KEEP -71 - 中央林間病院

中央林間病院
広報誌
2008. Summer
No.7
〒242-0007神奈川県大和市中央林間 4-14-18
TEL 046 ( 275 ) 0110
URL http://www.hospital-crg.net
医師紹介 ①
当院では、毎週月曜 午前中(予約制)に麻酔科外来(ペインクリニック)を
実施しています。 今回は担当の常勤医師 外丸 輝明 医師を紹介します。
当院ではこれまで非常勤でしたが、平成20年4月より常勤の麻酔科医として
勤務しております外丸と申します。
麻酔科の仕事については一般にはまだよく知られていない部分も多く、麻酔
科医は手術室で注射一本で患者さんを眠らせているだけの単純な作業を行っ
ていると思っている人が多いのも事実です。
手術室で行われている“麻酔”を一言でいえば、術者に良い手術野を提供し
つつ、手術侵襲から患者さんを守ることといえます。具体的には、種々の方
法で手術による痛みを取り、必要に応じて、意識を消失させ、筋肉を弛緩さ
せたりして患者さんを手術をやり易い状態にして、且つ、出血、時には心停
止などの様々な緊急事態に対処し、呼吸、循環を主体とした全身状態を安定
させることです。
このため麻酔管理は多くの知識と技術が必要となり、ストレスも多いので
す。 最近ではメタボリックシンドロームに代表される生活習慣病が増加し、
高齢化社会を迎え、重大な合併症を持つ患者さんが多く、麻酔管理が難しく
なり麻酔科医のストレスが増大しています。
麻酔科の仕事の主体はこの麻酔管理ですが、これだけではなく、麻酔管理で
の全身状態の管理にたけていることから“集中治療”に、緊急事態の対処に
慣れているので“救急医療”に、また局所麻酔法の技術を応用して痛みの治
療“ペインクリニック”へと麻酔管理の知識と技術を生かして手術室の外へ
も活躍の場が広がっています。
私は長年大学の麻酔科にいて、手術室の麻酔管理とともにペインクリニック
にも携わっていたので、当院でもペインクリニックに力を入れたいと考えて
います。 痛みは本来危険を知らせる生体の防禦機構ですが、慢性化したり、
癌の痛みのような原因の治療ができない痛みは、痛み自体が治療の対象とな
ります。 当院では必要があれば他科にもコンサルトしながら総合的に痛みを
治療したいと思っています。 痛みでお悩みの方は一度ペインクリニックを訪
ねてみて下さい。
循環器内科 樋口 智章
今回は毎年、死亡者も多数報告がある“熱中症”について書いてみました。少しでも
お役に立てればと思いますので参考にしてみて下さい。
<熱中症>
高温環境下で、体温の調節機能が破綻するなどして、体内の水分や塩分(ナトリウムなど)
のバランスが崩れ、発症する障害の総称です。
<熱中症の症状と重症度分類>
Ⅰ度の症状:めまい・失神(「立ちくらみ」という状態で、“熱失神”と呼ぶことも
あります。)
筋肉痛・筋肉の硬直(「こむら返り」のことで、発汗に伴う塩分(ナトリウ
ムなど)の欠乏により生じます。“熱痙攣”と呼ぶこともあります。)
Ⅱ度の症状:頭痛・気分の不快・吐き気・嘔吐・倦怠感・虚脱感(体がぐったりす
る、力が入らないなどがあり、“熱疲労”と言われた状態です。)
Ⅲ度の症状:意識障害・痙攣・手足の運動障害(呼びかけや刺激への反応がおかしい
体にガクガクとひきつけがある、真直ぐ走れない、歩けないなど。)
高体温(体に触ると熱いという感触です。従来から“熱射病”や“重度
の日射病”と言われていたものがこれに相当します。)
Ⅰ度の床状があれば、すぐに涼しい場所へ移り体を冷やすこと、水分を与えることが
必要です。そして誰かがそばに付き添って見守り、改善しない場合や悪化する場合に
は病院へ搬送します。Ⅱ度やⅢ度の症状であればすぐに病院へ搬送します。
<熱中症の応急処置>
これからの暑い時期に上記症状が出現し、熱中症が疑われたときは下記の対応をすば
やく行う事が重要です。
①涼しい環境への避難 ②脱衣と冷却 ③水分・塩分の補給 ④医療機関へ運ぶ
以上の4点になりますが、熱中症は命を奪うことがあります。軽く考えずに休息、水
分補給、塩分補給で改善がなければ医療機関を受診、迅速な対応を行う事が大切です。
<熱中症の予防>
これからの暑い時期、水分補給(出来れば電解質の入ったスポーツドリンク等)を心
がけ、脱水状態にならない様にすることが一番の予防になります。さらに暑い環境
(直射日光を受ける場所、風通しの少ないところ、閉切った室内*)を避ける事も重
要です。いずれにしても体調が優れない場合は医療機関に早めに相談する事が大切で
す(入院しなくても済むように、早めに外来で対応したほうが良いですよ。)
(*なお、高齢者は、温度に対する皮膚の感受性が低下し、暑さを自覚できにくくな
るので、部屋に「温度計」を置き部屋の温熱環境を把握することも重要です。)
病院のホームページが新しくなりました!
今年5月に当院のHPを全面リニューアルしました!
親しみやすく、やわらかい雰囲気をイメージし作成しました。
休診・代診のお知らせをはじめ、各種ご案内・外来担当・Dr紹介 等を随時更新し
ていますので是非一度ご覧ください。当紙(Keep)もご覧いただけます。
【 ホームページアドレス 】 http://www.hospital-crg.net/
医師紹介 ②
循環器内科 平野 雄一 医師
火(PM)・水(PM)・木(AM)・ 土(AM)
に外来を担当
循環器内科、内科の平野雄一と申します。
昨年の8月からほぼ一年間こちらでの勤務をいたしております。こちらに来る
前は茨城県つくば市で同じく循環器内科を診察しておりました。一口に循環器
内科と申しましても其の範囲は広大であります。酸素をたくさん持った血が心
臓から流れ出て大動脈を通り、動脈に入り体の隅々を潤して静脈で心臓に帰っ
てくる、其の後に肺に酸素をとりに行く。この血の流れ道を整えてやるのが私
たちの仕事と考えています。
昨今メタボリック症候群関係の報道が増えたこともあり、血圧への関心は非常
に強まっております。高血圧は脳梗塞、脳出血、心臓病、腎臓病を引き起こす
悪魔のように報道されております。
では血圧とはなにものでしょうか?
血圧=抵抗×血液量
これが血圧の正体です。つまり、抵抗または、血液量が増えることにより血圧
は高くなってしまうのです。
ではどうするとこれらはふえてしまうのでしょうか?
抵 抗:動脈硬化、肥満(脂肪が増えると其の脂肪を栄養するために網細血管
が増える為)等
血液量:食塩の取りすぎ(塩が水分を血管に引き込む為)、水分の取りすぎ等
です。
この様なことが私たちは塩分を控えること、カロリーを取りすぎないこと、適
度な運動をすることを推奨している理由です。
そして、高血圧が長期間続きますと
① 動脈硬化の増悪
② 心臓自体が肥大してしまうために肝心のポンプとしての機能が弱ってしまう
③ 腎臓は細い血管が絡まり合って尿をこしだしているため、動脈硬化の悪化に
より尿が出せなくなってしまう
この様に体のあちこちに変調をきたすようになってしまいます。
血圧の薬は一度飲むと止められないとの恐怖をしばしばお伺いいたします。
薬を飲む必要があるのか、生活習慣の改善で薬は必要ないのかにつきまして、
もしよろしければ体の現状を勘案し、ご一緒に考えたいと思います。
後
宜
ヘルシートピックス
<糖質>
糖質は、人間が活動するのに大切な栄養素ですが、摂り過ぎると余ったブドウ糖
がグリコーゲンとして肝臓や筋肉に貯えられ、その量を超えた場合は脂肪として
体内に蓄積されます。そして、中性脂肪や内臓脂肪となりメタボリックシンドロ
ームの原因となります。ビタミンB1を十分に補給することにより、糖質を効率よ
くエネルギーにすることができます。
体内での働き⇒
・エネルギー源となる(糖質は1gあたり4Kcalのエネルギー)
・アミノ酸・糖たんぱく質・糖脂質・核酸成分など体の構成成分となる。
・ブドウ糖だけが、脳・神経系・赤血球・筋肉のエネルギーとなる。
・ブドウ糖グリコーゲンとして肝臓、筋肉に貯えられる。
・中性脂肪に変えられて体内に貯蔵される。
過剰症⇒
・体内に脂肪として貯蔵されるので、肥満の原因になる。
・砂糖の摂り過ぎは糖尿病、虫歯の誘引となる。
お薬コラム
暑い日が続きますが皆様いかがお過ごしでしょうか。
前回、4月号はお陰様で1,300部発行に至り、これからも皆様のお役に立てる
情報をお送りしていきたいと考えています。
今回は熱中症情報を掲載致しましたので、少しでも参考にして頂ければと思い
ます(熱中症が疑われる場合は早めに病院受診して下さい)。
今年の夏も体に気をつけて頑張っていきましょう!
編集後記
循環器内科
樋口 智章
〒242-0007 神奈川県大和市中央林間 4-14-18 TEL 046 ( 275 ) 0110
△発行 中央林間病院 医療連携室 △編集 中央林間病院 広報委員会
禁煙補助薬には一般の薬局・薬店で購入することのできるニコチンガム・ニコチンパッチのほ
か、医療機関で処方される飲み薬の3種類があります。
ニコチンガム・ニコチンパッチは「ニコチン代替療法」といって、禁煙開始時に現れるニコチ
ン離脱症状(たばこが吸いたい、イライラする等)に対して、ニコチンを喫煙以外
の方法で体内に補給することにより症状を軽減し、無理なく禁煙に導くものです。
これらの薬の使用中にたばこを吸うと体内のニコチン量が増し、頭痛や吐き気
などが現れるおそれがあります。
一方、飲み薬にはニコチンはまったく含まれておらず、脳のニコチンに関与する
部分にはたらいて禁煙によるニコチン離脱症状を軽減します。また、薬服用中
にたばこを吸うとたばこから得られる満足感が抑制されます。
禁煙のタイプや喫煙量、購入の手軽さなどにより薬を選ぶことができます。
当院でも禁煙外来を行っております。禁煙ご希望の方はご相談ください。
これらの薬を使用しても、必ずしも禁煙に成功するとは限りません。
薬はあくまでも禁煙を補助するためのもので、一番大切なのはご本人の
意志です。
KEEP 2008.Summer No.⑦ 2008.7発行 医療法人社団 三栄会 中央林間病院
食事と健康に関する情報をお伝えします