E-5 - 日本大学理工学部

平成 22 年度 日本大学理工学部 学術講演会論文集
E-5
自律移動ロボット
自律移動ロボットの
ロボットの基礎研究
段差乗り
段差乗り越え車輪の
車輪の最適形状と
最適形状と自律誘導制御方法の
自律誘導制御方法の検討
The foundation study of autonomy movement Robot
An examination for the most suitable shape of the Stairs Climb Wheels and
the Autonomy Induction Control
○浅見 明 1, 増崎 龍太2 村田 浩貴 2 阿部 剛大1, 入江 寿弘 3
Akira Asami1, Ryuta Matuzaki2 Hiroki Murata2 Takao Abe1, Toshihiro Irie3
Abstract: It is common now that the mobile robot for the purpose of getting over a step uses a leg and a crawlr.
However, the leg is not suitable for practical use because mechanism is complicated. And the crawler is put to practical use,
but a wheel is superior to the crawler in the run on the level ground.
I develop it by a new method. It is the magnetic sensor having three wheel body system.
1. はじめに
径が大きくなる.右の勾玉型車輪は変形前の径に対
本研究は高齢化社会におけるバリアフリーの問題
して変形後の移動ピッチを大きくとることが出来き,
を解決するために,平地でも段差でも好適に移動でき
同じ車輪径に対してより高い段差を越えることが可
る車両型移動ロボットの実用化を目指している.
能である.また,車輪軸を両持ちに出来る点からも
我々の実用化を目指すロボットは平地走行時には車
楕円型より適した形状であるといえる.
輪の走行性能を持ち,段差乗り越え時に車輪を変形さ
Fig.2に実際に試作した勾玉形状小車輪による変形
せて対応させるものである.これにより,平地と段差
車輪を示す.これは4つの勾玉形状をした車輪を組み
それぞれの場合において適切な移動方法が行える.車
合わせ,1つの車輪としている.通常は閉じた状態で
輪が変形する機構は若干複雑になるものの従来の移動
円形の車輪として目的地まで移動する.一方,階段な
ロボットと比較しても十分実用的な移動方法と考えら
どの段差では車輪を十字型に展開させ,段差を乗り越
れる.また,移動ロボットは自律誘導システムを目指
える.
すが,
建物内では GPS などの測位システムが使えない.
そこで自動誘導制御を補助するために,地磁気センサ
を用いた.
今回、自律誘導制御の基礎実験のために移動車体を
製作し,使用する地磁気センサの基礎特性を計測した.
さらに,自律走行をする誘導制御方法について検討し,
シミュレーションを行った.
2. 展開型車輪
Fig. 2 Expandable Wheel
3.位置の同定方法
地磁気センサによる方位の確定と車輪の直径と回転
数を積分して得られる距離情報から現在位置を同定す
る.この方式は地磁気センサの精度によるところが大
きい.地球圏磁気[2]は 10-6~101 [Oe] でありこの地磁気
Fig. 1 Wheel Shape
を検知して方位角を得ることができる.地磁気センサ
平地と段差の両方に対応する移動ロボットを実現
を回転する円板に乗せ 3.3V の電圧を加えながら1回
させるための車輪の形状として Fig.1に示す 2 つの
転させて測定した結果を Fig.3 に示す.なお,センサの
形状を考案[1]した.
取り付けにより X 軸と Z 軸が逆になっている.
Fig.1の左の楕円型車輪は,半周すると元の車輪
形状に戻り,進行方向の制限がなくなるが,車輪半
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2400
[LSB]
2300
MG-Z
MG-X
MG-Y
2200
2100
2000
0
90
180
270
360
Fig.5 Steering Control Block Diagram
450
Rotation Angle [deg]
制御シミュレーションの結果を Fig.6 に示す.目標軌
Fig.3 Magnetic sensor output
道と若干のずれがあるもののほぼ追従している.
4.車体の特徴
本研究では自律誘導制御方法の検討をするため
Fig.4 の3輪の車両を試作した.試作したロボットはカ
メラを搭載し,警備ロボットとしての用途を想定して
いる.
Fig.6 Control Result
6.まとめ
今回,自律誘導方法について平面走行を前提とした
3 輪の車両型ロボットの誘導シミュレーションを行い,
制御の可能性を示した.誘導制御のキーポイントとな
る方位角検出において,地磁気センサの性能試験を実
施した.360 度の回転角に対して YZ 軸に途切れなく計
測可能で,方位角を検出するのに有効なデバイスであ
ると考えられる.
自律移動ロボットの移動方法として段差乗り越え機
Fig.4 Locomtive Robot
構を用いることで作業範囲を広げることが可能になり,
5.誘導制御
誘導制御方法を確立することにより介護ロボットや警
[3]
3輪移動機構の運動方程式は式 1 のように表される.
 θ
cos
2
 x&  
 
θ
&
y
=
sin

 
2
 θ&  
   1
 l
θ
cos 
2
θ   rω 
sin   r 
2   rω l 
1 
−
l 
(1)
制御システムを Fig.5 に示す.MATLAB/Simulink で,
備ロボットなどへの応用が期待できる.
参考文献
[1] 阿部剛大,他 3 名:段差乗り越え車輪を用いた移動ロボッ
トの研究,計算工学講演会論文集 Vol.15, pp.365-368
(2010 年 5 月)
[2] 毛利佳年雄:「磁気センサ理工学」コロナ社, pp.2-20
[3] 新版ロボットハンドブック,日本ロボット学会編
コロナ社、pp375-401,2005
(1)式の走行シミュレーションを行う.目標の軌跡は,
目標点と目標角度より,スプライン曲線を用いて滑ら
かな曲線を生成し目標軌道とした.
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