第 24 回 西日本臨床小児口腔外科学会総会・学術大会 プログラム・抄録集 24th Annual Meeting of West-Japan society of Clinical Pediatric Oral and Maxillofacial Surgery 会 期:平成 25 年 11 月 16 日(土) 会 場:島根大学医学部臨床大講堂 大会長:関根浄治(島根大学医学部歯科口腔外科学講座 教授) 西日本臨床小児口腔外科学会 http://www.2566636.com/west/index.html 事務局 島根大学医学部歯科口腔外科学講座 [email protected] 目 次 ▎理事長挨拶・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4 ▎大会長挨拶・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5 ▎学会,役員会会場の案内・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6 ▎懇親会の案内・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8 ▎参加者へのお知らせとお願い・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9 ▎日程表・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10 ▎プログラム・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11 ▎大会長講演抄録・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17 ▎特別講演抄録・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 19 ▎第 2 回島根県歯科医師会・島根大学合同セミナー抄録・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 22 ▎シンポジウム抄録・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 23 ▎一般口演抄録・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 28 理事長 挨拶 西日本臨床小児口腔外科学会 理事長 木村 光孝 小児口腔外科は総合医療の時代,特に口腔医学の立場から乳歯列期,混合歯列期から永久 歯列期に至る全身の発育過程を小児歯科専門医と口腔外科専門医の連携により 4 つの柱を中 心として病態を診ることである. リンパ系では,12 歳前後,神経系は,学童期から思春期,一般系は 20 歳までに 2 回にわた る発育,生殖器系は思春期の発育が重要である. 小児口腔外科の方向性についてはグローバルな議論が必要である.口腔医学という細分化 された分野は全身の病態にとって手術とその管理は成長発育期の子どもをサイエンスするこ とにある. 今回の学会では会員一同にとって,地域医療を平等に提供することからも,学術的根拠に 基づいて知識を共有する場である.大いに期待している. - 4- 大会長 挨拶 第 24 回 西日本臨床小児口腔外科学会総会・学術大会 大会長 関根 浄治 西日本臨床小児口腔外科学会会員の皆様におかれましては , ますますご清栄のこととお慶 び申し上げます . 今回の学会を行なう 11 月 16 日は , 出雲では旧暦の神存月にあたり , 全国の 八百万(やおよろず)の神々が出雲に集っております . また本年は , 出雲大社の大遷宮として 社の改修も終わり , 様々な祭事が行なわれておりますので , お越しの際にはぜひご参拝頂けれ ばと思います. さて , 今回の学会のテーマは「小児を育むチーム医療とトータル・ケア」といたしました . 多くの先生方にお集り頂き , 特別講演 , シンポジウム , 島根県歯科医師会・島根大学合同セミ ナー , 大会長講演を予定しております . こどもたちの明るい将来とよりよい未来につながる 医療を提供するために , 多くの先生方の視点からチーム医療とトータル・ケアについてご講 演いただきます. 特別講演では,牧憲司先生(九州歯科大学), 高橋喜浩先生(大分大学医学部), 青木昭和 先生(益田赤十字病院)にご講演を頂きます. シンポジウムは ,「外傷歯への対応」をテーマに後藤修一郎先生(ごとう歯科クリニック), 吉田忠司先生(吉田歯科医院), 川鍋仁先生(いとう歯科医院), 曽我富美雄先生(九州歯科 大学), 長尾徹先生(岡崎市民病院)にご講演頂きます. 今回は , 西日本のみならず , 日本全国から多くの先生方にご参加申し込みを頂戴しました . 準備委員・実行委員を代表して , ご参加いただくみなさまに御礼を申し上げます . 心地良い風が頬を撫でる爽やかな秋の出雲へのお越しを , 八百万の神々とともに心よりお 待ち申し上げております. - 5- 学会の概要 学会会期:平成 25 年 11 月 16 日(土) 大 会 長:関根 浄治(島根大学医学部歯科口腔外科学講座 教授) テ ー マ:小児を育むチーム医療とトータル・ケア 学会 HP:http://www.2566636.com/west/index.html 事 務 局:島根大学医学部歯科口腔外科学講座 [email protected] 学会会場:島根大学医学部 臨床大講堂 〒 693−8501 島根県出雲市塩冶町 89−1 TEL:0853-20-2301 FAX:0853-20-2299 交通機関 < JR 出雲市駅から島根大学医学部まで> バスをご利用の場合 出雲市駅バス乗り場(北口) ・ 市民会館・島根医大・上塩冶車庫行にて島根医大病院下車 (1 番のりば) ・ 市内循環左まわり(150 円バス) ・上塩冶車庫行にて島根医大入口下車,徒歩 5 分 (1 番のりば) ・ 島根医大・立久恵峡経由須佐行,島根医大・稗原経由根波線にて島根医大病院下車(2 番のりば) ※尚,朝夕の便で経由しない便もありますのでご確認ください 徒歩・タクシーをご利用の場合 出雲市駅南口から徒歩 25 分 (タクシー約 5 分) - 6- <出雲市まで> 飛行機をご利用の場合 (出雲縁結び空港:着) 東京(約 1 時間 20 分) 大阪(約 1 時間) ⇨ 空港連絡バス ⇨ JR 出雲市駅 隠岐(約 30 分) (約 25 分) 福岡(約 1 時間 15 分) ※ 空港連絡バスの情報は出雲一畑交通のホームページからご覧頂けます. http://www.ichibata.co.jp/t-izumo/shuttle/index.html JR をご利用の場合 (JR 出雲市駅:着) 岡山 特急(約 2 時間 55 分) 新山口 特急(約 3 時間) 高速バスをご利用の場合 (JR 出雲市駅:着) 東京(約 11 時間 25 分) 渋谷マークシティ 名古屋(約 10 時間) 名古屋駅 大阪(約 5 時間 20 分) 新大阪駅 神戸(約 5 時間) 三宮バスターミナル ⇨ JR 出雲市駅 京都(約 5 時間 45 分) 京都駅 岡山(約 3 時間 40 分) 岡山駅西口 広島(約 3 時間 15 分) 広島新幹線口 福岡(約 8 時間) 博多バスターミナル - 7- 役員会のご案内 日時:11 月 16 日(土) 8:00 〜 会場:島根大学医学部附属病院 3F カンファレンス室 〒 693−8501 島根県出雲市塩冶町 89−1 TEL:0853-20-2301 FAX:0853-20-2299 懇親会のご案内 日 時:11 月 15 日(金)19:30 〜 会 場:出雲ロイヤルホテル 〒 693-0004 島根県出雲市渡橋町 831 TEL:0853-23-7211 FAX:0853-24-2893 参加費:7,000 円 ※出雲市駅より懇親会会場まで送迎バスを ご用意しております.ご利用の際は, 19:15 に駅北口へお集まり下さい. ※タクシーをご利用の場合は, JR 出雲市駅北口より約 5 分です. - 8- 参加者へのお知らせとお願い 1. 参加される皆様へ 1)受付:11 月 16 日(土)8:30 より,島根大学医学部 臨床大講堂前にて行います. 2)参加費:5,000 円(学生は無料) 3) 抄録集はご持参頂くか,受付にて 1 冊 1,000 円にて販売しておりますので,ご購入くだ さい. 4) 新規入会および年度会費:新規入会(入会費 2,000 円,年度会費 5,000 円)を当日会場 でも受け付けます. 5)会場内は携帯電話の電源を切るか,マナーモードに設定してください. 6)昼食は島根県歯科医師会・島根大学合同セミナーまたは会場周辺のお店をご利用下さい. 7)会場内は全館禁煙です. 2. 総会 11 月 16 日(土) 9:10 から学会会場で開催します. 3. 発表される皆様へ 1) 本学会会員でなくても発表できますが,参加費以外に年度会費(5,000 円)を学会事務 局にお支払い下さい. 2) 受 付: 発 表 は す べ て PC プ ロ ジ ェ ク タ ー に よ る 口 演 発 表 で す.Power Point 2003, 2007,2010 でご用意ください.発表データは前日までに下記連絡先まで E-mail もしく は CD-R,USB にてお送りください. <事務局> 島根大学医学部歯科口腔外科学講座 〒 693-8501 島根県出雲市塩冶町 89 - 1 E-mail:[email protected] 3) パソコン操作:演題上のマウスとテンキーをご自身で操作してください.なお,ご発表 のデータは会場の PC に一時的に保存しますが,学会終了後,責任を持って消去致します. 4) 発表時間:発表時間は 6 分,質疑応答 2 分の予定です.時間厳守でお願い致します. 4. 質疑応答について 質問者は座長の許可を得て,所属,氏名を述べて質問してください. 5. 座長の先生へ 座長の先生は,担当のセッション開始 10 分前までに次座長席にご着席ください. 6. 役員会 11 月 16 日(土) 8:00 より,島根大学医学部附属病院 3F カンファレンス室にて行います. 7. 懇親会 11 月 15 日(金)19:30 より,出雲ロイヤルホテルにて行います. 会費は 7,000 円です. - 9- 日程表 11 月 16 日(土) 役員会 会場:島根大学医学部附属病院 3F カンファレンス室 総会・学術大会 会場:島根大学医学部 臨床大講堂 - 10 - プログラム □総会 9:10 〜 9:35 □開会式 9:40 〜 9:45 開会の辞 大会長挨拶 □大会長講演 9:45 〜 10:05 座長:大矢 亮一(産業医科大学病院歯科口腔外科 准教授) 「歯原性腫瘍の治療」 関根 浄治(島根大学医学部歯科口腔外科学講座 教授) □特別講演 10:10 〜 11:25 座長:石橋 浩晃(島根大学医学部歯科口腔外科学講座 准教授) 1.「外傷を受けた幼若永久歯の歯内療法」 牧 憲司(九州歯科大学口腔機能発達学分野 教授) 2.「小児顎顔面外傷における医科との連携」 高橋 喜浩(大分大学医学部附属病院 診療教授) 3.「最近における胎児の出生前診断と治療について」 青木 昭和(益田赤十字病院産婦人科部長) □一般口演 11:30 〜 12:45 1. 「外傷①」 11:30 〜 12:10 座長:吉田 忠司(吉田歯科医院) 1.外傷によりピン保持による修復処置の経過について ○福島直樹(1),吉田忠司(2) (1)九州歯科大学画像診断学分野 (2)九州歯科大学口腔再建リハビリテーション学分野 2.外傷による歯内療法の段階的処置経過について ○有住 隆史(1),後藤 修一郎(2) (1)九州歯科大学画像診断学分野 (2)九州歯科大学口腔再建リハビリテーション学分野 3.外傷による歯質破折に関する接着法の提言 ○入江正郎 岡山大学大学院 医歯薬学総合研究科 生体材料学分野 - 11 - 4.外傷によるトランジェントアピカルブレイクダウンについて ○矢原規考(1),後藤修一郎(2) (1)自衛隊佐世保病院歯科 (2)九州歯科大学口腔再建リハビリテーション学分野 5.当院における小児外傷歯科の臨床統計的検討 ○河合毅師 医療法人財団アドベンチスト会 東京衛生病院附属歯科クリニック 2.「先進医療」 12:10 〜 12:45 座長:新垣 敬一(沖縄県立中部病院外科部長) 6.D ファインダーによる象牙質う蝕の診断 ○尼ヶ崎知也 あま歯科クリニック 7.包括的に咀嚼機能を回復した症例に関する臨床的検討 ○川鍋 仁(1),遠藤善孝(2),川鍋絹恵(1),伊東泰蔵(1),伊東隆利(2) (1)医療法人伊東会 いとう歯科医院 (2)医療法人伊東会 伊東歯科口腔病院 8.骨窓を形成し埋伏歯抜歯を行った1例 ○宇野正晃(1),古木良彦(1),高橋由佳(1),助川信太郎(1),万代とし子(1),管野貴浩(1),(2) (1)香川県立中央病院 歯科口腔外科 (2)島根大学医学部 歯科口腔外科 9.歯根未完成歯を用いて長期生着に成功した歯牙移植の 2 症例 ○森本泰宏,辻 裕文,志岐一欣,有住隆史,曽我富美雄,楠崎晴規, 若杉(佐藤)奈緒,鬼頭慎司 九州歯科大学歯科放射線学分野 □第 2 回島根県歯科医師会・島根大学合同セミナー 12:55 〜 13:45 座長:渡邊 公人(一般社団法人島根県歯科医師会 会長) 「小児口腔疾患の病理と臨床」 石橋 浩晃(島根大学医学部歯科口腔外科学講座 准教授) - 12 - □シンポジウム 13:55 〜 15:25 座長:長畠 駿一郎(香川大学医学部) 本川 渉(福岡歯科大学) 「外傷歯への対応」 1.「歯槽骨骨折を伴う乳歯の再植を考える」 後藤 修一郎(ごとう歯科クリニック) 2.「小児期における口腔外科と矯正歯科とのチームアプローチについて考察する」 川鍋 仁(いとう歯科医院) 3.「二度の外傷による処置後の若年者インプラント治療について」 吉田 忠司(吉田歯科医院) 4.「口腔外科で扱う小児の歯の外傷事例」 長尾 徹(岡崎市民病院歯科口腔外科総括部長) 5.「小児成長期におけるカルシウム摂取の重要性について」 曽我 富美雄(九州歯科大学画像診断学分野) □一般口演 15:30 〜 16:45 3.「腫瘍・血液」15:30 〜 15:55 座長:堀之内 康文(九州中央病院歯科口腔外科部長) 10.14 歳男児の舌尖部に生じた神経鞘腫の1例 ,2) 中野 誠(1),澤木康一(1),岡崎文彦(1),平田泰久(1),佐藤亜希(1),高木 慎(1)( ○矢尾直明(1), (1)広島市立広島市民病院 歯科口腔外科 (2)岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 顎口腔再建外科学分野 11.血液凝固因子の異常がある患児の外傷の対応 ○春岡 誠(1),後藤 修一郎(2) (1)はるおか歯科医院 (2)九州歯科大学口腔再建リハビリテーション学分野 12.家庭輸注中に抜歯後出血した重症血友病症例 ○平島惣一(1),(2),大津聡美(1),志渡澤和佳(1),於保耕太郎(1),野代佳世(1),原田佳和(1), 秋森俊行(1),宮脇昭彦(1),大矢亮一(1) (1)産業医科大学病院 歯科口腔外科 (2)血友病センター 包括医療チーム 酒井道生(2),佐藤哲司(2),小野織江(2),平島惣一 - 13 - 4.「天疱瘡・全身疾患」15:55 〜 16:20 座長:上村 俊介(綜合病院山口赤十字病院歯科口腔外科部長) 13.9 歳女児に生じた尋常性天疱瘡の一例 ○近藤慶英,田部士郎,上村俊介 綜合病院山口赤十字病院歯科口腔外科 14.症例から考える唇顎口蓋裂児の離乳支援 ○吉川浩郎(1),(2),関根浄治(2) (1)吉川歯科クリニック (2)島根大学医学部歯科口腔外科学講座 15.周産期の口腔管理と早産・低体重児出産の関連 ○辰巳香澄(1),(2),新田美紀子(1),(2),絲原千映子(1),(2), 安立啓子(1),(2),服部政義(2),江川正義(2),関根浄治(1),(2),(3) (1)島根大学医学部附属病院歯科口腔外科マタニティ歯科外来 (2)島根大学医学部附属病院歯科口腔外科オーラルメディシン外来 (3)島根大学医学部歯科口腔外科学講座 5.「外傷②」16:20 〜 16:45 座長:上田 雅康(一般社団法人島根県歯科医師会学術理事) 16.小学生の歯根破折中切歯に行った審美修復 ○齋藤 誠 さいとう歯科医院 17.保存的治療を行った幼児顎骨骨折の1症例 ○尾原清司(1),片山暁恵(1),貝田亘(2),片岡和哉(2) (1)島根県立中央病院 歯科口腔外科 (2)島根県立中央病院 形成外科 18.外傷歯の固定における床副子の有用性 ○竹田麻莉子,管野貴浩,大熊里依,寺内美絵,金子一朗,成相義樹,石橋浩晃,関根浄治 島根大学医学部 歯科口腔外科学講座 □閉会式 16:45 閉会の辞 - 14 - 抄録 大会長講演 特別講演 第 2 回島根県歯科医師会・島根大学合同セミナー シンポジウム 一般口演 大会長講演 歯原性腫瘍の治療 島根大学医学部歯科口腔外科学講座 教授 島根大学医学部附属病院顎顔面インプラントセンター センター長 関根浄治 日本口腔腫瘍学会の多施設共同調査(2008 年)によると , 歯原性腫瘍の約 40% は 10 〜 20 歳代に発症している . 歯原性腫瘍の治療にはさまざまなオプションがあるが , 治療のゴー ルは腫瘍の根治と永久歯の萌出誘導を含めた口腔機能の回復である . 演者は , 歯原性腫瘍の治療に際して口腔機能の回復を念頭におき , 術式(開窓 , 摘出 , 反 復処置法 , 顎骨切除等)を選択している . 腫瘍切除後は , 必要に応じて硬組織と軟組織の形 態再建を行う . 骨の再建には , 骨移植や仮骨延長を用いる . 最近は , 血管柄付き骨皮弁も用 いている . 形態再建後の口腔機能回復には , 多くの場合歯科インプラントを用いているが , 埋伏歯が 利用できれば , 積極的に萌出を誘導する . 本講演では , 演者がこれまでに行ってきた歯原性腫瘍の治療と , 長期(4 〜 17 年)経過 観察症例から学んだインプラント周囲の軟組織の取扱い法についても併せ概説する . ご略歴 1989 年 3 月 福岡歯科大学卒 1989 年 4 月 福岡歯科大学大学院(口腔解剖学専攻) 1990 年 8 月 同大学院中退 1990 年 9 月 長崎大学歯学部附属病院第 2 口腔外科研修医 1991 年 4 月 長崎大学歯学部口腔外科学第 2 講座助手 1996 年 6 月 長崎大学より歯学博士号授与(乙 30 号) 1999 年 9 月 長崎大学歯学部附属病院第 2 口腔外科講師 2002 年 4 月 長崎大学大学院講師 (医歯薬学総合研究科 発生分化機能再建学講座・顎口腔機能再建学分野) 2003 年 4 月 長崎大学歯学部附属病院臨床検査室副室長 2003 年 10 月 長崎大学医学部・歯学部附属病院検査部 歯科分室副分室長 長崎大学医学部・歯学部附属病院救急部 歯科分室副分室長 2004 年 4 月 長崎大学講師 医学部・歯学部附属病院救急部 - 17 - 2005 年 7 月 長崎大学医学部・歯学部附属病院経営企画部副部長 2006 年 9 月−2007 年 5 月 スウェーデン Umeå 大学顎顔面口腔外科客員教授 2007 年 6 月 島根大学医学部歯科口腔外科学講座教授 現在にいたる 免許・資格など: 1989 年 6 月 歯科医師免許(第 108364 号) 1998 年 10 月 日本口腔外科学会専門医(第 961 号) 2000 年 12 月 日本臨床細胞学会細胞診専門医(第 1769 号) 2004 年 7 月 臨床修練指導歯科医(第 380 号) 2004 年 10 月 日本口腔外科学会指導医(第 766 号) 2008 年 12 月 日本顎顔面インプラント学会指導医(第 47 号) 2009 年 9 月 日本がん治療認定医機構 暫定教育医(第 98109 号) 2012 年 2 月 日本顎顔面インプラント学会専門医(第 1 号) 2012 年 4 月 日本がん治療認定医機構 がん治療認定医 (歯科口腔外科 , 第 1140005 号) 所属学会:国際外科学会 , 国際口腔顎顔面外科学会 , 米国口腔顎顔面外科学会 , アジア口腔顎顔面 外科学会 , 日本癌学会 , 日本臨床腫瘍学会 , 日本癌治療学会 , 日本口腔外科学会 , 日本臨床細胞学会 , 日本顎顔面インプラント学会 , 日本頭頸部癌学会 , 日本口腔腫瘍学会 , 日本臨床医療福祉学会 , 日本 有病者歯科医療学会など 評議員など:国際外科学会日本部会理事 , 日本臨床細胞学会理事 , 日本顎顔面インプラント学会理 事 , 公益財団法人国際口腔医療財団理事 , 日本口腔外科学会代議員 , 日本口腔腫瘍学会評議員 , 島根 県歯科医師会特別会員 , 島根県警察歯科医会顧問 , 日本臨床細胞学会島根県支部長など 受賞など: 2006 年 4 月 International College of Surgeons Research Scholarship Grant 受賞 2006 年 6 月 The 52nd Annual Congress of the Japan Section, The International College of Surgeons Young Investigator’s Award 受賞 専門分野:口腔癌の切除と再建 , インプラントによる顎口腔機能回復 , 顎口腔領域の細胞診 趣味:ヨット , カメラ , 経営学 - 18 - 特別講演 外傷を受けた幼若永久歯の歯内療法 九州歯科大学口腔機能発達学分野 教授 牧 憲司 外傷や齲蝕等で幼若永久歯の歯内治療を必要とする症例は少なくない.幼若永久歯の歯 内療法を行うにあたっては,まず歯根の形成状態を考慮することは,極めて重要である. 特に歯髄が広く根尖孔も開大している症例では,歯髄の生活力が旺盛でかつ修復力がある ので,可逆性と考え治療に臨み,まずは Apexogenesis, 無理ならば Apexification へ移行す べきであろう.従来,抜髄・感染根管処置の対象であった根尖部病変を伴う症例において も生活歯髄の有無を検討し,Pulp Revasucularization を期待した Apexogenesis 適応を第 一選択として,まず考慮しなければならない. 本講演では,幼若永久歯の外傷(中心結節破折,歯根破折など)により歯内療法を必要 とした症例 , また石灰化誘導能の高い Mineral Trioxide Aggregate を応用した症例につい ても併せて呈示し,検討したい. ご略歴 1987 年 九州歯科大学卒業 1988 年 九州歯科大学助手(小児歯科学講座) 1993 年 昭和大学口腔生化学講座留学(研究生) 1995-6 年 UCSF 留学(文部科学省在外研修) 1998 年 九州歯科大学講師(小児歯科学講座) 2002 年 九州歯科大学助教授(小児歯科学講座) 2006 年 九州歯科大学教授(口腔機能発達学分野) 2012 年 九州歯科大学健康増進学講座長併任 主な学会活動:日本小児歯科学会常務理事,日本小児歯科学会専門医指導医, 九州歯科学会総務理事, 日本外傷歯学会理事 Pediatric Dental Journal 編集委員長,Int J Paediatr Dent 編集委員 ,Am J Orthod Dentofacial Orthop 編集査読委員等を担当. - 19 - 特別講演 小児顎顔面外傷における医科との連携 大分大学医学部附属病院 診療教授 高橋 喜浩 近年,医療現場において医科・歯科連携の重要性について認識されてきています.特に 顎顔面外傷を伴った救急医療の現場においては口腔外科医の果たす役割はとても大きく, 適切な医科との連携による初期対応がその後の治療結果を左右すると言っても過言ではあ りません.特に小児の顎顔面外傷においては,機能と発達の面からも各専門科の連携によ るチーム医療は重要です. 今回,大分大学医学部附属病院に救急救命センターが開設された 2002 年 1 月から 2012 年 12 月の間に当科で加療した 18 歳以下の顎骨骨折症例 35 例についてチーム医療という観点 から講演する予定です.治療成績を含め,連携がうまく行った例やうまくいかなかった症 例を具体例をあげながら症に外傷における医科歯科連携の重要性について発表予定です. さらに,これまでの取り組みや医科との連携の課題と今後について述べたいと思います. ご略歴 1990 年 3 月 鹿児島大学歯学部卒業 1997 年 12 月 大分医科大学大学院修了 博士(医学) 1998 年 1 月 大分医科大学付属病院(歯科口腔外科) 医員 2000 年 5 月 龍ヶ岳町立上天草総合病院 歯科口腔外科 医長 2002 年 1 月 大分医科大学附属病院(歯科口腔外科) 助手 2007 年 10 月 大分大学医学部附属病院 診療准教授 2008 年 5 月 大分大学医学部附属病院 (歯科口腔外科) 講師 2012 年 8 月 米国 Memorial Sloan-Kettering Cancer Center, Head and Neck Service 研修 2013 年 4 月 大分大学医学部附属病院 診療教授 現在に至る 学会活動 日本口腔外科学会 専門医 日本口腔外科学会 代議員 日本がん治療認定機構がん治療認定医(歯科口腔外科) - 20 - 特別講演 最近における胎児の出生前診断と治療について 益田赤十字病院産婦人科 部長 青木 昭和 近年,出生前胎児診断は目覚ましい発達を遂げ,その最先端技術が日常診療に導入され つつある.一例として,無侵襲的出生前遺伝学的検査(NIPT)が最近では話題になり,そ の運用方法を巡って論議を呼んでいる.出生前診断には代表的なものに,羊水検査や胎児 血検査などの検体検査と,超音波検査などの胎児画像検査とがあり,これらの分野では人 工妊娠中絶との接点が多く,未だに倫理上の解決すべき問題が多く残されている.胎児超 音波検査においては胎児画像の解像度が向上し,現在では形態的評価から機能的評価,さ らにリアルタイム立体画像によるシュミレーションを作成するまでに到り,これに基づき 胎児診断から胎児治療を行うまでに進歩してきた.今回,このセッションでは,主に臨床 的視点から見た超音波画像による胎児診断について解説し,可能な胎児治療についても言 及したい. ご略歴 昭和 60 年3 月 島根医科大学医学部医学科卒業 平成元年3 月 同 単位修得後退学 元年4 月 島根医科大学医学部附属病院産科婦人科医員 元年9 月 鹿足郡厚生農協協同組合連合会津和野共存病院産婦人科医長 3 年1 月 社会福祉法人大阪暁明館病院産婦人科副部長 4 年1 月 同 部長代理 5 年2 月 同 部長 7 年9 月 島根医科大学医学部産科婦人科学講座助手 10 年4 月 同 講師 11 年3 月 公立雲南総合病院産婦人科医長 14 年4 月 同 部長 18 年4 月 同 医療技術部次長兼任 11 月4 月 島根大学医学部附属病院産科婦人科講師 20 年5 月 島根大学医学部産科婦人科学講座准教授 25 年1 月 東京女子医科大学産婦人科周産母子総合医療センター(研修) 25 年7 月 益田赤十字病院 産婦人科部長 専門医・指導医など 日本産科婦人科学会専門医 日本超音波医学会認定超音波専門医・指導医 - 21 - 第 2 回島根県歯科医師会・島根大学合同セミナー 小児口腔疾患の病理と臨床 島根大学医学部歯科口腔外科学講座 准教授 石橋 浩晃 口腔に発生する多彩な病変を的確に診断し,科学的な治療を行うには,病理学的な基盤 が重要である.口腔外科医として口腔病変を病理学的に理解できれば,診断の確定だけで はなく,病変の発生機序,病態の形成,さらに治療法の選択や予測される治療効果について, 豊富な情報を組織切片から収集できる.しかし,口腔外科医が病理診断や組織所見の重要 性を理解しているにも関わらず,病理学的思考から距離をおく最大の理由は,歯原性腫瘍 や唾液腺腫瘍の分類に代表されるような難解な組織学的分類法や,特異な病理学的専門用 語に起因するところが大きい.演者は口腔外科学会会員の中で唯一,日本病理学会が認定 する「口腔病理専門医」の資格を有している.そこで,病理医と口腔外科指導医としての 双方の立場から,口腔病変の臨床像と病理像を関連づけて供覧・解説する. ご略歴 1989 年 九州大学歯学部卒業 1993 年 九州大学大学院歯学研究科単位取得退学 同 九州歯科大学口腔外科学第二講座助手 1995 年 歯学博士(九州大学) 同 九州大学歯学部附属病院第二口腔外科医員 1997 年 九州大学医学部病理学教室第一講座助手 1998 年 九州大学歯学部口腔外科学第二講座助手 2000 年 九州大学大学院歯学研究院口腔顎顔面病態学講座 口腔顎顔面外科学助手・助教 2007 年 島根大学医学部歯科口腔外科学講座講師 2009 年 同 准教授 ドイツ・フライブルク大学口腔顎顔面外科客員教授 専門医等 日本口腔外科学会 指導医・専門医 日本病理学会 口腔病理専門医・研修指導医 日本臨床細胞学会 細胞診専門歯科医 日本がん治療認定医機構 がん治療認定医・暫定教育医(歯科口腔外科) 日本顎顔面インプラント学会 指導医 日本小児口腔外科学会 指導医 - 22 - シンポジウム 歯槽骨骨折を伴う乳歯の再植を考える ごとう歯科クリニック 後 藤 修一郎 日常の歯科臨床において,外傷による歯の脱臼は乳歯では 77.0%,永久歯では 44.8% を 占めている報告もある. 特に乳歯の完全脱臼は受傷から来院までの時間,脱落歯の歯根吸収状態,保存状態,歯 槽部の損傷状態によって治療方針を決定する. 乳歯の再植は一般的には低年齢児,非協力,永久歯歯胚の障害や低位乳歯を示すように 骨性癒着を惹起することなどが考えられ,あまりされていません. さらに歯の完全脱臼に伴う歯槽突起の一部骨折やデンタルエックス線診査では骨折線が 明らかでない場合も多いことを考慮に入れなければならない.骨折部の整復は早期に行う必要 がある. 今回我々は,1 歳 6 か月の男児で右側下顎乳中切歯から左側下顎乳中切歯・乳側切歯の 3 歯は完全脱臼し,それに伴って歯槽骨骨折が認められた症例について臨床的検討を行った ので報告する. ご略歴 昭和 62 年 4 月 大阪歯科大学入学 平成 5 年 3 月 大阪歯科大学卒業 4 月 岡歯科医院 勤務 平成 11 年 5 月 岡歯科医院 退職 6 月 ごとう歯科クリニック 開業 平成 16 年 4 月 九州歯科大学 小児歯科学教室 専修生 11 月 アジア国際外傷歯学会理事 平成 19 年 4 月 九州歯科大学 口腔病態病理学分野 専修生 平成 20 年 6 月 日本外傷歯学会認定医 平成 21 年 4 月 社団法人大阪府歯科医師会歯科医事相談室 室員 九州歯科大学 口腔再建リハビリテーション科 専修生 平成 22 年 11 月 日本外傷歯学会理事 平成 23 年 4 月 社団法人大阪府歯科医師会附属歯科衛生士専門学校 理事 社団法人大阪府歯科医師会歯科医事相談室 常任理事 - 23 - シンポジウム 小児期における口腔外科と矯正歯科とのチームアプローチについて考察する いとう歯科医院 川 鍋 仁 小児期は,歯の萌出や顎骨の成長といったダイナミックな口腔内環境の変化が起こる大 切な時期である.さらに,運動発達の未成熟な時期であるために外傷により様々な口腔内 の問題が発生し易い時期でもある. したがって,われわれ歯科医師はそのような状況に対して柔軟にかつ的確に対応する必 要がある. 今回は,口腔外科と矯正歯科とのチームアプローチにて治療する必要がある以下に挙げ た5つの問題点における臨床的対応について考えてみたいと思う. ①外傷歯に対する矯正歯科的対応について ②上唇小帯,舌小帯および巨舌症と不正咬合の関わりとその対応について ③智歯の萌出方向異常への対応について ④嚢胞による歯の萌出障害への対応について ⑤顎変形症に対する対応について ご略歴 平成 12 年 3 月 奥羽大学歯学部歯学科卒業 4 月 福岡歯科大学臨床研修歯科医 平成 17 年 3 月 福岡歯科大学大学院(矯正歯科学)修了 4 月 福岡歯科大学矯正歯科学分野助教 平成 19 年 4 月 医療法人伊東会 伊東歯科口腔病院・いとう歯科医院 資格 日本矯正歯科学会 認定医 日本口腔外科学会 専修医 日本口腔インプラント学会 認証医 日本歯周病学会 認定医 日本外傷歯学会 認定医 日本口腔ケア学会 認定医 日本歯科人間ドック学会 認定医 - 24 - シンポジウム 二度の外傷による処置後の若年者インプラント治療について 吉田歯科医院 吉 田 忠司 緒言:若年期に二度の外傷により歯を喪失した患者に対して,精神面でのフォローをしな がらインプラント補綴装着に至ったので報告する なお,一部は第 13 回日本外傷歯学会で報告した. 初診:平成 18 年 11 月 10 日 年齢性別:平成5年 1 月 29 日生 13 歳 9 ヶ月 女児 主訴:自転車でこけて歯が折れた 経過:患者は平成 18 年 11 月 10 日 自転車でこけて右上 1 脱臼,左上 12 亜脱臼.他科にて, 外傷歯の固定及び口腔粘膜外傷の処置を行った後に,術後の経過観察及びフォローアップ のため紹介にて当科に来院.翌年1月 4 日,再び自転車事故を起こし再打撲により来院.経 過不良歯を抜歯後,16 歳になるのを待って,平成 21 年 2 月 26 日に静脈内麻酔下にてイン プラント埋入手術を行い,同時にテンポラリアバットメントを装着,平成 21 年 10 月 2 日に ファイナル上部構造を装着した. なお,インプラントに埋入時期に関しては,スキャモンの成長曲線及び智歯の歯根の発育 を指標とした. ご略歴 平成 5 年 3 月 大阪歯科大学卒業 平成 20 年7 月 日本外傷歯学会認定医 第 89 号 平成 21 年10 月九 州歯科大学口腔再建リハビリテー 4 月(医)聖十字日野歯科勤務 平成 11 年 2 月 吉田歯科医院開設 ション科講座 専修性 平成 16 年4 月九州歯科大学小児歯科学講座 専修 平成 22 年9 月九州歯科大学付属病院口腔インプラ 性 9 月 アジア外傷歯学会理事 11 月 日本外傷歯学会評議員 ント科研修登録医 大会長 平成 18 年2 月大阪労災病院 歯科口腔外科研修研 究医 11 月 日本外傷歯学会学術奨励賞 平成 23 年2 月日 本 口 腔 イ ン プ ラ ン ト 学 会 認 証 医 10 年ICOI(国際口腔インプラント専門医 学会)認定医 10 月第 21 回西日本臨床小児口腔外科学会 (第 295 号) 9 月 JMM 臨床マイスター 平成 19 年3 月九 州 歯 科 大 学 口 腔 病 態 病 理 学 講 座 平成 24 年12月 日本外傷歯学会優秀論文賞受賞 専修生 平成 25 年3 月日本口腔インプラント学会専門医(第 9 月 日本外傷歯学会理事 909 号 ) 平成 20 年7 月 西日本臨床小児口腔外科学会理事 - 25 - シンポジウム 口腔外科で扱う小児の歯の外傷事例 岡崎市民病院歯科口腔外科 総括部長 長尾 徹 口腔顎顔面外傷で最も多いのは歯の外傷である.当科で扱う外傷は年間 200 例以上で, そのうちの約 3 割は歯の外傷が占めている.小児の外傷で最も多い原因は転倒で,脱臼歯の 場合,永久歯ではそのほとんどが上下前歯である.一方,乳歯の脱臼は上顎前歯に集中し ている.当科で扱う歯の外傷の 23% に合併損傷を伴い,内訳は頭部,四肢,腹部,頸部の 順であった.歯・口腔の外傷では歯単独の外傷はまれで,隣接する軟組織,硬組織に損傷 を伴っていることが多い.小児の外傷の取り扱いで重要なことはまず治療の優先順位を決 定することである. シンポジウムでは口腔外科で扱う小児の歯の外傷事例とその取り扱い,病診連携などに ついて実際の症例を供覧して解説したい. ご略歴 昭和 55 年 3 月 愛知学院大学歯学部歯学科卒業 昭和 56 年 4 月 愛知学院大学歯学部口腔外科学第二講座専科専攻生 平成 4 年 9 月 歯学博士(愛知学院大学) 平成 11 年 4 月WHO 口腔がん / 前がん病変研究協力センター・ロンドン大学キング スカレッジ留学・客員上級研究員 平成 13 年 2 月 政府開発援助・スリランカ国高等教育省・ペラデニヤ大学歯学部・歯 ~ 15 年 1 月 学教育プロジェクト(JICA 技術協力プロジェクト)・チームリーダー 平成 17 年 3 月 愛知学院大学歯学部口腔外科学第二講座助教授 平成 18 年 4 月 岡崎市民病院歯科口腔外科統括部長 平成 18 年10 月 医学博士(藤田保健衛生大学) 平成 21 年 4 月 藤田保健衛生大学医学部衛生学客員教授 受賞 第 32 回アジア太平洋国際歯科学会 1st Place on Poster Presentation Philippines College of Oral and Maxillofacial Surgery 名誉会員 第 89 回米国口腔顎顔面外科学会 Best Oral Abstract Scientific Presentation Award - 26 - シンポジウム 小児成長期におけるカルシウム摂取の重要性について 九州歯科大学画像診断学分野 曽 我 富美雄 歯科領域における顎顔面の骨折,骨粗鬆症,歯周病を考えた場合,小児成長期におけるカ ルシウム摂取が重要な要素となる. 厚生省の国民健康栄養調査が実施され,すでに 60 年になるが,多くの栄養素のなかでカル シウムだけが充足率を充たしたことがない. 人体の各器官の発育曲線をみると,スキャモンの報告では 20 歳を成人量,100% としてみ ると顎口腔領域,長管骨などの骨は 20 歳で最大骨塩量,いわゆるピークボーンマスに達す ることは明らかにされている. 特に一般型の曲線に相当し,一次成長期から二次成長期にかけ 2 回にわたって急激な発達が あり,この時期に充分なカルシウムを骨貯蔵しておく事が必要である. 今回は,低カルシウム食により虚弱骨に陥ったラットに対し高カルシウム食を与えること により,どのように骨量が改善されるか考察をしたいと思う. ご略歴 昭和 54 年 3 月 福岡歯科大学 昭和 56 年 4 月 福岡県議会議員 昭和 62 年 4 月 九州歯科大学専修生 平成 8 年 3 月 歯学博士 平成 12 年 9 月 日本外傷歯学会理事 平成 15 年 9 月 アジア外傷歯学会理事 平成 16 年 4 月 北九州市小児口腔保健学会常任理事 現在に至る - 27 - 一般口演 1.外傷によりピン保持による修復処置の経過について ○福島直樹 (1),吉田忠司 (2) (1)九州歯科大学画像診断学分野 (2)九州歯科大学口腔再建リハビリテーション学分野 外傷において,衝撃の応力が 1 点に集中した場合,歯根または歯冠の破折を伴う事がしば しばある.このような症例で,早期に修復処置を求められ,ピンによる修復を行い,歯髄 が保存できた症例と,残念ながら抜髄に至った症例を経験したので,報告する.なお,一 部は第 13 回日本外傷歯学会で報告した. - 28 - 一般口演 2.外傷による歯内療法の段階的処置経過について ○有住 隆史 (1),後藤 修一郎 (2) (1)九州歯科大学画像診断学分野 (2)九州歯科大学口腔再建リハビリテーション学分野 【諸言】 口腔外傷は学校内で転倒,打撲により歯冠破折を惹起する症例は比較的多い.近年,外 傷に対する学校歯科の教育は進んできている.外傷から受診までの時間が早いと処置後の 予後も良好である.今回演者らは学校で転倒し,軽度の動揺と歯冠破折を惹起した症例を 経験したので報告する. 【症例】 患児:10 歳,男児 初診:平成 21 年 10 月 23 日 主訴:上顎左右側中切歯の歯冠破折 現病歴:平 成 21 年 10 月 23 日,学校で転倒し上顎左右側中切歯を歯冠破折,直ちに当院を 受診した. 【治療経過】 上顎右側中切歯は露髄が認められたため,覆髄後コンポジットレジン修復を行った. 上顎左側中切歯は近心隅角部を深く破折していたため,生活歯髄切断法を実施し歯冠修復 を施した.その後,臨床状態に応じ段階的に歯内療法を実施し,術後約4年経過し,予後 良好で現在経過観察を行っている. - 29 - 一般口演 3.外傷による歯質破折に関する接着法の提言 ○入江正郎 岡山大学大学院 医歯薬学総合研究科 生体材料学分野 外傷による歯質の破折処置にレジンセメントによる接着は不可欠であり,修復直後の接 着性に関しては気掛かりである.そこで,最近のレジンセメントを用いて,硬化直後から 1日後までのヒト歯質に対する接着強さを測定した. ヒトエナメル質および象牙質面を使用し,ISO の接着強さの測定指針(ISO/TR 11405) に準じて行った.すなわち,被着面を #1,000 の耐水研磨紙で最終研磨し,メーカー指示 に沿って被着面を処理,テフロンモールド内にレジンセメントを充填し,20 秒間光照射し て硬化させ,直ちに測定および 24 時間 37℃蒸留水中浸漬後測定した. レジンセメントは,両歯質に対して硬化直後は約 5 ~ 12MPa,1 日後では 10 ~ 20MPa の接着強さを示した.近年のレジンセメントでも硬化初期は不安定な接着強さを示してお り,外傷歯処置に際してこの点を充分理解する必要がある. - 30 - 一般口演 4.外傷によるトランジェントアピカルブレイクダウンについて ○矢原規考 (1),後藤修一郎 (2) (1)自衛隊佐世保病院歯科 (2)九州歯科大学口腔再建リハビリテーション学分野 【緒言】 トランジェントアピカルブレイクダウンとは,脱臼性の外傷を被った歯根完成歯において, 壊死に陥った歯髄が生活反応を取り戻す際にみられる一連の炎症と修復現象(治癒)に対 して 1986 年に Frances Andreasen 女史によって草案されたものである.この現象では, 外傷により視覚的には歯の変色を認めるが,歯髄の生活力による自然治癒力によって血流 の回復がおこり,EPT は+に反応するようになる. 【症例】 患者は 27 歳の女性で,初診は 2010 年 2 月,主訴は外傷による上顎左側側切歯歯冠破折およ び中切歯亜脱臼である.小学校の体育の授業中に生徒の頭部があたり受傷し約 30 分後受診 した.歯冠破折部の処置後,ワイヤーとレジンセメントで固定した.初診から 3 年 2 ヶ月経 過後の現時点において,EPT は+で予後は良好である. - 31 - 一般口演 5.当院における小児外傷歯科の臨床統計的検討 ○河合毅師 医療法人財団アドベンチスト会 東京衛生病院附属歯科クリニック 当院は東京都杉並区に 1929 年(昭和 4 年)にプロテスタント教会の一派であるセブンス デー・アドベンチスト教団の医療機関として設立され,古くから現在に至るまで区内およ び近隣の地域医療に携わっている.歯科クリニックは 1990 年(平成 2 年)に開設された外 来型で 1 次医療機関として診療を行っているが,総合病院内の歯科として 2 次医療機関的役 割を果たす機会も多い. 開設当初は,一般歯科および歯科口腔外科を中心に診療していたが,2003 年より小児歯 科も標榜し,小児歯科専門医のもと多くの小児患者を受け入れている. そこで今回我々は 2003 年 1 月 1 日から 2007 年 12 月 31 日までの 5 年間における当院の外 傷歯を有した 12 歳以下の小児 70 例を対象とし,年齢,性別,受傷部位,受傷原因,受傷時 期などについて臨床統計的検討を行ったので若干の考察を加えて報告する. - 32 - 一般口演 6.Dファインダーによる象牙質う蝕の診断 ○尼ヶ崎知也 あま歯科クリニック 平成 23 年歯科疾患実態調査の結果によると 12 歳児の DMFT 指数は 1.4 であり年々減少傾向 にある. その一方で視診ではほぼ健全に見えても,象牙質内に大きく進行した「Hidden caries(不 顕性う蝕,潜在性う蝕)」が若年者で問題となっている. 特に大臼歯の裂溝内や頬面溝から進んだ象牙質う蝕は見つけにくく我々歯科医師もその診 断に苦慮することが多い. 象牙質う蝕の診断法で有効と言えるレントゲン(咬翼法)はう蝕がかなり進行してからで なければレントゲンに映らないし,DIAGNODENT は偽陽性が出やすいと言われている. そこで,穿通専用ファイルである D ファインダーを用い裂溝内を触診するう蝕診断法を紹 介したいと思う. - 33 - 一般口演 7.包括的に咀嚼機能を回復した症例に関する臨床的検討 ○川鍋 仁 (1),遠藤善孝(2),川鍋絹恵 (1),伊東泰蔵(1),伊東隆利(2) (1)医療法人伊東会 いとう歯科医院 (2)医療法人伊東会 伊東歯科口腔病院 【緒言】 顎変形症による咀嚼機能の低下と,下顎両側第二小臼歯の中心結節破折により根尖性歯 周炎を併発した症例を経験した. われわれは,本症例に対して外科的矯正治療および歯科保存治療を用いた包括的な治療を 行った症例について臨床的検討を行ったので報告する. 【症例の概要】 年齢および性別:15 歳,女性 主訴:下顎両側第二小臼歯の疼痛および下顎の突出感 既往歴:特記すべき事項なし. 家族歴:父親がやや受け口 診断:#1顎変形症(骨格性下顎前突症) #2中心結節の破折による歯髄壊死 治療:下顎両側第二小臼歯の感染根管治療後に,外科的矯正治療を行った. 【結果およびまとめ】 下顎小臼歯の中心結節破折に起因する下顎両側第二小臼歯の根尖性歯周炎は,歯内治療 および外科的治療の併用により機能を回復した.また,外科的矯正治療を含めた包括的な 治療を行うことで咀嚼機能ならびに審美的にも回復することが可能であった. - 34 - 一般口演 8.骨窓を形成し埋伏歯抜歯を行った1例 ○宇野正晃 (1),古木良彦(1),高橋由佳 (1),助川信太郎(1),万代とし子 (1),管野貴浩(1),(2) (1)香川県立中央病院 歯科口腔外科 (2)島根大学医学部 歯科口腔外科 通常は埋伏歯の抜歯に先立ち病変の大きさに合わせた骨削除が行われるが,その範囲が 大きいほど術後の疼痛腫脹等も増大する.また,矯正治療を計画している場合,術後の骨 治癒が歯牙移動に影響をあたえる.今回われわれは,#3E と# 35 の埋伏歯の抜歯を,骨 窓を形成し行い,その後骨窓部の骨片を整位した症例を経験したので報告する. 症例は 10 歳,男児.近医歯科にて歯科治療を行うも,#3E と# 35 の埋伏歯を認め,矯正治療目的 にて早期の抜歯を勧められ紹介来院した.手術は,2013 年6月に,全身麻酔下で口内法に よる抜歯術を施行した.下顎臼歯部頬側を切開,剥離した後,ラウンドバーにて三角形の 骨切りを行い,その後骨窓を骨のみにて除去した.埋伏歯は分割せず一塊として摘出する ことができた.その後,骨窓部の骨片は,ドリルにて穴あけを行い吸収性糸にて縫合し整 位固定した.術後1日目に退院し,術後合併症はなく良好な結果が得られた. - 35 - 一般口演 9.歯根未完成歯を用いて長期生着に成功した歯牙移植の 2 症例 ○森本泰宏,辻 裕文,志岐一欣,有住隆史,曽我富美雄,楠崎晴規, 若杉(佐藤)奈緒,鬼頭慎司 九州歯科大学歯科放射線学分野 歯根未完成歯を用いた歯の移植には,様々な因子が関与し,成功の可否が決定する.具体 的には,移植する側の歯種,形態,歯根の完成度や移植される側の歯周組織の状態等が考 えられる.更に,術者の熟練度も,成功率に大きく関与すると思われる.しかし,移植歯 は正常に治癒すれば,歯根,歯根膜及び歯髄が形成され,元の天然歯に近い状態で機能す る.それは,歯科用インプラントを含む補綴処置では得ることのでない大きな利点である. そこで,我々は大きな制約がなければ積極的に歯の移植を行っている.特に,移植歯とし て歯根未完成歯を用いることは歯根完成歯に比べ,生着率も高く,有効である.実際,我々 は根未完成歯を用いて欠損部位への歯の移植を積極的に応用し,長期にわたる成功症例を 経験してきた.今回の発表では,その中の 2 症例を供覧しながら歯根未完成歯の移植を成功 に導く要因について考察したい. - 36 - 一般口演 10.14 歳男児の舌尖部に生じた神経鞘腫の1例 ,2) ○矢尾直明(1),中野 誠(1),澤木康一(1),岡崎文彦(1),平田泰久(1),佐藤亜希(1),高木 慎(1)( (1)広島市立広島市民病院 歯科口腔外科 (2)岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 顎口腔再建外科学分野 神経鞘腫はシュワン細胞由来の腫瘍である.口腔領域に発症する神経鞘腫は稀で一般に臨 床診断が困難とされている.この度我々は 14 歳男児に発症した神経鞘腫を経験したので文 献的考察を加えて報告する. 症例:14 歳男児 主訴:舌の違和感 既往歴:なし 現病歴:2012 年 11 月頃,左舌尖部の違和感を自覚.2013 年2月に他症状で当院内科を受 診した際に,舌の違和感を訴えたので精査・加療を依頼され当科紹介された. 現症:舌尖部に9mm大の無痛性の内在性腫瘤を認めたが運動障害はなかった.超音波検 査で腫瘤は 10× 7mm大で境界明瞭な低エコーと内部に充実性エコーを認め,有意な頚部 リンパ節腫脹は認めなかった. 経過:同年3月に局所麻酔下で全摘術を施行した.摘出した腫瘤は弾性硬で周囲組織との 癒着を認めなかった.病理組織検査にて混合型の神経鞘腫と診断された.術後6か月の現 在再発を認めていない. - 37 - 一般口演 11.血液凝固因子の異常がある患児の外傷の対応 ○春岡 誠 (1),後藤 修一郎(2) (1)はるおか歯科医院 (2)九州歯科大学口腔再建リハビリテーション学分野 血液凝固因子に異常がある女児で,外傷による軟組織裂傷を伴う脱臼歯を経験した.症 例は6歳 11 か月の女児で,オトガイ部を強打し,上顎左右側中切歯は脱臼並に歯肉の裂傷, 左側下口唇には裂傷がみられた.治療経過は全身的には出血傾向に注意をし,感染予防の ため抗菌薬と鎮痛剤を投与した.上顎左右側側切歯間はワイヤーで固定した.固定除去後, 再打撲のために2週間の固定を施した.現在経過観察中であり,臨床的には自覚症状はなく, EPT には⊕に反応している. - 38 - 一般口演 12.家庭輸注中に抜歯後出血した重症血友病症例 ○平島惣一 (1),(2),大津聡美(1),志渡澤和佳(1),於保耕太郎(1),野代佳世(1),原田佳和(1), 秋森俊行 (1),宮脇昭彦(1),大矢亮一 (1) (1)産業医科大学病院 歯科口腔外科 (2)血友病センター 包括医療チーム 酒井道生 (2),佐藤哲司 (2),小野織江 (2),平島惣一 血友病の止血管理は,第Ⅷ・第Ⅸ因子製剤の家庭輸注で良好に管理可能であるため,か かりつけ歯科で抜歯も行われている.今回,下顎臼歯抜歯後に多量の出血をみた家庭輸注 中の重症血友病A患児について報告する. 症例は 10 歳代,男児,生後1歳1ヶ月時に重症血友病Aと診断され,200X 年から家庭 輸注が開蝕始された.歯牙交換期の歯肉出血はなく,乳歯抜歯後の止血も良好であった. 今回,齲蝕の下顎大臼歯抜去後,約 10 時間経過後より出血し,止血困難なため,当院を緊 急受診した.小児科で遺伝子組換え第Ⅷ因子製剤(アドベイド ®)の補充療法と当科の局 所処置により止血し得たが,翌日のヘモグロビン値は 5.5 g/dl であった. 小児科で遺伝子組換え第Ⅷ因子製剤(アドベイド ®)などの静注投与に加え,当科の止 血処置内容について説明し,家庭輸注中の血友病患者における観血的処置時の注意点と対 応について報告する. - 39 - 一般口演 13.9 歳女児に生じた尋常性天疱瘡の一例 ○近藤慶英,田部士郎,上村俊介 綜合病院山口赤十字病院歯科口腔外科 天疱瘡は皮膚,粘膜上皮に棘融解による表皮内水泡形成を認める,自己免疫性の水泡性疾 患である.尋常性天疱瘡はその中で代表的な天疱瘡群のひとつであり,口腔粘膜や口唇部 のびらんで初発することが多く,口腔内では軟口蓋と頬粘膜が好発部位とされる.男女比 に大きな差は無いが女性にやや多く,年齢では 40 〜 50 歳代でもっとも多くみられ,小児 での症例の報告は少ない.初期治療には PSL が第一選択とされ,治療効果が不十分と判断 されれば血漿交換,γグロブリン静注療法等の治療が施行されることもある.今回我々は, 9 歳女児の尋常性天疱瘡を経験したので報告する.咽頭周囲および口腔内,口唇の疼痛と多 発性の口内炎を主訴に当院受診.診断に難渋したものの,当院小児科,皮膚科との連携の 上尋常性天疱瘡の診断に至り,入院下に PSL とγグロブリンの併用投与で治療を行ったと ころ症状は消退し,現在は PSL を減量して良好な経過をたどっている. - 40 - 一般口演 14.症例から考える唇顎口蓋裂児の離乳支援 ○吉川浩郎 (1),(2),関根浄治 (2) (1)吉川歯科クリニック (2)島根大学医学部歯科口腔外科学講座 保健師から離乳食が食べにくいことを主訴に摂食・嚥下機能の発達に遅れのある唇顎口 蓋裂児を当クリニックへ紹介された.患児は月齢 9 ヵ月の両側性唇顎口蓋裂の男児で,舌 の動きは前後運動のみであり,口唇の閉鎖不全も認められた.発達評価は嚥下機能獲得期(離 乳初期)とし,口蓋裂を覆う床装置を作製し,それを用いながら摂食・嚥下指導を行っていっ た. 装置の終了時には舌を上下左右に動かすことができるようになり口唇からの食物のこ ぼれも減ってきた.1歳 6ヵ月時には口蓋裂の閉鎖手術も終了し,普通食の摂取が可能となっ たが,発語の遅れが新たな問題として挙がってきた.これに対し,言語聴覚士に照会する ことで母親の不安を解消した. 専門職種の連携の必要性とともに,地域の開業歯科医師が各関連専門職種間連携のコー ディネートを行なうことで,その地域の障がい児に専門職種の医療サービス等を円滑に提 供できる可能性が示唆された症例であった. - 41 - 一般口演 15.周産期の口腔管理と早産・低体重児出産の関連 ○辰巳香澄 (1),(2),新田美紀子 (1),(2),絲原千映子(1),(2), 安立啓子 (1),(2),服部政義 (2),江川正義(2),関根浄治(1),(2),(3) (1)島根大学医学部附属病院歯科口腔外科マタニティ歯科外来 (2)島根大学医学部附属病院歯科口腔外科オーラルメディシン外来 (3)島根大学医学部歯科口腔外科学講座 近年,妊娠期の歯周病と早産・低体重児出産等の関連が注目されるようになってきた. そこで,妊産婦に特化した歯科治療・口腔衛生指導を行う施設が増えてきている.島根大 学医学部附属病院歯科口腔外科では,妊産婦の口腔管理を目的に,本年 2 月に当院産科・小 児科の協力を得て,マタニティ歯科外来を開設した.専任の歯科医師が毎週開催されてい る院内母親教室へ参入し,妊娠中の口腔管理の重要性について講演後,口腔衛生に関する アンケート調査を施行.さらに,希望者を対象に歯科健診(DMF 指数,CPI,口腔清掃状 態の診査)を歯科医師,歯科衛生士が行っている.また,継続して周産期の口腔管理も行っ ている. 今回われわれは,妊産婦の口腔衛生への関心と口腔内環境について調査し,正期産と早 産との比較および低体重児出産の有無について検証したので報告する. - 42 - 一般口演 16.小学生の歯根破折中切歯に行った審美修復 ○齋藤 誠 さいとう歯科医院 <症例の概要>平成 24 年8月3日初診,11 歳8ヶ月の男児.4年前に転倒して上顎左側中 切歯が歯冠歯根破折して某歯科医院で接着処置を受けた.度々破折歯冠が脱離して接着処 置を繰り返した.現状の把握,今後の推移,現状改善方法などが知りたいとの家族の希望で, 当院を受診した.患者は,歯冠が脱離した日は登校拒否するほど,コンプレックスを持っ ていた. <治療方針>精神面と口腔内衛生環境の改善,および将来の補綴環境の整備を目的として, オールセラミックスクラウンによる歯冠補綴を行う.<治療経過>プロビジョナルクラウ ン装着した時点で表情は一変して明るくなった.最終補綴としてグラスファイバーポスト &レジンコアにジルコニアオールセラミックスクラウンを装着した.<考察および結論> 現在の日本においては,小児といえども,本人はもちろん家族にとっても審美障害を改善 することが重要であり,歯科治療に求められていることが分かった. - 43 - 一般口演 17.保存的治療を行った幼児顎骨骨折の1症例 ○尾原清司 (1),片山暁恵(1),貝田亘 (2),片岡和哉(2) (1)島根県立中央病院 歯科口腔外科 (2)島根県立中央病院 形成外科 小児期,特に乳幼児期の顎骨骨折では,歯胚への影響や顎骨,関節突起の成長を考慮し, 顎骨への侵襲を伴う治療は避けるべきであるとの論文は多い. また,小児期の下顎頭は成長発育と骨改造の中心であるため,同部の損傷は顎変形や顎関 節強直症を後遺することがあり,慎重な治療法の選択と十分な経過観察が必要である. 今回われわれは,形成外科とともに加療した幼児下顎骨骨折症例について報告する. 患者: 6 歳,女児. 現病歴: 3 階より転落し,顔面を強打し受傷.下顎骨骨体部骨折,右顎関節突起骨折に対 し,全身麻酔下に徒手的な整復を行い,床副子をセメントにて歯列へ装着,顎内固定とし た.術後 9 日に開口練習を開始した.術後 30 ヶ月の所見では,開口時の偏位なく,開口障害, 疼痛,関節雑音,咬合偏位もなく経過良好である.また,パノラマ X 線所見にて永久歯胚 の成長も問題なく経過している. - 44 - 一般口演 18.外傷歯の固定における床副子の有用性 ○竹田麻莉子,管野貴浩,大熊里依,寺内美絵,金子一朗,成相義樹,石橋浩晃,関根浄治 島根大学医学部 歯科口腔外科学講座 小児の外傷で最も多いのは,歯牙の外傷である.日本外傷歯学会のガイドラインでは, 外傷歯の固定に床副子の使用を推奨している.2012 年 4 月から 2013 年 6 月までの間に,当 院救急救命センター経由もしくは直接口腔外科外来を受診した小児の外傷患者は,32 名 ( 男 児 19 名,女児 13 名,平均年齢 5.19 歳 ) であった. 今回は,これらのうち床副子を用い て外傷歯の固定を行った 3 症例の詳細について報告する. 症例 1 は,8 歳男児の左側オトガイ部骨折による 21 ┬ 1 亜脱臼.症例 2 は,3 歳女児の歯 槽骨骨折をともなう A ┴ A 脱臼. 症例 3 は,5 歳女児の A ┴ A 亜脱臼である. いずれも,可撤性の床副子により外傷歯は良好に固定できた.口腔内の清掃性も保つこと ができ,本邦は有用だと思われた. - 45 - 展示・広告協賛一覧 展示協賛 ビーンスターク・スノー株式会社 広告協賛(順不同) 株式会社メディカルユーアンドエイ ブリストル・マイヤーズ株式会社 タキロン株式会社 大正富山医薬品株式会社 いしばし歯科 協 賛(順不同) 株式会社玉井歯科商店 株式会社ツムラ 江川レディースクリニック 共 催 島根県歯科医師会 多くのご支援に深謝申し上げます. 第 25 回 西日本臨床小児口腔外科学会総会・学術大会のご案内 会 期:平成26年(2014) 9月27日(土) 会 場:産業医科大学 医学部 ラマチーニ 小ホール 大 会 長:大矢 亮一(産業医科大学病院 歯科口腔外科 准教授) 実行委員長:宮脇 昭彦 準備委員長:平島 惣一 運営事務局:産業医科大学病院 歯科口腔外科 第25回 西日本臨床小児口腔外科学会総会・学術大会事務局 〒807-855 北九州市八幡西区医生ヶ丘1-1
© Copyright 2024 ExpyDoc