーイオン交換法によるガラス板光学非円形レンズの製作と評価
(948)
3.非円形レンズの製作10)
⑫K
(Counts)
O Na
>
3.1実験装置と方法
1 \
ρ
・H
㎝1000
臼
レーザーイオン交換法による非円形レンズ製
\ !
(D
ρ
q
作の実験装置概略図をFig.6に示す。レンズ加
\ 1
\1
『、’\ ×
H 500
工光源には50Hzの全波整流電源を用いた内部
\ \
ミラー型炭酸ガスレーザーを使用している。繰
’\一.一.冒一
0
一600−300 0 300 600 [μm]
Observationalposition,
Fig.5EPMA quantitative analysis of the relative
density・fNa+t・K+,
り返し速度100pps,パルス幅5.74msec,レー
ザーエネルギーは0。02∼026J/pulse,変動率
は5%/hour,ビーム半径は2.5mmである。こ
のレーザー光を金蒸着ミラーで垂直に折り曲げ
ZnSe製の集光レンズ(焦点距離70mm)で集束
させて,その焦点位置の外側⑳mmにソーダガ
2μm毎に成分を測定しその範囲でのK+の最大
値,及び同じ深さでのNa+の値を表した分布図
る。ガラス板の裏面を恒温層(450℃)内の硝酸
であり,イオン交換が行われていると考えられ
カリウム溶融液に15分問浸し予備加熱を行った
る領域は中心部より約450μm付近までである。
後レーザー光を表面から垂直照射しレンズ製作
この範囲はレーザー光照射によって温度が上昇
を行ってきた。
ラス板(松浪硝子社製,S−1214)を設置してい
した範囲に比べると極めて狭い。また端面から
中心に向かうにしたがってK+が増加する分布
3.2近接した複数レンズ
となっている。この領域での温度分布測定が詳
光導波路のような細長い領域に屈折率差を作
細に出来ていないので明確な対応関係は不明で
る方法としては,近接した一定の空間間隔でレー
あるが,レーザー照射による温度上昇がソーダ
ガラスの転移点温度(539℃)以上になると,移
ザー光を照射する方法と,レーザー光照射位置
を連続的に移動させていく方法が考えられる。
動し易いアルカリイオンが活発に動き,相互イ
本節では,前者の方法についての基礎データを
オンの交換が促進されると考えている。前章で
の基板厚変化した結果9)でも,屈折率差は厚さ
得る目的で二つのレンズを近接して作成した場
合,その問隔によってどのような違いが生ずる
が薄い程大きくなっており,このことからもガ
ラスの転移点温度とイオン交換との関係につい
卿
て前述の理由と考えることに矛盾はない。
_∪+十
また,以前の結果から低温型イオン交換法に
よる基板浸漬時問は(450∼500℃)10時間前後
]
が必要であり,著者の方法では数十分間で交換
可能である。更にFig.5より両端面(一600μm以
下,600μm以上)でのK+の濃度と中心付近と
KNO3
一X−Y stage Heater
の濃度比は1:10程度となり,電気炉加熱(バ
イアス温度)による熱拡散はほとんど無視でき,
レーザー光照射による熱拡散のみで交換を行っ
ていると考えている。
Pulse
□
PC−98 CO2LASER
cont「o’1e「Eニヨ
Fig.6Schematic diagram of the“Laser Ion−Exchange
Method”system.
一12一
第21巻 第9号
ザ ー 研 究
レ
(949)
かを実験的に検討した結果を示す。
二個のレンズ中心を結ぶ線上での位置を表して
Fig,7は(レーザーエネルギー,o.13」/p;照
いる。レンズ間隔を1mmまで接近させた状態
射回数,30000shots一定)レンズ間隔3.Omm∼
で相互の影響が現れている。従ってアレイレン
LOmmで製作した1×2のアレイレンズのCCD
カメラ(SONY製,XC−38)によるイメージン
ズ製作はレンズ問隔を1mm以上にする必要が
ある。Fig.8に3×3のアレイレンズをCCDカメ
グと屈折率差特性の一例である。上は一様な光
ラにより観測したイメージングを示す11・12)。レ
をアレイレンズに照射し,透過光強度分布を
ンズ間隔は1mmであり,9個の焦点が確認され
CCDカメラで観測した結果である。横軸には
た。一方棒状レンズを作成するためには更に近
50
60
紙鞭 許
媛諮灘
翻叢・
220
つε0
[×工σ3]
§[×10−3]
窪
鐙
£
Φ
L
Φ
LSl3mm
10
』
し
で
つ
誘
5
建
o
㊦o
あ
o
.≧
O
ぢ
愛
bゼ
o
●
E奎
● ●
o
貰
5
8 O
と
●
o
0 2 4[mml
畠
Observational position
ぐ
lO
LSl2mm
誘
●
<]
●o ●ag
・o。. .。。。・
6 0
●
● ●
o
②
0 2 4[mm]
Observational position
(1)
(2)
60
Fig.7CCD images of3sets of2array lenses and
theirassociated△refractive−indexplots。
§[×1σ31
Φ
』
Φ
躯
一
で
(Energy,0.13J/p;shots,30000;lens distance,
×
の
で
.E
あ
3.Omm−1.Omm)
LSllmm
10
㊦
5
●
0 9
.≧
ぢ
理
bは
ぐ
9 00
0
㊦
●o
91
0 2 4[mm]
Observational Position
(3)
一13一
(950)
レーザーイオン交換法によるガラス板光学非円形レンズの製作と評価
50
平成5年9月
1×1α3]
lO
● ●
● ●
●
5
麟嫌
盤騨馨
ゆ
o ●
歯 0
0 2 4[mml
省
(a)99900−90000[Shots]
麟
・日[×IO−3]
1
Φ IO
●
>
一麟輪i襲’
o
・d
220
,AR300C
●O
o o
o o ● o
●
や
0 5
而
臼
o
●
旧 0
の
Fig,8CCD image of a3×3micro−lens array,
0 2 4[mm]
葛
(b)12000−ll4000 [Shots]
[×10−3]
づける必要があるが,これより近づけていくと
10
● 0 ● ● ● ●
● ● o ●
製作中あるいは冷却後クラックが入ってしまう。
5
そこで一回目と二回目の照射回数を変えて製作
O
した結果について述べる。この加工ではレーザー
光のスポット径は0.7mmであり,従ってレンズ
間隔を0.6mmに設定し照射回数を90000∼
150000shotsの間で変化させ一個目のレンズを
加工する。そして二個目のレンズは照射回数を
0
o
●
0 2 4[mm]
(c)144000−150000[Shots】
Fig.9 0bservational position v.s. △ refractive−index
difference。
(Energy,0.13J/p;thickness,1.35mm)
約6000∼9900shots(約60∼90秒)と短くして加
工する。その結果をFig.9示す。(a〉では二つの
15
ピークが認められるが(b),(c)では両ピークの
Movj−ng
中問の屈折率差が増加し,比較的フラットな屈
→ Direction
折率差分布になっていくことが確認された。ま
た,以前に見られたピーク値の差(相互屈折率
『阪醸㍗瓢
蔽紬轍轟 へち
,艶一綻ノ
差の違い)も解消され,破損もしなくなった。
}κ 即
3.3棒状レンズの屈折率差特性10)
棒状の非円形レンズ製作の場合は光源と試料
,185
取携G50G
を固定し一体化した全反射ミラーと集光レンズ
Fig.10CCD images of a bar−lens。
をパルスコントローラーによって制御される移
動台上に設置し,これをX方向のみの移動によ
り製作する。移動速度は2∼200μm/secである。
Fig。10に(レーザーエネルギー,o.13」/p一定;
による屈折率差特性をFig.11に示す。図より移
移動速度,2∼200μm/sec;移動距離,4mm)
動速度が遅くなるにしたがって,屈折率差が大
棒状レンズをCCDカメラにより観測したイメー
ジングの一例を示す。長軸方向に色の濃い部分
が見られるが,光強度が強く実際に光が集光し
ている部分である。棒状レンズの移動速度変化
きくなって行く傾向がみられた。従って速度が
遅い方がガラス板内部で高屈折率差を有する棒
状レンズが製作可能である。
一i4一
第21巻 第9号
[×1σ31
港
>
(951)
12μm/s e c
−140μm/sec
窟
マ
(D
研 究
ザ
レ
蕪・
・llOOμm/sec
−1200μm/s e c
4
・rl
ρ
0
“
2
臼
唱
(D
餌
ぐ
’
恥ving
欝
−
O 一2 0 2 4 6[mm]
d i r㏄t i on
Observational position
(aヲ Hthout Bar−Lens.
Fig,110bservational position v.s.△refractive−index.
3.4棒状レンズの光学的評価
棒状レンズ製作の基礎特性を述べてきたが,
野 甲
本節では,実際にレンズを半導体レーザーの出
力光側に挿入し,ビームが円形に成形されるこ
とで光学的評価を行った結果について述べる。
まずFig.12一(a)は市販されている半導体レーザー
(東芝社製,TOLD−9200,発振波長,668。7nm;
出力,2mW;ビーム広がり角θ ,8。4deg;
θ⊥,34.3deg)のCCDカメラによる光強度分
布のイメージングの一例である。これより長短
(b) With in Bar−Lens.
軸の比率は3/1であった。また(b)に棒状レン
Fig.12Near field pattem of LD、
ズ(レーザーエネルギー,0.13J/p;移動速度,
2μm/sec;移動距離,4mm)をレーザー出力
側に挿入したイメージングを示す。半導体レー
ザーの出力光は棒状レンズ中央部の屈折率差が
以上の実験結果をまとめると,
平坦な部分を透過させている。中心付近(図中
(1)赤外線熱画像処理装置によるガラス板裏面
4、まとめ
の濃い部分)における長径軸と短径軸との比は
の温度上昇測定より,レーザー光照射中心部の
1.3/1となり棒状レンズを挿入することにより
温度分布(実測値)と,熱伝導方程式により計
半導体レーザーの出力光を楕円ビームからほぼ
算した温度分布図とではかなり近い値の分布に
円形ビームに成形可能なことが確認できた。今
なっていることが確認できた。また,基板自体
後はレンズの長軸・短軸との比率を制御するこ
の厚さが薄い程温度上昇度が大きくなっている。
とにより半導体レーザーアレイのビーム成形を
(2)EPMAにより温度分布内でのイオン交換は
実験的に検討したり楕円レンズを製作する方法
確認できたが,実際にイオン交換されている領
としてカマボコ型のレンズを利用して楕円型の
域が非常に狭く,温度分布幅の約10%程度であっ
レーザー光を作り,基板に直接照射することも
た。そのため温度とイオン交換との関係を解明
考えている。
できておらず更に検討が必要と考えている。
(3)二つのレンズを近接して製作をする場合そ
れぞれのレンズ加工時で照射時間に差を付けて
一15一
(952)
レーザーイオン交換法によるガラス板光学非円形レンズの製作と評価
平成5年9月
多大なる御協力を賜りました日本電子データム
製作すればレンズ問隔1mm以下での加工は可
能になった。また,アレイレンズ製作はレンズ
㈱講習センター島崎偉氏,赤外線熱画像処理シ
問隔を1mm以上離せば良い。
ステムによる温度測定にあたり御力を賜りまし
(4)棒状レンズ加工では,加工光源であるレー
た日本アビオニクス㈱樫村正徳氏,布施恭一氏
ザー光の照射移動速度が遅い方が,イオン交換
に深堪の謝意を表します。また実験に協力して
効率の良好な高屈折率差を有する棒状レンズを
いただいた稲垣隆一君(現,日本大学大学院),
製作可能である。また,棒状レンズを実際に半
吉田和幹君(現,日立電子エンジニアリング㈱),
導体レーザーの出力光側に挿入することによっ
田野倉慎悟君(現,㈱関電工),瀧本進之君(現,
て,楕円ビームから円形ビームに成形可能なこ
日本大学大学院),原口崇君(現,日本大学大学
とが確認できた。
院),村田成芳君(現,三井建設㈱)をはじめと
なお,本研究では,ガラス板上にアレイレン
する放電プラズマ工学研究室の学部生諸君に深
ズ・棒状の非円形レンズ製作を行ったが,原理
く感謝致します。
となるイオン交換のメカニズムについて今後更
参考文献
に検討を要する。そこでレーザー光を照射した
場合の基板裏面内における温度分布よりもイオ
ン交換されている領域がかなり狭いことは非常
1)西原他著:光集積回路(オーム社,昭和62)
2)英貢:レーザー研究20(1992)714.
に興昧深く,この点を更に究明するために加工
3)R W.Grimshaw,C.E.Harland:10n一εxchαngθ,
光源を熱エネルギーが小さく,光学エネルギー
1n昂04魂cがon 1o Thε07yαn4P7α6がcε(Burhngton
の大きなYAGレーザーやAr+レーザー等に変
House,London,1955)
4)松井他:レーザー研究18(1990)806.
5)伊賀,三沢:電気学会組3(1983)25.
えてレンズ径の微小化をはかるとともに,レー
ザー光源の変化に対する温度上昇度・温度分布
の差異とイオン交換量の変化等を比較する必要
もあり,現在進行中である。これにより必要と
6)伊賀著:レーザー工学の基礎(オーム社,昭和
63年)159.
7)豊田他:レーザー研究18(1990)51。
するイオンの分布量を制御することが可能にな
8)松井他:平成4年日本大学理工学部学術講演会L−
れば,更に高屈折率なレンズの微小化が製作可
71,P709.
9)松井他:平成3年電気学会全国大会講演論文集
能と考えている。
92,2−30(1991).
10)松井他:光・量子デバイス研究会(OQD−91−52)
謝辞
33.
本研究の遂行にあたり詳細にわたる御教授・
11)S.Matsui,K.Suzuki,T.Taniyama,J.Nakata,
御指導を賜りました升谷孝也名誉教授,中田順
T。Masutani:SPIE,San Diego,CA,1992,
治教授に深堪の謝意を表します。また,多くの
Miniature and Micro−Optics:Fabrication and
御助言を賜りました谷山哲哉助教授,鈴木薫専
任講師に深謝致します。更にEPMA測定にあたり
System Applications H.1751(1992),128.
12)M.Oikawa,K.Iga,T。Sanada,N.Yamamoto
and K.Nishizawa:」。J.AppL Phy.し296(1981).
一16一