応用情報技術者 (PDF 223KB - アイテック

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平成25年度秋期
応用情報技術者試験
分析速報
2013,10,20
(株)アイテック
教育研究開発部
1.新試験全体講評
平成 25 年秋期応用情報技術者試験の全体概要について述べます。
出題範囲の各分野からの出題数は,テクノロジ系 50 問,マネジメント系 10 問,ストラ
テジ系 20 問で前回と変わりません。今回の試験は平成 25 年の 4 月に行われた出題範囲変
更後の最初の試験でしたが,出題内容が変更された分野についても大きな変化はありませ
んでした。
午前試験については,今回新傾向問題といえる新しいテーマは 11 問ほどで,前回の試験
とほぼ同じ数になっています。全体を通して過去に出題された問題がやや多いと感じる内
容でしたが,基本情報技術者試験レベルの易しい問題が,前回の試験よりも多かったとい
えます。前回,前々回の応用情報技術者試験の午前問題は,必要とする 60 点以上の得点者
が約 4 割と厳しい結果でしたが,今回の午前試験の難易度は前回よりもやや易しくなった
と思われます。
午後の問題は,今回の試験から,午後問題のストラテジ分野問題が減り(従来の問 3),
全部で 11 問の出題に変わりました。これまでストラテジ系問題を 2 問選択していた受験者
には得点しづらくなったといえます。選択問題は基本的に自分が得意とする分野を選択す
るので,中には難しいと思われるテーマの出題もありましたが,それぞれの問題で合格水
準の 6 割以上正解を目指すという観点から見ると,例年と変わらない難易度だったと思わ
れます。なお,解答で記述する字数が最近増えていることと,高度系の午後Ⅰ問題に近い
難しい内容の設問も含まれていることがあり,設問すべての正解は難しくなってきていま
す。このような出題傾向を理解して,自分の得意分野の問題で確実に正解を増やしていく
ことが大切です。
2.午前試験の講評
今回の応用情報技術者試験の出題内容に関して,新傾向問題と言える問題には,次のよ
うなものがありました。
問 13 RAID0 と RAID1 の機能を同時に満たす実効データ容量
問 21 OSS ライセンスの適切な組合せ
問 23 RTC(Real-Time Clock)の説明
問 28 RDBMS のコストベースのオプティマイザの機能
問 43 ディジタルフォレンジックスでハッシュ値を利用する目的
問 44 パスワード不正取得の攻撃と対策の組合せ
問 61 IT ポートフォリオの説明
問 66 製品のスケールメリットとシナジー効果
問 70 プロダクトイノベーションの例
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問 72 インターネットオークションのエスクローサービス
問 73 VICS の説明
内容はテクノロジとストラテジ分野の問題で,午前試験の出題範囲が改訂されたマネジ
メント分野では新傾向問題はありませんでした。
この中では,問 21 の OSS ライセンス,問 23 の RTC(Real-Time Clock),問 66 のスケ
ールメリットとシナジー効果,問 70 のプロダクトイノベーション,問 73 の VICS の内容
が他の試験も含めて初めての出題内容です。試験対策としては,日頃から新しい用語にも
関心をもって知識を吸収しておく必要があります。
出題形式に着目して午前試験の問題内容を見てみると,今回は文章問題が減り,用語問
題が増えています。中には初めて出題された用語もありますが,全体としては解きやすく
なっているといえます。
午前問題の出題比率は次のような結果でした。
分野
テクノロジ系
マネジメント系
ストラテジ系
大分類
基礎理論
コンピュータシステム
技術要素
開発技術
プロジェクトマネジメント
サービスマネジメント
システム戦略
経営戦略
企業と法務
合計
25 年秋
9
15
20
6
4
6
5
8
7
80
分野別
50
10
20
80
(25 年春)
8
16
20
6
4
6
6
7
7
80
中分類で出題内容を見てみると,セキュリティ分野の出題が今回減り 7 問でした(前回 9
問,前々回 10 問)。特別に多い出題数とはいえなくなったと言えます。その他の分野は出
題数の増減は±1 問程度で,大きな変化はありません。
問題の難易度については前回よりも易しい問題が増えたといえますが,一方で高度系試
験の午前Ⅱレベルの難しい問題も増えています。
(高度系試験の午前Ⅱレベルの難しい問題)
・テクノロジ分野
問4
論理式の真偽
問 20 コンパイラの意味解析のフェーズで行う処理
問 21 OSS ライセンスの適切な組合せ
問 23 RTC(Real-Time Clock)の説明
問 28 RDBMS のコストベースのオプティマイザの機能
問 31 SQL 文と同等の結果が得られる関係代数式
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問 33 復元されたデータのビット誤り率の計算
問 45 E-R 図の解釈
問 48 テストで除去すべきソフトウェア誤りの比率計算
問 49 分岐網羅と条件網羅を満たすテストデータの組
・マネジメント分野
問 52 プロジェクト全体の完了までの日数計算
問 53 EVM における EAC の計算
3.午後試験の講評
応用情報技術者試験の問題は,受験者によって選択する問題や,各テーマに関する学習
内容が異なるので,試験問題の難易度を一概に述べることはできませんが,ここ 2,3 回の
問題と比較して,解答に苦慮するような難問が少なかったと思います。試験に備えてきち
んと学習した受験者が,その努力に報われるような結果を得られる問題であったという印
象です。また,最近は記述する字数の多い記述問題が増えているので,記述の練習を十分
にした受験者には有利だったと思います。
(問 1,問 2 から 1 問選択)
問 1 事業戦略と経済性計算(経営戦略)
メーカ企業でシェア拡大のための投資案を正味現在価値法によって評価するという事例
を中心とし,経営戦略分析についての知識や貸借対照表の項目に対する知識などの設問も
織り込んだ問題でした。いずれも経営戦略関連の基本的な知識があれば,それほど難しく
ない設問だったといえます。
問 2 リストによるメモリ管理(プログラミング)
リストによるメモリ管理をテーマとする問題で,アルゴリズム自体は単純なものでした。
空欄に入れる字句を答える問題がほとんどで,その解答はポインタや,バイト数(領域の
サイズ)の計算でした。頭の中だけで考えると混乱しますが,手を動かして簡単な図など
を書き,落ち着いて整理すれば正答を導けたと思います。
(問 3~11 から 5 問選択)
問 3 サーバ仮想化(システムアーキテクチャ)
サーバの仮想化をテーマとして,システム構成の名称,必要な CPU 数の算出,仮想サー
バの配置,ハードウェア点検とセキュリティパッチの運用などについて問われました。設
問 1,2 のシステム構成の名称や,CPU 数の計算については比較的容易でした。一方,設
問 3,4 は字数の多い記述を求められたので,計算問題を中心に学習した受験者には難しか
ったかもしれません。
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問 4 ネットワーク障害対策(ネットワーク)
設問 1,設問 2,設問 4 については,TCP/IP 通信の基本的な問題だったことから,比較
的,正解を導きやすい問題でした。しかし,設問 3 については,購買部の PC から購買部の
FS にはアクセスでき,総務部の PC から購買部の FS には通信できないというトラブルの
原因となる,設定誤りを考える必要があり,少し難易度の高い問題といえます。
問 5 レンタルビデオ管理システム(データベース)
レンタルビデオ管理システムをテーマとし,定番の E-R 図,SQL 文が出題されました。
しかし,それに加えて,システム上の問題点,運用上の問題点について,それぞれ 40 字の
記述が求められました。いずれも問題文をよく読めば解答は分かる内容ですが,E-R 図と
SQL を中心に学習した受験者は,記述量の多さに戸惑い,難しく感じたと思います。
問 6 ネットワークを使用するインターホンの設計(組込みシステム開発)
ネットワークを利用したインターホンの設計をテーマとする問題でした。問題文の内容
を示す状態遷移図内の空欄を埋める問題や,LED の点灯色,送信するメッセージの名称な
ど,いずれも問題文中から該当部分を見つければ正解できる内容でした。ただし,問題文
の記述内容が紛らわしく読みにくいので,根気と読解力が必要でした。また,マイコンに
関する専門知識は必要とされなかったので,この分野の選択を予定していなかった受験者
にも取り組めたと思います。
問 7 ソフトウェアの機能規模の見積り(情報システム開発)
ファンクションポイント法を用いたソフトウェアの機能規模見積りの問題です。新試験
制度になってから,設計以外の問題が出題されたのは初めてです。ファンクションポイン
ト法の概要を理解していれば容易な内容であったと思います。設問 1 が 40 字の記述と字数
が多く戸惑ったかもしれませんが,それ以外は,問題文をよく読めば正解できる比較的容
易な問題でした。
問8
Web サイトのセキュリティ強化策(情報セキュリティ)
Web サイトのセキュリティ強化策として,HTTPS,Web サーバの DMZ からの分離,
WAF 機能を持つリバースプロキシの導入することを題材にして,セキュリティに関する知
識が問われました。正解するためには知識が必要となりますが,逆に正しい知識があれば
確実に正解できる問題で,難問は含まれていませんでした。
問 9 プロジェクトの人的資源管理(プロジェクトマネジメント)
不動産情報サービス会社で新たなタブレット形PCを用いる情報登録・更新を行う機能
を追加開発するときの要員編成を事例として,作業を担当するメンバに必要スキルや配置,
責任分担表(RACI チャート)の利用など目新しい問題でした。しかし,問題文をよく読ん
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で状況を正しく理解すれば解答できたと思われます。
問 10 情報システムのサービスレベルの設定(サービスマネジメント)
オンラインの受注管理システムに関するサービスレベル設定の問題です。ほとんどサー
ビスレベルの分類や設定項目とその評価項目について問われていますが,問題文をよく読
めば解答は難しくなかったでしょう。ただし,達成度評価のためにシステムに追加すべき
機能を問う設問 3 は,解答の記述方法が難しかったと思われます。
問 11 ソフトウェア保守の監査(システム監査)
ソフトウェアの保守の管理にまつわるリスクに関する監査を題材として,問題文から問
題点を見つけて改善策を考え,解答する問題でした。不都合な事象の発生に対応するため
の監査ではないので,解答は比較的容易だったと思います。なお,予防的コントロールと
発見的コントロールという観点からの改善勧告を解答する設問は目新しいものでした。
以上
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