極微細加工レジスト材料の研究 Study on Resist Material for Ultrafine

機器利用
F 阪大 H20-004
極微細加工レジスト材料の研究
Study on Resist Material for Ultrafine Fabrication
古澤
孝弘、大西
亮輔、岡本
一将、田川
精一
Takahiro Kozawa, Ryosuke Ohnishi, Kazumasa Okamoto, Seiichi Tagawa
大阪大学産業科学研究所
ISIR, Osaka Univ.
レジストの高機能化の手法として、溶液にナノコンポジットを添加する手法がある。本研究では、化
学増幅型レジストである UVIII 中で添加剤としてフラーレンが与える影響について調べ、化学増幅型
レジスト中へのプロトンのダイナミクス、酸損失に対する影響について明らかにした。
Incorporations of nanocomposite into resist solutions have been used as a method for improvement of its
performance. In this study, we investigate the influence of fullerenes as an additive into chemically amplified
resist, UVIII. The dynamics of proton in the chemically amplified resist, the acid loss, has been clarified.
背景と研究目的:
化学増幅型レジストは現在、半導体製造用微細
加工材料として利用されており、今後も重要な材料
として認識されている。化学増幅型レジストは露光
により酸が生成し、露光後加熱することで触媒とし
て作用し、パターンが形成される。現在、大量生産
ラインでは最小で約 45 nm のサイズ以下の加工が
行われているが、デバイスの高性能化や高集積化
などの要求を満たすためにより微細かつ精密なパタ
ーン形成が求められている。加工寸法の微細化に
伴い、パターン倒れが問題となっており、膜厚の低
減が行われている。そのためにレジストのエッチン
グ耐性を増加させる必要性がある。そのため、レジ
ストにフラーレン等のナノコンポジットの添加 1)やフ
ラーレンをレジストとして用いる研究 2)がなされてき
た。本研究では、化学増幅型レジスト中に電子線
照射により生成する酸を定量し、フラーレン添
加によるプロトン捕捉効果について調べた。
実験:
ポジ型の化学増幅型レジストである UVIII (ロ
ームアンドハース)を用い、酸の指示薬に
coumarin 6 (C6)をそれぞれ使用した。フラーレン
は UVIII の溶媒である酪酸エチルに可溶なフロ
ンティアカーボン社製の J204 および NSH304 を
用いた。レジスト溶液を石英基板に塗布し、ス
ピンコーターで薄膜作製を行った。薄膜を 115℃
でプリベークした後、電子ビーム描画装置で 75
keV、10 µC/cm2 の条件で照射した。照射後、可
視分光光度計およびレジスト薄膜の膜厚を触針
型膜厚測定器 Dectak3ST(ULVAC)で測定し、
それらにより酸の生成量の定量を行った。感度
は、同様の手法にてシリコンウエハー上に薄膜
形成後に露光後、115℃にて PEB 後、2.38NTM
A H ア ル カ リ 水 溶 液 に て 30s 現 像 を 行 い 、
Dectak3ST を用いて膜厚を測定した。
結果、および、考察:
0.4
UVIII
UVIII/H340 0.5%
UVIII/H340 2.0%
UVIII/J204 0.5%
1
0.3
UVIII
Δ OD
0.25
UVIII+NS H340
0.2
UVIII+J204
0.15
0.1
Thickness (normalized)
0.35
0.8
0.6
0.4
0.2
0.05
0
400
0
450
500
Wavelength /nm
550
Fig.1 Absorption spectra of UVIII resist films containing
C6 and fullerenes on quartz substrate after exposure to 75
keV electron beam.
サンプルに電子線を照射すると、レジスト高分子より
生成したプロトンが C6 に移動し、C6 のプロトン付
加体 (C6H+)が生成し、吸収が 533 nm に現れる。3)
その吸収波長の吸光度、膜厚、モル吸光係数を用
い、Lambert-Beer の法則より酸発生量を定量した。
Fig. 1 に C6 を 0.125 wt%、フラーレンをそれぞ
れ UVIII 溶液に対して 0.25 wt%添加した結果を
示す。フラーレンを添加することによって C6H+
の収量が減少することが分かった。特に強い塩
基性を示すピペラジンを含む J204 は強いクエン
チャーとして働いていることが分かった。
Fig.2 にフラーレンを添加した際の感度曲線を
示す。J204 は 0.5wt%添加によって感度の低下が
見られたのに対し、NSH340 は、わずかに感度の
上昇が見られた。しかし、NSH340 を 2.0wt%添
加した系においては、J204 同様に感度の低下が
見られた。従って、NSH340 は、適切な濃度範囲
においては感度を劣化させずに添加できること
が明らかとなった。
今後の課題:
フラーレンを添加した系におけるエッチング耐
性の評価を行うと共に解像度および LER,LWR
等のラフネスへの影響を調べる必要性がある。
参考文献
1) Tetsuyoshi Ishii, Hiroshi Nozawa and Toshiaki
Tamamura, Appl. Phys. Lett., 70 (1997), 1110.
2) Francis P. Gibbons, Alex P. G. Robinson, Richard
E. Palmer, Sara Diegoli, Adv. Func. Mater. 18
(2008) 1977 and references therein.
3) Hiroki Yamamoto, Takahiro Kozawa, Atsuro
Nakano, Kazumasa Okamoto, Yukio Yamamoto,
Tomoyuki Ando, Mitsuru Sato, Hiroji Komano, and
Seiichi Tagawa: Jpn. J. Appl. Phys. 43 (2004) L848.
0
20
40
60
80
100
120
ٛ C/cm2
Fig.2 Sensitivity curves of UVIII resist films with and
without fullerenes. Resist thickness before exposure to the
electron beam is about 200 nm.