宮大広報 大学院修士課程の改組 特集 大学院修士課程の改組 本学における大学院改組の動向 副学長(研究・企画・評価 担当) 名和 行文 2004年4月の国立大学法人化により、各大学は 2004 2004年4月の国立大学法人化により、各大学は 年4月の国立大学法人化により、各大学は 今春卒業にあわせて、修士課程に看護学専攻を設 競争的環境のもと、自主的・自立的に個性豊かで 置し、社会のニーズに応える実践的な教育・研究 特色ある大学づくりを目指しています。本学も統合・ 特色ある大学づくりを目指しています。本学も統合・ ができる人材を育成し、地域の保健・医療・福祉 法人化という急激な変化の中で、「世界を視野に、 の向上と看護学の発展に寄与することを目指します。 地域から始めよう」をスローガンに掲げ、21世 教育文化学部でも教育学研究科学校教育専攻の 紀の課題に取り組む人材を育成するために、大学 中に日本語支援教育専修を開設し、帰国・外国人 院を重要な軸として魅力ある大学づくりに励んで 児童生徒の教育を担う教員の養成を目指します。 います。 このように本学では修士課程(博士前期課程) 大学院には修士(博士前期)課程と、博士(博 が高度な専門的職業人の育成に重点を置くことを 士後期)課程があり、それぞれレベルは異なりま 内外に明瞭に示すようにしました。おりしも中央 すが、いずれも研究者の養成が主な目的でした。 教育審議会において大学院における教育研究の在 しかしながら、科学技術の発展や国際化という時 り方について検討が進められており、これからの 代の流れのなかで、大学院を学部教育の延長とし 大学院では研究者養成だけでなく、高度な専門的 て捉え、高度な専門的職業人を養成するという教 職業人を養成するためにも、特色ある多様な教育 育機能も強く求められるようになってきました。 プログラムを用意することが求められるようです。 本学の工学部では6学科体制で学部教育を実施 一つの専攻のなかに学部∼修士一貫教育による専 しています。今回、学部教育と一貫性のある大学 門的職業人養成プログラムと修士∼博士一貫教育 院教育プログラムが実施できるよう、工学研究科 による研究者養成プログラムが並立することも考 博士前期課程を5専攻から6専攻(一部の専攻で えられます。 は学生定員増)としました。 本学では今年度の修士課程の改組により専門的 農学部では獣医学科を別として4学科体制で学 職業人育成プログラムがスタートしますので、次 部教育を実施しており、ほぼそれに対応するよう の目標として、地域に根ざし世界に通用する研究 に農学研究科修士課程を3専攻から5専攻としま 者育成のために学際的な大学院博士課程の構築に した。特に国際化時代の留学生のニーズに応え、 向けた検討を開始しています。そこでは宮崎の地 水産科学専攻で水産学修士が取得できることになり、 理的特性を活かしながら、生命、環境、資源、エ また全ての専攻で農学修士の他に学術修士を取得 ネルギーなどの21世紀の地球的課題を多角的に研 ネルギーなどの21 ネルギーなどの 21世紀の地球的課題を多角的に研 世紀の地球的課題を多角的に研 できることになりました。 究できるような、農学・工学融合型研究科や医学・ 医学部では2001年に開学した看護学科一期生の 医学部では 医学部では2001 2001年に開学した看護学科一期生の 年に開学した看護学科一期生の 獣医学融合型研究科などが構想されております。 大学院修士課程の改組 大学全体の新旧対照表 改 組 前 学 部 教 育 文 化 学 部 医 学 部 大学院修士(博士前期)課程 地域文化課程 学校教育専攻 (6) 学校教育専攻 (8) 生活文化課程 教科教育専攻 (32) 教科教育専攻 (30) 医科学専攻 (15) 医科学専攻 (15) 看護学専攻 (10) 物質工学専攻 (30) 応用物理学専攻 (15) 電気電子工学専攻 (27) 物質環境化学専攻 (21) 土木環境工学専攻 (18) 電気電子工学専攻 (27) 土木環境工学専攻 (18) 社会システム課程 医学科 看護学科 物質環境化学科 電気電子工学科 土木環境工学科 機械システム工学科 情報システム工学科 機械システム工学専攻(15) 情報工学専攻 (8) 食料生産科学科 農 学 部 大学院修士(博士前期)課程 日本語支援教育専修 学校教育課程 材料物理工学科 工 学 部 平成17年度から 機械システム工学専攻(15) 情報システム工学専攻(18) 生物生産科学専攻 (21) 生物環境科学科 農林生産学専攻 (40) 地域資源管理科学専攻(12) 地域農業システム学科 生物資源利用学専攻 (15) 森林草地環境科学専攻(10) 応用生物科学科 動物生産学専攻 水産科学専攻 (12) 応用生物科学専攻 (21) 獣医学科 (21) 太字は新設・改組された修士(博士前期)課程 大学院修士課程の改組 本研究科は、学部における専門教育又は教職経 験の基礎の上に、確かな教育観と幅広い視野を持ち、 高度の専門知識、研究力及び実践力を備えて学校 教育をはじめ教育の諸分野において教育研究の中 核となり、併せて地域文化の向上に寄与しうる人 材の養成を目的としています。このため、専修ご とに、教育問題に関心のある人、教師を目指して いる人、各教科の内容に興味を持ち深く研究する 意欲を持つ人などを求めています。 20世紀後半以降、日本国内における外国人定 住者は増加の一途をたどり、外国人児童生徒が増 加しています。また、海外からの帰国児童生徒も 増加しています。しかし、それらの子ども達に対 する教科指導、生活指導に必要とされる日本語支 援教育の知識・能力を身につけた教員の養成は、 まだ本格的には進められていない状況です。 このような情勢の中、教員養成系の大学・学部 としては初めて、日本語支援教育を前面に打ち出 した大学院の専修を設置することにしました。こ の専修は、既設の大学院教育学研究科学校教育専 攻内に設置されるので、日本語教育関連科目と必 要な他の科目を履修すれば、教員免許状が専修免 許状となるカリキュラムを準備しています。また、 全国で初めて、文化庁推奨の日本語教育の5分野 を網羅した幅広い教育内容を揃えていると同時に、 外国の日本語教育系学部と連携してより高度な教 育方法の開発や学生・教員交流を行う条件づくり も行われており、日本語支援教育については満足 のいく教育環境を整えることができたと考えてい ます。 文化庁(平成12年)により新たに提示された、日本語教育に必要とされる5領域 (「言語」「言語と教育」「言語と心理」「言語と社会」「社会・文化・地域」) にわたる幅広い教育内容に沿ったカリキュラムが特色です。本専修の領域区分の「言 語教育」「言語文化」「言語心理」「国際文化」「文化共生」は、この文化庁によ る領域にほぼ対応させたものです。このように広い領域を1つの専修でカバーする カリキュラムは、他大学の研究科には見られません。以下はそれぞれの領域におけ る授業科目名です。これに加えて、課題研究の修士論文を執筆することになります。 大学院修士課程の改組 「言語教育」日本語教育学特論、比較言語教育学特論、日本語教育実習 「言語文化」日本語教育文法特論、言語本質論特論、言語教育学特論、翻訳論特論 「言語心理」日本語習得研究特論、異文化理解教育特論、文学と社会特論、 日本人論 「国際文化」アメリカ言語文化特論、中華文化圏研究特論、 ヨーロッパ言語・文化特論、アフリカ論特論、 イスラム言語・文化特論 「文化共生」キリスト教研究特論、多文化共生論特論、植民地文学研究特論、 言語教育政策研究特論、多民族文化教育特論、ジェンダー論特論、 人間共生教育論、人間共生教育特論演習 次のような可能な進路の中から、各大学院生の定める目標に沿った進路指導を行 うことにしています。 (1)日本語支援、教科学習支援、国際理解教育に従事する幼小中高の教員。 (2)国際交流、地域外国人住民支援を担当する国家及び地方公務員。 (3)各種一般企業(製造業、マスコミ関係、旅行業、商社)、特にそこでの外国 人雇用者対象の日本語研修担当者。 (4)国内外の民間の日本語学校や介護・看護学校等の日本語教師、海外の養幼小 中高及び大学の日本語教員、国際支援機関(JICA、国際交流基金など)の職 員やその機関派遣の日本語教育専門家(海外青年教師、日本語教育専門家、 青年海外協力隊員、等)。 (5)地域ボランティア団体、国際交流団体でのボランティア日本語教師。 (1)「学校教育専攻」における国内初の「日本語支援教育専修」であること。 (「日本語教育」という教員免許状はないことから、文部科学省は、教員免許 状を前提とする学校教育専攻での日本語教員養成をこれまで認めてこなかった。 「日本語支援教育専修」はその壁を打ち破った国内初のケースです。) (2)幼小中高の「専修免許状」が取得可能なこと! (既に。種の教員免許状等を持っている場合、修士号と共にその専修免許状が 取得可能になっています。これも日本語教員養成における全国初のケースです。) (3)13人の教員による教育研究指導体制が組まれていること! (13人もの教員スタッフを擁する日本語教員養成プログラムは全国的にも極 めて稀なケースです。) (4)「日本語教育能力検定試験」にも対応していること! (文化庁提示の5領域をカバーしていることから、その5領域に基づく日本語 教育能力検定試験にも対応していることになります。) (5)国内外における「日本語教育実習」を実施すること! (宮崎大学を含む国内の日本語教育実施機関での実習、及び大学間協定校であ る外国の大学での教育実習を計画しています。) (6)さまざまな分野の現職教員・社会人・一般学生の入学を歓迎すること! (日本語教育の幅広い領域に鑑み、さまざまな知識・経験を持つ人材を積極的 に受け入れることにしています。 大学院修士課程の改組 生命の尊厳を基盤に、生活する人々のQOL(クオリティー・オブ・ライフ)の 向上を目指して、批判的思考や高度な問題解決能力を持って看護の方法を探究・実践・ 開発できる人材を育成し、地域の保健・医療・福祉の向上と看護学の発展に寄与し ます。 各種の医療機関、保健・福祉施設、行政、教育・研究機関等において、倫理観を 基盤にしたクリティカルな思考や問題解決能力を有し、看護実践・指導・研究・教 育ができる人材を育成します。 高度医療・専門分化の一方で、高齢・少子化、慢性疾患の増加、入院期間の短縮 化と在宅療養の推進、家族機能の変化と介護負担の増加、社会病理現象の増加など、 急速な社会情勢の変化の中で、人々の健康生活へのニーズは多様化し、看護職はそ の対応を迫られています。このようなニーズは宮崎県においても同様であり、当学 科は高度専門医療機関と教育体制を背景にして、大学院の教育・研究領域を以下の 2分野4領域の構成にしています。 『基盤看護学』:看護の対象理解を基盤として人間の個体特性と看護・医療組織に 関与する集団特性、及び地域における生活者の広域的・社会的特 性を重視した教育・研究を行う分野で、システム看護学と地域生 活看護学の2領域です。 『実践看護学』:ライフサイクルの視点から対象を捉えた実践的な研究を行い、看 護介入に必要な理論と技法を各専門領域毎に探究し、より先進的 な看護実践能力を開発する分野で、ストレス対処看護学と母子健 康看護学の2領域です。 10名(「社会人特別選抜」による募集人員若干名を含みます。) 大学院修士課程の改組 区 分 必 修 科目名(単位) 単位数 専門領域の特論(2)、演習(2)、特別研究(10) 14単位 専修科目 専門領域及び専門領域外の授業科目 選 択 共通科目 看護倫理実践論*、医療安全管理論、看護情報論、 看護研究方法論、看護コンサルテーション論、 看護実践方法論 〈医科学修士課程開講科目〉 医の倫理学、人体構造学、人体機能学、病理・ 病態学、社会医学、基礎生体科学、スポーツ医 学、臨床薬理・薬剤学 合 計 6単位以上 10単位以上 *は必須科目 〈 医科学修士課 程開講科目 〉に 関しては上限4 単位まで 30単位以上 多様な社会のニーズに答えるために、看護及び関連領域の学部卒業生のみならず 各種医療・保健・福祉の現場で働く社会人を受け入れ、相互交流により広い視野に 立脚した実践的な学問の探究ができる場とします。このため社会人特別選抜入試や 大学院設置基準第14条による教育方法特例に基づく昼夜開講制度、長期にわたる教 育課程の履修制度を導入し、働きながら修学可能な道を設けています。社会人特別 選抜を志願できるのは、一般選抜入試の出願資格のいずれかに該当する者で、看護師、 保健師または助産師の免許を有し、看護関係業務の実務経験が3年以上ある方です。 社会人特別選抜や昼夜開講、長期履修制度及び専門教員の配置など、入学者のニ ーズに対応できる修学支援を整備しています。また、修了後は大学病院や国公私立 の医療機関等の指導者や管理者、保健福祉施設等、行政機関などの指導者など、専 門性の高い看護実践者として活躍の場は広く多様です。さらに看護の高等教育機関 の拡充とともに看護学の教育・研究を担う人材が求められており、本課程修了者の 活躍の場は期待できます。 大学院修士課程の改組 前世紀の科学技術の発展は、社会と科学技術と の関係ばかりでなく地球規模の環境までも大きく 変化させました。つまり、人類の新しい英知の獲 得や人類繁栄の可能性の広がりという“光”をも たらすとともに、資源エネルギー不足、地球温暖化、 水や食糧資源確保の必要性など人類が抱える“影” の側面も深刻になってきています。これらの問題 点を克服し、地球規模から地域までの環境の改善 を図りながら人類の生活と福祉を充実させるため には、科学技術の一層の発展が必要とされます。 とりわけ工学分野の教育研究のあり方もこの様な 社会の要請に応えることが求められます。この状 況の中で、宮崎大学工学研究科博士前期課程は 2005年度に改組を行います。以下にその概略を紹 介します。 改組による学生定員の動きは次の通りです。物質環境化学、応用物理学そして 情報システム工学専攻の三専攻で定員増を行いました。他の専攻は、組織は従来 のままですが教育内容に一層の特徴を出すようにしました。 旧専攻名 旧定員 定員 増加数 3 対応学科 の学生数 50 15 物質環境化学専攻 21 3 70 電気電子工学専攻 27 0 90 18 土木環境工学専攻 18 0 60 15 機械システム工学専攻 15 0 50 8 情報システム工学専攻 18 10 60 114 16 380 30 電気電子工学専攻 27 土木環境工学専攻 機械システム工学専攻 合 計 学生定員 応用物理学専攻 物質工学専攻 情報工学専攻 改組後の新専攻名 98 合 計 また、入学者状況は右の図の通りです。 時代に即した高度専門技術者 養成の社会的要求 もあり、進学希望 者が年々増えてい ます。またリカレ ント教育(ステッ プアップ)のため の社会人入学の方 も未だ数名ですが、 今後更に増えるこ とが期待されます。 (人) 200 180 160 140 120 100 80 60 40 20 平成11年度 平成12年度 平成13年度 平成14年度 平成15年度 学生定員 博士後期課程進学 入学者 0 入学志願者 大学院修士課程の改組 新しい工学研究科博士前期課程の教育システムと教育目標の特徴は以下の通りです。 ①学部で学んだ専門基礎知識を発展させ、先端専門分野の科学技術を習得出来る ような教育を行います。 ②新しい教育システムにより、社会や産業界からのニーズが高い新分野及び融合・ 境界分野の教育を、専攻を越えた連携により積極的に行います。 ③企業などの基礎研究部門や応用技術開発部門で中心的役割を果たせる高度専門 技術者を育成します。 ④課題探求とその解決能力を習得して、創造性と研究計画立案の能力を育成します。 ⑤社会人や外国人留学生を積極的に受け入れて先端科学技術教育を行い、国内外 で活躍できる人材を養成します。 このため、学部学科に積み上げる形式で博士前 期課程の専攻を立ち上げながら、専攻を越えた協 力の下で、融合領域、境界領域の教育研究を活性 化させるような体制を取ります。具体的には、次 の表に示されるように、各専攻において学部と連 携した専門教育履修コースを構築すると共に、博 士前期課程における他専攻および他研究科等との 連携を中心とした新しい融合分野履修コースも発 足させます。これらの履修コースについては、そ れぞれその教育内容や養成する具体的人材像につ いて学生及び社会に対しても明示し、一般、社会 人を問わず学生の皆さんの指針とします。 各専攻の履修モデルと、連携して教育を行う研究科、専攻 専 攻 教育研究分野(履修モデル) 連 携 専 攻 等 応用物理学 応用物理学専攻 物質環境化学専攻 電気電子工学専攻 物性物理学 電気電子工学、物質環境化学 医学物理学 医学研究科 材料化学 電気電子工学、応用物理学 機能化学 物質化学 生物工学 農学研究科 機能性電子材料工学 物質環境化学、応用物理学 電子システム工学 情報システム工学 電気エネルギー インテリジェント電子情報工学 情報システム工学 土木環境工学専攻 土木環境工学 農学研究科 機械システム工学専攻 機械システム工学 医学研究科 基礎情報科学 情報システム工学専攻 応用情報システム 総合情報システム 電気電子工学、医学研究科 大学院修士課程の改組 旧農学研究科は3専攻(学部教育の学科に相当)からなり、研究留学生の受け入 れなどを活発に行ってきました。しかし、平成12年の学科改組に対応せず、学生定 員も充足できず、近年の社会動向への対応も必要とされはじめました。そこで、教 員の持てるポテンシャルを最大限に生かし、現代ニーズに合致した研究指導分野を 包含する、学生定員10∼20名程度の5専攻(生物生産科学専攻・地域資源管理 科学専攻・森林草地環境科学専攻・水産科学専攻・応用生物科学専攻)が構想され ました。この新しい修士課程では、専門性の特化を計ると共に、地域社会でのニー ズにも応えられる人材養成機関を目指すこととしました。 修士課程の修了要件としては、2年以上の在籍、研究科共通科目および専攻の必修・ 選択科目を含む30単位以上の取得、修士論文審査・最終試験の合格があげられます。 授与する学位は修士(農学)、修士(水産学)および修士(学術)のいずれかであり、 それぞれの専門分野によって、取得単位および研究テーマが異なります。 特に、修士(学術)は、職業高校などの教育的分野を志向する学生・社会人や帰 国後に指導的研究者となるような外国人留学生に適した学位として、各専攻の必修 科目を履修する以外に、他専攻の幅広い科目からも10単位以上を履修し、学際性の ある研究テーマや基礎科学的分野の研究を取り扱うことを求めています。 新しい農学研究科は、専門性の高い5専攻を備え、高度で先端的な科学技術を修 得できる大学院教育を行います。そこでは、陸域・水圏を問わず、生物生産、生物 資源利用、環境保全などに積極的に取り組み、将来の食と健康を担うべき農学分野 での高度な専門的技術者・指導者あるいは研究者の育成を目指しています。また、 農林水畜産業の生物生産から生物資源の利活用までの探求を通して、地域社会から 国際社会まで幅広く活躍する人材を育成します。 そこで農学研究科では以下のような人を積極的に受け入れます。 1.農学分野の学部レベルの専門知識を修得し、さらに高度の学究に努めたい人 2.他専門分野で学んだ知識を生かして、農学分野で新たに活躍したい人 3.社会の経験を有し、さらに農学分野の科学知識を深めたい人 4.食料・環境・生命・資源の関連科学分野において、国際的に活躍したい人 大学院修士課程の改組 大学院は学部と異なり、その教育目的は、さまざまな専門分野における研究者養 成および高度な専門技術や知識を備えた人材の養成です。10年ほど前から大学院教 育のあり方が検討しなおされ、特に専門職大学院として、国家資格試験と連動する ような法科や会計分野の研究科の設立が目立ちますが、なかには助産学やメディア デザインといった従来にない大学院教育分野まで包含されています。 他方、農学分野では、高度な遺伝子関連技術・国際的な競合関係・地球規模の環 境問題・動物が媒介する感染症などさまざまな側面で、生産現場での高度な専門的 知識が人材養成に要求されています。このため、従来の枠にとらわれず、宮崎大学 の持ちうる力を結集して、これらの問題に対処できるような新しい大学院への飛躍 が求められています。特に、地域に立脚しながら、国際社会も視野に入れた、斬新 な博士課程大学院を、農学部・工学部を中心に医学部・教育文化学部とも協力して、 企画しているところです。 ともすれば、純粋な研究機関と混同される大学院の組織は、本来人材養成が目的 であり、「教育のために組織編成される」という原点に立ち返ることにより、農学 分野ばかりでなく宮崎大学全体の目的がより明確になり、将来への展望も開けるも のと考えています。 (新)農 学 研 究 科 修 士 課 程 専 攻 と 学 科 お よ び(旧)研 究 科 専 攻 と の 関 係 食料生産科学科 学生定員:60名 生物環境科学科 学生定員:65名 地域農業システム学科 学生定員:55名 応用生物科学科 学生定員:55名 生物生産科学専攻 学生定員:21名 学 生 の 進 路 農学部 上記4学科 学生定員:235名 地域資源管理科学専攻 学生定員:12名 森林草地環境科学専攻 学生定員:10名 水産科学専攻 学生定員:12名 応用生物科学専攻 学生定員:21名 教 員 の 配 置 (新)農学研究科 学生定員:76名 農林生産学専攻 学生定員:40名 生物資源利用学専攻 学生定員:15名 動物生産学専攻 学生定員:21名 (旧)農学研究科 学生定員:76名 農学研究科の改組の趣旨 新世紀の農学の課題 *地球環境問題* 森林の喪失 陸域の浸食 緑地の砂漠化 海面上昇 人畜感染症・動物疾病の脅威 輸入農産物 生産者責任 違法漁業 偽ブランド 産地偽装 大学教育 生命科学・環境科学が特色 生産フィールド 河川 平成15年10月 宮崎大学・宮崎医科大学の統合 *食料問題* 農地 草地 池沼 海洋 地域生態系 森林 地域資源 環境保全 地域立脚型農業 大学院教育 農工一体型博士課程の構想 農学教育 修士修了者の社会的ニーズ増大 危機管理 国内農業圧迫 流通破壊 口蹄疫・BSE 豚コレラ 鳥インフルエンザ コイヘルペス 食料自給 安定供給 安全性確保 近代先進国型農業 宮崎地域における農林水畜産業を支える教育研究の発展 ・ 国 際 交 流 推 進 室 ・ 本学の国際交流活動について 大学の国際交流活動には、大別して、①学術交流(国際共同研究・ 研究者交流)、②学生交流(外国人留学生の受入れと、日本人学生の 海外派遣)、③国際開発協力(開発途上国支援)という3つの分野が あります。 一方でここ数年来、従来まで大学の「国際化」あるいは「国際交 流活動」と漠然と言い習わされてきた上記の各種活動が、「国際戦略」 とより具体化されるようになってきました。ここで「国際戦略」とは、 「従来、各部局・各研究室で個々に実施されてきた国際交流活動を、 大学全体の長期的ビジョンのもと、全学的・戦略的に推進し、もっ て大学の国際競争力を強化する」という意味です。 こうした状況変化のもと、本学では昨年4月1日の国立大学法人化を機に新たに国際交流推進室を立ち上げ、 教員及び職員(国際交流係・留学生係)が一体となって、この3つの分野それぞれについて全学的・機動的な国 際交流活動を企画・実施しています。 学術交流 本学は、海外の29大学等と国際交流協定を締結しています(平成17年1月1日現在)。国別では、中国7、 タイ4、インドネシア3、韓国2、台湾2、フィリピン2 等となっており、地理的・歴史的な関係から、東ア ジア・東南アジアの大学等を中心に、研究者交流や共同研究、研究情報や資料の交換等を活発に行っています。 今後は、国際開発協力の観点から、中南米諸国の大学等との連携も視野に入れた活動を展開する計画です。 学生交流 本学には、23ヶ国から90名の外国人留学生が在籍しており(平成17年1月1日現在)、国別では、中国 43名、マレーシア8名、韓国6名、インド4名、インドネシア・ベトナム各3名 等となっています。また、 海外の7大学と学生交流協定(授業料等相互不徴収)を締結し、現在、4大学に6名の宮大生を派遣しています。 うち、韓国・嶺南大学校とは、平成12年から異文化交流体験学習の一環として短期学生交流を実施しており、 今年度は両大学10名の学生が相互訪問しました。 本学の外国人留学生は、県内の小中学校における各種国際交流事業や、国際 交流団体が開催する国際理解事業等に積極的に参加し、地域社会の国際化 にも貢献しています。また、宮大生による国際交流活動として国際医学生 連盟( ‘IFMSA’International Federation of Medical Students' Associations) の活動があり、医学部を中心に、臨床実習交換留学への参加や、基礎医 学研究交換留学生の受入れ等、活発な取組を展開しています。 今後も、学生交流協定(授業料等相互不徴収)締結校を拡大するなどし て、外国人留学生の受入れ増を図る一方、宮大生の海外留学についても十分 な海外留学情報を提供し、より活発な学生交流をサポートする方針です。 学生交流協定(授業料等相互不徴収)締結校 大学名 国・地域 順天大学校 韓国 エヴァグリーン州立大学 アメリカ ダニーデン教育大学 ニュージーランド 東呉大学外国語文学院 台湾 プリンス・オブ・ソンクラ大学 タイ ボゴール農科大学 インドネシア チュラロンコン大学獣医学部 タイ 締結部局 大学間 教育文化学部 教育文化学部 教育文化学部 医学部 農学部 農学部 MIYADAI TSUSHIN 国際開発協力 本学は、平成15年10月の宮崎大学と宮崎医科大学との統合以前から、JICA(国際協力機構)やNGO等と 連携しながら、開発途上国に対して積極的な国際開発協力を展開しており、その取組は大学評価・学位授与機構 からも高い評価を得ています。 各学部での国際開発協力における代表的な取組 教育文化学部 医学部 工学部・農学部・医学部 農学部 ガーナの理数科教育支援プロジェクト メキシコでの顎口虫症対策、フィリピンにおける肺吸虫症対策 バングラデシュ、ネパールの地下水砒素汚染対策 アルゼンチン、ベトナム、タイ、ニカラグア等への専門家派遣 今後は、本学の特色ある教育・研究資源や国際開発協力分野での 経験を生かし、開発途上国からの研究者・研修員を受入れる教育プ ログラムを開設することも視野に入れて、より積極的な国際協力・ 国際貢献を展開する予定です。 また、国際交流推進室では昨年末ホームページを開設し、学内外 の国際交流に関する各種情報を随時公開しています。各種助成金・ 奨学金や国際交流イベントに関する情報など幅広く掲載しています ので、ぜひご覧ください。 国際交流推進室ホームページ:http://www.of.miyazaki-u.ac.jp/~kokusai/kokusai.html 国 際 社 会 共同研究・ 研究者交流 留学生の受入れ・ 宮大生の海外派遣 開発途上国に対する 国際貢献 国 際 戦 略 の 3 本 柱 学術交流 学生交流 国際開発協力 宮 崎 大 学 国際交流推進室 国際戦略の企画・立案 教 員 教育文化学部・医学部 職 員 (国際交流係・留学生係) 工学部・農学部 宮崎大学の国際競争力の強化 学外との連携 地域の国際化への貢献 他大学 政府機関 地方公共団体 国際交流団体 NGO ボランティア団体 地域社会 ・ 附 属 図 書 館 ・ 附属図書館は、本館(木花キャンパス)と医学分館(清 武キャンパス)から構成されており、宮崎大学における教 育・研究を支援する組織として、また地域に貢献する組織 として活動しています。 主なサービスとして、資料(図書や雑誌)の貸出・返却、 オンラインによる資料検索、文献複写の依頼・受付などを 実施しています。 近年、教育の支援については学生用図書の充実、研究の 支援については電子ジャーナル(学内限定でオンラインで 利用できる学術雑誌)の整備等に重点を置いています。地 域への貢献については、地域住民の方々への図書の貸出な どを実施しています。 図書館の利用の仕方、文献の探し方などでわからないこ とがありましたら、直接、カウンターでたずねるか、電話、 電子メール等でお問い合わせください。 〈問い合わせ先〉 利用サービス係(木花キャンパス) 電話:0985-58-7147、FAX:0985-58-2880 E-mail:[email protected] 医学利用サービス係(清武キャンパス) 電話:0985-85-9201、FAX:0985-84-1756 E-mail:[email protected] ・保健管理センター・ 保健管理センターが学生及び教職員の心身の健康保持と増進を目的に設置されて今年で27年になります。 主な業務 ①大学の保健管理の計画立案 ②健康相談及び精神衛生相談 ③健康診断 ④健康の保持増進に必要な指導助言 ⑤環境衛生並びに伝染病の予防及び対策についての指導助言 ⑥保健管理・安全衛生に関する専門的な調査研究など 学生および教職員にとってセンターが『ホームドクター』 の役割を担えるよう全スタッフが日々努力しています。最近 の取り組みは、大学を挙げての禁煙運動、生活習慣病予防の ための肥満対策、および、心理カウンセリングの拡充などで 少しずつ効果が出始めていると思います。また、地域に開い た保健管理センターとして、禁煙指導、生活習慣病予防、メンタルヘルスなど出前講座 も積極的に行いたいと思いますので、興味のある方は是非ご連絡ください。お待ちして おります。 〈問い合わせ先〉電話:0985-58-3423(文責:保健管理医、助教授 江藤敏治) ※地域共同研究センターについては、前号でご紹介したため、今回は掲載しておりません。 MIYADAI TSUSHIN ・生涯学習教育研究センター・ 生涯学習教育研究センターは、本学が生涯学習を通じ て社会貢献を進めるための機関として、生涯学習支援に 関する調査研究、公開講座の企画・運営、指導者養成事 業、学生指導、情報提供・相談事業などを行っておりま す。 平成16年度は、大学全体として公開講座の一層の推 進を図るとともに、県民の学習ニーズに応え、本学教員 の進んだ研究成果を公開するために、「みやざき夏期大 学」「生命の営みと健康・食生活」「高校生のための大 学公開セミナー」(年3回)、宮崎まゆみ教授ゼミの「音 楽配達便」との共催による子どもを対象とした事業など を実施しました。 また、1月には、韓国国立順天大学の公開講座受講者 をお迎えして、宮崎市民・本学公開講座受講者等との交 流事業も実施しております。 ▲高校生のための大学公開セミナー風景 (右側は宮崎まゆみ教授) 〈問い合わせ先〉電話:0985-58-7427 E-mail:lifelong@ of.miyazaki-u.ac.jp ・総合情報処理センター・ 本センターは、宮崎大学のネットワーク、情報処理教育システム、共同利用計算機システムの構築と管理運用 を行う学内共同利用施設です。本センターでは、次の業務を主に行っています。 (1)学内ネットワークの構築および管理運用 (2)学術情報処理および情報処理教育の支援 (3)対外ネットワークへの接続および運用管理 (4)ネットワークオペレーションセンターの管理運用など、 地域情報ネットワーク支援 (5)全国共同利用大型計算機センターとの連絡業務 (6)次世代ネットワーク試験など、情報関連技術の研究 開発 これらの業務を通じて、学内のみならず宮崎地域の教育 研究活動に広く貢献しています。特に、宮崎地域インター ネット協議会(MAIS)、宮崎情報ハイウェイ21(MJH21)、 日本ギガビットネットワーク(JGN)との連携を通して、 宮崎地域のインターネット技術普及の中心的役割を担って います。 詳細はホームページをご覧ください。(http://www.crc.miyazaki-u.ac.jp) ・大学教育研究企画センター・ 大学教育研究企画センターは、本学の学生・教職員はもちろん、社会や高校生の希望なども聞きながら、宮崎 大学の教育のあり方を調査・研究して、教育の改善を企画するためのセンターです。学生の入学や進路選択を研 究する部門、教養教育などのあり方を研究する部門、教育方法の改善などを研究する部門及び教育の評価を研究 する部門の4部門があり、連携する委員会と相談しながら、教育の改善を図っています。 平成16年度は、次のような活動をしてきました。 1.小・中・高の教育に関する相談の受付(センターのホームページをご覧下さい。) 2.学生の意見を教育の改善に反映させる「学生・教職員教育改善専門部会」の設置 3.進学説明会、出前講義、オープンキャンパスなどの改善に関する検討 4.高校での履修科目や進学動機などの調査と、それに関わる教育の改善に関する検討 5.高等学校の学習指導要領が変わったことに対応する大学教育の改善に関する検討 6.自学自習環境の整備とネットワークを使用した学生サービスの充実 7.地域の高等教育機関の連携(「高等教育コンソーシアム宮崎」)の推進 ・フロンティア科学実験総合センター・ 当センターは生命科学の研究を行う「生命科学研究部門」と教育・研究活動を支援する「実験支援部門」で構 成され、各部門・分野の目標・役割は次の通りです。 生命科学研究部門 3分野で構成され、「生理活性物質探索分野」は生理活性ペプチドの研究で世界に誇りうる成果をあげてきた 旧宮崎医科大学の実績を踏まえて、新規の生理活性ペプチドの探索と機能解析の研究、「生体機能制御分野」は クロマチンの構造変化と生体システムの制御機構の研究、「生命環境科学分野」は微生物ゲノムの解析、感染症 の成因・病態の解明と分子疫学、治療法の開発研究などを行っています。これらの研究は21世紀COEプログラ ム「生理活性ペプチドと生体システムの制御」の中核を成すものです。 実験支援部門 旧宮崎大学と旧宮崎医科大学の5つの附属施設を有機的に再編し たもので、4分野で構成され、それぞれ木花分室と清武分室から成 り、独自の研究を行うとともに、広範な研究・教育活動を支援する ことを主な目標とします。「生物資源分野」は実験動物の保存・供 給と動物実験の支援と教育訓練、「分子生物実験分野」は動植物か ら微生物までを対象にした分子生物学的実験の支援と教育訓練、「機 器分析分野」は分析機器の管理、生命科学、材料科学、環境科学な どを対象にした機器分析実験の支援と教育訓練、「RI実験分野」は RIの安全管理、安全なRI実験の支援と教育訓練などを担っています。 教育文化学部 社会学・経済学講座 社会学ゼミ(戸島ゼミ) ん。演習では学生の問題関心にそって、 環境問題、ジェンダー問題、少子・高 齢社会問題等を取り扱い、卒業論文で は学生の問題の発見を重視しており、 今年度の対象は、都市・農村交流、子 社会学ゼミの特徴は、社会問題を実 ていることです。社会問題の中で、社 育て支援、フリーター、情報社会論、 体的・実践的に理解することを目指し 会学の対象にならない問題はありませ 住宅問題、皇位継承問題、ストリート ミュージシャン、アニメ文化、化粧、 ギャンブルといった具合です。担当教 員は地域社会学と、家族社会学を専門 領域にして、地域コミュニティやジェ ンダー(男女共同参画社会)の問題に 取り組んでいます。町内会や老人クラ ブの調査、むらづくりコンクールの審 査、男女共同参画社会についての講演、 地方最低賃金審議会等社会貢献の活動 も行っています。 不妊症の診断・治療法開発、再生医療 医学部 医学科 解剖学第一講座 などへの応用が期待されます。 当研究室は本年4月から「解剖学講 座分子細胞生物学分野」として新たな スタートを切ります。これからも私た 私たちの研究室では、1)脳の難病 す。細胞培養、遺伝子組換え技術、分 ちは、国内外に発信できる質の高い独 の発症メカニズム解明(今泉和則教授 子生物学、生化学、動物発生工学、モ 創的な研究を展開していきます。 グループ)と2)不妊疾患の発症メカ ノクローナル抗体作製、免疫組織化学、 ニズム解明(吉永一也助教授グループ) 電子顕微鏡など分子細胞生物学および を目指した基礎的研究を行っています。 形態学的な 現在のメンバーは大学院生3名と研究 手法を駆使 室配属学部学生3名を加えた11名で して個体か す。各々の出身大学や学部学科は異な ら遺伝子レ りますが、さまざまな生命現象に興味 ベルについ を持つ研究者(学生)が夢と希望と情 て研究を行 熱をもって全国から集結しています。 っています。 主な研究テーマは、1)神経変性疾 こうした基 患の発症メカニズム解明とくに「小胞 礎医学研究 体から発信される細胞死および生存シ の成果は、 グナルの解析」2)生殖細胞形成と受 アルツハイ 精のメカニズム解明とくに「精子形成 マー病など 細胞の増殖・分化シグナルの解析」で 脳の難病や 工学部機械システム工学科 設計システム工学講座 材料研究室 た製紙工場から再生紙を製造する過程 で発生する大量の汚泥もまた環境汚染 の原因となり、それらの処分が急務と なっています。フライアッシュは火力 発電所で石炭が燃焼した際に排出され 研究代表者 池田 清彦 研究テーマ エコマテリアルとしてのセラミックスの開発 る石炭灰のことで、廃棄物の量が莫大 であるばかりでなく重金属やダイオキ をいれているのは産業廃棄物の シンなど有害物質を含有しているため 有効利用の立場からエコマテリ 環境に与える影響は深刻です。そこで アルとしてのセラミックスを開 私たちは、環境汚染防止、廃棄物有効 発することです。現在、具体的 利用の立場から鶏糞焼却灰、再生紙ス に取り組んでいるのは「廃棄物 ラッジ焼却灰については、粘土と配合 焼却灰を利用したエコタイルの させることによりエコタイルを、フラ 開発」と「フライアッシュを利 イアッシュについてはそれを溶融して 用したガラスセラミックスの開 ガラス化して有害物質を取り除いた後、 発」です。宮崎県は有数の畜産 再加熱することにより高強度を有する 私たちの研究室ではセラミックスを 県ですが、そのため大量に排出される ガラスセラミックスを開発し、構造用 中心とした新素材の開発および応用に 鶏糞は近隣に悪臭を放つのみばかりで 材料として再利用することをめざして 関する研究をしています。特に最近力 なく、環境汚染の原因となります。ま 研究を行っています。 再生紙スラッジ焼却灰を利用したエコタイル する注射ワクチンを世の中に最初に送 農学部生物環境科学科 水産科学講座 水族防疫学研究室 り出し、優れた感染防御効果が認めら れたことから、関係業界からも高く評 価されています。 このように、私たちの研究室は環境 私たちの研究室は、養殖対象魚介類 ともに、宮崎県の特産品として、さら に配慮しながら、魚介類の持続的養殖 の疾病の防除について研究しています。 には日本のエビ養殖産業を支える集約 をトータルにコーディネートする戦略 おもに、伊丹が担当する無脊椎動物(ク 的稚エビ供給基地として、「日向灘産 で研究に邁進しております。 ルマエビ類、アコヤガイ等)と、吉田 健康クルマエビ」をアピールしたいと 教 授:伊丹 利明 が担当する魚類(ブリ、ヒラメ等)に 考えています。 助教授:吉田 照豊 ついての研究に分かれます。 魚類研究におきま クルマエビ類の疾病研究につきまし しては、養殖海産魚 ては、分子生物学的手法を用いた高感 の細菌感染症の感染 度病原ウイルス検出法の開発や免疫賦 機構について研究す 活物質によるウイルス病の防除などに るとともに、感染を ついて精力的に研究を進めています。 予防するために魚類 16-17年度は宮崎県戦略的地域科学技 の免疫機構を利用し 術振興事業の補助を得て、日向灘産の たワクチンの開発に クルマエビが他の海域のエビと比較し も主眼をおいて研究 て優れた形質を持つ集団であることを しています。最近では、 証明しております。今後、この結果を ブリ属魚類に適用さ クルマエビの資源管理にも応用すると れるレンサ球菌に対 お 知 ら せ ! 課外活動等のお 知 ら せ 部活動&サークル活動 アメリカンフットボール部 宮崎大学 Bacchus 私たちアメリカンフットボール部 いスポーツであり、ほとんど やってみよう!と思いやってくるのが のプレーヤーが未経験者で、 大半を占めています。それと、大きな みな同じスタートラインから 男たちも初めから大きな奴等なわけで 始めることが出来るのです。 はありません!大きくなるんです。な また、アメフトはトータルフ ぜか…、急に。皆さんが興味を持たれ ットボールであり、ラン(走 たとしたら、私どもにぜひ声をお掛け り)・コンタクト(当たり)・ ください。熱くお迎えいたします!ま パス(配球)・キャッチ(捕 た、大学生活で何か熱中できるものを 球)・キック(蹴り)など様々 探すことは自分への‘大きなプラス要 な要素が含まれています。また、TV 素’になると思います。 や雑誌などで見かけるアメフトのイメ それでは最後に、現在、宮崎大学 日の週4回活動しており、近年の‘ア ージとして、皆さんは「巨大な男同士 'Bacchus'は九州学生アメリカンフッ メフトブーム’にのり、着実に部員数 のぶつかり合い、おもしろそう、熱い! トボール連盟の1部リーグに所属して が増加してきています。 やってみたい!パス投げたい、捕って います。一昨年1部昇格、昨年一部リ それでは、‘アメフト’について少 みたい!でも、痛そう、激しそう」な ーグ5位と毎年着実な進歩を遂げてい し、説明させて頂きたいと思います。 ど様々な意見があると思います。入部 ます。そして目標に向けこれからも躍 アメフトは大学でしかなかなか出来な してくれる人達には、面白そうだから 進していきたいと思います。 'Bacchus'は、部員22名で火、木、土、 小野田寛郎先生が宮崎大学農学部を訪問! 農学部生物環境科学科 明石 良 投降し、30余年振りに日本に 間もなくして実兄が先に移民していた 帰国した。当時、私は13歳で この地に移り住み牧場経営を行う傍ら、 あったがこのニュースに全国民 青少年の育成のために「財団法人小野 が驚いたことを覚えている。 田塾」を日本で設立し、半年をブラジ 私は、昨年の9月に(独)農 ルで残りを日本でという生活をされて 研機構国際農林水産業研究セン いる。先生は牧場を自ら開拓し牧草導 ター(JIRCAS)の専門家とし 入から育成に関わる経験から、ご高齢 て南米ダイズプロジェクトの一 にも関わらず開拓を試みる若者の指導 平成16年10月25日に財団法人小野 環としてブラジルのカンポグランジ市 も積極的に行っている。このことを讃 田塾長小野田寛郎先生が宮崎大学農学 に あ る 肉 用 牛 研 究 セ ン タ ー えられて、昨年9月にカンポグランジ 部自然共生フィールド科学教育研究セ (EMBRAPA)に派遣され、そこで 市民栄誉賞を授与された。また、12 ンター住吉フィールドを見学され、農 先生に出会った。カンポグランジ市は、 月にブラジル空軍に自分の牧場を演習 学部長に表敬訪問された。 サンパウロから西に1,000キロほど内 地として提供したためブラジル空軍か 小野田先生は、元陸軍少尉で太平洋 陸にある南マットグロッソの州都で、 ら最高勲章である「サントス・ドゥモ 戦争の末期に陸軍中野学校を卒業後、 近くにはパンタナール ン勲章」も授与された。 フィリピン・ルバング島に遊撃戦指導 や近年注目を集めてい 先生のこれまでの功績 の任務を受け派遣された。しかし、終 る観光地ボニートへの を心からお祝い申し上 戦による任務解除を受けることなく、 観光拠点であり、有数 げますとともに、宮崎 密林で孤独の戦いを続けていたが、 の畜産地帯でもある。 大学へ再度の訪問を願 1974年に戦時中の上官の命令に従い 小野田先生は、帰国後、 っております。 郷土・文化史■宮崎と「新しき村」 郷土・文化史■ 宮崎と「新しき村」 大正七(1918)年十一月、白樺派の中心的な作家 であった武者小路実篤によって、宮崎県児湯郡木城村石 河内字城に理想主義的な集団「新しき村」がつくられま した。生まれや階級や性差を越えて、人間の個性と生命 をお互いが尊重するという一つの理想のもとに結集した 共生農園の誕生でした。当時からこの「新しき村」は理 想的で甘いという意見がありましたが、彼らは税金も払い、 徴兵制にも応じるなど世俗との寛容の精神を持ち合わせ ていましたので、国家や地元の人々との激しい抗争もなく、 全国から理想を求めて若い人々が集まりました。実篤は 大正十五年、この村を離れますが、彼とともに暮らした 青年たちは、八年間で約100人いました。厳しい規則など なく、ある意味で出入り自由なこの空間は、社会から差 別を受けているハンセン病患者、障害者、あるいは夜逃げ、 家出人をもやさしく受け入れる無差別、平等のユートピ アの空間でもありました。実篤は、この地で代表的な作 品『友情』『人間万歳』などをつぎつぎに書き上げました。 昭和十四年、ダム工事のため、村は東の埼玉県に移住し ましたが、杉山正雄夫婦(妻房子は実篤の元妻)が残り、 今は、松田省吾夫妻など四名ほどでこの日向の「新しき村」 は維持、運営されています。 教育文化学部教授 前田 角蔵 写真は峠の展望台から撮った現在の村の全景。 ■編集後記 新しい広報誌をお届けします。本号は、特集 として大学院修士課程の改組について掲載しま した。また、宮大通信や附属施設等の記事も掲 載しておりますので、これらの情報が地域およ び学生の皆様方の活性化に役だって頂ければ幸 いに存じます。記事を執筆していただいたに方々、 お忙しいところご協力いただき、ありがとうご ざいました。この場を借りて感謝申し上げます。 なお、今後も広報誌を役に立つ面白いものにし たいと思っております。皆様の御要望やアイデ アをお待ちしております。
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