第15分科会 今の政治に求めるもの 担当実行委員:藤井 亮(神奈川県) アドバイザー:平方 敏道(ボーイスカウト日本連盟リーダートレーナー) 参加者(24名) 伊藤 晃人(愛知県)/伊藤 真理絵(茨城県)/今井 伸哉(愛知県)/大山 健太(千葉県)/岡部 彩(東京都)/ 上口 高広(東京都) 菅野 一樹(神奈川県)/佐藤 英俊(岩手県)/杉村 昌樹(宮崎県)/関根 裕平(埼玉県)/ 坪井 敦範(愛知県)/中川 綾斗(福岡県)/中島 学(神奈川県)/野々山 彰(愛知県)/林田 由那(熊本県)/前 田 寛明(福島県)/矢島 礼迪(岐阜県) 分科会の趣旨及び目的 私たちが暮らす「日本」。世界随一の民主国家であるこの国の国民として、高校生として今、現在の政治にどう関わる か、近い将来自分たちが社会の担い手になったとき政治をどうするかを考え、また、積極的に政治に参加するんだとい う意識を育むために議論した。 分科会の内容 Ⅰ 「私がもし政治家になったら」 「私がもし政治家になった」場合、どのようなことをし たいか、公約(マニフェスト)とその理由を述べ、質疑応 答をした。 日本の外交戦略や北朝鮮問題、靖国問題、地方自治問題、 消費税問題などそれぞれ様々出たが、各種の問題について も多様な意見があり、また具体的な政策を立案することの 難しさを痛感させられた。 Ⅱ 日本の外交問題について Ⅰでの話し合った内容も考慮し、日本の外交問題につい て、3グループに分かれて議論した。議論の方法や内容は 以下の通り。 ① カードに標題で考え付いたことを書く。 ② 出されたカードの内容を分野別に区別する。 ③ 分類した各分野について考え、発表する。 ◎ 一斑 ・ 靖国神社への首相の参拝に賛成。靖国神社にはいわゆ る「戦犯」以外にも祀られているので参拝は当然。 ・ 国連の常任理事国入り問題…理事国はボスよりリー ダーであるべき。 ◎ 二班 ・ 歴史問題…もう一度原点に立ち返るべき。 ・ 領土問題…国際司法裁判所で議論すべき。関連諸国を 説得を。 ◎ 三班 ・ 日米問題…日米地位協定、安保条約の改定論議。 ・ 対アジア外交…領土問題、東アジア同盟、対中ODA について。 ・ 北朝鮮問題…新たな戦争を防ぐには。 以上の結果を受けてパネルディスカッションをした。 テーマは「日本の東アジア外交、日米同盟について」で、 まずパネラーがそれぞれ意見を出し、その後質疑をした。 「憲法九条を貫き、近隣諸国から戦争を仕掛けられない ようにする」といった意見や、逆に「自衛権についてしっ かりとした法整備をすべき」という意見も出て、白熱した 議論が展開された。 Ⅲ 自衛隊の海外派遣について 上記のテーマでディベートをした。 ① 派遣賛成派、反対派にわかれ、それぞれ立論をたてる。 ② 出された立論に対し、質疑をする。 ③ 質疑の結果をうけ、それぞれ最終弁論をたてる。 総括 この問題は自衛隊の存在意義に関して憲法問題にも根ざ しているため、賛成派、反対派双方の意見が平行線をたど る場面が多く見られた。ただ、両者の共通認識は「世界の 平和のために日本の貢献が必要だ」といったものだった。 Ⅳ 首相の靖国神社参拝について ディベート形式で議論した。議論の進行の状況について は割愛する。賛成派、 反対派双方の最終弁論は以下の通り。 ◎賛成派 政教分離については日本の文化・伝統もふまえ、できる だけ「公人」としての印象を与えないようにすべき。参拝 して、不戦の誓いをする、そのことが重要である。 ◎反対派 いくら思想信条の自由といっても、いわゆる「戦犯」と 呼ばれる方々が祀られている所に日本の代表者が参拝する と、どうしても中国や韓国など東アジア諸国は反対するだ ろう。この問題を、なんらかの形で日本の国益に結びつけ るため、中韓をはじめとする東アジア諸国との外交カード にしてはどうか。 総括 最近よくニュースを騒がすホットな話題とあって、議論 も白熱した。しかし両者とも今日のこの膠着した状況を憂 いてか双方とも歩み寄りをみせ、上記のような、或る意味 妥協案のような最終弁論に落ち着いた。 Ⅴ 平和憲法について 総括 改憲派の論理 自衛権やPKFへの参加、領海侵犯に関する対応などの 意見が出た。派兵が憲法で違憲とされているなら、その部 分だけは合憲にしようという観点から一部改憲すれば良い という意見と、日本の主導で作られた憲法ではないから全 面的に改正すべきだという2通りの論理が挙げられた。 護憲派の論理 「戦争が起きる可能性を危惧」しての意見が多かったが、 中には戦争を起こさないという前提で、一部なら改憲を認 めてもよいという意見も存在した。ただ少し手を加えると 繰り返す恐れもあることから、多くの人は改正する必要が ないと答えた。護憲派の意見は戦後の平和を築いてきた平 和憲法そのものに深い共感を覚えるといったものだった。 Ⅴ まとめ 三日間の共同生活を始めるにあたり、 私たちは タスキ を作った。選挙で候補者がまとっている、いわゆるあれで ある。そしてそのタスキを三日間、名札代わりに肩に掛け 続けたその意味は、 「政治」という重厚なテーマについて 語るにあたり、自分の発言に責任をもち、また他人の意見 をよく聞いてほしいという私たち15分科会担当者の想い − 48 − にある。 その三日間の討議の結果、参加者全員での統一した「宣 言」を出すまでには至らなかったが、「(スローガン) 」と いう共通理解はできた。また一人ひとりのアクションプラ ンも描いてもらった。今度はそのそれぞれのアクションプ ランを胸に、みなさんが今回行った話し合いについて地元 に持ち帰り、 アクティブな議論を全国的に広めていく番だ。 私たちユース世代が中心となるべきこの民主主義国家 「日本」にとって、 政治に関わろう という意識がどれ ほど大切なことか、ぜひ理解の輪を広げていってほしい。 「全国から選ばれた代表」の証でもあるタスキを胸に… アドバイザーからのメッセージ 平方 敏道 盛夏の中、今年も政治に対する素朴な疑問や熱い意見を 持った全国からの参加者17名と実行委員1名で白熱した 議論が展開されました。昨今の国内外の情勢から関心事の 高い事項をピックアップし様々なコミュニケーション手法 を活用して、積極的・意欲的に議論を展開できたことは、 参加者一人一人にとって大きな成果に結びついたと思いま す。 何故、近隣諸国との間に紛争や戦争が絶えないのか、何 故苦しんでいる人を助ける制度や仕組みが上手く働かない のか等、私達がいだく疑問を自分達で解いていくための議 論を展開しました。その結果、今後は、まず問題がどこに あるのかを的確に見つけだす技能や方法を身につけ、情報 の集め方や分析の仕方、そのための理論だてや歴史的背景 との関わり等広い視野で考えていく心構えを感じ取ったよ うです。そして政治は、人と人との関係のあり方に係わる もの、しかもその関係は、わたしたちが作り上げてきたも のであるし、わたしたち自身で変えていくことができるも のでもあるという 「気付き」 を得たことは、おおいに評価 できることと感じた次第です。 今回の分科会に集った参加者が、各地で発信源となって 政治に対し正面から向き合い、考え夢の持てる社会づくり に関わりを持っていくことを多いに期待しております。 − 49 −
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