酵素基質を用いた微生物培地 微生物検査の 簡易化・迅速化 チッソ(株)横浜研究所 牛山正志 微生物培地 • 阻害剤 • 炭水化物から酸産生 • アミノ酸の脱炭酸 • pH指示薬 代謝産物に より判断 – 培地・コロニーの色で判定 • 微生物の酵素活性に より発色 酵素基質培地 • 微生物の生育を見やすくする – 多くの微生物で発色する基質 • テトラゾリウム塩、エステラーゼ、フォスファターゼの基質など • 特定の微生物だけを発色させる→判定が容易 – 微生物群の定義に基づく • 大腸菌群 – 目的の微生物がもつ酵素活性を検出 • 大腸菌など – 他に比べて強い酵素活性を検出 • 黄色ブドウ球菌など 酵素基質培地:高価であった 酵素基質価格低下 コスト減 微生物の生育を見やすくする • テトラゾリウム塩 – 微生物の代謝に伴いに還元されて色素ホル マザンを生じる。 • TTC→赤色 • INT→朱色 • テトラゾリウムバイオレット→紫色 – おもに一般生菌用、 – 大腸菌群用にも使用例あり。 微生物の生育を見やすくする • エステラーゼ、フォスファターゼ – 生きている生物は必ずもっている。 – 一般生菌、(非培養鏡検用) – 真菌(かび・酵母) • +クロラムフェニコール 真菌(かび・酵母)用 • X-アセテート、インドキシルアセテート など – エステラーゼ、リパーゼにより分解 CH 3 Cl – 青色スポット O Br H N O N H Cl Br Cl N H Br 特定の微生物だけを発色させる • 大腸菌群 – 乳糖を分解し、酸とガスを生じる通性嫌気性 グラム陰性無芽胞性桿菌。 – 乳糖を分解=βーガラクトシダーゼ活性 – グラム陽性菌の生育は押さえる。 • グラム陽性球菌にはβーガラクトシダーゼ活性をも つものがある。 大腸菌群用 • X-Gal β-ガラクトシダーゼ 青色スポット CH2OH O OH O H N beta-Galactosidase Br Cl O N OH N OH X-gal Cl O CH2OH Br O OH OH +O2 oxidation Cl Abs.615nm (Blue spot) OH OH Br 特定の微生物だけを発色させる • 大腸菌用 – EC培地44.5±0.2℃→EMB→IMViC試験→ – βーグルクロニダーゼ活性 • 大腸菌の95%以上がもつ • 他の腸内細菌科では一部のサルモネラ、赤痢菌、 エルシニアのみがもつ。 • グラム陽性菌の生育は押さえる。 • X-グルクロン酸塩など 特定の微生物だけを発色させる • 黄色ブドウ球菌用 – NaCl耐性 – マンニットより酸産生 – 高い酸性フォスファターゼ活性 • X-Phosなど • pH低下→緑色 乾式シート状培地 • 手軽に使える – 調製の手間不要 • 省スペース • 少廃棄物量 – シャーレの1/20以下 • 寒天培地と高い相関 – 定量性 • 種々の微生物用の開 発可能 • 酵素基質添加 • 長期保存が可能 シート状培地「サニ太くん」など シート状培地「サニ太くん」 透明フィルム 不織布 フィルム 水 溶 性 高 分 子 フ ィ ル ム(含 培 地 成 分) 粘着シート 不織布および試料液 試料液 1mL添 加 不織布 + 試料液 • • • • • • 一般生菌用 真菌用 大腸菌群用 大腸菌用 黄色ブドウ球菌用 サルモネラ用 水溶性高分子フィルムが TTC X-acetate X-Gal X-Glucronic acid X-phosphate 非酵素基質、H2S 試料液に溶解 水 溶 性 高 分 子 フ ィ ル ム(含 培 地 成 分) 培養 水溶性高分子培地成分溶液を含む不織布 微生物の生育は不織布表面上で赤色 (一般生菌 用)、青色(大腸菌群用、真菌用)、緑色(ブドウ球 菌用 )、黒色 (サルモネラ用 )スポットとして観察 される 図2. サ ニ 太 く ん の 基 本 構 成(透 明 フ ィ ル ム と 粘 着 シ ー ト は 不 織 布 高 分 子 フ ィ ル ム の な い と こ ろ で 密 着 し て い る) 一般生菌用 • TTC 8 8 7 7 サニ太くん一般生菌用 (logcfu/g) サニ太くん一般生菌用 2日(logcfu/mL) 標準法(標準寒天培地)との比較 6 5 4 3 y = 1.020 x - 0.165 R2 = 0.982 2 6 5 4 y = 0.977 x + 0.044 3 R2 = 0.993 2 1 1 0 0 0 1 2 3 4 5 6 7 8 0 1 2 3 4 5 6 7 標準寒天 2日(logcfu/mL) Plate Count Agar(標準寒天) (logcfu/g) AOACPTM認証 8 真菌用 • エステラーゼの基質 • 標準法より短い培養時間で発色 約3日 • より早く、2日間培養培地を検討中 2 サニ太くん 真菌用 3日 (logcfu/mL) サニ太くん 真菌用 2日 (logcfu/mL) ポテトデキストロース寒天とサニ太くん の比較 1 0 0 1 2 ポテトデキストロース寒天培地 5日 (logcfu/mL) 2 1 0 0 1 2 ポテトデキストロース寒天培地 6日 (logcfu/mL) 大腸菌群用 デソキシコレイト寒天培地 • X-Gal法 βーガラクトシダーゼ活性 (横浜市衛研HPより) • 青色コロニーを数える。判定容易 8 8 7 y = 0.95 x + 0.23 r=0.95 サニ太くん大腸菌群用(logcfu/g) サニ太くん大腸菌群用(logcfu/g) y = 0.94 x + 0.29 6 5 4 3 2 7 r=0.95 6 5 4 3 2 1 1 1 2 3 4 5 6 7 デソキシコレート寒天培地(logcfu/g) 8 1 2 3 4 5 6 X-Gal寒天培地(logcfu/g) 7 8 試料調製の差が現れにくい(サニ太くん) ほぼ同時に調製 焼き鳥 50g ←大腸菌群株 50g ←大腸菌群株 50g ←大腸菌群株 50g ←大腸菌群株 50g ←大腸菌群株 約1000cfu 約1000cfu 約1000cfu 約1000cfu ← 450mLPBS ← 450mLPBS ← 450mLPBS ← 450mLPBS ← 450mLPBS ストマッカー ストマッカー ストマッカー ストマッカー ストマッカー 培養 培養 培養 約1000cfu 順次調製 培養 培養 サニ太 くん 970 970 890 900 870 米国公 定法 1050 970 560 700 450 有意差あり cfu/g cfu/g HO OH 大腸菌用 H COOH H H H βーグルクロニダーゼ活性 青色コロニーが大腸菌 O HO Cl O Br H N H 30 サニ太くん大腸菌用 大腸菌数(cfu/mL) • • 20 10 0 0 10 20 XMG寒天培地 大腸菌数(cfu/mL) 30 サルモネラ • C8-エステラーゼ 特異性不十分 • 硫化水素産生 硫化鉄(黒色) 試料液 サルモネラ サルモネラ以外 黄色ブドウ球菌用 • • • グラム陰性菌の生育は押さえる マンニットから酸を酸性 酸性フォスファターゼ活性 H N Cl Br Cl O Br N H Cl O P ONa Br ONa N H 緑~青緑の コロニー 黄色ブドウ球菌用 特異性 • 陽性 – S.aureus – S.cohnii – S.xylosus – S.intermedius • 陰性 – – – – – Bacillus Enterobacteriaceae Micrococcus Streptococcus S.delphini(青色) – 左記、上記以外の Staphylococcus 乾式シート状培地「サニ太くん」 • • • • 調製の手間不要 省スペース 少廃棄物量 長期保存が可能 • 酵素基質添加 – 判定容易 – 見やすい • 寒天培地と高い相関 • 様々な用途に使える 自主検査に適す
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