教師力向上支援事業派遣研修報告書 1.所属・職・氏名 2.研 修 期 間 3.調査研究課題 4.研修機関等 富山県立富山高等学校 教諭 松井昭博 平成23年11月25日(金)~平成23年12月5日(月) 11日間 ヨーロッパ・ドイツのスポーツクラブにおけるバスケットボールの年齢段階 における指導実践の状況視察及び研究 S-Oliver.Baskets.Wuerzburg (ドイツのプロバスケットボールクラブ) 5.研修の概要 バスケットボールといえばアメリカが発祥の地であり世界最高リーグであるNBAをトップに大学、 高校はじめ大変レベルの高いチームやコーチがいる。私自身も18年前にアメリカに行きNBA、大 学、高校のゲームや練習を視察しその後も多くのアメリカのコーチ、選手から情報を得、刺激をうけ てきた。それが富山インターハイ、2000年富山国体へ向けての競技力向上に役だった。 その後、富山県はもとより日本のスポーツ界においてもジュニア育成の重要性が説かれ、特にヨ- ロッパの総合スポーツクラブやプロチームのユース育成が日本でも紹介されている。 バスケットボール界においても近年ヨーロッパのチームや選手の活躍がめざましい。そこでヨーロ ッパスタイルのバスケットボールやジュニア層の育成状況さらにはスポーツがいかに文化として社会 にとけこんでいるかなどをぜひ視察したいと思い本研修を計画した。 (1)S-Oliver.Baskets.Wuerzburgの紹介 ドイツのヴュルツブルグ市(人口 13 万人)をホームとするプロバスケットボールチーム。前身の チームが解散してしばらくチームがなかった状態から再結成し4部からスタート、今年1部に昇格し た。昨年NBAのMVPを獲得したダ-ク・ノビツキーの出身クラブでもある。トップチーム、ファ ームチーム、アカデミ-(U19・U16・U14)チームから構成されている。 (2)指導者、関係者との交流 ジョン・パトリック(トップチームのヘッドコーチ) アメリカ出身、名門スタンフォード大でキャプテンをつとめ、卒業後日本の近畿大学で東洋文化 を学ぶ。その後、ジャパンエナジー、丸紅等で選手として活躍した。さらに、トヨタ自動車の監 督として日本一を達成。2006年よりドイツのプロ1部チームの監督としてヨーロッパカップ 3位、今年より名門再建を託されS-Oliverの監督に就任した。 *研修の計画および現地での設定を全面的に協力してもらった。 トップチームのアシスタントコーチ,トレーナー他スタッフ(フロント陣等)選手 U19,U16,U14のスタッフ、選手 U14の保護者 *たくさんの人との交流からたくさんのことを見聞きすることができた。 (3)ゲーム、練習視察 ジョン・パトリック氏のはからいでこちらの希望する視察はすべてOKであった。 ブンデスリーグの公式戦、アカデミーの各年代の練習、アリーナおよび練習場施設、住居、非公開 のチーム練習のビデオ録画や公式戦のミーティング、次に対戦するチームの分析会議(私の意見を 求められた場面もあった) 、選手のコンデショニングデーター分析(私のデータも分析してもらった) チームの経営面での工夫(施設、経費、運営、選手契約、アカデミーの子供たちの生活等) 毎日、時間単位で各年代の練習があり毎日顔をあわせていると順調にいっていることばかりでなく 選手やコーチの苦労や悩み等も感じられ現実的な場面にも遭遇することができた。 (4)ドイツのスポーツ文化 人気のサッカー、バスケットボールなどのプロスポーツはホームチームを中心に週末のゲームは 大変な盛り上がりである。常に総立ちで歌いながらの老若男女一体の熱狂的な声援に圧倒され、わ が街のチームを誇りにおもいそして楽しんでいる様子がうらやましかった。子どもたちは日本と違 い学校の部活動ではなく地域のスポーツクラブ(文化的な活動も同じ)で各種のスポーツ(文化) 活動をおこなう。私の視察したプロスポーツクラブのアカデミーにはこの一般クラブからトライア ウトで選考された将来性豊かな者が所属することになる。アリーナでU19の練習がおこなわれる 前に一般クラブがフットサルをおこなっていた。メンバーの年齢構成は広く男女一緒に楽しんでい た。 以前、 オーストラリアに行った時に高齢者が朝間ラグビーをおこなっていたことを思い出した。 小さいころからスポーツに親しみ技術が身についているから体力差があっても楽しめるようだ。ジ ュニア層の指導はパワーやスタミナ勝負ではなく神経系のトレーニングと技術練習が主である。 (5)ドイツのくらし 美しい街並み、教会を中心とした歴史を感じさせる中心広場、そして運良く訪ねた日(土曜日) から始まったクリスマスマーケットに集うたくさんの人をみかけた。その中でも背筋をぴんと伸ば しにこやかに歩く多くの老夫婦が印象的であった。聞くところによると学校や職場は平日では日本 より朝早く始まり終了時間が早い。その後スポーツや文化活動をおこない早く寝る人が多いそうだ。 健康的でゆとりを感じるのはこのためかとも思った。 (6)研修をおえて 大変貴重なみのりのおおい研修であった。この成果を高校の生徒の部活動指導、体育指導はもち ろんいろいろな分野で還元しなければいけないと思っている。 先日、富山グラウジーズのオフィースにて経営スタッフに運営面の工夫例を紹介した。今後、県 協会の強化関係者として各年齢層の指導者・選手への講習会、国体チームのスタッフとしての活動 指導に生かしていきたい。また、バスケットボールやスポーツ面のみならずグローバルな視点をも ち私自身の人間的な成長の糧としたい。このような研修をおこなう機会をもうけていただきありが とうございました。
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